ハイスクールD×D~地双龍と混血悪魔~   作:木の人

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67話

『第四試合……まさかの一瞬で終了!! これが酒呑童子の実力なのでしょうか!! これでバアルチームは眷属の殆どを撃破され残っているのは王のサイラオーグ選手と兵士のレグルス選手! 誰が予想できたでしょうか……キマリスチーム! まさかまさかのここまで全勝! 残るは皆さんお待ちかね! 王同士による決着戦です!!』

 

『予想ってか普通じゃねぇの? そもそもあの鬼ってガチで強いからさぁ~! だってあのノワールが駒二つ消費してんだよ? 弱いわけねぇじゃん。なんで冥界の雑魚ってノワールの事を神器しか取り柄ねぇとか言うんだろうね? そこんところどうなん?』

 

『この野郎……答え難い質問をしてきやがって! でも言うけどな! こうなりゃもうヤケだ馬鹿野郎!! なんでかって言ったら今の冥界は純血主義、人間との混血のキマリスやサイラオーグの眷属にいる末裔達の存在は無かった事にしたい存在だ。正面から何かをすれば自分の立場を悪くする……だからこそ陰口を言ったり嫌がらせを行うわけだ。まっ、そんな事をする奴らは戦闘力は皆無だって相場は決まってるからキマリスに戦いを挑むわけねぇけどな。なんせ挑んだら最後、そいつの人生は終わりだ。あいつは誰が相手だろうと普通に殺すだろうしよ……これで満足か?』

 

『うんうん。だってノワールだもん、私だっていちゃもんつけられたらふっつぅに殺しちゃうもんねぇ! てかノワール! さっさと戦えよぉ! バアルとの戦いを楽しみにしてたんだからぁ! ポップコーンおかわりぃ! あとコーラも!!』

 

『頼むからもう食うなぁぁぁぁっ!!!』

 

 

 アザゼルの心からの叫びがモニターから聞こえてくる。まぁ、仕方ねぇよな……あれだけ食ってもなお食べ続ける夜空を見てたら誰だって叫びたくなるし財布と貯金を心配するわ! てかなんでポップコーンとコーラなんだよ? 此処は映画館じゃねぇっての! ちょっと俺も食いたいからキャラメル味を頼んでおいてくれよ? 勿論代金はアザゼル持ちな! 決してチョロインの鞘を美少女の形にした事を根に持ってるわけじゃない。ただ普通にアザゼルが苦しむ姿を見ていたいだけさ! うーん! 流石俺様、邪龍の鑑だぜ!

 

 

「チョロインの鞘をマトモなものにしなかったことを根に持ってるくせによく言う」

 

 

 水無瀬のおっぱい枕に頭部を預けている平家がジト目で見つめてきた。ゼハハハ、当然だろうが! 見ろよあのチョロインの変わり果てた姿を!! 美少女鞘になってから律儀に椅子に座って無言を貫いてるんだぞ! しかも目線は俺から外さずにな! 多分、我が王は我らを使用するだろうきっとそうだろうとか見当外れな事を思ってるに違いない……趣旨とか理解出来てないかもしれない。だって元は剣だし。あと絶対に使わないから黙って座っててね!

 

 そんな事よりもその枕、弾力とか良さそうですね? 俺の部屋にある枕と交換してくれない?

 

 

「恵のおっぱいをノワールの枕にしたら大変な事になる。だからダメ。その代り私のちっぱい枕ならオッケーだよ?」

 

「まな板を枕にする趣味はねぇっての」

 

 

 ただし夜空は除くがな! むしろ夜空のちっぱい枕とか味わってみたい!

 

 

「いってぇ!? たくっ! これから獅子王と殺し合うってのに蹴るんじゃねぇよ! 水無瀬の胸に頭部を置きながら蹴るとか器用だなおい!」

 

「虫が止まってたから蹴っただけ」

 

「……悪魔さん、あの、枕ならここにも、あります、よ? おっきいですよ?」

 

 

 マジかよ。

 

 

「……犬月」

 

「はい……これは、すごいっすねぇ」

 

 

 何が起きたかというとあの橘が! えっちぃの禁止委員会の橘様が! なんとまさか自分の胸の下で腕を組んでおっぱいを自慢するように見せつけてきた! うわぁ、でけぇ……制服の上からでも分かるこのおっぱいの大きさは流石だと思う! ポヨンと揺れたけどこれはどう反応すればいいのだろうか? 顔真っ赤で恥ずかしがっている橘を鑑賞していれば良いのか、解説役の席にいる夜空の殺気に応えれば良いのか、それともやや死んだ目で自分の胸の辺りを掌で擦るように上下運動している四季音姉を笑えばいいのか……個人的には夜空一択なんだが四季音姉を笑いたい! すっげぇ笑いたい! でも死ぬよなぁ~いや死なねぇけどこの場所が吹き飛ぶから帰ってからにしよう。

