スーパーロボット大戦J ムーンデュエラーズ   作:YSK

15 / 34
第12話 地獄城の激闘から鉄甲龍壊滅まで

──地獄城の激闘!──

 

 

 

 北欧より帰還した統夜。

 無事を喜ぶ仲間の中に、マサト達(ゼオライマー)の姿がないことに気づいた。

 

 統夜達を迎えに行っている間、機械獣の襲撃があり、それに対応して出撃した結果、またもう一人のマサトが現われ、ついに完全な命令無視をはじめてしまったのだ。

 

 帰還命令を無視し、マサトはラスト・ガーディアンに戻ってしまった。

 

 

 軍が厳重抗議をしているが、反応はないという……

 

 

 ラスト・ガーディアンに戻り、もう一人のマサトの言動を見た沖は、ある人物を思い出す。

 もう一人のマサトの言動にショックを受けた美久は、逃げるようにラスト・ガーディアンを飛び出し、ハウドラゴンに捕まってしまった。

 

 ハウドラゴンの首領、幽羅帝の前に突き出された美久。

 彼女は、美久に「お前は何者か?」と問う。

 

 元々天のゼオライマーは一人乗り。そのパイロットはこの幽羅帝か木原マサキ。すなわちそのクローンの秋津マサトのみ。

 だというのに、もう一人のパイロットがいるのはおかしいと彼女に問い質したのだ。

 

 しかし、美久はなにも答えない。

 口をつぐんだまま、幽羅帝の責めに耐え続けるのだった……

 

 

 一方その頃、Dr.ヘル(マジンカイザー)の本拠地が判明する。

 Dr.ヘルも、刻々と変わる地球の情勢に我慢が出来なくなり、ついに本拠地をもってナデシコを奪い、その勢いでさらにオルファン(ブレンパワード)を乗っ取って世界を我が物にするため動き出したのだ。

 

 それを察知したミスリル(フルメタルパニック)からの情報提供により、特務分艦隊は日本を攻撃される前にDr.ヘルの本拠地。地獄島を迎撃するため動き出した。

 

 ナデシコとアークエンジェルが地獄島に発見されるよう姿を現し、機械獣を多くひきつけ、その隙に先行して甲児達マジンガーチームとマオと宗介が地獄島へ乗りこんだ。

 

 数の減った機械獣を破壊し、彼等は地獄島に攻めこんで行く。

 

 

 しかし、宗介の前に、生きていたガウルン(フルメタルパニック)率いるアームスレイブ集団が現われた。

 

 

 戦慄と衝撃のまま戦い続ける甲児達。

 

 

 そこに八卦ロボまで現われ、さらに誘拐された美久を欠いた、性格が豹変したままのマサトを乗せたゼオライマーまでもが姿を見せた。

 

 攻撃の衝撃で元のマサトが一時的に現われることもあったが、その主人格はもう、凶暴なマサトと言っても過言ではないほど、その体を支配している状態だった。

 もう一人のマサトは、さらわれ居ないはずの美久を呼び戻し、自身を憎む八卦ロボに襲い掛かる。

 

 

 激闘に次ぐ激闘。

 

 

 マオのアームスレイブ、M9ガーンズバックはガウルンの攻撃から宗介をかばい破壊され、さやかのビーナス、鉄也のグレートマジンガーさえもが破壊されてしまった。

 

 グレートマジンガーさえ破壊したDr.ヘルの切り札。あしゅら男爵をその身に組みこんだ地獄王ゴードンの出現に、かのマジンカイザーさえピンチに陥ることとなった。

 

 その時、マジンカイザーの翼。カイザースクランダーが飛来し、その真の力を解放させる。

 

 

 真の力を解放したマジンカイザーは圧倒的だった。

 

 

 決死のあしゅらの覚悟さえ蹂躙し、マジンカイザーは圧倒的なパワーを見せ、Dr.ヘルの野望はここに潰えることとなった。

 

 敗北を悟ったDr.ヘルはこの地獄島を自爆させる。

 作動を察知した特務分艦隊は島を離れ、それが海の藻屑へ還るのを確認した。

 

 

 ついに、地球征服を企んだDr.ヘルとの戦いに、終止符が打たれたのだ……!

