カオスな4人衆!?最強のSランク武偵を目指せ‼ 作:サバ缶みそ味
お待たせいたしました。
バリカンやボランティアや敵前でダンス、ミッション終了時のバトルロワイアル…気が付けばどんどんネタが増えてるぅ(白目
「さあやるぞお前ら!俺についてこい!」
「だったらさっさとついてこいや」
後方からドヤ顔で張り切りだすカズキにケイスケは軽くあしってM4を構えて思い切り先陣をきって突撃しているナオトとタクトを援護しながら進んでいく。
「おらー!ナオトお前ばっかりでしゃばんじゃねえぞ?俺にもっと出番をよこせ!」
「だってたっくんが勝手に前に進んでいくからでしょ」
ナオトはどんどんと前へと進んでいくタクトが被弾しないためにひたすらカバーしながら後を追っていた。タクトがよそ見している隙に襲い掛かってくる敵をナオトはすかさずホルスターからFN5-7を引き抜き撃ち倒す。しかしタクト本人は全く気付かないままずかずかと進んでいった。
「いつまでちんたらしてんだよお前は‼」
「仕方ないだろ!昨日までピザ食べてたんだから、ほらあれだピザ不足で反応が遅れてんだ!」
「一生ピザでも食ってろ!」
奮闘しているタクトとナオトの後方ではもたもたしているカズキとそれに苛立っているケイスケがギャーギャーと口喧嘩をしていた。
「ああやっぱり‥‥4人揃うと本当に碌な事がねえ」
いつものことか4人組の為体を目の当たりにした静刃はため息を漏らして項垂れた。どうしてこんな状況でも足並みが揃わず喧しいのか。
「静刃さん、今は嘆いてる暇はありませんよ。今は相手を倒すことに集中しましょう」
かなめに励まされて静刃は頷きあの4人組の事は無視して戦うことに集中しようとした。戦闘狂の鵺とは違ってしっかりしている子だと静刃は感心した。
「‥‥お前はあのバカ共には呆れてないのか?」
「タクト先輩達の事ですか?予想の斜め下を突き抜けてますから‥‥なんかもう、慣れちゃいました」
『だってホワイトハウスを半壊させちゃうくらいですから』とかなめはどこか遠い眼差しで、半ば諦め気味に呟いた。嗚呼、この子もやっぱり苦労してるんだな、と静刃は同情した。
「ちっ‥‥余計な事になったわね」
フレイヤは苛立ちながら舌打ちをして睨んだ。遠山キンジの居場所を吐かせるために一人を攫ったのだがまさかこんな面倒な連中が嗅ぎ付けてくるとは思いもしなかった。
フレイヤは伊藤マキリが言っていたことを思い出す。『あの4人組は何を考えているか、何をしでかすかわからない』と。彼女の言っていた通り、敵の隠れ家を装甲車で突撃し、武偵のくせに容赦なしにバカスカと銃を撃ちまくり、戦闘中に喧しく騒ぐ。今まで邪魔をしてきた他勢力や自分を捕えようと挑んできた武偵、かつて自分達の邪魔をしてきた遠山金一といった相手とはかけ離れている。
だがここでこいつらを潰せば後々の面倒な事は消えてなくなるのではないか。それにこちらの数の方が圧倒的に多い。今が好機のはずだ。フレイヤは腰に提げている黒い剣を引き抜こうとした。
「勝手な行動は控えてくださいと言った筈です、フレイヤ」
「っ!?ま、マキリ…!?」
突然、諌められフレイヤはぞくりと寒気がし振り返る。自分の背後にいつの間にか伊藤マキリがいた。鞘から剣を引き抜く手を掴まれ、氷のような冷たい瞳がじっとこちらを凝視している。
「後の計画の為、出過ぎた真似はしないようそう注意したはずですよ?」
「…そうかしら?貴女もここに来たのだからここで禍根を断つチャンスじゃなくて?」
マキリがいればあの4人組とそのおまけの奴等も簡単にあしらえることができるはずだ。しかしマキリは無表情で首を横に振る。
「‥‥彼らが装甲車で市街地を爆走したせいで、公安0課やその他武偵達も後を追ってきています。余計な面倒事を起こすべきではありません」
「公安0課が…!?」
フレイヤは舌打ちして再びタクト達を睨み付けた。この喧しい連中ならまだしも公安0課の連中までもが来るとなるとかなり面倒な事になる。よもや彼らが公安0課に目をつけられているとは。そんなタクト達は漸くフレイヤの近くに伊藤マキリがいる事に気づいた。
「あっ!近藤マキリじゃねえか!」
「バカ、佐藤だろ」
「斎藤じゃなかっけ?」
「んなわけねえだろ?ジェノサイダー鈴木に決まってんだろ?」
