ハイスクールD×D~地双龍と混血悪魔~   作:木の人

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35話

「赤龍帝のクラスに変なのが転校してきたらしいね」

 

 

 二学期が始まってから数日が経ち、特に変化のない退屈な日常を過ごしていたが……それは一瞬で崩れ去った。理由なんて赤龍帝のクラスにコカビエル事件の時にデュランダル使いと一緒に居た聖剣使いが転校してきたからだ。その話自体は昨日の夜中に生徒会長経由で耳にしていたけどさ……なんで転校してくるわけ? 三大勢力が和平を結んで敵対関係では無くなったとはいえ……今更悪魔以外の存在がこの学園にやってくる理由が無いはずなんだけどなぁ。

 

 まぁ、そんな事は置いておいて……此処には居ないが犬月の機嫌が悪くなってるんだが仕方ないか。グレモリー先輩の所のシスターちゃんは可愛い! 清楚! 心が美しい! と言う理由で今まで除外していたけどそれ以外は見敵必殺、絶対にぶっ殺すと心に決めているぐらい教会関係者が大嫌いだ。しかもそれが別のクラスにやってきたんだから犬月の機嫌は最悪だ……うちのクラスの男共は美少女きた! って感じで盛り上がってたけど犬月だけは微妙な反応だったしな。

 

 

「あぁ。昨日の夜、生徒会長から聞かされた。コカビエル戦の時に居た……名前なんだっけ?」

 

「イリナ。紫藤イリナって名前だよ。赤龍帝と幼馴染で教会が生み出した聖剣使いの一人。転校理由は天界側のトップから命令されて派遣されてきたみたい――あと、転生天使になってるみたいだよ」

 

「転生天使?」

 

 

 保健室のベッドに横になりながらスマホで遊んでいる平家が聞きなれない単語を言った。確か天使は聖書の神が居なければ増える事が出来なかったはずだ。一応人間との間に子供を残せるが俺達悪魔や堕天使と違って結構難しいから殆ど増えないのが現状だったはず……エッチしてる間も快楽に流されないようにしないとダメとかちょっと何言ってるか分かんない。エッチしたらどう考えても暴走するだろ? 特に男の方が。女の方は……相手によっては墜ちるんじゃないかなぁ? てかそんな両者にとっても辛い、非常に辛い事をするんだったらいっそのこと人工授精で増やせよと思うんだけどさ……流石にそれだとダメなの?

 

 そんなどうでも良い事は置いておいてだ……転生天使って言う事は天界側も俺達が使う悪魔の駒のようなシステムに手を出したのか? 良いのかそれで? 人間って欲深いからそんなのを天使にしたら一気に堕天するんじゃねぇの?

 

 

「転生天使の条件が信仰深い人なんだってさ」

 

「そりゃまた天界らしい事だな……パンツ見えてるぞ?」

 

「もっと見たい?」

 

「全然。お前の見るぐらいだったら夜空の見たい――てんめぇ……! 枕投げるんじゃねぇよ!」

 

 

 顔面に枕が当たったので投げ返すと難なくキャッチしやがった。この野郎……黒下着を履いているからって調子に乗るんじゃねぇよ! すっごく良いと思います!

 

 

「今日のパンツは勝負下着だもん。ちゃんと見て興奮してくれないとヤダ」

 

「残念ながらテメェのパンツ程度でムラムラするわけねぇだろ。何回お前の裸を見てると思ってんだ?」

 

「いっぱい見てるね。昨日も一緒にお風呂入った時にガン見してた」

 

「そりゃ男だしな。それより体調はどうなんだよ? まさか登校してすぐに体調不良を訴えるとは思わなかったぞ」

 

 

 そう、何故俺と平家が無人の保健室に居るかと言うと――平家が体調不良を訴えたからだ。一時間目の授業が終わったのとほぼ同時に「もう無理助けて」という内容のメールが俺の携帯に届いた。登校してまだ半日も経ってねぇぞと心の中でツッコミを入れながら平家のクラスまで迎えに行き、前の時のように机でダウンしているこいつをここまで運ぶ羽目になった。ちなみに現在の時間は二時間目の授業の真っ最中、俺は犬月と橘に適当な言い訳よろしくと言っているから多分サボっても大丈夫。水無瀬が居ないが……きっと授業が別の仕事でもしてるんだろう。

 

 そんなわけで保健室のベッドで自分が履いているスカートの端をつまんで魅惑の太ももを見せているこいつをどうするべきか……絶対体調不良とか嘘だろ。サボりたかっただけだろ?

