──ノヴィス・ノア──
アークエンジェルと別れたナデシコはオルファン対策のため、再び地上に降りてきた。
海上にてノヴィス・ノアと合流すると、そこにはお忍びでやってきていたテッサ(フルメタルパニック)もおり、ひさしぶりの再会をはたす。
ひさしぶりのノヴィス・ノアを見て回るブレンパワード隊。
格納庫内に作られた畑も前より格段に広くなり、それに気づいた勇は子供達を褒め、さらにその土いじりをブレンパワードに頼む。
しかし、勇のブレンも比瑪のブレンもその言葉に反応を示さず、まるで外に出たいかのような態度を見せた。
それを察したブレンパイロットはハッチを開くよう要望しブレンパワード達はノヴィスの甲板へと出てゆく。
するとブレン達は全員オルファンの方をむき、なにやら耳をすませているかのようだった。
どうやらオルファンがブレンパワード達を呼んでいるらしいのだ。
それに気づいたブレンパワード隊は、ブレンに乗りこみオルファンへと出発する。
当然、彼等だけを行かせるわけにはいかないということでナデシコも慌ててそれを追うのだった。
──動く山脈──
地表すれすれのところを浮かび、移動するオルファン。
その頂上は成層圏にも達し、それはさながら動く山脈といえた。
オルファンの麓に到着するブレンパワード達とナデシコ。
ナデシコの出現に、オルファンの中にいるリクレイマーの乗るグランチャーも防衛のため姿を現す。
戦うためやってきたわけではないが、仮にも様々な敵を撃破してきた存在であるナデシコなのだから、警戒するのも当然と言えるだろう。
襲ってくるならば当然迎撃しなければならない。
しかし、その前にオルファンの方からナデシコに通信が入った。
通信の主は、ノヴィス・ノアの司令であるゲイブリッジ。
連合に所属し、ノヴィスを指揮していた彼が、なぜかオルファンにいる。
誰もが首をかしげる事態だったが、すぐにその疑問は解決された。
彼はなんと、リクレイマーの親玉、カバナーでもあったのだ!
それを聞き、通りでオルファンが連合に接収も攻撃もされなかったわけだと皆納得する。
ゲイブリッジはナデシコは強大になりすぎたと言い、グランチャー部隊に攻撃命令を出した。
オルファンより出てきたグランチャー部隊との戦いがはじまる。
その最中、オルファンに近づく正体不明の熱源体の接近が感知された。
正体不明。というが、そのパターンはかつて日本に現われたDr.ヘルの機械獣に良く似ていた。
なぜ今さら機械獣が?
と疑問に思う中、それはその場に現われた。
新生ミケーネ帝国。
それが、この場に現れた謎の敵の正体。
かつて巨人兵を操り、バードス島を中心に栄えた帝国であったが、数千年前大地震によって滅んだと思われた。
しかしそのミケーネは、高い技術で地底深くに潜伏し時を待ち、今再び地球侵略のためこうしてオルファンを狙いやってきたのだ!
率いるのは、暗黒大将軍を筆頭に七体の将軍。ひかえるのは、戦闘獣と呼ばれる機械の巨人であった。
目的は、オルファンを占拠してからの世界征服。
姿同様、なんともわかりやすい目標である。
その異形の姿を見て、なぜブレンパワード達がオルファンに呼ばれたのか理解する。
あれを排除して欲しいからだった。
「誰があんなのを抗体に望みます?」
天才少年カントの言った言葉に、皆一瞬で納得する。
この抗体とは、いわば仲間と考えればわかりやすいだろう。
自分を支配しようとして敵対する者を、自分(オルファン)の中に入れるのはそりゃ嫌だろう。
ここに、ミケーネとオルファン。そしてナデシコの三つ巴の戦いがはじまった……!
