カオスな4人衆!?最強のSランク武偵を目指せ‼   作:サバ缶みそ味

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 やあみんな‼もうすぐ夏休みが終わっちゃうね!夏休みの宿題は済んだかい?
 僕は寧ろお休みがもっと欲しいね!(血涙




 


142話

「あんたこれどうすんのよ…!」

 

 虞美人は周りを睨みながらタクトに悪態をつく。目の前にはココら3人、上海藍幇の精鋭の哪吒、術士の左慈、そしてこの件の黒幕であろう玉麗と影鰐。これだけの強敵に囲まれている今の状況は明らかによくない。緊張と焦りが募る虞美人に対してタクトは全く動じていなかった。

 

「おらーっ!敵総大将はこの三国無双だったら20comboはお手の物かもしれないと言われている無双マスター、菊池タクトが討ち取った‼降参するなら今のうちだぞーっ!」

 

 気絶している董卓を指さし勝ち誇る態度をとるが誰一人口を開かず沈黙が流れた。左慈は無言でタクトを見つめ、ココら3姉妹はぽかんと口を開けたまま呆気にとられ、哪吒は呆れて首を横に振り、タクトに変装している燕青と彼の傍にいる鉄牛は「やってしまった」と言わんばかりに顔を覆う。無反応の彼らにタクトは目をぱちくりした。

 

「……あれ?」

「あれ、じゃないでしょうが‼」

「そっか、聞こえなかったんだな!よし、もう一度言うぞ。敵総大将はry」

「せんでええわっ‼」

 

 スパーンと虞美人のツッコミがタクトに炸裂する。彼らの様子を見ていた玉麗が声を上げて笑い出した。

 

「フフフフ、誰かと思えば虞ではないか!久しいのう」

「余計なお世話よ。あんた達だけには二度と会いたくなかったわ」

「お?あそこのキツネおばさんとお知り合い?」

 

 好奇心満載のタクトは不思議そうに玉麗に指をさす。いきなり「おばさん」と言われてピクリと玉麗は反応するがクスクスとほくそ笑んだ。

 

「それにしても、これまで見てきた人間の中でもなんとも『美味そう』な人間よのう。こんな莫大な馳走を抱えた人間は初めてじゃ…!」

 

 タクトを見つめる玉麗は鋭い犬歯を見せて不気味に妖艶に笑いながら舌なめずりをしだした。標的にされたタクトはドン引きしながら首を何度も横に振った。

 

「いや、俺そういう趣味ないから。年上好きなのはキンジで十分っしょ」

「そういう意味じゃないわ。玉麗は蠪蛭(りょうてつ)と呼ばれる狐の妖。彼女は『運』を喰らい、『運』を操る力を持っているのよ」

 

 虞美人がタクトを横目で見ながら説明した。『運』を喰らう玉麗がこんなにもタクトに興味を示すとは、何を考えているか分からない男なのにかなりの強運の持ち主だとは思いも知らなかった。

 それを聞いたタクトは「マジかよ」と呟いて戦慄した。ようやく彼女がどれだけ危険なのか理解したかと虞美人はため息を漏らす。

 

「マジかよ…‼こいつウン〇喰ってウン〇操るのかよ!?きったねえなオイ‼」

「なんでよ!?なんでそうなるのよ!?あんた本当に馬鹿なの!?」

 

 完全に勘違いしていた。というよりもなんでそうなるのか。虞美人が必死に訂正するが、一方の玉麗は額に青筋を浮かべていた。

 

「ククク…ここまで妾を愚弄する愚か者は貴様が初めてじゃ…‼どれ、貴様の『運』を食らった後に生きたまま臓物を引きずりだし喉元を食らい苦痛を味合わせて殺してやろうか!」

 

「まあまあそう怒るなって。短気は損気っていうじゃん?」

 

 誰のせいで相手を怒らせているのか、そんなことはお構いなしにさらに相手を逆撫でていく。こんな状況なのに危機感がないタクトに虞美人は怒りと焦りを感じていた。そんな中で今度は木村が低く笑い出した。

 

「いやいや、噂通りのお方ですね。こんな危機的状況でも動じない…いや楽しんでいるのでしょうかねぇ」

「お?あんた誰?」

「初めまして。菊池財閥、かの菊池サラコの息子さん。私は猿楽製薬元社長、木村雅貴…そして本当の名は影鰐と申します」

 

 礼儀正しくお辞儀する木村にタクトもつられてお辞儀をする。わざわざしなくてもいい、と虞美人がツッコミを入れた。

 

