スーパーロボット大戦J ムーンデュエラーズ   作:YSK

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第21話 その男達の狂気

──カティア──

 

 

 

 大気圏を抜け、私達は宇宙へ出た。

 

 連合の追跡は今のところない。

 てっきり最初に火星へ行こうとした時のように追いかけてくるかと思ったのだけど、そうはならなかった。

 

 どうやら連合の方もオーブを襲撃するみたいな大掛かりな行動は出来ても、私達だけを追うという綿密な行動がとれなくなっているようなのだ。

 

 連合のやっていることも行き当たりばったりになってきているようにも感じ、今回はそれに助けられたけれど、全体を見るととても危険な兆候にも思えた。

 一部の強硬派が権力を握ったから。という理由もあるのでしょうね。

 

 

 順調に宇宙を進んでいると、オモイカネが前方で正体不明のエネルギー反応を感じ取った。

 すぐに消えたみたいだけど、万一無人攻撃衛星の類が隠れているとすれば、迂回する必要があって余計なエネルギーと時間をロスすることになる。

 

 ここからでは距離がありすぎるからと、エイジ君と久しぶりに宇宙に出ることになったゲイルさんが宇宙の勘を取り戻すため哨戒に出ることになった。

 

 

 ……ゲイルさん。

 

 かつて火星で敵として出会い、地球でエイジ君に思いがけず撃墜されてしまった人。

 そして、ゲイルさんの仇を討つため、同じ機体に乗ってやってきたエイジ君の実の姉であるジュリアさん。

 

 いつ統夜君が戻ってきてもいいように、オーブでグランティードを修理していたあの時。

 この二人がエイジ君に会いに姿を現した時はみんなで驚いたものだわ。

 

 しかも、ゲイルさんが共に戦ってくれると言うなんて。

 

 

 どうやら二人は、海上で撃墜されたあと、ミスリルのトゥアハー・デ・ダナンに機体ごと回収され、オーブで正体を隠し治療してもらっていたらしいの。

 

 怪我が治り、私達があの時オーブに来ていると知り、力を貸すためやってきたと聞いたわ。

 

 

 この二人が生きていて、しかも私達と共に戦ってくれるというのだから、その時の皆の驚きと喜びったらなかったわ。

 テニアは自分のことのように喜び、あの冷静なエイジ君でさえ涙ぐんでいたのだから。

 

 エイジ君とゲイルさんの和解。

 

 

 あの日、私達はこうしてグラドスとの人とも手を取り合えるのだから、元々は地球人である木連の人達との和平も出来ると、大きな希望が持てた。

 

 この後統夜君も帰還して、ゲイルさんの無事を聞いてとても喜んでいたのが印象的だったわ。

 テニアと一緒で、気にしていたものね。

 

 

 エイジ君とゲイルさんが哨戒に行くと、そこには確かに人工衛星があった。

 

 エネルギー反応が増大しているから、最初は私達を捕捉しているのかと思ったけど、それは違った。

 

 

 その目標は、地球。

 

 

 ゲイルさんがそれの正体を知っていた。

 

 

 それは、グラドス軍の持ちこんだ兵器だった。

 

 オゾン破壊用、戦略グラン衛星。

 

 その名の通り、オゾン層を巨大レーザーで破壊するという広域破壊兵器だ。

 オゾン層が破壊されれば、宇宙からの紫外線や電磁波が直接地表に降り注ぎ、その地域は焼き尽くされて人も生き物も住めなくなってしまう。

 

 以前グラドスの惑星ネメインというところで使われて、惑星を滅ぼしたというグラドスでさえ禁忌に指定する大量破壊兵器。

 

 そんな兵器を地球に向かって使おうなんて、グラドス軍はなにを考えているの!

 

 こんなとんでもないことをしようだなんて、やろうとした人は間違いなく人でなしね!

 

 

 二人からの連絡を受けて、私達は大急ぎで現場に向かう。

 

 

 ナデシコがそこに到着した時には、もう発射寸前で、エイジ君が4機ある増幅器のうちの一器を破壊して発射を阻止してくれていた。

 

 それでも、一時的に防いだに過ぎない。

 他の三つも破壊し、発射を完全に止めなければ、地球は誰も住めない死の星となってしまう。

 

 

 私達は急ぎ、出撃することにした。

 

 

「カティア」

 サブシートに座った私に、統夜君が声をかけてきた。

 

 なにを言わんとするか、すぐに理解する。

 

「大丈夫よ。あなたの思うように動かして。あとは私があわせるから。私だって、いつまでもついていけないなんて弱音ははかないわ」

 

「ああ。なら全力で行く」

「ええ。あんなもの、絶対地球に撃たせるわけにはいかないもの」

 

「ああ!」

 

 

 私達の出撃と同時に、グラドスの護衛も姿を現した。

 

 ゴステロもいる。

 彼も火星からのつきあいだけれど、本当にしつこい男だと思うわ。

 

 彼は生きていたゲイルさんを見つけ、狙ってきた。

 

 危ない!

