~Prologue~
人ならぬ者達が
この世の日に陰に跋扈している
古き一人の詩人が与えた彼等の総称を
”紅世の徒”という
この世の”歩いてはゆけない隣”の世界
自ら称して”渦巻く伽藍”
詩人名付けて”紅世”
”紅世”から渡り来た彼ら”徒”達は
人がこの世に存在するための根源の力
”存在の力”を奪い
その力をもって自身を顕現させ
在り得ない不思議を自在に起こす
思いの侭に 力の許す限り
滅びのときまで
彼等に”存在の力”を喰われた人間はいなかったことになる
これから伸び 繋がり 広がるはずだった
その存在を欠落させられることにより
世界は歪み―――――――
”紅世の徒”の自由自在な跳梁に伴い
その歪みは加速度的に大きくなっていった
その日、
その日も俺は当然のように自分の日常に暮らしていた。
中学3年の11月末、そろそろ受験シーズンが到来するであろうこの季節、俺は受験勉強などせずにボーっと、常にボーっとしていた。うん、勉強なんてだるいんで、つーか別に高校行かなくてもいいんじゃね?っていう考えに至った。
で、他人には常に恨まれてる、ヤンキーと会うたびに喧嘩ばっかという性格ツンツン+評判最悪のこの俺に友達なんて当然できる訳もなく、いつもいつも絶対零度のようなさっむーーーい中学生活を送っていた。
おっと、そういえば自己紹介をしていなかったな、このへんで俺のことを語っておこう、
俺の名前はピーーーーーーーーー・・・あれっ?なんで自分の名前が言えないんだ?おいっ、作者どうなってる?えっ?どうせこの名前はすぐに使わなくなる?ふざけんな!!俺はこの小説の主人公だぞ!!なんで名も無きモブ扱い!?・・・えっ?御託はいいからさっさと続きを話せ?チッ!!まあいい、続きだ、さっきも言ったが、中3だ、受験生だ、・・・受験しないけど。家庭はとっても厳しい母子家庭、3人兄弟の一番下の末っ子だ
この連中が酷くてよぉ。長男は実力ねーくせにすっげえナルシストのキモ男、次男はただでさえ少ない金をしゃぶりつくすただの馬鹿、母親は売春家、まったく酷い家族構成だと思わないか?まあ俺も家族(人)のことは言えないんだけどな
まあ自己紹介はそんなもんだ、そうこう考えているうちにそろそろ授業も終わりかな~~
〔キ~ンコ~ンカ~ンコ~ン〕
っと、終わった終わった、さて帰りにゲーセンでも行くかね?
~~3時間後~~
ふ~、遊んだ遊んだ、500円しか使ってねえのに3時間もいるなんて俺凄くね?・・・まあ本当は金が無かっただけなんだけどな・・・・・。
「はー、帰るか。」
そう言って、あの忌々しい家の方向に足を向けた瞬間、俺の目にとんでもない光景が飛び込んできた!
車通りがまったくない一本道の道路を大型ダンプがとんでもないスピードでこちらに突っ込んできていたのだ!!
しかも、俺の後ろには部活帰りなのかは知らないが俺と同じ中学の2年の女子が歩いていた。
「おい!!お前さっさと逃げろ!!あのダンプが見えないのか!?」
俺は声をかけるがこいつなぜかピクリとも反応しない!!
「チッ」
俺はダンプが突っ込んでくる前に女に向かって走り出し、歩道の方に全力で突き飛ばした!そして・・・・・・・
〔ガンッ〕
凄まじい轟音と共に言葉にするのも億劫になるほどの衝撃が俺を貫いた。そして俺の意識は暗転した・・・・・・
ふわふわした、まるで水の中にいるような感覚だ・・・
ここは・・・
「・・・ここは、どこだ?」
目を開けるとそこは見たこともない場所だった。
「綺麗」と思わず口に出してしまうほどの小麦色一色の草原が足元に広がり、所々に大岩が転がっている、岩はそこにあるだけで美しさを感じてしまう、空を見上げればどこまでも、ひたすらに灰色な雲達が犇めき合い群れを為していた、だが空は暗くはなかった。むしろ、明るかった。灰色の雲を貫くように所々から白い光が煌めいている。楽園とか神界とかそんな言葉が似合いそうな場所だ。
「なんなんだここは・・・。俺はなぜこんな所にいる?」
「ようこそ天の最上部へ」
「っつ!?」
不意に後ろかろ声をかけられ、慌てて振り返ると、そこには一人の女性が立っていた。
白い光を受けてキラキラと金色に輝く神々しい髪を風に靡かせ、この世のものとは思えないほどの完成されつくした容姿をもつ女性がおっとりとした笑みをこちらにむけていた。
「あ、あんた誰だ?」
「私の名はオメテオトル。この世界に存在する全ての対立する2つを兼ね備えた身近なる者の神よ」
「かみって、神様のことか?じゃあ神様ここはどこか俺におしえてくれないか?」
「あら?正気を疑うんじゃないの?」
正気を疑う?いや、そんなことはしない。見ただけで分かる、この絶世の美女は神だ、すくなくとも人間ではない。存在感、カリスマとでも言うべきだろうか?いままで生きてきたなかで一度も感じたことのないようなそれを感じ、俺の魂とも言うべきものが目の前の存在が自分よりも圧倒的格上だと認めている。
というかそれでなくともこの人、神だ、女神だ。だって俺こんな綺麗な人見たことねーもん!!
「ふふっ、ありがとう。お褒めに預かり光栄だわ」
えっ?もしかしなくとも考えてること駄々漏れ?
