「――リアスとライザー・フェニックスのゲームが決まったようです」
「まぁ、それはこっちの耳にも入ってます」
放課後、俺は珍しく生徒会室を訪れていた。理由なんて大したことじゃない――グレモリー家とフェニックス家、その一族であるリアス・グレモリーとライザー・フェニックスが行う婚約を賭けたレーティングゲーム。その日程や今後のことについて話し合いたいと生徒会副会長を通してこの場の呼び出された。向かい合うように俺と生徒会長がソファーに座り、俺の背後には犬月と水無瀬、生徒会長の後ろには匙君達生徒会メンバーが立っている。ちなみに平家は家でサボってます。ゲームし放題とか抜かしてた。
レーティングゲーム、その名の通りレートを賭けて現在冥界で大人気の模擬戦闘。二人の王がそれぞれ集めた眷属を率いて戦い、自身の実力などを見せる絶好の機会であり多くの下級悪魔等が参加を夢見る舞台。本来であれば成人した悪魔でなければ行う事は出来ないものだが……例外はある。両家のいざこざ、あるいは交流などで非公式に行われるゲームであれば成人していようとしていなかろうと関係なく行う事が出来る。ゲーム内容は至ってシンプルで王を含めた眷属全員が同じフィールドに出て相手と戦い、如何に相手の裏をかいて勝利するかがポイント……もっとも特殊ルールもいくつかあるが。ゲーム中は殆どルール無用、つまりはなんでも有りな上、大怪我を負ってもすぐに別の場所に転移させられて治療を受けるため死人は出ない安全設計。ただし撃破されるまでは転移させられないから凄く痛いぞ。
「まさか婚約破棄のために現役プレイヤーのライザー・フェニックスにゲームを挑むとか思いませんでしたけど……負けますよね」
「えぇ……フェニックスが操る炎はドラゴンの鱗に傷をつけ、いかなる傷も不死とも表現できる再生力で塞がってしまいます。いかにリアスが持つ滅びの魔力と言えども彼には勝てないでしょう。個人的には相手である人物は苦手ですけども」
「あれ変態ですもんね。でも妹思いの良い奴ですよ? ただハーレム思考の変態なだけで」
「それは変態、と言っているのと同じでは?」
「まぁ、その通りです。話を戻しますけど何かの奇跡で勝てるとすれば赤龍帝ぐらいでしょうね。ただ最低条件が
「私は純血悪魔ですからその苦労は分からないけれど、禁手化に至るには相応の努力が必要だと聞いています。やはり……難しいですか?」
「当たり前ですよ。そんなポンポン禁手化する奴がいたら冥界は大混乱しますって……禁手化は通常亜種含めて一回り以上の力を所有者に与えますから下手をすると理不尽な扱いをしている王を殺すことも可能です。だから神器持ちが修練を重ねた先にある最終到達点……なんですけどえぇと、とある規格外さんは初めて神器を使った時が禁手化していたという化け物なので例外もありますけど」
「……そう。私の眷属にも神器を持っている子がいるからいつかは成れるのでしょうね」
「むしろ至らなければ中級や上級悪魔に勝つのは難しいですよ。よほどテクニカルに戦わなければね。ただ――俺や匙君、赤龍帝のような奴限定で禁手化に至る裏技が一つだけありますけどね」
「っ! 本当ですか!!」
「おすすめはしないですよ? なんせ――」
『肉体の一部を俺様達に差し出すっつうバカげたやり方だからなぁ!!』
生徒会室に俺や生徒会長、眷属達とは違う声が響き渡る。発生源は俺の手、正確には手の甲から発せられている。おいおいいきなり喋るなよ? 目の前の方々が驚いてるじゃねぇか?
