ハイスクールD×D~地双龍と混血悪魔~   作:木の人

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43話

「そういえばげんちぃから聞いたんすけど修学旅行の班って俺と王様とげんちぃの三人らしいっすよ」

 

「へぇ。てかそういえばもうそんな時期か……ここ最近忙しすぎて忘れてた」

 

「いやいや、修学旅行っすよ? 京都っすよ! 妖怪の故郷と言っても良いぐらいの場所っすよ!! 確かに最近は禍の団の襲撃で忙しかったっすけど学校生活の花、それもビッグイベントの修学旅行ぐらいは覚えておきましょうよ!」

 

「正直興味ねぇんだわ」

 

「なんでっすか!?」

 

 

 昼休み、平家と水無瀬を抜かした俺達はいつものように保健室に集まって昼飯を食べていた。目の前の席に座っている犬月がもうすぐ行われる修学旅行を楽しみにしているのか興味無い発言に何やらご立腹の様子だ。でも本当に興味ないんだよなぁ、だって京都だぜ? 天使、悪魔、堕天使の三大勢力が手を結んで和平です仲良くしましょうと言ってるのに京都の奴ら、言ってしまえば妖怪共は今も和平を渋ってるらしいからあまり行きたくないんだよ。しかも京都って変に霊脈とかがあるから頭がおかしくなる可能性大だ……絶対霊魂とかの声が五月蠅くて死にかける未来しか見えない。

 

 

「あのなぁ、京都には「裏京都」っていう場所がある事ぐらい知ってるだろ? 三大勢力が和平を結んでから各地の神話体系や他勢力と仲良くしましょうって言ってる中で京都妖怪は渋ってるのか乗り気なのか分からん態度だ。それにあそこは日本神話の神がわんさか居るから俺達悪魔が出向くと何されるか分からん」

 

「……あぁ、そうだった。でも八坂姫は良い人っすよ? 俺のおふくろが裏京都に住んでた時に世話になったとか言ってましたし。あとすっげぇ美人だってのも言ってました」

 

「そりゃそうだろ? 最強属性と名高い人妻、しかも九尾だぞ? 美人じゃなかったらおかしい……でも、四季音から聞いただけで本人を見たわけじゃないからこれを機に会いに行くのも手か」

 

「さっきまでめんどくさいって言ってたのは王様じゃなかったでしたっけ? あんまりそういう事言ってるとしほりんに怒られますぜってもう怒ってますよ? ぷんぷん状態ですね」

 

 

 だろうな。隣に座っている橘が笑顔になってるし間違いなくおこ状態だ。もうぷんぷんと擬音が出そうなぐらいに怒ってるだろう……破魔の霊力に目覚めてからの橘って怖いんだよなぁ。特に笑顔。普段は笑顔最高って叫べる俺でさえ地味にビビるぐらいの怖さがある。

 

 

「お、怒っていません。悪魔さんが、その、え、えっちな事を言ってるなって思ってるだけです!」

 

「さっきまでの会話の中にエッチな表現がどこにあったか聞きたいが……まぁ、良いか。とりあえず京都の班は俺と犬月と匙君か? 橘は……そう言えばうちのクラスにはシトリー眷属が居たな。そいつ等と組んでくれ」

 

「あ、はい。花戒さんや巡さんからお誘いを頂いてますので問題ないですよ。良ければ一緒に回りませんか?」

 

「ん? 死ぬ思いをして良いんだったら別に良いぞ?」

 

「しほりん、やめましょう。命は大事、うちの王様が頭おかしいのは知ってるでしょ? 京都行って何しでかすか分かんないから一緒に回らない方が良いっす! 犠牲は俺とげんちぃだけで十分!」

 

 

 犠牲って何だよ? 別に京都妖怪と戦おうとか殺し合おうとか九尾と一戦交えたいとか言ってないのになんだその罰ゲーム風の表現は? 流石の俺も京都で暴れる予定は無いぞ? ただ行ってみたい場所があれなだけだ――鬼の頭領、酒呑童子が埋葬されてると有名な首塚大明神。京都と言ったらまずはそこに行かないとダメだろう悪魔的に! だって四季音を眷属にしてるんだぜ? もしかしたら初代酒呑童子が蘇ったりとか血縁者が居て殺し合い出来るかもしれないだろ!! いやぁ、そう考えると京都最高だな!!

