カオスな4人衆!?最強のSランク武偵を目指せ‼   作:サバ缶みそ味

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中途半端かもしれませんが少し短めにしております…


12話

「さて、次はどうするべや?」

 

 一先ず自宅に戻り、再び作戦会議となった。『デュランダル』をつきとめることはできなかったが『デュランダル』を狙っているストーカーの存在がわかった。しかし、あの場所に『デュランダル』がいなかったということはあのストーカーよりも先に逃げた、身を潜めてしまったということになる。

 

「…『デュランダル』を追いかけることはもう難しい」

「もうこの際、追跡はしないで迎撃にまわろうぜ‼」

 

 カズキはもう面倒な事はやめて、単純な方面に移ろうと意見をした。『デュランダル』の標的は白雪に変わりはないし必ず誘拐しようとするだろう。恐らく現れるとすれば3日後に行われるアドシアード。だとすれば白雪のお守りはキンジに任せ、もし『デュランダル』が現れたら自分達で捕まえ、彼女を守りながら襲ってくるであろうストーカーを捕まえる。2重のガードに一石二鳥の作戦であった。

 

「それならダブルタップは確定だな!」

「俺達の勝利だぜー‼アイムウィナー‼」

 

 カズキとタクトは喜んでハイタッチを交わしたが、ケイスケは悩んでいた。まだ問題が残っているのである。

 

「問題は、どう『超能力』と闘うか、だ」

「気合い‼」

「…そういう問題じゃないと思うんだが…」

 

 ストーカーは槍に炎を纏わして攻撃してくる超能力をもつ。『発火能力(パイロキネシス)』の類だろうが、超能力を持たない自分達にはかなり脅威になる。それだけではない、氷漬けになっていた部屋を見たところ、恐らく『デュランダル』も氷系の能力を持っているに違いない。4人はどうすか悩んでいた。

 

「『超能力』について悩み事ですか?」

 

 4人が悩んでいるとろこにリサが4人分のコーヒーを運んできてカズキ達の話に耳を傾けていた。

 

「リサ、何かわかるのか?」

「はい、私も『超能力』については少々知識をかじっていますので‥‥」

 

 そういってリサはリビングの窓を開けて夜空を見上げた。今夜は細い三日月が夜空に浮かんでおり、リサはしばらく空を見上げたがすぐに窓を閉めてカーテンを閉めた。

 

「3日後は新月…『超能力』の効果が薄く、能力者も全力は出すことはできないと思いますよ」

「マジで!?リサ、すごすぎるんですけど!?」

「夜空を見てわかるの!?」

 

 興奮してワクワクしているカズキとタクトにリサは少々照れながら微笑んだ。

 

「わ、私も、『イ・ウー』にいた頃はこういう事も勉強してましたので…」

「…月の満ち欠けや天候によって変わるのか?」

「はい、ナオト様のお考えの通りですね。超能力を阻害するものが雨みたいに降ったりするようです」

 

 なるほど~、と3人は頷いた。世の中にはこう変わったものがあるのだなとケイスケは納得していたが、リサが夜空に浮かぶ月を見た時、リサはかなり怯えていたように見えたのが気掛かりだった。リサも影響しているのだろうかと考えていたとき、インターホンが鳴った。モニターを見ると紙袋を抱えてにこやかにしているジョージ神父がいた。

 

「やあ、皆。順調に事は進んでいるかな?そうだ、松本屋のモモマンを買ってきたんだ。」

 

 リビングに入って来たジョージ神父はにこやかにモモマンを渡しながらカズキ達に尋ねた。手がかりがない中で苦労して『デュランダル』を追跡し、更にはストーカーに殺されかけたのになににやけているんだとケイスケはイラッとした。

 

「もちの論だぜ‼」

「もちもちもっちっち~!」

「…いろいろわかった」

 

 ナオトはとりあえず今分かったことを全て話した。『デュランダル』のこと、『デュランダル』に付き纏うストーカーのこと。そして両者とも『超能力』を持っている事を話した。それを聞いたジョージ神父は深く頷いた。

 

「やはり…『炎の十字架』だね」

「本屋の十時か?」

「お前の耳は腐ってんのか」

 

 ケイスケはカズキに毒づく。ジョージ神父は懐に一枚の写真を取り出した。その写真には燭台を模した槍が写っていた。

 

「その人物はこのような槍を持っていなかったかい?」

「…持ってた。これは何か関係あるの?」

 

 ナオトの質問にジョージ神父はにっこりと頷く。

 

「この持ち主は『イ・ウー』ではない」

「違うの!?これは一体全体どういうことなんんだ!?」

「『デュランダル』の先代に聞いたよ。彼らはこの槍の持ち主と再会することを恐れていた。この槍の持ち主は何百年何千年時が経とうも何代も何代も、精神が病もうとも道を踏み外そうとも歴史から一族の存在を抹消されようともずっとずっと…『デュランダル』を探し続けていたんだ」

