ハイスクールD×D~地双龍と混血悪魔~   作:木の人

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影龍王と酒呑童子
69話


「悪いな、こんな時間に呼び出しちまって」

 

 

 サイラオーグ率いるバアル眷属とのゲームが終わって一週間ほど経過した深夜、俺はとある場所に訪れていた。目の前には浴衣姿のアザゼルがグラスを持ってソファーに座っている。ヤダ、なんか怪しい光景なんですけど帰って良いですかね? と思いたくなるこの場所はアザゼルが住んでいるマンションの一室だ。周りを見渡してみると大量のゲーム機やら漫画やら酒やら研究に使う道具やらが大量に置かれている……なんていうかオタクの部屋って感じだな。高価な酒が保管されてるところを除けばだけどね!

 

 

「別に暇だったしな、んで? 堕天使の総督さんが何の用だ?」

 

「いや、少しばっかりヴァーリから面倒な事を頼まれてな……一応、関係しているお前さんにも話をしておこうと思っただけだ。何飲む? 酒が良いって言うなら出すぞ?」

 

「生憎未成年なんでな、コーラ」

 

「あいよ」

 

 

 冷蔵庫から氷とコーラを取り出してコップに注ぐ。普段ははっちゃけたりなんだりしているアザゼルだが今はマジで悩んでるって感じでかなり大人しい……ヴァーリから頼まれたって言ってたが内容次第じゃ色々とヤバいぞ? なんせあいつは禍の団に所属しているテロリスト、堕天使のトップであるアザゼルが極秘で頼まれたとバレたら和平を結んでいる悪魔と天使、北欧、京都、とりあえず今後の同盟等に支障が出る。うわぁ、帰りてぇ。なんでそんな面倒な事に俺を巻き込むんだよ……? あれか! 橘の亜種禁手とか俺の漆黒の鎧のデータを渡さなかったからか!! うっわ逆恨みも良い所じゃねぇか!!

 

 とか思いつつコーラを飲む。冷えているからすっごく美味い! アザゼルの事だからコーラと言いつつ酒を出してくるんじゃないかと思ったがそんな事は無かったようだ。てかヴァーリ、いったい何を頼んだんだよ……いくら自由気ままな夜空で慣れてる俺でも対処出来るものと出来ないものがあるんだからな! てかそもそも俺だって面倒な事に巻き込まれて困ってるんだぞ!? お前が持ってきた面倒事を見れるわけねぇんだよ!!

 

 

「……キマリス」

 

「あん?」

 

「正直、お前さんにこの件を伝えるのは問題だと思う。だが……信用できないかもしれんが手を貸してくれ。流石にリアスやソーナじゃ対処できない案件だ」

 

「……まぁ、ヴァーリからの頼み事だって言うなら確実に勢力のトップが対応する案件だろうな。グラムの件で世話になったから話ぐらいは聞いてやるがどうするかはそれからだ。こっちもこっちで面倒な事に巻き込まれてるしな」

 

「分かった。だが……この件は内密に頼む。下手をすると俺の首が飛ぶしお前さんも同じようになるからな」

 

「コーラ美味かった、じゃあなアザゼル! 来世ってもんがあったらまた会おうぜ!」

 

「待て待て待て!! 普通に帰ろうとするな!? てかお前! 俺が死ぬことは確定か!? 生きててほしいとは思わないのか!!」

 

「うん」

 

 

 だって仲良くないし。

 

 

「即答か!? こっちはなぁ!! 光龍妃が起こす事件の対処やらお前さんと()()()のゲームで光龍妃が食った飯代で研究費が無くなったりと大変なんだぞ!? 少しはおじさんを労わろうとか思わないか!? なっ! なっ!!」

 

 

 うっわ、うぜぇ。というよりも俺とサイラオーグのゲームで夜空が食った飯代はちゃんと俺というかキマリスの方で負担しただろうが……流石に数日前に起きた先輩とサイラオーグのゲームで夜空が食った飯代は知らねぇけど。まさか周りも二回連続で規格外こと夜空ちゃんが解説役として登場するとは思わなかっただろうね! 俺もテレビで見てて爆笑したからな! どうやら此処に来れば飯を食えるんじゃないかと思ってやってきたらしいけど……まさにその通りだったわ! アザゼル、ドンマイ!

