「さてさてぇ~えものはどっこかなぁ? おっにさんはこっこだっいっますぐでってこいぃ」
「出てこいと言われて素直に顔を出すわけないだろ」
時刻は深夜、闇に生きる異形共が獲物を求めて動き回る時間帯――と言うわけでもないが普通の一般人ならまず寝ている時間に俺と四季音はとある山奥にやってきていた。俺達が足を踏み入れている山はグレモリー家が治めている領地にある場所ではなく俺が治めている、と言って良いのか分からないがとにかくキマリス家が治めてる場所のもの。田舎というほど何もないわけでもなく、かと言って都会と言うほど発展しているわけでもない。そんな中途半端さが残る町の近くにある山、その奥地にこうして足を運んでいるわけなんだが……隣にいるこの鬼はお遊び気分で軽く手を叩いて出てこいだのと言っている。
何故こんな時間に外を出歩き、この場所にやってきているかと言うと大公――つまりは中間管理職と巷で呼ばれているアガレス家から正式にキマリス眷属にありがたい指令が来たからだ。恐らく数日前にホームレスから聞いた話を上に報告した事が切っ掛けで調査の結果、俺が治めている領地に未だ潜伏していることが判明した……が態々影龍王の支配地域までやってきて逃げないとは勇気があるもんだ。それほど舐められているというのかは本人に聞いてみないと分からないが単に隠れ蓑として十分だと思ってるのかもしれない。とりあえずは『はぐれ悪魔を殺している人物の特定、その目的を聞き出すように』と命令された以上は思いっきりやらないとね。
「でっものわぁ~るぅ? じぶんのりょうちにしんにゅうされてもきづかないなんてまぬっけぇ」
「うるせぇ。結界を張ってるわけじゃないんだ、こんな広い場所を常日頃から監視できるわけないだろ……と言い訳させてくれ」
「じゃぁしょ~がないねぇ~ひろいもんねぇここ~にししぃ、おさけのもっとぉ 」
そもそも結界なんて張ってたら他勢力にあっ、ここ悪魔いるなと教えているようなもんだしどこの領地も大公から指令があるまではぐれ悪魔の侵入とかには気づかないと思う。むしろそうであってほしい! もし違ったらすっげぇ恥ずかしいなおい……だ、大丈夫!
「……いるな」
「だねぇ~てのおとにひかれてきちゃったかぁ」
「それは無いと思うが、中々の殺気だな」
暗い茂みからこちらを見つめる二つの眼から放たれる殺気は中々楽しませてくれるようなものだった。夜空には遠く及ばないがこれを四季音に取られるのはちょっとやだなぁ、俺だって殺し合いを楽しみたい。だから戦うのは俺でいいかと言う視線を隣にいる四季音に向けてみると――笑っていた。それは幼子が新しいおもちゃを見つけて嬉しくなっているようなものであると同時にこいつは危険だと思わせるような笑み。やっべぇなおい……四季音のテンションが上がってやがる。この状態になるのは俺と初めて出会って三日三晩殺し合った時以来か、目の前の隠れている相手に同情するよ。
俺達と隠れているなにか。お互いが見つめ合う状態が数十秒続き、風が吹いた瞬間――均衡は崩れた。人間とは思えないほどの速度で接近、殺意を帯びた視線とそれを体現している両手で俺達を殺そうとする……がそれはたった一撃で無かったことになる。
「ぐぅぅぅぅあぁぁぁぁ!?!?」
四季音が拳を握り、大きく振りかぶって空を殴る。たったそれだけで轟音と突風が起こり目の前の大地が数十メートルに渡って抉れた。その衝撃に巻き込まれたであろう"なにか"は大きく吹き飛ばされたが死んではいないようだ……頑丈だな。四季音が加減したからだろうけども力を抜いてこの惨状だ、末恐ろしいな鬼ってのは。
「――ふぃ~なかなかはやかったからついなぐっちゃったぁ~にへへぇ」
「よく加減できたな?」
