ハイスクールD×D~地双龍と混血悪魔~   作:木の人

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36話

「――さいっこうだな」

 

「な、にが、ですか? きゃ!? あ、あく、いえレイ君! ちゃんと走ってください!」

 

「ちゃんと走ってますよーうんうんちゃんと走ってるから何も問題ないよー」

 

「棒読みじゃないですかー!」

 

 

 天界からの使者、紫藤イリナが転校してきてから数日が経った。特にこれと言って俺達に何かがあったわけでも無く今まで通りのつまらない日常の繰り返しだ。俺や犬月に平家の三人はあまり関わり合わない様にしてるが水無瀬と橘はすでに友達として仲良くしてるらしい……紫藤イリナ自身のコミュ力が物凄いから転校して日にちがあまり経ってないにも拘わらず、駒王学園が誇る美少女組の一員となり男女問わずに人気が出ている。ちなみに美少女組となっているのはグレモリー眷属女性陣にシトリー眷属女性陣、そして平家と橘だ。水無瀬? アイツは美少女と言うより美女だから……!

 

 

「もうっ! レイ君! お、怒りますよぉ!」

 

 

 どうでも良い事に思考を割いていたら俺とくっ付いている状態の橘からお叱りの言葉が飛んでくる。いやぁ……仕方ないと思うよ? だって変に考えるとね、ノワール君のノワール君がおはようってしちゃうからさ。

 

 

「黒井の動きが鈍いな」

 

「あれは仕方がない。むしろ変わってほしい」

 

「幻のお姫様と付き合っているだけではなくしほりんとも幼馴染……! 兵藤並みに良い思いをしているはずなのに何故か兵藤の方がムカつくのは何故だ……!」

 

「アイツがイケメンだからだろう」

 

 

 現在はもうすぐ行われる体育祭に向けて学園全体で練習中だ。勿論学生である俺や犬月、橘や平家も例外では無く所属するクラスでそれぞれが担当する競技の練習をしているんだが……うん、これは良いものだな! サンキュー匙君! 俺と橘を二人三脚の選手にしてくれてマジでありがとう!

 

 ぴったりと体をくっつけて片足を紐で結び、息を合わせて走っているんだが……ここで思い出してもらいたいのは二人三脚での俺の相方、橘志保は巨乳だという事だ。一緒になって走るたびに隣にある豊満なおっぱいが上下左右に揺れて非常に、非常に素晴らしい! ブラとかしているんだろうが走ればどうしても揺れてしまうのがおっぱいだ……ちっぱいだったら揺れ? 何それ美味しいの? と死んだ目で言うであろうそれを橘はいとも簡単に行っている。すっげぇ役得、合法的に橘の腰に手を回せるし揺れるおっぱいを間近で見れるしもう最高だな!!

 

 

「ちゃ、ちゃんとしてください! ほ、本当に怒ります、よぉ!」

 

「仕方ねぇだろ? 俺が本気出したらお前が付いてこれないんだしよ。これでもちゃんとやってるんだぜ? ただ……お前のおっぱいの揺れが凄くてそっちに目が行ってるだけだ」

 

「っ!? れ、レイく、き、きゃぁっ!?」

 

「ちっ!!」

 

 

 走っている途中で橘が別の所に意識を集中したせいかお互いの足が絡まってしまい体勢を崩してしまう……整備されていると言っても小さい石とかは存在するだろう。俺が怪我をする分には別に良いが橘には怪我をさせられない、目の前でスローモーションのようにゆっくり、ゆっくりと地面に倒れこむ橘を俺の方へと引っ張って後ろに軽く飛ぶ。重力と人間一人を体の上に載せた状態で硬い地面に落ちたせいで一瞬だけ息が出来なくなったが……俺が怪我をする分には問題ねぇ。はぁ……あっぶねぇ、遊びとはいえ真面目にやらねぇと拙いなこりゃ。と言うより良く動いた俺の体……!

 

 

「いってぇ……橘、怪我ねぇか?」

 

「は、はい……ごめんなさい……背中、だいじょ、うぶ……」

 

 

 やけに声が近いと思ったら視線の先、言ってしまえば俺の顔の目の前に橘の顔があった。美少女と表現できるほどの整った顔立ち、胸板には豊満なおっぱいが押し付けられている……これ傍から見たら俺が押し倒されてるようにも見えるんじゃねぇか? アイドルに押し倒されるとかご褒美だな! 橘の方も状況が理解できたから顔色が一気に赤くなっていき――ちょっとだけ顔が近づいてきた。おいぃ!?