 

 

「アザゼル……諦めが肝心だって偉い人も言ってたぞ?」

 

「一番諦めが悪いお前が言うか!? ええい! 良いから聞けキマリス!! 実はな――オーフィスがこの町にやってくる! いや、ヴァーリが連れてくるんだよ!!」

 

 

 うん? なんか今のセリフの中に聞きなれない人名が出てきたぞ……? オーフィス、オーフィス? オーフィス!? お、おいおい……まじかぁ。確かにこれはバレたら死刑は確実な案件だわ。どこの世界に和平を結ぼうとしている奴がテロリストの親玉らしい最強最悪の無限の龍神(ウロボロス・ドラゴン)ことオーフィスと会うなんて真似をするんだよ……! そもそもそんな事を俺に言うな!? 帰ったら即効で平家にバレるだろが!! ま、まぁ……アイツは周りに広めたりするような奴じゃないが黙っておく代わりに何を要求されるか分かったもんじゃねぇ! ここ最近は橘が淫乱になったのを皮切りに水無瀬や平家が張り合ってきて大変なんだぞ! そのたびにレイチェルに説教される俺の身にもなってくれ……お姫様からの説教とかご褒美ですけどね! ただそんな事が続いている状況でこれとかマジでヴァーリを殺したくなってきた! 次に会った時を覚えておくが良い……!

 

 

「おいおいマジか……オーフィスが来るのかよ? あぁ、だから俺も関係してるって言ったのか」

 

「そうだ……ヴァーリの話じゃお前さんとイッセーに興味を示したらしい。恐らく影龍王の漆黒鎧と()()()()()()が原因だろうな。過去を遡ってもこれほど劇的な変化をした赤龍帝と影龍王は存在しない。二天龍や地双龍が神器に封印される前から知っているオーフィスでさえ見たことが無い現象だろう……だからこそ興味を持ったようだ」

 

「……まっ、俺も先輩とサイラオーグのゲームは見てたけど確かにあれは劇的な変化と言って良いな。俺の漆黒の鎧よりも使い勝手が良さそうで地味に嫉妬するよ。まぁ、あの辺りは兵士の駒やらが関係してるんだろうけどな」

 

 

 真紅の(カーディナル・)赫龍帝(クリムゾン・プロモーション)。数日前に行われたグレモリー眷属対バアル眷属によるおっぱいドラゴン対不屈の獅子王と称されたゲーム中に一誠が至った覇龍に代わる形態らしい。命名者は対戦していたサイラオーグでその名の通り赤の鎧から真紅の鎧へと変化するのが特徴だ……しかも出力も今まで以上なのに見た感じ、制限時間は無いというチート形態! 何それ羨ましい! 相棒は覇道じゃなくて王道を進んだ結果だとか言ってたけどせめて制限時間ぐらいは有ってくださいお願いします! 俺なんて五分だぞ……五分で決めきれなかったらこっちは負けるんだぞ? マジで羨ましいわ!

 

 ちなみに先輩達とサイラオーグ達のゲームだが冥界にいる老害達によって色々と面倒な事になってたらしい。なんせグレモリー対バアルというゲームなのに馬鹿共がルシファー対バアルという都合の良い解釈をしたせいで中間管理職のアガレス家が本当に大変そうだった……ドンマイ! 関係ない俺は普通にテレビで観戦してたけどね! ゲーム内容も俺達と同じくダイス・フィギュア――じゃなくて普通にフィールドを駆け巡って戦う形式。流石に二回連続でタイマンもどきはテレビ映えしないと判断されたらしい。そのせいで時間的には俺達以上にかかったけど結果的には功を奏し、一人相手に数人がかりとかグレモリー眷属お得意のコンビネーションを行えたので先輩の勝利に終わった……けどあくまで運要素が強かったというのが俺の予想だ。なんせ最終決戦というべき一誠対サイラオーグが引き分けだったからこその勝利、仮に真紅の鎧が目覚めなかったら勝っていたのはサイラオーグだっただろう。まさかグレモリー先輩もサイラオーグがあそこまで意地というか諦めの悪さがあるとは思わなかっただろうね……でも楽しそうだったわ! 俺も乱入したいと思ったし観戦していた犬月が号泣してたからな!