「あったりまっえぇ、あんなたのしませてくれるようなさっきはひっさっしぶりぃ~だから――酔いは抜くよ」
「……相手にマジで同情しそうだ」
『この小鬼が酔いを抜く、それが如何に恐ろしいかその身を持って体験するだろう。おぉ怖い怖い。俺様、怖くてお漏らししそうだぜぇ』
「お前魂だけだろうが」
『そりゃそうだ! こりゃ一本取られたぜ! 畜生! 俺様に身体があれば楽しめるってのによぉ!! 聖書の神めェ!!』
「怒りの矛先が若干違くないか……?」
相棒のボケは置いておいて常時酔っ払い状態でセクハラをしては楽しんでいる四季音が酔うのを止めた、その事が一番重要だ。こいつが酔うのを止めるという事は少しは楽しませてくれる相手と認識したも同然で鬼という種族が持つスペックをこれでもかと見せつけてくる。正直な所……この状態の四季音とはあまり関わり合いになりたくはない。相手が強いほど自分の強さを引き上げるなんてトンデモ性能との殺し合いは疲れるしな。
「なんっだよ!! 今の馬鹿力!? この俺が押し負けるなんて……! ざっけんなごらぁぁ!!!」
吠えるような雄たけびを上げたのは先ほどの四季音が引き起こした衝撃に巻き込まれた"なにか"だろう。月の光に照らされて姿を露わにしたそれははぐれ悪魔と呼ぶには酷く普通すぎた。病的なまでの白髪、背丈は俺よりも少し低い程度で若干だが幼さが残ってる男……そんな奴が怒り、雄たけびを上げながら殺気を放っている。よく見ると犬耳が生えているから犬妖怪か犬の悪魔の血を引いている奴っぽいな。
「俺は殺されねぇ!! 堕天使に天使に悪魔祓い! そいつらを全部ぶち殺すまでは死ねないんだよ!! 誰だかしらねぇが邪魔すんなぁ!!!」
「ほほぉ、中々面白い事いう奴じゃんか。にしし、でも吠えるだけなら誰でもできるからかかってきなよ――遊んであげる」
「四季音、俺が代わりに戦うという選択肢があるが?」
「殴られたい?」
「遠慮しておく」
「ごちゃごちゃ言ってんじゃねぇ!!!」
犬耳男がこちらに向かって突進してくるのと同時に俺は空を飛ぶ。何故なら若干本気モードの四季音が既に犬耳男の真上を取って腕を振り上げてるからだ――ほら来るぞ、トンデモな一撃が。
それを気づいた時には既に手遅れで鬼の一撃が振り下ろされる。轟音と衝撃波、音が遅れてくるほどの殴打は触れることなく犬耳男を地面に叩きつけた。真下の地面は何か巨大なスプーンですくいあげられたように丸い凹みと化しているが……あいつ生きてるか? いや生きててもらわないと情報を聞けないんだが?
「ぐぅぅぅあぁぁぁぁ!!!!」
「へぇ。まだ立つんだ、良いよ良いよぉ!! それでこそ男の子だ。たかがデコピン程度で倒れられちゃ困るしね」
「うるせぇぇぇぇ!!! うぅぅぅうおぉぉぉぉぉ!!!」
「……魔力か。となると犬系の悪魔、いや微かに感じるこの妖気……そういう事か」
「めっずらしぃ。悪魔と妖怪のハーフなんて見たのいつ以来かねぇ」
「ウガァァァァァァァァァ!!!!」
「うん? おいおい……自分の魔力と妖力を制御しきれずに暴走してるじゃねぇか。四季音、お前だと加減できねぇから変われ」
「えぇ~? これからだってのにしょーがないなぁ――うぃぃ~おさっけおっさっけでぇ~すとれすはっさぁんぅ」
文句は受け付けるが今回は目的を聞き出す事が優先だ。どうやらさっきの口ぶりからはぐれ悪魔を率先して殺して回ってるわけじゃなさそうだしな、さて四季音だけで屈服させられるかと思ったが予想外の暴走で俺が動くしかない状態になったか。ありがたいありがたい、俺も身体を動かしたかったし実力を測ってみたかったんだ。
自分の両手に漆黒のグローブを出現させる。見た目は少し厚い革製のもので手の甲には黒い宝玉が埋め込まれている黒一色のこれこそ相棒が宿る神器にして神滅具の一つ、