「ええ、あなたの考えていることは全て分かるわ」
プライバシー?えっ何それおいしいの?状態ですね。分かります!!・・・・・っていうかめっちゃハズッ!!普段の俺なら絶対こんなこと言わなーよ!やべぇ!羞恥で悶え死にしそうだ
「そ、そんなに恥ずかしかったの?」
いや、別に
「・・・・・・・・」
無言の視線が痛いですぅ~~。まぁ、プライバシー云々は置いといて、でっ?俺ってなんでこんなとこいるの?ついでに此処どこ?そこんとこしっかり教えてくださいなテオちゃん♪
「?テオちゃんって私のこと?」
That's rightあんたの名前オメテオトルっつたか?言いにくいからテオちゃんね♪
「・・・おかしな人。こんな反応する人間初めて見たわ。でも悪くないわね。いいわ、好きに呼びなさい」
うんうん、仲良くなれたところで自己紹介だ。俺の名前は■■■■■ってまたかよ!!あんのボケ作者がぁぁぁ!!!くっ、すまんテオちゃんこの作品の都合上、俺の本名は必用無いから喋れないんだ。
「ふふっ焦らなくてもあなたの名前なら知っているわ、■■」
つ、伝わった!?あ、あなたは神か!?・・・あっ、そういえば神様だったな。まぁいいや、話を進めるけど此処ってどこ?俺ってたしか女の子の代わりに大型ダンプに喧嘩売ってボロ負けしたと思ったんだけど。
「あなたが庇った女の子なら無事よ。あなたに凄く感謝してたわ」
無事だったかならいいや
「話を進めるわよ?ここは天の最上部。あなたち人間が言う天国や地獄、冥界や霊界なんかよりも遥か高みに存在する場所よ」
なんかすげー場所ってこと?
「まぁ、そんな認識でいいんじゃないかしら?」
ほへ~~~、一般ぴーぽーのこの俺がなんでまたそんなところに?
「それについてはごめんなさい。謝罪させてもらうわ」
えっ?なんですか?状況がさっぱりわからないんですけど~
「実はあなたは本当はあの場所で死ぬはずじゃなかったの」
What!?じゃあ俺死ななくていいとこで死んだってこと!?
「こちらのミスのせいなの。本当にごめんなさい」
そう言って頭をさげてくるテオちゃん。こちらのミスってテオちゃんがなんかしたのか?
「そういうわけじゃないわ。ちゃんとした理由が聞きたいのならすこし長いけど聞く?」
ああ、聞かせてくれテオちゃん
「じゃあ話すわ。まず大前提としてこの世には幽霊や神、悪魔なんてものが実在するわ」
いや神様は目の前にいるから信じるけど悪魔って、まじで?
「本当よ。と言っても悪い者じゃないわよ。あなた達が悪魔と呼んでいるだけ」
へ~、悪魔って悪い奴らじゃね~んだ
「それはおいておくとして。この世には私達が歪みと呼んでいるものがあるわ」
歪み?
「そうゆがみ。私達神や幽霊、悪魔と呼ばれる存在は皆それぞれ複数の役割を持っている。でも皆が共通で持っている役割があるの、それがゆがみの破壊」
ゆがみって悪いものなのか?
「ゆがみというのは、常にどこかに存在している世界の病のこと。放っておけばゆがみは強くなり、その場にあるなんらかの運命・事象を破壊するわ」
「ちなみに幽霊はゆがみの捜索、神は場所や物についたゆがみの破壊、そして悪魔は生き物に憑いたゆがみを破壊しているわ。ほら、よく心霊写真なんてものを目するでしょう?あれはゆがみを捜索している幽霊が偶然写真に写った物よ」
ほ~、そうだったのか~、てことは悪魔憑きってもしかして
「そう。人間のなかに憑いたゆがみを破壊するために体のなかに入っただけ」
へ~、で、俺の死となんの関係が?
「あのとき、あなたの死んだ場所には複数のゆがみがあってね、あのダンプはゆがみのせいで操縦を受けつけず、あなたが助けた女の子はゆがみに犯され意識が無かったわ」
なるほど、だから呼んでも動かなかったのか
「ゆがみを破壊できなかったのは私の娘たちだから代わりに親の私が謝罪するためにあなたの魂をここに呼んだの」
ふーん、まぁ事情は分かった。で、俺はこれからどうなんの?天国行き?それとも地獄?
「いいえ。あなたには転生してもらうわ。特典付きで」
まじで!?
「ええ、あなたさえよければだけど」
おねがいします
「じゃあ特典を決めましょうか」
《パンッ》
そういってテオちゃんが拍手を一度打つ。すると雪が降り始めた、ただの雪ではないらしく地面に触れた瞬間に消えてしまう。
「降ってくる雪をひとつ手にとりなさい。どんな特典になるかは運しだいだけど絶対に役にたつ特典のはずですよ」
な~、テオちゃんこのなかにはさ、王の財宝や大嘘憑きなんかもあんの?
「ええ、あなた達人間が考えた能力もその中にあるわよ」
じゃあなんでもいいか。そう考え俺はちょうど目の前に落ちてきた雪を掴む
《シャラーン》
鈴の音のような音が辺りに響き、雪は俺の中に姿を消した。
「これで特典の付与は終了です。あなたが転生する世界は付与された能力を役立てることができる世界になります」
そう言ってテオちゃんがもう一度拍手を打つ
《ギーーー》
後ろから聞こえた物音に振り向くむくとそこには開いているにもかかわらず、一切先を見ることのできない扉が存在していた。ここから行けってことか。
「なー、テオちゃん、俺に宿った特典ってなんだったんだ?」
「転生したときのお楽しみです♪」
くっ、美しい!惚れちまうじゃねえか!!!・・・・じゃなくて!!
「い、行ってきます」
「はい、いってらっしゃい」
生きていたころには一度たりとも言ってもらえなかった言葉をうけ、俺は扉の向こうに飛び込んだ
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