ハイスクールD×D~地双龍と混血悪魔~   作:木の人

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影龍王と悪神
42話


「た、たすえけぇ……! たすけ、てぇ!」

 

「ヤダ」

 

 

 時刻は深夜、俺は血の匂いと鮮血が薄汚れた黒の液体に変化している戦場にいた。先ほどから俺の足元で喚いているのは体の至る所が変な方向に曲がって今にも死にかけている男。これから訪れるであろう死から逃れるために自分よりも年下であろう俺に無様に、必死に命乞いをしている……先ほどまで俺を殺そうと粋がっていた気がするんだが適当に骨を折ってやったらこの様だしもうちょっとやる気だそうよ。それを見下すような視線と共に生きたいと藁にも縋る思いで助けを乞う男の頭をタバコの火を消すように踏み潰す、いや叩き潰す。黒い人形のような一つ目の化け物が潰れた果実のような姿となった男を見つめているが何も言わない……俺が生み出して操ってるんだから当たり前か。

 

 

「しっかし……これで此処に居た禍の団の()()共は全滅か。ホント、何回襲撃してくるんだよ?」

 

 

 独り言を呟くように静かに言葉を漏らす。ここ最近、禍の団の所属する英雄派と名乗る奴らからこうして襲撃を受けている。しかも俺や先輩が住んでいる駒王町や三大勢力の重要拠点を狙い撃ちしたように襲ってきやがるからめんどくせぇ。確かに殺し合い、特に戦争としては当たり前だとは思うけどこうも連日で襲ってこられるといい加減にしてくれって思うな。だってこいつら(英雄派)が襲撃してくるたびに俺は駒王町から出て最前線、つまり一番襲撃犯が多い所に出向かないといけないんだからマジで勘弁してほしい……しかも俺が到着すると同時に今まで防衛していた奴らが居なくなるという嫌がらせ付き。マジで魔王死ねばいいのに……なに? 自分の妹がゲームで負けてレーティングゲームの評価も最低だったから仕返しでもしてるの? あれは俺は悪くないと思うんだけどねぇ。まぁ――影龍王の戦い方に巻き込まれないようにしているだけだろうけどさ。一人でも問題ないと思われるぐらい頼られているのかねぇ?

 

 本当ならこの場に犬月達も連れてきたかったが大人数で居ると俺が戦いづらいから毎回一人で大人数と殺し合わないといけない。もっとも夜空との殺し合いに比べたら遊び同然だけどな……人間と有幻覚とよく分からん化け物という組み合わせで毎回襲撃してくるけど俺からしたら雑魚同然、今日も単騎で無双できました! まぁ、犬月達も家で待ってるわけじゃなくて駒王町及び俺が治めている地域に襲撃してきた奴らを対処させてるから実戦経験は積んでいるはずだ。特に俺抜きで殺し合いが出来ると言う絶好のチャンスを是非モノにしてほしいね! 俺が居ない状況、もっと言ってしまえば俺に頼らなくても相手を殺せるという覚悟と強さを手に入れれば俺も安心して戦えるしな……四季音と平家、犬月は問題ないけど橘と水無瀬はまだ足りないからマジで頼むぜ? 特に大事な場面で非情になれるスイッチを見つけないと今後厳しいからな。

 

 

「――いい加減出てきたらどうだ?」

 

 

 本当ならこの場に散らばっている死体を集めて証拠隠滅とかしたいところだが……どうやらまだお客様が居るらしい。さっきから俺を射殺そうとしている殺気を感じるしな。一言、先ほどの言葉を殺気が放たれている部分へと視線を向けると俺の言葉に観念したのか音を立てず、静かに身を隠していた幻術を解いて姿を現した。

 

 

「久しぶりだな。アリス・ラーナ。こんな所で会えるなんて奇遇だね? デートする?」

 

「殺し合い、というデートであるならば喜んでお受けいたします」

 

「おっとそれだったら俺、張りきっちゃおうかなぁ」

 

 

 深夜という時間帯、月明かりで反射して美しいとさえいえる銀髪、それをサイドポニーにした女が光の刀身をしたナイフを指の間で挟み、戦闘態勢に入りながら俺の目の前へと現れた。その女は犬月が殺したいと切に願ってやまない人物――アリス・ラーナ。今日も西洋人形のように無表情でなんか怖い……でも美人だ。胸はスレンダー、言ってしまえばちっぱいだけど平家よりはあるな。そもそも夜空と平家並みの奴の方が珍しいか……そんなくだらない事を考えていると銀髪女の背後に居たもう一人の男が声を上げた。白髪で神父服をしたいかにも私は教会関係者ですって自己主張している男だ……えっと、誰だっけなぁ? なんか見覚え有るんだけど思い出せない……!

