ハイスクールD×D~地双龍と混血悪魔~   作:木の人

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89話

「……キマリス君。申し訳ないですがもう一度言ってもらっても良いでしょうか……?」

 

「だからしばらくうちの戦車、四季音花恋の実家こと鬼勢力の里で鬼の頭領とか頭領の右腕の方々と殺し合い、ゴホンゴホン! 特訓するんでこの町から離れまーす。勿論、俺だけじゃなくてキマリス眷属全員ですね! 何か問題でもありました?」

 

 

 俺の目の前に座っている生徒会長はトレードマークの眼鏡をくぃっと上にあげる仕草をしながら表情を引きつらせている。この場に居るのは生徒会長だけじゃなくて副会長やこの場に居ない面々(ハーフ死神や大男)を除いたシトリー眷属のメンバーが集結しているが全員、生徒会長と同じように唖然としている様子だ。匙君に至っては開いた口が塞がらないみたいだけど大丈夫か? てかそもそも変なこと言ったかなぁ……? ただ普通に鬼の頭領こと寧音とその右腕こと芹と殺し合いに行きますって言っただけだぞ? もしかして眷属全員で殺し合いに行くって言ったのがダメだった? でもなぁ、それに関しては鬼勢力側から言われた事だから仕方ないんだよね……本来なら俺だけで良かったんだよ。だって相棒の力を鍛えるだけだったしさ! でも鬼の頭領こと寧音が「どうせなら全員で来な、歓迎してやるさね」と言ってきたから眷属全員で鬼の里へ旅行しに行くことになった……うん、だから特にこれと言っておかしい事でも無いし犬月達も喜んでた……喜んでた! うん! なんか引きこもり筆頭(平家)は「メンドクサイ」とか苦労人筆頭(犬月)は「ヤッターオニトノコロシアイダー」と死んだような眼をしていたような気がするが喜んでいたはずだ! なんせうちの淫乱アイドル()は鬼の里へと行くぞって言ったら「ライブしてもいいですか?」って言ってたしね!! 殺し合いよりもライブとかアイドルの鏡過ぎて困る!

 

 そんなわけで一日か二日か三日か一週間か分からないがしばらくこの町から居なくなるから先に話を通しておこうと思ったんだけど……何も問題無いよな! だって一誠とかいるし噂じゃ天使勢力の神滅具使いとか堕天使勢力の規格外二号とかいるっぽいし! てかなんで俺の所に挨拶に来ないんだよ!! 挨拶代わりに殺し合いたいのに来てくれないとか激おこだぜ激おこ!

 

 

「……問題と言えば問題ですね。キマリス君も知っているでしょうが現在、リアス達やアザゼル先生はルーマニア、吸血鬼勢力の本拠地に向かっていて不在です。そんな状況でキマリス君までこの場を離れたら有事の際に色々と不都合が起きます」

 

「まぁ、大丈夫じゃないですか? だって一誠達もいるし天界勢力や堕天使勢力の神滅具使いもこの場に居るんでしょ? だったら大丈夫大丈夫! もし仮に何か起きてもそいつらに仕事させれば良いだけじゃないですか。発生する事件の全てを自分達で対処しようとするとキリが無いですよ?」

 

 

 だって思い返してみれば起きる事件全て俺達若手が対処してるがそれ以外の面々は安全圏から見物してるだけだ……偶には仕事させないと和平を結んでいる他勢力から苦情が出かねない。あとついでに魔王共、働けよ! マジで働けよ! テメェらが働いているところなんて見たこと無いんだが……うん! なんというかアザゼルしか仕事してない気がする! うわぁ、いくら元総督だって言っても仕事押し付けすぎだろ魔王に天使長……流石悪魔と天使の親玉だね!

