スーパーロボット大戦J ムーンデュエラーズ   作:YSK

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第24話 宇宙に残るルート(アークエンジェル)

──ルート選択/宇宙に残る──

 

 

 

 宇宙に残った統夜達。

 核ミサイルを有する連合軍が次どのような動きをするのかと、そちらを監視するためプラント付近を離れる。

 

 彼等の意識は今、連合軍側に向いていた。

 

 ゆえに、それの出現から発射という短いシークエンスに、対応することはできなかった……

 

 

 もう一つのザフト宇宙要塞、ヤキンドゥーエの後方に巨大な建造物が出現する。

 

 今までミラージュコロイドによって迷彩処理されていたそれが、世にはじめて姿を現したのだ。

 

 

 放たれる巨大な光。

 

 

 それは、ジェネシスと呼ばれるガンマ線レーザー射出装置。

 

 ニュートロンジャマーキャンセラーがもたらされたことにより生まれた超兵器だ。

 

 

 放たれたその一撃により、ザフトを殲滅せんと宇宙に集結していた連合艦隊は隊の半分を失うという大打撃を受けた……!

 

 

 こうなれば、連合も止まらない。

 さがって態勢を立て直すどころか、無事だった艦を再編成して総攻撃に出ようとしている。

 

 得物は当然、核だ。

 

 暴走列車のブレーキは完全に壊れてしまった。

 

 

 報復の報復に更なる核は使われ、ジェネシスの第2射もいつ放たれることか。

 

 

 アークエンジェルはジェネシスの2射目と核の報復をやめさせるため、連合とザフトの戦いのど真ん中へと飛びこんでゆく。

 

 

 あえて宇宙に残ったネルガル重工の会長、アカツキ・ナガレがドミニオンにいるブルーコスモスの理事、アズラエルに核攻撃は待ってもらえないかと打診する。

 核攻撃を停止し、協力してジェネシスを破壊しようと提案したのだ。

 

 しかし、核を持ち、歪んだ偏見をもったアズラエルはアカツキの言葉さえ聞く耳を持たない。

 

 アズラエルはアカツキの提案を一蹴し、そのまま核での報復を命じるのだった。

 

 

 結局統夜達は核を撃ちこもうとする連合軍と、ジェネシス発射までの時間を稼ごうとするザフト軍両方と戦わざるを得ない状況となった。

 

 

 連合は相変わらず3機の新型ガンダムをドミニオンにつけ運用し、ザフトもクルーゼまで出てくる大混戦である。

 

 それでも統夜達は連合の核ミサイルを全て撃ち落し、ジェネシスを守るザフト軍を退け、ジェネシスを攻撃出来る範囲にまでやってきた。

 

 しかし、そこにイザーク(ガンダムSEED)が現われ、すでにカウントダウンははじまっており、今にもジェネシスは発射される状態だと告げた。

 その射線上にいるアークエンジェルはこのままではジェネシスの直撃を受け消滅するとだけ言い、イザークは姿を消す。

 

 その警告に従いその場からアークエンジェルは撤退する。

 

 

 直後、イザークの言ったとおりジェネシスの第2射は放たれ、今度はグラドスが撤退したことにより奪還された月の連合軍基地が吹き飛ぶのであった……

 

 

 

──アークエンジェル/格納庫──

 

 

 

「月基地が壊滅か。連合軍はもうガタガタだな……」

 

 グラドスが撤退し、そこを再利用してザフトを攻めようとした連合軍はもういない。

 統夜は機体を降り、そうつぶやいた。

 

「周辺の都市も一緒に吹き飛んでしまったようね……」

 

 統夜の呟きを聞いたカティアがそれに答えた。

 あと一歩のところで阻止できなかったことに、悔しさをにじませている。

 

 

「あのチョコレートパフェのお店、なくなっちゃったのかな……」

 

 メルアが悲しそうに瞳を伏せた。

 それはかつてみんなで食べに行った思い出の店だ。

 

 周辺都市も一緒になくなってしまったということは、そこも一緒に吹き飛んでしまった可能性が高い……

 

「元気出しなよ、メルア。パフェなら他にどこでだってあるよ」

 テニアがメルアを元気付けようとする。

 

「でも、あそこはみんなと一緒に行った思い出のお店ですから」

 

 それは、他にはない大きな価値だった。

 

