カオスな4人衆!?最強のSランク武偵を目指せ‼ 作:サバ缶みそ味
今年のクリスマスはどうしたかって?
特命係長とあぶない刑事を見続けていました(血涙)
「お、俺がやんのか?」
カズキはドギマギしながらもレキに確認するがレキは即答するように無言で頷く。どうやらやらなければならないようでカズキはマジかよと呟きながら項垂れた。
『カズキ、聞こえるか?』
「聞こえるぜ…えーと、なんだっけ?ムッシュ?」
『ムッシュではない!マッシュだ‼お前達は真面目に名前を覚える気はないのか!?』
無線を通してマッシュは呆れと怒りの混ざったツッコミを入れた。しかしカズキとナオトはなんで怒られているのか分かっていないようで不思議そうに首を傾げていた。このままでは埒が明かないのでレキが話を進めた。
「今、ケイスケさん達が戦っているアイアンブリゲイドに僅かですが欠陥がある事が分かりました。そこを狙えば回路がショートしシステムを停止させて相手を無力化できるかもしれません」
「欠陥って、どこに?」
『両肩と胴体の接合部にほんのわずかだが隙間できている。丁度そこに精密な回路が繋がっているようでな、それを破壊すれば機能を停止させることができるんだ』
「なるほどなるほど‥‥で、誰がどうすんだっけ?」
『レキ、本当にこのバカに任せて大丈夫なのか?すっごい不安になってきたし胃が痛くなってきたんだが』
マッシュは真面目に聞いているのか本当に理解しているのかカズキに任せて大丈夫なのか増々心配になってきた。レキは静かに頷く。
「私の他に狙撃ができるのはカズキさんしかいません」
「つまり…どうゆ事?教えてナオトー、ナオト教えて教えてー」
「お前が狙撃するんじゃないのか?」
変顔でしつこく尋ねてくるカズキをツッコミを入れることなくナオトは即答した。カズキのクソギャグを気にせずレキは話を続けた。
「私とカズキさんでアイアンブリゲイドの両肩の接合部を同時に狙撃して止めます」
「ど、同時に!?マジかよ‥‥プレッシーだなおい」
「…それを言うならプレッシャーな」
「あの装甲に傷をつけるとなれば対物ライフルがいいかもしれませんね…」
生半可の狙撃銃ではアイアンブリゲイドの装甲を貫くのはおろか傷一つもつける事はできない。可能性があるとすれば対物ライフルが有効だろう。しかし、今レキとカズキには対物ライフルは持っていない。どこか戦闘中の軍武偵から拝借(物理)をするかない。
「それならいいのがあるぞ‼」
そこへアーノルドが意気揚々にレキとカズキに渡した。.50口径の迷彩柄のデザインが施された大型ライフルだった。
「アメリカではMK.15、カナダではTac-50と呼ばれている。これなら仕留めることができるか?」
「…やってみせます。カズキさん、急ぎましょう」
「俺がやるのかー‥‥まじポン?ナオト、まじポン?」
未だに決心がつかないのか戸惑うカズキはナオトに助けを求めた。しかし、ナオトは時間がないからかまたはた面倒くさいからかぶっきらぼうにカズキの肩を軽く叩いた。
「俺達で足止めするから必ず仕留めろよ?」
「おいいいっ!?ナオトぉ!なにプレッシャーかけようとしてんの!?余計に緊張するわ‼」
「カズキさん、行きますよ」
「あ、ちょ、レキ!待ってーっ‼」
先に向かったレキをカズキは慌てふためきながら駆け足で追いかけていった。ナオトはカズキを見送った後、ため息をついた。
「俺達も急がないと‥‥」
「我々も手を貸そう。いつでも戦える準備はできている」
アーノルド含め、彼らの部下も気合いが満ち足りていた。頼もしいを通り越して頼もしすぎる。ナオトは軽く会釈をし、無線機を取り出した。