 

 

「……ですけど有事の際に動けるのは私達若手ぐらいです。他の方々に任せていては駆けつける前に逃げられてしまいます……キマリス君の言う事も間違いではありませんが出来るだけ私達で対処した方が早期解決に繋がるでしょう……とでも言っておかなければ色々と問題が起きてしまいますし、私達が動かなければお姉様が……!」

 

 

 あぁ……デスヨネ! シスコン勢のセラフォルー様なら生徒会長のためなら敵陣地に突貫して殲滅とか普通にするだろうな。うん、苦労してるんだなぁ……多分だが今の生徒会長って中間管理職だよな? だって先輩達や俺達に引き寄せられるように発生する事件の後始末とか全部やってるしさ! でも俺達は悪くない。悪いのは問題を起こす奴らが悪い。あっ! 俺はただ自分がしたい事を全力でしてるだけだからセーフセーフ!

 

 

「確かにセラフォルー様の場合、どう考えても悪魔の世間体というか……とりあえずあの格好はアウトっぽいから生徒会長の言い分も分かりますよ? でも偶には魔王が働く姿を見せた方が良い気がしますけどねぇ。まぁ、とりあえず既に決まった事なんで今更やっぱりやめますはする気ないんで諦めてください。なんせ個人的な事になりますけど新しく発現した能力を試すにはうちの戦車……いや鬼の頭領とか夜空レベルじゃないとダメなんですよ。下手すると開始一分も経たずに廃人コースになっちゃいますしね」

 

「……どんな能力だよそれ!? おっかねぇんだが!? あと黒井! 鬼の頭領と殺し合いっておま、おま!? 分かってんのか!? 下手すると戦争だぞ!? いくら和平を結んだって言っても流石にそれはダメだろ!!」

 

「ん? いや……だって鬼の頭領に殺し合いませんかハートマークと邪龍スマイルで言ったら即オーケーしてくれたから問題無いと思うぞ? あと能力に関してはヴリトラに聞いてくれ。きっと知ってるはずだからさ」

 

 

 俺の言葉に反応するように匙君の影から蛇が現れる。それは匙君の足から胴体へと昇り、肩の辺りで動きを止めて俺を見つめてきた……俺や夜空、一誠にヴァーリのように宝玉が無いのとヴリトラ系神器を統合した影響なんだろうけどやっぱり不気味だよなぁ。

 

 

『クロム』

 

『おうおうどうしたぁ? テメェの愛しいクロム様だぜぇ? ゼハハハハハハ! ヴリトラよぉ、聞きてぇことは分かってるぜ! 聞かれる前に答えてやんよ! 事実だ。俺様は聖書の神によって封じられた能力全てを取り戻した! 当然、テメェらが怖い怖いと泣き叫んでた苦痛の能力もなぁ!』

 

『……やはりか。我が分身よ、今の奴らに戦いを挑もうなどとは思うな。死ぬぞ。肉体だけではなく精神もだ。魔法使いを束ねていたメフィストとやらが再起不能になったのも恐らくあの能力が原因だろう。あれを耐え抜けるものは限りなく少ないはずだ』

 

「マジかよ……聞いただけでおっかねぇって思えるな。てかそんなあぶねぇもんを勢力のトップに使うつもりかよ!?」

 

「うん。いやー鬼さんは話が分かる良い奴らだわー! だって味わってみたいって言ってきたんだぜ? だったら思う存分、味合わせてやらないとダメだろ邪龍的にさ! あっ、そうだ匙君匙君! 一緒に鬼との殺し合いをしてみないか? もしかしたら禁手に至れるかもしれないぞ!」

 

「やめろぉ! 俺はまだ死にたくないぃ!」

 

 

 そう言いながら奥の机を盾にするように隠れ始めた。あら残念……でも良い機会だと思うんだけどなぁ。だって鬼との殺し合いだぜ? 下手するとかなりの経験値になって禁手に至れるかもしれない。だって相手は加減無しの全力で殺しに来てくれるんだぞ? 至らない方がおかしい……俺としても匙君が操る呪いの炎を一度味わってみたいんだよ! 本気の本気! スーパー匙君状態が放つ呪いの炎はどんな感じなのか凄く興味あるぞ! だから早く禁手に至ってくれ! そのためならばチョロインを全力で振り回してあげよう!