「……まさか、影龍王?」
『ゼハハハハハ! その通りだ魔王の妹よ! 俺様こそ宿主様に力を貸す影龍王! 影の龍クロム様だぜぇ!』
「五月蠅い黙れ。空気読め」
『俺様、空気が読めないことで定評がある邪龍。だから読まない』
「前は空気が読めると定評がとか言ってなかったか? まっいいや。すいませんこの馬鹿が勝手に口を開いたせいで話がそれました」
「い、いえ……むしろ貴重な経験をさせていただきました。地双龍、その一端である影龍王の声を聞くことができたのですから。それより……先ほどの話ですけれど本当なのですか?」
「はい。神器に宿るドラゴンに自分の身体の一部を渡す。それと引き換えに力を貰う――つまりは疑似的な禁手化が出来るんですよ。ただし渡した部位は二度と元には戻りません、一生ドラゴンの腕か足か、または全身か。その姿で生きることになりますね」
ちなみに俺はそんなことはしていない。普通に禁手化に至りました……あの規格外と殺し合ってれば嫌でも至るっての。だからもしフェニックスに勝つ事が出来る方法は赤龍帝の力を引き出す事以外には無理。あとはどうにかしてシスターちゃんの持ち物を当てる? いや無理だな。フェニックスの再生力なら普通の十字架や聖水程度のダメージは回復されるし。
あいつらを殺すなら肉体のダメージよりも精神を殺さないと永遠に勝てないもんなぁ。
「そう、ですか……ではリアスが勝てる可能性はほぼ無いという事ですね」
「そっすね。俺や夜空ならともかく、今の赤龍帝じゃ背伸びしても勝てないでしょうし。俺達にできるのは十日後以降に起きるパーティーの準備をするぐらいじゃないですか? 残念ですけど」
元々他人の家の事情に関われるほど俺や生徒会長の家は甘くはない。そんな事をすれば貴族社会でもある冥界で孤立しかねないからなぁ……生憎俺もそんな博打はする予定もないしムカつくが傍観せざるを得ない。もし戦わせてくれればあの不死鳥の精神を殺してあげるんだけどねぇ……でもそんな事をすればレイヴェルとレイチェルに怒られると思うけど。いやもしかしたらありがとうとか言ってくれるかもしれない。あいつ等もきっと苦労してる事だろう……知らんけど。
でも生徒会長からしたら諦めろと言われて素直に諦められないだろうな。グレモリー先輩とは仲良いみたいだしあんな妹思いを除けばハーレム思考と結婚したらどうなるか……予想しなくても分かります本当にありがとうございました。
「……キマリス君は、反対ではないのですか?」
「反対ですよ? 今も昔も親が勝手に決めた結婚で一生を失うとか最悪ですし。もっとも俺みたいな混血悪魔と結婚したいという貴族の方はいらっしゃらないんで縁談とは無縁の状態ですよ。だからもし
「そう……ごめんなさい。変な事を聞いたわね」
「私のログには何もないんで何を聞かれたか分かりませんね」
「……ログ?」
「あっ気にしないでください。何も聞いてませんよと言う意味ですので――悪魔が祈るというのもおかしいですけど奇跡が起きるのを待っていればいいと思いますよ。なんせ赤龍帝は二天龍であり力の塊、最高位のドラゴンなんですから」
ではそろそろ失礼しますといつものように会釈をして生徒会室を後にする。向かう先は保健室――ではなく自宅だ。既に放課後だし残っている理由もない。ただし水無瀬は仕事があるから学園に残るため家に帰るのは俺と犬月だけだ。ちなみに噂のグレモリー眷属は十日後に備えて山へ修行に行っているらしい。なんという王道なんだろうか――無駄だろうけど。
「――いっちぃ達、負けるんすね」
帰宅途中、犬月がイライラしてるような声色で呟いた。同じ兵士、同じ男、主は違うが同年代の仲間が戦う前から負けるという事にムカついているんだろう。
