カオスな4人衆!?最強のSランク武偵を目指せ‼   作:サバ缶みそ味

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 日刊マイクらがついに終わりましたね…気づけば結構な数と日にちが積み重ねられていたようで…もう鹿は見れないのか(オイ


139話

「本当になんなのよあんたは……‼」

 

 気を取り直して虞美人は苛立ちを募らせながらタクトを睨むが当の本人はどうして怒っているのか理解していない様子でケロッとしていた。

 

「ん?菊池タクトだけど?」

「そういう意味で言ってるのじゃないわよ…‼ああもう、本当に苛立たせるわね!」

「まあそうカリカリしちゃダメだぞぉ?お菓子食べる?」

 

「…よし、殺そう」

「ちょちょちょ!?姐さん落ち着いて!?」

 

 今にでもタクトに殴りかかろうとする虞美人を燕青が慌てて止める。タクトはどうして彼女が怒っているのか理解していないようで、そんなことよりこの月餅が美味しいと思いながら月餅を食べていた。

 

「はあ…もう怒るのも疲れたわ。あんた達、私のことはほっといてこいつをさっさと連れて行きなさい」

 

 怒りを通り越して呆れ果てた虞美人はやり投げ気味で燕青に告げた。見放そうとしだした彼女の対応にユアンは焦り驚くが燕青は苦笑いをして首を横に振った。

 

「悪いがそうはいかねぇ。こいつは一見素っ頓狂に見えるがこの一件を片付けるのに大事なキーマンだ。そう簡単に敵に引き渡すわけにはいかない」

「はぁ?このいかにも頭悪そうな奴が?」

 

 燕青の話を聞いた虞美人が胡散臭そうにタクトを睨んだ。とりあえず褒められているんだと勘違いしたタクトはどや顔を決める。

 

「ま、待ってください!さっきまで私たちを捕えようと追いかけていたのにどういうことなんですか!?」

 

 ユアンは慌てながら燕青に尋ねた。先程まで董卓の手下であり、左慈と結託して自分達を追いかけていた彼らが手のひらを反すような対応をしだしたのか、どういうことなのか混乱していた。燕青の話を黙って聞いていた虞美人は嫌そうに燕青を睨んだ。

 

「今この香港で上海藍幇と香港藍幇が内部抗争をしていると聞いたけども……上海藍幇の裏で誰か糸引いている訳ね?」

 

「そう!流石は姐さんだ。そいつのせいで梁山泊も巻き込まれ仲間も捕らわれた。おかげさまで俺たちも左慈先生も仕方なく従うしかなかったわけさ」

 

「つまり黒幕がいるってわけだな!」

「たっくん、今そういう話をしているから黙ってて」

 

 ドヤ顔で納得してるタクトが口をはさんでこないようにユアンはツッコミを入れて話の続きをと二人に促す。

 

「おかしいわね。あんた達梁山泊の連中や左慈ならそう簡単にやられないはずよ?」

「確かに姐さんの言う通りだった。簡単に言えば油断しちまった」

 

「……呪術の類。つまりは妖魔の呪術にやられたのね」

 

 燕青の話から虞美人は答えにたどり着いた。どうやら正解のようで燕青は嬉しそうにウインクして頷いた。

 

「正解!流石は姐さん。俺と鉄牛はたまたまそいつの呪術にやられてなかったから今は従っているふりをして好機を探ってたんだ。そんなところでこのキーマンと姐さんに出会えたわけさ」

「このいかにもバカ丸出しの彼が?」

 

「虞の姉貴、噂によるとこうも見ても『N』とかいう組織と戦ってイギリス、アメリカで活躍してたらしいぜ?」

 

 虞美人に殴られて天井に頭を突っ込んでいた鉄牛がいつの間に復活していて彼の活躍を噂の範囲だが説明をした。イギリスの国会議事堂へ装甲車で突撃しかけるわ、アメリカのホワイトハウスに改造車で突っ込んだわ、日本じゃ戦車を都内で爆走させテロリストがジャックしていた豪華客船に戦車で突っ込んだとか、その話を聞いていた虞美人はありえんと言いたげな表情でタクトを見つめた。

 

「いやいやいや、どう見てもおかしいでしょ」

「ヒナコ先生、私も最初そう思いました。でも常識は捨てたほうがいいかもしれないです」

 

 虞美人とユアンはあきれた表情でタクトを見つめる。やっぱり褒められていると確信したタクトはそれほどでもと照れながら胸を張った。

 

「そして姐さんを見つけることができた。姐さんはかなりの戦力にもなるし仲間達や諸葛静幻を救うこともできる。だから姐さん、力を貸してくれ」

 

