カオスな4人衆!?最強のSランク武偵を目指せ‼   作:サバ缶みそ味

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 warfaceを見ていて、敵の多さ、堅さはきつそう。そして戦車を守れというのに戦車が勝手に先に進んでいくという…



22話

「み、皆大丈夫か…?」

 

 カズキ達は巻き上がる土煙の中起き上がる。突然ICBMがこちらに向かって飛んできて滑る様に砂浜へと不時着したのだから4人はパニックになっていた。

 

「マジでビビったー…あのクソ神父、俺達を殺す気かよ」

「…ミサイルが来たときは死んだかと思った」

 

 ケイスケとナオトは冷や汗をかきながらカズキとタクトに続き墜落してきたICBMに近づく。砂浜を通り過ぎ木々をなぎ倒して止まったICBMは相変わらず土煙をあげたまま何も起こらなかった。

 

「これ、爆発しないの?」

 

 タクトは興味本位に木の棒で軽く叩く。3人は焦って止めようとすると、突然ICBMの先端の一部が白い煙を噴出させて扉のように開いた。4人は驚いて開いたハッチの方を凝視して固まる。

 そして開いたところから古めかしいデザインのスーツで正装した白髪交じりのオールバックの男性が出てきた。鼻は高く顔つきは端正、歴史の教科書に載ってそうな雰囲気を醸し出していた。男性はあたりをきょろきょろと見まわして背伸びをする。

 

「ふむ…調整を間違えたかな?予定より少し違う所に着いてしまったようだね」

 

 ミサイルの中から紳士が出てきた。突然のことで4人は更に混乱していた。男性は辺りを見回した後にカズキ達の方に視線を向けてにっこりとして尋ねた。

 

「ところで、君たちは僕に用があるのかい?」

 

 ビクリと4人は反応する。相手は不思議そうにカズキ達を見ていたが自分達は武装しているから不審がられているはず。カズキはあたふたと咄嗟に答えた。

 

「えっと、主要人ぶちゅを助けにきたんです!」

「主要人ぶちゅ?」

 

 カズキが噛んでしまったことに更に男性は首を傾げる。仕方なしとケイスケがフォローに入った。

 

「ジョージ神父からこの島に大事な人が来るから護衛をしてほしいと頼まれてここに来たんだ」

「ねえねえ、雰囲気が神父と似てる感じがするしこの人じゃない?」

「…そんな気がする」

 

 男性はジョージ神父という言葉を聞いて「Hum」と軽く唸って深く考えだした。そして納得したのかにこやかに頷いた。

 

「君たちから僕に対する敵意も感じられないし…うん、君たちの言う護衛する人物は僕であっているよ」

 

 にこやかに笑う男性に対し、4人は顔を見合わせてマジでかと口をこぼした。まさかミサイルでこの島に来たとんでも紳士がジョージ神父の大事な人で護衛対象だなんて。

 

「それで僕の護衛をしてくれるというのなら名前を知っておきたい」

 

「えっと、吹雪カズキです」

「天露ケイスケだ」

「…江尾ナオト」

「そして南の島に舞い降りた常夏のサマーバケーションマスター準決勝敗退、菊池タクトだー‼」

 

 男性はカズキ達の名前を聞いて深く頷く。

 

「なるほど、名前は覚えたよ。今度は僕の自己紹介だね。初めまして、僕は、シャーロック・ホームズだ」

「シャーロック・ホームズ!?あ、あの名探偵の…!?」

 

 シャーロック・ホームズと名乗った男性にケイスケは驚愕した。イギリスだけではなく世界中で有名な探偵であり、武偵の原型になった史上最高で史上最強の名探偵。本物の探偵にケイスケは驚いていたがカズキ達は反応が薄くそれどころか驚いてもいなかった。

 

「え?名探偵ってコロンボじゃないのか?」

「…ジェシカおばさんだろ」

「コナン!犯人は貴方ですよ!」

「お前ら本を読めや」

 

 シャーロック・ホームズについてあまり知識がなかったカズキ達にケイスケは呆れる。一方のシャーロックはおかしくてクスクスと笑っていた。

 

「あははは、君たちは彼らとは違って別の意味で面白いね。それじゃあ護衛をよろしく頼むよ」

 

 カズキとタクトは元気よく「はーい!」と返事をして進む。ナオトが黙々と先行して進み、ケイスケは地図を広げ方位磁石を取り出して目的地を確認する。飛行基地跡地という場所はこのまま北へ進んでいけばたどり着く。

 

「シャーロックさんはジョージ神父と知り合いなの?」

 

 森の中を進んでいる最中にタクトはシャーロックに聞いてみた。シャーロックはにこやかに答えた。

 

「実は、ジョージ神父という名前に心当たりしかないんだ。実際に会ってみればわかるのだが…僕の推理からすると僕と関係している人物だというのは間違いないね」

「おおっ!?さっすが名探偵だぜ!」

 