「負けるな。生徒会長の前だから優しい言葉で言ってたが正直勝てるわけがない。実戦経験も殆ど無し、付け焼刃の修行程度で勝てる相手だったらフェニックスはゲーム内で無敗を誇ってはいないさ」
「攻撃しても再生する不死身の悪魔……勝てる奴って王様以外の悪魔でいないんすか?」
「……いや、いるにはいる。サイラオーグ・バアル、冥界の中でも大王と呼ばれる家出身であるその男だったらライザー・フェニックスに勝てるな。俺もそいつとは戦いたくはない――戦えばどっちかが確実に死ぬからな」
「サイラオーグ、へぇ。王様がそこまで言うなんてマジで強いんすね」
「元々グレモリー先輩が持つ滅びの力はバアル家特有のモノなんだよ。それが政略結婚かはたまた大恋愛の末かは知らないがグレモリー現当主と結婚、生まれてきた子達に引き継がれた。その時から滅びの魔力を持つ者はバアルとグレモリーになったってわけだ。ただしサイラオーグ・バアルは受け継ぐべき滅びの魔力は受け継げなかった……だから自分の身体を鍛えて魔力に頼らないスタミナと武力を手に入れた化け物中の化け物だ」
聞いた話ではゲーム未参加とはいえ若手悪魔の中でも最強と呼ばれてるらしい。一度だけパーティーで会った事はあるが確かにそう呼ばれてもおかしくはない実力者だった……あの規格外が戦ってみたいなぁと呟くほどだ。俺が勝つことができるのは"あれ"を使わないとダメかもしれねぇ、禁手化したとしてもガチで死にかけるだろう。
まっ、その人はバアルでありグレモリーじゃないから今回の婚約騒動には表立って干渉はできないだろうけど。
「そんな人が冥界にゴロゴロいるのか……王様はこのまま傍観状態突入って事でいいんすよね?」
「そういう事だ。後でお前のスーツを買いに行くからな、嫌だろうが気構えだけはしておけ。パーティーで喧嘩腰の態度取ったらぶっ飛ばすぞ――相手と一緒に」
「いやいやいや?! 俺はともかく相手はダメっしょ!? 王様が一番態度悪いじゃないっすか!?」
「冗談だよ」
「王様が言うと冗談に聞こえないんだってば!?」
そんな事を話しながら何事もなく家に着いた。玄関を開けて中に入るとそこにはいつものようにワイシャツ姿の平家の姿が――ない。あれ? 珍しいな、いつもだったらソファーに寝ころんで出迎えるってのに。
「にっしっしぃ~さおりんはいまおったのしみっちゅぅ~」
「はぁ? あ、あぁ、ゲームか」
「そっそぉ~うんむぅ、ぷはぁ。おいちぃなぁ~おっしごとあけのおっさっけぇはかくべつぅ」
「大概にしろよ」
「この酒飲みにんなこと言っても無駄っすよ」
俺も犬月も自室に戻ってカバンや制服を脱ぎ、部屋着となってからリビングの戻った。その途中で平家の部屋の前を通ったが静かだったが何かが動くような物音はした……恐らくヘッドホンをしてゲームしているんだろう。
冷蔵庫から飲み物を取り出してソファーに座ると酒を飲んでいた四季音が酒瓶片手に近づいてきて俺の膝の上に座りやがった。毎回思うんだが何故平家もお前も膝に座りたがる? 結構前に疑問に思って夜空に女の子は膝に座りたがる生き物なのかと聞いてみたら「はぁ? んなわけねぇじゃんバカなの。てか変態の発想じゃん、うわっきっもぉ」という蔑んだ目で言われたのを覚えてる。すっごく興奮しました……じゃないそうじゃない。何が言いたいかと言うと今の四季音の服装はぶかぶかのTシャツ、つまりは見えている。見えてるんだよ大事な部分――と言う名の
「みったいならぬごうかぁ~?」
「アホか。で? 何で膝の上に座ってる?」
「にっしっしぃ~ねぇのわーるぅ、わたしねぇ、あついんだぁ~すっごくあつくてしょうがないぃ~だっかっらぁ――殺ろ」