 燕青が頭を下げて頼み込んだが虞美人は毛嫌いするようにそっぽを向く。

 

「嫌よ。人間の勝手な抗争でしょ?勝手にして。私は巻き込まれるのは大っ嫌いなの」

 

「虞の姉貴‼姉貴の力が必要なんだ。頼むっ‼」

 

 鉄牛が土下座をしてまでも頼み込んできたが虞美人は拳を握り締め嫌悪するように睨んだ。

 

「だから言ってるでしょう‼もう巻き込まれるのはうんざりなの‼」

 

 怒りと殺気を放ちながら睨む虞美人の様子にユアンは驚きと怯えで声すらもでなかった。しかし彼女たちの話を聞いていたタクトはうーんと考え込んだ。

 

「助けを求めてきてるんだから助けてあげないの?」

「っ!」

 

 タクトの一言を聞いた虞美人はギロリとタクトの方へと視線を向ける。先ほどよりも強い殺意を込めて睨まれているのに対しタクトは臆すことなくただ単純に不思議そうに首を傾げていた。

 

「腐れ縁でも、困ってる人がいたらほっとけないでしょ?それに今は大きな問題になってんなら皆で力合わせてやったほうが楽だし。えーと…ほら、『愉悦どうでしょう』だっけ」

「たっくん、それをいうなら呉越同舟ね。というか意味わかって言ってる?」

 

 ユアンがさりげなくツッコミを入れる。タクトの言葉を聞いた虞美人は怒りを募らせタクトの胸ぐらをつかんだ。

 

「うるさいわね……あんたに私の何が分かるっていうの!?」

 

「なんも分からん!」

 

「っ!?」

 

 まさかの何にもわからないときっぱりと言った言葉に虞美人は思わず面食らい胸ぐらをつかんでいた手を離した。面食らったのは彼女だけでなく燕青も鉄牛も呆気に取られていた。

 

「な、なにも分からないって…」

 

「初めてあった人なんだからなーにも分からないのは当然だよ。話してくれなきゃなんも分からないよ」

 

「この…っ」

 

 虞美人は呆気に取られて怒りを通り越してどう反応したらいいか分からずもやもやしてしまった。するとタクトの答えを聞いた燕青と鉄牛は大笑いしだした。

 

「はっはっはっは‼なあ燕青、こいつは大物だな‼虞の姉貴を困惑させる奴初めてだぜ‼」

「ああ、違いねえ。姐さん、こいつには何を言っても曲げられやしない。だから代わりに俺が話してもいいか?」

 

 燕青の問いに虞美人はムスッとするが興味津々に見つめてくるタクトに大きくため息をついてそっぽを向いた。

 

「……勝手にしなさい」

「ありがてえ。さて、タクト。姐さんについてだが……項羽と劉邦ってのはわかるか?」

「ソースと漢方?」

 

 完全にふざけて言っているわけではない。歴史に興味はあんまりないということを察した虞美人と燕青は項垂れた。恐らくだが長々と話していたら明後日の方向へ向いてしまう。とりあえず詳しい内容は少し端折ることにした。

 

「数千年前の時代、項羽と劉邦って人が国を挙げての戦をしていたんだ。そんで項羽には奥さんがいて、その奥さんってのがこの姐さんこと虞美人ってわけだ」

「ほーん…ん?数千年前からってことは今じゃしわしわのばあちゃん以上になってるはずなのにしわしわじゃないの?」

 

 タクトの素朴な疑問にようやくかと虞美人は苛立ちながら肩を竦める。そんな彼女に燕青は苦笑いし話を続けた。

 

「姐さんはな、人間じゃないんだ」

「わかった!サイボーグ‼名付けてサイボーグババア‼」

「よし、殴る」

「ステイ‼姐さんステイ‼姐さんは吸血鬼、その吸血鬼の中でも上位である『真祖』ってやつなんだ」

 

「…あー、呼吸をするのに大事なやつ?」

「たっくん、それは酸素」

 

 さりげなくユアンがツッコミを入れるも、やはりあんまり分かっていないということを察した虞美人は痺れを切らしてジト目で睨んだ。

 

「真祖といっても血を吸う吸血鬼とは別物。私は動植物のエネルギーを一定量剥奪し自分の力にする…簡単に言えばエナジードレインをする吸血鬼と言っていいわ」

「なるほど…つまりは人造人間19号みたいなやつか!」

「どうしてこう分かりにくい例えをすんのよ…まあそれで不老不死な存在になり現代まで生きてきたわけ。その最中で人間に迫害されたり実験材料にされかけたわ」

 