「あのネモ嬢が憎く思っている4人組の一人にお会いできるとは、なんとも都合がいい。緋緋神を喰らい、その後に貴方を始末をすればこの場、或いはその先が丸く収まるでしょうな」

 

「ねえ、なんでこの人たちは食べたがりなの?そんなにお腹空いてんなら俺の漆黒の堕天使的超絶料理を食べさせてもやらんぞ?」

「そんな呑気なことを言ってる場合じゃないでしょ!?」

 

 虞美人は焦りをさらに募らせる玉麗だけでなく影鰐までも相手になると勝ち目がない。燕青と鉄牛もこの場を動きたいがそれより先にココと左慈と哪吒が先制をかけてくるだろう。一歩でも動いたら相手の先制が来る。(約一名はまったく緊張していないが)狭まっていく緊張の中、どこからかこの場の雰囲気を崩すかのような賑やかな曲が流れた。

 

「あ、もしもし?」

 

 音の主はタクトの携帯だった。身構えていた虞美人と燕青の肩ががくりと落ちる。どうやったら彼は緊張するのか、苛立ちながら虞美人はタクトを睨む。

 

「おーカズキ?うんうん、今大丈夫だぜ?」

「大丈夫なわけないでしょう…‼」

 

 携帯で会話をしている場合じゃない。じりじりと近づいてくる影鰐と玉麗に対してタクトは会話を弾ませていた。会話の途中で楽しそうに笑い、大はしゃぎをする。まだ終わらないかと苛立ちがピークに達する前にようやくタクトは携帯の通話を切った。

 

「なんでこんな状況で遊んでるのよ…‼」

「遊んでないって。カズキから今すぐに向かうって連絡があったんだぜ?」

 

 まさかタクトに仲間がいて援軍がここに向かってくることに虞美人は目を丸くして驚いた。この窮地の中で救援が来るのは頼もしいが果たして間に合うだろうか。なんとかして時間を稼がなくては、虞美人は静かに燕青に目線を向けてコンタクトをとる。

 

「仕方ないわね…なんとか時間を稼ぐしかないじゃないの。それで、そいつらはいつ来るって?」

「え?もう来てるってさ」

「そう……って、もう来てる?」

 

 言っている意味が分からない。虞美人はキョトンとするがその直後、外から喧しく響かせるプロペラの音が聞こえたと同時に中型軍用ヘリ、UH-1ヴェノムがガラスを突き破って突っ込んできた。勢いで割れたガラスの破片を撒き散らしながらUH-1ヴェノムは勢いを止めることなく滑るように突っ込んでいく。いきなり中型軍用ヘリが突っ込んできたことに哪吒、左慈は急ぎ後ろへと下がり、玉麗と影鰐もタクト達から離れた。虞美人と燕青があんぐりとする中、ヘリの扉が荒々しく開く。中からケイスケとナオトが飛び出してきた。

 

「ほんと危ねえだろうが‼突っ込むなら突っ込むと前もって言えよ馬鹿が‼」

「死ぬかと思った……!」

 

 ケイスケとナオトは怒りながらコクピットを睨んで喚いた。コクピットが開かれるとガハハと楽しそうに笑うカズキと血の気が引いて真っ青になっているココが出てきた。

 

「どうだ!こう……ずばーんと…かっこいいだろう?」

「い、一瞬御花畑と御爺ちゃんが見えたヨ…」

 

 カズキはどや顔で楽し気に笑うが勢いよく出てきた鬼の形相になっている静刃に胸ぐらをつかまれ揺らされた。

 

「お前は‼俺達を殺す気か!?」

「まあまあ、生きててなんぼだろ?」

「殴っていいか?なあ、殴っていいだろ!?」

 

「哎呀…ど、どう考えたら建物に突っ込むんですか…」

「うん、知ってた。こいつらに乗り物を乗せるとこうなるの知ってた」

「もうこいつらに乗り物を任せたらだめだじょ」

「タクト様!ご無事ですか!」

 

 最後にカズキの荒々しい運転で目を回している猴とどこか遠い目をしているカツェと鵺、そして誰よりも先にタクトの安否を確認したリサが出てきた。駆けつけてきたカズキ達にタクトは嬉しそうに手を振って走り寄る。

 

「カズキ、ナオト、ケイスケ、リサ‼待ってたぜー!」

 

 満面の笑みで駆け寄るタクトにカズキとケイスケとナオトは容赦なく足蹴をしだす。

 

「探すのに時間かけたじゃねえかこの鹿野郎!」

「馬鹿か‼何敵に捕まってんだよ‼面倒かけてんじゃねえよ雑魚が‼」

「無事なら先に連絡しろよな……!」

 

「いやあんた達味方なんでしょ!?」

 

