ハイスクールD×D~地双龍と混血悪魔~   作:木の人

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70話

「そー言えばいっちぃ達が中級悪魔に昇格出来るっぽいっすよ」

 

「だろうな。禍の団絡みで活躍中のグレモリー眷属だぞ? その辺にいる転生悪魔なんて鼻歌交じりで殺せるぐらいは強いだろうしな。なんだ? 悔しいか?」

 

「……まーちょっとはですけどね。でも断ったのは俺の意思なんで後悔とかはないっすよ! まだまだ弱いんでもっともっと強くなんねぇと! そうだ! 後でいっちぃにおめでとうって言わねぇと!」

 

 

 昼休み、俺と犬月、橘、レイチェルの面々はいつもの様に保健室に集まって昼飯を食べている。席順はレイチェル、俺、橘で向かいの席に犬月と水無瀬だ。俺の両端を一瞬で奪ったこの二人は恐ろしいとしか言えないだろう……というよりも家にいる時の橘と学校にいる時の橘が違い過ぎて今でも困惑してます! だって学校に居る間は前までと変わらない振る舞い(落ち着いた雰囲気)なのに家に帰ったら真逆になるんだぞ……今日だって朝っぱらから部屋に忍び込もうとしてたっぽいしな。まぁ、それ自体は水無瀬に見つかって阻止されたらしいが。

 

 水無瀬特製の弁当を食べている犬月だが顔こそ笑ってるけど同期がさらに先に進んでいるのを知って悔しいと言いたそうな感じだ。自分が下級なのに友達は中級に、いや上級にすら昇格出来るほどの実力者だから無理はないだろう……犬月自身は魔王様から伝えられた中級悪魔に昇格の話を断ってでも自分の欲望を優先した結果だから自業自得だがな。でも悔しいとは思ってるが言葉通り後悔はしてないっぽいなぁ、その辺は流石と言っておくよ。

 

 

「シュンさんは弱くはありませんわ! 若手悪魔の中でもシュンさんは上位に食い込めるほどの実力者だと思います。キマリス様や兵藤様のような存在はむしろ異例、気にされなくてもよろしいと思いますわ」

 

 

 俺の隣に座っているレイチェルが綺麗な姿勢で犬月のフォローもどきをする。なんせレイチェルがホームステイしてから今日までずっと犬月の特訓を見ているしな。俺と戦っては負け、四季音姉妹と戦っては負け、平家と戦っては負け、グラムと戦っては負けと心が折れるんじゃないかという状況が続いてもなお立ち上がる姿を見たせいで放っておけないと思ったそうだ。今では犬月の妖魔犬の特訓には四季音姉と平家、そしてレイチェルが付いている素晴らしい状況になってる! 四季音姉は面白いから、平家は面倒と言いつつ犬月の覚悟を一番分かってるから協力してるだけだが俺的には何も問題ないし、犬月の成長に繋がるからこのままで良いと思う。なんだかんだで四季音姉も平家も犬月の成長には期待してるっぽいからな。

 

 パワーは四季音姉、バランスは平家、知識等はレイチェルと犬月の覚悟を後押しする布陣が形成されてるけど……考えてみるとある意味で凄くね? 酒呑童子と覚妖怪とフェニックス家の純血悪魔が一人の下級悪魔を鍛えてるんだしさ。まぁ、俺もレイチェルにはゲーム絡みで教えられてるけど箱入りのお姫様で姉のレイヴェルや兄のライザーと違い、圧倒的に戦闘経験が足りていないせいで俺とはなんか相性が悪い気がする。言ってしまえば王道って感じだな! 相手が正面から来るならこちらも正面から向かう、パワーにはパワー、テクニックにはテクニックと言えば分かりやすいかもしれない。もっとも俺自身は指揮系統とかを平家に任せてるから意見としてならありがたいけどね。こんな場面はこうすれば良いとかライザーはこうしてたとか聞けるしマジでありがたい! でも教えられてる時の平家はかなり不服そうだけどな……盗られるとでも思ってんのかねぇ?