「…ケイスケ、聞こえるか?」
『あ!ナオトてめえ‼まだ来ねえのかよ‼こっちは激戦だっつうのに何処ほっつき歩いてやがる!』
『LOooっ‼LOoooo‼』
『ほら、LOOも怒ってるぞ。ルー大柴に謝れ‼』
『LOooッ!?』
ケイスケとLooの怒りの声と無線機から聞こえる銃声や爆発音が混ざりより一層喧しく響いた。ナオトは彼らがどうして起こっているのか面倒くさそうにため息をつき、スルーして話を進めた。
「アイアンブリゲイドを止める方法が見つかった。俺達でやるぞ」
___
「なるほど…それしかねえよな‥‥」
ナオトからカズキとレキがアイアンブリゲイドの精密な箇所を狙撃し、アイアンブリゲイドを無力化させる作戦を聞いたケイスケはアイアンブリゲイドとジーサードとかなめの様子を眺めて納得して頷いた。あの兄妹が全力で戦ってもあのアイアンブリゲイドはびくともしていない。今、彼らの手助けをできるのは自分達しかいない。ケイスケはナオトに尋ねた。
「で、俺達でカズキが狙撃できるよう足止めするってわけだな?」
『後はたっくんがアレに効くビームを持ってたし、それも使えば装甲が壊れるはず』
ケイスケは黒煙が舞い上がっている半壊しかけたホワイトハウスに視線を向ける。あれから未だにタクトが戻ってくる様子が伺えない。タクトが遅れても最悪こちらにはLooの陽電子砲がある。
「分かった。一応たっくんにも知らせる。お前も早く来いよ?」
『今向かってる。ところで、俺って今どkry』
ナオトが言い切る前にケイスケは聞かなかったことにして無線を切った。無線機から鈍いエンジン音が聞こえていたので誰かがナオトを案内していることを期待するしかない。ケイスケはそう願いつつ一向にホワイトハウスから姿を見せないタクトに無線を繋げた。
「たっくん、聞こえry」
『お掛けになった電話番号は今現在使われておりません』
「ぶち殺すぞ」
『‥‥すんませんでした』
ケイスケは額に青筋を浮かばせながらカズキが狙撃し、アイアンブリゲイドを無力化させる作戦を伝えた。
「いいか?お前も重要な役割があるからな。早く来い」
『なるほどなるほど‥‥もう一回言って?』
「ぶち殺すぞ?」
『噓ですごめんなさい‼お、俺も頑張らないとね!後一発しかないから決めたらカッコいいしね!』
「ああ、あいつらの助けになるのはカズキとたっくんが‥‥って後一発ぅぅぅっ!?」
Mininng Laserが後一発しか撃てないことにケイスケは驚いて高い声を上げる。隣にいたLooはビクリと跳ね上がった。
「おい!?何でもう一発しかないんだよ!?」
『ふっ、慌てるなケイスケ…百発百中狙撃ランキングじゃレキよりも147位の下のゴルゴスナイパー菊池タクトに任せとけ?』
タクトはかっこつけて無線を閉じた。タクトは本当に大丈夫だろうかとケイスケはため息をつく。一応、やる時はしっかりやるから任せても大丈夫だろう。後は自分がしっかりしなければと大きく深呼吸した。
「よし…Loo、今度は俺達がやる番だ」
「Loooo…!」
ケイスケに撫でられてLooはフンスと張り切り、左手と両足から鉤爪を出し三脚のような状態で地面に固定すると背中にランドセルの様に装着した臼砲の形をした最先端科学兵器をアイアンブリゲイドへと向けた。
「つか何でもありだな‥‥ところで、それって直ぐに撃てるのか?」
「Looo」
「いや、ルーって言われてもわかんねえよ」
「Looo~」
Looはお前は何を言っているんだと言うような呆れ顔をする。ケイスケはツッコミ役が今自分しかいないことに頭を抱えた。
「いいから誰か早く来い‥‥‼」