 

 

「まぁ、流石に死ぬ思いは冗談だがそいつ等が良いって言うんだったら問題ねぇぞ」

 

「はい! ちゃんとお話をしてみます! 私、京都ってロケとかでしか行った事が無くてちゃんと回るのって初めてなんです! 楽しみです……すっごく楽しみです!」

 

「あれ? しほりんって退魔の家出身すよね? それ関連で行った事無いなんてなんか意外っすね」

 

「京都は色々と五月蠅いんだよ。名の知れた家なら兎も角、橘の家系のような下級退魔師は京都で堂々と仕事は出来ないんだよ。上下関係とか家の知名度とか色々と気にしてるからな……だから本来なら悪魔である俺達も京都に入る事は出来ないがちゃんとした理由と書類を京都に提出すれば遊園地で言うフリーパスを発行してもらえて堂々と観光ができるってわけだ。ちなみにもう申請中だから安心しろ」

 

「うわっ、流石キマリス家次期当主っすね」

 

「お父さんから聞いてましたけどやっぱり京都って凄いんですね」

 

「京都だしな。とりあえず犬月、あとで匙君に一緒に班を組んで死ぬ思いしましょうぜって言ってこい。拒否したら俺と模擬戦して禁手に至らせるぞって言うのも忘れずにな」

 

「うぃっす。きっと涙を流しながら良いぜ! 組もう! って言うと思いますよ」

 

 

 流石匙君だ。涙を流すほど喜んでくれるなんてやっぱり良い奴だな。俺の好感度も上がった気がする。

 

 ちなみに修学旅行には水無瀬も保険医として同行する事になっているから家で留守番組は平家と四季音のみだ。しかしスゲェな……グレモリー眷属二年生組と俺達キマリス眷属、シトリー眷属二年生組が一緒になって京都行きだぜ? しかもアザゼルも付いてくるという豪華っぷり! あっち(京都)からしたら堕天使の総督が悪魔を引き連れて襲撃してきたと思い込んでもおかしくないな……マジで襲われたりしないよな? 相棒を宿している都合上、邪なオーラとか出てるし勘違いした陰陽師達がやってきたりしたら修学旅行どころじゃねぇぞ――襲ってきたらぶっ殺すけどな。

 

 まぁ、そんな低確率でしか起きない事を考えるのは置いておいてだ。修学旅行と言うイベントのため一般生徒と一緒の宿に泊まる事になる……此処で危惧するのは休業したとはいえアイドルの橘を含めた美少女集団の裸を見ようとする奴らが高確率で出るという事だ。観光自体は普段から身に付けさせている認識疎外の術式付きペンダントで問題無いだろうがアイドル橘志保という事を知っているクラスメート達は別で何が何でもこの機会に裸を見ようと考えるだろう……特に赤龍帝と一緒に居る二人組。この辺りも後で生徒会長と話し合わないとなぁ、流石にうちの癒し枠を戦闘以外で泣かせるわけにはいかないし。

 

 

「――どうしてもか?」

 

「にししぃ~とーぜんさ! 最近は全力を出せてないしね。偶には私に付き合いなよ」

 

「まぁ、俺も鈍り気味だし偶には良いか」

 

 

 時間は進んで深夜の時間帯に俺と四季音は冥界、キマリス領にあるいつもの殺し合い場にやってきていた。こんな遅い時間に男女が二人、向かい合ってする事なんてたった一つだけだろう――殺し合いだ。自宅の地下にある訓練場でするような加減した模擬戦じゃなくてお互い本気も本気、俺も鎧を身に纏ってるし四季音も頭部に鬼の象徴とも言える角が生えているから下手をすると夜空との殺し合い以上にこの場が吹き飛ぶかもしれねぇな。親父に四季音と殺し合いするから何が有ってもスルーしろよって言ったらあまり派手にはやらないでねと土下座されたけど……無理だな。殺し合いは全力でやらないとダメだろう邪龍的に!

 

 しっかし改めてみるとトンデモねぇ妖力だな。犬月の妖魔犬で見るような量じゃねぇしなにより濃すぎる……流石酒呑童子ってか? これで分家なんだから直系はどれだけ化け物なんだよ。

 

 

「ちなみにノワール、時間は?」

 

「朝までだろ。寝かせないぜ?」

 

「にしし! そうこなくっちゃ!! じゃ、いくよ」

 

 

 目の前に居た四季音が消えた瞬間――周囲に轟音が鳴り響く。間一髪と言うか真横から放たれた拳を視認出来たから影人形の拳を叩き込んで相殺したけどよ……相変わらずなんつぅ馬鹿力だよ!! 前より強化された影人形の腕が折られるなんて夜空以外にはされた事ねぇってのによ!!