 

 

 

──奪われた女神──

 

 

 

 地獄島が自爆しようとする中、しぶとく生き残っていたガウルンがミスリルに投降していた。

 最新鋭を超える防衛システムを誇るトゥアハー・デ・ダナンに捕らえられたはずだったが、ガウルンはやすやすとそれを乗っ取ってみせた。

 

 いくらブラックテクノロジーを用いて作られた潜水艦といえども、やはり使うのは人。その人を篭絡され穴を作られては手の出しようもない。

 

 ガウルンの投降は、ダナンを乗っ取るための計略であった。

 新たな艦長に命令されたダナンは、ザフトの勢力圏に向け移動をはじめるのだった……

 

 

 

 一方その頃、秋津マサトは再びラスト・ガーディアンに戻っていた。

 

「……木原マサキか?」

 沖は、戻ったマサトの顔を見て、そうつぶやいた。

 

 前から疑問に思っていたが、今ついにその疑問を口にしたのだ。

 

「そうだ。俺はあの頃、偶然から奴等の存在を知ってしまった。俺が王となるには、奴らも倒さねばならない。だから俺はゼオライマーを作った。だが鉄甲龍にいようとそうでなかろうと、志半ばで殺されることも予想していた。俺は、俺の死後発動するいくつかの布石をうった。その結果の一つが、俺だ」

 

 そしてやはり、マサトのもう一つの人格。それは木原マサキそのものだった。

 

 

 遅れて入ってきた美久が、マサトはどこに消えたのかを問う。

 幽羅帝に幽閉されていたが、彼女はマサキの求めに応じ戻ってきた。

 

 なぜなら彼女こそが、ゼオライマーの次元連結システムそのものだからだ!

 

 

 マサキは、美久の問いに答える。

 

 

「俺が、マサトだ。いや、お前の言う“マサト”はもうどこにもいない。この体は元々俺のクローン。クローンが成長し、ゼオライマーのコックピットに座って八卦衆と戦った時、木原マサキとしての全人格が甦るようプログラムしてあったのだ。俺は、木原マサキだ」

 

 残酷な宣告だった。

 それはつまり、秋津マサトはもう消えてしまったということ。

 

 ショックを受ける美久を尻目に、沖はマサキに連合への協力を打診する。

 このままではこのラスト・ガーディアンは連合に攻められ、壊滅させられてしまうからだ。

 

 

 だが、マサキにそんなことは関係なかった。

 マサキにとって、この場所など欠片も思い入れはないからだ。

 

 

「あなたはハウドラゴンと戦うために、ゼオライマーを奪ったのではないのですか? それに異星人だって……」

 

「ハッ。俺がそんな善人に見るか? 異星人は確かに邪魔だが、俺にとっての問題は奴らだけだ。俺が復活した以上、それ以外などどうとでもなる。だが動くならあのグランティードとパイロットともども手に入れてからだな。あれは使える」

 

「え……? まさか、あの敵……?」

 

 完全復活を果たしたマサキに敵はない。

 唯一の懸念は、そのグランティードがあればどうにでもなる。そう言っているように見えた。

 

 それはつまり……

 

 

「それから……ラムダ・ドライバとその応用理論……あのウィスパードの娘だ。それだけそろえば地球圏どころか異星人どもの星も……うぅっ、くそ、頭が……」

 

 突然襲ってきた頭痛に、マサキは頭をおさえる。

 

 

「マサト……くん……?」

 

「触るなッ!」

 

 伸ばした美久の手を跳ね除け、マサキはゼオライマーへと向かう。

 

 

「くぅっ……くそっ。沖よ、俺は、俺の好きにやらせてもらう。誰にも、邪魔はさせん……!」

 

