カオスな4人衆!?最強のSランク武偵を目指せ‼ 作:サバ缶みそ味
おでん戦争には食べていたちくわぶがのどに詰まりそうになった(白目
即興でこんなにもカオスな歌ができるとは…
「で、その餃子タンパクて何?」
路地裏から場所を移動し、当初の目的地であったカツェの隠れ家である香港島の真ん中にある欧風なマンションの一室にてタクトがソファでくつろぎながら尋ねた。
ココとユアンを連れて詳しい話を聞こうという矢先のタクトの発言にココとユアンは「お前マジかよ」みたいな顔をしすぐさまカツェに視線を向けた。そんなカツェはため息をついて頭を抱える。
「あたしを見てもしゃあねえだろ……こいつらの場合知らないものは本当に知らねえから」
「いやいやいや、普通にありえないでしょ!?なんで!?なんで梁山泊をしらないのよ!?」
「お前ら本当に馬鹿アルか!?」
ココとユアンに何となく馬鹿にされているということは何となく察したケイスケはムスッとして反論を始めた。
「お前それぐらい知ってるっての。あれだろ?ナッパの背中に張り付いて自爆する奴だろ?」
「だから餃子じゃないってば!?」
「サヨナラ天さん」
「チャオズっ!」
「人の話を聞くネ!梁山泊っていうのはry」
「そんなことより餃子作ったけど食べる?」
「「「うおおおおっ!」」」
ココの話を遮りキッチンでいつの間にか餃子を作っていたナオトとリサに3人は喜びの声をあげて大盛り上がりになった。完全に人の話を聞いていない彼らにユアンとココは項垂れてしまった。カツェは苦笑いしながらそんな二人を宥めさせる。
「こういう奴らだから。兎に角遠山キンジと比較しない方がいい。あたしが説明しといてやるからさ?」
「なんかもう不安でたまらないのだけど…」
なんやかんやで餃子パーティーになりながらもカツェは餃子を焼きながら食べまくるカズキ達に説明を始めた。
「梁山泊ってのは名だたる豪傑が集う先頭集団のことだ。ほら、『水滸伝』ってのは知ってるだろ?」
「ああ、それなら本で読んだことがあるな。てかそれならそうだと言えよ」
「知ってる知ってる!甘寧一番乗りとかいうやつでしょ!」
なぜ文句を言わられねばならないのか、ユアンは頭を抱える。そしてどや顔で間違えているタクトはスルーしてカツェは話を続ける。
「藍幇と同じく歴史の長い組織でかつては藍幇と対立していたが香港藍幇の当主になった諸葛静幻が同盟の話を持ち掛け『そちらの縄張り、人材を奪わない』ことを約束し講和をしたんだ。それからは梁山泊は中立を宣言し戦に出なくなった」
「もし去年の戦役に出てたらキンチ達勝ち目なかったヨ」
去年の戦役とか聞いて実感がないのかキョトンとして餃子を食べてながら聞いているカズキ達の様子に少し心配になりながらもカツェは話を進めていく。
「その梁山泊の奴らが董卓に従うなんてな…それでココ、あたしらに何をしてもらいたいんだ?」
なぜ中立と沈黙を続けていた梁山泊が、藍幇一の仙術士といわれた左慈が董卓に従ったのか疑問がつのるが本題に入ることにした。ココはニヤニヤして話し出す。
「董卓のアホ、よく酒飲んで飯食って女遊びして毎日宴会騒ぎネ。だからこの二日後にも九龍の豪邸で宴会やるヨ。あいつその時は護衛とかつけないし隙だらけアル!」
「なるほどな…それに乗じて董卓を襲うってわけか」
「たっくん!俺の狙ってたでかい餃子を取るんじゃねえよ!」
「サヨナラ天さん!」
「とらないカズキが悪い」
「てゆうかお前はもっと野菜を食え」
カツェはお前らしいなと納得してうなずいていたがカズキ達はココの話よりも餃子に集中し餃子の奪い合いでわちゃわちゃしていた。
「狙姐、炮娘、機嬢、そして私の4人でプランはもう考えているヨ。変装したお前たちが宴会を盛り上げる、董卓を酒で酔わす、ベロンベロンになった董卓はめちゃくちゃ弱いネ。梁山泊や左慈がいないから私たちで襲って董卓を倒すネ。これで香港藍幇はココ達のものアル!」
自信満々に、「ね?簡単でしょ?」と胸を張って高笑いするココにカツェはどうしたものかと悩みながらチラリと未だに餃子パーティーしているカズキ達の方へと視線を向ける。