 

 

「流石にあの程度じゃ当たるわけないか」

 

「ふざけんじゃねぇよ! 今の当たってたら普通に痛いわ! シャドールゥッ!!」

 

 

 即座に複数の影人形を生成、四季音にラッシュタイムを放つが妖力を込めたワンパン一つでそれら全てが薙ぎ払われる。轟音を鳴り響かせながら殺意を秘めた妖艶な笑みで俺目掛けて拳圧、いや妖力の塊を飛ばしてくる。恐らく当たれば痛いどころの騒ぎじゃねぇな……!

 

 影による防御と同時に妖「力」を奪い取って自身の力の糧にする。ホント……こいつとの殺し合いは気を抜いたら負けだな。影人形による攻撃すら躱しきる目とどれだけ頑丈でもワンパンで沈める破壊の拳。そして何より殺し合いと言う空気を肌で感じ、楽しむ事で自らの力量を底上げする鬼の血……なんでこいつ、俺の戦車してるんだろうな? 普通に考えたら女王クラスでも足りねぇぞ!

 

 

「やっぱり硬いねぇ~この私が本気で殴らないと壊れないなんて流石私の王様だ! そんじゃもっと上げていくよ!」

 

「勘弁しろよ……まぁ、これはこれで楽しいけどなぁ!!」

 

「そうでしょ! 私も楽しいさ!! 砕けなぁ!!」

 

 

 四季音の拳と影人魚の拳がぶつかり合いと周囲が吹き飛んだ。クソが……やっぱり通常形態で生み出す影人形程度じゃこいつの拳は相手できねぇか! 久々に使ってみるかねぇ!!

 

 数十体ほど影人形を生み出して四季音を足止めして俺は距離を取ってシャドーラビリンスを発動する。おかしいな……何で発動してすぐにこの空間を壊そうとしてる音が聞こえるんだろうか? まさか一瞬で全部ぶっ壊したってか? はいそうですよねぇ! 妖力全開で吹き飛ばしましたよね!! あぁもう! 楽しいじゃねぇの!!

 

 

「我は影、影龍の求めに応じ、無限に生まれ出る影なり。我に従いし魂よ、嗤え、叫べ、幾重の感情を我が身へと宿せ。生命の分身たる影よ、霊よ、我が声、我が命令に応え新たな衣と成りて生まれ変わらん」

 

 

 影の迷宮と言う名の俺を捕らえている檻の中で影人形融合2を発動、打ち合うなら通常形態だと無理だ……だって痛いし。普通に腕とか折れるし。

 

 

「――いいね! いいねぇ! それと殺ってみたかったんだよ!」

 

「偶には使わねぇとな……行くぜ」

 

 

 シャドーラビリンスが解けた瞬間、影のオーラを纏いながら前に出ると四季音は嬉しそうに妖力を先ほどまでよりも倍近く高めながら迎え撃つように接近してくる。その時間は十秒も掛からず、五秒? いや一秒程度で――俺の拳と四季音の拳がぶつかり合う。周囲が吹き飛び、轟音が鳴り響き、地響きが各地に伝わる。天災と呼んでいいほどの事態を引き起こしながら俺と四季音は真正面から殴り合う。くっ……! 流石の影人形融合強化体でも四季音の打撃力を防ぎきる事は出来ねぇか! イテェ! 物凄くイテェ!! 腕が折れたら自分で斬り落として再生、あばらが折れたら同じように首を自分で切り離して再生、兎に角ダメージを受けたら自分で自分の部位を落としてるからスッゲェ痛い!! なんせこいつは俺の対処法を知ってるからこうでもしないと殴り合いなんてやってられねぇんだよ!!