 

 そう言い、マサキはゼオライマーに乗り、再びどこかへ去ってしまった。

 

 

 

 ザフトの勢力圏内に入ったトゥアハー・デ・ダナンはザフトの潜水部隊に捕捉されてしまっていた。

 そこへ、事態を把握したナデシコとアークエンジェルが到着する。

 

 ダナンの艦長に納まったガウルンからの自己紹介を受けつつ、統夜達はこちらにもザフトにも攻撃を仕掛けるダナンを守り、ザフトと戦うこととなる。

 

 ちなみに、今回から両手が治った豹馬率いるコン・バトラーVと、オリジナルのグレートマジンガーに乗った鉄也が戦線に復活した。

 

 

 ダナンを守りながら戦う統夜達。

 

 ダナンの船内では、もう一人のウィスパード、かなめの奮闘によりそのコントロールは取り返され、ガウルンは搭乗機ヴェノムごと艦外に放り出されることになった。

 

 

 近くの島に降り立つガウルン。

 そこには八卦ロボ(ゼオライマー)とガウルンの仲間が控えており、姿を現した。

 

 こうしてジャックが失敗するのも、ガウルンにとってはゲームのうちだったのだ。

 

 

 ガウルンとの決戦が改めて再開される。

 

 

 しかし、八卦ロボの登場に、ゼオライマーも姿を現した。

 木原マサキとなったマサトは、ゼオライマーの力をフルに使い大暴れをはじめる。

 

 全ての八卦ロボを撃退し、高笑いをあげるマサキだったが、突如頭痛がひどくなり、ついには気絶してしまった。

 

 艦に回収されるマサト。

 

 

 一方倒されたガウルンは、Dr.ヘルよろしく上陸した島ごとみずからを自爆させ、木っ端微塵となる。

 こうして、自分の命さえゲームのコマとしか思わなかった男は消え、トゥアハー・デ・ダナンハイジャック事件は終了するのだった……

 

 

 

──さだめの楔──

 

 

 

 トゥアハー・デ・ダナンを奪還し、テロリストを退けたのもつかの間、今度はザフト(ガンダムSEED)の追撃が迫っていることを知る。

 どうやら最初に戦った部隊から情報が回っており、今の状態ではダナンが逃げ切れないことが判明する。

 

 ナデシコ達が囮となるか、それとも3艦まとまって迎撃するかの選択となり、彼等は3艦での迎撃を選んだ。

 

 

 この場を脱出するため、自分達に有利な場所で迎撃態勢をとる。

 

 

 姿を現したザフト軍の中には、盗まれた4機のガンダムもふくまれていた。

 

 もう何度目の対戦だろうか。

 いい加減しつこいと言う者が出てきても不思議はないだろう。

 

 

 激闘の最中、キラは乗るストライクガンダムで、親友であるアスランの乗るイージスガンダムへ銃口をむけることとなった。

 彼が引き金を引いたその瞬間、ブリッツガンダムがその射線に飛びこみ、イージスガンダムをかばった。

 

 その一撃に貫かれたブリッツは破壊され、イージスは撤退に成功する。

 

 

 隊長機であるイージスが撤退したことにより、ザフトは総崩れとなり全てのザフト軍はこの場から撤退した。

 

 

 格納庫に戻り、ついに盗まれたガンダムが一機破壊できたことに喜ぶアークエンジェルの面々だったが、キラの表情は暗かった。

 

 だが、キラが倒したブリッツガンダムは友でもなく、知り合いでもない。

 それでもキラは、イージスを撃とうとした自分に、それをかばった人を討った自分に、ショックを受けていたのだ。

 

 しかしそんなことを考えていては、敵を倒すことなど出来ない。

 巡り巡って自分が死ぬこととなる。

 

 だが、それを覚悟して戦いに身を投じたエイジや勇とは違い、巻きこまれただけの彼は、それをそうだと簡単に割り切ることは出来なかった。

 

