──統夜──
再び合流することになったナデシコとアークエンジェル。
それは、各地に散らばる戦力を一つにまとめ、強力な遊撃隊を作るのが目的だった。
木星トカゲとラダムに加え、グラドス軍やボアザン軍を加えた宇宙からの侵略者。さらにザフト軍はおろかDr.ヘルの機械獣軍団にハウドラゴン。その上リクレイマーやデビルガンダムなど、地球に潜む敵も多いときている。
それらに対抗するため、連合軍はこの第三艦隊所属の特務分艦隊を発足させた。
正式な発足まではまだしばらくかかるみたいだけど、先行してメンバーの顔合わせが行われた。
といっても、ほとんどが元々知っていたメンバーとのの再会なわけだけどさ。
ただ、トップがまさか火星にむかう時、最後まで邪魔をしてきたあのコルベットって人だとは驚いた。
その後ミスマル艦長がはっきりとみんなの総意に反する命令は拒否しますと断言したのにはもっと驚かされたけど。
そういうところがあるから、俺達も火星から地球に帰って来れたんだと思う。
あの人じゃなければ、火星のあの時、あの時点では俺の妄言に過ぎなかった白昼夢をきちんと聞いてくれたんだから。
ただ、後もうちょっと艦長の威厳を持ってくれれば文句なしなんだろうけど、それは言いすぎか。
でも、ぶい、はないよなぁ……
──ブレンパワード──
プレート性の地震が確認され、発生したプレート(ブレンパワード)を回収するため、グランチャーの部隊がやってきた。
すでにプレートは回収されてしまったようだが、状況を確認するため、統夜はノヴィス・ノアからやってきていたブレンパワード隊と一緒に先行する。
現場はブレンパワード隊の一人、宇都宮比瑪が育った孤児院の近くだった。
そこにはなぜか、かつて海上で共にグランチャーと戦った伊佐未勇の姿もあった。
姿を現したグランチャー部隊に、統夜達は勇と力をあわせ、それを迎撃することとなる。
少し遅れてアークエンジェルとナデシコも合流し、彼等は力をあわせてグランチャー部隊を退け、戦いはひと段落つくことになった。
しかしその直後、アークエンジェルが派手に揺れた。
どこからか攻撃を受けたのである。
だが、敵影は確認できない。
なのにまたアークエンジェルはゆれ、攻撃は継続されている。
見えない存在からの突然の攻撃。
それはかつて宇宙でのミラージュコロイドを用いたアークエンジェル制圧を思い出させたが、今回の攻撃は違った。
まったく違う別物だった!
その答えは、艦のすぐ上にあった。
艦上で、人が暴れている。
それが全ての答えだった。
生身の人間が、素手でアークエンジェルの砲台を破壊しているのだ。
それは、信じられない光景だった。
しかしそれをなしているのはドモンの師匠、東方不敗マスターアジアである。
誰がやっているのかを聞けば、それはむしろ納得の光景だった。
だってやってるのは東方不敗なんだから!
だが、東方不敗をはじめてみるアークエンジェルと共に旅してきた面々は驚く以外にない。
普通に考えて、生身の人間が大砲を破壊するなんてありえないからだ。
さらに東方不敗は、アークエンジェルからナデシコへ跳ぶ。
ぴょーんと、跳ぶ。
平然とナデシコの上に降り立ち、その上笑いながらぶん殴るのだ。
ルリが勘弁してと口にするのも当然だろう。
ここだけ、世界観がおかしい。
でもしょうがない。だって相手は東方不敗なんだから!
ドモンが制止に現われると、東方不敗はナデシコを飛び降り、山の中へと姿を消した。
同時に、ドモンの友人である4名のガンダムファイターが姿を現す。
さらに、デビルガンダムの配下、デスアーミーが多数現われた。
彼等の出現により、東方不敗を追えるような状況ではなくなってしまった。
かつての友に対し、なぜそれ(デビルガンダム細胞)に手を出したと問うドモン。
彼等からの返答はなかったが、そこに友の一人、ジョルジュの執事が現われ、彼等は東方不敗の姦計にはまり、デビルガンダム細胞を埋めこまれたということが判明した。
それはいわば、洗脳されたのと同じ!