──地球の凄さ──
「……」
突如現われた新生ミケーネ帝国の面子を見て、シャナ=ミアは目を点にして唖然としていた。
「どうした、シャナ=ミア?」
統夜が、動かなくなった彼女を心配して声をかける。
「と、とうや。彼等も、この地球に生まれた生命なのでしょうか?」
持ち直したシャナ=ミアが、浮かんだ疑問を素直にぶつける。
「……たぶん」
自信がないながらも、統夜はうなずいた。
「私達の蒔いた種からあのような者まで生まれるなんて。ひょっとするとこの星は私達が考えているよりずっとずっと可能性を秘めたところだったのかもしれません。種など蒔かずとも、立派な生命が生まれていた可能性も否定できませんね。やはり、この地に生まれた人を滅ぼすべきではない。私は改めて確信しました!」
拳を握り、シャナ=ミアはさらに意志を固めた。
地球って凄い!
「……あいつ等を見てそれを確信されるとか、すげえ複雑な気分だな」
「ああ。なんか納得いかないな」
甲児と統夜がうなずきあった。
確かに可能性の一つではあるが、気分的には認めたくないのだろう。
だが、ミケーネの面々が機械に改造されたとはいえ、地球に生まれた生命なのは間違いないのも事実だった。
だからこそ、なんとも複雑な気持ちである。
とりあえず、アレを認められるシャナ=ミアの器が凄い。ということで納得しておいた。
──世界を救うということ──
三つ巴の戦いの最中、比瑪とヒメ・ブレンは突然オルファンに呼ばれ、オルファンの中へと吸いこまれてしまった。
そこで、オルファンと会話する比瑪。
その会話で、オルファンとはなにかを理解するのだった……
比瑪がオルファンの中に消え、ミケーネ帝国とグランチャーとの三つ巴が続く中、オルファンとナデシコにコルベット(テッカマンブレード)から通信が入った。
彼は宇宙にある攻撃衛星におり、即座に武装解除しなければそこからありったけの核ミサイルをぶちこむと宣言したのだ。
地上で核ミサイルを使えばどうなるか。
それを説いてもコルベットは聞く耳を持たない。
それどころか美しい地球を守る英雄になれると口にし、笑うのだった。
彼はもう、それを理解する理性さえ失っていたのだ。
美しい地球を守るためと口にしながら、地球の表面を焼き払うような行動を平然としようとしているのだから……
ミケーネが襲い来る中武装解除など出来るわけもなく、コルベットは宣言どおり核ミサイルの発射ボタンをぽちっと押してしまう。
大気圏外よりミサイルが迫る。
天才少年カントの発案で、ミサイルをバイタルネットに乗せてどこかにと飛ばすという案が出された。
他にいい案が思いつかなかったので、それを採用し、勇達はブレンパワードで三角形を作り、チャクラトライアングルを形成しそれで核ミサイルを受け止める。
しかし、たった三体では荷が重い。
このままミサイルをどこかへ飛ばすことが出来なければ、爆発、周辺一体は死の大地という最悪の状況がまっていた。
このままでは……! と思ったところで、オルファンから勇の姉であるクインシィとジョナサンともう一人が部隊を伴い現われた。
こんな時に。と思ったが、彼女達もまたグランチャーでチャクラトライアングルを作り、勇達のそれに重ね合わせた。
ブレンパワードとグランチャーの力が合わさり、核ミサイルはバイタルネットに乗ってどこかへ吹き飛んだ。
地上は救われたのだ……
一方、コルベットのいる攻撃衛星。