どう考えたって難易度の高い作戦のことか。これまで彼らとともに行動して隠密に、穏便に、そして騒がれることなく事を済ましたことがあっただろうか。答えは否、問題しかない。
「作戦からして隠密行動みてえだが、カズキ達には無理だ。どう考えたってやらかす未来しか見ねえぞ?」
「問題無用アル。この馬鹿達には派手なことをするなときつく言ってやるネ」
「だからそれが無理だって言ってるだろ!?なあお前ら、ココの話を聞いてどう思った?」
「ん?んー……餃子は美味しいぜ!」
「お前も遠慮してねえで食えよ。リサの作った餃子はマジで美味いからさ」
「ごはんおかわり」
「ねぇー餃子好き?ねぇーカツェちゃん、餃子好き?」
「ほら!もう不安しかねえから‼」
餃子に集中しすぎてココの話を全く聞いていなかった4人にカツェとユアンは頭を抱えた。この4人で大丈夫なのか不安が募る中ココは構わず不敵に笑う。
「こういった奴らなら相手も油断するネ!この腑抜けさなら利用できるアル」
「へへへー、なんか遠回しに褒められちゃったな!」
「遠回しにしてもしなくても馬鹿にされてんだよ」
褒められたと照れるカズキにカツェはため息をついてツッコミを入れる。カツェが心配している最中にもココは二日後に董卓が宴会を開く場所の図面や写真を見せ、いつどこで何時に実行するのか、その内容と作戦を話しているがケイスケは何も考えていないように頷く仕草だけをし、カズキとタクトはポカンとし、ナオトはうつらうつらと眠たそうにしていた。
「―――と、いうわけでこれがココ達の作戦ネ。問題はないアルか?」
「「「おK‼」」」
「Zzz」
「本当に大丈夫なのこれ!?」
3人はようやく長い話に開放されたかのような嬉しそうな笑顔で頷き、一人は完全にうたた寝をしていた。ユアンはこの4人は完全に人の話を理解していないだろうという気がしてきた。おそらく理解していないであろうと察したカツェはあせあせとフォローに入る。
「ココ、あとはあたしが4人に詳しく話しておく」
「任せるヨ。私は妹と姉ちゃんたちと準備をしておくから帰るネ。フッフッフ!董卓のアホめ、首を洗っておくネ!」
ココは勝ちを確信したのか、香港藍幇を我が物にできると考えたのか、上機嫌に高笑いしながら帰っていった。カツェはやれやれと肩をすくめてため息をつくとチラリとユアンに目を向ける。
「あんたは帰らねえのか?」
「ココにあんたたちを監視しろと言われているの。変なことをしないか見張るのだけど……愚問よねこれ」
ユアンは呆れ顔で餃子を食べ終わったから今度は何食べようか、やっぱ香港に来たのだからネズミーランドリゾートに行きたいとかわずか数秒でココの作戦を忘れている4人を見つめた。
「まあしゃあねえよなぁ…さてと、おいお前ら!点心食うのもネズミーランドリゾート行くことよりも先にやること済ますぞ!」
「おっしゃぁ!・・・・・・で、何をすればいいんだっけ?」
「知らね」
「ほら、虎牢関で董卓倒してクリアだ」
「作品によるよなー、無双2の虎牢関は嫌だ!」
やはりココの話の内容は全く聞いていなかった。カツェはずり落ちそうになったが何とか持ちこたえ、咳払いをして話を続ける。
「まあお前らのことだから9割も理解してねえと思う。でもそれでいい、あまりあいつの話に乗らねえほうがいい」
ほっと安堵しているカツェにカズキ達は不思議そうに首を傾げた。
「ココはもともと上海藍幇から来た連中だ。自分たちで香港藍幇を乗っ取ろうと資金稼ぎにアリアやレキやキンジ達を攫おうとわざわざ京都まで向かい、その後の戦役でも奴らは諸葛に降格されても尚諸葛やキンジ達に牙をむいた。ココは常に野心家だ、お前たちを利用すればお前たちを切り捨てることもし兼ねない」
「なるほどー、あいつ手のひらクルクル返すってことか」
「手のひらを反す奴なんて最低な野郎だな!俺はぜってえ許さねえ!」
「たっくん、人のこと言えないよな?」
もしもの時があったらココはカズキ達を切り捨てて裏切る可能性もある。とりあえずはなんとか理解してくれたであろうとカツェは苦笑いする。
「さて、問題はどうやって変装して董卓の宴会に侵入するってことだな。あたしやリサは問題はねえんだが……」