デビルガンダム細胞に侵されたのが彼等の意思でないと知ったドモンは、なんとかして彼等を救おうとするが、すでにかなりの率でその身体を侵食され、殺す以外に救いはないと判明してしまう……!
再び現われるシャッフル同盟。
彼等が四人に引導を渡してやるのが慈悲であると行動するが、その4名との間にシャッフルの紋章が共鳴し、彼等は新たに紋章を継ぐ者として選ばれたことがわかった。
ゆえにシャッフル同盟はこの四人を救うため、命を捧げて彼等の体内に巣食ったデビルガンダム細胞を浄化したのである。
若者に使命を託し、光に消えたシャッフル同盟。
再びマスターガンダムに乗って現われた東方不敗は、その行為を愚かだと評する。
姿を現した東方不敗に向かい、ドモンは突撃しようとした。
しかし、それは彼等を一網打尽にする罠でもあった!
迂闊に東方不敗に近づいたなら、デビルガンダムに捕らえられ、先の四人と同じようにその細胞のとりこにされてしまうはずだった。
それを救ったのは、謎の仮面をかぶったドイツ忍者のシュバルツ!
彼は山に攻撃を撃ちこみ、隠れていたデビルガンダムをあぶりだす!
しかしあまりに怪しげなマスクと格好のため、皆彼を怪しむが、先ほど助けたジョルジュの執事が自分を助けてくれたのは彼だと味方アピールをしてなんとか信頼を得ることが出来、事なきを得た。
皆の信頼を得たシュバルツは、言いたいことだけを言い、その場から姿を消してしまった。
加勢をしなかったのにはなにかわけがあるに違いない。
ドモンの成長を見守るとか、容量の関係とか!
激闘の末、統夜達はデビルガンダムを撃退するが、逃走するそれの先には街があった。
そこは、宇都宮比瑪の育った孤児院のある街。
このままでは、全てが押しつぶされてしまう。
とっさに伊佐未勇がデビルガンダムの前に飛び出した。
ブレンパワードの力。チャクラ・シールドを使い、大きさの差もものともせずデビルガンダムをはじき、進路を変えることに成功する。
彼の行動により街は救われた。
比瑪は彼を勧誘しようとするが、デビルガンダムが通ったあとの片付けをしている間に勇はまたどこかへ行ってしまう。
まだ彼は、仲間とともに戦うことを良しとしないようだった。
戦いが終わり、医務室で目を覚ましたガンダムファイター達は、自分達がシャッフル同盟に命を救われたことを知り、その使命と、デビルガンダム細胞に侵されていた間に引き起こした非道の所業を償うため仲間に加わるのだった。
──統夜──
様々な勢力の敵が現われ、地球圏の混乱が加速したことにより、かつて俺達が通っていた学校も一時閉鎖となることが決まった。
俺と甲児達は、ミスマル艦長のはからいで閉鎖前に学校へ顔を出せることになった。
……学校が閉鎖か。
結局、艦を降りていたとしても、居場所はなくなってしまったんだな……
──ウィスパード(前編)──
一方学校では、ミスリルによって派遣された相良宗介(フルメタルパニック)が千鳥かなめを護衛していた。
統夜達が学校に顔を出したところで、突然学校がアームスレイブ(フルメタルパニック)の襲撃を受け、教職員もふくめた300人+統夜達が誘拐されてしまう。
犯人は、あしゅら男爵。
あしゅらは人質を盾に、ナデシコやマジンカイザーなどの強力な兵器を引き渡すよう連合に要求してきた。
当然、連合はそんな要求には応じられない。
むしろテロには屈しないの精神の元、分隊には人質ごとあしゅらを抹殺すべしと命令がくだった。
ナデシコに乗る元民間人のクルー達はそんな命令従えるわけがない。
ゆえに、裏で計画されていたミスリルの救出作戦に力を貸すことにする。
一方、誘拐された統夜達の方では千鳥かなめがもう一人の主犯。あしゅらに手を貸した人間、ガウルンに連れ出されていた。