 

 欠損限定の再生。つまり腕や足が吹き飛ばなければその能力は使えない……だから打撃で沈める四季音との戦いは地味に厄介だ。まぁ、自分で斬り落とせば骨が折れたりしても問題無いんだけどね。

 

 

「毎回思うけどホント再生力高いよ、ね!!」

 

「それが取り柄だから、なぁ!」

 

「にししし! この私と打ち合えるのはノワールと光龍妃ぐらいだから凄く楽しいね! ほらもう一発!!」

 

 

 四季音の拳が俺の胴体に叩き込まれる。おかしいな……霊子が混じった絶対防御の影を纏ってるから物理系は効きにくいはずなのに何でこんなに痛いんだろうねぇ……! それほどまでにこいつの威力が馬鹿げているってわけか! 死なねぇけど何度も喰らうとホントに痛いからいい加減終わらせてぇな!!

 

 地上、上空を影のオーラを纏った俺と妖力を纏った四季音が移動しながらぶつかり合う。何度も、何度も、何度も加減無しの全力でぶつかり合うせいで周囲が吹き飛び続けて更地に変わっていくが気にしない。楽しいからな!! 気を抜けば死ぬという現実を四季音が教えてくれるから楽しい! 最近は本当に生温い殺し合いを何度もさせられて凄く飽きてたからこれは助かる……! しかも目の前のこいつは本気で俺を殺して勝とうという意思を拳に乗せて放ってくるから俺は大好きだ! くくく、あはははははは! でもその程度で俺が死ぬとでも思ってんのか!!

 

 

「四季音ぇ!!」

 

「ノワールぅ!」

 

 

 音すら遅れる拳により生じた衝撃を影法師のラッシュで相殺、本命である左ストレート、破壊の権化とも言える拳を影法師を盾にして防いでからカウンターとばかりに複数の影法師を即座に生成してラッシュタイムを叩き込む。影人形よりも重く、強力なラッシュタイムを浴びた事で四季音は地上へと落ちるが……殆ど無傷だろうなぁ。戦車と言う駒の特性、圧倒的な攻撃力と防御力を有してるしあいつ自身も硬いし打たれ強い……だから雑魚なら即死する威力を何度も受けても――

 

 

「――はぁ~楽しいね! ん、ぷはぁ、おいちぃ。よしお酒補充完了さ! まだまだ寝かさないよ!」

 

 

 こんな風にどこからともなく酒を取り出して普通に飲み始めるぐらい頑丈だ。殺し合ってみて分かるが実力は既に上級悪魔を超えてるぞ? いい加減こいつを中級悪魔にしたいが頭の硬い上層部がそう簡単に昇級させてくれるわけないか。はぁ、夜空ももっと殺せばよかったのに。

 

 

「はぁ、どうせならベッドの上で聞きたかったなそのセリフ」

 

「ノワールだって最初に言ったじゃないか。お相子さ」

 

「それもそうか。でもお前と殺し合うと昔を思い出すわ。いきなりヤろ発言する幼女と出会った俺の心境を考えてみろ? ちょっと引いたんだぞ?」

 

「う、うっさいな! それで通じると思ったんだよ! 大体アンタもえ、エッチの方じゃなくて殺し合いの意味合いだってすぐに気づいたでしょ! だ、だったら良いじゃないか!」

 

「まぁ、夜空が頻繁にそのセリフを言ってたしな。それに殺気を込めて言われたら誰だって気づくだろ? 俺としては別にお前を抱いても良いんだけどな……お前の事は信頼してるし好きだぜ? だから夜空抱いた後にお前を襲いに行く、わぁ?!」

 

「な、なななななな何言ってんだこの邪龍!! 死ね! 死ね!!」

 

 

 顔真っ赤で音速を超えた拳連打はやめてほしい。と言うよりなんで恥ずかしがってんだよ? 普段から俺にセクハラしまくってる癖に今の発言程度で取り乱す意味が分からない。やっぱりこいつ、酒が入ってる時と抜いている時のギャップは凄いな! 俺は良いと思うぞ、ってやべぇ!?

 

 俺と四季音は時間が許す限り全力で殺し合った。数時間にも及ぶ戦いの影響でただでさえ更地同然だった土地がさらに凄い事になったけど……これはこれで味があるから良しとしよう。にしても親父がやりすぎぃ! って涙を流しながら言ってきたのはなんでかねぇ? うん、俺様、何も見当がつかない。

 

 

「――てな感じで朝まで殺し合ってたんだけどさぁ、やっぱり全力を出せる相手って大事だよな。あっ、味噌チャーシュー大盛りのネギ多め」

 

「羨ましいな。影龍王、酒呑童子と戦う機会を貰えないか? 醤油メンマ多めだ」

 