 

 

「……あ、えっと、あんがとっす! いやー! 姫様に褒められたらやる気が出ますわ! 今後も頑張れそうっす!」

 

「おう。折角、レイチェルが褒めてくれたんだからもうすぐ行われるテストも頑張れよ」

 

「それとこれとは話が別っすよぉ! あの、王様……マジでべんきょーを教えてください……! 流石に赤点は無いと思うんすけど平均超えるか微妙なんすよぉ!」

 

「ヤダ。それぐらいは自分で頑張れっての。てか教科書全部暗記したら高得点取れるぞ?」

 

「……ノワール君も早織みたいなことを言わないでください。瞬君もですけどノワール君もちゃんと勉強しないとダメですよ? いくら花恋の事で忙しいって言っても学生なんですから勉強は大事です。もし平均点以上を取れなかったら晩御飯は手を抜きます」

 

「んじゃ満点取るからその時は俺の部屋で撮影会な」

 

 

 両端から悪魔さん? やらキマリス様? という視線が飛んできた。仲良いですね二人とも! 流石えっちいの禁止委員会だ! 委員長自身が淫乱なアイドルだけどね!

 

 ちなみに話に出た平家だが成績自体は悪くない。そもそも心を読むことができる覚妖怪にテストを受けさせること自体が問題っぽいがなぁ……だって周りの奴の心を読めば正解なんて分かるし。あいつ自身も変な目で見られないように毎回80点以上になるように手を抜いてるが本気でやれば常に満点だろう。俺? 今回はマジで満点しか取らない予定だけどなにか? 今回こそ水無瀬に駒王学園高等部の制服を着せてやる! ゼハハハハ! だって二十代美女のコスプレとか家宝物だろ?

 

 

「えっと、悪魔さん? テストで不安な所があるので今日から私の部屋で一緒にお勉強しませんか? 二人で頑張れば高得点も狙えますし。ダメ……ですか?」

 

 

 そんな上目遣いで見ないでください。惚れてしまいます。

 

 

「……わ、私も転校してきてまだ人間界の勉強には不慣れですわ。キマリス様のお手を煩わせるのも申し訳ありませんがご一緒してもよろしいでしょうか? も、勿論! 私に教えるというのは名誉あることですのよ? お、お受けしてもらえますわよね!」

 

 

 勉強を教える事が名誉って凄くねぇかな? でも可愛いから俺様、頑張っちゃうよ!

 

 

「お、おう……犬月、お前はどうする?」

 

「ハハッ、ヒトリデガンバッテベンキョースルンデコンカイハゴエンリョシマスッス」

 

 

 今の犬月は「そんな地雷原しか無い場所にはいきたくないっす」とか「ここで行くって言ったら空気読めないとか思われるんで無理っす」とか色々と言いたそうな感じの目をしている。デスヨネ! だって今も両端でバチバチと視線でバトルしてるし。俺だってこんな地雷しかない場所には邪龍とはいえ行きたいとは言えねぇわ。ただし夜空が居るなら全部踏んで爆破させてでも行くけどね!! むしろ夜空に保健体育という名の勉強を教えたいわ!!

 

 

「瞬君……え、えっと、そういえばシトリー眷属の由良さんとはどうなったんですか? この前も一緒に出掛けていましたけど何か進展とかありました?」

 

 

 話の流れを変えるために切り出した話題だろうけどさ……単に自分が気になってただけじゃねぇか~水無瀬ちゃんよぉ!