 

 

「伊吹。どうしたの。胸が痛む。病気。伊吹、大丈夫」

 

「……な、なんでもないさぁ~にししぃ~あれは贅肉で無駄な肉、しほりんも本気になったようだし私もそろそろ本気出そうかねぇ~でもあれは無駄肉無駄肉無駄肉」

 

「伊吹。肉が食べたいなら焼肉を食べよう。何が食べたい。狩ってくる」

 

「茨木童子、そこの酒飲みは肉は肉でも胸に集まる柔らかい肉が欲しいらし――いっでぇ!? てめっ! ほんっ! き! 殺す気かぁ!?」

 

「――ぁ?」

 

「すいませんでしたぁ!!」

 

 

 瞳のハイライトが消えた状態で何かを潰す動作をし始めた四季音姉に対し犬月は渾身の土下座を行った。絶対にあの動作は男の象徴を潰すつもりだろうね! 痛いを通り越して死ぬんじゃねぇかな? でも犬月の土下座も見れた事だしそろそろ真面目になるか。てか四季音姉……お前もちっぱいだってことを気にしてたんだな! 普段はろりぼでぇとか言ってセクハラ行為をしてくるのにその辺は女の子ってわけかい……夜空と一緒だな! 心配するな! その手の奴には需要があるし俺もちっぱいは大好きだ! ただし腋の方がもっと好きです!

 

 

「……そろそろ真面目になりましょう」

 

 

 全く持ってその通りだよ。誰だよこんな茶番みたいなことを始めたのは? はぁ? 俺じゃねぇし!

 

 後ろでいつもの様にはしゃいでいる馬鹿共に行ってくると告げて魔法陣へと移動する。俺が乗ったことを確認したのか光りだし……俺の視界には別の世界が映し出された。周りを見渡してみるとどうやら人間界にあるコロッセオの形を模した場所のようだ。なるほどな……俺と獅子王がタイマンで殺し合うからそれっぽい場所をチョイスしたって感じかねぇ? んな面倒な事をしなくても普通に地双龍の遊び場(キマリス領)をバトルフィールドに提供するぞ? きっとキマリス領民も喜ぶ事だろう……だってゲームを間近で見れるんだしさ!

 

 

『やっと……やっと始まりました! この場面をどれほど待った事でしょうか! 最終試合! キマリスチームからは元七十二柱キマリス家次期当主にして最強の影龍王! 王のノワール・キマリス選手!! 対するバアルチームからは元七十二柱バアル家次期当主にして若手最強! 王のサイラオーグ・バアル選手と神滅具であり兵士! レグルス選手です!! 今回のフィールドは先ほどまでとは比べて耐久力を高めているようですが……アザゼル総督、どうなのでしょうか?』

 

『そうだな、なんせ互いにぶつかり合えば普通のフィールドじゃ数分も経たずに崩壊しちまう。武力対暴力、近年稀にみるパワー対決だしな。そんなわけで今回のフィールドは特別製だ! 三大勢力の技術を用いてるから全力で戦えるぞ! まぁ、壊れちまったら別の場所で仕切り直せばいいだろ? キマリスと光龍妃が毎回バトルしてる場所とか良いと思うんだよなぁおじさんは!!』

 

「俺的にはそれでも良いんだけどねぇ。まっ! そこまで頑丈なフィールドならぶち壊すまで殺ろうぜ? なぁ、獅子王ちゃん!」

 

「そうだな……ついに、ついに俺は影龍王殿と戦えるわけだ。レグルス! この期に及んで使わんとは言わん! 俺の、俺達の全力をぶつけようぞ!! 気を抜けば死ぬぞ! 今、俺達の目の前に居るのは最高の好敵手(ライバル)だ!!」

 

『はい! 私もサイラオーグさまのために全力を尽くします!』

 

『ゼハハハハハハハ!! そうこなくっちゃなぁ!! 宿主様? どうするよぉ! 敵さんはやる気満々だぜ?』

 

「んなの決まってんだろ?」

 

『だよなぁ!!』

 

 

 相手が全力で来るならこっちも全力で臨むまでだ。既に試合開始の合図は終わっている……さてと始めようか! アザゼルが言った通りの武力と暴力のお祭りをよぉ!