 

 

「……何度も言いますが私の眷属をあまり虐めないでもらえますか?」

 

「虐めているつもりは全然ないんですけど……まぁ、良いか。とりあえず鬼と殺し合ってくるんでしばらく離れますね。もしこの町が襲撃されたら頑張ってください」

 

 

 仮にテロリストがこの町を襲撃してきても助けには一切来ないけどね! だって俺には関係無いし。あとついでに母さんにも被害無いし。あとついでのついでで夜空にも被害が一切無いし!

 

 そんなわけで引きつった表情をしている生徒会長達に別れを告げて家へと帰る。既に先に帰宅していた犬月達は鬼の里へと向かう準備を終わらせてリビングに集まっていた……もっともレイチェルは一誠のお家にお泊りだからこの場には居ない。なんせ俺の契約主と言っても眷属じゃないしね……でもなんだ、もっともらしい理由をつけるならフェニックス家が裏マーケットに流れている偽物の涙に対して色々と対策をするのに忙しいみたいだから俺達に付き合わさせるわけにはいかない。この辺に関しては昨日の内に一誠君やレイヴェルにも伝えているし、レイチェル自身にも了承を得ているから問題ない。でも何かあったらいつでも呼べとは言ってる……一応、俺はレイチェルの使い魔だからな。

 

 さてそんな事は置いておいてだ……あのですね! 若干一名ほど持っていく荷物多くないですかねぇ? あの、橘様? そのキャリーバッグ五つに何が入っているんでしょうか? 俺様、凄く気になります!

 

 

「志保の荷物中身は着替えとお土産だよ。というよりも土産しか無い」

 

「……なんで土産?」

 

「だ、だって花恋さんのご実家ですし魔獣騒動でもお世話になりましたからそのお礼です! いっぱい買っちゃいました! あの、変でしょうか……?」

 

「イヤーゼンゼンヘンジャナイヨーフツウダヨーサスガタチバナダナー」

 

「で、ですよね! 聞きましたか早織さん! 悪魔さんは変じゃないって言ってます!」

 

「志保。よく聞きなよ、今のノワールの声は凄く棒読みだったよ」

 

「違います! そうですよね、悪魔さん♪」

 

「ソウダヨーボウヨミジャナイヨー!」

 

 

 いやだなぁ橘様! この俺様がそんな棒読みなんてするわけないじゃないか! だからその怖い笑顔をどうか鎮めてくださいお願いします! てかなんでここまで怒ってんだ……? まさか昨日の夜に人妻に襲われたらどうしよーとか言ったせいか!? それだな! マジかよ……! 嫉妬? 嫉妬か? おうおう嫉妬か! アイドルの嫉妬とかご褒美ですありがとうございました! でも仕方ないんだよ……! だってこれから向かう鬼の里、というよりも鬼を率いている頭領が肉食なんですもん。娘が少女趣味で初心で処女だってのに親はガチで肉食だからね! 寝る前に色々と対策しといた方が良いかもしれない。

 

 

「あーてか王様? 酒飲みの実家ってどんな場所ですか? 流石に鬼とはあんま関わってないんで知らないんすよ」

 

「ん? どんなって言われてもなぁ……時代劇でよく見る古い建物が並んだ感じだぜ? あとエッチな場所が……犬月、鬼の遊女ってどう思う?」

 

「最高だと思いますね」

 

「だよな。よし、行くか」

 

「お供いたします」

 

「……ノワール君、未成年ですからその、エッチなお店はダメです。保護者として許しません」

 

 

 隠れドМの水無瀬に言われても説得力がないんだが……だって行きたいんだもん! この前行った時は四季音姉がノワール君のノワール君を握りつぶそうとしてたから行けなかったけど今回こそは……! アッハイ! やめます! だから笑顔を鎮めてくださいませ橘様!