 

「メルア……慰めになるかはわからないけど、街の人はほとんど避難しているみたいだから、再開されたらまた行きましょう」

 

「そうなんですか?」

 

 カティアの言葉に、メルアは顔を上げた。

 

 

「グラドス軍が侵攻してきた時、一般市民はみんな疎開して逃げたはずよ。ほら、火星のことみんな知っているから」

 

 同じ目にあってはたまらないと、連合軍の基地が占拠されるのと前後して皆月を逃げ出していたのだ。

 残っていた人間は当然……

 

 ゆえに、今回出た被害は基地に集合していた連合艦隊と建物のみである。

 

 それでも被害は甚大であるが……

 

 

「……」

 

 

 シャナ=ミアは、一人その大きな被害を受けた月を見ていた。

 

 その瞳は、月の中にいる同胞のことではなく、その表上で散った名も知らぬ兵士達のいた空間を捉えている……

 

 

「シャナ=ミア?」

 

「トウヤ……」

 

 声をかけた統夜に、彼女は振り返る。

 その瞳にはうっすらと涙がたまっていた。

 

 人類と敵対するフューリーであるというのに、彼女はその人達のために悲しんでいたのだ……

 

 

「これを招いたのは、私に違いありません。私がもっと早く決断し、グ=ランドンと戦うことを選んでいれば、こんなにも多くの命が失われることもなかったというのに……」

 

 

 彼女は、この結果を悔やむ。

 

 

「……悔やんでいるのはあんただけじゃないさ。あたし達も自制できず、得た力にああも振り回されているんだからね」

 

 話をこっそり聞いていたマオ(フルメタルパニック)が加わってきた。

 

 

「そうさシャナ=ミア。悪いと言うなら、全員が悪い。だから、今度こそ止めなきゃならない。まだ諦めちゃダメだ。悔やむのは、全てが終わってからにしよう。後悔っていうのは、そう書くものなんだから」

 

「こう、かい……?」

 

 後で、悔やむ。と書いて後悔。

 本来の意味とはなんか違う気がするが、今はなんだかそれでいい気がしてきた。

 

 

「……そう、ですね」

 

 統夜の言葉に、シャナ=ミアは顔を上げた。

 そう。まだ立ち止まってはいられない。

 

 立ち止まる時間が長ければ長いほど、ここで生まれる被害が広がって行くのだから……!

 

 

『連合軍の新たな動きが出ました。こ、これは……!?』

 

 

 ブリッジより通信が入る。

 

 壊滅的な打撃を受けた連合軍がとった次の行動。それは……

 

 

 

──終末の光──

 

 

 

 連合軍が大打撃を受けた受けたことを知ったアズラエルは、残った核攻撃部隊をかき集め、ザフトにむかって侵攻をはじめた。

 

 その目標は、宇宙要塞ヤキン・ドゥーエ、ジェネシスではなくプラント本国そのもの……!

 

 動きのおかしさから、統夜達は今の連合の狙いが軍事施設のジェネシスではなく民間人しかいないプラント群だと即座に悟った。

 

 

 ボアズを失い、無防備となったプラントへの直接攻撃が目的だと気づいたアークエンジェルは、それを阻止するため、アズラエルの乗る旗艦ドミニオンの前に出るよう進路をとる。

 

 この破壊の連鎖、なんとしてもここで止めなければならないからだ……!

 

 

 アークエンジェルの進路予想通り、プラント群の正面に現われた連合軍。

 

 

 プラントへの核攻撃が実際に行われれば、地上へのジェネシス発射は確実。

 それを阻止するため、統夜達は一斉に出撃する。

 

 

 その中で、ムウはザフトの防衛部隊の中にクルーゼがいるのを感じ取った。

 

 新たな機体、ブロヴィデンスガンダムで姿を現すクルーゼ。

 

 

 だが、クルーゼがプラントを守るとは統夜達の誰も思っていなかった。

 

 それは、前回のジェネシス付近での攻防の中、邂逅したクルーゼがみずから世界の破滅を望んでいると語ったからだ。

 この広域破壊兵器での人類の殺し合いを望んでいる言動。

 

 それを考えれば、クルーゼはここでプラントに核を撃ちこまれ、ジェネシスを地上へ放つことこそが望み。

 

