カオスな4人衆!?最強のSランク武偵を目指せ‼ 作:サバ缶みそ味
学園島の岸からでも見える豪華客船『彼岸丸』。本来ならば今回行われている武偵校一大イベントである『参観日』にて保護者や企業、政治家達が安全に観覧する場所であったが、今はフレイヤの手によって船員や観客船内の全ての人間が人質とされ、豪華客船はジャックされてしまった。
メインホール内で人質にされた人々が銃器をもつ黒づくめの兵士に囲まれ怯え身動きができずにうずくまっている一方、船員を全て縛り上げた操舵室にてフレイヤは苛立ちを募らせていた。
先ほど部下から知らされた情報で『参観日』の演習場となっているエリアを猿楽製薬の私設軍隊と共に襲撃することは成功した。しかし今作戦の標的の一人である遠山キンジ及びその仲間達の抹殺は失敗したという。自分の部下や他の武装勢力、そして猿楽製薬の私設軍隊とあれだけの数を投入したというのに何たる醜態か、フレイヤは苛立ちのあまり親指の爪を噛みしめていた。
「ちぃっ‥‥あの社長、なにをやってんのよ!どいつもこいつも‥‥‼」
痺れを切らしたフレイヤは操舵室を荒々しく出て行き、人質を捕えているメインホールへと向かった。遠山キンジの抹殺が失敗したということはアリアと共にここへやって来る。あちらの標的の抹殺が成功した場合に人質全員を始末する為に船内にクリーパーを仕掛けていたというのに無駄に終わってしまった。
折角の計画が台無しに終わってしまう。それならば奴等がこちらに向かう前にもう一人の標的である神崎アリアの母親、神崎かなえを殺しまおう。伊藤マキリからは『待て』と言われていたがもう我慢ならない。
「ふ、フレイヤ様‼」
ふと部下の一人が大慌てでこちらに駆け寄って来た。フレイヤはギロリと横目で睨む。今はさっさと標的を始末しておきたいというのに耳を傾ける暇なんてない。だが、部下の様子からして只事ではないと伺えた。
「――――さっさと要件を言ってくれるかしら?」
「は、はいっ‼れ、例の4人組が動き出しました‼」
例の4人組、あの何を考えているのか分からない喧しい奴等かとフレイヤは鼻で笑った。てっきり公安0課か機動部隊が動いたのかと警戒していたが時間の無駄だった。伊藤マキリは奴等も警戒する様にと言っていたが、たった4人でここに向かって何になるのか。そもそもここへ向かうのに手段は限られているヘリを使って空からか、ボートを使って海からかのどちらかだ。それならば部下に迎撃を命じればすぐに始末できる。
「そんな事ならあなた達で始末してやりなさい?」
「で、ですが‥‥‥‥そ、その4人組‥‥戦車でこちらに向かってきてますが?」
「―――――は?」
フレイヤは一瞬己の耳を疑った。どういう事なのだろうか。いや、どういうつもりなのだろうか。一体何を考えて戦車で向かってきているのか。どう答えればいいのか混乱困惑するしかなかった。
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「あのクソ野郎共がっ‼」
運営本部で待機していた獅堂は怒りで力いっぱい机を叩いた。今指導の目の前にある中継を映してるテレビの大画面には襲撃された区内を爆走している戦車が映っていた。敵の銃撃を何ともないかのように突破し、行く手を止めている装甲車を押し潰し、近道をするのか通路を埋めた瓦礫の山に向けては容赦なく砲撃し更地と化していく。
こんな滅茶苦茶なことをするのはもうあのバカ4人組しかいない。というよりも何で武偵が戦車を持っているのか、色々とツッコミを入れたいのだが今はそれどころじゃない。
「もう我慢ならん‼あのクソガキ共を止める‥‥‼」
我慢が限界突破した獅堂は真っ先にあの4人組を止めようと無線機を取り出す。他の場所で待機している灘、可鵡偉、大門坊に知らせ全員で取っちめる算段だ。