 

 

「おい淫乱アイドル」

 

 

 声をかけると我に返ったのかさっきとは逆に離れていった。可愛い。

 

 

「――はっ!? ち、違います! 違いますよ! 決してチャンスとか、えっとえとえと……とにかく違います!」

 

「分かった、分かったから早く退いてくれ。お前に押し倒されたままじゃ起き上がれねぇんだよ」

 

「は、はい!」

 

 

 片足同士が紐で繋がっているため横にズレる形で俺の体の上から退いた。周りに人が居なかったらおっぱいの感触をもっと感じたかったが仕方ないな。体を起こして足の紐を解くと周りで見ていた俺のクラス奴らが走ってきた……転んだから心配になってきたようだけど大半は橘だろうなぁ。

 

 

「黒井! 大丈夫か!?」

 

「背中から地面に落ちたが痛みがあるなら保健室に行った方が良いぞ?」

 

「橘さん! 大丈夫? 黒井君も背中、痛くない?」

 

「俺は頑丈だから怪我とかねぇと思うけど……犬月、背中見てくんねぇか?」

 

「うぃーす」

 

 

 上を脱いで上半身裸となって背中を犬月に見せる。なんか……周りの視線が凄いんだけど気のせい? まさかそんなに酷い怪我してる?

 

 

「さっすが黒井っち。鍛えられた肉体のおかげで怪我一つしてねぇっすよ」

 

「そうか。ちっ、サボる口実が消えたか……こんな事なら橘のおっぱいの感触をもう少し味わっとけばよかった」

 

「相変わらず隠さず言うっすねぇ――感触、どうでした?」

 

「マジでやわらけぇ。例えるならプリンだな」

 

「プリンすかぁ……なんか食いたくなってきたっすね。帰りにコンビニ行きません?」

 

「俺も無性に食いたくなったし行くか」

 

「……やはりこの男は、敵だ……!」

 

「プリンだと……そんな、そんな的確な例えが存在したというのか……!」

 

 

 何故か知らないが男子勢は地面に崩れ始めた。マジで感触的にプリンだったから間違った事は言ってねぇんだよなぁ……水無瀬はマシュマロ、橘はプリン、平家と四季音は――やめよう。これを考えたら後が怖い。一緒に走っていた橘に怪我はないかと聞いてみると自分の身体を少し動かして問題ないですと笑顔で返答してきた。おっぱいが揺れましたよ皆さん。やっぱ体操服って最高だな!

 

 

「おいおい大丈夫か? 離れた所から見てたが背中から落ちただろ? 水無瀬先生の所に行った方が良いぜ?」

 

「それがげんちぃ、うちの黒井っちってばこの肉体美だぜ? 怪我一つしてねぇの」

 

「そ、そうか! なんで上を脱いでるのかと思ったら怪我の確認か。何もないなら良いけど二人三脚以外にも競技に出るんだから怪我すんなよ?」

 

「匙君匙君。なんで運動部の奴らじゃなくて俺が大半の種目に出ないといけないのかな?」

 

「黒井の身体能力が化物級だからだ」

 

「むしろ一種目だけで終わらせてはダメだろう」

 

「黒井、犬月、匙の三人が居れば俺達のクラスの勝利は確実さ!」

 

「すまん。そういう事だから許せ。てか、てかなぁ……! お前も兵藤も羨ましいんだよ! 俺だって、俺だって女の子とくっ付いて二人三脚してみたいわ!!」

 

「そういえばいっちぃはアーシアちゃんと一緒だったっけ? 羨ましいっすねぇ」

 

 

 正直、他のクラスの事なんてどうでも良いが……平家の奴、ちゃんと練習してるんだろうな? 今日も登校してるが病弱設定だから見学か? まさかサボってるとかだったら怒らないといけないな。俺もサボりたいのに自分だけサボるとか羨ましいんだよ。

 