俺の膝に座りながら向かい合い、自分の両手で俺の首を掴みながらそのセリフは絵的に拙いが言いたいこととやりたいことは分かった。連日の犬月との喧嘩が羨ましくなったってわけね……こんの戦闘狂が。
「拒否権は?」
「無いね。だ、だから早くオッケーとか良いぞとか言えよ……恥ずかしいんだよこの体勢はさ」
「やらなきゃいいのに――分かった分かった、流石に今の状態で殴られたら防御できねぇ。移動するぞ」
転移で冥界、普段夜空と殺し合う場所まで移動する。この場所じゃないとこの鬼の一撃が耐えられない……自宅の地下にある訓練場だと家が崩壊しかねない。
俺から離れていく四季音は酒を捨て、笑いながら指を鳴らし始める。その目は戦う事が楽しくなっている戦闘狂そのもので先ほどの反応から酒は抜いて完全に戦闘状態となっているだろう。もうこの場所はキマリス領の観光地にするべきだな! 規格外と鬼が影龍王と殺し合った場所って言えば物好きはやってくるだろ。
「先に言っておくけどお前相手だとマジでやるからな。死んでも恨むんじゃねぇぞ」
「むしろ手を抜かれたらガチギレするからね。にしし、ワクワクドッキドッキだねぇ!!」
「――禁手化」
『Ombra Dragon Balance Breaker!!!』
この日、約数時間ほどキマリス領で地震が起きた。一撃一撃が大地を壊し、地形そのものを変えていく本気の鬼の一撃と鎧を纏った本気状態の俺の拳、そして影人形の攻撃で辺り一帯が滅茶苦茶になったからだ。風圧だけで地面を抉り、音すら遅れてくる鬼の一撃を生身で何度も受けるのは耐えられないが禁手化状態の俺なら完全に防ぎきることは可能、ただし鎧通し――俺が纏う鎧に傷を付けずに衝撃だけを叩き込む技は勘弁してほしい。喰らったら痛いどころの話じゃない。
そして四季音と殺し合いと言う名の模擬戦もどきをしていると「楽しそうじゃぁん」と何処からともなく夜空が乱入、史上初の
「くぅ~楽しかったぁ~!! やっぱり光龍妃は化け物だ、鬼の私でも勝てないっておかしいって」
「俺としては悪魔が苦手とする光を拳の風圧だけで弾き飛ばすお前も化け物だと思うぞ?」
「加減されてたしセーフセーフ。ノワールとヤリあってる光龍妃の出力だったら片腕消滅してるって。にしし、やっぱりお前達って頭いかれてるね」
「うるせぇ――あん? なんでいるんだ?」
夜空が楽しかったよと言って去って行った後、俺と四季音は自宅へと転移する。汗かいたしさっさと風呂入るかと思ってたらリビングに珍しく客人がやってきていた……あの、何でいるんでしょうか?
「お邪魔しておりますわ……お、お怪我をされていらっしゃるではありませんか?! お、お姉様! 早く涙を!」
「落ち着きなさい。もうっ、この程度の怪我で涙を使っては相手が困ってしまいますわ。コホン。御機嫌よう、ノワール・キマリス様。アポイントメント無しでの来訪、申し訳ございません」
「よぉ混血悪魔くん。俺がやってきているというのに待たせるとはいい度胸だな」
目の前には双子の女の子とホスト風の男が立っている。女の子の方は双子だからか顔立ちも似ていて声もほぼ一緒、違うと言えば髪型と平家曰く胸の大きさだそうだ。確かに見た感じ大きさが少しだけ違うのが分かる。堂々とは見ないけど。男の方はどうでも良い。いや本当はダメだけど。
この双子こそフェニックス家の双子姫といわれる女の子で金髪で髪型をドリルのような縦ロールにしているのがレイヴェル・フェニックス、同じ金髪で普通のツインテールにしているのがレイチェル・フェニックス。そしてその後ろにいるのが兄であり現在冥界でも超有名人なライザー・フェニックス。マジで何でいるんですかねぇ?
