カオスな4人衆!?最強のSランク武偵を目指せ‼   作:サバ缶みそ味

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やぁ皆の者‼吹雪カズキだよーん☆あらすじといっても前回の仕事の愚痴になっちまうから省かせてもらいます‼
 台詞は誰が誰だか分からないかもしれないけど…特に顔文字をいれたがるのがたっくん、毒舌っぽいのがケイスケ、冒頭に「…」が入ってたり静かそうなのがナオトだ‼うん俺もよくわかんねーぜ‼


2話

 レインボーブリッジを通り、人工浮島に設立された東京武偵高校。武偵を育成する教育機関であり、一般教育の他に強襲科、探偵科といった専門科目を履修し学園や民間からの依頼を受けて活動している。

 その武偵高校の西棟の1階の医務室にて、サングラスをかけた青年、吹雪カズキはムスッとした顔でベッドに寝転んでいた

 

「…解せぬ」

「解せぬじゃねえよ。人の医務室にいつまでも引きこもるな」

 

 そんなカズキに黒髪の短髪で眼鏡をかけた目つきの悪い青年、天露ケイスケが般若のお面を机に置いてからげんこつをお見舞いした。この医務室、ケイスケが建てた部屋であり武偵校の生徒たちの治療も行っている。衛生科の中でもケイスケの腕はかなりのものだが、治療後高額な治療費を請求してくることからヤブ医者ならぬ『鬼医者』と呼ばれている。

 

「いや解せぬだろ!?強盗犯を捕まえたっていうのによ、なんで俺達の武偵ランクがCからDにランクダウンしてんだよ!?」

「どっかのバカが装甲車で突っ込むわ、グレネード投げまくるわ、そしてフレンドリーファイアもするからだろうが‼」

 

 ケイスケの言う通り、装甲車で突撃した後は銃を乱射するわグレネードを投げまくり宝石店の中は戦場と化していた。さらには続けて入って来た他の武偵校の生徒に被弾する事態にもなった。

 

「ひだんのアリアだけに被弾ってかー‼」

 

 丸椅子に座っている栗毛色の長い髪をした青年、菊池タクトは丸椅子を回転しながら楽しそうにダジャレをいって回っている。そんなダジャレを聞いたカズキとケイスケは無言になった。滑った空気になりながらもタクトは気にせず回転椅子で楽しんでいた。

 

「…あの後、反省室に連れてこられて綴先生の第一声が『お前らバカじゃないの』だもんな」

 

 彼らのやり取りを離れて見ていたやや緑かかった黒髪の眠たそうな表情をしている青年、江尾ナオトはお弁当を食べながら話す。事件解決後、反省室に連れて行かれ綴先生にたっぷりと説教され、始末書を書かされた。

 

「というか、お前らと組んで碌なことがねえぞ」

 

 ケイスケは苛立ちながら椅子に深く腰掛ける。この4人と組んで去年の事を思い浮かべていた。初めて組んだ事件、4人組で行う4対4の実戦テストの『カルテット』、それ以降の活動とこの4人でバカやって派手にハチャメチャしていた事しか思い出せなかった。

 

「「そんなこと言うなよ‼俺達、今までやってきたソウルメイトじゃないか!」」

 

 カズキとタクトは口を揃えてケイスケを宥める。いつも身内の愚痴をこぼすと必ずこう返してくる、ケイスケは苦笑いしてため息をつく。実際、組んでいて退屈はしないから悪くない。

 

「というか、皆で話し合う予定じゃなかったのか?」

 

 退屈そうにしているナオトの一言を聞いて一同ハッとした。CランクからDランクに降格した時、これはヤバイと感じた4人はケイスケの医務室で集まって話し合おうと呼びかけていたのだった。医務室に集まった途端、話の目的を忘れて呑気に駄弁っていたり遊んでいたりと時間を無駄にしていた。

 

「そうだよ。話し合う予定だったんだ‼おらー、作戦会議の時間だー」

「何話すのー?昔話なら俺得だぜー‼むかーしむかし、ある所に…」

 

 突然昔話を始めたタクトをスルーしてカズキはスケッチブックに荒々しく書いたテーマを見せる。

 

「『どうやったらSランク武偵になれるか』を話し合おうとおみょいます‼」

「「「おみょいまーす」」」

「お前ら、俺のミスをリスペクトすんじゃねーよ‼」

 