 ふと別の方向を見てみると聖剣使い同士(ゼノヴィアとイリナ)が徒競走をしているのが見えた。うん、揺れているな。天使と悪魔というスペックを発揮してるから速度がすげぇ事になってるけど橘のようにおっぱいは揺れている。これを見る事が出来るのは俺のように悪魔か武を嗜んでいる奴ぐらいだろう。

 

 

「どうかしたんすか?」

 

「いや、おっぱい揺れてるなぁと」

 

「……あぁ、あの二人っすか。確かに揺れてますねぇ」

 

「おっぱいってやっぱり揺れるのが仕事だよな」

 

「引きこもりや酒飲みは揺れませんからね。あれは壁っすよ、まな板っす」

 

「ちっぱいはちっぱいで良いもんだぞ? 四季音の揉んだけど感度高いらしい」

 

 

 一昨日辺りに温泉に入ってたら乱入して俺の横で酒を飲んでいた四季音のちっぱいを揉んでみたら硬かった。多分だが触ったのは骨だったんだろう……硬かった! でも地味に柔らかかった! 四季音もいきなりの事でビックリしたのか持っていた杯から酒を零して何か言いたそうな視線を向けてきたけど目の前で女が全裸になってたら普通揉むだろ? 風呂から上がるまで揉み続けてたら顔真っ赤にしながら偶にはこういうのも良いねぇとか言って風呂場から出て行ったけどさ……流石鬼、懐がデカい。

 

 

「んで? 何の用だよ?」

 

『ちょっと伝えたい事が有ってね……な、なんで怒っているのかな?』

 

 

 時間は進んで放課後、特に用事もなかった俺達は家に帰って各々好きな事をし始めている。犬月は特訓、橘は歌と踊りのレッスン、平家がゲーム、そして俺は自室に戻って晩飯まで漫画でも読もうかと思っていたら――いきなり連絡用魔法陣が机に描かれた。

 

ホログラムのように映し出された人物の正体は俺の親父……いきなり何の用だよ?

 

 

「めんどくせぇ奴から連絡が来たなぁ、とな」

 

『酷い!? お父さんは真面目な話をしようとしてるのに!! 少しだけで良いから聞いてくれないかな? ノワールだけじゃなくて眷属の皆も関係する事だからね』

 

「あん? どういう意味だ?」

 

『実はね、この前のノワール達の試合が冥界全土で放映された事は知っているよね? それが思いのほか高視聴率で早く次の試合が見たいって一般の悪魔達が騒いじゃってね……緊急で特番を組まれることになったんだ。題名は若手悪魔特集、未来を担う若手悪魔の王とその眷属の紹介と言った感じかな? 勿論、僕がこの話をしたという事はノワールにも出演のオファーが来ているってわけだよ』

 

「めんどくせぇ」

 

『言うと思った!! でもこれに出演すれば冥界全土にノワールだけじゃなくて眷属の皆が知られる事になる。つまり早織ちゃん達が中級悪魔や上級悪魔に昇級する可能性が高くなるんだよ! だからお願い出てくれないかな!? 影龍王、いやノワールの出演を望んでいる子供達もいるみたいなんだ!! お願いだよノワール!!』

 

「……はぁ? ガキが望んでる?」

 

 

 母さんとイチャイチャし過ぎて頭がおかしくなったか? あの試合のどこに出演してくださいって言うガキが居るんだよ。むしろお父さんお母さんからは子供の教育に悪いから出てくるな! と言われてもおかしくないほどの試合だったと思うんだけど? まぁ、それは兎も角としてだ……確かに犬月達を紹介する絶好のチャンスと言えるけどさ、あいつ等が昇級したいと本気で思っているのか謎なんだけど?

 

 

『ほら! 特撮やアニメとかでも主役よりも敵役の方が好きって子がいるでしょ? そんな子達がノワールのファンになったみたいでね……だからお願い! お父さんの一生のお願い!!』

 

「無性にヤダって言いたくなった」

 

『酷い!? さ、沙良ちゃんもノワールがテレビに出るよって言ったら喜んでたんだよ!! 本当にお願い! 沙良ちゃんが泣いちゃうから一回だけ! 今回だけで良いから!!』

 

 

 この野郎……俺が母さん絡みになると断らない事は分かってるから利用してきやがった……! あぁくそ、めんどくせぇなぁ!