彼はあしゅら男爵の誘拐を隠れ蓑に、ウィスパーの候補者である千鳥かなめを連れ去るのが真の目的だった。
ガウルンにしてみれば、連合の立てた人質ごとの抹殺は好都合なのである。
甲児とさやかもあしゅらに捕まった今、かなめの護衛として共に人質となった相良宗介は、もう一人の仲間、統夜に助力を求めた。
統夜は機体に乗らなければただの高校生であり、生身での戦力は期待できない。だが、それでも幾度もの死線を潜り抜けてきた実戦経験豊富なパイロットだ。そこいらの素人に比べれば、圧倒的に場慣れしている。
それらの経験と度胸は、他にない大きな助力となりえた。
統夜は覚悟を決め、宗介に力を貸すことを決める。
二人はまず、現状を伝えるため外との連絡をとるため動き出し、この情報を元にミスリルの救出作戦は立案された。
救出作戦の概要はこうだ。
あしゅらが指定した引渡し場所の海域はザフトの勢力圏がふくまれている。
そこへアークエンジェルとナデシコの二隻がおもむけば、二隻を眼の仇にするザフトは襲撃してくる可能性が非常に高い。
あしゅらはナデシコやそこに属するロボットを欲しているので、漁夫の利を得ようとしてザフトを蹴散らせるよう機械獣をもってその海域へやってくる。
そうしてあしゅらと機械獣をひきつけている間に、手薄となったその本拠地からミスリルが人質を救い出そう。というものだ。
この作戦は、ザフトと機械獣、二勢力を同時に相手にしなければならない厳しいものである。
しかし、人質を救出するため、彼等はその作戦をためらいなく実行する。
結果、あしゅらは見事に釣れ、300人あまりの人質は無事救出された。
しかし、その中に甲児、さやか、統夜、宗介、かなめの姿はなかった……
──統夜──
「間に合わなかったな」
「ああ……救出部隊は行っちまったか。でもみんなは助かったみたいで、よかったぜ」
俺と甲児は、去って行く輸送機がいるだろう方向(光学迷彩使ってるから)を敵の基地の中から眺めていた。
「だからお前達も行けと言ったはずだ。救出作戦の混乱に乗じて逃げ出したのなら、そのまま合流すればよかったのだ。死地に残ったな」
「でもよ、あの娘が捕まってたんだろ。見捨ててなんて行けるもんかよ」
「そうだよ」
相良軍曹の言葉に、甲児と一緒に答えを返す。
今千鳥さんはショックで気を失ってさやかさんに介抱されている。
彼女はあしゅら男爵の一味とは別の奴に連れ去られていたため、彼女を救出に来た俺達と一緒に、あの救出部隊からは取りこぼされ、島にとり残されるハメになってしまった。
救助がまた来るのかもわからない状況。
でも俺達は諦めない。
ここで諦めるようなら、火星から生きて戻ってくるなんて到底無理だったからだ。
この秘密基地の格納庫から、サベージというアームスレイブを奪い、逃げ出すことにした。
海岸まで行くことが出来れば、まだ近くにいるかもしれないミスリルが救出に来てくれる可能性もあるからだ。
相良軍曹の操縦するサベージに揺られ、海岸を目指していると、途中新型のアームスレイブと鉢合わせしてしまった。
サベージも撃墜され、正直もうダメか。と思ったところで、それはなぜか動きを止めた。
その隙に俺達は森の中を走り、逃げることに成功した。
相良軍曹の見立てでは、あれは塗装もされていない新型か実験機で、なにか不具合を抱えていたのかもしれないと推測していたけど、真相はわからない。
なんとか海岸と森の境目まではやってくることが出来た。
でも、海岸は見通しが良く、たくさんの機械獣やアームスレイブが見張りのごとくうろついているのが見えた。