 

 

「体調不良は本当。赤龍帝のクラスに転校してきた聖剣使いのせいで男子の心の中が下種すぎて吐きかけた……もうやだぁ帰りたい、なんで夏ってヤる事しか考えない男が多いのか分かんない死ねばいいのに」

 

「容姿は美少女って言っても良いしなぁ。まっ、お前が体調を崩してくれたお蔭で俺もサボれたし次の時間まで寝てろ。傍に居てやるから」

 

「――ありがと。ねぇ、ノワール。実はね、この場所に人払いの結界を張ってあるから誰も来ないよ……今なら誰にも邪魔されずにエッチ出来るよ?」

 

 

 自分のスマホを置き、ベッドの上で仰向けになりながらスカートをめくって黒下着を見せてくる。デザイン的に子作りの雰囲気を底上げする時に履くようなものだな……エロい。いや、ガチでエロい。でもおかしいな……確かにこいつは普段からそっち系の事を言う事はあるが今みたいに本気で誘ってくることはあまり無いはずだ。無かったはずだ……! でも思い返してみれば昨日も一緒に風呂入ってたらちっぱい押し付けてきたりと接触が多かった気がする……あぁ、そう言う事か。

 

 

「――お前、まさか発情期に入ってるのか? それ(発情期)は自分でコントロールできるんじゃなかったのかよ?」

 

「出来るよ。でもめんどくさくなったし偶にはこうして直球でやらないとダメかなって……どう? ヤりたい? 私は何時でも良いよ? なんならここでオナニー見せようか?」

 

 

 スッゲェ見たいけどそれに釣られたら後戻りできない気がする。でもスッゲェ見たい……!

 

 

「残念ながらそういう気分でもねぇんだよ。シチュエーション的には悪くねぇけどさっさとやめないと今月の課金額減らすぞ?」

 

「それは困る。しょーがない、ヘタレなノワールを誘惑するのは光龍妃とエッチした後にするよ」

 

「出来ればそうしろ。というかお前で童貞喪失は死にたくなる――だ、からぁ……枕投げんじゃねぇよ!」

 

 

 顔面に当たった枕を投げ返す。それを難なくキャッチした平家は隣のベッドに放り投げて早く膝枕しろという視線を向けてきた。だから王に命令する眷属ってお前ぐらいだぞと何度言ったら分かるのやら……膝枕する俺も俺だけども。

 

 

「んで? その紫藤イリナの目的は?」

 

「グレモリー眷属とシトリー眷属、そして私達の支援。別に何かの情報を得ようとかは考えてないみたいだよ。後は分かるのは……ノワールにビビってる事ぐらい」

 

「はぁ? アイツになにかしたっけなぁ?」

 

「一回目の出会いで力の差を見せつけた、二回目の接触で殺気を放って追い返した、挙句の果てには傷ついている所を腹パン。これだけやれば怖がられてもおかしくないよ?」

 

「……あぁ、そんな事してたな。雑魚すぎて今まですっかり記憶から消えてたわ。今日の放課後にオカルト研究部の部室で自己紹介もどきがあるみたいで俺も呼ばれてるが……お前のお蔭で知りたい情報が分かったから行かなくても良いよな?」

 

「良いんじゃない? 別にノワールが居なくても問題ないし聖剣使い(紫藤イリナ)も赤龍帝にしか興味ないっぽいからね」

 

「なんだぁ? まぁ~た赤龍帝の奴、女を惚れさせたのかよ? 流石二天龍、男の夢を叶えてくれる魔法のアイテムだな」

 

「ノワールも人の事言えないよ?」

 

「なんだそりゃ?」

 

 

 そんな他愛のない話をしながら保健室で二人きりの時間を過ごし、俺と平家は自分のクラスへと戻る。犬月や橘からは何かあったのかと聞かれたが平家絡みだと説明すると何も言わずに察してくれたようだ……普段から一緒に居るからこいつらもなんとなく想像していたんだろう。だが残念な事にその事情を知らない他の奴らからは「黒井、お姫様との熱い時間は終わったのか」とか「保健室で二人きり、何をしていたんですかねぇ」とか言われたけどな。すっげぇウザかった……かなりウザかった!