 カズキが関心しているが、何処をどうやって推理しているのかさぱっりわからないとケイスケは不審そうに見る。確かによく分からない雰囲気はジョージ神父と似ているが関連性が掴めない。

 

「…?」

 

 ケイスケが深く考え込んでいた時ナオトが止まり、辺りを見回しだした。そんな様子にカズキが気づく。

 

「ナオト、どうした?」

「…この島にいるのは俺達だけなのか?」

 

「ふむ、ナオト君は察しがいいね…僕も誰かに見られている気がしていたよ」

 

 シャーロックが感心して頷く。カズキもケイスケもナオトに続いて辺りを警戒しながら見まわす。しかし静観とした森林の中、何処からも気配を感じられなかった。一番警戒心していないタクトがニヤニヤしながらナオトを茶化す。

 

「おいおい、そんな怖いこと言うなって!夏だからって真昼間から怪談話はやめとけ?」

 

 タクトがナオトを小突こうと動いた時だった。金属が掠る音をしながらタクトのほほを弾丸が掠めて通り過ぎた。ほほにすこしできたかすり傷がついたことに気付いたタクトが一瞬固止まる。

 

「まじかスナイパーかよ!?」

 

 カズキの一声とケイスケ達が咄嗟に動いたと共に遠くから狙っているスナイパーによる銃弾が襲い掛かってきた。カズキ達は茂みや木の裏、岩の木陰に隠れる。岩の木陰に隠れたカズキとナオトが銃を構えて覗きこむ。

 

「ナオト、どっから撃ってるか分かるか?」

「…岩場の上に3人、ここから離れた木陰に2人」

「おい‼スナイパーだけじゃなくてなんか来てるぞ‼」

 

 木の裏に隠れていたケイスケが叫ぶ。向こうから白いボディースーツを来た黒い覆面を付けてSG500やG36、レミントンM870を構えた人物が複数出てきて彼らに向けて撃ちながら近づいてきた。

 

「うわああ!?なんかヤバそう!」

「カズキ、兎に角スナイパーを撃て!」

「言われなくても分かってるっつの‼」

 

 ケイスケの怒声に答えるようにカズキがM110狙撃銃で狙いをつける。武偵9条により殺しは禁じられている。カズキはヘッドショットはやめ、狙いを定めてスナイパー達の足、腕に向けて引き金を引く。

 

「よっしゃダウン!」

「行くぜオイ‼俺達の行く道を妨げた罪は重いぜー‼」

「たっくん、突撃するなよ!?」

 

 ナオトの制止も聞かずタクトがM16を構えて茂みから飛び出して敵に向けて撃ちだす。しかし飛んで火にいる夏の虫、敵はタクトに集中砲火をする。タクトは慌てて木陰に隠れて悲痛な叫びをする。

 

「ナオト―、ケイスケ―‼助けて―‼」

「あのバカ。無理なら突撃するなや‼」

「…カズキ、援護」

 

 ケイスケが悪態付けながら、ナオトは黙ってタクトの援護にまわる。ナオトがタクトに近づいている敵にAK47、近接では敵のアゴ、頭を狙って殴りダウンさせ、ケイスケがMP5で撃ちながらカズキの援護とともに倒す。痛みに呻たり気を失って倒れている敵兵を無視し辺りを見回して他に敵がいないかを確認する。

 

「クリア‼」

「クリアァァァァッ‼」

「うるせえよ」

 

 結局奇声しか挙げていないタクトにケイスケが叱る。他に敵兵はいないのは幸いだがまだ他にいるかもしれない。茂みに隠れていたシャーロックはカズキ達を見て関心していた。

 

「ふむ、迷いがないな。それぞれ個性が強いが…押し通しているようだ」

 

「ていうか何なんだよこいつら」

「シャーロックさんのファンかもしれねえな!」

「…こんなファンは嫌だ」

「シャーロックさん、この人たちに心当たりはある?」

 

 カズキとナオトが勝手に納得している中、タクトが尋ねる。シャーロックは深く考え込んむが首を横に振る。

 

「彼らのように僕を殺そうとして来る連中は星の数だけ会ったことがあるからね…多すぎて心当たりがありすぎるくらいだ」

「ほらやっぱりシャーロックさんのファンだろ」

「だからそんなファンがいてたまるか。さっさと行くぞ!」

 

 この辺は片付いているがもし他に同じ敵兵が潜んでいるならこの銃声を聞いて駆けつけてくるはず。ケイスケはカズキ達に急ぐよう呼びかける。

 

__

 

 急いだ先には案の定、敵兵が待ち構えていた。進んでいると突然先ほどと同じ武装をした敵兵達が出てきてカズキ達に狙いを定めて撃ちだす。

 

「またかよー‼」

「弱音吐かないで撃てや‼」

 

 弱音を吐いて叫ぶカズキにケイスケが怒声を飛ばして敵に向けて撃つ。AK47を撃ち続けていたナオトがカズキの方まで下がる。

 

