カオスな4人衆!?最強のSランク武偵を目指せ‼   作:サバ缶みそ味

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セイバー→ジャンヌ→セイバー(Zero)
絶対コレ狙ってたでしょ、スタッフ‼


15話

ルーマニア大使から聞いた話によるとブラドは横浜にある自分の館、『紅鳴館』に奪った宝を地下に隠しているという。その館には今現在、ブラドは不在で代理の管理人が1人住んでいるということなので潜入するにはいいタイミングだという。

 

「そういうけどセキュリティとか厳重に張られているんじゃねえのか?」

 

 宝を隠しているのだから恐らく『紅鳴館』は外も中も鼠一匹も入れないほど厳重に守られているだろう。ケイスケの質問にジョージ神父はにこやかに頷く。

 

「確かに、セキュリティはかなり厳重な物だろう。だが、その面は私が手助けしよう」

「さっすが俺達の神父様だぜー‼」

「カズキ、喜ぶのはいいが忍び込むのは俺達だぞ」

 

 神父がサポートをするとは言っているが、忍び込んでセキュリティを掻い潜り、お宝を奪還する作業をするのは自分達だ。結局危なっかしいことをやらされるというのでケイスケは不満気味だった。

 

「君たち4人組ならどんな難しい事も難なくやりこなせる、私はそう信じているんだ」

「いや~、ジョージ神父がそうおっしゃるんですから、もうやっちゃいましょうね!」

「不可能を可能にする、インポッシブルなクソ野郎。それが俺だー‼」( ・´ー・`)b

「お前ら、うまく乗せられてんじゃねえよ」

 

 ケイスケはうまく乗せられて照れているカズキとタクトに流し目で受け流す。ブラドという『イ・ウー』のNO.2の吸血鬼と一戦交えるのかと焦っていたが、当人が不在というこで戦うことはないことにケイスケは安堵した。

 

「プランは私が用意しておく。それまでは各自備えてくれ」

 

 紅鳴館の潜入、そして宝を奪還する作戦内容はジョージ神父が考えてくれるらしい。実際の所、この自分達で考えるとしたら正面突破して殴り込むという無茶苦茶な作戦しか思いつかないだろうと感じていた。一歩間違えたら自分たちがお縄につくと覚悟しているケイスケとは反対にカズキとタクトは一大イベントのようにウキウキしていた。

 

「よーし、カズキ‼そうとくれば『オーシャンズ11』を借りて勉強するぞー‼」

「たっくん、そこは『ミッション・インポッシブル』でしょ‼」

 

 どこまで緊張感が足りないのか、ケイスケは苦笑いをしながらも二人に続いて教会を出て行った。

 

__

 

「本当に緊張感がねえな」

 

 ケイスケは自分の医務室のベッドで寝転がっているカズキとタクトに呆れていた。2日経過したものの連絡は未だ来ずなのでだらけを決めているかのようにだらけきっているのだった。

 

「いいじゃんかよ、ケイスケ。『紅鳴館』に潜入するために俺達は備えているんだぜ?」

「そうだぞー、果報は寝て待てっていうだろ?」

「いや、お前らの場合は急がば回れだろ」

 

 だらけている二人に突然指示がきたら慌てふためて失敗するんじゃないかとケイスケはやや心配だった。見捨てるか手伝うかどっちかだとすれば見捨てると内心即決はしている。

 まったりとしている二人をほっといて時計を見る。いい加減、ナオトが医務室に来てもいい時間なのだが来ていない。また道に迷ってリサに連れてってもらっているのかと思うと、うちのメンツはどんだけ緊張感がないのかため息をついた。

 

「…すまん、道に迷った」

 

 そんなことを考えていたら、ナオトが慌てて医務室に入って来た。リサの姿が見えない、もしかして自力で来れたのかケイスケは驚いた。

 

「ナオト、一人で来れたのか?」

「…いい加減ここまでの道は覚える」

 

 自力で来れたことに驚かれたナオトは少し不満そうに答えた。ということはナオトを迎いに行ったリサとは会っていないのか、カズキとタクトも気になりだした。

 

「じゃあ、リサと合流していない?」

「…?リサとは出会わなかったぞ?」

 

 ナオトは首を傾げた。それだとすればおかしい、医務室は端にあるのでリサはすぐに戻ってこれるし、途中でナオトと出会うはずなのだ。それともリサが道に迷ったのか4人は心配になった。その時、ケイスケの携帯電話が鳴った。携帯を開けばメールが1通受信されており、送り主はどうやらリサのようだ。内容をみると道に迷って今は屋上にいるということだった。それを見たケイスケはほっと安心した。