「グウウウアァァァァァ!!!」
「さぁ遊ぼうか。きっちり躾けてやるよ」
目の前には魔と妖が混じり合い暴走している男。理性を失いながらもその殺意を帯びた視線は俺を貫いている――たった一歩、言葉にするのは簡単だが実際には本当に一歩って言えるのかと思えるほど目の前の男は俺に接近、武器と化した両手の爪を向けてくる。速いな……でも遅い。
伸ばしてきた腕を片手で掴み、そのまま一気に自分の身体を反転させ背負い投げの要領で遠くに飛ばす。先ほどの速度のまま放り投げられたら体勢を立て直すのは普通の奴ならば困難だ……そう普通なら。背中からコウモリのような羽を生やして地面に激突する前に空を飛ぶ。唸り声などから完全に理性を失ってると思ってたがそうでもないのか? それとも戦闘の事だけは冷静に対処できているというだけか……まっ、すぐに分かるか。
「生憎接近戦は苦手なんでな。だから俺の人形と遊んでろ」
『Shade!!!』
両手のグローブから機械的な音声が流れる。それと同時に周囲に漂っている霊子を集め、俺の足元に生まれ出た影と混ぜ合わせていく。一秒もかからず俺の背後に影で出来た人形――
俺の意志を汲み取った影人形は背後から一気に敵に接近、拳を叩き込もうとする……が犬としての本能かなにかは分からないが後ろに一歩、距離的に言えば数メートル下がって回避しようとする。だけど残念ながら俺の影人形の射程距離の範囲内であり、影龍王の手袋の能力によってそれは格段に延長されてるんだ。逃がさねぇ。
「グゥ、ウゥゥ!!!」
距離が離されたなら一気に近づけばいい。影人形を操作して犬耳男を追撃、ラッシュを叩き込む。手ごたえはあるがどうも硬い……悪魔と妖怪のハーフにしては異常だ。となれば奴は魔力か妖力で自身の身体を強化している可能性がある。身体能力強化系は基礎中の基礎みたいなものだからな――無論俺もできるし人間の夜空もできる。あいつは気を使う仙術だけども。
「どうした? 防戦一方か? 先ほどまでの勢いはどうしたよ」
「マダダァァァァ!!!」
犬耳男の自慢の爪、それが俺の影人形を引き裂いた。別にやられたからと言って俺にダメージがあるわけでもないが中々の威力だと思う。軽い突風が俺の所まで飛んできたしな。殺意を帯びた目で地面を駆け、俺の懐に入ってきたが――残念だったな。
「残念な事に俺の影人形は不死身なんだよ」
『Shade!!!』
再び影が生まれ人の姿へと変異していく。これこそ影龍王の手袋『10秒間、自由自在に影を生み出す』能力の恐ろしさ。たった十秒とはいえ光の無い空間でも攻撃や防御にも応用できる影を自在に生み出せるこれのおかげで俺の影人形の耐久力やら火力が格段に跳ね上がる。この能力を活かすために何年霊体生成と霊体操作に力を注いできたと思う? 俺の魔力やらなにやらは全部そっち方面に極振り状態だ。その俺が――生み出す時間が長いわけないだろ。
影人形の拳を胴体に叩き込み、新たに生み出した影で犬耳男の身体を拘束。さて……お待ちかねのラッシュタイムだ。
「うっわぁ~きっちくぅ」
「屈服させるにはこれが一番早い」
『ゼハハハハ! 今回のサンドバッグはどこまで耐えられるか見ものだなぁ』
身動きが取れない相手にひたすら影の拳を叩き込んでいく。逃げたくても俺が生み出す影がそれを許さず、無慈悲なまでに目の前にいる影人形からのラッシュが叩き込まれる。最初は耐えていた犬耳男も時間が経つにつれて動きが鈍くなり、採取的にはボロ雑巾のように動かなくなった。一応加減しながらのラッシュだから死んではいないと思う……動かなくなってるけど息してるし大丈夫だろ。身体能力強化の過程で自分の身体を硬くしていた事に救われたな、それが無かったら数発で永眠してたはずだ。