「それは悪手じゃないのかな、獅堂くん」
いざやろうとした途端に止められ、獅堂は更に怒りのボルテージを上げた。止められたのも理由ではあるが、その己の行動を邪魔しようとしている声に獅堂は苛立った。
「てめぇ‥‥何のつもりだ雅人‼」
獅堂は振り返りこんな状況にも拘らず平然としている男、あのクソガキ4人組の一人である菊池タクトの父親である菊池雅人を睨み付けた。雅人はまあまあと獅堂を宥めながら近づく。
「せっかく人質を救出、首謀者を捕えようと向かっているのだ。彼らの邪魔をするのは野暮じゃないのかな?」
「救出だぁ?あの惨状を見て言えるのか!?」
獅堂は怒号を飛ばしながら画面を指さす。今も尚タクト達が乗っているであろう戦車は爆走して障害物となる物全てを破壊していっている。そもそも戦車でどうするつもりなのか、砲撃して船を沈めるつもりなのか。
「前も言ったはずだ、戦争みたいな戦闘をする連中と戦うのだよ?そして今、テロ紛いな事が起きている。それに応じた手段だと思っているのだけどねぇ?」
確かに彼らの戦車による爆走でそれが注目されているが、他の画面では白いボディーアーマーを身に着けている武装した連中が手榴弾を投げ、銃器による襲撃と今、街中が銃撃戦となっていた。
「今は武偵も、公安も、力を合わせてこの事態を食い止めるべきじゃないのかな。如何なる事態、国内で起こるテロを未然に防ぐためのいい訓練だ」
雅人は画面を見ながら楽しそうに笑っていた。その様に獅堂は一瞬引いた。菊池サラコといい、菊池タクトといい、菊池財閥の人間は尋常じゃないと思えてくる。
「それと獅堂くん、君にこれを渡さなくてはね」
すると雅人が分厚い茶封筒を渡して来た。中身は書類のようだが表紙には『証拠』とその二文字がデカデカと書かれていた。
「伊藤マキリの件と‥‥猿楽製薬が武器を製造していたこと、そして民由党がその裏に通じていた全ての証拠が入っている。後は分かるよね?」
これだけの証拠、どうやって集めたというのか。獅堂は迷ったがもう問い詰めるのはやめた。雅人のせいか先ほどまで募らせていた怒りは面倒くささに変わってしまっていた。
「‥‥今回はてめえに免じて目をつむってやる。てめえの借りが溜まるのが癪だからな」
「それは助かるよ。じゃ、僕は武偵庁に色々と説明しなくちゃならないから行かないと」
獅堂はそっぽを向いて舌打ちをする。おそらくきっと武偵庁の連中もこいつの舌に言いくるめられてしまうだろう。直ぐに可鵡偉ら公安0課の全員に武偵達の援護に向かうよう無線機で指示を出そうとしたがふと気になったことがあった。
「なあ‥‥あのバカ4人組が向かうのはいいが、人質は無事に救出できるのか?」
噂ではあのホワイトハウスを半壊させたというとんでもないことをやらかした4人組だ。きっと豪華客船も無事では済まされないだろう。そうなった場合、人質にもとばっちりがくるのではないか。しかし雅人はそんな事を気にしてないかのように自信に満ち溢れた笑みで返した。
「それなら心配ない。サラコがいる」
「なっ‥‥!?」
獅堂は驚愕した。まさかあの菊池サラコがジャックされた豪華客船にいるというのか。そのせいか余計に心配になって来た。間違いなく、あの豪華客船はただでは済まされないだろう。
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「セーラ、本当にやるのか?」
学園島に近い場所にある無人となっているコンテナターミナルの岸辺にてジャンヌは物凄く不安そうな表情でセーラに尋ねた。セーラはため息をついてジト目で見つめる。
「仕方ない、たっくんがやるというからやるしかない」