核爆発が起きず、核ミサイルが消えたことを確認したコルベットは、次の弾をすぐ用意しろと命じていた。
さっきありったけを撃ちこんだというのに、まだあるのかという感想はともかく、部下に急げとせかす。
しかし、消えた核ミサイルはそのコルベットのいる攻撃衛星の眼前へと姿を現した。
バイタルネットに飛ばされ、まるで狙ったかのようにそこに現われたのだ。
気づいた時にはもう遅い。
迎撃も間に合わぬ距離に現われたそれは、コルベットごと攻撃衛星を吹き飛ばすのだった……
──再リバイバルの光──
直後、オルファンとの会話を終えた比瑪が出てきた。
彼女は叫ぶ。
「ブレンパワードもグランチャーも戦う必要はないよ!」
と。
オルファンはただ寂しいだけだったのだ。
ブレンパワードも、人間のことも嫌いではない。
「オルファンは、人類を滅ぼしたいなんて思ってない!」
だが、その言葉をクインシィは認めなかった。
ふざけるなと激昂し、もうやめようとたしなめる勇も無視して襲い掛かってきた。
こうして、ミケーネとリクレイマーとの三つ巴の争いが再開する。
激戦の中、クインシィのグランチャーが大きなダメージを受けた。
刹那、クインシィの叫びと共に再リバイバルの光が瞬く。
かつて雪山で見た光が、クインシィのグランチャーにも起きたのだ。
勇はブレンにリバイバルしろと言うが、クインシィはそれを拒絶。
再リバイバルの結果、新たな抗体、もう一つのバロンズゥが生まれてしまった。
巨大なリバイバルの光は戦場を覆い、それにより統夜達もミケーネも一度撤退することになる。
ナデシコに戻った統夜達。オルファンの方へ視線を向けると、巨大な山脈が大地を離れ、飛翔をはじめるのが見えた。
オルファンが、飛ぶ。
その巨大な塊が飛ぶさまは、まさに圧巻だった。
しかし、このままオルファンが飛翔を続け、宇宙に飛び出す時が来ればそれに必要なエナジーが地上から吸いとられ、人類はおろか生命そのものが死滅してしまうかもしれない。
その中、オルファンにもブレンのような意思があると確信した比瑪は、もう一度オルファンと対話をし、そしてお願いをしようと考える。
オルファンは、宇宙の迷子。
元は一対の宇宙船だった。
失われたもう一体。それが、ビー・プレートと仮定されていたシロモノだった。
かわりにオルファンは人間を必要としているのかもしれない。
比瑪は言う。「寂しいから」だと。ずっと一人でいたのだから、傍らにいる誰かが、オルファンは欲しいのだ。
それをオルファンと対話できる比瑪ならば与えられるかもしれない。
その比瑪に賭けてみようと、次の方針が決定した。
すぐに出発。というのもいいが、オルファンが新たにエナジーを得て完全に飛翔するにはまだしばしの猶予がある。
一戦やらかし補給も整備も欲しいところだし、すでに夜も近い。
ならば一晩休息をとり、万全の状態を持ってオルファンへむかうことになった。
──夕焼けの空──
太陽が西の空へ沈む。
夕日が世界をオレンジに染める中、ナデシコの甲板上でガンダムファイターの面々やボルテスチーム。さらに甲児やさやかと一緒に、統夜達は釣りをしていた。
その光景から、一歩間を置き、沈む夕日を見るシャナ=ミアがいる。
その輝きに目を細め、どこか感銘を受けるように小さく肩を震わせていた。
「シャナ=ミア?」
それに気づいた統夜が声をかける。
「トウヤ。地球は、本当に綺麗ですね。宇宙から見た時も蒼く輝く宝石のようでしたが、この光景は、地球に降り立たなければわからない光景です……」