 

 

「影龍王殿……いや、ノワール・キマリス」

 

「あん?」

 

「俺には肉体(これ)しか持たない。生まれは純血悪魔だがマトモな才能なんて無い男だ……お前のように神滅具を宿し、優れた異能など持たずに生まれ、ただ我武者羅に己の肉体を鍛え上げるしか出来なかった存在だ。だが……それでも俺は本気で挑ませてもらう! 俺の拳が、今日まで鍛え上げたこの武力がどこまで通じるかを今ここで確かめるためにもだ!」

 

「……それは俺も同じだよ。俺には神滅具(相棒)しか取り柄が無い普通の混血悪魔だ。死ぬ思いして、何度も死んで、そして此処にいる。お前が武力で来るならこっちは暴力でやらせてもらうさ……邪龍としてな。それにだ……夜空が見てるのに負けるわけにはいかないんでね! こいよ()()悪魔! 俺は簡単には死なねぇし死ぬ気もねぇ! 間違って殺しちゃったらごめんな!」

 

「――構わぬ! 今この時よりゲームではなく殺し合いとして挑ませてもらう! レグルスゥゥゥッ!!!」

 

『ハッ!』

 

 

 神滅具(レグルス)が金色の光となり獅子王の体に纏わりついた。獅子を模した金色の全身鎧、それを纏った男の周囲は闘気によって吹き飛ばされていく……なんだよこれ! 最高じゃねぇか!! おいおいまさか今まで抑え込んでたってのか? この闘気を!! ゼハハハハハハハハハッ! 力の権化! 鬼に匹敵する覇気すら纏いやがって……楽しい! やっぱり死ぬか生きるかの殺し合いは楽しい!!

 

 

獅子王の剛皮(レグルス・ネメア・レザー・レックス)。悪神ロキとフェンリルを相手にした際に見せたがこれが俺の本気だ。この鎧を纏ったのと同時に()も外させてもらった……この武力をもって倒させてもらう! 最強の影龍王と呼ばれたお前を!!」

 

「……なら、こっちも加減はしねぇよ」

 

『Ombra Dragon Balance Breaker!!!』

 

 

 俺も相棒の力……影龍を模した全身鎧を身に纏う。恐らく俺の体から、この鎧から瘴気のような龍のオーラが静かに漏れ出しているのが相手には見えているだろう……全くさ、驚かせたいから最後の最後まで使わないつもりだったけどこうも敬意を表されたら使いたくなっちゃうじゃんか! 俺が鎧を纏っても目の前の獅子王は攻撃する動作に入らない……待っているんだろう。俺が影人形融合を使うのを心から待ってるんだろうな! でも残念! 待っても何も起きねぇよ――だってもう使()()()()しね。

 

 

「獅子王。悪いが影人形融合は使えないぞ」

 

「……なに? 使わないだと……?」

 

「違う違う。使わないんじゃない――使えないんだ。この意味、分かるよな?」

 

「――ハハッ! そうか……! 前以上にその身から漏れ出す瘴気……いったい何になったとは聞かん! この拳で、この戦いでハッキリさせてもらう!!」

 

 

 正面に影人形を生成して拳を突き出すと――衝撃が走った。既に先ほどまで見ていた地点には獅子王の姿が存在しない……ならどこへ行ったか? 答えは簡単だ……今、俺の真正面で影人形と拳を突き合わせている。たった一回の攻撃で俺と獅子王の周囲が吹き飛ぶほどの武力……ひたすらに自分の身体を鍛え上げた末に手に入れたパワーとは恐ろしいな!

 

 

「流石だ……これを止めるか!」

 

「見えてたしな。なぁ、獅子王? アンタって現当主から見放されたんだったよな? だったらアンタの母親は……どんな人だ?」

 

「……厳しくもあり、優しい母であった。何もない俺が誇れる素晴らしい母だ。では逆に聞こう……そちらの母上はどんな方だ?」

 

「そうだな……ド天然で疑う事も知らない馬鹿だけど放っておけねぇ奴だよ」

 

「そうか」

 

「あぁ」

 

 

 純血悪魔として生まれた獅子王と混血悪魔として生まれた俺、似ても似つかない同士だがここだけは同じらしい。

 

 

「俺達は最高の母に恵まれたようだな」

「お互い、最高の母親に恵まれたらしい」

 

 

 ぶつかり合う拳により地面が割れる。影人形越しでも分かる……ここまで鍛え上げるには心の奥底に何かを秘めておかないと無理だ。それを確かめたかったからこその問いだったがこれで分かった……こいつは強い。ヴァーリのように天才でもなければ夜空のように規格外なわけでもない、一誠のように意外性があるわけじゃない、目の前の男はただ努力しただけだ。自分の身体を痛めつけて、血反吐を吐いて、ただひたすら努力した男……軽いマザコンの俺だからこそ分かる。恐らくこいつは――

 

 

「――じゃあ、速さ比べと行こうか! ()()()()()()!!」

 

「――受けてたつ! 簡単には負けてくれるなよ! ノワール・キマリス!!」

 

 

 俺の影人形の拳とサイラオーグの拳が正面からぶつかり合う。一発、また一発、周囲を吹き飛ばしながら互いの拳をひたすらぶつけ続ける。相棒の影と北欧の防御魔術で底上げされた影人形の拳が壊れそうになるなんてすげぇわ……! ここまでのパワーをぶつけられるとテンション上がるよなぁ!!