セーラは再びため息をついて視線を海上の豪華客船『彼岸丸』へと向けた。ここから豪華客船までの距離はおおよそ数百メートル。ボートを使えばすぐにでも辿り着ける距離にいるのだが、自分達はタクトの作戦で待機していた。
「私が思うに、タクトの考えた作戦はどう考えても滅茶苦茶だと思うのだが」
「たっくんがやるって言たらもうやるしかない」
昨日のタクトがドヤ顔で説明した作戦、どう聞いても滅茶苦茶すぎた。ジャンヌもセーラもここは止めた方がいいのかと反論しようか迷っていたがカズキやケイスケまでもがタクトの作戦に賛同してしまいどうすることにもできなかった。
「セーラ、もしタクト達が失敗した場合はどうするのだ?」
「その時は…遠山キンジとアリアがいる」
たとえタクト達が失敗に終わったとしてもまだ遠山キンジとアリアらがいる。というか寧ろ彼らに任せた方がいいのではないかと思えてきた。が、セーラはこれまでタクト達の行動を考えて恐らくゴリ押しで押し通るのだろうなとどこか遠い眼差しで悟った。
「ジャンヌ、そろそろたっくん達が来る頃‥‥ジャンヌ、お願い」
セーラに目で促され、ジャンヌは本当はやる気にはなれなかったがここまで来てしまった以上やるしかないとあきらめのため息をついてデュランダルを引き抜く。
「もうなるようになれか‥‥銀氷よ‼」
聖剣デュランダルに氷を纏わせ地面へと突き刺した。
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フレイヤは急ぎ足でメインホールへと向かっていた。あの騒がしい4人組が戦車でどうやってここまで来るのかいくら考えても思いつかないし、そいつらよりも遠山キンジとアリアが間違いなくこちらに向かってきている事を予見してここに来られる前にもう一人の標的である神崎かなえを急ぎ抹殺しようと考えた。
先に手を打っておけば破綻された計画を修正でき、駆けつけてきた遠山キンジとアリアを始末することができる。フレイヤは内心ほくそ笑みメインホールの扉を開けた。
しかし目に映ったのはメインホールで人質を見張っていた部下達全員が床に倒れている光景だった。フレイヤは目を見開いて驚くが、メインホールのど真ん中でタバコを一服している黒いコートを羽織った女性を注目した。
「あら?来るの遅すぎね。退屈すぎて一服できちゃうぐらいだったわ」
茶髪の女性はサングラスを外してドヤ顔をする。フレイヤはこの女性が一体誰だかすぐに理解できた。
「菊池‥‥サラコ‥‥‼」
裏の業界で恐れられているかの『漆黒の年寄り』の娘であり、菊池財閥のボス。その女がどうしてここにいるのかフレイヤはギリッと睨み付ける。怒れるフレイヤの視線にサラコは恐れることなくタバコの煙を吐く。
「『参観日』なんだからうちのバカ息子の活躍を見にいくのは当たり前でしょ?」
「‥‥どうしてなの?これまで我関せずと菊池財閥はずっと不動のままだったのに、今となって邪魔をしてくるなんて図々しいわね」
フレイヤは皮肉を込めてサラコを睨む。菊池財閥はこれまで裏でマフィアとのパイプがあったり、武器商に手を付けいたり、その他色々なビジネスに手を付けていたが、司法や政治関連には星伽に任せてずっと口を挟まずじっとしていた。だが今となって菊池財閥が動いたのは何故か。
「ぶっちゃけ言ってビジネスね。戦役が終わって、色金は宇宙へと帰った。役目を終えて取り残された余り物の今後の有効活用と貴女達のような置いてけぼりの時代遅れの始末‥‥そして次なる脅威への抵抗ってところかしら?逆襲で血眼で周りが見えず、この先の事なんて考えてないでしょ?」
サラコはもう一本タバコに火をつけ、フレイヤを嘲笑った。フレイヤの額に青筋が浮かび上がるがサラコは気にもせず話を続ける。