もう自分がやるしかないとM16を強く握りしめた。
___
「距離、方角、風…ここなら問題ありません」
レキはホワイトハウスから2000m離れたビル屋上にてTac-50のスコープを覗く。スコープからジーサードとかなめと戦っているアイアンブリゲイドの姿が見えた。コンテナ型のユニットからマシンガンやグレネードランチャー、ガトリング砲を出してジーサードとかなめに向けて斉射し、近づけば離れ、攻めてくれば防ぎ、激しく動いていた。
レキは静かにアイアンブリゲイドの動きに合わせて照準を合わせていく。ずっと黙っていたレキだったが、ちらりと横へ視線を向ける。未だに緊張してブツブツ呟いているカズキの様子がさっきから気になていたのだった。
「カズキさん、大丈夫ですか?」
「お、おおう!大丈夫大丈夫‥‥!あのキレイな顔をフッ飛ばしてやるぜ‼」
「カズキさん、狙うのは肩です」
レキに即答されてカズキはため息をついて肩を落とす。自分は今重要な役割を担っている。しかも一回限りの一発勝負、これを外せば勝機が見えない。カズキの心の内に不安が過るが、首を横に振って冷静になろうとした。
「CoolCoolCoolCoolCoolCoolCoolCool‼」
「カズキさん‥‥?」
「ふ‥‥Coolからホットになっちまったぜ」
「真面目にやってください」
アリアや理子やキンジならば何かとツッコミをしてくれただろう。無表情で、何もツッコまず、冷静に、正確に即答していくレキのテンションが分からなかった。そのおかげなのかカズキも次第に落ち着いてきた。
「わかーったよ‼やってやればいいんだろ?俺達に不可能はねえぜ‼」
ヤケになったカズキはTac-50のスコープを覗き込み、アイアンブリゲイドへ狙いを定めようと照準を合わせていく。
「よく動きやがるなー‥‥じっとさせて…ターゲットをとらせなさいと‥‥」
「‥‥」
ブツブツ呟くカズキとは反対にレキは静かに黙々としていたが、時折カズキが何を言ったのか分からない言葉にピクリと反応していた。
「そんで‥‥とら…さくぶ…」
「えっ?へっ?え?カズキさん、今なんて言ったんですか?」
明らかにどうやったらそんな言葉が出てきたのか、解読不能レベルの言葉を聞いたレキは慌てた。キンジ達の前でも見せない人生で初めて慌てた瞬間であった。
___
『フハハハハハハッ‼無駄だ‼』
リチャードは高笑いしながらマシンガンを乱射する。どんな先端科学兵器であっても、どんな実力の持ち主であってもこの屈強な装甲と最強の火力の前では無力。
「っ‼いちいち高笑いがうっせえよ‼」
ジーサードは舌打ちして一気に駆けた。こちらに真っ直ぐ向かってくるジーサードにリチャードは鼻で嘲笑って銃口を向けてハチの巣にしてやろうとした。その時、両腕が何かに縛られる感覚がした。よく見ると両腕に布の様な平たい磁気推進繊盾が巻きついて引っ張っていた。
「サード!今だよ‼」
かなめが磁気推進推進繊盾を操作し動きを止めようとしていた。かなめの呼びかけにジーサードは頷きモノアイのある顔めがけて思い切り殴った。アイアンブリゲイドの顔に見事にヒットしたが、ギギギと機械音を立てながら力ずくで戻ってくる。
『いくら貴様の力が強かろうが、このアイアンブリゲイドには通用せん‼』
リチャードは磁気推進繊盾をリボンのように簡単に解き、アイアンブリゲイドの頑強な拳で殴り飛ばした。ジーサードは受け身を取って起き上がるが腹部を思い切り殴られ激痛が走る。リチャードは追い打ちをかけるようにグレネードランチャーを握り狙いを定めた。
「やらせはしないっ‼」