 出だしで噛んだカズキの台詞をタクト達はオウム返しの如く返す。このテーマにタクトは一番に手をあげる

 

「はーい‼Sランク、Aランクの依頼をやればいいと思いまーす」

「たっくん、その意見はごもっともなんだけど…それ、いつもやってることなんよ…」

 

 カズキはショボンと悲しそうに項垂れて答えた。実際のところ、4人でSランク、Aランクの任務や依頼を受けてやっているが公共のものを派手に壊したり、他の武偵校の生徒を巻き込んで怪我をさせたりと4人がバカやって任務は成功するが教師に怒られて評価はプラマイゼロである。

 

「それに、最近はイギリスからきた神崎アリアってやつに全部横取りされてるしな」

 

 ケイスケは缶コーヒーを飲みながら愚痴った。4月早々、強襲科のSランク武偵、神崎アリアという少女にSランク、Aランクの任務を全て取られてしまっていたのであった。自分たちが遂行している任務も突如援護という名目で乱入してきたアリアに手柄をとられる始末。後者の方は4人がバカ騒ぎしてグダグダしているのが原因だがその原因である自分たちは何も反省はしていない。

 

「…じゃあCランク、Dランクの任務をちまちまやるか?」

「ナオナオ、その意見もごもっともなんだけど…」

「却下!そんなの面白くない!」(#`ω´)三3

「面白い面白くないの問題じゃないが、たっくんが嫌がるのも分かる。ちまちまやっても意味ねーだろ」

 

 ケイスケの言葉にカズキとナオトは頷く。低ランクの任務は探偵や猫探しといったものばかりでこの騒がしい4人でやるのは無理がある。積み重ねてやっていてもいつランクアップするか、気が遠くなる作業でもあった。最も、タクトに至っては退屈で刺激もなく面白くないという理由で反対している。

 

「じゃあどうすんだべや。このままいくとEランクまで下がっちまうぞ?」

 

 訛り交じりで呆れるようにケイスケは率直に言う。4人は唸る様に悩みしばらく医務室に低音ボイスが響く。色々考えた末、ナオトが最初に口を開いた

 

「…いつものやつでいくか?」

 

 その一声を聞いてカズキとタクトはハイテンションで喜び、ケイスケは嫌そうな顔をした。

 

「さっすがナオト‼お前ってば天才‼」

「やっちゃう?いつものやつやっちゃうー?」( ゚∀゚)o彡゚

「おまっ、結局それ頼りじゃねえか」

「…しゃーないだろ。あるとしたらそれしかないし」

 

 ケイスケにとってそれはあまりにも胡散臭いと感じてしまう方法である。しかし元のランクに戻り、更に上のランクに昇るにはこれしかもう方法がない。やけくそになりながらもケイスケは渋々と首を縦に振る。

 

「仕方ねえな。胡散臭そうな奴だけど、やるしかないか」

「ケースケもやっと認めたか。よーしそうと来ればさっそく出動だ‼」

「イヤッホォォォっ‼」(∩´∀`)∩ワーイ

 

_

 

 武偵高校から離れ、騒がしい4人組が向かった場所は東京が巣鴨を通りぬけ静かな住宅街の隅にある小さな教会。カズキ、タクト、ナオトはインターホンを押さずに扉を開けてそのままずかずかと入っていき、ケイスケは警戒する様に慎重に入っていった。

 

「へーい‼神父カモーン‼」( `ω´)ノシ

 

 タクトは入り口のすぐそばにある机に置かれている呼び鈴を激しく鳴らす。カズキは警戒しているケイスケの気を和らげようと気さくに笑う。

 

「そう慎重にすんなって、あれでもナオトの養親なんだぜ?」

「んなこと言ってもよ、これまでやってきた任務はどれも胡散臭かっただろ」

 

 そうこうしているうちに教会の書斎室から黒の祭服を着た黒髪で落ち着いた雰囲気の男性が出てきた。その男性はカズキ達を見てにこやかに迎えた。

 

「やぁナオト、今日はお友達を連れて何か用かな?」

「…ただいま、今日は…」

「ジョージ神父‼お助けくだされー‼迷える子羊を救いたまえー‼」(;Д; )三

 