 と思ったけど、それは私達の杞憂だった。

 

 怪我のブランクも久しぶりの宇宙も感じさせず、サイボーグになったあのゴステロをものともせず撃退してしまったのだから。

 敵の時は恐ろしいくらいだったけど、味方になってこれほど心強い人はいないわ。

 

 

 護衛機を倒し、他の増幅器も破壊するとさらに増援が現われた。死鬼隊と呼ばれるエースパイロットの一団と、元連合軍将校。シャピロまで現われた。

 

 獣戦機隊の忍さんがこの作戦は彼が考えて実行したものだろうと断言する。

 

 

 そう。地球人だというのに、地球を滅ぼす作戦を実行するなんて、彼は本当に人でなしなのね。

 さやかと一緒にそう罵ってやろうかしら。

 

 

 私達は、今回の元凶にむかい武器を構える。

 今回は、手加減なんてしないわ。痛い目を見て少しは反省すればいいのよ。

 

 ……しないのだろうけど。

 

 

 現われたグラドス軍を全て倒し、私達はオゾン層破壊を阻止することに成功した。

 

 危なかった。ここで阻止できなければ、取り返しのつかない事態になっていたかもしれないわ。

 

 

「大量破壊兵器が表に出てくるのは、戦争が泥沼化している証拠だ。なにかの兆候でなければいいがな」

 

 と、オーブが崩壊する前、ダンクーガと合体しファイナルダンクーガを構成するブラックウイングを操縦するアランさんがつぶやく。

 

 確かに、嫌な予感がします。

 どうか、この予感が外れていますように……

 

 

 グラドス軍も活動を本格的に再開したこともあり、私達は木連との和平を急ぐことにした。

 かつて連絡をとった通信機を使い、指定された合流ポイントへ向かう。

 

 

 

──カティア──

 

 

 

「ねえ、統夜君」

 

 これは、オゾン層破壊阻止の戦いが終わった直後のこと。

 戦いが終わり、ナデシコに戻るところで私は統夜君に声をかけた。

 

 

 統夜君が戻ってきてすぐボアザンとデビルガンダムとの決戦があり、それから連合軍の追撃を逃れて宇宙へ。さらに今回のとゆっくり話をしている時間は少なかった。

 その上、二人きりで話をしたいと思ったらその機会はさらに少なく、戦いも終わった今がそのチャンスだと私は考え、統夜君に声をかけたのだ。

 

「どうした?」

 

 

「ごめんなさい。あの時聞いてしまったの。統夜君とシャナ=ミアさんが格納庫で話していたことを……」

 

 私の言葉に、統夜君がしまった。という顔をした。

 

 

「……聞いてたのか。メルアと、テニアもか?」

 

「いえ。あの時聞いていたのは私だけよ。だから、こうして二人で話したかったの」

 

「ああ、そうか」

 

 ここで口にした理由に納得がいき、統夜君がうなずいた。

 

 

「……私達を逃がすためにあの場に残った人。それが、統夜君のお父さんだったのね」

 

「シャナ=ミアが言うにはそうらしい」

 

 

「二人は、私達のことを考えて、秘密にしておいてくれたんでしょう?」

 

「ああ。お前達に責任を感じて欲しくてなくてさ。いくら俺がお前達の責任じゃないと言っても、きっと責任を感じてしまうだろうからな」

 

「そう、ね……」

 

 でもそれは、あなたにも言えること。

 それをあなたは一人で抱えこんで、自分はそれでいいと思っているんだから。

 

 もう。

 

 まったくもう!