 

 

『なんとなんとなんとぉ!! ラッシュラッシュラッシュ! ノワール選手の影人形とサイラオーグ選手が正面からラッシュの速さ比べを行い始めましたぁ!! 一撃一撃がとてつもない威力でしょう!! これは……凄いです! パワー対パワー! なんて凄まじい戦いなんでしょうか!!!』

 

「俺のパワーですら壊れん人形か! やはり凄まじい防御力だ!! 撃ち合うたびに俺の腕がへし折れそうになるほどとはな!! 何故ここまでの防御力を求めた!」

 

「決まってんだろ! 俺が目指す奴はとんでもない火力を持ってるんでなぁ! それを受け止めるにはこれしかねぇんだよ!! まだまだ行くぞぉ!! シャドールゥ!!!」

 

「ぬぅぅぅおおおぉぉぉぉっ! まだまだ! 俺の拳はこんなものでは止まらん!!」

 

 

 先ほどよりも激しく、鋭く、そしてパワーが跳ね上がった拳を叩き込もうとしてくる。応戦している影人形の背後にいる俺が衝撃で後ろに下がりそうになるほどのパワーとは恐れ入るよ……これ、四季音姉と戦わせたらきっとあいつは楽しいっていうだろうな! だって俺もすっげぇ楽しいもん!!

 

 放たれた拳を往なしてサイラオーグの二の腕を殴る。鎧の籠手が影人形の拳によって崩壊したが気にしないとばかりにカウンターを叩き込んできた。俺の影人形が普通の拳で軽く吹き飛ばされるとか本当にトンデモナイな!

 

 

「胴体よりも俺の腕を狙ってきたか……良い判断だ。一番の武器さえなくなれば俺はお前に攻撃することが困難になるからな」

 

「生憎、俺はお前の様に生粋のパワータイプじゃないんでな。こんな姑息な手しか使えないテクニックタイプを自称してる。てなわけだ、ここからは俺が得意とする戦い方をさせてもらうぞ?」

 

「構わん! その全てをこの拳で粉砕してくれよう!!」

 

「――良い覚悟じゃねぇか!!」

 

『ShadeShadeShadeShadeShadeShadeShadeShadeShadeShadeShadeShadeShadeShadeShadeShadeShadeShadeShadeShadeShadeShadeShadeShadeShadeShadeShadeShadeShadeShadeShadeShadeShadeShadeShadeShadeShadeShadeShadeShadeShadeShade!!!』

 

 

 影の翼を生やし、全身の宝玉から音声を鳴り響かせる。修学旅行時に曹操ちゃんと戦いで使ったように背から滝の様に影を生み出して地面を飲み込む。サイラオーグは一度構え、正拳突きを放ち流れる影の海を半分に割るが傷を塞ぐように元に戻っていく……悪いが簡単には止まらねぇぞ? さてどうする! その海に触れればお前の力が根こそぎ奪われる! どうやって対処するか見せてもらおうか!

 

 

「ゼハハハハハハハハハハ! 悪なる邪龍は! 影龍王は此処にいるぜ? たった一発でその海を割る事は出来ねぇからもっともっと放って見せろぉ!」

 

「ハハ、ハハハハハ! これだ! この理不尽なまでの力を待っていた!! ならば届かせて見せよう! この鍛え上げた拳で!! 俺の武力でな!!」

 

「やってみろぉ! ゼハハハハハハハハ!」

 

 

 広がり続ける海から生まれるのは無数の影人形(シャドール)。一つ目の怪物は拳を握り、俺の敵を殺すために向かって行く。そこに感情なんて存在しない、もしあるとするならば俺の敵を倒すという使命感ぐらいだろう。恐らく観客達の目にはたった一人相手に無数の集団が襲い掛かっている光景が映っているだろう。文句を言われようが罵倒されようが俺はやめる気は一切ない! だってこれが俺の戦い方なんでねぇ!!

 

 サイラオーグは群がってくる影人形を闘気を纏わせた拳で薙ぎ払いながら前へと駆け出した。奴が目指す場所なんて簡単に予想できる……影を生み出し続ける俺に全力の拳を叩き込もうとしてるはずだしな。無数の影人形がラッシュタイムを放てば雄叫びと共に拳で吹き飛ばし、また一歩と前へと進む。邪魔するなら殴る、群がるなら吹き飛ばす、攻撃してくるなら迎え撃つ。たった一人で正面からこの数を突破しようとするその精神には敬意を表したいな……てか数を増やせば防御力が下がるのか? さっきから普通に影人形達が殺されてるんだけど?