 ナオトが言いきる前にタクトが割り込んで泣くようにジョージ神父にすがりつく。話を割り込まれたナオトをカズキはプギャーと笑うがナオト本人は割とどうでもいいようだ。

 

「おやおや、今日は懺悔でもしにきたのかい?」

「いや、ジョージ神父、今日はかくかくしかじかで…」

 

 カズキはこの教会に訪れ、ジョージ神父に会いに来た理由を話した。ジョージ神父はナオトの養親であり、カズキとケイスケは中学の頃からお世話になっているという。去年の高校1年頃から彼から頼まれる依頼や任務をこなしてランクを保ってきていた。

 

「そうか…私の仕事の手伝いにきたのか」

「…なにかないですか?」

 

 『Hmm』と神父は深く考えた。カズキとタクトはワクワクしながら、ナオトは眠たそうに、ケイスケは不審そうな面で答えを待っていた。そして神父は思い出したように手を叩いて頷く。

 

「そうだ。君たちにやってもらいたい『仕事』があるんだ」

 

 そう言ってジョージ神父は教壇の引き出しから小さな紙を取り出しカズキに渡す。

 

「今夜、コンテナ船で私の大事な『荷物』が港に届く。それをうちまで運んできてほしい。なにそんなに大きな『荷物』じゃないから安心したまえ」

「ほらやっぱり胡散臭いじゃねーか!」

 

 警戒して黙っていたケイスケは怒り大声で荒ぶった。ケイスケの怒りを鎮めようとカズキは必死に宥める。

 

「落ち着けって‼今までやってきてるようなものじゃないか」

「神父からの依頼や任務ってSランク、Aランクなのに…『護衛』といいながら旅行をしたり、『輸送』といいながら神父の畑仕事だっただろうが‼」

 

 『護衛』という任務では青森の恐山、熱海や箱根の温泉、京都などの観光地へ観光をし、『輸送』という任務では神父の畑で玉ねぎや唐辛子などの野菜を植えたり収穫したりといった畑仕事だった。高難易度のランクでありながらやっていることはケイスケにとって明らかに不正、胡散臭さマックスだと感じていた。

 

「そうキレるなって。もしかしたらトランスポーターみたいな仕事かもよ?そしたら俺はニコラスケイジね!」

「…たっくん、ジェイソンじゃないの?」

「はぁ!?おま…13日で金曜ってか!?」

「…そっちのジェイソンじゃねーよ」

 

 タクトとナオトのやり取りはスルーしてカズキとケイスケでジョージ神父の依頼をするかしないか話を進めた。カズキ、ナオト、タクトはジョージ神父の依頼に即OKしたが、ケイスケが中々首を縦に振ろうとしていなかった。

 

「無論、Sランク相当の依頼として君たちに依頼もする。それに高い報酬も用意しておこう」

「ケイスケ、すべてのものに無意味なものはないっていうだろ?俺達でやってのけようぜ?」

「はぁ…ずるしてランクアップするのも癪なんだが…その依頼でなんも無かったら速攻この神父と手を切るからな?」

 

 渋々とケイスケは了承し、契約は完了した。任務開始だと3人は意気揚々に教会を後にした。ケイスケはそれでもやっぱり胡散臭いとぶつぶつ文句を言いながら教会を出た。

 

「はっ!?ケイスケ、手を切るって言ってたけど…ディストカットはよくねえぞ!心配事なら俺にぶちまけろ‼」

「心配なのはたっくんの頭だ」

「…それでどこ行くの?」

「まずは準備だぜ。マイホームに戻って40分で支度しな‼」

「40分って…ずいぶんと優しいのな」

 

_

 

 相変わらず騒がしい4人組の『彼ら』を見送ったジョージ神父は静かになった教会に戻り書斎室に入った。日誌を書く机には分厚い古い本が沢山積まれている。

 かつて弟からもらった『とある探偵の伝記』や『魔法』に関する本や『吸血鬼』の話の本と様々。椅子に深く腰掛けた神父は懐から懐中時計を取り出す。それは金色の狼の装飾が施された時計…『仕事』で『彼女』から建前でもらった依頼料であった。

 

「さぁゲームスタートだ…私と彼らは裏方にまわらせてもらうぞ」




 ジョージ神父は皆さまがイメージするあのCVジョージの神父ですが…
この物語のジョージ神父は愉悦も悪っぽさもカリスマ性もない、ただオリジナルのジョージ神父です。

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