「……お、俺は……」
「落ち着いたか? 少し話を聞きたいんだが良いか、って拒否権は無いぞ」
「だろう、な……アンタ、俺を殺しに来たんだ、ろう。生きるためと、はいえはぐれを殺してきたからな」
「その辺を含めて事情を聞かせてくれ。場合によっては殺さなくても良いかもしれない、今から拘束を解くが変な真似はするなよ? 下手に逆らえば怖い鬼さんの一撃が待ってるぞ」
「おにさんこわくないよぉう~かわいいぃおにさんだぞぉ~」
「……分かった。俺の全力を出しても勝てなかったアンタに逆らう意味もない、犬妖怪らしく素直に屈服させてもらう」
敵対する意思が感じられなくなったので拘束している影を消す。もっとも油断させて一撃を入れようとする力すらないだろうけどなぁ。
「まずは自己紹介させてもらう。ノワール・キマリス、この地を治める事を偉い奴らから言われた王、ついでにお前と同じ混血悪魔だ」
「……混血悪魔が王、だと? ま、まさか噂の影龍王ってアンタの事か? そりゃ勝てないわけだ……アンタ、実力の半分も出してなかっただろ?」
「どうだろうな」
「いや出してなかった。遊ばれてたよ……そっちの鬼の女にもな。何が聞きたいんだ?」
「何故はぐれ悪魔を殺して回った? お前、どこかの眷属ってわけでもないだろ?」
「……あぁ。俺はアンタ達で言う下級悪魔と下級妖怪の間に生まれただけのタダのハーフだ。偉い上級悪魔が目を付けるほどの存在でもない……殺してた理由は俺を餌としようとしてきたからだ。魔力と妖力を持つ俺ははぐれからしたらごちそうに見えるらしい」
「だっろうねぇ~たべればまりょくとようりょくがどうじにてにはいるなんていっせきぃにっちょ~だもの」
「なるほど。じゃあ次の質問だ――なんで天使や堕天使、悪魔祓いを憎んでる?」
俺の言葉を聞いた犬耳男は激しい憎悪の表情をし始める。出会った当初の言葉通りならこいつは天界勢力と堕天使勢力を憎んでいる……殺したいと思うほどに。その理由が気になってはいたが俺の予想通りなら大切な人を殺されたか奪われたかのどちらかだろう。前者なら文字通り他勢力に殺されて自分だけ生き残った、後者の場合は神器か物かは分からないが奪われたんだろう。両方って線が濃厚っぽいが。
「……あいつらは俺の、俺の両親を……! 山奥で静かに過ごしていた俺たち家族を殺した……!! 何かをしたわけでもないし迷惑をかけてもない! ただ悪魔だから、妖怪だからって理由で襲ってきやがった!! どっちの勢力が派遣した奴かは分からないが悪魔祓いなのは確かだ!! だからコロス! 強くなって必ずぶっ潰す!!」
「その力がお前にあるのか?」
「無い! 今はまだよわっちぃ下級だ……でもいつか! どれだけ長い年月がかかろうと必ずぶっ潰して見せる!! だけどそれは無理だ……アンタに負けた。所詮俺はどれだけ頑張ろうと下級止まりの半端者なんだよ……!」
「――諦めるのか?」
「……え?」
「たった一回負けただけで諦められるような事か? それほどお前の中ではちっぽけな感情なのか? 違うよな? そう簡単に諦められないから強くなろうと思ったんだろ」
きっと今の俺は酷い顔だろう。それこそ悪魔のような……半分悪魔だから間違ってはいないけど隣にいる四季音がケラケラと笑う程度には酷い表情をしてるだろう。面白い、こいつはさらに強くなると俺の心が、今まで眷属にしてきた時と同じような感覚が襲ってきている。欲しい、こいつがどこまで強くなるか見てみたい。
「もし生き恥を晒してでも諦められないというなら力になってやる」
「……どういう意味だよ」
「ようはお前を俺の眷属に加えたいって事だ」