「や、病んでるな…」

 

 ケイスケは息を飲んだ。このストーカーは先代からずっと『デュランダル』を探し続けていたということだ。かなりの執念を持っており、もしその『デュランダル』と出くわしたら一体何しでかすか分からない。カズキは少し苦笑いして尋ねた。

 

「も、もしかして…その持ち主の名前もわかってたりしてます?」

「勿論だとも。槍の事も話せばきっと対策が立てるだろうね。この槍の持ち主の名は…」

 

__

 

 アドシアード当日、武偵高校もスタジアムも多くの観光客や報道やマスコミで賑わっておりいつもより人混みが多かった。勿論、国際競技大会ということもあり、世界各国から武偵校の選手拳生徒が多く来ていた。

 観客席は満席でいつ始まるか待っていた。控室にいるケイスケとリサはそんな様子を携帯のモニターで見ており、同じく控室で待機してるタクトは緊張しているのかガクガクしていた。

 

「たっくん、そろそろ準備しとけよ」

「タクト様、頑張ってください!」

「おおうともさ…こ、これが俺達の明太子ロードだ…‼」

 

 ああ、これはかなり緊張してるなとケイスケは悟った。去年と同じなら余裕だしー、と5分前は元気だったタクトも外の様子を見て硬直してしまった。肝心のカズキとナオトは選手と出場しているため応援に来ることはできない。ケイスケは仕方ないともしタクトが緊張した場合の措置を考えていた。ケイスケはリサに目で合図するとリサは張り切ってうなずき、チアガールが使うポンポンを取り出した。

 

「た、タクト様!応援してます‼が、がんばれ♪がんばれ♪」

 

 リサは半ば恥ずかしながらもタクトを応援してあげた。そんな健気なリサを見てタクトは見る見るヤル気を取り戻していった。

 

「うおおおおっ‼俺のやる気がビビットきたぁぁぁっ‼」

 

 そう言うや否や、タクトは着替えて愛用の青いギターを抱えて駆け出していった。

 

「うぃぃぃぃぃぃっ‼」

「ちょ、たっくん!?まだ3分もあるよーっ!?」

 

 ケイスケの制止も聞かずにタクトは勢いよくステージへと駆けて行ったのだった。少しやりすぎたかなとリサもケイスケも半ばポカンとしていた。途中で落ち着いたのか時間通りにタクトはオープニングセレモニーのステージへと上がった。タクトは迷彩柄の武偵校の制服を着て満席になっている観客席の観客達に向けてピースをした。

 

「すぽぉぉぉぉぉんっ‼みんな―‼のってるかーっ‼これよりアドシアードの始まりだー‼」

 

 スタジアムに響き渡る歓声に応えるかのようにタクトはギターを奏でた。流れる音楽、タクトが奏でる音がスタジアムに広がる。まるで宇宙の様な無限大を感じる演奏に観客も生徒や教員たちも真剣に聞いて見惚れていた。ちなみにタクトはこの曲を『ヘイロー』と名付けているが由来は不明。数分間の演奏が終わり、タクトがどや顔で決めたと同時にスタジアム全体に拍手と歓声が巻き起こった。

 

__

 

「タクト様、とても凄かった(ヘール・モーイ)でしたよ‼」

「でしょー?俺は無敵だっ」

 

 タクトはリサに褒められて照れておりとても上機嫌だった。ケイスケはいつもこんな調子だったら疲れるなとため息をついていた。この後は受付付近に待っているジョージ神父と合流しリサを預け、ケイスケとタクトで白雪の護衛をこっそりつける予定だ。

 

「やあタクトくん、君の演奏はいつ聞いても素晴らしいな」

「やほー神父‼俺ってば天才だってばよ‼」

 

 いつの間にかブブゼラを買っていたジョージ神父と合流し、リサはジョージ神父と一緒にアドシアードを楽しんでもらい、ケイスケとタクトは白雪のいる生徒会のテントへ向かおうとしていた時だった。タクトはあることに気づいた。

 

「あれ?あそこの受付にいるのってキンジじゃね?」

 

 え?とケイスケは咄嗟にタクトの指さす方を見た。受付のテントにて入場客からチケットを受けっといるのはキンジで間違いなかった。今の時間、キンジは白雪の護衛をしなければならないはず…ケイスケとタクトは急いでキンジの所へ駆け寄った。

 

「キンジ、何してんんだってばよ!」

「ん?タクトとケイスケか。何してるって…受付だが?」

「おま…白雪の護衛はどうしたんだよ!?」

 

 何呑気に受付をしているのかケイスケはイラッとしてキンジに聞いた。デュランダルは護衛が薄い時に狙ってくるだろう。アリアと交代したと答えてくれることを期待していたがそれは叶わなかった。

 

「ああ…特に異常もないし、これだけ人目もあれば大丈夫だろ」

「「」」

 

