翌日、登校している最中に、桃華は咲達に昨晩起こったことを伝えた。
咲「獣神?」
桃華「うん。うりー、クリがうぬ札だしよ(うん。ほら、これがその札だよ)」
桜花「うちも、ゲテモン神んことは聞おいやしたことがおすよ(私も、獣神のことは聞いたことがあるよ)」
咲「おいも、そや聞たこっがあっど(俺も、それは聞いたことがあるぞ)」
桃馬「えあいっ⁉咲ちゃんたーん聞いたくとぅがあんヌ⁉(ええっ⁉咲ちゃん達も聞いたことがあるの⁉)」
咲樹「昔、父さんから聞たんだ(昔、父さんから聞いたんだ)」
桜妃「うちもおとっつぁんさんさかい聞おいやしたわ(私もお父様から聞きました)」
ダイヤ「私も、その話は昔お父様から聞きましたわ」
果南「私も、おじいから聞いたよ」
鞠莉「私も、ママから聞いたわ」
桃華「偶然いりー、いりてぃや、可笑しいよ(偶然にしては、可笑しいよ)」
藍南「そう言えば、家は昔からこの地に代々続く『獣神使い』だって、おじいが言ってたな」
果南「ええっ⁉何時聞いたの⁉」
藍南「小学6年生の時かな。姉さんには、その時が来たら言うって言ってたけど。本来は、12歳になったら言う決まりらしいんだけど、姉さんは12歳になっても『魂』が宿った気配が無かったから、宿る時迄話さないって」
果南「どういうこと?」
ルビィ「お父さんが言ってたんですけど、この地の霊媒師は生まれつき魂っていうのが宿っているらしいんです」
愛莉「でも果南姉には、その力が宿って無かった」
鞠莉「それは可笑しいわ。沼津生まれの果南になら、絶対に宿る筈なのに」
果南「じゃあ、何で鞠莉には宿っているの?沼津生まれじゃないでしょ?」
鞠莉「ママが沼津生まれなのよ」
ダイヤ「でも、沼津生まれなんですから、宿らない筈がありません。だから果南さんのお爺様は、その様なことを仰ったのでしょう」
桃華「兎んかい角、オールー獅子んかい色々聞かねぇいと(兎に角、青獅子に色々聞かないと)」
咲「そうだな」
桃華達は、学校に着く迄議論を交わしていた。
放課後、怪現部では桃華が昨晩の出来事を話していた。
琴音「家も、獣神の話は聞かされたわ」
望「まさか皆獣神を知っているとばなぁ(まさか皆獣神を知っているとはなぁ)」
拓望「とても偶然とば思えないよ(とても偶然とは思えないよ)」
咲「かった、何者かが意図的に集めたのかもしれん(もしかしたら、何者かが意図的に集めたのかもしれん)」
桃華「オールー獅子んかい聞いてぃみよう。確か、呪文や・・・(青獅子に聞いてみよう。確か、呪文は・・・)」
そう言うと、桃華は青札を手にし、青獅子に教えられた呪文を唱え始めた。
桃華「オールーノ札んかい宿りし獣かむいよ、なま此処んかい力を解き放ち、我んかい力を与えたまえ!(青ノ札に宿りし獣神よ、今此処に力を解き放ち、我に力を与えたまえ!)」
『【獅子冷静】!【オールー獅子】!(【獅子冷静】!【青獅子】!)』
すると札は光を放ち、忽ちその光は形になっていった。
光が止むと、青く、鬣を棚引かせた逞しい獅子が現れた。
青獅子「おいらは青獅子、桃華に従う獣神、『
咲「従獣神・・・」
桃華「オールー獅子、姿が・・・・(青獅子、姿が・・・・)」
青獅子「それについては今から説明する」
青獅子はそう言うと、話し始めた。
青獅子「改めて、おいらは青獅子、獅子にシーサーの妖気が宿った獣神だ。まず、皆は獣神の生まれ方を知っているか?」
桜花「確か、こん世にいてるゲテモン、動モンが死んで、そこに妖怪ん妖気が宿る(確か、この世に居る獣、動物が死んで、そこに妖怪の妖気が宿る)」
優海「やけど、たやの動物は獣神にはなれへん。生前、善行を行った動物のみがなれるって言われとる(だけど、ただの動物は獣神にはなれない。生前、善行を行った動物のみがなれると言われている)」
青獅子「そうだ。じゃあ聞くが、獣神を従えることの出来る者は誰か、知っているか?」
詩音「『獣神使い』・・・・」
青獅子「そうだ。そしてお前達は、全国各地に散らばった『神谷家』の子孫だ」
全員「ええっ⁉」
成海「か、神谷家って・・・・」
桃馬「うちヌくとぅさー!(家の事じゃん!)」
陽菜「どんげいうこつ・・・?(どういうこと・・・?)」
青獅子「昔、お前達の家は元々、一つの家族だった。だが、とある事情でお前達の曽祖母、神谷
陽香「なじょして半分だげ散きやばせたの?(どうして半分だけ散らばせたの?)」
青獅子「そこまではおいらにも分からない。だが、何かあって龍子はああ言ったのだろう」
藍南「そうじゃなかったら、態々そんなことはしないんじゃないかな」
愛莉「そうだね。因みにその8人って誰の事なの?」
青獅子「その8人の内7人は、『神童』、『神城』、『赤城』、『松風』、『浜崎』、『坂東』、『日下』と姓を変えている」
呼ばれた14人はビクリと反応した。
青獅子「そしてもう一人は、桃華、お前だ」
桃華「わん・・・(私・・・)」