 

 

「前へ! 前へ! ただ前へ進むことだけを考えろ! 止まらん! 止まるわけにはいかん!!」

 

 

 影の海を拳圧で割りながら、襲い掛かる影人形を薙ぎ払いながら上空に浮かぶ俺へと向かってくる。曹操ちゃんは転移を繰り返して対処してたがサイラオーグはマジで正面から突破する気だよ……! ゼハハハハハハハハ! 最高だ! 最高に馬鹿だ!! でもそういうのを待ってたんだよ! 夜空みたいに馬鹿なんじゃないかってぐらいの威力で薙ぎ払え! 夜空のように圧倒的な速度で向かってこい!

 

 俺の願い通りに地上にいるサイラオーグが影の海と影人形をものともせず、拳を握って俺へと向かってきていた。鍛え上げられた脚力によって一瞬で俺の懐に入ったサイラオーグは防御魔術で強化された影龍王の再生鎧を簡単にぶち抜いて俺の胴体に拳を叩き込んでくる……ッハ……! 確実に骨が折れたなぁ……!! しかもただ威力があるだけじゃなくて体力やら全部を持っていく代物だ……! 普通の奴ならこれでノックダウンだろうなぁ!!

 

 

「――ようやく、一撃を入れたぞ。ノワール・キマリス」

 

『……さ、サイラオーグ選手が無数の軍勢を突破してノワール選手に拳を叩き込みました! これは大ダメージです! 上空に浮かんでいたノワール選手は地上へと落ちてしまいましたがはたして立ち上がれるでしょうか!?』

 

『キマリスの防御力を突破したか……かなりのパワーだな。若手悪魔の中じゃ確かに一番と言っても良いだろう。だが防御力と精神力なら若手最強のキマリスはあの程度で沈まねぇはずだ……そうだろう光龍妃?』

 

『とーぜんじゃん! あんなの私に何回もされてるもんねぇ!! ほらほらさっさと立てっての! 負けたらマジでおこっからね!!』

 

 

 たくっ……そんなに心配しなくても立ち上がれるっての……さてと、()()()すっかぁ。

 

 取り出したのは配布されたフェニックスの涙。それを口に含んで一気に飲み干す……これで折れた骨は元通りになる。たくっ、遠慮なしに粉砕してくるとは流石じゃねぇの!

 

 

「やはり立ち上がるか。かなりの強度だった……殴った俺の拳が痺れるなど滅多に無いからな! これほどの防御力を持ち、欠損限定とはいえ再生能力を有しているとなればルール無用の実戦では脅威になる。それを改めて実感させてもらった」

 

「そうかよ。まっ、欠損限定だから今の様に打撃で骨を折られると無理なんだけどな。んで? どーしたのかなぁサイラオーグちゃん? さっさと攻撃してこないのかよ? こっちは既に涙を使い果たしたんだ、同じことを続ければ勝てるかもしれねぇぞ?」

 

「そうかもしれない。しかし……俺は全力のノワール・キマリスと戦うためにここにいる。使うが良い、隠しているであろう力をな……たとえそれがどのようなものであれ俺は正面から迎え撃とう! それが何も持たない俺が出来る唯一の礼儀だ」

 

「――そうかよ。だったらお望み通りに使ってやる。ただ、マジで殺しちゃったらゴメンね」

 

『Shadow Labyrinth!!!』

 

 

 影の檻を発動して自分を覆う。別に使う必要は無かったがまぁ、なんだ……覚悟のためにちょっと神器の中に意識を落としたかったんだよ。

 

 俺の意識は静かに落ちていき、影の城が視界に映った。当然その主である相棒と俺を取り囲む人影も存在している……なんだなんだ? 普段は反応しねぇのに今日に限って殺る気満々じゃねぇか? そこまで楽しみだったのかよ! さっすが歴代影龍王! そこだけは尊敬してやるぜ。

 

 

『此処に来たって事は使うか? 宿主様よぉ?』

 

「あぁ。別にこれを使わなくても勝てるが相棒はどうだ?」

 

『ゼハハハハハハハハハ! どうだと聞かれたら使うと答えてやるぜぇ! 見せてやろうじゃねぇの!! ユニアに! ユニアの宿主に!! この殺し合いを見ている全ての存在に俺様達の力を分からせてやろうかぁ! 宿主様、俺様はよぉ……嬉しいんだぜ? ここまで俺様を理解してくれたのは宿主様だけなんだ。もう涙が出そうなぐらいに嬉しいんだ! ここまで至った宿主の成長っぷりがさいっこうに嬉しいぜぇ!! ゼハハハハハハハハハハハッ! 行くぞ宿主様ぁ! 殺して殺して殺しまくって! 自分勝手に死んでいこうぜ!!』

 