 ゆえに、新たな機体を得たとはいえ、彼がプラントを守る気などないことははっきりしていた。

 それどころか世界の破滅を確定させるため、味方さえ撃ちかねない。

 

 それを理解したムウが、単機でクルーゼを押さえにかかると立候補した。

 

 

 しかしそれは、たった一機で新型のエースに挑むという暴挙。

 

 

 あまりに危険な行為に、皆それは危ないと止めようとする。

 

 だが、ムウの意志は固かった。

 誰の言葉にも耳を貸さず、ムウはクルーゼの元へと飛ぼうとする。

 

 

 その瞬間。

 

 

「ムウさん!」

 

 

 統夜が、声をかけた。

 

 

「なんだ統夜。隊の方はお前に任せる。今のお前なら問題ない。だから、どんな結果になろうと、俺を止めてくれるな!」

 

「……」

 

 

 統夜は先の瞬間、また未来の断片を見ていた。

 

 それは、大破したムウの乗るストライクガンダムと、コックピット内に浮かぶムウのヘルメット。

 

 思わず頭をおさえるほどはっきりとした未来の絵図を見たのは久しぶりのことだった。

 

 

 ゆえに統夜は声をかけたのである。

 

 しかし、ムウの決意も固いことがわかった。

 言葉では決して止められないということも。

 

 

「……わかりました。とめません」

 

「よし、それでいい」

 

「でも、一つだけ。聞いてください」

 

「なんだよ?」

 

 

「ヘルメット、脱げないようにしっかりとかぶってください。きっとそれが、一番大切なことです」

 

 

「はぁ? どういうことだ?」

 

「俺もよくわかりません。でも、行くなら、これだけは守ってください」

 

 

 じっと、真剣な目でムウを見つめる。

 毒気を抜かれたムウも、やれやれと自分のヘルメットを改めて確認する。

 

 

「確認した。確かにちょっとゆるかったな。これで完璧だ」

 

 

「では、ご武運を!」

 

「任せろ。俺は不可能を可能にする男だからな!」

 

 

 そう言い、ムウはクルーゼを追い核ミサイルを腹に抱えたピースメーカー隊のいる連合軍とは別の方へと飛び去っていった。

 

「ムウさん……」

 

 

 頼む。と統夜は願う。

 

 ヘルメットをと言ったのは統夜の苦肉の策だった。

 

 

 ここでムウが撃墜されるなどと言えば、アークエンジェルに大きな動揺が走り、核ミサイルそっちのけでムウを追う人が出てしまう可能性があった。

 だからといってムウの意志は止められないし、対策らしい対策を練っている暇もない。

 

 ならば統夜が気にかけたいところだが、今は核ミサイルが一発でもプラントに到達すれば即終了という状況。

 

 その状況で別の場所で行われるクルーゼとの死闘をかまっていられる余裕などない。

 

 

 そこで出たのが、ヘルメットをしっかりという言葉だった。

 

 

 未来の断片にあった、壊れたコックピット内に浮かぶヘルメット。

 ヘルメットが脱げているということは、生身のムウは生きていないということだが、それがなければたとえ機体が壊れても、パイロットスーツさえ万全なら人間しばらくは生きていられる。

 

 その可能性が生まれる。

 

 統夜に出来た対策は、もうこれくらいしかなかったのだ。

 

 

 あとは、天に祈るだけである……!

 

 

 しかし、苦し紛れに出た言葉だったが、意外にも効果はあった。

 

 当然すべきことを言われ、それをやっていなかったと気づかされたムウは少しだけ冷静になったのだ。

 このほんの些細な一言。

 

 それが、彼の運命を左右することとなる……!

 

 

 ムウとクルーゼが戦域から姿を消し、連合の核攻撃がはじまる。

 

 ここに、ザフトと連合。さらにアークエンジェルを交えた三つ巴の戦いがはじまった……!