 

 

「うえぇ!? いきなり何すかせんせー!? いやどうなったって何もないですって! あの時だってげんちぃと他のシトリー眷属と一緒でしたし……なにもないっすよ? なんすかその視線……? いや本当に何もないんですって!」

 

「何もないんですか? 告白されたりとか! またデートしようとか! 本当に何もなかったんですか!」

 

「そうですよ瞬君! 隠さなくても大丈夫です、心霊探索同好会の顧問である私に相談とかしても良いですよ?」

 

「シュンさん……その、後学のために内容とかを教えていただければと思いますわ……い、いえ! 決して興味があるわけではありませんわ! えぇ!」

 

「し、しほりん!? 姫様!? いきなり何なんですかー!? ちょ、王様!? なんで弁当持ってどこかに行こうとしてるんすか!? いやそれよりも食うの早!?」

 

 

 チッ。気づきやがった。

 

 

「いやだって邪魔かなってさ! ほら俺がいると話し難いだろ? 心優しいと周りから言われている俺様が空気を読んで退室しようとしてるんだから止めるな。頑張れ」

 

「絶対に面白がってるだけじゃないっすかぁ!!」

 

 

 バレたか。いやだって面白いじゃん? というよりも俺も地味に気になってたんだよねぇ! だって匙君と犬月とシトリー眷属二人が一緒にデート! ダブルデートだぞ? 気にならないわけがない。まっ、デートって言っても生徒会で使う備品購入ための荷物持ちってオチだけどな。

 

 平家が言うにはシトリー眷属の戦車、由良翼紗って奴は泥臭い男が好みらしい。確かにうちの犬月君は負けに負けて負け続けても地面を這いずっては立ち上がるような奴だから好みの男には当てはまるだろう。そこに恋愛感情があるかは別だけども……犬月自身は気の合う友人、相手の方も今のところは似たようなものらしいからどうなるかは当人次第かねぇ? しっかしマジでこいつら恋バナに目がねぇなおい。さっきから手を繋いだか、キスはした、次はいつデートするとかまるで女子高生の様に犬月を問い詰めている。あっ、二名ほど女子高生だったわ。

 

 

「――もうっ、こんなことはもう二度とやめて頂戴。キマリス君、貴方の立場が大変な事になるのよ?」

 

「俺の立場なんて冥界の老害共からしたら下級悪魔並みですし、そもそも規格外系美少女の夜空が毎回俺の前に現れてる時点で諦めてると思いますんで……これぐらいは見逃してもらえますよ。タブンネ」

 

 

 時間は進んで翌日の昼頃、俺は犬月、橘、レイチェルを引き連れて一誠の自宅に訪れていた。理由は簡単だ――禍の団のトップ、世界最強のドラコンことオーフィスが来訪したからだ。アザゼルから昨日の夜に準備が整ったと連絡があったので今日の朝早くにこの場所に訪れる事になった。休日だからか一誠の両親も居たので地味に驚かれたのは内緒だ。なんでも自分の息子にまともな男子の友達がいたなんて思わなかったそうだ……それを聞いて本気で泣きそうになったのは言うまでもない。今は俺と先輩が同じ部屋、それ以外は別の部屋で中間試験の勉強や一誠、イケメン君、姫島先輩の昇格試験の勉強を一緒にしている。俺とアザゼル以外はオーフィスの来訪に驚いて戦闘態勢に入ってたけど……何人か物理的に落ち着かせたおかげで今は何も起こることなく普通に仲良く勉強中だ。

 

 あと関係無いが一誠の両親は俺と一緒に付いてきた橘を見て驚いていた。認識阻害の術式を解除してたらアイドル橘志保の姿が普通に見えてたせいでもう大騒ぎだ。アイドルだキャーキャーと騒いでいた辺り本当に普通の人間なんだなぁ……ただ母親の方がちょっと悪いものに憑りつかれてたっぽいんでキマリス領産の果物を渡した時に霊操で除霊したけどね。

 

 

「だとしてもよ。こんな事は前もって伝えて頂戴……いきなりオーフィスがやってきたのを見た私達の気持ちがキマリス君には分かるかしら? 心臓が飛び出るかと思ったわよ」

 

「たかがオーフィス程度で死んでたら悪神やらフェンリルやらヴァーリやらに関わってるときに死んでますって。それにただ普通に相棒と赤龍帝……あぁ、ドライグの方です。この二人に会いに来ただけなんですから怒らないでくださいよ。下手に刺激して暴れられたら世界が終わりますしね」