これじゃ通信機を使い救出を願ったとしても、その前に見つかってしまう。
それどころか海岸に行く前に見つかってしまうだろう。
「……兜、紫雲。千鳥を連れて海岸へ向かってくれ」
状況を把握した相良軍曹が囮を買って出た。
それどころか、甲児も暴れて敵をひきつけるとまで言い出した。
その隙に、救援を呼べと。
確かにそれが、かなめさんやさやかさんの命が助かる選択だろう。
機隊さえ送ってもらえれば、甲児達も助けられる。
でも……
「そんなの嫌よ」
千鳥さんが、拒否した。
「あたしのために自分は犠牲になってもいいとか、そういうふざけた自己満足で助けられたって、こっちはちーっともうれしくないの! だからお願い。自分はどうなってもいいとか、そういう寂しいこと考えないでよ。みんなで一緒に行こうよ。最後まで一緒に頑張ろうよ。ね?」
確かにその通りだ。
俺も、機体に乗らなければ立場が同じだからその気持ちはよくわかる。
しかもそれは、かつてガイさんにやられたことと同じ。
それは、残される方からすると、とても悔しいことなんだ。
結局、千鳥さんの言葉に相良軍曹も甲児も折れ、みんなで海岸を目指すことになった。
さあ、行こうかみんな。
最後の悪あがきってヤツだ! みんなで、生きて帰ろう!
──ウィスパード(後編)──
見晴らしのよい海岸には多数のアームスレイブと機械獣。発見は時間の問題に思えた。
それでも統夜達は諦めない。
可能性を信じ、通信可能となる場所へ走る。
しかし、彼等を見つけたのは海岸の機械獣ではなかった。
あしゅら男爵の乗るグールまで姿を現し、空から彼等を発見したのだ。
あしゅら男爵はあしゅらマジンガーを出し、それで甲児を殺そうとする。
いよいよもって万事休すか。と思ったその時。
空からアームスレイブが降ってきた。
それは、M9。宗介の仲間、クルスとマオだった。
さらに鉄也をふくめた仲間達も島へ殴りこんできた。
統夜達を助けるため、仲間が駆けつけたのである。
五人のために数百人を危険な目にあわせるとはアマチュアの極みだが、それがナデシコをふくめた彼等なのだ。
統夜達の元にカイザーパイルダーとグランティードが運ばれてきた。
ただし、統夜の方は最初に彼等が出会った時のように砂浜に墜落してしまったが。
三人が統夜を心配し、いち早く駆けつけようとしたがゆえの失敗だった。
大きな土煙が上がる。
「ゲホッ、一体誰が運んできたんだ」
「統夜っ、大丈夫!?」
「無事みたいね」
「よかった……」
上からテニア、カティア、メルアが統夜の無事を見てほっと胸をなでおろした。
「三人とも来たのか? まったく無茶するなよ」
「だって、だってさ……」
「……」(ぷくーっと頬を膨らます)
「しかたないでしょう。それだけ心配だったのよ」
上からテニア、メルア、カティアが統夜にどれだけ心配したのかを抗議した。
思わず墜落させてしまうほど心配していたのだ。それを察しろ。なのである。
「……ごめん。心配かけた。ありがとな」
「うん」
「はい!」
「ええ。無事でよかったわ。それより、敵が来るわ。統夜君も早く乗って。私達だけじゃやっぱり上手くいかないから」
「了解」
カティアに言われた統夜がコックピットに駆け上がる。
すると、メルアがなにかを思い出したように笑った。
「なんだか、あの時と同じですね」
「あはは、ホントだ」
「そういえばあの時も、お前達が3人でこいつに乗って落ちてきたんだったな」
(そうか。あの時からもう、俺の居場所は学校じゃなく、ここになってたんだな……)
統夜はそれに気づき、笑った。
そして、あの日とは違うことが一つ。
あの日は強引に機体に乗せられたが、今回は統夜がパートナーを選び、みずから乗るということだ……!