 皆、キラの心を心配し、なんとか力になれないかと考えるのだった……

 

 

 ザフトを退け、特務分艦隊は無事、日本へと帰還する。

 

 

 無事に戻ったのはいいが、拘束されたDボウイについてなんの情報も降りてこないことにノアル(テッカマンブレード)が憤っていた。

 もうガマンできない。こうなったら直接乗りこんでやると動こうとし、軍人仲間に止められるということを繰り返している。

 

 そんな中、「そういえば」と、ユリカがあることを思い出した。

 

 なんとノアルの上司であり、Dボウイ拘束からなんの情報もよこさないフリーマンからエイジ(レイズナー)を外宇宙開発機構の本部がある北米までつれてきて欲しいと言われていたそうなのだ。

 

 Dボウイが拘束されているのも、同じく北米。

 

 渡りに船だと、ノアル達はそれについてゆくことにした。

 

 しかし、だからといって戦艦を動かすのもいかがなものかという意見も出た。

 

 

 が、ルリが独り言を口にし、ナデシコで急行しようということになる。

 

 

 それは、今まで敵テッカマンはDボウイのいるところにしか現われていないという事実だった。

 ラダムの目的はなんなのか今だはっきりとしないが、テッカマンの目的は明らかにブレード、裏切り者の排除。それにしか動いていない。

 つまり、Dボウイを拘束しているということは、そこがテッカマンに襲われる可能性が高いということになる。

 

 今はまだ、前回の暴走でブレードは連合に倒されたと思っていたのかもしれない。しかし、そろそろブレードの生存に気づいてもおかしくないだろう。

 

 となれば……

 

 

 と、ルリは独り言を口にしたのだ。

 

 それも名目とし、ナデシコはエイジとノアル達をつれ、一路外宇宙開発機構のある北米へ向かうことにする。

 

 

 

 統夜はナデシコに乗り北米にむかうか、それともアークエンジェルと共に日本に残るかの選択を迫られた……

 

 

 

──北米に向かう選択──

 

 

 

「統夜、お前はどうするんだ?」

 向かうか残るかを仲間達が選択する中、統夜にもその質問が回ってきた。

 

 

「そうだな……」

 

「統夜、アタシDボウイを助けに行きたい。行こうよ」

 

 考えこむ統夜に、テニアがはい。と手を上げる。

 彼女はDボウイのことを多く気にかけていた。心配なのも当然だろう。

 

「そうだな。俺も彼のことは気になるし……ナデシコと一緒に行くか」

 

「じゃ、決まり!」

 

 

 

──残留する選択──

 

 

 

「マサトのこともあるし、俺はこっちに残るよ」

 

「そっか。マサトと美久もいろいろアレだもんね……」

 

 

 こうして、統夜達は日本に残ることを決めた。

 

 

 

──戦慄! 五人のテッカマン──

 

 

 

 ナデシコルート。

 

 

 北米にある外宇宙開発機構本部にやってきたナデシコの面々。

 

 そこでは、エイジのレイズナーの強化プランが進んでいた。

 

 変形機構を組みこみ、機動性を大幅に上げるか、基本スペックの底上げをするか。二つある強化プランから、エイジは好きな方を自由に選ぶことができた。

 

 エイジの選択により、レイズナーの強化がはじまる。

 

 

 同時に、Dボウイのこともナデシコの面々から追及されるフリーマン。

 しかし、その件となると途端に口を閉ざしてしまうのだった。

 

 

 これではラチがあかないと、Dボウイが拘束されているというソルトレイク基地への潜入を計画する面々。

 しかし、大人数では逆に見つかるということで、ノアルとアキの二人が潜入にむかうのだった。

 

 それを察していたフリーマンの手引きにより二人はDボウイのところまで行くことに成功する。

 

 

 時を同じくして、ブレードの生存を察知したテッカマンエビルが、ラダム獣を率いてそのソルトレイク基地を襲撃してきた。

 