「時代は常に進み続ける。私、私達菊池財閥はその流れに置いてかれないように常に次の手を考えて行動しなければならない‥‥って、おばあちゃんがキャバクラ帰りのおじいちゃんをタコ殴りにしながら言ってたわ。ま、今回のビジネスは成功するわ。貴女の逆襲のおかげでビジネスを成功させてくれてありがとう」
ニっと笑うサラコに対しフレイヤは堪忍袋の緒が切れた。片手を上げて部下達にサラコに向けて一斉掃射を命じる。黒づくめの部下達はサラコをハチの巣にしようと掃射するがサラコの足下の影が伸び、彼女の前に黒い壁となって立ちはだかり全ての銃弾を防いだ。サラコはタバコを一服し終えると満足そうに頷く。
「さ、貴女達頑張りなさい?イ・ウーの今後のイメージアップの為の大事なお仕事よ」
黒い壁がゆっくりと崩れていきヒルダと鈴木桃子こと夾竹桃の姿が現れた。ヒルダはやや不満げに、夾竹桃はため息をついてサラコに視線を向ける。
「まったく‥‥吸血鬼をこき使うなんて、人類史貴女が初めてだわ‼」
「菊池タクトがイ・ウーのリーダーになったと聞いて嫌な予感がしたけどまさにその通りだったわね」
「さあごちゃごちゃ言わず、人質を護衛して脱出させなさい!」
サラコはヒルダ達に人質を避難誘導を命じて、自分はフレイヤに向かって駆けた。サラコの黒いパンプスの蹴りが目の前まで迫り、フレイヤはガントレットで防いだ。見た目によらず思った以上の威力に腕が痺れる。
「ここで貴女を殺せば、一躍有名になれそうね‥‥‼」
「やれるものならやってみたら?でも、私はあくまで時間稼ぎだし貴女は私の相手をしている場合じゃなくて?」
「戯言を‥‥いや、まさか‥‥‼」
空からでも海からでも向かってこようものなら船外で待機している部下達に撃ち落としていく。この豪華客船にすぐに応援が来るはずがない。そう豪語していたがフレイヤは思い出した。遠山キンジやアリアらよりも先に『戦車』でこっちに向かってきいる何を考えているのか分からない連中がいることを。
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「いくぞぉぉぉっ‼」
タクトのノリノリの声が拡声機を通して反響する。TM02ハンジャールは障害物を、瓦礫の山を、壁を、建物を、道路を破壊しながら爆走していた。
ケイスケの運転でハンジャールはスピードを上げ、カズキとナオトが後方にスタングレネードやMK3手榴弾を投げ、タクトが時々主砲を撃ち、白いボディーアーマーを纏った襲撃者達も手を打つことができず蜘蛛の子散らすように逃げていく。
「ケイスケ‼まだ着かないのか‼俺もう投げる作業飽きたー!」
「うるせーハゲ。こっちは止められねえ状況だっつうの!」
「止まるんじゃねえぞ」
「たっくん、それ死ぬときの台詞」
戦車の中でも4人は相も変わらず騒がしく自己主張を押し付けて合う。戦車の中でじっと黙って彼らの行動を見ていた鵺は察する。ツッコミ役がいないともう誰にも止められない。
「前から思っていたが‥‥やっぱり4人揃えば混沌としているじょ」
「よし、お前らもう直ぐ着くぞ‼」
ケイスケの合図にタクト達は待ってましたと嬉しそうに不敵な笑みを見せた。ハンジャールはコンテナターミナルの閉められた扉を強行突破し、岸辺へと爆走していく。
「セーラちゃんとジャンヌは‥‥いた!」
ハンジャールの姿を見てやっぱり来たかとジト目で見るセーラとややくたびれ気味のジャンヌ、そして彼女らのすぐ傍には氷で作られた巨大なジャンプ台があった。
「なあ、もう一度作戦を確認してもいいか?」
鵺はケイスケ達に改めて確認する。ケイスケはしつこいと言わんばかりにジロリと見つめ、カズキとタクトはドヤ顔をし、ナオトは明後日の方向をむく。もう一度説明してあげようとタクトは自信ありげに胸を張った。
「ふっふっふ、作戦はこう。戦車で突撃し、セーラちゃんの巻き起こす風でスピードを上げてジャンヌが作った氷のジャンプ台で大ジャンプ!その勢いで豪華客船にダイレクトアタック‼ね?簡単でしょ?」