 

「……えぇ。オーフィスを見て確信したわ。あれには絶対に勝てないって……目の前にいるのに実力が図れないなんて恐ろしいわね……」

 

 

 あら、そこまで分かってたなんて意外だわ。てっきり見た目だけで判断して全員で挑めば勝てると思ってるだろうなぁとか普通に思ってたし。まぁ、それに関しては俺も同意見だ……俺達の前にやってきたのは良い所に住んでそうな外国人の子供、性別は見た感じは女だな。一緒に付いてきたルフェイ・ペンドラゴンって奴が言うにはオーフィスの姿を変えようとヴァーリ達で話し合ってた時にお兄様――聖王剣を持ってたイケメンメガネが魔法使いちゃんが小さい時の写真を見せたらその姿に変化したらしい。つまり今のオーフィスは言ってしまえば魔法使いちゃんの幼少期の頃の姿って事だ……なんという出鱈目な。相棒も姿が決まってないとか言ってたから今の姿を選んだ理由も特に無いだろう……強いて言えば変われって言われたから変わったって感じかねぇ。

 

 ちなみに服装だが夜空曰く痴幼女と言えるものではなく普通の服装だ。同じく一緒に付いてきた黒猫ちゃんが言うにはオーフィスが普段と同じ服装だと恥ずかしいという事で魔法使いちゃんが別の服を着せたらしい。普段は胸を露出させたゴスロリらしく乳首はテープで隠してるようだが……出来ればその格好で来てくれませんかねぇ? マジで可愛いからさ! お願いしますよ無限の龍神様!

 

 そんな事は置いておいてオーフィスについてだが――ガチで勝てる気がしない。目の前には確かに存在するのにオーラや覇気、相手の力量が全く図れないときた。まるで本当に「無」と言って良いだろう……今まで会った奴は強いとか弱いとか普通に分かったのにオーフィスだけは分からなかった。流石無限様だよ、ここまで差があるとはねぇ! 俺が漆黒の鎧状態でグラムを最大解放したとしても殺せないだろう……勝てる奴っているのか? まぁ、聖書の神が生きていたなら封印ぐらいならは出来るか? でもなぁ、天龍と双龍以上の実力者をそう簡単に封印できるもんかねぇ……? どうでも良いか!

 

 

「そりゃそうでしょ? 最強のドラゴン、しかも無限の名を冠してるんですよ? 強いに決まってるじゃないですか。まさか俺もここまで実力差があるとは思わなかったですけどね。流石の俺でも勝てそうにないですね……まぁ、いつかは勝ちたいとは思いますけども」

 

「……凄いわね。私もイッセー達に負けないように頑張ってるけれどまだまだ追いつけそうにないわ。サイラオーグとのゲームを見ていたでしょう? 一応勝利という形で終わったけれどイッセーが居なかったら大敗していたわ……それほどまでに私とサイラオーグの実力差は大きかった。彼らを相手に全勝したキマリス君達が恐ろしいわね」

 

「普通だと思いますよ? そもそも先輩だって眷属は化け物揃いじゃないですか。あんなのとまともに戦えるのって限られますよ?」

 

「それでもよ。王の私が眷属に実力で負けているんだもの、悔しいじゃない。イッセー達は気にしないって思ってるだろうけど私は……今のままじゃダメだって思ってるわ。キマリス君に、サイラオーグに、ソーナに追いつくためにもね」

 

「そうですか。まぁ、頑張ってくださいよ、応援してますんで」

 

 

 そこからは適当な話題で盛り上がり、勉強をしている面々がいる部屋へと移動する。扉を開けると一誠を中心にグレモリー眷属と犬月、橘、フェニックスの双子姫が勉強を教えているのが見える。男子三名、男の娘一名か……女子の割合が多いから結構羨ましい環境じゃないだろうか! 魔法使いちゃんと黒猫ちゃんは特に何をするわけでもなく一誠達の勉強を見ているようだ。うーん……ヴァーリの奴、なんだかんだで美少女と美女を侍らせてんだな! 羨ましい!