 そんな答えを聞いてケイスケとタクトは口をあんぐりとあけてぽかんとしていたが、すぐさまケイスケの堪忍袋の緒が切れ、ケイスケは鬼のような形相で怒声を飛ばした。

 

「てめえはクソか!仕事を投げ出すボディーガードがいるかよ‼」

 

 例えるならとある重要人物に『お前を殺す』というような脅迫状が届き、ボディーガードが護衛しなければならない時、その情報がウソかもしれないし犯人なんていないかもしれないという状況下で、ボディーガードが『今日は狙われなさそうだし、大丈夫だろう』とか言い出して護衛をさぼっているようなもの。今まさにそれである。

 デュランダルが狙うとすれば白雪が1人の時、護衛もいない時、そして白雪が一人で行動できる時である。護衛をしていないこの時が狙い時だ。ケイスケは舌打ちして携帯を取り出す。

 

「デュランダルなんていないわけだし、それに生徒会もいるんだ。そんなに怒ることは…」

「いるとかいないとかそういう問題じゃねえ‼傍を離れてんじゃねえぞクズが‼」

 

 リサを守ろうとして一度守れなかった。ケイスケはその時の悔しさが残っているからこそわかっていた。ケイスケは急いで駆けだしていった。予定が変更し、急遽行動しなければならない。タクトは焦りながらキンジに伝えた。

 

「ご、ごめんね?あ、もしも気になるんだったら白雪ちゃんに聞いてみたら?じゃ、俺も行かなきゃいけないから」

「あ、ああ…ありがと…」

 

 タクトはあたふたとケイスケの後を追いかけた。ちらりと振り返ってみるとしばらく携帯をかけて携帯を見つめた後、血相を変えて駆け出していったキンジの姿をみてタクトは少しほっとした。

 

__

 

「はあああっ!?マジかよ!?」

 

 カズキは驚愕した。もうすぐ狙撃科の競技が始まるという中でケイスケから突然、『白雪がいなくなった』と怒声を飛ばしながら携帯で伝えてきたのだった。

 

『おそらくどっかでデュランダルに出くわしてる‼カズキ、急いでナオトを呼んで『準備』して来い!』

「いやいやケイスケ?どこに行けばいいんだよ?」

『知るかバカ‼俺とタクトで探す!てめえは試合放棄してでもこい‼』

 

 ケイスケの奴、なんで怒っているんだとカズキは首を傾げながら電話を切った。しかし何処に行ったのか場所がわからなければ意味がないのではと思うが、兎に角ナオトを呼び戻して『準備』をしなくてはならない。

 

「…どうかしましたか?」

「ああ、実は白雪がいなくな…あっ」

 

 落ち着いた口調がナオトに似てるのでついうっかり口をこぼしてしまった。カズキは恐る恐る後ろを振り向けば同じ狙撃科のレキが目をぱちくりしていた。カズキはやっちまったと焦りだした。このままだと全生徒に伝わってしまうと焦っていたがレキは落ち着いた様子で頷いていた。

 

「そうですか…白雪さんがいなくなったんですね」

「そうそう…じゃねえ‼えっと…いなくなったんじゃなくて、白雪が田舎にp@*;>?‘‘L」

「…わかりました」

 

 それはいなくなったことを理解したのか、それとも自分でも何言っているか分からない母国語の様な言葉を理解したのかレキが何を考えているのかわからなかった。レキはドラグノフを抱えて控室を出ようとしていた。

 

「カズキさん…探さないのですか?」

「…え?それって一緒にさがしてくれるのか?」

 

 ポカンとしているカズキの質問にレキは沈黙のまま頷いた。

 

「私はアリアさんにクライアント…白雪さんを見ておくように頼まれました。カズキさん達も白雪さんを探すというのなら協力します」

「ホントか!?そいつは助かりんべ!俺はナオトと合流すっから頼んでもいいか?」

 

 レキは静かに頷き、もし何かわかったらナオト達に伝えることを話した。

 

「さっすがレキだぜ‼お前の…あれには…えっと…すごい世界が受け入れて…うん…すごい」

「???」

 

 さすがのレキもカズキの言っていることが分からず首を傾げた。そうこうしているうちにナオトが急いでいる様子で狙撃科の控室に駆けつけてきた。

 

「カズキ、ケイスケから聞いた!急いで『準備』するぞ‼」

「そうだな。あれを用意するにはかなり時間が掛かるしな」

「…つかぬことを聞きますが、その準備にはどれくらい掛かるんですか?」

 

 カズキとナオトは顔を合わせて、これくらいかかるだろ、いやこれくらいだろと話し合いしばらく考えた後、レキにキッパリ答えた。

 

「「すっごいかかる」」

「…とりあえず早急に見つけるようにしますね」

 

 心なしか、無表情で考えが読めないレキが少し苦笑いしているように見えた。




 当初、原作を読んでそれでいいのかボディーガードと思っていましたが、まだキンジさんは学生、それにこの時はこういった戦闘に実感がないから仕方ないかなと…

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