「……あぁ。良いか歴代共! 俺は邪龍だ。好き勝手に生きて、好き勝手に死んでいく自己中心的な我儘野郎だ! それの何が悪い! 悪魔なんだから好き勝手にやって何が悪い! ヒーローや正義の味方なんざに興味はねぇ! ただ夜空を倒して! 犯して! 俺のものにしたいだけなんだよ! 夜空以外には興味はねぇ! 俺が進む道はそれだけだ……夜空が見ているなら楽しませてやる、つまらないなら驚かせてやる、受け止めてほしいなら受け止めてやる。たったそれだけの事のために俺はここまで来た……でもなぁ! まだ終わりじゃねぇんだよ! ここまで来たんだったらどこまでも進んでいくだけだ! お前らの呪いも、怒りも、憎しみも妬みも悲しみも何もかも俺にぶつけてこい! 俺はお前らの全てを受け入れてやる! だからお前らも俺と同じ道を進みやがれ!!」

 

 

 歴代影龍王達は無表情だった顔が一気に笑い出す。それは楽しいからじゃない、嬉しいからじゃない、ただ生きてる相手を憎んで呪って殺したいから嗤うだけだ。

 

 

『我らの願いは王の願い』

 

『我らの望みは王の望み』

 

『殺したい、犯したい、生きている者全てが憎い』

 

『我らはどこまでも付いていこう。その先に破滅が待っていたとしてもそれすら喰らい、飲み干してやろう』

 

『無限もいらぬ、夢幻もいらぬ! 我らの欲望こそが全てなり!』

 

 

 吐き気を催すほどの邪気を巻き散らす歴代達を見て俺は静かに笑った。あぁ、そうだ。それで良いんだよ……誰も文句は言わない。俺達は自分勝手に生きるドラゴンなんだから!

 

 

「そんじゃ……行くかお前ら! 最低最悪な邪龍として好き勝手に暴れようぜ!!」

 

『『『『『『『『全てを殺す! 全てを壊す! 全てを呪う! 我らが覇王に勝利あれ!!』』』』』』』』

 

 

 俺の()()に染まった歴代共と相棒を引き連れて背後に現れた扉の前まで歩きだす。それは開けられないように頑丈な鎖で固定されている。この先は地獄だろう……でもな、その先に進むのが俺達だ! 悪かったな……長い間、こんな場所に閉じ込めておいてさ。もう大丈夫だ……さぁ、行こうぜ。

 

 封じられた扉を強引に開けた俺達は戦場へと戻っていく。

 

 

 

 

 ノワール・キマリスが生み出したであろう影の球体が壊れ始めた。何をするつもりかは知らん、俺はただこの拳で迎え撃つのみだ。

 

 

「――待たせたな」

 

 

 たった一言、球体から出てきた男が放つ言葉には身の毛もおだつほどの邪悪さがあった。ふと、我に返った俺は無意識に一歩、後ろに下がっている事に気が付いた。なんだこれは? 拳は強く握られ、レグルスですら畏怖しているこれは一体何なんだ……!

 

 

「ちょっとばっかし神器の奥底に意識を落とすために影の檻を使わせてもらったよ。あれ、一応命の危険性は無いけど下手すると()()しな。アイツらは俺を気遣うなんて優しさはねぇからなぁ~もっとも俺もだけどね」

 

 

 言葉が飛んでくるたびに俺の身体が震えていく……いや、魂そのものが汚染されると錯覚するほどの邪悪な瘴気が周囲に巻き散らされている。先ほどから微かに鎧から漏れ出してはいた。だが――今はそれをはるかに超える濃さを纏っている!

 

 

「どうした? あぁ、まさかこれにビビってる? んなわけねぇか。さてと……お望み通りに使ってやるよ。先に言っておくが耐えきったらお前の勝ちだ――夜空ぁ!!」

 

『んぅ~? どったん? なんかやけに邪悪じゃん! なになに!? なにすんの!!』

 

「俺はお前を楽しませてやる! 受け止めてやる! だから……笑え。心の底から好きなだけ笑ってくれよ――我、目覚めるは」

 

『っ! 馬鹿野郎!! たかがゲームで覇龍だと!? おいキマリス! 待て! それを――』

 

()()()()()()()()()()()()()()()()()()()――」

《我らは自らの欲望で生きていく!》《誰にも邪魔はさせはしない! 我らが王の出陣を!》

 

『――なんだと?』

 

 

 戦場を侵食するようにノワール・キマリスの身体から龍のオーラと呼ぶべきものが放出される。しかし俺には……これが本当にオーラと呼んでいいのか理解が出来ないでいた。胃の中身をぶちまけたくなるような醜悪で最悪なそれはさらに高まっていく。まるで産声を上げるように、何かを求めるようにノワール・キマリスを染めていく。

 

 