 

 

「やっほ♪ 何カ月ぶり? ひっさっしぶりぃ~元気してた?」

 

「……あの、どちらさまでしたっけ?」

 

「おいおい、おいおいおいおい! もうっ! このクソ悪魔ちゃんってば俺っちを忘れちゃったんですかぁ~? やだなもう! 俺っちのこのイケメンフェイスをぶっ壊してくれたスーパー悪魔さんは物忘れが激しいんですかぁ? ふっざけんじゃねぇぞテメェ!! ここまで治るのにどんだけ苦労したと思ってんですかねぇ? あっ! この代金はお前の命で払って貰っちゃうぞ♪」

 

 

 イケメンフェイスをぶっ壊した……あぁ、あの時の白髪神父か。顔が治ってるから誰か分かんなかったぜ!

 

 

「……あぁ、思い出した。あの時の雑魚神父か。おぉ、潰された顔治ったんだな。よかったじゃん」

 

「どうもありがとぉ~♪ じゃあ死ね!!」

 

 

 白髪神父が持つ一振りの刀から聖なる波動が飛んでくる。即座に影人形を生成して拳で吹き飛ばすと今度は上空からナイフの雨が降り注いできた。禁手状態じゃないから一つでも当たると大怪我だなぁと思いながら真上に目掛けて音すら遅れるほどのラッシュを放ち、降り注ぐ雨を撃ち落す。数や量はかなりのものだが俺にダメージを与えようって言うならこれの数万倍持ってこいって言いたいね。でもこの女の実力だったら並みの悪魔は普通に殺されるから出てきたのは俺の前でよかったと言うべきかねぇ? この女は()()だけど。

 

 別の影人形を生成して白髪神父――ではなくアリス・ラーナの方に接近させる。あっち(白髪神父)は雑魚で()()だからあまり脅威にならない。今仕留めるべきは偽物でありながらかなりの実力を持っているこの女からだ。

 

 影人形の接近を視認したであろう銀髪女は無数にナイフを生み出して投擲、あまりの手際の良さに俺も拍手をしたいぐらい綺麗な流れで影人形の動きを阻害、距離を取った。

 

 

「やるな」

 

「お褒めに預かり光栄です。しかし本気を出していない貴方に褒められても嬉しくはありません」

 

「だって雑魚だしな。文句があるならさっさと禁手化しろよ? もっともお前らよりさっきの構成員に混じってた黒いモンスターの方が強いけどな――おっと、白髪神父くん? 聖剣、いや神霊剣を使うならもうちょっと剣術鍛えた方が良いぜ?」

 

「アドバイスありがと! 死ねぇ!!」

 

 

 真上から降り注ぐナイフの雨を影人形Aのラッシュタイムで防ぎ、背後から接近してきた白髪神父の刀を影人形Bで白羽取りをして固定する。銀髪女の方は最初から分かっていたように手際よくナイフを生成し続けるに対し白髪神父の方はやっべと言いたそうな表情になって神霊剣から手を放して距離を取る。まさかマジで今ので決めようとか思ってたわけ? ナイナイ! あの程度の不意打ちで殺そうとか無理だぜ? 犬月ですら殺せねぇよ。やっぱりこいつ雑魚だわ。もうイケメン君や赤龍帝でも殺せるぐらいの雑魚。

 

 

「うっそ、マジで化けもんだねぇ。逃げようかなぁ~ってね!! うん逃げるわ! 別に俺っち英雄派に義理なんてねぇしぃ!」

 

「逃がすと思ってるのか?」

 

「俺っちの逃げ足を甘く見ないでおくんなま、しぃ!?」

 

 

 即座に鎧を纏ってシャドーラビリンスを発動、俺と白髪神父を捕らえる檻とする。この技は外界と外側を遮断して攻撃を防ぐだけじゃなく転移術とかも出来ないようにするからこれで白髪神父は逃げられません……という事を前の襲撃の際に気が付いた。恐らく床にも影が広がっているから転移魔法陣の「力」を奪っているんだとは思うけどこの技自体研磨不足、まだまだ完全に把握しきれていないのが現状だ。多分この技は「外側と内側を完全に遮断して外部からの攻撃を防ぐ」のと「影の檻が消えるまで内部から出られない」という性質を持ってるんだろう……檻と表現してるけど本当に檻のようですありがとうございました……相棒ってやっぱりチートの塊だわ。一度捕えたら逃がさないとかホント邪龍の鑑!