 

「リサは屋上にいるってさ。迎えに行くぞ」

「もー、リサちゃんってばお茶目☆」

 

 タクトの変顔して可愛らしく言ったことは聞かなかったことにして屋上へ向かうことにした。晴れたその日は夕焼けがきれいで夕陽が屋上のテラスをオレンジ色に照らす。カズキ達が向かうと案の定、屋上にリサがいた。屋上から見える景色を眺めていたのだろう。カズキは声を掛けて駆け寄るとリサは振り向いて微笑んだ。

 

「リサちゃん、お待たせ。ナオトの奴が出会わずにそのまんま医務室に来ちゃったから迷っちゃったよね」

 

 申し訳なさそうにわたっているカズキにリサは笑った首を横にふる。

 

「いいえ、お気に去らずにいてください。屋上からの景色を眺めて楽しかったですよ」

「そっかー、楽しんで何よりだぜ。お腹も減ったし帰ろっか」

「はい!それではご主人様達の為に美味しい夕飯をお作り致しますね!」

 

 カズキに相づちをうつようにリサは元気よく頷いた。すると、ナオトとタクトが咄嗟にハンドガンを取り出して構えた。

 

「カズキ、下がれ!」

「そいつはリサちゃんじゃない‼」

 

 二人は銃口をリサに向けているのでカズキは慌てて下がる。リサの方はキョトンとしていた。ケイスケは二人に恐る恐る聞いた。

 

「どいうことだ…?」

 

 警戒する様に銃を降ろさないナオトとタクトはお互い頷いたのち、ケイスケと下がったカズキの方を見る。

 

「リサは俺達の事を『ご主人様』だなんて呼ばない」

「リサのメロンパンが小さい…気がする」( ・´ω・`)

 

 答えが異なっていたのでナオトとタクトは顔を合わせて自分が正しい、お前が違うと口喧嘩しだした。カズキは結局どうなのか混乱するしケイスケは二人の喧嘩を止めようと喧嘩に乱入する始末。置いてけぼりになったリサは4人の様子を見てクスクスと笑いだした。

 

「…あーあ、まさか1発で見破られちゃうなんて、ちょっとショックかも」

 

 リサの姿で発した声はリサにあらず、どこかで聞いたことのある声だった。布を剥がすかのように衣装とフェイスを取ると、そこにいたのはリサではなくかつてカズキ達に『始末屋』のジャック・ランタンの居場所を教えてくれた峰理子だった。

 

「やっほー。たっくん、皆お久ぶり~☆」

 

 理子はキャピっとウィンクをしてみせた。久しぶりに出会い、リサに変装していた理子に彼らは驚くだろうと思っていたのだが肝心の4人は理子を見ずにもめていた。

 

「だーかーら‼たっくんが間違ってんだろ!?」

「うるせえ‼俺のほうが正しい‼俺がすべてだ‼」(`Д´)

「お前ら黙れや。結局どうなのかわかんねえんだろうが」

「わちゃわちゃすんなって‼もう一度考え直せばいいだけだろ!?」

「‥‥おーい?」

 

 カズキ達は理子の存在をすっかり忘れて自分達だけで盛り上がっていた。声を掛けても無視され蚊帳の外になっている理子はムスッとし大声で呼んだ。

 

「ちょっとー‼注目‼理子を無視するとかどういうことよ!?」

 

 プンスカとしている理子に対し、理子を見た4人の反応は別々だった。というより驚く様子は無かった。

 

「…何だ理子か」

「あ、リコリンやっほー」ノシ

「今お前どころじゃねえよ。後にしろや」

「理子ちゃん。ここら辺に可愛らしい金髪ロングのメイドさんみたいな女の子見なかった?」

「あ゛あ゛もう‼リサに変装してたのも私だし携帯でたっくん達を呼びよせたのも私だよ‼」

 

 本当に変装を見破っていたのかそれも分からなくなってきたし、人の話を聞かない緊張感のない4人組に苛立った理子は全部話した。

 

「あれ?…リコリンなんでリサの事知ってたの?」

 

 首を傾げるタクトにやっと話を持ってこれると一息入れて理子はにやりとする。はっと気づいたケイスケは理子を睨み付けた。

 

「おい、リサをどこにやった?」

「そう、その反応を待ってたの。安心して、リサはあそこでぐっすり眠ってるよ」

 