 

 

「紫藤イリナです! 教会、というよりもミカエルさまから皆さんの支援をするためにやってきました! 前までは敵同士でしたけど今は一緒に戦う仲間……という事でどうかよろしくお願いします! 本当によろしくお願いします!」

 

 

 そんなわけで時刻は放課後、紫藤イリナ歓迎会もどきが始まってしまいました。会場はオカルト研究部の部室、出席者はグレモリー眷属、アザゼル、生徒会長、そして俺という素晴らしいメンバーだ。魔王の妹二人が歓迎するほどの人材かと言われたら微妙だけど一応……天界勢力からの使者だから問題ないのか? でも個人的には犬月の機嫌が悪くなるからさっさと帰ってほしいけどね。アイツの両親を殺したのはアリス・ラーナだったとしてもすぐに天界勢力や堕天使勢力と仲良くできますかと言われたら微妙らしい。

 

 というより俺が帰りたいんですけど……そもそもこの場所に俺って必要か? 別にサボってもよかったんだが生徒会長からお叱りを受けたくないから出席したけどさぁ……手を繋いで仲良くしましょうって感じが無理、マジで帰りてぇ。

 

 

「紫藤イリナさん。オカルト研究部と生徒会、そして心霊探索同好会は貴方を歓迎するわ。最初は驚いたけれど天界からのバックアップには悪魔側、堕天使側も助かっているわ。これからよろしくお願いするわね」

 

 

 別に歓迎した覚えはないんですけどね。

 

 

「はい! よろしくお願いします! 私! 皆さんと仲良くしたかったんです! 今までは敵対したりしてましたけどもうそんな事はしません! アーシアさん、この前は酷い事を言ってごめんなさい! ゼノヴィアも私に気を使って何も言ってくれなかったのに……いっぱい酷い事を言ってごめんなさい!」

 

 

 紫藤イリナがシスターちゃんとデュランダル使いに頭を下げると二人は気にしていない、これから仲良くしましょうみたいな事を言って和解した。話の流れが全然分からないがきっとコカビエル戦の時に何かあったんだろう。それにしてもこの女……前に見た時とは違って光力を感じるんだがこれが転生天使って奴になった証拠かねぇ? まさか夜空との殺し合いで嫌と言うほど光を浴びまくった事がこんな所で役に立つとは思わなかった。この変化はアザゼルと俺以外の奴は気づいていないか、もうちょっと観察しようぜ?

 

 

「さて紫藤イリナ、お前さんが此処に来たって事はミカエルから聖書の神の不在は聞かされているって考えても良いんだな?」

 

「はい。もうっ、ほんっとぉ~に教えられた時は大泣きしちゃいましたよ!! 全ての父! 偉大なる主がお亡くなりになっていなんてもう生きていられなくなりました! うぅ……思い出しただけでも涙がぁ!」

 

「分かるぞ」

 

「分かります」

 

 

 何が分かるのか全然分かんない。悪魔と言う常識があるから偉大なる主とか言われてもピンとこないし死んだって聞かされても別にどうでも良い……てかざまぁとすら思えるレベルだしな。

 

 涙を拭き終わった紫藤イリナは再び言葉を続ける。天界のトップ、ミカエルがこの町に天使のスタッフが存在しない事を問題視しており、始めの一歩として目の前のコイツ(イリナ)を派遣したらしい。確かに天界勢力は各所でやりすぎってくらいバックアップに力を入れているけど此処までしなくていいんだけどなぁ。だって今まで俺達だけで足りていたし、有事の際は俺達かグレモリー眷属が前で戦えば済む。後始末だって堕天使が発明した道具と悪魔パワーで隠蔽可能……ほら天使さんの役目無いぜ! まぁ、居ないよりは居た方が楽と言えば楽だけどね。

 

 