 

 

「志保の笑顔の怖さは世界一」

 

「怖くないです! そ、それよりも早織さん……? 持っていく荷物とか少なくないですか?」

 

「これぐらいが普通だよ。志保が多いだけ。ねぇ、ノワール? 遊女と遊びたいなら私が代わりにイロイロしてあげるよ?」

 

「常日頃から味わってるんでノーサンキュー」

 

「……」

 

 

 断られたからって蹴るんじゃねぇよ!

 

 

『我ガおウよ! またこロしアえるのダな!! オにと殺しあえルんだナ! であれバわレらを使うガいい!!』

 

「はいはい。今回はそうするつもりだよ……なんせお前を全力で使っても簡単には死なない相手だ。偶にはお前を使わないと今後困るかもしれないしな。だから遠慮なく呪ってきても良いぞ」

 

『そうカ! ソうかそウか!! わレらヲツかうか!! 良かロう! 思うぞンぶん使うがいイ!』

 

 

 絶壁な胸を見せつけるようにしながらドヤ顔をし始めるチョロインに少しだけ可愛いと思ってしまった……くっ! なんという不覚! 絶対に四季音妹の可愛さにやられてるな……!! でもコイツって姿だけなら美少女なんだよな。まぁ、具体的に言うなら過去の所有者だった女が美少女なだけだけどさ。というよりもそろそろ男の姿にしてみるか? 相棒には常日頃からお世話になってるし偶には思う存分、楽しんでほしいしな。でも男の娘かぁ……夜空の姿に男の象徴が生えたらダメ? それだったら俺は問題無いんだけど! どうだろうか相棒!

 

 

『――問題ねぇぜ! 写真撮影会と行こうか!』

 

 

 流石相棒! 話が分かる! やっぱりお前は最高の相棒だよ!!

 

 

「死ねばいいのに。光龍妃に消滅させられても知らないよ?」

 

「それはそれでご褒美だろ?」

 

「……」

 

 

 夜空に勝てないからって俺に当たるんじゃねぇよ! てか蹴りの威力がだんだん強くなってませんか? 訓練でもしてんのかよ!

 

 

「ノワールとエッチするためにイロイロと特訓してるよ?」

 

「あーはいはい、ご苦労様。てかそんなことしなくても俺の心が読めるんだから弱点ぐらい丸分かりだろ? 現にお前に手でシテもらった時なんてしばらく自分の手で出来なかったしな」

 

「えっへん」

 

「ドヤ顔すんじゃねぇよ」

 

「……」

 

「しほりん! あの、違うっすよきっと! 手でとかその、きっと違うっすよ!! 多分、絶対、どう考えても冗談ですからおち、おち、おちぃ!? あの、水無せんせー……? あの、酒飲み? ぜ、ぜぜぜ絶対に冗談ですからどうか! どうかお怒りをお鎮めくださいませ!! てか王様ぁ!? あの、本気でなにしてんすかぁ!!」

 

 

 いや何って言われても困るんだが……まぁ、オナニー? とりあえず犬月が水無瀬と橘と四季音姉相手に土下座してるけど俺様、悪くない。つーか水無瀬と四季音姉はコイツの行動ぐらいは知ってるだろ……何年一緒に住んでたんだよ? そもそもグーパーと握っては開いてを繰り返している処女鬼、テメェは四季音妹絡みで帰った時に俺の指でオナニーしてただろ。それと一緒だからさっさと落ち着けっての。あとゴメン、水無瀬が小言で既成事実と言ってるんだけどそろそろ真面目に対応した方が良いかな? おかしいなぁ! なんでここまで病んでる奴らしかいないんだろう!

 

 

「邪龍だからだよ」

 

 

 説得力がある言葉をありがとう!