「おいおいヴァーリ、流石に酒呑童子はやめとけって。あれは妖怪の中でも別格なんだぜぇ? あのクソジジイ同様にいくらお前でも大怪我は免れねぇよ。よし、今日の俺っちは塩だな! もやし多め!」

 

 

 平日の昼、俺は学校をサボってとあるラーメン屋にやってきていた。テーブルを囲んでいるのは()人、銀髪碧眼の超イケメンのヴァーリ、短髪の爽やか系イケメンと言っても過言ではない孫悟空こと闘戦勝仏の末裔らしい美猴、そして俺という男三人と俺の隣にいらっしゃる――

 

 

「ヴァーリも美猴もラーメン好きねぇ。私、猫だからあんまり熱いのは苦手にゃん」

 

 

 素晴らしいほどの巨乳とそれを見せつけるような和服姿の美女が俺にぴったりとくっ付きながらあざとい笑みでメニューを見ている。うん、柔らかい。弾力もあるし大きさは多分先輩以上じゃねぇかな? そんなお方が男の俺にくっ付くって事は期待して良いんですかね? 畜生!! 夜空とエッチして童貞捨ててればこの後にホテル誘うのに!!

 

 隣に居る美女の名前は黒歌、先輩の所に居る白髪ロリと同じ猫又でなんと実姉らしい。ちなみに冥界のパーティーで夜空が言っていたスイカ並みにデカい猫又というのはこいつの事のようだが……確かにデカいな。うん、水無瀬や橘よりもデカいから揉みたい。普通に揉みたい。赤龍帝ほど胸好きじゃないけど揉みたい胸ってのはこういうのを言うんだな。

 

 

「なになに? 影龍王は私の素敵おっぱいが気になるのかなぁ? 見たい?」

 

「見せてくれるんならここの会計は俺が払おう。全額な!」

 

「――にゃん♪」

 

「よしヴァーリ、美猴、ここの会計は全額俺持ちだから好きなだけ食え」

 

 

 ノーブラ和服とかレベル高くないっすか? 流石猫又! 流石巨乳! ピンク色の突起というか乳首を見せてくれたんだから奢らないとダメだろう悪魔的に。

 

 

「おっ! さっすが影龍王、太っ腹だねぇ。黒歌を連れてきてよかったってかぁ? ヴァーリ、何食う?」

 

「そうだな。影龍王のおごりと言うならば店主のおすすめ丼というものを頼んでみるか」

 

「良いね! そんじゃそれもっと、黒歌? お前は何食うんだよ?」

 

「だーかーらー猫だから熱いの苦手って言ってるでしょ? 食べるんなら影龍王が食べたいかなぁ」

 

「おい、エロすぎないかこいつ? お持ち帰りして良い?」

 

「にゃん♪ それなら私はいつでもおっけ~よん? うーん、童貞の味がするからまだお子様なのね。いっがーい。眷属の娘達ともうヤってるかと思ったにゃん」

 

 

 いきなり頬を舐めないでください嬉しいですありがとうございます!

 

 

「それが聞いてくれよ。夜空の奴に何度もヤろうぜって言っても断られてなぁ……いい加減俺も童貞捨てたいのにあいつが処女くれないから困ってんだよ。どうすればいいと思う?」

 

「それならその気にさせる特別なお香あげよっか? でも光龍妃だしねぇ~効かないかにゃー? 仙術も異常で気も異常、何であれ人間なの?」

 

「知らん」

 

 

 そもそもなんでアイツがあんな風に規格外なのかすら未だに分からないしな。生まれた時から禁手に至り、膨大な気を保有し、人間を超えた身体能力を持ちながら形を保っていられる事自体が異常だし。でも体は異常でも中身はホントに女の子なんだから驚きだ……俺はそれで良いとは思うけどね。

 

 

「旧魔王派もシャルバって奴のみになって衰退気味、英雄派も光龍妃相手に手間取ってるらしいから色々と厄介だねぇ。なんでお前もヴァーリも戦って生き残ってるんやら」

 

「身体が消滅しても再生できるし」

 

「あれぐらいならば問題ないさ。アルビオンの力で半減にもできるからな……もっともすぐに元に戻ってしまうが。しかし俺もアルビオンが不調気味になってからあまり戦えていない。どうだい影龍王? 食事の後の運動で一戦交えないか?」

 