「ずっと思ってたんだが、そんな自信どっから湧くんだじょ」
そんな滅茶苦茶な作戦がうまくいくのか、というか寧ろ戦車でいく必要があったのか。タクト曰くなんかかっこいいから、だそうだ。
「たっくんの作戦に不備はねえだろ」
「いや有り過ぎてもう漠然としてるんだけど」
「はっはっは、鵺っち緊張してるのか?俺はくぁzwでfrvrg!」
「いや噛み噛みで何言ってるのか分からないのだけど」
「大丈夫、キンジがいるから」
「ナオト、半分失敗すると察してるだろ」
「よっし‼セーラちゃん、お願いねっ‼ケイスケ、レッツゴー!」
「いくぞおらああああっ‼」
タクトの合図でケイスケはハンジャールのスピードを上げて氷のジャンプ台に爆走させていく。無線機を通してタクトの合図を聞いたセーラはヤレヤレと肩を竦め、通り過ぎたハンジャールに向けて手を翳す。
「
セーラはハンジャールに向けて爆風を放った。爆風に押されてハンジャールは更にスピードをあげて氷のジャンプ台を駆けのぼっていき、虚空へと高々と飛んだ。
「よっしゃいったあああっ‼」
タクトは作戦が成功したと大喜びで叫んだ。高々と跳んだハンジャールは海上の豪華客船に向かって弧を描くように落ちていく。後は船上にダイナミックに着地するだけと思えたがナオトが気付いた。
「待て‥‥距離が足りない!」
「おぉい!?どうするんだじょ!?」
勢いよく跳んだのはいいが、船までの距離が足りない。このままでは自分達はハンジャールごと海へとダイブしてしまう。鵺は慌てていたがカズキ達は落ち着いていた。
「ナオト、砲塔を反対側に向けれるか?」
「カズキ、もう向けてる」
「よっしゃ、ケイスケはこのままアクセルおしっぱで。たっくん、ありったけ撃ちまくれ‼」
「おっけーい‼レッドマウンテンブラスト大連発だぜ‼」
後方へと反対に向けられた主砲から何度も弾が勢いよく発射される。発射された反動でハンジャールは少しずつ前へ前へと空中で前進していっていた。ごり押しで弧を描いて跳んだハンジャールは豪華客船のど真ん中へとダイナミックに激突した。
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セーラの放った風に押され、氷のジャンプ台で勢いよく跳んだハンジャールは空中で砲撃しながら進み、見事豪華客船にダイレクトアタックに成功したことにジャンヌはアングリとし、セーラはやっぱりとどこか遠い眼差しで見ていた。
「まさか本当にやる、いややらかすとはな‥‥」
「だってたっくん達だもの」
彼らのやる事には確かに驚かされるのだが、最近は慣れてしまった自分が怖い。多分次は豪華客船が沈むのではないだろうかと思えてきた。
そんな事を考えていたらキンジとアリア達が猛ダッシュで駆けつけてきたのが見えた。ぜえぜえと息を荒げながらアリアはキッと必死な眼差しで見つめてきた。
「セーラ、ジャンヌっ‼この辺りに戦車で走ってるバカ4人組知らない!?」
セーラとジャンヌは「あっ‥‥」と口をこぼし、静かにゆっくりと豪華客船の方へと指さした。どういう意味かとアリアとキンジはキョトンとしたがすぐに察してギョッとする。
「はああああ!?あそこにママがいるんだけど!?あのバカ4人組、沈める気なの!?ねえキンジ‼あのバカ共に風穴開けてもいいよね!?」
「お、落ち着けアリア!?あいつらがやらかす前に俺達でかなえさんを助けよう、な‼」
堪忍袋の緒が切れて暴走気味のアリアをキンジと理子、白雪と3人がかりで落ち着かせようとするさまをみて、セーラはため息を大きく漏らした。
戦車で大ジャンプ…多少ゴリ押し感はありますが、某特攻野郎の映画では戦車でスカイダイビングしてたし、い、いいよね?(視線を逸らす