 

 まぁ、今回使ったのは俺のテンション上げと言うわけで――この白髪神父にはちょっとした実験台になってもらうためだ。恨むなら弱い自分を恨んでくれよ?

 

 

「は、はぁ!? なんだこれ、に、逃げれねぇ!? これが噂の影の迷宮ってか! ざけん――」

 

「五月蠅い黙れ」

 

 

 影人形二体によるダブルラッシュタイムで身体の骨と言う骨を砕いて強引に瀕死状態にしてから白髪神父の頭を掴んで「捕食」と称された能力を発動。これさぁ、生きてるのが奇跡ってレベルでボロボロじゃね? やったの俺だけどさ……なんかキモイ。

 

 そんなどうでも良い事は置いておいて奪うのは脳内に刻み込まれた術式の「力」だ。色んな所で構成員を捕らえているが戦闘終了後に禍の団に属していた頃の記憶は無くなっているらしい……恐らく肉体に一定以上の負荷か意識が強制的に失われたのを発動キーにしているんだろう。しかも悪魔、堕天使の力でも失われた記憶を復元するのは現状無理と言う強力な術式だからこれを行った術者はかなりのものだろう。だから実験と言うのは相手の頭……と勝手に思い込んでいるがそれ以外には考えられないのでそこに施されている術式の「力」を奪ったら少しは記憶残るんじゃね? って思ったからやってみようと思う。

 

 数十秒間、白髪男の頭を掴んで力を奪い続けると脳内に施された術式が壊れた。なるほど……脳という部分に施すから繊細な代物、いや違うな。解析されて対抗策を作られるのを防ぐためにわざと壊れやすいようにしてるのか。すげぇなこの術者。欲しい! 相性が良いであろう僧侶はもう埋まってるけど。そんな事を思いながら影の檻が壊れて外に出ると先ほどまで戦っていた銀髪女の姿が無くなっていた。まぁ、当然か……アイツは有幻覚だったしこれ以上戦う理由もないだろうし。

 

 

「――おつかれさん。相変わらずの容赦無さっぷりでなによりだ」

 

 

 月明かりが照らす戦場にアザゼルが常闇のような翼を広げながら降りてきた。相変わらずの浴衣姿、こいつ……もし戦闘が有ったらどうする気だ? いや姫島先輩のように服装を変化させるのかねぇ? 男の変身シーンなんてどうでも良いけどな!

 

 

「捕縛するよりぶっ殺した方が安心ですから。あっ、こいつの脳内に施された術式を壊したんで少しは情報を得られると思いますよ」

 

「……そんな事も出来るとはなぁ。分かった、こっちで尋問しておこう。それよりキマリス、お前から見てこの襲撃はどう思う?」

 

「どう思うも何も――神器使いを禁手に至らせようって言う博打でしょ?」

 

 

 これまでの襲撃犯の中に神器使いが混じっていたしな。俺、つまり影龍王と戦う事で異常なまでの戦闘経験を積ませて強引に禁手に至らせようって言う魂胆だろう……だってこの手は夏休みに水無瀬相手に使ったから相手がやろうとしてる事は余裕で分かる。仮に百人の神器使いを送り込んだとしてその中から一人か二人程度が禁手に至れば十分と言う考えなんだろう……もっとも俺は百人全員をぶっ殺すけどな。だから今日までテロリスト全員ぶっ殺してるわけだし……この白髪神父を生かしたのは単なる実験材料に過ぎないから幸運と言えば幸運?

 

 

「――やはりお前もそう思うか」

 

「当然ですよ。非神器使い、異形のモンスター、そして神器使いが群れを成して何度も襲撃しては防がれているというのに何も対抗策をしてこないのはおかしい。恐らく禁手に至らせる実験と異形のモンスターのデータ取りを兼ねている遊びなんでしょうねぇ。後者は兎も角、前者はうちの僧侶相手にやったのと同じなんですぐに分かりましたし当たってると思いますよ」

 

「そうか。確かにサイラオーグ・バアルや各地で対処している奴らから「相手の雰囲気がいきなり変わった」と言う報告も上がっている。お前さんの考えは当たっているだろうな……影龍王や酒呑童子、赤龍帝にデュランダル、聖魔剣、大王という異常なまでの戦闘力を持った奴らと戦えば使用者自身が確実に生き残る事を望んで至る可能性もある。現にお前さんの僧侶、水無瀬恵もそれで至っているから間違いはないだろう。しっかし……単騎で無双とは流石だねぇ」