自分とリサは変装しても問題はない。だがあとのいかにも変装が下手そうな4人をどうやって怪しまれないように変装させるか、ここが問題である。
「董卓は大の美女好きで宴会に出る9割は女性。その時は男の護衛もつけないわ」
「じゃあ女装か?あー………うん、こいつらじゃ絶対に女装は無理だ」
その手で行こうかと頭によぎったがどう考えても不可能だとカツェは即決する。どうしたものかとカツェは考え込んでいたがふとタクトが何かを閃いたのか自信満々に手を挙げた。
「はいはいはい!俺にいい考えがあるぜ!」
「マジかたっくん!たっくんだから没案しかねえぜ!」
「なんだとーっ!」
茶化すカズキにタクトはプンスカと怒りながら取っ組み合った。すぐに話題が逸れてせっかく思いついた考えが忘れてしまわないようにカツェが焦りながら止める。
「何かいい方法があるのか?」
「モチの論ですぜ!俺たちにしかできないとっておきの変装がある!」
それはいったい何なのか、カツェは知りたかったのだが当の本人はものすごくもったいぶって作戦当日までのお楽しみだとむかつくウィンクをした。
____
「……」
「……」
「カツェ様、ユアン様、だ、大丈夫ですよ!」
リサはあせあせとカツェとユアンを励まそうとするが、二人はなるべく彼らを見ないように心掛けた。
タクトの自信ありげな考えを聞かずに二日が経過、董卓の宴会が開かれる当日へと至った。日は沈み夜間となっているが煌々と照らす街の照明で夜も明るい。
香港の観光では絶対に欠かせない香港の名物100万ドルの夜景が一望できるスポットのひとつ、九龍がプロムナード。そのプロムナードから少々離れてはいるが煌々と輝く100万ドルの夜景が見える朱や金やらと派手な色合いで装飾された3階建ての城のような建物の前にカツェ達はいた。
カツェは髪を結って紅色のチャイナドレスを、リサは薄い桃色の仙女のような漢服を着ていた。もう間もなくココの作戦開始の時間となるのだがカツェはとにかく隣にいるカズキ達を見ようとしなかった。
「あの、カツェ様…」
「ああうん、リサ、わかってる。わかってるんだが…一応聞くぞ?お前らそれはなんだ?」
意を決してカツェは隣へと視線を向ける。彼女の視線の先には青、赤、緑、黄色とそれぞれのカラーで彩られたウサギの着ぐるみを着たカズキ達がいた。黄色いウサギの着ぐるみを着ているタクトはかっこいいポーズをとる。
「これが俺たちの変装だぜ‼」
「お前らアホか!?あと変な踊りをすんな!?」
タクトと同じようにかっこいいポーズをとってテンションアゲアゲで踊りだした4人にカツェはツッコミを入れた。
「予想はしていた。予想はしていたんだ!でもなんでそろいも揃ってウサギの着ぐるみなんだよ!?」
「そりゃあお前かわいいだろ?」
「ウサギ好きに悪い奴はいないってナオトが言ってたぜ!」
「俺そんなこと言ってないんだけど」
「いわゆる俺たちの正体はうさぎちゃんでした~って奴さ‼」
これは変装ではなく仮装だ。この4人ならまともな変装ぐらいはしてくれるだろう、と数日前まで期待していた自分を叱ってやりたい。カツェは恥ずかしさのあまり顔に手を当てた。
「これから敵地に乗り込むっていうのに……」
「まあどうにかなるって!カツェのチャイナドレスかわいいし」
「えっ、あっ、か、かわいい…!?」
ガハハと笑いながらかわいいと言ってきたカズキの言葉にカツェはさらに恥ずかしさで顔を赤くしていく。彼女は焦りながらカズキに蹴りを入れた。
「バっ、馬鹿‼変なところでおちょくんじゃねえよ‼ああもう!この責任を全部ココに押し付けていくぞ!」
カツェはヤッケになってずかずかと我先にへと董卓の宴会場へと向かっていった。カズキは何で蹴られたのか不思議に首を傾げながらも彼女のあとへと続いていく。
「……」
ユアンは美女二人の後ろからガードマンかのごとくわらわらとついていくへんてこなウサギの着ぐるみを着た連中が場内へと入っていく姿があまりにもシュールすぎてどうコメントしたらいいのか言えなかった。
変なウサギといえば変な動き(?)をして障害物を超えてゴールするアプリ、さりげなく断末魔もあって爆笑してましたが、打ち切りになったのが残念ですね……