「俺が、アンタの眷属に……は、はぁ!? ただの下級だぞ?! アンタを殺そうとした男だぞ!? バカじゃねぇの!? バカだろアンタ!!」
「生憎本気だ。ついでに殺そうしたっていうが
「にっへっへぇ~あのときはたのちかったよぉ――それにさ、
「そういうわけでもう一度聞く――俺はお前を眷属に加えたい。どうする?」
別に断られようと恨むことも無ければ殺すことも無い。ただ縁が無かった、ただそれだけで終わる。
旅の途中で遭遇し殺し合いをした四季音、神器と不幸によって周りから煙たがれていた水無瀬、覚妖怪と容姿故に襲われかけていた平家。これらと出会えたのがたとえドラゴンの性質によるものだろうと俺は大事にしたい。だからこの縁も大事にしたいが決めるのは本人だ――三人中三人が俺から駒を奪い取って眷属入りをしたのは忘れよう。強引すぎやしないかあいつら……今の姿を見ると考えられないけども。
「……あ、あははは!! 負けた、負けたよ……犬妖怪ってのはプライドも高いから本当に強い奴じゃないと従うって気持ちにならないんだ。でもアンタには従っても良い、俺はもっと強くなる……強く強く! 言っておくが油断してたらアンタすらぶっ倒すぜ?」
「それぐらいじゃないと面白くないだろ。お前、名前は?」
「シュンだ。苗字も何もない、ただのシュン」
「そっか。じゃあ眷属入りも兼ねて名付けてやる……犬月、
「あぁ! 言われなくてもそうすっぜ王様ぁ!!」
「いっやぁ~おもちろくなりそうだねぇ~にしし、おさっけうまぁ~」
この日、悪魔と妖怪の混血、犬月瞬は俺の兵士になった。駒消費は二つ、今後に期待だな。
家に連れ帰って水無瀬と平家に会わせるとどちらも嫌がる素振りすらせず犬月を歓迎した。水無瀬は仲間が増えたことの喜び、平家は恐らく心を読んで今までの事を感じったことによる同情みたいなものを思ったのかソファーに座る俺の膝を枕に横になりながら「また変なのを仲間にしたね」と呟いた。言葉はともかく嫌とかそういう表情はしていないからちゃんと歓迎してるんだろう。
その言葉が聞こえた犬月が平家に喧嘩を売るという事態に発展、平家が珍しく上下関係を叩き込むと喧嘩を了承という面白い事になったけど。
「……大丈夫でしょうか?」
「俺の眷属だぞ? 犬月も強いとはいえ平家には勝てねぇよ――ほら負けてきた」
俺たちが住んでいる一軒家の地下には小さな訓練場がある。そこで平家と犬月が決闘を始めたが数分後に戻ってきた……犬月の敗北によって。普段は引きこもりでも覚妖怪だぞ? 心を読んで先読みとか余裕だしこいつ自身、オールラウンダーで近中遠どれでも得意だから正面から挑めばまず勝てない。だから泣くな……相手が悪かっただけだ、気にし始めたら損だぞ。
「パシリゲット。ノワール、良い拾い物したね」
「わたしもかったからぁぱしりにできるねぇ~にしし」
「……負けた、俺が女に負けた……! しかもパシリ、パシリだとぉ……!」
「ほ、本当に大丈夫なんですか?」
「よく言うだろ、大丈夫だ問題ない」
珍しくご機嫌な平家と女に負けて落ち込んでいる犬月、それを見て爆笑している四季音と本気で心配している水無瀬。中々面白くなりそうだ……あっ、眷属増えたから紹介しないと。前にお二人から眷属紹介されてこっちからも紹介しますとか言ったから良いタイミングだな。
そんな事を思いながら目の前のやり取りを眺め続ける。お前の成長が楽しみだよ――そして強くなって俺を、俺達を楽しませてくれ。
影龍王の手袋
形状:両手に現れる黒い革製の手袋、手の甲に宝玉有り。
能力:「10秒間、自由自在に影を生み出す」「???」
光龍妃の外套
形状:首元に宝玉があるマント
能力:「10秒間、自由自在に光を生み出す」「???」
以上、オリジナル神滅具の能力や形状です。
観覧ありがとうございました!