 理子は指をさす。指をさしたその先にある給水塔の隅にリサがスヤスヤと眠っていた。カズキ達は駆けよってリサの様子を見ると怪我などはなくただ眠らされただけのようなので安心した。

 

「待てよ…?リサを知ってるってことは…理子ちゃんも『イ・ウー』なのか?」

「ピンポーン、カズくんせいかーい☆ま、今は司法取引もして元『イ・ウー』なんだけどね」

 

 警戒しているカズキ達に理子は不敵に笑う。

 

「私の本当の名前は…峰・理子・リュパン4世。フランスの大怪盗アルセーヌ・リュパンの曾孫だよ。これを聞いたらわかるよね?」

 

 理子の名前を聞いたカズキ達は目を開いて驚いていた。わなわなと震えながらカズキは口を開いた。

 

「理子ちゃん…お前、キャッツ・アイだったのか!?」

「…ねずみ小僧?」

「そこはゴエモンだろ」

「つまり…シティーハンターってことだな!」

「ウン、絶対理子の話を聞いてないよね?」

 

 キンジとアリアに理子の正体を話した時、彼らは驚いていたのだが、この4人組は斜め上の反応をして理子は項垂れる。このままでは埒が明かない、理子はいちいち気にしていたら進まないということで話を進める。

 

「実はね…たっくん達にやってもらいたいことがあるの」

「いいよ‼」(`・ω・´)

「たっくん、はやいよ!?理子ちゃんの話を聞こうよ!?」

 

 カズキは内容も聞いていないタクトにツッコミを入れる。とりあえず自分の話を聞いてほしいと理子は苦笑いして話を続ける。

 

「理子達の…泥棒作戦を手伝ってほしいの」

 

 泥棒、その言葉を聞いてカズキ達はぴくりと体を動かす。彼らの反応を見て理子はにっこりと話す。

 

「私とキーくんとアリアの3人で『ブラド』に奪われた『理子の大事な物』を盗む、それを完璧にするためにたっくん達がサポートをするの」

「…なんで俺達なんだ?」

 

 ナオトの質問に理子はにっこりと少しグリップの大きいボールペンを取り出す。スイッチを押すと医務室で会話をしてるカズキとタクト、ケイスケの声が流れた。

 

「医務室にこっそり仕掛けたんだ。たっくん達もブラドの館に潜入する用事があるんでしょ?それだったらお互いを助け合っていこうよ」

 

 理子はカズキ達を囮にしようと利用するつもりだ。断るにも断り切れない、それを知っているかのように理子はふふんとほくそ笑んだ。

 

「もし断ったら…リサのことをばらすよ?無断で学校に入れているし、私の手でリサを密入国者としてでっちあげることだってできる。そうなれば…わかるよね?」

 

 もしそうなったらリサは無実の罪で捕まってしまう。そんなことはさせない、そう考えたカズキ達の答えはただ一つしかなった。4人は無言で首を縦に振る。

 

「さっすがたっくん達だね!そうこなくっちゃ。それじゃあ期待してるからね☆」

 

 理子はウィンクしてむすっとしてるカズキ達に手を振って去っていった。ただすやすやとリサの優しい寝息だけが響いていた。

 

「で、やっかいのが増えたけど…どうするんだ?」

「もうね、やるしかないでしょ」

 

 ケイスケの文句にカズキは苦笑いしながら答えた。そんな時、ナオトの携帯が鳴りナオトは電話をとる。何回か返事をしたのち電話を切った。

 

「…神父から、プランができたって」

「ったく、くんのが遅せえっての。たっくん、リサを連れて先に帰ってくれないか?」

「え?なんで俺なの?」

 

 首を傾げるタクトにカズキとケイスケは苦笑いをする。

 

「だって、たっくんは忘れっぽいもん」

「なんだって!?カズキ、俺だって真面目に聞くぞー‼」

「後で俺達が説明すっから、たっくんはリサを頼む。それも立派な任務だぞ?」

「よっしゃあ‼俺に任せておけ。俺は無敵だっ‼」

 

 タクトは自信満々に張り切ってリサをおんぶして行った。

 

_

 

「1本でーも、ニンジン♪フッ⤴2本でーもニンジン♪フッ⤴」♪(´ε`)♪

 

 カズキ達と別れたタクトはまだスヤスヤと眠っているリサをおんぶして歌いながら家へと向かっていた。潜入するプランはカズキ達から聞けば自分でも完ぺきにこなせる。自信たっぷりのタクトは上機嫌で歌いだす。

 