「……これはこれはご丁寧に。このような姿で誠に申し訳ない。先ほどまでかの光龍妃と殺し合っていたもので」
「やはりか。キマリス領で大きな戦いが行われていると俺の家にまで届いてはいたが……よく無事だったな。毎回やっているんだろう?」
「相手が暇だから遊ぼうと言ってきているんで……あの、なんで此処に居るんですか?」
「それは勿論、お兄様の婚約パーティーにご招待するためですわ」
小柄の体型に似合わない少し大きめの胸を揺らしながら自信満々に答えてくれた。えっと、普通のツインテの方だからレイチェルか。しかし揺れたよ、マジで揺れたよ。夜空……お前、年下の子に負けてるぞ。
「リアスさまはお兄さまとの婚約には反対されて近々ゲームを行うようですけれど……勝ち目なんてありませんわ。唯一良い勝負ができるのはリアスさまの女王のみですもの。ですから私たちの勝利は確実、急に招待状を送り準備を急がせてしまうのも申し訳ないのでこうしてお兄さまに頼んで連れてきてもらいましたの。キマリス様、こちらをどうぞ」
縦ロールの方だから……レイヴェルか。その子から招待状を受け取るけど言わせてほしい。マジで見分けつかねぇ、声はほぼ一緒で顔も似てるから見分けるのって髪型ぐらいか。でも漫画とかでよくある髪型変えて入れ替わりとかされたらどっちがどっちだかわからねぇぞおい。
「これはどうもありがとうございます。俺の方でもライザー・フェニックスさんの勝利で終わると思っていますんでパーティーの準備だけは進めていましたよ」
「良い心がけだ。全く、お前はどうしようもないクソガキだがその辺は身を弁えてやがる。流石はキマリス家次期当主って所か」
「お褒めに預かり光栄です。あと、この傷だったらすぐに治るんで心配とかいらないですよ?」
「べ、別に心配なんてしていませんわ! た、ただ昔とはいえ恩人が怪我をしているので取り乱しただけです! な、なんですかお兄様にお姉様!」
「いやなに、ここに来る前も早く早くと言っていたなぁと思いだしてなぁ」
「少しはフェニックス家の一員という事を分かってほしいですわ……気持ちは分かりますけれど」
目の前で軽い兄妹喧嘩もどきをされるとこっちが困るんだけど……これで片腕が無い状態で帰って来たらどんな反応をするんだろうと思った俺は悪い悪魔だと思う。半分悪魔で邪龍を宿してるからあながち間違ってはいないけど。
「とりあえず貴方の勝利を期待していますよ。ただし――ドラゴンの逆鱗にはお気を付けを」
「うん? なんだ、お前が俺にアドバイスか? そう言えばリアスの兵士君が持っていた神器もドラゴンだったな……肝に銘じておこう。もっともそれは無駄なアドバイスだろうがな」
「でしょうね。ただ言いたかっただけですよ」
「ふんっやはりお前は小生意気なガキだよ。邪魔をしたな、俺とリアスのパーティーを楽しみに待っていると良い」
そんな言葉を言い残して三人は帰って行った。あのさぁ……招待状を渡しに来てくれるのは良いんだけど喧嘩売りに来たのか違うのかだけはっきりさせてほしい。双子姫がいなかったら殺してたぞ? ゲーム始まる前にフェニックスの王が戦闘不能になる所だったぞ。
ただドラゴンの逆鱗、つまり赤龍帝兵藤一誠が本気でキレたり強い感情を持った時、フェニックスとはいえ無事じゃすまないだろう。そんなことはありえないだろうけどな……目覚めたばっかだし。
「……あれがライザー・フェニックスって奴なんすね」
「そっ、ハーレム思考の変態野郎。でも妹思いという素晴らしい属性も持ってる」
「あれ嫌い。あいつの心の声が気持ち悪いし。おかえりノワール」
「おう。とりあえず貰っちまったもんはしょうがねぇ、準備だけはしておくぞ――んで風呂沸いてる?」
「勿論。さっきまで私が入ってた。今ならなんと私の色んな汁が混じってるよ」
「それは心底どうでも良い」
フェニックス家の三男と双子姫が来訪するという事態にはなったがようやく落ち着けるらしい。
擦り傷やらで地味に痛かったが無事に風呂を入り終えて寛ぎながら近日行われるグレモリー対フェニックスのゲームの事を考えた。眷属数でも負けているから勝つのはほぼ無理、何らかの奇跡が起きることが勝利の最低条件と言う始まる前から分かっているムリゲーだがあの人達は本気で勝つ気でいるんだろう。だからもしかしたらその奇跡を起こすかもしれない……楽しみに待ってるとするか。
そして時は流れて数日後、俺に、いや俺と生徒会長、名だたる冥界の上級悪魔の耳に届いたのは――ライザー・フェニックスが勝利したという内容だった。うん知ってた。
恐らく次で第二部が終わるかと。
観覧ありがとうございました!