 

 

 お姉さんはそんな統夜に怒ってます。

 

 

「あなたが私達に秘密にしようと提案したのは感謝しているわ。でも、いいの」

 

「え?」

 

「あなただけが背負わなくていいのよ。お願いだから、私達にも背負わせて欲しいの」

 

「でも……」

 

 

「そうじゃなかったら、私達は私達を助けてくれたあの人に感謝もできないわ。統夜君。あなたは優しいけど、その優しさは私達を侮辱している。私達だって、私達を生かして散った人のことを知らないままでいいなんて思わないわ」

 

「あっ……」

 

 

 私の言葉を聞いて、統夜君ははっとしたように顔を上げた。

 彼はこちらを振り返る。

 

 

「だから、統夜君。私達に感謝をさせて。あなたのお父さんに、命を救われたという事実を……」

 

「……」

 

 そう。あの人を死に追いやったのは確かに私達が原因。

 でも、あの人のおかげで、私達は助かった。

 

 私達はそれを背負い、きちんと感謝しなくちゃいけない。

 

 それが、生き残った者の義務なんだから……

 

 

 この想いはきっと、テニアもメルアも同じ。

 むしろ、どうして教えてくれなかったのなんて二人は怒るかもしれないわね。

 

 

「統夜君。私達だっていつまでも守られているばかりじゃないわ。だから、お願いよ。私達とあなたを、同じ高さに立たせて。守られるだけじゃなく、隣にいさせて」

 

 

 でもこれは、私のわがまま。

 統夜君の優しさを無視する、私のエゴイズム……

 

 でも、いつまでもあなたに守られているのはもう嫌なのよ。

 

 

「……わかったよ。ごめん」

 

 負けたよ。というように、統夜君はシートに身体を沈めた。

 

 

「ありがとう。統夜君。全部終わったら、私達のお父さん達と一緒に、弔いましょう」

 

 

「ああ。そうだな。みんな一緒に、お礼を言わないとな。そして、ありがとう。おかげで気が楽になった」

 

 統夜君は私の方を振り返り、重石が一つとれたような笑顔を見せた。

 

 

「いいのよ。それは、私も同じだから」

 

 私達の笑い声が、コックピットに響いた。

 

 

 私と統夜君との間を隔てていた壁が、また一つなくなったような気がした……

 

 

 

──テニア──

 

 

 

 木連との和平交渉のため、アタシ達は指定された合流ポイントを目指していた。

 そこはここからだと月近くを通るのが一番の近道で、回り道をするとなるとザフトの勢力圏に入るという所だった。

 

 今宇宙は敵しかいない。

 月付近はグラドスの勢力圏だし、フューリーの本拠地もあるし、ラダムの本拠地だってどこかにある。

 

 味方と呼べるのは今から会いに行く九十九の木連の和平派くらいだ。

 

 

 だから時間的な余裕もないアタシ達は、一番の近道を慎重に進むことにした。

 

 

 パイロットであるアタシ達は、敵が出なければやることはない。

 だからアタシ達は少しだけのんびり出来るわけだけど、Dボウイはそれどころじゃなかった。

 

 妹のミユキさんの傷は治っているんだけど、一向に目を覚まさなかったんだ。

 

 エビルにやられた傷はもう関係なく、テックシステムによって傷つけられた体の内部の異常が問題なんだって。

 ブレードをブラスター化したやり方で身体を作り変え、テックシステムに適応できるよう出来る限りのことをしているみたいだけど、成功の可能性は五分五分みたい。

 

 レインさんの見立てでは、近いうちに結論が出るから、心の準備だけはしておいて欲しいって……

 

 

 五分五分とはいえ、ダメになる可能性も良くなる可能性もゼロじゃないから、アタシ達もDボウイと同じく気が気じゃない。

 

 Dボウイがメディカルルーム前の廊下でうろうろしている。

 

 中に入ると思わず声を荒げちゃったりするから、外に出てるみたいだ。

 

 

 アタシもそれを見て、近くをうろうろしてる。

 

 統夜が落ち着けと言ってくれるけど、そう簡単には落ち着けないよ!

 

 

 せっかく家族と会えたのに、またお別れになっちゃうかもしれないなんて。

 

 でも、アタシ達に出来ることは奇跡を祈ることだけだ。

 

 

「ステイシス・ベッドさえあれば、対策の目処がつくまでの時間も稼げるのですが……」

 

 統夜と一緒にアタシを見守ってたシャナがポツリとつぶやいた。

 

 

「なにそれ?」

 

 ワラにもすがる思いで、シャナの言葉に飛びつく。

 

 

「中に入った者の時を止めるベットです。使えば、40億年でも同じ姿のまますごすことが出来ます。ラースエイレムはこの応用なんですが、この場にはありませんから……」

 

「あっ……」

 

 あるとすれば、月のフューリーの本拠地だ。

 でも、月の本拠地までとりにいけるわけがない。

 

「すみません。私の不用意な発言で希望を持たせるようなことを……」

 

 