「誰一人あってねえ‥‥‼」
「まあこいつら覚える気ないしな」
誰一人真面目に答えることが出来ていなかったことと真面目に覚えていなかったことに静刃は嘆き、鵺はやっぱりと頷く。フレイヤのみならず伊藤マキリまでもいるとなると恐らく苦戦を強いられる。静刃はいつでも妖刕を抜けるよう身構えた。
「フレイヤ、時間はありませんよ」
「あーもう、わかったわ。あんた達、退くわよ!」
「お?逃げるってかー!そうはさせねえぜ!このスナイパーてつおがry」
カズキは逃がさまいとM110狙撃銃を構えて狙い撃とうとしたがそれよりも速くフレイヤが剣を抜いて天井に向けて何度も剣を振った。すると天井がスパスパと切断されて大きな瓦礫となってカズキ達めがけて落ちてきた。真上から巨大な瓦礫の塊が落ちてきたことにカズキ達は驚愕した。
「はああああっ!?なんじゃそりゃあぁぁ!?」
「おいマジかよ…っ!?」
「‥‥嘘ぉっ‼!?」
カズキとケイスケ、ナオトが驚愕していたがタクトは「あっ」と思い出した。
「そうだった。フレイヤって剣で何でも斬っちゃう能力持ってたんだ」
「それを早く言えバカ‼」
「たっくんなんですぐに忘れちゃうんだよ‼」
またしてもひと悶着が起きているが今はそれどころではない。落ちてくる瓦礫で自分達はぺしゃんこに潰されてしまう。その間にフレイヤ達に逃げられてしまうが構っている時間はない。静刃はやむを得ず妖刕を引き抜いた。
「お前ら下手に動くなよ!――――――『大炸牙』‼」
刀身を振る速度を超音速まで瞬間的に引き上げることで起こる衝撃波を放つ技であり、放たれた衝撃波により押しつぶさんと落ちてくる巨大な瓦礫を瞬時に吹き飛ばし微塵に粉砕させていった。静刃の大技にタクト達はポカンとし、鵺は感心して口笛を吹く。
自分達に降りかかる瓦礫を全て砕き、その間にすでにフレイヤ達の姿が消えたことを確認した静刃は妖刕を鞘へと納める。それと同時にカズキとタクトは目を輝かせて駆けつけてきた。
「すげええ‼お前そんな技持ってたのかよ‼俺にも教えてくれその‥‥作画崩壊アタック!」
「かっけえじゃん!お前の技をスーパーウルトラデラックス宇宙ヤバイスペシャルと名付けよう」
「そんな技じゃねえよ!?というかお前らじゃ無理だっての」
教えられないし教える気もない。というか勝手に人の技に変な名前を付けないで欲しい。せがむカズキとタクトを振り切ろうとするが今度はケイスケがジト目で見ながら寄って来た。
「つかそんな技あんなら最初からやれよ」
「お前は鬼か」
妖刕を引き抜くことで潜在能力を最大限に発揮することができるが最低3分しか戦うことができず、その時間を超えてしまうと潜在能力を解放できなくなる。静刃は一息ついて辺りを見回す。もう既にフレイヤ達や伊藤マキリの姿は無かった。
「‥‥逃げられてしまったな」
「どっちでも構わんじょ。すぐにでもまた戦えるだろうしな」
「それにカズキ先輩達も合流して揃いましたし‥‥作戦は練れますよ?」
静刃と鵺、かなめは後ろを振りかえる。一番遅く合流したことでビリけつだと罵るタクト、タクトに弄られプンスカと怒るがどうやって言い返そうか言葉が出ないカズキ、喧嘩してる場合じゃないと二人を止めるケイスケ、そんな3人を我関せずと生温かく見守るナオト、個性の殴り合いの4人組が揃うと静かな場面はほとんどない。
「というかこいつらで作戦を練れるのか‥‥?」
「‥‥たぶん、です」
静刃は素朴な疑問を尋ねたがかなめは視線を逸らした。自分達がフォローしないとまともな作戦は練れないかもしれない。
____
「皆様、おかえりなさいませ!」
久しぶりの我が家に帰るとリサが笑顔で待っていた。漸くここに帰れたこととリサがいてくれたことにカズキ達はほっと安堵する。
「いやーやっぱお家が一番だわな!」
「やっふぅぅぅ‼リサ、スポーーン‼」
「‥‥お腹空いた」
「悪いなリサ、今日は大人数になる」
やっと我が家に帰れて喜ぶカズキ、我先にソファーへと駆けだすタクト、もうお腹が空いて今すぐに何か食べたいナオト、帰って早々にリサに詫びるケイスケに続き静刃と鵺やセーラ、理子とジャンヌとかなめとぞろぞろと入って来た。セーラは呆れ気味にタクトをジト目で睨んだ。
「たっくん、大人数で集まれる場所って言ってたけどなんで自宅なの?」