「そういえばミカエルの奴が言ってたぜ……近々、私のエースがスタッフとしてこの町に訪れるとかってな。確かにこの町は天界に冥界、双方の力が働いているが実際の所、グレモリー眷属とキマリス眷属、シトリー眷属に俺達堕天使だ。その辺りがミカエルの奴も気にしてたが……まさか本当に派遣してくるとはな。しかもあいつがエースって言うぐらいだ――お前さん、何になった?」

 

 

 アザゼルの問いに紫藤イリナは祈りを捧げるポーズを取りながら背中に天使の羽を生やした。なるほど……これがさっきまで感じていた光力の正体か。転生天使って名前通り、人間を天使にするシステムを天界側は手に入れたって考えて良いな。恐らく悪魔側が持つ悪魔の駒の技術を応用したんだとは思うけど神の不在により増える事のない天使をこんな手で増やすとは……それで良いのか天界勢力。色んな所に引っかからない?

 

 

「天使化か」

 

「はい! セラフの方々は悪魔と堕天使の技術を使って人間を天使へと転生させる術を完成させました。私はその第一号としてミカエルさまの配下になりました――本当に名誉な事なんです! あぁ、ミカエルさまに感謝を!」

 

「悪魔の駒の技術と人工神器技術の応用か……面白い事をしてくれるじゃねぇの! しかしキマリス、驚いていない所を見ると覚妖怪経由で知ってやがったな?」

 

「当然です。いきなり天界側から使者がやって来るって言われて何もしないわけないでしょ? 過去の記憶から目的まで、風呂で一番先に洗う箇所まで全部平家から聞いてますよ。勿論転生天使の事も二時間目をサボってた時に聞きました……って何? その、うわぁって顔は? なんか変な事言ったか?」

 

「いや、その……最初は兎も角として最後の風呂云々がちょっとな……」

 

「うん? あぁ、話せって事か。紫藤イリナが昨日一番先に洗った箇所は左腕、そんで次が右腕、また胸が大きくなったぁとか言いながらだったか?」

 

「……えっ、えっ、えぇ!? な、なななんでぇ!?」

 

 

 俺の言葉に紫藤イリナが自分の身体を隠すような動作をする。いやぁ、昼休みに平家が話のタネって事で話してくれたけど個人的には楽しかったわ。ぱっと見でもマジでデカいけど本当にデカいんだもんなぁ……ここ最近の転校生ラッシュ、しかもそれらが美少女揃いだから男子生徒のオナニー率がヤバそうだ。てか暇だからって他人の記憶を盗み見るなっての……それが覚妖怪が嫌われてる原因だろうが。

 

 

「離れた場所ですら心を読む、いや今日までの出来事を把握できるのか。一般的な覚妖怪とは比べ物にならねぇな……影龍王の影響か。キマリス、次のリアスとのゲームだがもしかしたら覚妖怪の能力を封じてもらうかもしれん。その辺は分かってるだろ?」

 

「一応は。俺でさえうわぁって思えるぐらいだし禁止されても文句ないですよ。もっとも俺的にはそこに居る吸血鬼の神器、赤龍帝の洋服崩壊と乳語翻訳(パイリンガル)だっけ? それらの使用を認めたいんですけどね。技が禁止されて戦うとかつまらないですし、負けた言い訳にされても困りますからね」

 

「確かにな。サーゼクスには俺から伝えておこう、両眷属が制限無しで戦うのが理想的だがそうはいかない可能性もある。近いうちにサーゼクスからゲームの詳細を伝えられると思うが……暴れるなよ?」

 

「俺が禁手禁止、もしくは俺達だけ制限有って先輩側が制限無しとかシスコン全開だったら暴れますけどね」

 

「流石にそんな事にはならねぇよ」

 

 

 いやいや、あの人って先輩を勝たせたいと思ってるだろうしやりかねない。だって俺が禁手になったら負けないし。だって再生するんだぜ? 肉体的ダメージは無理だとしても耐久力は邪龍並みだしたとえ赤龍帝が相手でも負けるわけがない。それ以前に……四季音に勝てるかどうかすらこの人たちは怪しいからなぁ。

 

 

「……ミカエルさまから聞いたんだけどイッセーくん、影龍王と戦うんだよね? か、勝てるの……?」

 