 

 

「オーフィス、こんな場所で何してんだよ?」

 

 

 部屋の片隅でお菓子をもぐもぐしているオーフィスに近づく。金髪碧眼の十人いたら十人が美少女と答える容姿をしている世界最強のドラゴン様は何をするわけでもなく一誠達……いや赤龍帝を見ている。その手には誰かから貰ったのかお菓子が握られており美味そう……という表情じゃないがもくもくと食べている。可愛い。俺に話しかけられたので顔だけを俺の方に向ける。本当に可愛い。

 

 

「ドライグを見ていた。宿主の人間、奇妙。とても不思議。クロムも不思議、宿主の人間はもっと不思議」

 

 

 なんというか四季音妹と話をしている感じがするな……一誠が奇妙ねぇ? まぁ、確かにドラゴンからしたら良く分からん思考回路というか情熱というかそんな感じだしなぁ。

 

 

『ゼハハハハハハ! 俺様が不思議だぁ? んなこたぁねぇさオーフィス! テメェはぼっちだしなぁ~友達いねぇから不思議に思ってるだけよぉ! 俺様の宿主様は今までの奴らなんかよりも俺様を理解してくれてる大事な息子よぉ! 息子って意味が分かるかぁ? 分からねぇよなぁ! ガキの作り方すら知らねぇもんなぁ!』

 

「クロム、楽しそう。今までのクロム、退屈そうだった。今は違う、楽しんでいる。心の底から楽しんでいる。不思議、凄く不思議。鎧が漆黒になった、それは今までに無い事。何がクロムを変えた? 宿主の人間が原因? それとも環境。分からないから此処に来た」

 

『楽しいか、ねぇ? ゼハハハ、楽しいさぁ! 今代のユニアの宿主は化け物で! 俺様の宿主様は最強で! ドライグもアルビオンも歴代よりもつえぇと来た! これで楽しくないなんざ邪龍、いやドラゴンじゃねぇ! それぐらいは分かってんだろ?』

 

「分からない。我は静寂を得る、ただそれだけ。戦う意味は分からない、楽しむ意味も分からない。クロムもドライグも「覇」を求めた。ドライグが答えた、それしかなかったと言った。クロムは何故「覇」を求めた?」

 

『意味なんざねぇよオーフィス。俺様はただ好きなように生きて、ムカつく奴が居たら殺して、良い男の娘や女が居たら犯して、戦いたいから戦って、楽しみたいから楽しんだだけのことよぉ。テメェには分からねぇだろうが「覇」なんざ、俺様に取っちゃ通り道に過ぎねぇんだぜ? 「覇」の先に何があるか! 「覇」を極めたらどうなるか! それだけを考えてたらこの様よぉ。ゼハハハハハハ! 己の欲望のままに暴れて! 封印されて! そして今の宿主様と出会えた! 後悔なんざ一切ねぇしこの生き方を変える事は無い! 俺様は楽しいからな!』

 

「分からない。我、「覇」が分からない。でも不思議、本当に不思議。クロム、地双龍を極める?」

 

『それこそ宿主様次第よぉ! なんせこれだけ強くなっても求めているのは一人の女だ! 殺したいほどに愛しているからこそ欲しい! 何度も犯して孕ませたいからさらに強くなる! 聖槍、ドライグ、アルビオン。そんなもんは見ちゃいないのさ! 戦ってる時も宿主様は一人の女を見ている! そんな宿主様だからこそ俺様は嬉しいんだ! ここまで自分の欲望に忠実になれるなんて思わなかった! 俺様を真に理解してくれる奴だとは思わなかった! オーフィス、分からねぇだろうから教えてやるぜ――それが恋ってもんよぉ!』

 

 