 

 

「出力的に言えばお前さんの方がまだ上だろう。あれは俺の見立てでもかなり危険なものだ……出来れば周りに誰も居ないと気に使ってくれると助かる。あんなもんをイッセー達の前で使ったら何人かは再起不能になるからな。さて話を戻すか……ヴァーリからオーフィスを頼むと言われたが狙いは別にある」

 

「――禍の団か」

 

「察しが良くて助かるよ。あぁそうだ……オーフィスは確かに禍の団のトップ、実力から言えば俺達が束になっても勝てないほどの実力者だ。しかし一方でオーフィスが不要と考える奴らが居たって事だ」

 

「……大方、最初は最強のドラゴンが味方に付いたと思ってはしゃいでたらそいつは何もしないしする気もなかった。だから邪魔になった……とかだろ? 相棒、意見を聞かせてくれ」

 

『宿主様の言う通りだぜぇ? あのジジイ、いや今はロリだったか? どっちでも良いが基本的には無害な奴よぉ。ドラゴンの癖に、最強と称されるほどの力を持っているのにも関わらずただ静かに過ごしたいと本気で思ってる未来永劫ボッチ属性だ! ゼハハハハハ! 周りからすりゃぁ仲間が死んでるのに力を貸さない無能と思ってもおかしくはねぇ! だが厄介だぜぇ? あのオーフィスをどうにかしようと思ってんなら何をしてくるか分かんねぇな! あれを相手に正面から殺し合うとかは無謀も無謀よぉ!』

 

 

 だろうな。アスタロト家次期当主が使用したオーフィスの蛇。それの力を奪った俺だからこそオーフィスの力がどれほど強大な物かは理解している……ほんの少しだけ奪っただけで死にかけたしな。夜空が居なかったら漆黒の鎧に変化する前に死んでこの場には居ないだろう。それぐらい馬鹿げた存在がオーフィスだ。恐らく英雄派も旧魔王派も……俺達ですら戦ったら負けるだろうな。

 

 でもまぁ、最初は驚いたけど思い返してみれば此処に訪れる事自体はさほど問題は無いだろう。どうせ誰も分からないんだし。

 

 

「……ヴァーリはオーフィスの敵を探してるのか?」

 

「そのようだ。そのために俺達を使うんだとよ……たくっ、やっぱりアイツは悪魔の血を引いてるよ。キマリス、そんなわけだ……オーフィスが訪れる際には力を貸してくれ。なに、なんかあったら責任は全部俺が受け持ってやるよ」

 

「確実に押し付ける気満々だけどさ。暴れるなら兎も角、俺達に会いたいだけなら何とかなるんじゃねぇの?」

 

「……なに?」

 

「いやだって、相棒から特定の姿を持たないって聞いたしな。だったら――オーフィスだって分からないように姿を変えれば良いだけだろ?」

 

 

 そもそも悪魔だって自分の姿を変化させれるしな。つまり俺が夜空の姿になってオナネタを確保も可能というわけだ……性別までは無理だけどね!! 結構前に一回だけマジでムラムラしてどうしようもなかった時に魔力で姿を変えてオカズを確保しようとしたらあれが付いたしなんかこれじゃない感があって絶望した記憶がある。ま、まぁ! あの時はまだ若かったから……! うん? 待てよ……一誠のおかげで一回だけ夜空の全裸を見たことがある今の俺なら完璧な夜空の姿に変えられるんじゃないか……? 下さえ隠れてたら男の妄想力でどうにかなるし、胸はそもそも男と一緒だし大丈夫大丈夫! なんか違ったらグラムに夜空の写真見せて変化させればいいし! むしろそっちで良くないか……い、いや! これはやってみてから考えようか! うん!

 

 

「……その手があったか! 忘れてたぜ……オーフィスの奴は姿を変えれるんだった! これなら俺の首も繋がるかもしれん! だが問題はオーフィスの奴が素直に変化してくれるかどうかか……ヴァーリの交渉次第だな」

 

「まぁ、失敗しても夜空が俺の所に来るみたいに放置安定で良いと思うけどな。なんかあればオーフィスが自分で何とかするだろ。てか実際問題、オーフィスが禍の団のトップになってると言ってもテロを行ってるのは英雄派や旧魔王派のような連中だ、確かにオーフィスの蛇って奴を奴らに配ったがそれだけだ……アイツ自身は何もしていない。むしろそれがラッキーだったな、オーフィス自身がテロを起こしてたら世界は既に滅んでただろうしよ」

 

「他人事だなおい……お前さんらしいがちったぁ警戒ぐらいはしといてくれ。だが確かにその通りだ。ドラゴンがドラゴンに会いに来ただけのことか……それでもヤバイ橋を渡ってるが少しは気が楽になったな。悪かったなキマリス、俺の方でもヴァーリにこの件を伝えてみる。ところでお前さんが巻き込まれた事ってのは何だ? この際だ、相談ぐらいなら乗るぞ?」

 

「……良いか。いや、実は鬼勢力……四季音姉の母親から里に来いって連絡があったんだよ。だから近々、俺と四季音姉妹で鬼の里まで向かわねぇとダメなんだわ」

 

 