「分かんねぇ……キマリス対アスタロト戦の映像を見て研究してるんだけど勝ち筋が見えなくて悩み中だよ。ドライグも今代の影龍王は化け物だって言うぐらいだし……部長も対策を練るのに必死みたいなんだけど作戦が思いつかないみたいだ」

 

「デュランダルやアスカロンといった聖剣でさえ影龍王に通用するかは分からん。今までの人生の中で一番の強敵だよ……」

 

「彼の他にも私と同じ戦車に酒呑童子が居ます。鬼は……相手をしたくはありません」

 

 

 なんか端っこの方で何か話してるが……どうでも良いか。

 

 脱線した話を真面目筆頭の生徒会長が元に戻して転生天使の説明を求めた。聞けば四大セラフとそれ以外のセラフ達にトランプを模した「御使い(ブレイブ・セント)」と呼ばれる十二人の配下を持つ事になったらしい。配役としては悪魔の駒で言う(キング)がミカエル達、女王から兵士までがトランプの(エース)からクィーンとなってるようだ……俺達がチェスだから天使はトランプねぇ。となると堕天使がもし同じのを作ったらオセロか将棋か? まぁ、アザゼルは今の所は転生システムを作る気は無いみたいだけども。

 

 

「へぇ、面白い事したんすねぇ」

 

 

 紫藤イリナの説明会もどきが終わり、俺は自宅に帰ってきていた。あの後、俺達三眷属で紫藤イリナの歓迎会をしようと言う話になったが特に仲が良いわけでもないのでお断りして……代わりに橘と水無瀬を放り込んでおいた。なんか断った時に皆の視線がマジかよみたいな感じだったけど当たり前じゃないの? だって俺、紫藤イリナと仲良くないし……むしろ初対面で敵意向けられたから殺したいぐらいなんだけどさ。まっ、キマリス眷属の常識人枠を代わりに出席させてるから何も問題ないだろう。

 

 

「将来的には悪魔と天使、疑似戦争が行われるんだってさ。やったねパシリ、天使殺せるよ」

 

「……今じゃねぇんだろ? だったらそん時に今の復讐心つうか怒りが残ってたら嬉しいがそれまでにアリス・ラーナをぶっ殺すからもしかしたら薄れてるかもしんねぇ。だから――今じゃないならどうでも良い」

 

 

 なるほど。こいつ自身も悪いのはアリス・ラーナで天界勢力や堕天使勢力は巻き込まれただけって考えてるわけか……全方位に喧嘩売るよりも一点のみに喧嘩売った方がコイツ的には楽なんだろう。今もあの銀髪女を殺すために妖魔犬を磨き上げているし次に出会えばきっと勝つだろう。だが問題は奴の禁手の能力だ……未だに判明しているのが禁手の力を一本に集約、そして高速移動のみ。他にも能力があったら犬月でもちょっと難しいかもしれねぇな……まぁ、勝つから良いけどね。

 

 

「大人になったね。未だに童貞なのに」

 

「……てんめぇ! 悪かったなぁ!! てかテメェも処女だろうが!!」

 

「ノワールにエッチアピールしても襲ってくれないから未だに処女なだけ。今日も保健室で勝負下着見せたのに襲ってくれなかった」

 

「王様……サボってる最中に何してるんすか?」

 

「勝手に見せてきたこいつが悪い」

 

 

 もし俺が夜空で童貞を捨てていたら迷わず襲ってたけどまだ童貞だし、まだ童貞だから襲うわけにはいかなかった。さっさとあの規格外……俺に抱かれろよ。いくらでも頑張れるってのにさぁ!

 

 

「変態」

 

「朝の自分の行動を思い出せ。とりあえず今日から天界勢力が仲間入り、グレモリーもシトリーも歓迎してるから追い返すことができないからまぁ、諦めろ。一応見た目は美少女だし仲良くしても罰は当たらねぇと思うぞ?」

 

「……ういっす」

 

 

 渋々って感じだが一応納得したらしい犬月の不満を発散させるために冥界へと転移していつもの場所で殺し合った。妖魔犬をさらに磨き上げてレベルアップさせたいし、俺自身も魔力と妖力の融合形態は地味に興味があった……だからもっと強くなれ、もっと強く、俺の兵士だったら最強の犬に成れるように頑張ってくれよ?




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