かなめがさせまいと単分子震動刀をリチャードに向けて振り下ろす。しかし単分子震動刀の刃はアイアンブリゲイドの左腕に防がれ、刀身が装甲に耐えきれずぽっきりと折れた。
「っ!?」
『‥‥ふん』
リチャードは軽く鼻で笑い、片手でかなめの首を掴んで持ち上げた。
「あ‥‥がっ…‼」
「かなめっ‼」
『ジーフォース‥‥まずはお前から片付けてやろうか』
リチャードは握る力を強め、かなめの首をへし折ろうとした。その時、何処からか喧しいエンジン音が響き猛スピードで近づいてくるのが聞こえてきた。リチャードはちらりと振り向くと、こちらにめがけて大型バイク、ハクチョウドラッグが高く跳んで突っ込んできた。リチャードはかなめを投げ捨て此方に跳んでくるハクチョウドラッグを受け止めた。
「やっと着いた‥‥って、これがロボ!?」
宙で止まっても冷静にほっと一息ついたナオトがアイアンブリゲイドを見て目を丸くする。やっと到着したナオトにジーサードは少し笑みをこぼした。
「ったく、お前らはいっつもハチャメチャな登場をしねえといけねえのか?」
「さあ‥‥?」
『いい加減、私を苛立たせないでくれないか‥‥?』
無視して話をしているナオトにリチャードはメキメキとハクチョウドラッグの前輪を潰していく。ナオトは興味がなさそうに頷いた。
「別に?欲しいならあげる」
ナオトはハクチョウドラッグの座席からバク転して降りた。それと同時にリチャードの目の前にピンの外れたDM51手榴弾が落ちてきたのが見えた。DM51手榴弾は見事に爆発し、ハクチョウドラッグに飛び火し誘爆を起こし大きな爆発となった。
「あれ俺のぉぉぉぉっ!?」
着地し、ドヤ顔しているナオトにジーサードはスパーンと頭を叩いた。しかしナオトは反省の色を見せずケロッとしていた。
「まだあるしいいだろ?」
「よくねえよ!?あれ限定カラーだったんだぞ!?」
「ま、また集めよ?それより、まだ終わってないよ‥‥」
かなめは怒れるジーサードを宥めさせながら煙の方を見つめた。爆煙の中からギラリと黄色い光が光る。アイアンブリゲイドは未だに無傷だ。リチャードは苛立ちながらナオトを睨む。
『舐めた真似を‥‥!』
「まだまだ‥‥」
リチャードが一歩前へと進もうとしたその時、アイアンブリゲイドに向けて銃弾の雨霰が撃たれた。ホワイトハウスの庭園にアーノルドがリチャードに向けてM60を撃ちながら、部下達を率いて突撃してきた。
「副大統領っ‼そこまでだ‼」
『アーノルド‥‥‼ふん、お前まで私に楯突くか。私についてくればよかったものを』
「お断りする。お前の行く道に残るのは死体だけだ‥‥‼」
『ほざけっ‼』
リチャードははき捨ててアーノルド達に向けて斉射しようとしたが、それよりも早くM60を構えたアーノルドとG3A3を構えていた部下達が一斉に掃射した。
「撃ち続けろ‼動きを止めさせろ‼」
アーノルドの響き渡る大声に部下達も怯まずアイアンブリゲイドに向けて撃ち続ける。しかしコマンドー部隊による一斉掃射にもアイアンブリゲイドの装甲は傷一つ付かない。リチャードは嘲笑いながらコンテナ型のユニットからガトリング砲を展開させる。
『フハハハハ‼そんな豆鉄砲、このアイアンブリゲイドには無力‼掃射というものはこうするのだ‼』
ガトリング砲は砲身を回転させアーノルド達に向けてハチの巣にしようとした。が、アイアンブリゲイドの装甲にこつんと何かが当たった。リチャードの目の前に再びDM51手榴弾がバウンドして跳んできたのだ。DM51手榴弾は爆発し、リチャードの掃射を遮った。
「Loo‼やっちまえ‼」