 

 そんなこんなで水無瀬と橘と四季音姉の怒りをなんとか鎮めつつ、夜が明ける。朝早くに家を出て四季音姉妹の案内の元、前回と同じ道を進んでいく……勿論! 我がキマリス眷属が誇るパシリは全員の荷物を持って山登りです! 多分というか絶対に橘の荷物が原因で死にかけてる気がする……戦車に昇格しろよって言ったがそれをしたら何か負けた気がするから絶対にしないと引きつった笑みで返してきた時は不覚にもカッコいいと思ってしまったぜ……頑張れ犬月、負けるな犬月。とりあえずまだまだ続くから死ぬなよ?

 

 

「……あの、長すぎません?」

 

「これで半分ぐらいだぞ」

 

「マジすかぁ……というより大江山から入る秘密の道とかホントに酒呑童子と茨木童子だったんだな」

 

「そりゃそうさ。こんな可愛い鬼さんが下級の鬼なわけないだろう?」

 

「見た目だったら十分に下級だろうが」

 

「ん?」

 

「すいませんでしたあぁぁぁ!!」

 

 

 周囲に犬月の声が響き渡るが俺達はお構いなしに道を進んでいく。ちなみにだが全員の荷物は犬月が持っているが俺自身は別の荷物を持っている……何と言われたら不幸体質の保険医? だってこの道を歩き続けていると何故か知らないがいきなりこけたり、いきなり落ちたり、いきなり飛んで行ったりと良く分からん現象に巻き込まれ続けたから仕方なく! 仕方なく俺が背負っているわけだ。別にもういやですぅと泣きながら抱き着かれたときのおっぱいの感触に負けたとかじゃない……現在進行形で背中に感じる素敵おっぱいの感触が最高とか全然思ってない。誰に言ってるって現在進行形で嫉妬の感情を込めた視線を向けてるお前しかない居ないだろう!

 

 

「あ、あのノワール君……お、重くないですか……?」

 

 

 なんで背負った女はそのセリフを言うんだろうか。マジで謎なんだが……母さんも重いって言ったら怒るとか言ってたしそこまで体重を気にしなくても良いだろうに。

 

 

「別に重くねぇよ。むしろ逆に軽すぎだ、もうちっと太れ」

 

「い、いやですぅ! これでも昔より美味しいものを食べすぎて体重が……体重が……うぅ、悪魔になっても体重との戦いが続くなんてぇ!」

 

「分かります……私も水無瀬先生のご飯が美味し過ぎて体重が……あ、悪魔さんは体重が重い女の子はどう思います、か?」

 

「なんだよその質問……? 別にお前らが太ろうが痩せようが知った事か。お前らはお前らだろ? 俺は気にしねぇしお前らの好きにしろ」

 

 

 ちなみにだが夜空が今まで大量に食い続けた影響で太ったとしても俺は一向に構わない。夜空だったらいくらでも興奮するしいくらでも抱ける。つまり夜空ならロリだろうが熟女だろうがお姉さんだろうが何だろうが俺は問題無い!

 

 

「流石王様、言う事が違いますね……ん? なんだよ茨木童子?」

 

「パシリ。聞きたい事がある」

 

「俺にか? 珍しいな……なんだよ?」

 

「伊吹。様子がおかしい。自分の胸を擦っている。おかしい。何故か分かる?」

 

「……あのさ、茨木童子。それをなんで俺に聞く?」

 

「主様忙しそう。パシリは暇そう」

 

「……この姿を見て暇そうって言えるお前ってすげぇな! それに関しては後で王様に聞いてみろよ……オレ、シニタクナイ、ツブサレタクナイ」

 

「分かった。主様に後で聞く。パシリ頑張れ。頑張れ」

 

「すっげぇやる気のない応援をありがとぉ!」

 

 

 すまん犬月、多分だが今の応援は全力だ。流石我がキマリス眷属が誇る癒し系マスコット……恐るべし! きっと癒し系選手権とかあったら普通に優勝出来るな! 今の応援だけでなんか頑張れそうだ! でもな四季音妹よ……その応援は水無瀬や橘の胸と自分の胸の差に絶望しているお姉ちゃんに言ってあげなさい。気持ちは分かるぞ……歩くだけでたゆんたゆんと揺れるのを見続けたら、ね!!