 

「俺が来ると防衛してた奴らがどっかに行くんですよ。これってあのシスコン魔王からの嫌がらせって考えていいですよね?」

 

「んなわけあるか。アイツも忙しいんだぜ? 光龍妃が冥界上層部をぶっ殺しちまったから内部でごたごたしてるしよ」

 

 

 知ってる。なんせ体育祭当日の夜に夜空が俺の部屋に転移してきた時に聞いたからな。ホント何してんだよアイツ……そんな面白い事があったんだったら俺も混ぜてくれよ!

 

 冥界上層部の何人かが殺されたため、魔王様達は空いた穴を埋めるべく色々と忙しいようだ。もっともアザゼルは「頭の固い奴らが居なくなってサーゼクス達もやりやすくなっただろうな」と笑いながら言ってるけど……俺もそう思う! だって魔王からしたら自分の命令を聞く素直な奴を上役に出来るし今後の冥界の方針も簡単に出来るだろうから万々歳だろうし!

 

 

「まっ、そんな事は置いておいてだ。キマリス、こんな状況が続いている時になんだが……お前さん、いやキマリス眷属に頼みごとがある」

 

「あの番組に出ろって言うんだったらお断りしますけど?」

 

「そっちじゃねぇよ。実はな、北欧の主神オーディンが日本に来日する。本当だったらもう少し先だったんだが何やら面倒事があったようでな、日程を早めたそうだ。お前達はイッセー達と共にオーディンの護衛をしてもらいたい……お前さん一人で事足りそうだけど念には念をってな」

 

「へぇ。先輩達と一緒ってのがなんかあれですけど……別に良いですよ。主神レベルと会うなんて滅多に無い事だしもしかしたら殺し合えるかもしれないですからね」

 

「流石にやめてくれ。今のお前さんとオーディンが戦えば間違いなく光龍妃が乱入するだろう……北欧の主神対影龍王対光龍妃なんて状況になったら確実に日本が滅んで禍の団のテロ対策どころじゃなくなっちまう。戦いたい気持ちは分かるがここは抑えてくれよ? 代わりにバラキエルと戦わせてやるからさ」

 

 

 おっと、堕天使勢力の中でも武闘派で有名なバラキエルと殺し合っても良いとは嬉しい事を言ってくれるじゃねぇの! 正直本物の雷光って奴を味わってみたいからこれは是非お願いしますって言いたいな!

 

 

「その言葉、忘れないでくださいよ? 後でやっぱりだめぇ~とか言ったら問答無用でぶっ殺しますからね」

 

「分かってる。たくっ、ヴァーリとこういう所は似てるんだもんなぁ。そんじゃ頼むぜ? 日程とかはあとで教える」

 

「分かりましたよっと。それじゃあ帰るんで後始末とコイツをお願いしまーす」

 

「お、おい待て!?」

 

 

 掴んでいた白髪神父をアザゼルに手渡してから即効で自宅へと転移する。だって後始末とかめんどくさいしね! そのままリビングに戻ると寛ぎ状態の犬月達がとある特撮をお菓子などを摘まみながら見ていた。赤い全身鎧を身に纏ったヒーローが悪を倒していく子供向けの特撮番組――乳龍帝おっぱいドラゴン。制作などは全部グレモリー家で行われておりOPなどの歌を作詞作曲は魔王二名と総督という変な方向に力を注いだ力作中の力作番組。キマリスとグレモリーのゲーム終了と同時に放映されたけど冥界の子供達からはかなり好評みたいだな……哀れだな、ドライグ。

 

 ちなみに夜空はこれを見て爆笑、ユニアも何やら悪い事を考えているようだった。マジでアルビオン生きてる? 宿敵がこんな番組の主人公とかになってるしさ、そのぉ、心は大丈夫かなぁ……本当に心配になるんだけど。

 

 

「おかえりっす。王様の方も終わったんすね」

 

「まぁな。お前らも特に大怪我とかは負ってないようだな」

 

「にししぃ~とうぜぇ~ん! あんなのあいてにぃするよりもぉ~のわーるぅをあいてにしたほうが、ひっく、いいもんねぇ~」

 

「むしろ花恋が居て負ける理由が思いつかない。でも頑張った、褒めて褒めて」

 