「ううん。いいんだ。シャナが本気でミユキさんのことを考えてるってことだから」

 

 

「あの、かわりと言ってはなんですが、祈るのは得意です。私!」

 

 あわあわと、必死に考え出てきたのはそれだった。

 なんだこのカワイイお姫様。

 

 

「わかった。じゃあ一緒にアタシと祈ろう!」

「はい!」

 

「なおれー。なおれー」

 

「なおれ~。なおれ~」

 

 二人で手を握り、祈る。

 

 

「なおれー。なおれー」

「なおれ~。なおれ~」

「なおってー。なおってー」

 

 いつの間にか、メルアも一緒に祈ってた。

 

 

 統夜とカティアは、そんなアタシ達に少し呆れていたみたいだけど、アタシ達やDボウイにご飯を用意してくれた。

 そして結局、みんなで祈ってくれた。

 

 

 

 持つべきものは、やっぱり仲間だよね……!

 

 

 

──その名はブラスターテッカマンエビル──

 

 

 

 慎重に進み、グラドスの勢力圏を抜ける直前となったところで艦に接近する熱源をキャッチした。

 

 それは、宇宙生物。

 いわば、ラダムの襲撃だった。

 

 テッカマンエビルが、テッカマンランスとラダム獣を引きつれ強襲してきたのだ。

 

 

 派手な戦闘を起こし、時間をかければさらに別の敵がやってくる可能性もある。

 

 しかし、ラダム獣の数はそこまで多くもなく、テッカマンエビルもランスももう何度も戦い、そのたびに撃退してきた相手だ。

 

 今の統夜達ならば、すぐに撃退し、その宙域を抜けられると考えた。

 

 

 出撃する統夜達。

 

 しかし、すぐにその考えは甘かったと知ることになる。

 

 

 なんとエビルがブラスター化したのである。

 

 エビルもブレードと同じくテッカマン。ならばブレードと同じくブラスター化が出来ても不思議ではない。

 

 

 更なるパワーとスピードを得たエビルはブレードと決着をつけるため統夜達の方へと突撃する。

 

 

 圧倒的な力を手に入れ、喜びの声をあげるエビル。

 その言葉の中にはまるで、ブラスター化には大きなリスクがあるようだった。

 

 たとえその身が滅びようとブレードを倒せばいい。

 

 エビルはそう言っていた。

 

 

 ブレードはエビルの言葉に動揺する。

 そのリスクと代償に心当たりがあったのか、一瞬身動きを止めた瞬間にランスにしがみつかれてしまったのだ。

 

 ランスは自身の身体を爆破させ、ブレードを倒そうとする。

 だが、その身を案じたレイピアがナデシコから飛び出し、ランスを引き剥がしとの自爆に巻きこまれてしまった!

 

 崩れ落ちるレイピア。

 

 

 あまりのことに興をそがれたエビルは、戦うことをやめ去って行くのだった。

 

 

 戦いは終わった。

 

 レイピアは急ぎメディカルルームへと運ばれる。

 

 

 戻ったDボウイも医務室に走り、レイピアの容態をフリーマンに問うのだった。

 

 

「彼女は……」

 

 

 

 ……奇跡は、起きた。

 

 

 

 ブラスター化の応用で身体を修復していた彼女の身体は無事再生されていた。

 ミユキはテックシステムのダメージを克服し、健康な身体に戻ったのである!

 

 無茶が、通ったのだ!

 

 

 皆がミユキの回復を祝う中、起き上がった彼女はラダムの開花までほとんど時間がないと告げた。

 

 最悪の場合、もう数日しか期日がないというのだ。

 

 

 ラダムの花が開く時、侵略は最終段階をむかえる。

 

 その意味は……

 

 

「今なら私にも見当がつく。ラダムの花は、地球人をとりこんでテッカマンにするシステムだな」

 

 フリーマンが確信を持って推測を述べた。

 

 最初にアルゴス号の乗組員に行ったことを、今度は地球規模で行うのだ。

 

 そんなことになれば……

 

 

 気づいたところでもう遅い。

 あの段階でさえラダムの樹を刈りつくすことは出来なかったのだ。

 

 ならば出来ることは一つ。

 

 ラダムの本拠地を叩き、元から殲滅する以外にない。

 

 

 ミユキから新たなデータを得て、ラダム本拠地の再計算がはじまるのだった……

 

 

 

──テニア──

 

 

 

「統夜統夜統夜とうやぁ!」

 

「うわっ!?」

 

 アタシは統夜の名前を呼びながら、その背中に抱きついた。

 おんぶされるような形になり、驚いた統夜はアタシを乗せたままクルクルと回る。

 

「あははははは」

 

「あっ、危ないでしょうテニア!」

 

 

 カティアに叱られたけど、そんなの気にしない!