 四季音姉の母親、つまり酒呑童子。感の良い奴なら分かるだろう……はい! 鬼に目を付けられました! どうやら先のゲームで俺が漆黒の鎧を見せた事で四季音姉の母親がオーフィスの様に興味を持ったらしく娘である四季音姉に連絡を寄こしてきた……うちの鬼さんコンビはかなりビビってたけどな。あいつ(四季音姉)曰く、母親は自分以上の化け物で未だに三大勢力と同盟を結んでいない鬼勢力の一つ、分家のみで構成された酒呑童子率いる鬼集団、その頭領こそ四季音花恋の母親だそうだ。前に家に帰った時は勘当を言い渡されたようだけど今回はそれを取り消すかどうかは俺次第と来たもんだ。四季音姉妹は別に帰れなくても良いとは言ってたがまぁ、いずれ来るであろうと思ってた事だしちゃんと向かうつもりだ。

 

 鬼達というか四季音姉の母親にどんな目的があるかはまだ分からないが地味に面倒なのには変わりはない……でも楽しいけどな! 四季音姉以外の酒呑童子! しかも人妻! これだけでもワクワク感が止まらないのに四季音姉以上の化け物ときた! 戦ったらマジでどうなるんだろうなぁ!!

 

 

「……サーゼクスには伝えたのか?」

 

「言うわけねぇだろ? そもそもこれは俺達キマリス眷属と鬼勢力の対談もどきだ。邪魔者が入ったらそれはそれで面倒な事になる……あと、魔王様に説明するのがめんどい」

 

「最後のが本音だろうに。気をつけろよ、お前さんの戦車、四季音花恋を生んだ正真正銘の怪物だ。何の拍子で殺し合いに発展するか分からん。下手をすると悪魔と鬼の戦争にもなる……言葉と行動には十分に気をつけろよ」

 

「はいはい、その辺は弁えてるっての。このクソ忙しい中で鬼とも戦うなんざ面倒だしな。そっちもオーフィスの来訪なんていう面倒な事を隠せって言ってきたんだ、俺の方も言わないでくれよ?」

 

「堕天使の総督相手に悪魔の取引かい。あい分かった、だが何かあったら問答無用で俺達が対処するからな」

 

「むしろオーフィスの件を対処しろよ……んじゃ、帰るわ。来世でまた会おうぜ」

 

「だから人を勝手に殺すんじゃねぇよ!?」

 

 

 コーラを飲み干してアザゼルの部屋から転移で自分の家まで戻る。犬月や水無瀬からは何の用事だったんだ的な事を聞かれたが素直に言っちゃうと結構拙いんで適当な事を言って誤魔化した……平家? あぁ、俺を見た瞬間に理解したのか悪い笑みを浮かべましたけど何か? きっとこの後で課金額増やせとか言ってくるに違いない! なんて汚い引きこもりなんだ!

 

 そんな事を思いつつ風呂に向かうと先に入ってたらしい四季音姉妹が湯船に浸かっていた。桜色の髪をしたロリと金髪の中学生が寄り添うように仲良く風呂を楽しんでいる。うーん、絡みはまだですか?

 

 

「にししぃ~のわーるぅじゃないかぁ~かえってたのぉ?」

 

「主様。お帰りなさい」

 

「ついさっき帰ってきた。こんな時間に風呂とは珍しいじゃねぇの?」

 

「――イバラと訓練してたのさ。そのせいで汗をかいちゃってね、ほら……母様(かあさま)から連絡がきただろう? それに備えて念のためね」

 

「伊吹の母様。強い。怒ると怖い。だから勝てるように伊吹と特訓してた。でも届かない。それほど強い」

 

「……そこまでか?」

 

 

 二人の間に挟まるように湯船に入る。なんでと言われたらロリと中学生を両端に並べたかったからだ! 右を見るとまな板のようなちっぱいがある。左を見るとやや膨らみがあるおっぱいがある。右を見て左を見る、左を見て右を見る。試しに両方とも揉んでみると片方は硬く、もう片方は地味に柔らかかった……ここで俺は久しぶりに泣きそうになった。だって姉って言い張ってるのに妹におっぱいで負けてるとか……可哀想だろう! この瞬間だけは一誠の気持ちが少しだけ分かった気がするね!