ケイスケはリチャードに向けて中指を突き立てLooに呼びかける。Looはバチバチと電気をはじけさせている臼砲
をリチャードに向けていた。
「Loooooooooッ‼」
Looの叫び声と共に陽電子砲は放たれた。オレンジ色の光が電気を走らせながらアイアンブリゲイドの胴の装甲直撃する。
『ぬっ‥‥‼おおおおおおおおおおっ‼』
リチャードは陽電子砲を受け止め、咆哮共いえるような怒声を飛ばして耐えた。バチバチとオレンジ色の光は音を響かせアイアンブリゲイドを包み込むと爆発を起こした。黒煙と爆風がケイスケ達方にも広がっていく。陽電子砲の閃光は消え、パラパラと土と小さな瓦礫が降ってくる。
「ど、どうなった‥‥?」
黒煙で視界が遮られ静寂だけが過り、手応えがあったのか判断ができない。ジーサード達はじっと黒煙が消えるのを待った。
黒煙が消え、露わになったのは、爆発と爆風に巻き込まれさらに半壊したホワイトハウスの姿と陽電子砲をくらっても尚、装甲にヒビ一つもないアイアンブリゲイドだった。
「おいおい…えらい頑丈だな‥‥‼」
ジーサードは舌打ちしてしてリチャードを睨んだ。アイアンブリゲイドは多少焦げがついてプスプスと焦げた煙を上げている。リチャードは声を荒げて怒り、怒声を飛ばす。
『‥‥どいつもこいつも‥‥小賢しい‼どんな手を使おうが、いくら挑もうがこのアイアンブリゲイドには無力だ‼』
リチャードは高笑いをし、ジーサード達を嘲笑う。ジーサード達は睨んでいたが、ケイスケは冷静に無線機を持ってスイッチを押した。
「物は凄いが中身が慢心してりゃダメだな‥‥カズキ、しくじんなよ?」
『Ok‼絶好のチャンスを逃すかっての‼』
___
「こいつでやってやるぜっ‼」
「―――仕留めます」
このチャンスを逃さない。カズキとレキは同時にTac-50の引き金を引いた。.50口径から放たれた弾丸は勢いよく飛び、風を切るような速さでホワイトハウスへ、そしてアイアンブリゲイドの両肩の隙間へと貫いた。
小さいながらもリチャード本人も気づかない程の火花が散ると、骨が抜けたかのようにガクンと両腕が下がり動かなくなった。突然両腕が動かなくなり、鉄の塊を持っているような重い感覚が感じてくるとアイアンブリゲイドのモノアイが点滅し始めた。
『な、何だ!?何が起きた‥‥!?』
顔面の液晶モニターに映る警告メッセージと喧しく響くアラート音。一体何が起きたのかリチャードには分からなかった。戸惑っているうちに脚も地に着き、動かなくなった。アイアンブリゲイドはただの鉄の塊と化したのだ。アイアンブリゲイドが無力化したことにスコープで様子を見ていたカズキはガッツポーズを取った。
「おしっ‼やったな、レキ!」
「‥‥」
カズキは喜んでレキとハイタッチしようとしたが、レキはじっとホワイトハウスの方を見て動かなかった。ただ一人ポツンとハイタッチのポーズを取っていたカズキは無言のままじっとしていたが、自分の手でハイタッチをした。
「おしっ‼おし‼おーしっ‼」
「‥‥」
屋上でただカズキのハイテンションの声が喧しく響いた。レキはじっと見据える。後はジーサード達に役目を託した。
___
「カズキ、レキ、ナイス‼」
ケイスケは成功したことにガッツポーズを取った。何が起きたのかジーサードとかなめはキョトンとしていたが、ケイスケの様子をみてすぐに理解した。
「カズキ先輩‥‥助かりました」
「ほんと驚かせやがるな…」
アイアンブリゲイドの動きは止まった。漸く反撃ができる。しかし後の問題はあの装甲をどうやって破壊し、リチャードを殴るか。
「すぽおおおおおんっ‼野郎共、待たせたなっ‼わっ!?ホワイトハウスが滅茶苦茶じゃねえか!」