 その当時を思い出したのか彼女は嫌そうな顔をし、舌打ちしてそっぽを向いた。

 

「でもそんな虞の姉貴を助けたのが藍幇の諸葛静幻だ。静幻は姉貴を食客として迎え、姉貴を守り続けた」

「ふん、あいつは一時期私を藍幇の次期当主にしようとしてきたのよ。面倒事は御免被るから出て行ってやったわ…でもまた巻き込まれそうになるなんて本当にうんざりだわ。これで分かったでしょ?私はこの一件には関わりたくなry」

 

「よし!じゃあ助けにいこっか!」

 

「人の話を聞いてた!?」

 

 分からないというから多少は端折ってしまったが話してやったというのにまるで人の話を聞いていなかったようなタクトの態度に思わずずっこけた。

 

「あんたねえ…私は嫌だと言っているのにわかってんの!?」

「もちのろん!ぐっさんはツンデレってことはだいたい分かったぜ‼」

「なんも分かってないじゃないの!?ていうか気安くぐっさんって呼ぶな‼」

「そう怒っちゃダメだよぐっさん。一宿一飯の恩義を返すチャンスだし、借りを作れるチャンスでもあるよ?」

 

 あの諸葛静幻に借りを作れる、虞美人はその言葉にピクリと反応して戸惑ったがハッとして首を横に振る。

 

「た、確かに…あいつはしつこく私を次期当主にしようとしてきたし、借りを作ってもう二度と関わるなと言えるチャンスだけども…」

 

 動揺する彼女に対して燕青と鉄牛は「チョロイ」と聞こえないようにかなりの小声でつぶやいてジト目で見つめる。戸惑う虞美人にタクトはさらに言い寄る

 

「ねぇーぐっさん、いこーよ?ねぇ行こうよぉ?」

「ちょ、寄ってくるな。くねくねしながら変顔して寄ってくるな!?」

「もう観念した方がいいって姐さん。こいつしつこく付き纏ってくるぜ?」

 

 燕青はニヤニヤしながら言い寄るし、タクトがさらに変な踊りをしながら言い寄ってくる。虞美人はぐぬぬと我慢をしていたがついに押し負けた。

 

「ああもう‼わかったわよ‼手を貸せばいいんでしょ!やってやろうじゃないの‼」

「よっ‼信じてたぜ姐さん‼」

「その代わり!これっきりにして二度と関わらないようにしてもらうわよ‼」

「やったー!流石ぐっさんだ!」

「だからぐっさんて呼ぶな‼」

 

 大喜びしてはしゃぐタクトにイラッとして睨むがもう怒鳴る気力も怒る気もしなくなりただただため息だけが漏れた。

 

「はあ…仕方がないわね。ユアン、貴女はここにいなさい。ここなら安全よ、誰かさんのせいで壁に穴が開いてるけども」

「あははは、姉貴面目ねえ」

 

 虞美人はジト目で鉄牛を睨む。ユアンは頷くと彼女の手を取ってやさしく握りしめた。

 

「ヒナコ先生…お気をつけて」

「……ありがと………それで、燕青!何をすればいいの‼」

 

「そうだな…ひとまず、董卓の所だ。西九龍に上海藍幇の隠れ拠点である高層ビルがある。そこに董卓と裏で糸を引いている奴がいる」

「そのまま殴り込みをするつもり?」

 

「いやこうも簡単にはいかないだろうな。左慈先生の話によれば董卓の奴、鬼一族の覇美らを『交渉』のため呼んだらしい」

「鬼一族…敵に回されたら面倒ね。もう戦役は終わったというのに、董卓の奴何を企んでいるのかしら…要は隙を狙って討てばいいのね?」

「一応は。俺と鉄牛がタクトを捕まえたとして連れていく」

 

 息を潜めて様子を伺い隙を狙って董卓と首謀者を討つ。面倒事はさっさとすましておきたいと考えた。いざその董卓らがいる拠点へと行こうとした時、タクトが手を挙げた。

 

「その前にやっておくことがある!」

「やっておくこと?まあ確かに準備とかはいるけども…」

 

 話をせかしてきたくせに武器とかの準備だけはするのかと虞美人は呆れ気味にタクトを見つめるがタクトは意気揚々にして口を開いた。

 

「ウ○コ行きたい!トイレどこ?」

 

 緊張感のない発言に虞美人たちはずっこけた。




  ゾンビの他にカップヘッドやオーバークックだったりとどんどん新しいのが始まってますね。
  
  序盤でふざけたり、真面目系クズだったりとやはり平常運転(遠い目

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