さらに宗介には新アームスレイブ、アーバレストが送り届けられた。
統夜達の反撃がはじまり、あしゅら男爵と現われたアームスレイブや機械獣達は撃退されるのだった。
現われた敵をすべて撃退し、さあ撤退だ。となったその時。あの時動きを止めたガウルンの新型アームスレイブが姿を現した。
ラムダ・ドライバと呼ばれる特殊な力場を生み出す装置を積んだそれに阻まれ、マジンカイザーの攻撃さえはじかれ、一方的に攻撃を受ける。
手も足も出ない状況。
しかし、宗介の乗るアーバレストにもその装置が積まれており、かなめのアドバイスもあって宗介はソレを発動、ガウルンを撃退し、脱出に成功した。
統夜達が島を脱出すると、あしゅらの基地をザフトが襲撃する。
勢力圏内に敵の基地があるなんて危険極まりないからだ。
その隙に、ナデシコ達はその場から逃げるのに成功した。
かなめはミスリルが所有する潜水艦。トゥアハー・デ・ダナンで目を覚ます。
そこで彼女は、自分はウィスパードと呼ばれる特別な存在だと知らされ、その頭脳が狙われていると知った。
ゆえにかなめは、その身を守るため、ナデシコに身を寄せることになるのだった。
宗介をふくめた、護衛の三人と共に……
──統夜──
唐突だけど、ゼオライマーのパイロット、マサトが誘拐された。
どうやら自分の存在に悩んで一人になりたくて基地の外に出たらしい。
護衛の目も届かないそこで、彼は鉄甲龍(ハウドラゴン)に連れ去られてしまった。
特別な機体に乗ってる者が多いのだから気をつけないとダメだと相良軍曹が言うのも気持ちはわかる。
でも、マサトの気持ちもわからなくはなかった。
突如としてゼオライマーのパイロットとなることを強要され、そのためだけに生み出されたなんて知らされれば、悩まない人間はいないだろう。
むしろ、一人になりたいと思うほど悩んでしまう気持ちもよくわかる。
まあ、それで誘拐されてしまったら世話ないわけだけど……
どうやら美久さんが発信機をつけたかのごとくマサトの場所を把握しているらしく、ガンダムファイターであるドモンさん達を連れて救出にむかうことになった。
うん。あの人達に任せておけばまず安心だよな。
指鳴らせばどこにでもガンダム来るし。
師匠は人外に足踏み入れてるし。
マサトの奪還は無事成功した。
マサトはナデシコへ帰還したけど、そのマサトを追って八卦ロボがやってきた。
迎撃に出た俺達は、市民の避難が済んでいない街に敵を入れないよう戦わねばならなかった。
万一敵が街に入れば、死者が出てもおかしくないからだ。
現われた敵は、マサトが捕まった場所で顔をあわせたという人間だった。
ゼオライマーで出撃したマサトが動揺する。
ゼオライマーで戦えば、その人を殺してしまうかもしれないと思ったからだ。
俺達にもあった、顔見知りとの戦いの難しさ。
俺達だって完全には乗り越えられていないというのに、少し前までただの学生だったマサトにいきなりそんな覚悟できるわけがない。
鉄也さんが「戦えないなら下がれ」と叱責した。
これは、あの人なりの優しさだ。
俺も、戦えないと思うのならひいてもいいと思う。
でも……
「……戦えない? 誰が戦えないだと? クククッ、ハハハハハハッ!」
……マサトの性格が豹変した。
高笑いを上げ、倒すのは簡単だと豪語したんだ。
それどころか、街が巻きこまれ敵の動きが鈍るなら好都合だなんて口にする。
今までのマサトからは考えられない言動。
共に乗る美久まで驚いている。
それは、別人になってしまったのではないかと思うほどの豹変ぶりだった。
避難する人達を巻きこむような戦いをするのなら、俺達はお前も止めなくちゃならない。
俺達がその覚悟を見せると、豹変したマサトも八卦ロボと俺達との挟み撃ちは厳しいと考えたのか、形ばかりは足並みをあわせてくれた。
でも、バジルール中尉なんかは明らかに不審がっている。
下手をすればこのあと拘束されてしまうぞ。どうしたんだマサト。
俺の心配を他所に、八卦ロボとの戦いははじまった。
戦闘中、木星トカゲの無人機を操るボアザン軍までやってきた。
こんな時でもお構いなしに攻めてくるなんて、なんて迷惑なヤツなんだ!