重要な事を考えていたのにそれを逸らすかのようにタクトがホワイトハウスから駆け抜けて、ホワイトハウスの惨状に驚いていた。このホワイトハウスの惨状の8割の原因がお前だとジーサードは心の中でツッコミを入れた。
「たっくん‼後は頼むぞ‼」
「任せな、ケイスケ‼このMininng Laserであの装甲をぶっ壊‥‥あばすっ!?」
タクトは走りながらMininng Laserをブンブンと振り回していたが、盛大にズッコケた。Mininng Laserはタクトの手から離れて高々と宙を舞った。
「たっくん!?何してんだよ!?」
ケイスケはタクトに呆れ、ナオトはギョッとする。宙を待っているMininng Laserはタクトがこけた衝撃で引き金が引かれていた。銃口から赤い光が仄かに光り始めている。後一発しかないのに、うまく当てないとアイアンブリゲイドの装甲を破壊できなくなる。
「私に任せてくれ―――‼」
ホワイトハウスの二階から大統領のマイケルが飛び出し、空中でMininng Laserを掴み、銃口をリチャードへと向けた。
「リチャァァァァァァァァァァドッ‼」
『おのれ‥‥おのれおのれおのれぇぇぇぇぇぇぇっ‼』
マイケルの気合いのこもった叫びとリチャードの憎しみが込められた叫びが響き、Mininng Laserから赤い閃光が放たれた。その閃光はアイアンブリゲイドの装甲に直撃し、爆発を起こした。その衝撃で全身の装甲にヒビがミシミシと広がっていく。
『まだだ‥‥まだだぁぁぁぁっ‼』
リチャードは憎悪が混じった雄叫びをあげる。彼の憎しみが通じたのか、システムの一部が直ったのか、左腕がギリギリと音を立てながら動き、マシンガンを握りマイケルに向けて撃とうした。
「ジーサード、決めるんだ――――っ‼」
「こいつで‥‥終わりだっ‼」
ジーサードは力一杯、全身全霊に力を込め、全骨格、全関節、全筋肉をフルに、高速に動かし音速を超える拳、『流星』を放った。彼の拳はアイアンブリゲイドの胴に直撃した。ひび割れたアイアンブリゲイドの装甲がガラス板のように粉々に砕かれ、全ての装甲はバラバラになり、リチャードの姿が遂に現れた。衝撃を直撃したリチャードは白目をむき、声にならない悲鳴をあげて倒れた。
周りに聞こえていた銃声や爆発音は消え、静寂が流れていた。リチャードが気を失っていることを確認すると、ジーサードは肩で息をしながら拳を高々と上げる。
「俺達の勝ちだ‥‥‼」
「いやったぁぁぁぁっ‼」
勝利の宣言が伝わり、タクトははしゃいで大喜びしかなめとハイタッチをする。ケイスケとナオトはようやく終わったとほっと安堵の息をつく。アーノルド含むコマンドー部隊は歓声を上げる。
マイケルは気を失っているリチャードの下へ歩み寄り、静かにリチャードを見つめた。
「リチャード、お前はやり方を間違ただけだ。アメリカを思う気持ちは変わらない‥‥」
マイケルはボロボロになって廃屋になりかけているホワイトハウスの方へ視線を向ける。上空では何台ものヘリが何度も通り過ぎ、遠くではパトカーのサイレン音が喧しく響く。
「‥‥約束する。必ずアメリカを守り抜いて見せる」
こうして、副大統領の陰謀は阻止され、アメリカを混沌に巻き込みかけた戦いは終わりを告げた。
カズキとレキの使う銃、本当に悩みました。
ラハティL39がロマンがあっていいかなーと思ってたけど、M82かTac-50に悩み、なんやかんやあってTac-50が見た目かっこよくてTac-50にしました。知識がなくて色々と間違ってるところはあるけどそこはすみません
漸く、アメリカ編が終わりそうです‥‥!後はエピローグを