「別に良いぜ? てかアルビオンが不調って……あぁ、おっぱいドラゴンか」

 

『おっぱい、むね、うぅ、うぅぅっ!』

 

 

 ヴァーリの手の甲からすすり泣く様な声が聞こえる。声の主は白い龍、白龍皇と称されたアルビオンだろう……やっぱり心にダメージ受けてたかぁ。知ってたけどなんか可哀相に思えてくるな。

 

 ちなみにだが俺達の会話は周りには聞こえていないらしい。隣に居る黒猫ちゃんの術で覆ってるから仲良く雑談しているように変換されてるようだ……すげぇな、先輩の所の白髪ロリより術の練度や実力がケタ違いだ。流石はぐれ悪魔SS級は伊達じゃねぇってか? 眷属に欲しいけど既に僧侶の駒を使い切ってるから無理というね! 畜生!

 

 

『あれあれ~そこに居るのは乳龍帝おっぱいドラゴンの宿敵ちゃんじゃないですかぁ? お久しぶりですなぁアルビオン、いや乳龍皇って呼べばいいか?』

 

『く、クロムゥ! やはり貴様は性格が悪い!! 私は白龍皇だ!!』

 

『えぇ~? だっておっぱいドラゴンの宿敵だろぉ? 良いじゃんよぉ! 名乗っちまえって! どうせ何故誇り高い我らがとか思ってんだろ? クソだっせぇから天高く、声高々に乳龍皇って名乗れば楽になるぜ? よっ! おっぱいドラゴンセカンド! アルビオン!』

 

『やめろ! やめろぉ! その名を、おっぱいドラゴンと言う名を出すな!! うぅ、分かっていたさ……あの番組が放映され、我ら二天龍はおかしくなった……お前に出会えば必ず言ってくると思っていた! うぅ、うおーん!』

 

「アルビオン。また泣いているのか……? 影龍王、どうすればいい?」

 

「とりあえずお前も乳龍帝みたいに名乗れば良いんじゃねぇの? 赤龍帝が胸だから……お前、女の好きな部位どこ?」

 

「あまりそう言う事には興味は無いんだが?」

 

「いやいや男だったら好きな部位ぐらいあるだろ? あっ、俺は脇な。夜空の脇見て目覚めた。恐らく夜空が脇を見せながら舐めて良いよって言ってきたら魔王や神は殺せるぐらいレベルアップするぐらい大好き」

 

『俺様が男の娘の方が良いと何度も言っても聞かねぇんだよなぁ。ゼハハハハハ! 脇も素敵だけどよ!』

 

 

 だって俺は男好きじゃねぇし。至って普通に女の子大好きですし。特に夜空が大好きです!

 

 

「……そういう物なのか?」

 

「おう。男だったら多分そうだろ、きっと、多分」

 

「言ってる本人が自信なかったら意味ねぇぜぇ」

 

「影龍王は脇が好きなのね。だったら見たい? 私、素敵おっぱい持ってるけど脇も自信あるにゃん」

 

 

 やっぱりこの猫又エロいわ。すげぇエロいわ。脇を見せてくれるとかホント良い猫又だな! 最高だな! 胸デカい、エロい、脇見せてくれる、素晴らしいな!!

 

 

『ヴァーリ。気にするな、何も考えるな。あれはドライグとクロムが特別なだけでお前は別なのだ。良いかヴァーリ? 私は白龍皇、白い龍、二天龍と称された存在でお前はルシファーだ。我らが手を取り合い、高め合えば何も問題は無いのだ。だから答える必要はない。良いな? 答えるべきではない!』

 

 

 それは振りですか? 振りですかアルビオンさん!

 

 

「……強いて言えばヒップか。腰からヒップにかけてのラインは女性らしさを象徴するものだとは思う。しかし好きかと言われたらあまり自信は無いな」

 

『ヴァーリィ!! 何故答えた!? クロムの前でそのような事を言えば――』

 

『尻ねぇ、尻かぁ!! ゼハハハハハハハハ! 決まったぜアルビオン!! 今日からお前は尻龍皇ヒップドラゴンとして生きて行けばいい! ゼハハハハ! やーいやーいヒップドラゴーン! ヒップドラゴーン!』

 

『うぅ、うぅぅっ! ぬおぉぉぉぉんっ!』

 

 

 うわっ、天龍がガチ泣きしてるんだけど? そこまで嫌か? 嫌ですよね本当にごめんなさい。言葉では言わないから心で謝っておくね! 尻龍皇!