 うっわ気持ち悪い。相棒から恋って言葉が出るとここまで胡散臭くなるんだな……やっべ鳥肌立った。

 

 

「恋、分からない。我、恋をしたことが無い。恋をすれば強くなる?」

 

『さぁな! 強くもなるし弱くもなる。それが恋、いや一途な愛よ! ゼハハハハハハハ! 俺様、すっげぇ良いこと言ってねぇか!? こりゃドラゴン流行語大賞狙えるぜぇ!!』

 

「ごめん、ちょっと寒気がしてきた。うっわ、マジで気持ちわりぃ」

 

『ゼハハハハハハ! キモイって思われちまったぜ! こりゃ参ったぁ!』

 

 

 うーん、相棒のテンションがドンドン上がってる件について。そこまでオーフィスと話が出来たのが嬉しいのかねぇ? 確かに相棒が言ってることは事実だけどさ……周りに人がいるんだからもうちょっと静かに言ってくれない!? キャー恥ずかしいー! 男の欲望を女の子だらけの場所で言わないでくれよ相棒! 仕方ねぇなぁ! テンション上がって言ったんなら許すしかねぇじゃん! うわー、マジで相棒死んでくれねぇかな。

 

 

「不思議。クロムが笑う、楽しそうに笑う事なんて無かった。宿主の人間も不思議。ユニアも楽しそうだった。宿主の人間も楽しそうだった。今代の地双龍、今までにない成長をしている。我、ドライグとアルビオンをもっと見てみたい。クロムとユニアも見ていたい」

 

『見ていれば良いさ。テメェが興味を持つなんざ今日まで殆どなかったしよぉ! どうせテロリストのトップになってもお飾りなんだろぉ? テメェもドラゴンだ、好き勝手に生きて、好き勝手に過ごしていればいいのさ。俺様達の様になぁ!』

 

「……まぁ、良いんじゃねぇの? 俺の家じゃねぇし。というわけだ一誠君! オーフィスをよろしく!」

 

「――はぁ!? ちょ、ちょっと待てって!! 今日だけじゃないのか!? さっきオーフィスと話したけどずっと居るとか言ってなかったぞ!?」

 

「ドラゴンだし意見を変えるのは普通だろ? 頑張れ頑張れ。あっ、俺の所は無しな! めんどくせぇ」

 

「巻き込んでおいてそれを言うか!? ぶ、り、リアス!? 黒井を説得してください!!」

 

 

 おー! 噂にはなってたが一誠君ってば先輩の事を呼び捨てで呼ぶようになったのか。でも残念! 断らせるわけねぇ無いだろ?

 

 

「えーせんぱーい? まーさーかー断らないですよねー? 大変だったなーあの時ぃ! 一誠君が覇龍暴走して滅茶苦茶大変だったなー! 誰が止めたんでしたっけー? きっと凄くイケメンで滅茶苦茶優しい混血悪魔だった気がしますねー! 大変だったなー! 死ぬところだったなー! 俺様じゃなかったら死んでたなー! だからこれぐらい聞いてくれても良いですよねー? ねー相棒!」

 

『ゼハハハハハ! そのとーりだなー宿主さまー! おっぱいを司るドラゴンちゃんが暴れちゃって大変だったねー! 頑張ったよねー俺様達! ねー!』

 

「――も、もち、勿論、よ……! キマ、キマリス君にはい、イッセーを止めてくれた恩がある、もの……!」

 

 

 流石俺様! 交渉能力がいつの間にか高くなってたぜ! なんか周りからうわーって感じで見られてる気がするが気のせいだよね! うんうん! なんかどこかから「ノワール、それは交渉って言わない」とか思われてる気がする。具体的には俺の部屋でグラムと一緒にエロゲやってる引きこもり辺りから。

 

 

「……やっぱり王様って頭おかしいと思う」

 

「……悪魔さんっ! あとで、お説教です!」

 

「なんでしょう……志保さんの言葉と表情が違う気がしますわ」

 

 

 そんなわけでオーフィスを先輩達に押し付け……コホン、保護してもらう事に成功したので俺の責任になる事は多分無いだろう。もしあってもアザゼルを生贄にするから良いしね!