「え?楽しいじゃん?」
「うんまぁ‥‥そんな気がした」
キョトンと当たり前のことを言うように首を傾げるタクトにセーラはもうこれ以上つっこまないことにした。これだけの人数で案の定リビングは更に喧しくなっていた。まず始まったのはこの6日間何処にいたのか、カズキの尋問から始まった。
「なぁぁにぃ!?ケイスケてめえりこりんとリサとずっといたのかコノヤロー‼」
「そうだがそれがどうした。文句でもあるのか?」
「おまえあれだぞ‼俺なんかずっとピザ生活だったんだぞ‼」
「うわー、カズくん不健康すぎー」
理子にプークスクスと笑われて悔しがるカズキにナオトがクルミを2個片手で砕いて中身を食べながらタクトの現状を伝えた。
「それよりもたっくんがイ・ウーのリーダーになってたことには驚かないの?」
「え゛!?マジでたっくんリーダーなのか!?」
「そうです。この俺が新たなる光二等兵ことイ・ウーの味噌汁筆頭リーダーとなったのだぜ‼」
「まだ仮といえどもいつ風前の灯火になるかで怖い。早くその任を解いて欲しい」
「ヒルダから聞いたが‥‥こっちの肝が冷えてやつれそうだ」
ドヤ顔して自慢しだすタクトとは裏腹にセーラとジャンヌはげんなりとしていた。特にセーラの様子からしてタクトの行動に困惑していたのだろう。
「そんでナオトがぬえっちと協力してたというわけか」
「おいこら俺を忘れんな」
「そうだったぜ、えーと‥‥たかし?」
「だから静刃だ‼なんで忘れてんだお前は!?」
「そりゃあ‥‥ぬえっちはビーム撃つし?」
「もうヤダこいつら‼」
やはり彼らはビーム基準で覚えていたようだ。だとすればアリスベルのことはしっかり覚えてくれているだろう。自分の事を真面目に覚えてくれない彼らの事はひとまず置いといてここで集まった目的に移ることにした。
「とりあえずここに集まったのはそれぞれこの6日間で得た情報をまとめ、奴等を捕える作戦を考えるぞ」
この6日間は4人バラバラでそれぞれの目的を持って行動をしていた。それぞれに事件の遭遇があったがこれは一つに繋がっているような気がしてならなかった。
だが物事はスムーズに進まない。一番最初にこれまで得た情報を見なに話そうとしていたカズキだったがふと呟いた。
「やっべ、なんかインドカレー食いたくなってきた」
カズキのこの一言がタクト達を拍車にかけていった。3人は同意する様に頷く。
「わかる。それと一緒に食べるチーズナンとか美味しいもんね!」
「息抜きにスパイスのあるやつが欲しいな」
「腹が減っては戦ができぬ‥‥」
「え、ちょ、お前らry」
しょっぱなから話が脱線しだして静刃はなんとかして話を戻そうとするがインドカレーを食べたいと団結したカズキ達を止まることはなかった。
「よしインドカレーを食べよう!」
「ナンはチーズナンでしょ‼早速作るぜ!」
「サラダも欲しいな。冷蔵庫の野菜、腐ってねえかな」
「材料がいる。買い出しに行かなきゃ‥‥」
このままだとカレーパーティーになってしまう。自分一人では止める事はできない、静刃は他の連中に助けを求めようとした。
「でしたらリサが腕によりをかけておつくり致しますね!」
「それじゃ野菜買う組とナンとかスパイスとか買ってくる組にわかれよっかー」
「ブロッコリーを所望する」
「酒をたんまりもってこいじょ‼」
「‥‥」
ノリノリのリサと鵺を除いてセーラ達はもう止めることができないと諦めて悪ノリをしていた。項垂れる静刃にそっとジャンヌとかなめがポンと肩を叩いて励ます。
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「いいか?今度はふざけるんじゃねえぞ?」
静刃は改めて確認をする。テーブルには数種類のインドカレーとチーズナンとサラダが置かれ、カズキ達は食べながら情報をまとめることにした。
4人組からの情報をまとめると、まずフレイヤは独自で製造した爆弾『クリーパー』を使い武装検事試験会場を爆破させた。彼女の目的は遠山キンジや彼の仲間を抹殺、そしてアリアの母親を暗殺すること。どうやらアリアを絶望させ秘められている『何か』を暴走させるらしい。
フレイヤにはスポンサーがいるとらしいが、彼女の仲間に伊藤マキリがいた。伊藤マキリは『N』の一員であり、彼女は私設軍隊を所有している『猿楽製薬』に隠れ、彼らを使って企みをしようとしていた。