「…弾切れ‼ってたっくんは?」

「あれ?補充役のたっくんは…」

 

 カズキとナオトが弾の補充を担当しているタクトを探す。気が付けばまたタクトが雄たけびを上げながら突撃しているのが見えた。

 

「うおおおおっ‼今度こそ見せてやるぜ、この俺のパワー‼」

 

 敵に向けてM16を撃つがタクトの前に防弾シールドを持った敵兵が突撃してきた。弾丸を防ぎつつタクトに向けて盾でタクトをタックルして押し倒す。

 

「うわあーっ!?盾持ち妻子持ちだー‼」

「たっくん!?何してんの!?」

 

 倒されたタクトにむけて銃を向けている盾持ちに向けてカズキが狙撃しナオトが駆けつけてタクトを起き上がらせる。

 

「サンキュー、ナオト‼礼は言わねえぜ?」

「…そんなことより弾くれ」

 

 スルーされてタクトは渋々提げている鞄から弾薬を装填しているマガジンをいくつか取り出しナオトに渡す。弾丸を再装填してナオトが突撃していく。

 

「カズキ‼たっくんに盾を渡しとけ。またあいつ突撃するぞ」

「渡しても突撃すると思うんだよなー…」

 

 ケイスケの指示通りにカズキは駆けつけてタクトに防弾シールドを渡す。

 

「よっしゃ‼アッセンブルだぜぇぇっ‼」

 

 予想通りタクトは大喜びしてナオトに続いて突撃していった。カズキもケイスケも諦めて弾の補充役のタクトが危ない目に会わないようにフォローする方針に変えた。

 

「君たちは見ていて面白いよ。僕の推理、『条理予知(コグニス)』で読めなかったシナリオだ」

 

 シャーロックが楽しそうにカズキ達を見ていた。ケイスケは疲れたようにくたびれながら肩を竦める。

 

「こんな見知らぬ土地で死ぬのはゴメンだっての」

「否定的に見るのはあまりよくない、楽しまなくてはね。生還したと思ったら即座に敵に命を狙われる…ライヘンバッハの滝から生きて戻れた途端に狙われた時以来だよ」

 

 シャーロックは敵兵を片付けたカズキ達の方へまるで冒険を楽しむ少年のように陽気に歩いていく。ケイスケはシャーロックを見て項垂れる。愉悦に満ちた笑顔はまるでジョージ神父にそっくりだった。

 

「その先を歩いて行っても敵兵が待ち構えているだろうね。ここは遠回りになるが方向を変えていこう」

 

「シャーロックさんの言う通りだな。よし、ここは右へ進もう‼」

「…左がいいんじゃないか?」

「じゃあ間を取って真ん中‼」

「たっくん、シャーロックが言った話を聞いてなかったのか?」

 

 どちらの方へ進むか4人はわちゃわちゃと騒ぎ出す。右か左か真ん中か中々決まらずにいるとタクトが木の棒を取り出した。そして木の棒を掲げて未来から来た青いネコ型ロボットのような口調で叫ぶ。

 

「どっか進むステッキー‼」

「たっくん、似てないけどそれで決めようか‼」

 

 悪乗りするカズキにそれでいいのかとケイスケはツッコミたかったが仕方なく見守ることにした。木の棒を立てて手を離すと右斜め上へ倒れる。

 

「いくぞー‼」

「おおー‼」

 

 タクトとカズキが右斜め上の方角へ駆けだしていった。本当にそれでいいのかとケイスケは不安になりながらも続き、ナオトは黙ったまま彼らに続いた。

 

「なるほど、運任せか。それもいいだろう」

 

 シャーロックは納得しながら彼らに続く。

 

 しかし運は虚しく外れ、進んだ先には敵兵達が隠れて待ち構えており、攻撃がさらに激しくなっていく。カズキ達は必死に隠れて応戦していた。

 

「やっばい!?弾が切れそう!」

「カズキ、弾やるよ‼」

 

 タクトが咄嗟にカズキに向けて弾倉を投げ渡す。渡された弾倉で再装填し狙撃をする。気が付けばメディック役のケイスケまでもが前へ出ている。ケイスケの横に弾丸が掠る。ケイスケは舌打ちして狙ってきたスナイパーめがけて撃ち返す。

 

「クソが‼あぶねえだろうが‼」

 

 そんな時、ナオトがケイスケに狙いを定めている敵兵が持っていた武装に気づいてケイスケに向けて叫んだ。

 

「ケイスケ、離れろ‼ロケランが来るぞ‼」

 

 ケイスケははっとしてロケランを構えている敵兵を見るが時すでに遅し、引き金が引かれケイスケ目がけてロケランが放たれた。そして爆炎が巻き上がる。




 シャーロック卿の能力がチートすぎぃ!?え?彼一人でいいんじゃないか?そこ、気にしない。

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