 

 

「ノワール? 今は真面目な話をしてるんだ、それとも潰されたい?」

 

「主様。くすぐったい」

 

 

 せめて妹のような反応をしてください。怖いです。

 

 

「ほら、少しは妹の寛容さを見習え? こんだけ揉んでるのに嫌な顔してないんだぞ? つーか悩みすぎなんだよ……別に戦うかどうかはまだ分からねぇんだ。そん時はそん時だ、折角帰って来いって言われたんだから土産は何にしようとかで悩んどけ」

 

「……その気楽さが羨ましいよ。ノワール、私の母様は鬼の頭領さ……普段は豪胆というか考えるよりも体が先に動くような人だけど私やイバラみたいに「鬼」としての立場を狂わせる者に対してはたとえ娘であっても切り捨てる。それが頭領ってもんさ……だからもし会うなら覚悟しな――何気ない一言が戦争の引き金になるよ」

 

 

 普段とは違ってかなりマジだな……確かに鬼勢力のトップともなればそれぐらいは普通にするだろう。むしろたった一回の会談で和平を結んだ三大勢力の方が珍しいはずだ。てか本当にどうするかなぁ……俺は基本的には好き勝手にやりたい放題やるって感じの性格だから確実に戦争になるね! でも下手に媚び売ったりしたらそれはそれで面倒な事になるだろう……はぁ、どうすっかねぇ。

 

 てか四季音妹が四季音姉を慰めるような動作をしてるのが地味に可愛い。黙ってればマジで普通の美少女だもんなぁ、こいつらって!

 

 

「……四季音姉」

 

「なんだい?」

 

「心配すんな。いざとなったらお前の母親をぶっ倒せばいいだけの事だ……いつも通り酒飲んでれば良いさ。テメェら姉妹が持ってきた面倒事を邪龍()なりに解決してやるさ。だからそんな顔をすんなじゃねぇよ? 可愛く見えるからマジでやめてくれません?」

 

「か、かわっ!? ってそれって良い事じゃないか! それともなんだい……普段は、か、か可愛くないってか!」

 

「いや見た目なら美少女だと思うぞ? ただ酒飲んでセクハラしてくる幼女とか女として見れねぇだけだ。お前ら姉妹でどっちを抱きたいと聞かれたら妹の方を選ぶな」

 

「……し、しか、仕方ないじゃないか! 私は鬼だよ? 酒が大好きで何が悪いのさ! なんだよ……女を意識させれば落とせるとか全然嘘じゃんか……やっぱり漫画の知識は……」

 

 

 小声で言ってるようだが普通に聞こえている件について。お前……漫画の知識を実践するとか本当に少女趣味だなおい! きゃーかわいいー! 今のお前なら普通に抱けるわ! いやまぁ……普段のお前でも抱けるけども顔真っ赤でそっぽ向いているこの破壊力よ! 童貞じゃなかったら即死だったぜ!

 

 

「伊吹。毎日少女漫画を読んでる。接吻のシーンは枕に顔を埋めて見てる。分からない。ただの接吻なのに分からない。でも息吹は楽しそう。それを見て主様の事を呟いてる。何かを考えているけど私は分からない。でも楽しそう」

 

「い、いいいイバラァ!? な、何を言ってるんだい全くさぁ! ほ、ほら! そろそろ上がらないとのぼせるよ!」

 

「分かった。伊吹が上がるなら私も上がる」

 

 

 何故か知らないが四季音姉妹は風呂場から出ていった。なんか面白い事が聞けたからあとでもう一回聞いておくかねぇ……しっかしマジで一人で風呂入ると静かすぎるな。狭い風呂も作っておくべきだろうか?

 

 

『ゼハハハハハ。良いじゃねぇの! 女の身体を見ながら風呂に入れるなんざ世の男達が望んでやまない事なんだぜぇ? いい加減宿主様もヤっちまえばいいのによぉ! 気持ちいいぜぇ? ヒィヒィギャーギャーアンアンと泣き叫ぶ女の姿は最高よ!』

 

「夜空を抱いたらそうするわ。てか相棒……オーフィスの件だがどうする?」

 

『放置安定よ。奴はボッチ属性だからな! その辺に置いておけば満足する超変わり者よ! 俺様としても久しぶりにオーフィスと話をしてぇから来るのは問題ねぇさ。ゼハハハ、今年は本当に面白れぇ! ドライグもアルビオンもユニアも俺様も! 尋常じゃねぇほど変化しやがる! オーフィスが興味を持つのも当然よ! 宿主様も最強の存在っつうモンを知る良い機会だ。その目で見て感じ取れ、最強ってのがどんなもんなのかをよ』

 

「……あぁ、そうするよ」

 

 

 四季音姉妹の件とヴァーリからの頼み事。少し前まではサイラオーグとのゲームで忙しかったような気がするのに休ませてはくれないようだ……仕方ねぇか! だって俺様、邪龍だもんね!




「影龍王と酒呑童子」編の始まりです。

観覧ありがとうございました!

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