 

 

「……ちっ、母さんが泣き始めるとめんどくせぇ事になるか。分かった、出ればいいんだろ? でも放送事故になっても知らねぇからな」

 

『ありがとうノワール! さて、録画の準備をしないと! ノワール、日時が決まったらまた連絡するよ!』

 

 

 通信が切れると先ほどまでの騒がしさが嘘のように周りが静かになった。この部屋には俺しかいないから静かになるのは当たり前でもし一人しか居ないのに騒がしかったらそれはそれで問題だ。気分的に読書と言う感じでもないのでリビングに戻ると一人寂しく酒を飲んでいる四季音と飲み物を取りに来たであろう平家の姿があった。犬月と橘は……まだ地下か。

 

 

「志保はレッスン中、パシリは特訓中だよ」

 

「了解。ならお前らにだけ先に言っておくか……平家、コーラくれ」

 

「口移しで良い?」

 

「テメェの唾液入りなんて飲んだら吐くっつうの。普通にコップに入れやがれ」

 

「ちぇっ。ノワール、テレビに出たくないから代わりに抱いて良いよ」

 

 

 なんでお前を抱かないといけないんですかねぇ? 別に恋人じゃなくてセフレだったら問題ないんだが俺はまだ童貞だ……夜空に捧げるまではとりあえず誘惑的なものを断っておく必要がある。ほら! エッチする時に「俺、初めてなんだ」というセリフから「私も初めて、なんだよ……」と繋がるのって素敵じゃん? もし夜空からそんなセリフが聞けたなら俺はきっと神や魔王すら殺せるだろう。

 

 

「キモイ」

 

「おいこら。世の童貞諸君が思ってる事をキモイとはなんだ? サンキュー」

 

「どういたしまして」

 

 

 平家からコーラが入ったコップを受け取る。やっぱり炭酸飲料と言ったらこれだな! ついでにポテチがあればなお良い!

 

 

「にししぃ~それでぇ? てれびってなにさぁ~?」

 

「さっき親父から連絡があってな……なんでも俺達若手悪魔のゲームが高視聴率だったから特番を組むんだとさ。俺は勿論、お前達も参加だってさ」

 

「へぇ~わたしぃ~はおっさけぇがのめればいいさぁ」

 

「私は出たくない」

 

「俺も出たくねぇっての……こういうのは先輩達の仕事だろ? 混血悪魔の俺が出ても恥しか出ねぇよ。でも断ると母さんが泣くらしいから出演拒否も無理……はぁ」

 

「志保に色々と聞いておかないとダメだね。私は何が有っても話さないからそのつもりでいてね」

 

 

 だろうな。平家にとってテレビ出演、言ってしまえば目立つ行動は自分の首を絞める事になる。覚妖怪と言う種族故に心の声が聞こえてしまう場所は死にに行くと言ってもいいだろう。あんのクソ親父……それぐらい分かってるとは思ったが全然分かってなかったか。一応当日は俺の心の声だけ聞くようにして周りの奴らの声は耳を向けないようにしないとな……偏見だけどテレビ局って色々と凄そうだしな。

 

 その後、地下から戻ってきた橘と犬月、仕事から帰ってきた水無瀬にテレビ出演の事を伝えるとかなり驚いていた。特に犬月なんて「俺が、テレビにっすか……ははっ、うっそみてぇ」と自分の頬を抓っていたし水無瀬も「絶対に転ばない絶対に転ばない」と不幸体質を発揮しない様に頑張ろうという気迫を出していた。さて、俺達の中でテレビ出演がある橘はというと……至って普通に「あっ、そうなんですか?」と凄く余裕でした。流石アイドル、大人数の前で踊ったり歌ったりしてたからその程度は余裕ってわけね。

 

 

「――いきなり何の用だよ?」

 

「暇になったから遊びに来た!!」

 

 

 水無瀬が作る美味い晩飯を食べ終えて自室に戻ると何故か夜空が俺のベッドで横になっていた。確かに飯を食ってる最中、あっ、夜空が来やがったなというのは分かってたけど何故俺のベッドで寝ている? そしてその積み上げられた漫画の山はなんだよ……自分の部屋じゃねぇんだから帰る時に片付けろよ。いやその前にベッドに横になってるとパンツ見えるぞ? 俺的には見たいからそのままでいいけどな!