 

 ラダム獣を使いブレードをおびき出そうとするエビル。

 基地にいたコルベットはソルテッカマンなどを出撃させ迎撃するも、ラダムの猛攻に手も足も出ず、基地は壊滅の憂き目を見ることとなる。

 

 

 ナデシコが到着した時残っていた戦力は、勝手に拝借して迎撃に出たノアルが駆るソルテッカマン2号機だけだった。

 

 

 戦力は失われても基地の中にはまだ多くの生存者がいる。

 

 基地を救うため出撃を開始する統夜達。

 

 

 その時、統夜達はカワサキに現われたあの敵が現われる未来が見えた。

 

 

 皆にそのことを警告し、統夜達は出撃する。

 今度こそ、自分達の謎を明かすために……

 

 

 アキの要請により、ぺガスがDボウイの元にむかった。

 だが、Dボウイは自分の中に眠る悪魔を恐れ、変身することを拒絶する。

 

 彼はまた悪魔と化し、仲間を傷つけることを恐れたのだ……!

 

 

 だが、ナデシコも現われ基地の抵抗が激しくなると、ラダム獣に任せていたエビルが再び姿を現した。

 さらに、その周囲に人影があり、彼等はテッカマンアックス、テッカマンソード、テッカマンランスにテックセットしたのである。

 

 一度に四人ものテッカマンが、裏切り者のブレードを殺すため、ソルトレイク基地に集結したのだ!

 

 

 エビル以外の更なるテッカマンの襲撃を察知したDボウイ。

 しかし、それでも変身に踏み切れない。

 

 

 だが、アキの必死の説得により、Dボウイは人でいられるその30分を、アキのために使おうと決意し、ブレードとして四人のテッカマンの前に立ちふさがるのだった!

 

 

 戦線にブレードが加わり、勢いを得たナデシコは、皆で力をあわせテッカマンをふくめたラダムすべてを撃退し、基地を守りきることに成功する。

 

 基地の機能はほぼ失われたが、コルベットをふくめた多くの人間を助けることは出来た。

 

 

 彼等に、この基地から避難することを勧める。

 

 

 

 なぜならそこに、統夜が見た未来の通りの敵が現われたからだ……

 

 

 

──怨念の終焉──

 

 

 

 アークエンジェルルート。

 

 

 北米にむかったナデシコを見送り、日本に残ったアークエンジェル。

 

 

 その中で、先の戦いで意識を失っていたマサトが目を覚ました。

 

 目を覚ました彼は、あの木原マサキの人格ではなく、統夜達の知るマサトであった。

 

 しかし、口を開いたマサトから出たのは、自分はマサキでもマサトでもないという言葉だった。

 

 

 秋津マサトは、木原マサキのクローンだ。

 そして、ゼオライマーにはマサキの全人格と記憶がインプットされていた。

 

 それにより、マサトの体におのれの記憶を移し、復活しようとしたマサキだったが、15年間平凡な少年として生きてきたもう一つの人格を侮っていた。

 木原マサキの野望に引きずられ、その人格の中でずっと悲鳴をあげていた少年の記憶が、彼をマサキでもマサトでもない存在に変えてしまった。

 

 今の彼は、マサキであり、マサトでもあるのだ……

 

 

「僕は、誰なんだ……」

 

 

 マサトがつぶやく。

 

 

 しかし、彼の仲間は、統夜達はその少年をマサトだと断言した。

 そもそも、目つきからして口調からして違う。

 

 今彼等の目の前にいる少年は、マサトにしか見えなかった。

 

 心優しい、戦いに悩む元の少年にしか……

 

 

「お前は木原マサキって奴の記憶をもっているってだけで、本質は秋津マサトなんだ。それでいいじゃないかよ」

 

 甲児が、そうまとめる。

 

 

「でも僕は、ゼオライマーがある限りまたあの木原マサキになってしまうかもしれない。それならいっそ、消えてしまった方が……」

 

 