 

 だってこんなに嬉しいことはないんだから!

 

 

 ミユキさんが助かった。

 

 もう大丈夫と一報を聞いて、アタシは嬉しさのあまり統夜の背中に跳びついたのだ。

 

 

 あ、メルアもうずうずしてる。ほらほらきなよ。アタシの背中があいてるよ!

 

 

「俺の方は定員オーバーだから!」

 

 

「ダメだって」

 

「残念です」

 

 しょんぼりするメルアを見て、カティアが呆れ、シャナがくすくすと笑ってた。

 

 みんな、笑顔だ。

 

 

 だって、Dボウイの大切な人が助かったんだもん。みんな嬉しくないわけがないよ!

 

 

「よーし、今アタシ機嫌がいいから食堂でなんでも驕っちゃうよ!」

 

「お、お前がか!?」

 統夜がとっても驚いた。

 

 

「それくらい嬉しいんだ!」

 

 

「二言はないな?」

 

「ないよ!」

 

 

「そうか。甲児ー、豹馬ー。テニアが食堂でなんでも驕ってくれるってよー」

 

 

「ホントかよ!?」

「よっしゃー!」

「あ、あのテニアが!? ホンマかいな!」

 

 偶然通りかかった甲児とコン・バトラーチームに統夜が声をかけた。

 

 

 ちょおおおおぉぉっ!?

 

 

 結局人がたくさん集まって、みんなでミユキさん全快おめでとうパーティーになってアタシが驕るってことはなくなって助かったけど、なんてこと言うんだ!

 

 冗談だって言っても許さないんだから!

 あとで火星丼おごってもらうからね!

 

 

「結局メシかいな」

 

 どこかの十三のツッコミが聞こえた気がするけど聞こえない!

 

 

 

──テニア──

 

 

 

 ミユキさんからの情報からラダムの本拠地の再計算がはじまり、すでに予測されている大まかな位置へ向かう途中、ザフトに追われているエターナルって戦艦を助けた。

 

 それにはアタシ達が地球圏に帰って来た時であったラクスってザフトのお姫様と、あの砂漠の虎、アンドリュー・バルトフェルドが乗っていたんだ!

 

 ※以下は最初の分岐でアークエンジェルルートを通っていた場合追加。

 

 

 艦長とラクスが発生させた不思議空間にみんな驚いてたけど、アタシは砂漠の虎が生きてた方が驚きだった。

 

 

 キラがバルトフェルドに自分を撃つ理由があるって言ったけど、あいつは戦争だからしかたがないと言っていた。

 けど、キラはそうやって割り切れないから大変なんだよ!

 

 

 あんたが生きていることはとても複雑な気持ちだけど、シンプルに生きていてくれてよかったと思うよ。

 

 だって、改めて言いたいことが言えるからね!

 

 

 バルトフェルド。あんたは地上で会った時、アタシ達に聞いたよね。

 

 

 戦争をどうやって終わらせるのかって。敵であるもの全て滅ぼすまで戦うのかって。

 

 その問いに、今なら答えを返せるよ。

 

 

 そんなことをしなくても、戦争は終わらせられるって!

 

 

 ちゃんとみんなで考えて、やめさせようと思って手をとりあえばやめられるはずなんだ。

 

 それを、アタシ達は今から実現させに行く。

 アタシ達の行動。それが答えだよ!

 

 

 それを話したら、頭をワシャワシャと撫でられた。

 

 

 なんなんだよ、もう!

 参りました。ごめんなさいくらい言えよ!

 

 

 

──分岐点──

 

 

 

 エターナルという新たな仲間を加え、ラダムの本拠地の大まかな位置が判明した。

 

 現在いる場所から急行すれば、後二日の位置にあるあたりにラダムの母艦があると特定されたのだ。

 開花まで数日。時間はない。

 

 しかし、木連との和平交渉の時間も迫っている。

 

 これを逃せば、ラダムを倒しても戦争は終わらない。

 

 

 ゆえに、アークエンジェルはラダム討伐に向かい、木連との和平交渉にはナデシコが向かうことになった。

 

 

 つまり、二手に別れるのである!

 

 

 統夜は選ぶ。

 アークエンジェルと共にラダム討伐に向かうのか。

 ナデシコと一緒に和平交渉を実現させるのか。を……

 

 

 

 第21話終わり

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