桜妃「やて、残りん8人は一体どなたはんなん?(でも、残りの8人は一体誰なの?)」
青獅子「残りは・・・」
桃華達は衝撃の事実を知ることになる。
何故なら、とても身近に居る人達だったから。
青獅子「『松浦』、『小原』、『黒澤』、『高海』、『渡辺』、『桜内』、『津島』、『国木田』の8人だ」
藍南「えっ、それって・・・!」
愛莉「Aqoursの皆だよ・・・!」
桃華達は自分達の部室の壁を見た。その壁の向こうはスクールアイドル部、即ちAqoursが活動している部室であった。
青獅子「どうした?」
藍南「青獅子が言ってる8人は、僕と愛莉、そして、この壁を挟んで向こうのスクールアイドル部で活動している姉さん達のことなんだよ!」
青獅子「何だと⁉こんな身近に居るとは思わなかった。探す手間が省けた。直ぐにでも事情を話した方がいいだろう」
桃華「分かった!」
桃華がそう言っていると、外から声が聞こえてきた。Aqoursの面々が練習を終えて部室に戻ってきたのだ。
咲「どうやら戻って来たみたいだぞ」
桃華はAqoursに事情を話す為、部室を飛び出した。
午後5時、Aqoursは練習を終え、屋上から体育館にある部室に戻って来た。
浦女の最終下校時刻は、今は7月なので6時である。本来なら、30分前に戻って来るのだが、偶には練習を休もうということで、何時もより早く戻って来たのだ。
?「もうちょっと練習したかったなぁ」
そう言うのは、Aqoursのリーダー、
果南「まあ、偶には休息も必要だよ」
果南がそう言った次の瞬間、
桃華「おーい!んなぁー!(おーい!皆ー!)」
桃華が果南に焦った様子で話しかけてきた。
果南「どうしたの?そんなに焦って」
桃華「んなぁ、なま直ぐうちヌ部室んかい来てぃ!事情や後であびゅんから!(皆、今直ぐうちの部室に来て!事情は後で話すから!)」
果南「えっ、ちょ、ちょっと⁉」
桃華はそう言うと、果南の手を取って部室に向かって走って行った。
鞠莉「桃華、どうしちゃったのかしら・・・」
ダイヤ「兎に角、桃華さんの言う通りにしましょう」
Aqoursは怪現部の部室に向かった。
果南「もう、一体何なのさ」
咲「すまんな、一でしなものじゃっで(すまんな、一大事なものだから)」
桜花「桃華はん、ようちょい落ち着こうね(桃華はん、もうちょっと落ち着こうね)」
桃華「以後、気を付けます」
桃華達が話していると、他のAqoursメンバーが入ってきた。
望「あっ、皆」
鞠莉「話ってなあに?」
ダイヤ「あんなに慌ててたのですから、相当大事な話なのでしょう?」
桃華「うん。なまからあびゅんね。オールー獅子、説明頼んだしよ(うん。今から話すね。青獅子、説明頼んだよ)」
青獅子「おう」
Aqours「ええっ⁉」
説明を受けたAqoursは、かなり困惑していた。
千歌「まさか皆、同じご先祖様だなんて・・・」
知らない読者の為に、メンバーの紹介を交えながら状況を説明しよう。
まず、最初に呟いたのは、先ほども紹介した、Aqoursのリーダー・高海千歌。2年生。
?「
?「曜ちゃんの言う通りね」
?「ということは、皆家族みたいなものずら?」
?「皆が家族・・・・、嬉しいなぁ」
黒澤ルビィ。ダイヤの妹で、同じく1年生。
?「何吞気なこと言ってんのよ」
あと3人は、ルビィの姉、黒澤ダイヤ、藍南の姉、松浦果南、愛莉の姉、小原鞠莉である。皆3年生である。
9人共反応は違えど、困惑しているのは同じだった。
青獅子「しかし、本当にそっくりだ・・・」
桃華「へっみ?(へっ?)」
青獅子「皆、似ているんだ。お前達の祖母に」
咲「おい達のうんぼ?(俺達の祖母?)」
桜花「そない言うたら、わいらん曽おばーさんには16人ん娘がおるって言うとったどすやろ(そう言えば、私達の曽祖母には16人の娘がいるって言ってたよね)」
青獅子「ああ、若い時のあいつらによく似ている」
千歌「聞きたいなぁ」
曜「千歌ちゃん?」
千歌「若い時のお祖母ちゃんの話聞きたい!」
梨子「私も、気になるなぁ」
ルビィ「ルビィも・・」
花丸「マルも、何時も一緒に暮らしているお祖母ちゃんが、若い時どんな感じだったのか、知りたいずら」
善子「若い時の、お祖母ちゃん。どんな感じだったんだろう」
ダイヤ「若い時のお祖母様・・・」
鞠莉「私もyoungの時のgrandmaを知りたいわ」
果南「若い時のおばあか。知りたいな」
桃華「やしがさ。話してとらせるみ?(だってさ。話してくれる?)」
青獅子「そんなに言うなら、話してやろう」
青獅子は、話し始めた。
青獅子にとっては、懐かしい思い出話を・・・・。
今回も楽しんで頂けたでしょうか?
方言についてですが、これは方言変換サイトを使って、作者が独断に訳したものです。知っていて違和感を覚えた方については申し訳ありません。これも一つの味と捉えて頂ければ幸いです。
次回から、青獅子が、桃華達の祖母について話します。