 

 

 統夜達は次々と現われる核ミサイルを次々と破壊して行く。

 

 ムウが足止めするおかげか、クルーゼからの妨害もなく、プラントの防衛は順調に進んでいった。

 

 

 その最中、アークエンジェルはついにドミニオンと相対する。

 

 

 互いが互いで主砲を撃ちあい、結果、ドミニオンに致命的なダメージが入った。

 これ以上の戦闘続行は不能であり、下手なことをすれば誘爆がおき自爆もありえる状況となった。

 

 ブルーコスモスの盟主、アズラエルはそれでも戦えと命じるが、艦長のナタルは総員退艦を命じる。

 

 

 そこに、クルーゼとの戦いで被弾したムウが戻ってきた。

 

 機体はボロボロだったが、それでも機体は動いている。ムウはアークエンジェルへ帰還を目指す。

 統夜はムウが無事なことに、ほっと胸をなでおろす。

 

 

 その瞬間、皆の注意は死に体であるドミニオンから注意がそれた。

 

 その隙を、アズラエルは見逃さなかった。

 

 

 負けたくない一心からドミニオンのコントロールを奪い、アークエンジェルへ特攻を仕掛ける。

 

 

 アークエンジェルとの距離をつめ、その主砲でアークエンジェルの艦橋を狙う。

 その不意をつかれた一撃は、アークエンジェルに回避を許さない一撃だった。

 

 放たれるドミニオンのローエングリン。

 

 

 そこに、ムウが割りこんだ……!

 

 

 統夜が見た未来の光景。

 それは、この瞬間の結末だったのだ!

 

 戦艦の主砲を防ぎきり、アークエンジェルは救われた。

 

 

 主砲を避けたアークエンジェルはそのままつっこんでくるドミニオンにとどめをさし、ブルーコスモスの盟主、アズラエルはナタルと共に宇宙に散るのだった……

 

 同時に、主砲を防ぎきったムウの乗機、ストライクガンダムもまた、爆発し、宇宙の藻屑と化す。

 

 

 マリューの慟哭が、宇宙に響いた……

 

 

 一方、ドミニオン撃破直前に退艦し救命艇で逃げ出したフレイはアークエンジェルを目指し救難信号を発していた。

 

 それを発見するキラ。

 フレイがこの宙域にいることに驚き、アークエンジェルへ誘導するため向かおうとする。

 

 しかし、突如戻ってきたクルーゼに、フレイの乗る救命艇は奪われてしまった。

 

 

「彼が必死になっているから誰かと思い捕まえてみれば、また君か」

 

 キラが必死になっているのだから、その救命艇を破壊し、キラを絶望させる嫌がらせをしようかと思っていたクルーゼだったが、フレイが乗っていることに気づき、即座に別のことを思いついた。

 

 先日フー=ルーから貰ったオモチャの仕様を思い出す。

 

「はははっ。これはいい! 新しく手に入れたオモチャ、使わせてもらおう!」

 

 

「クルーゼ!」

 

 キラが迫るが、クルーゼはプロヴィデンスガンダムのドラグーンを射出しそれにてけん制をし、その宙域から逃げ出す。

 

 圧倒的なスピードと、侵攻を邪魔するドラグーンにより、その距離はどんどんと引き離されて行く。

 

 

「ふふっ、ははは。楽しみにしているよ。じきやってくる、君の心が壊れるさまをな!!」

 

 救命艇をさらったクルーゼは、そのまま姿を消した。

 

 

「フレイー!」

 

 

 キラの慟哭をよそに、事態は進む。

 

 

 戦場に木星トカゲが現われたのだ。

 休戦の話がなかったことになったのかと思うが、やってきたのは全て無人機。

 

 統夜達はそこに違和感を感じる。

 かつてボアザン軍が無人機のコントロールを奪い利用した例もある。

 

 これだけでは、木連との和平がなかったことになったとはまだ断言できないのだ。

 

 統夜達は希望を捨てず、襲い来る無人機へ対応する。

 

 

 プラントを襲った連合軍も破れ、木星トカゲも全て撃退し、プラントはなんとか救われた。

 

 しかし、犠牲は大きか……

 

 

「いや、まだだ! まだ、諦めるな!」

 

 

 統夜が、叫ぶ。

 

 統夜はパートナーに頼み、あの時からずっとその残骸の位置を把握してもらっていた。

 戦いが終わった直後、彼はその位置へ直行する。

 

 自分の変えたわずかな希望。

 

 それにすがり、ボロボロとなったストライクガンダムを見つけ、とりついた。

 

 

「ムウさん! ムウさん生きてますか!? お願いだ、返事をしてくれ!」

 

 

「……あんまり、大きな声出すなよ……通信が、密閉されたヘルメットに響く……」

 

 ヘルメットをきちんとかぶっていたムウは、記憶も失わずきちんと生きていた。

 原因はそれだけでなく、クルーゼとの戦いの中、冷静さ失っていなかったゆえ、ストライクの損傷が本来より少なかったというのもある。

 

 だから、ドミニオンのローエングリンを防いでも、なんとか生き残ることができたのだ……!