「相変わらず読めない奴だなお前は…」

 

 ふと聞き覚えのある声がしたので歌うのを止めたタクトは後ろへ振り向く。そこには5月のアドシアードに出会った『デュランダル』ことジャンヌがいた。武偵高校の制服を着たジャンヌはタクトを苦笑いして見ていた。

 

「おっ?ジェーンちゃん‼おっひさー‼」

「ジェーンじゃない、ジャンヌだ!」

 

 未だに名前を間違えるタクトに呆れながらタクトがおんぶしているリサの方を見た。

 

「リサか…どうやって出会えたのか不思議でならん。お前といい、あの喧しいお前の仲間といい、本当に不思議だな」

「そりゃあ、俺達は無敵だからな!」

 

 ドヤ顔でタクトは答えるがどういうことかさっぱり理解できないジャンヌは肩をすくめて笑う。一息入れたジャンヌは真剣な表情で本題に持ち込んだ。

 

「…理子から聞いたぞ。ブラドの屋敷に潜入するようだな」

「うん、チャーリーブラウンさんちに突撃隣の昼ご飯するんだ」

「誰だそれは…まあいい、ならばお前達にも話した方がいいな。もしブラドと戦闘になる場合だが…」

 

 ジャンヌはブラドについて話した。3代目ジャンヌ・ダルクの双子と初代リュパンの3人でブラドと闘っていたこと、理子がブラドに捕まりブラドから逃れるため自由を望んでいる事、そしてブラドには『魔臓』という4か所の弱点があり、4か所同時に攻撃しないとブラドを倒せないことを話した。タクトは何度も頷き、そして真剣な表情で答えた。

 

「なるほど…もう一回教えて?」

「うん…私もなんだか途中で聞いてるかどうか心配だったんだ」

 

 とりあえず気にしていたジャンヌはもう一度説明をする。タクトはなるほどと口にして頷くので一応理解できたであろうとジャンヌは一息入れた。

 

「それと…もう一つ、ブラドを倒す方法があるのだが…」

「あるの?教えて教えて‼」

 

 ジャンヌは話してもいいか躊躇っていたがあるのなら教えて欲しいと懇願するタクトにおされて仕方なしと話した。

 

「先代から聞いた話だが…吸血鬼と対の存在である『秂狼(ウェアウルフ)』は吸血鬼と互角に戦うことができ、その中でも『百獣の王』とされる『ジェヴォーダンの獣』なら勝てるといわれている」

「ウェルダンの獣?ステーキ屋さん?」

「『ジェヴォーダンの獣』…人狼だ。しかし私は見たこともないからな…世界のどこかにいると言われてる」

 

 さらにわからないことが増えて首を傾げるタクトにジャンヌはやれやれとため息をついて笑う。

 

「難しい事は考えるな。お前達ならできる…そんな気がする。応援はしているからな」

 

 そういってジャンヌはふっと笑って踵を返して去っていった。ぽかんとしていたタクトだったが応援していると聞いて一先ず頑張ろうと決めた。そうしているうちに「ん…」と眠たそうにリサは目を覚ました。

 

「あれ…私、途中で誰かに呼ばれて振り向いたら…って、タクト様、すみません!?」

「いいのいいの。お腹すいたし、このまま帰ろっか!」

 

 おんぶされて少々恥ずかしがっているリサをおんぶしながらタクトは再び歌いながら帰路についた。

 

__

 

「カズキくんにはこれを渡しておこう」

 

 教会でジョージ神父はカズキに黒いUSBを渡した。

 

「ジョージ神父、これは…?」

「なに、ちょっとしたセキュリティハッキングシステムソフトが入ったUSBさ」

 

 にこやかに軽々しく答える神父にカズキとケイスケはギョッとした。なんでそういうものを神父が持っているのか不思議でならなかった。他にも何やら用意しているらしく愉悦に浸っているジョージ神父に恐る恐る聞いた。

 

「あ、あんたは本当に神父なのか?」

「もちろん、世界各地を歩く迷える子羊を助けるただの神父さ」

 

 ケイスケは絶対お前の様な神父はいないと心の中でツッコミを入れた。眠たそうにしてるナオトはずっと黙ったまま神父の話を聞いていた。

 

「それじゃあ…『紅鳴館』へ潜入するプランを話そうか」

 

 こうしてジョージ神父とカズキ達の潜入お宝奪還作戦が開始された。




 ノリは『オーシャンズ』的な感じで。ミッション・インポッシブルも好きですが、オーシャンズ11、12が好きですね。

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