「そうだな。そして、この光景をいずれ、他のフューリーの人達にも見せてやらないとな」
「はい。この光景を、必ず」
そう言い、シャナ=ミアは数歩横に移動した。
統夜に寄るわけでもなく、別の光景も視界に入る位置へと。
「どうした?」
その行動に、統夜も疑問符を浮かべる。
「ふふっ。その光景を見ているんです。いつか皆に見せたい。この地球に存在する、隔たりのない光景を……」
シャナ=ミアは、笑う。
シャナ=ミアの言葉に、統夜は振り返る。
そして、言葉の意味と笑みの理由を理解した。
彼女の視界に入るのは、夕日の中釣りをする統夜達とボルテスチームと甲児達他ナデシコに乗る仲間達。
それは、シャナ=ミアの願う世界。
そこには、星の生まれも関係ない、隔たりのない世界がそこにあった……
それを見て、確かにと納得し、統夜もそれをかなえようと、改めて思うのだった。
「統夜統夜統夜ー。みんな全然釣れないよー。おスシ食べられないよー!」
テニアが後ろで釣りをサボっている統夜に声をあげた。
釣っている場所から立ち上がり、大きく手を振る。
どうやらうまい魚を釣って初寿司を所望したようだが、みんなさっぱりボウズなのだそうだ。
釣りが得意な宗介は特別任務でテッサをダナンに送って不在で頼れないしで、このままでは寿司どころか魚も食べられない有様だ。
「そう言われても俺が加わったからって釣れるとは限らないぞ。それに寿司は切って乗せてるだけに見えて意外に奥が深いんだぞ。俺達じゃ再現できて手巻き寿司がせいぜいだ」
いくら魚を釣ったとしても、肝心の寿司を握れる人間がいない。
料理人のサイ・サイシーがおれども得意分野は中華料理だ。
木連の和平特使、ユキナと一緒に釣りを楽しむアキトだってコックだが板前の修業はしていない。
この場で出来るとすれば、皆で好き勝手に具材を巻く手巻き寿司くらいだろう。
「それでもいいのー!」
だが、テニアはそれでもいいらしい。
むしろ初体験ならそれでも十分なのだろう。
「わかったすぐ行く」
「早くねー!」
テニアはそう言うと、再び椅子に座り釣りに戻った。
なにがなんでも釣ろうという意気ごみだけは伝わってくる。
それじゃあ逆に釣れないだろう。と統夜は苦笑いを浮かべたが、口には出さなかった。
統夜も釣りに戻るため、一歩歩き出す。
だが、すぐ足を止めてシャナ=ミアの方へと振り返った。
「シャナ=ミアも行こう。君だって、あの光景の一員なんだから」
シャア=ミアに手を伸ばす。
そもそも、統夜が彼女を呼びに来たのも一緒に釣りをするのが目的だ。
一瞬、シャナ=ミアはその伸ばされた手を見て、唖然としてしまった。
だが、統夜の笑顔を見て、彼女の顔もほころぶ。
「……はいっ!」
統夜に手を引かれ、シャナ=ミアも釣りの輪へ加わるのだった……!
──飛翔──
朝、統夜達は騒ぎはじめたブレンパワード達によって目を覚ました。
ブレン達は、自分の持ち場を離れ、ノヴィス・ノアの甲板の上で手を繋ぎはじめたのだ。
彼等は自分達のチャクラを一点に集め、そして空にたまった分厚い雲を吹き飛ばした。
そこに光がさしこみ、オルファンへの道が開ける。
統夜達は、ブレン達がこの道を通ってオルファンへ行こうと言っていると理解した。
ゆえに、ナデシコに乗り、交渉人である比瑪をオルファンに届けるため、海の上を飛び立つのだった……!