 

 

 犠牲はなんとか回避された。

 

 

 だが、無事アークエンジェルに戻ったムウは、医務室でマリューにこっぴどく叱られることになるのだった。

 

 

「おい、統夜。助けてくれ」

 

 ひそひそと、統夜に助けを求める。

 

 

「無理です。こういう時は、素直に叱られるのが一番ですよ」

 

 統夜はどこか悟ったようにムウへの救援を断った。

 

 かつて統夜は、勇をかばい雪原に飛ばされたこと(第11話)がある。

 本編では省略されているが、この時帰還したあと、残されて大変心配した二人にこっぴどく叱られた経験があるのだ。

 

 ゆえに、その時の経験を生かしたアドバイスをムウに送った。

 

 

 それだけ、心配させたということなのだから……

 

 

「聞いてるの、ムウ!?」

 

「とほほ……」

 

 

 ベットの上で嘆くムウ。怒りがなかなか収まらないマリュー。

 

 だというのに、それはとても微笑ましい光景だった。

 

 

 だって、ムウは生きて叱られることが出来るのだから……

 

 

 

──アークエンジェル/廊下──

 

 

 

「フレイ……」

 

 キラは一人、彼女の連れ去られた方向を見ていた。

 

 フレイがアークエンジェルに乗っていた時、守ると約束したというのに、その約束が守れなかったことを後悔しているのだ。

 

 

「キラ、まだ落ちこむのは早いぞ」

 

「あ、ムウさん」

 

 そこには、頭に包帯を巻いたムウがいた。

 マリューからのお叱りを逃れ、たまたまやってきたところにキラがいたので声をかけたのだ。

 

 ムウが気絶している間に起きた、フレイの誘拐の件はちゃんと聞いている。

 

 

「彼女はヤツに連れ去られただけだ。まだ死んだわけじゃない。ヤツの性格を考えれば、お前が一番苦しむ方法をとるだろう。なら、その時まで彼女は無傷でいるはずだ。やるなら、お前の目の前でやる」

 

 例えば、なにも出来ない救命艇を、目の前で撃墜する。とか。

 世界で一番クルーゼに近い男がそう断言する。

 

 だが、ソレをしなかったということは、もっと別のなにかがあるということでもある。

 

 その時まで、フレイは無事だ。

 傷一つない状態からの落差が、キラに大きな傷を与えるとクルーゼは知っているからだ。

 

 

「その方が、お前が苦しむのをヤツは知っているからだ。逆に言えば、それまでは手厚く優遇されるはずだ」

 

「……」

 

「だから、次のチャンスを逃すな。それと、もっと仲間を頼れ。みんな心配しているぞ」

 

 

 ムウがぽん。とキラの肩を叩き、後ろを振り返らせる。

 すると廊下のカドから、統夜達とカガリ。アスランや甲児達がちらちらとこちらを見ているのが見えた。

 

 

「みんな……」

 

「つーかよ、難しく考えすぎなんだよキラは」

 

 甲児が代表して前に出た。

 

 

「アイツは世界を滅ぼそうと願う悪党なんだろ? そいつからさらわれたお姫様を取り返しに行くなんて、滅多に出来る経験じゃないぜ。そう考えりゃ、やる気も出るってもんだろ?」

 

「確かに、甲児の言うとおりだ。取り戻せるんだ。だから、次のチャンスを考えよう」

 

 統夜もキラを励ます。

 

 

「ふふっ。そうだね。みんな。まだ、フレイを取り戻せないと決まったわけじゃないんだ。次こそは、絶対に取り返せばいい。みんな、ジェネシスをとめるだけじゃなく、フレイを助けるのに、力を貸してもらえるかな?」

 

 

 キラの言葉に、そこにいた全員がうなずいた。

 

 

 大切な仲間の頼みである。

 

 それを誰が断れようか!

 

 

 次はいよいよジェネシス。

 そして、フレイの奪還である!

 

 

 

 第24話 宇宙に残るルート 終わり

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