 彼は思い詰めていた。

 しかし、諦めることは仲間が許さない。

 

 なにより、彼のパートナー、美久が涙を流し、生きてと叫ぶ。

 

 

「ゼオライマーから離れて暮らしましょう? そうすれば……」

 

 

 美久が、そう懇願する。

 ゼオライマーにさえ乗らなければ、人格が変貌することはない。

 

 マサトを犠牲にしてまで戦うなんて、彼の仲間も許すわけがなかった。

 

 

 マサトはもう戦わなくていい。あとは俺達に任せろと、甲児達はマサトに告げた。

 

 

 

 しかし、宿命はそれを許さない……

 

 

 

 連合に鉄甲龍(ハウドラゴン)の長、幽羅帝からある宣言が出された。

 それは、これより地球圏を滅亡させるという、にわかには信じがたい声明であった。

 

 多くの者は歯牙にもかけずただのたわごとだと切り捨てる言葉だろう。

 

 

 だが、そう話しているところに直接その幽羅帝が通信を割りこんできたとなれば、話は別だ。

 

 

 分艦隊の面々が話をしていたところは、かつてハウドラゴンが運営していたフロント企業。国際電脳ネットワーク壊滅の一件で警戒し、そのネットワークを排除したはずの場所だった。

 そこでさえ完全に排除しきれず、基地という警備の厳しい居場所に易々と幽羅帝の侵入を許すのだから、その宣言──ネットワークを自壊させ、それに関わる全てを自爆させる──というのははったりではないと理解できた。

 

 今、この地球圏でそんなことをされれば、異星人やラダムに有利に働くだけである。

 

 それでも彼女は、計画を実行すると断言する。

 

 

 幽羅帝は、秋津マサトを指名し、全ての決着を望んだ。

 

 

 それは、彼女自身もまた、マサトと同じく木原マサキのクローンであり、その器であったと知ったからであった。

 彼女の野望も考えも、すべて木原マサキの掌の上。

 

 ならばと、彼女は全ての破滅を願ったのだ……

 

 

 タクラマカン砂漠。

 そこに、ハウドラゴンの要塞はあった。

 

 地下に隠れていた巨大な要塞が姿を現し、地球圏の破滅を今か今かと待ち構えている。

 

 

 到着したアークエンジェルは、幽羅帝の野望を阻止するため、出撃を開始した。

 その出撃の際、統夜達はまた未来を垣間見る。カワサキに現われた奴等が来るのが見えたのだ。

 

 皆にそのことを警告し、統夜達は出撃する。

 

 今だわからない、自分達の謎を知るために。

 

 

 アークエンジェルをまず出迎えたのは残る3機の八卦ロボだった。

 

 それをすべて撃破することで、ついに鉄甲龍(ハウドラゴン)の長、幽羅帝がじきじきに姿を現した。

 

 天のゼオライマーと同性能。いや、下手をするとそれをこえる力を持つ機体を操る幽羅帝との戦いは熾烈を極める。

 

 

 しかし、仲間であったはずの八卦ロボとも連携しない彼女と、多くの仲間と協力するマサトでは、総合力が違った。

 

 

 全てを終わらせるマサトの一撃が幽羅帝を捕らえると、彼女は崩壊する機体と共に要塞の奥へと消えた。

 

 それは、地球圏のネットワークを暴走させ、破壊する最後の計画を実行するためだ。

 

 

 皆に背中をおされ、それを追うマサトと美久。

 

 

 統夜達は残った敵を片付けるため、戦闘を再開した。

 

 残った敵を全滅させると、要塞は崩壊する。

 

 世界のネットワークは無事だ。

 幽羅帝の野望は潰え、その望みはかなったのである……

 

 

 要塞の奥へ消えたマサトを探しに行こうとするアークエンジェルの面々であったが、統夜が予見したとおり、そこにあの敵が現われるのだった……

 

 

 

 

 第12話終わり

  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. よみあげ
  11. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。