「獰悪の亡者と怨恨の呪いを制して覇道へ至る――」

《無限は必要ない》《夢幻すら不要》

 

「我、魂魄統べる影龍の覇王と成りて――」

《我らは王と共にある》《我らは世界全てを呪う!》

 

《我らが歩む覇道は誰にも邪魔はさせん! 世界を呪い! 喰らい! 滅ぼすまでは決して!!!》

 

 

 俺はどこか勘違いをしていたのかもしれない。この男とは今後も共に戦えると、全力をぶつけるに値する存在だと思い込んでいた。だが違ったのだろうな……目の前の男は俺を見ていない。あの男が見続けているのは彼女だけなのだろう。俺はまだまだ未熟だ……全力をぶつけるに値すると決めた男をもはや味方とは見れないとさえ思っている――それほどまでに目の前の男は「悪」と呼ぶに相応しい存在になっているのだから。

 

 

「「「「「「「「汝を漆黒の回廊と永劫の玉座へと誘おう――」」」」」」」」

 

『PuruShaddoll Fusion Over Drive!!!!!!』

 

 

 それは邪悪だった。影龍王としての存在を象徴する棘はさらに禍々しく目立ち、身に纏う鎧は「漆黒」へと変化している。その場に立っているだけで地面が朽ちていき、黒く汚染されていく……纏っているオーラからは邪悪、いやそんなものすら生ぬるい! ありとあらゆるものを呪おうとする意思すら感じさせる悪のオーラだ。得ていたデータではあのような姿にはならなかったはず……つまりこのゲーム、俺との対戦のためだけに会得してきたモノだろう。

 

 そう考えると俺は喜びを感じ笑みを隠せずにいた。俺はまだ目指す先があるのだと! まだまだ終着点では無いのだと教えてくれたのだからな!

 

 

「『――ゼハハハハハハハ!! 待たせたなぁ獅子王ちゃんよぉ!! これが影人形融合を使えないって言った理由なんだぜ? もっと喜んでくれても良いだろう! それともなんだなんだぁ? ビビってるわけねぇよなぁ? だったら拍子抜けも良いところだ! もっと楽しんでくれよぉ! この影龍王の漆黒鎧(プルシャドール・ジャガーノート)()覇龍融合(オーバーフュージョン)で戦う最初の相手が獅子王ちゃん! お前なんだからさ!」』

 

 

 放たれる言葉には邪気が含まれている。ノワール・キマリスの声が、影龍の声が重なった声を浴びるたびに心が朽ちかける……! 俺が纏う闘気が穢れていく! それほどまでの負の呪いを巻き散らす存在が目の前に現れている!!

 

 

「『ほらほらぁ! さっきみたいに一発ぶちこんでこいよ? 初回サービスだ! 受けてやるよ! それともなんだぁ~? 俺達が放つ邪気に当てられて動けねぇってか? んなわけねーだろ!! テメェはそんな軟弱な奴じゃねぇって知ってるっての! だが意志は強く持っておけよ? じゃねぇと汚染されて発狂しちまうからなぁ!!』」

 

「……あぁ、お前の声を聞くたびに心の奥底が穢れていく……! それがお前が、お前達が至った境地か!」

 

「『残念! 途中だよ! 全然まだまだ半分も到達してねぇっての! これからだよこれから! 来ないならこっちから行くぜ? どうするよ?』」

 

「――無論、お言葉に甘えて全力で行かせてもらう!!」

 

 

 戦場を、空気を、大地を、建物を、世界すら汚染する瘴気を跳ね除けるように俺は闘気を纏う。見るからに隙だらけな男の胴体に渾身の拳を叩き込む――しかしそれが罠だと気が付いたのは打ち込んだ後だった。

 

 ――何故、俺の腕が折れているのだろうか。

 

 

「『弱いぜぇ? おいおい全然弱いな! 恐怖で忘れちまったかぁ? だったら教えてやるよ――殴りってのはこうやるんだぜ!!』」

 

 

 何が起きたか分からない。意識が軽く飛んだかと思えば俺は空を見ていた……獅子を模した鎧、胴体を守る部分が砕かれて明らかに致命傷だと分かるほどのダメージを受けている。なんという一撃だ……俺が意識を飛ばすとは恐ろしいものだ……あは、ハハハハハハハ!!

 

 

「……これが、勝ちたいという感情か! レグルス……まだ、まだ行けるな?」

 

『はい! サイラオーグさまの戦意がある限り! このレグルスは共に戦えます!』

 

「その言葉、お前が俺の兵士で本当に良かった……!」

 

 

 フェニックスの涙を取り出し、傷口に振りかける。傷がふさがると言っても応急処置にしかならん……奴は既に俺を超えている! いや魔王すら!!