そしてその猿楽製薬は民由党と手を組み武器の製造および流出をしており、民由党は『ヒヒイロカネ』とやらを使った兵器を作ろうと計画をしていた。その計画はどうやらアリアとキンジの何らかの行動で失敗していたようだが、今再び『ヒヒイロカネ』を手に入れようと猿楽製薬と協力して計画しているという。
そして、チーズナンは美味しいということ。
「オイコラ。勝手に変なのを付け加えるんじゃない」
静刃は情報をまとめて書いていたホワイトボードの隅で落書きをしていたタクトに拳骨を入れる。ここまでの話を聞いていたセーラがジト目で頷く。
「どうやら全部つながったみたい」
「フレイヤは伊藤マキリら『N』と手を組んで、猿楽製薬と協力してキーくんやアリアのお母さんを殺すつもりだね」
「もしこのような事が起きれば都内で大規模なテロが起こるかもしれないよ…!」
『N』や私設軍隊、そしてフレイヤら武装組織が一斉に襲い掛かってくるのだ。これだけの数が暴れるとなると被害は甚大どころじゃ済まされない。しかし、とジャンヌは気難しそうに首を傾げる。
「その数でどうやって遠山とアリアの母親を同時に狙うのつもりなのか?無差別に事を起こすわけではないはずだ」
数が多すぎれば行動の規模が大きく目立ち、どちらかに気づかれてしまう。それどころか公安や武偵らによって数は数で押さえられるだろう。目的を果たすのなら迅速に行わければならない。話を聞いていたカズキは渋い顔をしながら考えていたがふと気付いた。
「派手に暴れる‥‥もしかして『参観日』にやるんじゃね?」
「「「参観日?」」」
訝しげに首を傾げるタクトら3人に漸く優位に立てたのが嬉しいのかカズキはにんまりと笑顔になった。ここで自分を崇め奉らせようと話すのを勿体ぶらせていたが、そんなカズキの思惑を打ち砕くかの如くかなめがタクト達に説明をした。
明日、武偵校が主催の大規模な実戦的訓練を行う実習であり、その行事に保護者や企業、軍、そして政治家たちが観戦を行うという。ガクリと肩を落とすカズキを他所にケイスケは納得して頷く。
「なるほどな。武偵であるキンジも参加するだろうし、そしてアリアの活躍を見るためにアリアの母親も来る…同時に獲物を仕留めるにはもってこいのイベントじゃねえか」
「つまり、どういう事だってばよ?」
「たっくんは流れでわかればいい…」
未だによくわかってないタクトをセーラが抑えつつ、次の問題に移ることにした。
「相手の狙いはわかった…けどどうやって事を止めるか」
今回は猿楽製薬、伊藤マキリ、そしてフレイヤら武装組織と相手が多い。どちらがキンジを狙うのかアリアの母親を先に狙うのか、両方を守って動くことができるか些か厳しい。
「その参観日…たっくんの母さんも参加するの?」
ナオトの疑問にセーラ達ははっとした。アリアの母親も参加するのだから、彼の母親である菊池サラコも武偵であるタクトの活躍を見に来るかもしれない。ナオトの問いにタクトは何か閃いたのか、意味深な笑顔を見せた。
「閃いたぜおい…!この俺にいい考えがある」
ドヤ顔をするタクトにカズキら3人とリサは興味津々に見ていたが、静刃や理子達は嫌な予感がしていた。彼らの言ういい考えとやらは絶対に碌な事じゃない。そう思っている間にタクトは携帯の電話をかけた。
「もしもし母ちゃん?うん、今カレーパーティーしてるの」
「いや作戦会議だって言ってるだろ」
「妖刕、もう諦めたほうがいいかも。たっくんって楽しいことしか覚える気ないから」
肩を竦める静刃を理子が宥めさせている間にタクトはサラコとの会話で盛り上がっていた。途中、ナオトがうどんの魅惑に憑りつかれたとか、カズキがお財布全ロスしたとかありもしない話をした。
「それでさ母ちゃん‥‥用意してほしい『モノ』があるんだけど」
タクトの言う『用意してモノ』とは何なのか具体的に聞いた静刃達はギョッとした。その『用意してほしいモノ』とタクトが考えた作戦‥‥やっぱり碌な事にならないと静刃や理子は頭を抱えた。
そういえば最新刊でキンちゃんはネモと無人島生活をするようで‥‥
無人島生活と聞くと‥‥どこかのちねらーとモリを持った野生児を思い出しますね
まっさるまっさるー