ボアザン軍も八卦ロボも撃退し、街が守られると、マサトの性格は元に戻った。
ゼオライマーから降りたマサトは、戦闘中やったことはぼんやりとしか覚えておらず、バジルール中尉に「俺に命令するな」と言ったことも覚えていなかった。
医者であるイネスさんの見立てでは、厳しい戦いの連続に耐えられなくなったマサトは、新しい人格を作り上げ、それに戦闘を任せるようにした二重人格ではないのか。ということだった。
確かにまったく別のマサトだと考えれば、あの行動も納得がいく。
戦いが嫌で、それでも戦い続けた結果がああだとすれば、マサトの今は、俺の今だった可能性も十分にあり得た。
そう思うと、思わず同情してしまう。
でも、なにかをしてやれるわけでもない。
似たような境遇だからと、一緒にメシを食べて愚痴を聞いてやるくらいか?
悩みを一人で抱え、今回のようなことが起きるくらいなら、その方がいいかもしれない。
むしろアキトさんやキラも加えて色々吐き出しあえば、いいストレス解消になるかもしれないな。
よし、今度、誘ってみよう。
おっと、これは女子禁制だぞ。だからそこでお菓子を嬉々として用意しようとするな。お弁当をリクエストするな! カティア、その二人おさえといてくれ。頼むぞ!
──????──
(……何度確認してもシステム自体に問題はない。だとすれば、私のラフトクランズに問題があるのではなく、外部に、あの機体に原因があるとしか考えられん。やはりあの方は、そのためにあれを……)
「アル=ヴァン」
「シャナ=ミア様。このような所においでになるとは」
「グ=ランドンが出撃を命じたと聞きました」
「はい。以前惑星表面の調査に出た際、ラースエイレムが作動しませんでした。その原因を探るためです」
「かの者が逃した娘達に託したユニットのことですか」
「……今にして思えば、あの方が最後まであの場に残り戦われたのは、みずからの機体を完全に破壊することで、ラースエイレムのコアシステムがあの機体の中に存在していないことを我等に気づかせぬためであったのかもしれません」
「……もし、そのユニットがそうであるとしたら、どうするつもりです?」
「破壊します。乗ってるであろう娘達と共に、確実に。でなければ、我等の計画に大きな障害となるでしょう」
「……そう。あなたならば、そうでしょうね」
その声は、どこか諦めにも似た声色だった。
「もう、我々は後戻りは出来ぬのです。この惑星圏の状況と、我等が民達に残された時間を考えれば……」
「……」
シャナ=ミアと呼ばれた者は、なにも答えなかった。
ただ、静かに、悲しそうにアル=ヴァンを見て、その場所を去っていった。
「シャナ=ミア様……我々はもう、止まれぬのです。エ=セルダ様等の計画を拒絶した、あの時から……」
シャナ=ミアの背中を見送ったアル=ヴァンは、複雑な心境を内に秘めたまま、小さくつぶやいた。
それはまるで、なにかの迷いを払うかのように……
第7話終わり