 

 しかし戦闘大好きのヴァーリがまさか尻好きとはねぇ? まさか夜空か? あのミニスカ絶対領域で目覚めたか? だとすると今すぐその性癖を治してもらわないと困る。だって銀髪碧眼のスーパーイケメンだぞ? 言葉一つで即座にベッドインできるぐらいのイケメンだぞ? 何かの間違いで夜空が惚れたりしたら困るしな!! うん死ねばいいのに!

 

 

「――ぷ、ぷはははははは! ヒップドラゴン! ヒップドラゴン!! 流石邪龍! 的確に天龍の心を折りにきてるぜ! は、はらいてぇ!!」

 

「にゃははははは! おかしー! おなかいたいー! ひっぷ、ひっぷどらご、にゃははは!」

 

「……影龍王。あまりアルビオンを泣かせないでくれ。あの番組を見てから泣く事が多いんだ」

 

「いやぁ、だって愉しいもん。それよりなんでヒップなんだ? お前って夜空以外の女とつるんでるって噂は聞かねぇんだけど誰かの影響か?」

 

「昔、少しな。あまり話すような話題ではないよ」

 

「――どう思う黒猫ちゃん?」

 

「これは何か隠してるにゃ。この私が誘っても断ったほど脳まで戦闘戦闘戦闘と染まりきってるヴァーリが普通に尻好きというのはありえないにゃー」

 

「となれば俺や夜空と出会う前に知らない誰かの尻見て目覚めたか……」

 

「いやーだれなんだろーなー?」

 

 

 俺達三人の視線がヴァーリに向かう。しかしスーパーイケメンのヴァーリは注文して届いたラーメンをすすっているだけで何もおかしなことは言っていないとばかりに無反応だ。むむむ! なんか気になるけど……良いか。過去の事なんて気にして地雷踏みたくないし。

 

 

「つうか、なんで俺の所に来たの?」

 

「今更!? 此処に来てどんだけ時間経ってると思ってんだよ!? てか知らなかったんかい!!」

 

「うん。いやぁ、ヴァーリが今会えないかって言ってきたけど具体的に何するか聞いてないんだよ。んで? なんか悪巧みしてんの?」

 

「少し気になる事が有ってね。光龍妃と最近会っているか?」

 

「あん? 最近は会ってねぇぞ? 最後に会ったのは体育祭……あーと、キマリスとグレモリーのゲームがあった翌日だ。それがどうかしたか?」

 

「あの光龍妃がここ最近姿を見せていないんだ。どう思う?」

 

「……あー、なんか悪い事考えてるなぁ。あいつが死ぬわけねぇし考えられるのは自分の楽しみのために色んな所に迷惑かける事をしでかすって事ぐらいだ。ついでに北欧の主神がもうすぐ来日するっぽいから……もしかしてそれか?」

 

「恐らくそうだろうな。悪神ロキ、神喰狼(フェンリル)を従える神が北欧の主神オーディンに対して何かをしようとしていると情報が入っている。光龍妃の性格からしてこれほど面白い事は見逃さないと思うんだが?」

 

「だな。十中八九、結託して自分だけ楽しんで、それが終われば掌返しってか? まぁ、アイツらしいから俺は何も言わねぇよ――で? お前らはそれに対して何かする気か?」

 

 

 こうして昼飯を一緒に食ってるけどヴァーリ達は禍の団、つまりテロリスト側だ。何かをする可能性が非常に高い……しかし此処のラーメン美味いな。何度か足を運んでも良いかもしれない。

 

 

「今の所は何もしないさ」

 

「あっそ。なら良いや」

 

「助かるよ、影龍王」

 

 

 別に礼を言われる事じゃないんだけどな。俺が楽しいならそれで良いしヒーローってわけでも無いから俺達に被害が無ければ何が起きても問題ない。好き勝手に生きて、好き勝手に殺し合って、満足したら死ぬ。多分だけど――夜空が死んだら俺も死ぬだろうな。好きな女が居ない日常なんてつまらないだろう?

 

 この後、俺達は昼飯を普通に食べて解散する事になった。本当だったらヴァーリと殺し合いたかったけど何やら任務が入ったらしい……畜生! まぁ、四季音との殺し合いで疲れてたし別に良いんだけどね。




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