開けた空の道を通り、オルファン近域に出るナデシコ。
戦闘領域となったオルファンの上では、すでに先行してとりついたミケーネ帝国とリクレイマーの戦いがはじまっていた。
ミケーネは暗黒大将軍率いる七大将軍全てを投入し、リクレイマーもジョナサン駆るバロンズゥが張り切っている。
この大混戦の中では、オルファンとの対話どころではない。
まずはこの争いをやめなければゆっくり話も出来ないと、ナデシコは戦場に突入するのだった。
再び三つ巴の決戦となったオルファン上の戦いは、激戦に次ぐ激戦を見せる。
ナデシコが来たことにより、ジョナサンは勇を狙い、ミケーネはかつて支援してきたDr.ヘルを倒した甲児を狙う。
しかし、彼等の心強い仲間の協力により、それら全ては見事な返り討ちとなった。
暗黒大将軍は野望を打ち砕かれ倒れ、ジョナサンのバロンズゥも戦闘不能に追いこまれた。
それでもジョナサンは戦おうとするが、現われたクインシィにさがれと叱られ、撤退することになった。
現われたクインシィは勇に戦いを挑む。
勇はもう一度話をしようと必死に訴えるが、彼女は聞く耳を持たない。
暴れまわるバロンズゥを押さえにかかる統夜達。
動きを封じられ、勇は改めて話をしようと持ちかける。
しかしクインシィはオルファンを死んでも守ると、さらに抵抗を激しくしようとした。
「考えすぎです依衣子(クインシィの本名)さん! オルファンさんは一人でやっていける方です。守ることなんて考えなくていいんです! でも放っておくとかわいそうなんです!」
比瑪が、さらに暴れようとするクインシィに声を投げた。
ふざけたことをとクインシィは否定しようとするが、オルファンはそれに輝きを持って答えた。
オルファンが自分ではなく比瑪の言葉に答えたことにショックを受けるクインシィ。
クインシィの身体が、オルファンに沈んで行く。
「オルファン、あんたにはあたしがいるじゃないか……他の誰もいらない、あたしがずっと……ずっといてあげるから……」
勇は必死に戻れと叫ぶが、その声は届かなかった。
バロンズゥごとオルファンにとりこまれるクインシィ。
この時、オルファンに真の抗体が誕生した瞬間だった。
オルファンの総エネルギー量が跳ね上がり、オルファンが目覚める!
クインシィを取りこんだオルファンは、ついに宇宙への飛翔を開始するのだった。
同時に、旅のはじまりを感じたバロン・マクシミリアンはジョナサンに与えたバロンズゥに乗り、統夜達の前に現われた。
バロンはみずからのエナジーをバロンズゥに分け与え、ハイパーバロンズゥとしてジョナサンを阻む者全てを排除しようと、勇達に襲い掛かってきた。
勇へ襲い掛かるバロン。
その言動を聞き、統夜達はその仮面の下の正体が誰なのかを察した。
強大な力を強引に与えようと、統夜達は負けなかった。
ハイパーバロンズゥは倒れ、元の姿へと戻る。
倒れたバロンに近づいたジョナサンは、その正体を知ることとなった。
バロン・マクシミリアン。その正体は、ジョナサンの母親。行方不明になっていたアノーア艦長だったのだ。
だからバロンは、ジョナサンを気にかけ、力を貸していたのだ。
今まで出来なかった、母としての色々を、ジョナサンに与えるために……
真実を知り、愕然としながらも納得をしたジョナサンは、母を連れ戦場から去って行く。
バロンが滅び、戦闘は終了した。
残るは、飛翔するオルファンと、そのオルファンに取りこまれてしまった勇の姉。依衣子である。
宇宙に出るオルファンを追い、ナデシコも宇宙に出た。
オルファンの望むビープレートに相当するものを与えることが出来れば、問題は解決する。
だが、肝心のそれを人類が用意できるかはまったくの不明だった。
そこでイネスがユリカとアキトにキスをしろと迫る。
要はオルファンの生物的思考に訴え、寂しくないと思わせればいいということだった。
ならば、手を繋いでみせればいいということになった。
皆のつながりを、見せつけてやるのだ。
そして、ただ手を繋ぐのではなく、ロボットに乗って手を繋ごうということになった。
オルファンに、見せつけてやるのだから……!