 救援対象に容赦なく囲んで足蹴するカズキ達に虞美人はずっこけそうになった。そんな虞美人を見た猴は目を丸くした。

 

「あ、貴女は虞様!?どうしてこんなところに!?」

「っ!……面倒な相手に見つかった……けどこう呑気にしている場合じゃないわね」

 

 今は再会を喜んでいる場合ではない。状況を察していた鵺は玉麗の姿に気づくと警戒して身構える。鵺の慌てている様子に静刃は気づいた。

 

「鵺、あの狐はそんなにやばいのか…?」

「そうだじょ。玉麗…あいつは『運』を喰らい『運』を操る面倒くさい奴だ」

 

 鵺の説明を聞いたカズキとケイスケはぎょっとして驚く。

 

「「なんだって!?ウンk」」

「言わせねえよ!?」

 

 これは声を出していってはいけないやつだと察した静刃はすぐさまカズキとケイスケの口を塞いで事なきを得た。ほっとしているのもつかの間、鵺はぎろりと玉麗の隣にいる木村を睨んだ。

 

「でももっとやばいのは玉麗の隣にいる男だじょ…貴様何者だ?」

「おやおや、まさか面白い団体にも会うとは都合がさらに良くなりました。私はry「あいつ影鰐だってさ」

 

 木村の話を遮ってタクトが気軽に鵺に話した。影鰐と聞いて鵺と静刃、そして猴は驚愕した。

 

「影鰐…だと!?」

「あいつが影鰐なのか、たっくん!?」

 

「そ、そんな…影鰐、貴方は遥か昔に封印されたはず!」

 

 焦りと驚きと恐怖を隠せない猴に木村は静かに笑った。

 

「本当に都合がいい…緋緋神の依代である緋鬼の長だけでなく斉天大聖孫悟空もいるとは」

 

「…カカロットの息子ぉ?」

「たっくん、それカカロットちゃう。ブロリーや」

「それに猴は女の子だし」

「じゃあ…カカロットの娘ぇ?」

「外野は黙ってろ」

 

 猴をまじまじと見つめているタクトと全く関係のない話をしているカズキ達を静刃は黙らせて話の続きを進めさせる。

 

「影鰐、私達を喰らい本来の力を取り戻すことが目的なのですか…‼」

「くくく、それもありますが…私の目的は【十四の銀河】にあります」

 

 【十四の銀河】と聞いて虞美人と猴、鵺は表情を険しくさせる。しかしカズキ達は「どっかで聞いたことがあるような…」とキョトンとしていた。

 

「お前らも集めているというか探さなきゃいけないやつだろうが!?」

 

「「「「……あぁ~」」」」

「なんで忘れてんだ!?」

 

 思い出し方のように納得してうなずく4人組にカツェと静刃は肩を竦めた。

 

「だからNに近づいているのですか…‼」

「協力をしている、といってもいいでしょう。手始めに玉麗に力を貸し、この大陸の裏を支配してもらう」

 

 木村、影鰐は横目で玉麗に視線を向ける。玉麗はクスリと笑って首に下げている龍の形を模った金の装飾がされた真珠のような乳白色の宝玉がついた首飾りを見せた。それを見た虞美人、燕青、猴は目を見開いた。

 

「それは玉璽…!?」

 

「玉璽?とったら60秒は無双乱舞し放題のアレ?」

「たっくん、今はゲームじゃない」

 

 タクトとケイスケのやり取りは無視され玉麗がクスクスと笑いだす。

 

「その通り、これは玉璽…または【最強装備・ラグナロク】とも呼ばれているそうな」

 

 【十四の銀河】につながる4つの秘宝の一つ、【最強装備・ラグナロク】。まさかその秘宝がNの手に渡っていたとは。静刃達は焦りを募らせて対峙するがカズキ達は落胆の色を見せていた。

 

「てっきり鎧装備みたいなやつかと思ってたのになー」

「まさかのネックレス?まじでガッカリだわ」

「装備じゃなくて装飾品でしょ」

「やめなよフォッキュスー」

 

「あんた達真面目にやりなさいって!?」

 

 どうしてこんなじょうきょうで落胆するのか、虞美人は4人組の思考がよくわからなくなってきた。




 中国が舞台だから中国の妖怪がいいな
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 狐みたいな動物の妖怪がいないかなー。でも妲己はポピュラーだし他の狐は…ん?りょうてつ?そんな奴がいるのか!早速ググろう!
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『頭が9つ、尻尾が9つある狐の妖怪。赤ん坊の泣き声のような鳴き声を発して人を食う』
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 ふぁっ!?

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