「はいはい寄って来るなめんどくさい……橘と水無瀬もお疲れさん。どうだ? 血の匂いに満ちた戦場にはもう慣れたか?」

 

「だ、大丈夫だと思います。まだ少し人の、人間の血の匂いには慣れませんけどなんとか、大丈夫だと思います」

 

「人間同士で殺し合うなんてあまり無かった事ですからね……私も多分、大丈夫だと思います」

 

「なら良い。異形やゲームで倒す事じゃなく、「人間」を殺すってのは元人間からしたら嫌悪してもおかしくはない。元から悪魔の俺や犬月、妖怪だった平家や四季音はその辺に関しては最初っから無いけどな。俺の眷属なんだから涼しい顔して殺害できるぐらいにはなってくれよ? 強制はしねぇけどさ。てか、なんでそれを見てんだ?」

 

 

 テレビの画面に視線を向けながら聞いてみるとなんだかんだで面白いからという平家からの返答が飛んできた。まぁ、確かにシナリオも王道中の王道、悪い敵を正義の味方であるイッセー・グレモリーが倒していくってものだし娯楽があまりない冥界、しかも子供相手だったら余裕で人気が出てもおかしくはない。でもさぁ……なんで俺が出る事を望まれてるのか未だに分かんないんだけど! 何度も製作者サイドから俺や親父達に出演依頼が飛んできてるがめんどくさいので断っている。だけどいい加減にしてほしい。だって倒されることが確定してる番組に出たら影龍王と称された相棒の名が泣くしな……だから実家に居る親父を脅、お話をして分かってもらい、母さんも同様に自らを犠牲にして説得したから製作者サイドにはお断りの言葉を言わせている。

 

 まぁ、うん。出ても良いよ? 出ても良いけど公式BADENDなラストをしてくれないとダメだぜ? それだったら出演しても良いって言えるんだけどねぇ。

 

 

「主人公がラスボスに負けて終わる特撮とか誰も見ないよ。私は好きだけど」

 

「あぁ~分かるわ。俺もどっちかって言えばヒーローより悪役の方が好きだし。なんて言うんすかね……悪なりのカッコ良さって言うか振る舞いがなんかグッとくるんすよ。いやでも王道も嫌いじゃないんすけどね」

 

「最後に正義は勝つってか? そもそも最初っから悪役が本気出せば始まる前から全部終わるんだけどな」

 

「それは言っちゃダメっす」

 

 

 ダメかぁ。まぁ、全ての特撮やアニメ、漫画にゲームにおいて禁句だろうし仕方がないか。

 

 

「あぁ、そうだ。このクソめんどくさい状況の中でアザゼルから北欧の主神の護衛を頼まれた。詳しい日程とかはまだ分からないが気持ちだけ準備しておいてくれ。一応グレモリー眷属と合同らしいからその辺りも柔軟に対応してくれ。ちなみに俺は先輩達と一緒だろうと自分勝手にやらせてもらう予定だ」

 

「それにのっかりたぁ~い」

 

「自分勝手最高。だから私も自由にやらせてもらうよ」

 

「……此処に来て結構経つとは思うんすけど、王様と酒飲み、引きこもりの三人ってやっぱ頭おかしいっすよ」

 

「瞬君。慣れです。慣れてしまえば殆どの事は問題ないように感じますから……慣れましょう!」

 

「水無瀬先生が悟っているような表情に……お、お疲れ様です。私も、一緒に頑張りますから元気を出してください!」

 

「志保ちゃん……うわーん! ありがとぉっ!」

 

 

 水無瀬と橘が抱き合っているけどスゲェな。おっぱいがおっぱいとぶつかってそれはもう素晴らしい光景になってやがる……! これがおっぱいサンドって奴か! 夜空や平家、四季音では到底行えない行為だろうな!

 

 

「ちっぱいサンドって言うのもあるよ。花恋と一緒にやってみようか?」

 

「みせいちょうぼでぇ~のすごさをみせってやるぅ~」

 

「なんか響き的に硬そうだな。とりあえずそれは置いておいて水無瀬、なんか腹減ったから作ってくれ」

 

「あ、はい!」

 

 

 こうして俺達の忙しい非日常は過ぎていく。




今回から「放課後のラグナロク」編の開始です。
「Shadow Labyrinth《シャドー・ラビリンス》」は家庭教師ヒットマンリボーン、未来編で登場した裏・球針態っぽい感じです。

観覧ありがとうございました!

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