出撃し、宇宙に出て皆のロボットで手を繋ぐ。
ガンダムファイター達が普段は握る拳を解いて手を繋ぎ、エステバリス同士も、ボスボロットもミリオンαと手を繋ぐ。
コン・バトラーV、ボルテスV、マジンカイザー、グレートマジンガー、ゼオライマーも。
そして、統夜達も。
「なあ、なんで今回俺一人なんだ?」
グランティード・ドラコデウスのメインシートに座った統夜が、どこか寂しそうに口を開いた。
戦闘などせず、ただ手を握るだけだから、確かに統夜一人で問題はない。
だが、こういう時いつもと違い後ろに誰もいないというのはどこか寂しさを感じさせるようなのだ。
「なぜって、せっかくだし!」
統夜の問いに、テニアが元気良く答えた。
グランティード・ドラコデウスの手を握るヴォルレントには、彼のパートナー四人がメインサブの席に二人ずつで座っている。
そんな狭い思いをするくらいなら一人こっちに来ればいいと思うのも男の子なら当然なのかもしれない。
「せっかくってどういうことだ?」
「わかんないってんならそれまでだよ!」
テニアに叱られた。
「そうです統夜さん。おとめごころを理解してください!」
メルアにも。
「乙女心?」
叱られ、乙女心と言われたが、男の子の統夜にはさっぱり理解できなかった。
「ふふっ。そうですよトウヤ。これは、繊細な乙女心なんです。ですから今は、一人で動かしてください」
「そうよ統夜君。今回はこれでいいの」
シャナ=ミアとカティアが、どこか楽しそうに言った。
「わかったわかった。戦うわけでもないから、別に問題もないしな」
全員に諭され、統夜は諦め、シートに身体を沈めた。
サイトロンに意識を繋ぎ、隣のヴォルレントの手を握る。
「えへへー」
「うふふ」
ヴォルレントの手が握られたのを感じると、テニアとメルアがにやけた。
「もう。直接手を繋いでいるわけでもないのに」
「そういうカティアさんも嬉しそうですよ」
どこか呆れたカティアの顔をのぞきこんだ、シャナ=ミアが言った。
「そ、それは勘違いです!」
「ふふっ、ではそうしておきましょう」
もう。とカティアが頬を赤く染める。
シャナ=ミアはそれを見てはにかむように笑い、コックピット内の全員が笑った。
サイトロン・コントロールを伝い、機体と繋がった彼女達は、握りあったロボットの手から、統夜のぬくもりを感じていた。
それは、共に乗っていては体感できない共感である。
そのために、今回だけは統夜一人でお願いしたのだ……
統夜の手と彼女達の手は、さらに別のロボットと手を繋ぐ。
ブレンパワードを軸に、この場にいる全てのロボットが手を繋いだ。
「……暖かい」
「暖かいね」
「ええ」
「暖かいですね……」
四人が、新たに感じたぬくもりに、素直な感想を漏らす。
そのぬくもりは、統夜だけのものではない。
ロボットに乗り、手を繋いだ、中間達全員の繋がりとも言える暖かさだった……
きっとこれは、彼女達だけでなく、他の仲間も。そして、オルファンも感じているはずだ。
オルファンに、地球とは、こんな想いを持っている者達がたくさんいる場所だと訴えかける。
反応を見せたオルファンへ、今度は勇がむかう。
オルファンの中に入り、依衣子を返し、地球はこのままにしてくれとオルファンに頼んだ。
想いは、願いは通じた。
勇も依衣子もオルファンから吐き出され、オルファンの浮上も止まった。
さらにリクレイマー達も全員オルファンから出て、地球に帰ることも発表された。
オルファンが地球のオーガニック・エナジーを吸いとることはせず、この場にとどまってくれたからだ。
宇宙に旅立たず、地球を見守ることにしてくれたオルファンに、彼等はもう一度地球で人類、生命について考えてみることにしたそうだ。
依衣子とジョナサンをつれた勇が戻り、ナデシコはそのまま宇宙へ上がる。
宇宙では、ジェネシスと呼ばれる兵器が猛威を振るっているとゲイブリッジから伝えられたからだ。
次はいよいよそのジェネシス。
統夜達は無事、この争いを終わらせることが出来るのだろうか……?
第24話 地上に降りるルート 終わり