 

 そのあとは崩れ落ちている先輩を一誠君が慰めたり、オーフィスが履いているスカートを捲ってパンツを見ようとした俺を魔法使いちゃんが必死に止めたり、橘とレイチェルから正座しろと言われて説教されたり色々あった。なんで俺……怒られたんだろう? だって気になるじゃん! 姿が変幻自在な無限の龍神が履いているパンツは何なのか男なら……いや邪龍なら気になって当然なはずだ! 俺的には腋が見たいが残念な事に脱がさないとダメっぽいんで諦めてパンツを見る! というわけでオーフィスにお菓子をあげてスカートの中を拝見したら――天国(ノーパン)だった。最高だな龍神! そしてまた説教されたのはなんでだろうか?

 

 

『今日は怒られっぱなしで俺様、興奮しっぱなしだったぜ!』

 

 

 時間は進んで夜、俺は自分のベッドで横になっていた。相棒は橘やレイチェルに説教され続けたことが嬉しかったようだ……それで良いのか? いや、邪龍だからこそか?

 

 

「俺は疲れたけどな……しっかし実力すら図れねぇとはな。あれが最強か……全然勝てる気がしなかったわ」

 

『そりゃそうさ。オーフィスは「無」を司るドラゴンだ。無限を司る龍神だからこそ図れない。上限なんて存在しねぇチートの中のチートよぉ! 二天龍や地双龍であっても奴には勝てん。影の国(ダン・スカー)の「影」から生まれた俺様でも勝てねぇんだ。ムカつくけどな! あれに勝てるのはグレートレッドぐらいかぁ? だが奴は争いを好まん。ただ散歩するだけが趣味のドラゴン、相手にすらしねぇだろうな』

 

 

 無限、虚無、混沌。それがオーフィスが司るものらしいがマジで出鱈目だ。二天龍も地双龍も「龍王」よりは上だが「龍神」までは届かないから呼ばれるようになったと前に相棒から聞かされたことがある。確かにその通りだ……あんなのが複数いてたまるかっての!

 

 ちなみに相棒はその名の通り「影」を司っている。たしかケルト神話の影の国の「影」から生まれたとか昔聞いたことがあるが本当かどうかは知らない。神器に潜ると周りに現れる城はそれを現してるようだけどな……もっとも昔の事は話したくないのかそれだけ教えてあとはゼハハと笑って誤魔化してたのは今でも覚えている。別に話したくないならそれで良いんだけどね! 誰だって言いたくない事ぐらいはあるだろうし!

 

 

「……そっか。ならどっちにも勝てるぐらい強くならねぇとな!」

 

『その意気だぜ宿主様! 無限なんざ超えていけ! 夢幻なんざ飲み込んじまえ! 覇王となるならこの二体は最終到達点……だが宿主様にとっちゃユニアの宿主の前哨戦か? ゼハハハハハハ! それで良いさ! 楽しんだもん勝ちだ。俺様は期待してるぜ? 勝てよ、息子よ』

 

「勿論だっての! でもまずは四季音姉妹の問題を解決が先か……めんどくせぇな」

 

『なぁに! 勝てばいいのよ! いつもの様にな、考えるなんざ俺様達らしくねぇ! 邪魔するなら倒す! それだけだろぉ?』

 

「――だな。鬼を倒せないんじゃ夜空は倒せねぇ! 相棒、派手にやるか!」

 

『おうよ! ゼハハハハハ!』

 

 

 俺としても鬼の頭領の力を確かめたいしな。四季音を生んだ母親……今の俺がどこまで行けるか確かめるチャンスだ! ただ……戦争になったらゴメンね?




活動報告にエイプリルフールネタを投稿してみました。
あまり面白くは無いですが良ければどうぞ。
観覧ありがとうございました!

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