 

 そんなやり取りをしつつ、前回と同じようにデカい門だ。勿論、そこで立っているのも前回と同じ……でも違うところが一つだけある。

 

 

「よう、久しぶりだな。鬼の頭領はいるか?」

 

「若様!! い、いえ影龍王殿! 勿論でございます! 伊吹さま、イバラさま、お帰りなさいませ」

 

「中にて寧音さまと芹さまがお待ちです。どうぞお通りください」

 

 

 いやぁ、前回と全然態度が違うんだけど? 前は余所者は帰れって感じだったのに何で片膝をついて絶対服従モードなわけ? 一応門番なんだから頑張れよ! あと若様って何!?

 

 とか思いつつ鬼の里へと到着した俺達は四季音姉妹の家へと向かう。道中、街に住んでいるであろう鬼達から総大将とかしほりんとかしほりんとかしほりんとか言われ続けたけど……鬼、大丈夫か? 大半の男勢からしほりんコールが飛んでくるんだけどマジで大丈夫か? あとゴメン! 若さま遊んでいかないって言ってくれたそこのお方! あとで遊びに行くから待っててね! やべぇ、和服やべぇ……! 鬼に和服とかやっぱり最強じゃないですかー!!

 

 

「和服が良いならいつでも着るよ? 勿論、悪代官プレイもオッケー」

 

「マジか。あとで俺の部屋な」

 

「やった」

 

「悪魔さん?」

 

「……冗談だよ冗談。だから怒らないでほしいなしほりん!」

 

「いや、王様の場合は冗談に聞こえないんすよ。てかすっげぇ、此処が鬼の里か……ん? グラム、どした?」

 

『ナに、むカしはこノようナ光景だッたとオモッテいただけヨ。そレよりも我ガおウよ! はやク我らのちカらをつカうのダ! まちキれんゾ!』

 

「お前はもう少し待つことを覚えろ」

 

 

 鬼の里の雰囲気を楽しんでいる犬月達と共に進んでいき、辿り着きました恐怖のお屋敷! あぁ、自分で言いだしたこととはいえしばらくお世話になると思うと今すぐ帰りたい……肉食系の人妻が居るお屋敷とか童貞奪われる未来しか見えない。あとついでに前回の殺し合いの報酬がまだ貰えてないからなおさらヤバイ気がする……! よし! いざとなったら犬月を生贄に差し出そう! むしろこれしかないな!

 

 

「ここが花恋さんのお家ですか……?」

 

「そうだよ。にしし! こう見えてもお嬢様って奴さ、さてと……伊吹、今帰ったよ」

 

 

 その言葉で使用人と思われる鬼達がやってきて一斉に頭を下げ始める。お帰りなさいませ伊吹様、イバラ様、若様と言葉が続いていくけど……なんで若様? おい、四季音姉? マジでどう言う事だ? おい、目を逸らすな! ちゃんと俺の目を見ろ! お前……マジで何やった!?

 

 

「花恋」

 

「な、なんだぁい? そんなこわ~いかおをするとのわーるぅ~にきらわれるよぉ?」

 

「あとでお話しをしよう」

 

「い、いいよぉ~さ、さてと! 早く母様に会わないとね! 下手するとげんこつが飛んでくるからね!」

 

 

 あの少女趣味、逃げやがった。まぁ、良いか……どうせ四季音姉と結婚するから若様とか呼んでるだけだろ。しっかし前にも思ったがデカいな……流石鬼勢力を率いる頭領が住む場所だ、威厳ってのがありやがる。さてさて……今日から楽しみだなぁ! これから加減無しで殺し合いが出来ると思うと凄くワクワクしてきた!




観覧ありがとうございました!

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