 

 

「『ゼハハハハハハハ! そうこなくっちゃな! 今ので沈んでたら泣いてたぜ? まだ行けるよなぁ!』」

 

「勿論だとも! その防御力……それを粉砕して見せよう!!」

 

 

 正面から殴る。折れた腕で何度も殴る。痛みなんぞ当の昔に感じてはいない! 奴の拳が俺の鎧に触れるたびに音声が鳴り響き――俺の鎧が朽ちていく。加減された一撃だという事は分かっている! いつでも倒せるからこそ遊んでいる! この殴り合いは自分の防御力を突破してくる一撃を奴が待っているからこそ行われているに過ぎない! 構わない! 遊ばれていようとも、笑われていようとも! 必ず俺の一撃を叩き込もう!!

 

 ――諦めなければ、必ず勝てるのだから!!

 

 

「ノワールキマリスゥゥゥ!!!」

 

「『ゼハハハハハハハ! 腕が折れたぞ! 身体もボロボロだぞ! まだ立つか! まだ立てるか!!』」

 

「当然だ!! 俺はバアル! いずれ魔王となる男!! この程度で終わるほど弱くは無い!!」

 

「『だよなぁ! ほらほらもっと打ってこい! 叩き込んで来い! その程度じゃ俺の鎧は突破出来ねぇぞ!』」

 

 

 母上。俺は今、最高の相手と殴り合っています。魔力も無く、滅びの力を受け継がなかった俺はこれからも強くなります。何故なら目の前にいる男に、いずれ俺を超えてくるであろう男に勝ちたいからです。この冥界に俺のような過去を持つ者を生み出さないように魔王になります。だから見ていてください……貴方の息子はまだ戦えます!

 

 

「ぬぬううううぅぅおおおぉぉぉぉっ!!!」

 

 

 俺が持てる全ての力を、誇りを、魂を込めた拳は鎧を砕いた。あぁ……届いたぞ。まだ届く! 届くのであれば俺はまだ戦える!!

 

 

「『……いい一撃だぜ、さいっこうに良い一撃だ。でも悲しいなぁ――』」

 

『Undead!!』

 

 

 俺が与えたダメージはまるで無かったように影が集まって消えていった。そうか……そうだったか、お前は既に――

 

 

「『悪いなぁ。俺様、当の昔に完全再生できるようになってんのよ!! ゼハハハハハハ! フェニックスの涙なんつうジュースは最初っからいらなかったってわけさ! ありがとよサイラオーグ、アンタのおかげでまだまだ鎧の強度が上げられそうだ』」

 

「……まだ、負けん……負けてはいない!!」

 

「『正気を保ってるのは流石だなぁ! でも残念! もう五分経っちまうから終わらせるぜ? 実戦なら俺様の負けだ、でもなぁ――ルール有のゲームなら別なのよぉ!!』」

 

 

 すまぬ……どうやら負けのようだ。

 

 だが心は折れない……まだ、まだ戦える。もし、次があるのならば必ず……勝ってみせよう。

 

 

 

 

 

 

「……ドライグ」

 

『あぁ。覚えておけ相棒……あれが邪龍だ。希望を与え、絶望へと落とす。誰もが奴を誉めるだろうな、あれと対峙して心が折れなかったのだから』

 

「うん……黒井はドンドン強くなっていってる。負けられないよな……ドライグ」

 

『当然だ。俺もクロムに負けっぱなしはご免だ。しかし次に戦うならば覚悟しろ――奴は生前のクロムの力を会得した』

 

 

 成長途中の赤き龍帝はさらに強くなることを心に誓った。

 

 

「これが影龍王が至った覇道か」

 

『だろうな。説得するでもなく、屈服させるわけでもない――受け入れた上で自分の呪いに染めている。正気を保っているのが異常なぐらいだ……ヴァーリ、お前はああはならないようにしてくれ』

 

「分かってるさ。アルビオン、俺はこの時代に生まれて良かったよ。白龍皇で本当に良かったと思える」

 

『……そうか』

 

 

 白き龍皇は静かにその場から消えていった。

 

 

「――あは、あはははははははは!!!! さいっこう! 本当にさいっこうじゃん!! やっぱりノワールって面白い! ホント大好き! あぁ……大好きだよノワール! なんでそんなに私を楽しませてくれんの! そんな風にされたらもっと好きになっちゃうじゃん!」

 

『クフフフフフ、まさかクロムの再生能力を完全に引き出すとは思いませんでした。夜空、負けていられませんね』

 

「そうだよ! 負けらんない! 絶対に負けない負けらんない! 欲しいよぉ、ノワールぅ……絶対に手に入れてやっからもうちょっとだけ待ってろよぉ!!」

 

 

 光り輝く龍妃は反存在が見せた力にただ笑う。ひたすら楽しいと表現するために笑い続けた。




観覧ありがとうございました!

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