 

 

「お前が暇なのは一年中だろうが……飲み物は?」

 

「いらな~い。まっ、私が今日来たのはヴァーリから伝言頼まれちゃったからさぁ。自分で来ればいいのに立場的に難しいんだってさ」

 

「そりゃそうだ。テロリスト側、しかも白龍皇が俺達に会いに来れるわけねぇだろ……伝言って何だよ?」

 

 

 俺もベッドに座り、そっと、そっと視線を下へと向ける。夜空の恰好はシャツとミニスカ、つまり太ももが見えているし下手をするとパンツが見えるかもしれない……ちっ! 絶対領域か!! 見えねぇ……あと少し、あと少しだけズレてくれ!!

 

 

「なぁに私のパンツ見ようと必死になってんの?」

 

「見たいもんは見たいからな」

 

「ふ~ん、ほい」

 

「あざっす!!」

 

 

 めんどくさそうに自分のスカートの端をつまんで履いているパンツを見せてきた。それは白、前に平家が履いていたアダルトな奴じゃなくて清楚系の純白なパンツ……マジでありがとう! これで俺は生きていけるわ! もうこの際だから襲うか……いや、襲ったら光を放たれて家が吹き飛ぶ未来しか見えないからやめよう。

 

 

「このへんたいぃ~じゃなくてさ! ヴァーリからの伝言だけどもうすぐグレモリーとゲームすんじゃん? その時に禍の団の一派……名前なんだっけ?」

 

『旧魔王派ですよ。夜空、男を誘うのならば仰向けになるべきです』

 

「そうそうそれ! そいつ等がねぇ~ノワール達のゲームに乱入すっかもしれないんだってさ。所謂漁夫の利って奴? 弱った所を一網打尽でぶっ殺す! みたいな?」

 

「へー。別に乱入してくる分にはどうでもいいんだけどな。やってきたらぶっ殺せばいいだけだし」

 

「だろうね。でもヴァーリはなんか許せないっぽいよ? 今の赤龍帝がノワールを相手にどこまで戦えるか見てみたいんだってさ。自分の宿敵、ライバルだから赤龍帝が強くなるのが嬉しいみたい。とーぜん私もノワールの戦いが邪魔されるのは許せないんで当日は仕方ねぇから警備してやんよ。どうどう? 嬉しい?」

 

「嬉しい。凄く嬉しい。だから抱かせろ」

 

「やだー」

 

 

 何故だ……ユニアも男を誘う手順とか教えていただろ? そもそも男の目の前でベッドに横になりパンツを見せたんだったら襲われてもなにも文句は言えないぞ? 襲いたい、すっげぇ襲いたい……! まっ、とりあえずはそれは置いておいてさっきの件を考えるか。こいつとヴァーリは俺と先輩、いや赤龍帝との戦いが見たいからテロリストから守ってくれると……なんという最強の護衛だろうか。歴代最強の白龍皇と光龍妃が守ってくれるほどの価値があるのかと言われたら微妙としか言えないのによくやってくれるよ。いやその前にヴァーリ……お前はテロリスト側なのにそんな勝手な事して良いのか?

 

 

「そんなわけでノワールは安心してあの牛乳をぶっ殺してね? 負けたらマジで承知しないから」

 

「はいはい。お前の期待に応えられるように頑張るよ」

 

「そうしなよ。だってアンタは私のお気に入りだしねぇ~私がぶっ殺すまでは他の誰にも負けちゃダメなんだからさ」

 

「お前こそ俺以外の奴に負けるなよ? 普通の人間なんだから何に負けるか分かんねぇんだしな」

 

「この私が負けるとでも思ってんの?」

 

「いや全然。むしろ魔王ですら殺しそうで怖いな」

 

 

 アスタロトとのゲーム前に殺し合ったけど前に戦ってた時以上に強くなってたしなぁ。マジでこいつ人間かよ……これを殺せる奴がいるなら見てみたいわ。でも――

 

 

「でっしょぉ~? あっ! この続き読みたいからとってぇ!」

 

「はいよ」

 

 

 ――俺から言わせたら肉体が異常なだけで根は普通の女の子なんだよなぁ。




観覧ありがとうございました!

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