カオスな4人衆!?最強のSランク武偵を目指せ‼   作:サバ缶みそ味

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どうも、天露ケイスケだ。
結局、胡散臭え神父の依頼を受けちまった。絶対変なことにしかならないってのに…
あのバカ共は疑うってことは知らねえのかよ。仕方ないしやるしかねーか。
というかこれ、いつまで続くんだろうな


3話

「夜の港…英語でナイトターミナル。いわゆるナイトガンダム物語‼」

「うっせーハゲ。黙って行けよ」

 

 夜間のライトが明るく照らされるコンテナターミナルにて、4人は停泊中のコンテナ船へ向かっていた。積み木のように積まれたコンテナの間を迷路のように通る。先頭のタクトははしゃぎながら、ケイスケは先先に進むタクトを追いかけながら、P90を構えたカズキとAK47を構えたナオトは後方、前方と辺りを警戒しながら進んでいた。

 

「着いたー‼イェーイ、一番乗りぃ‼お前らおっそーい‼」

 

 コンテナの迷路を抜け、コンテナ船が停泊している港へたどり着いた。一番最初に出たタクトは大はしゃぎして騒ぐ、追いついたケイスケは勝手に先に行くなとタクトを叱り、カズキとナオトは万遍なく周りを警戒して危険はないと確認してから銃を下ろした。

 

「お前ら、一応Sランク任務なんだから少しは警戒しろよ…」

「うっせ。するもしないも俺の自由だ」( `Д´)

「あの神父の依頼なんだ。別に危なくねえだろ」

「…時間通りに来れたな。次はなにするんだっけ?」

 

 話を聞かない2人にカズキは項垂れ、もういいやと吹っ切れた。依頼の内容として時間内に港へ到着した後にライトで2,3回点滅して合図をおくる。そうすれば依頼の荷物を運んでいる船がわかるという。カズキは言われた通りにライトを数回点滅させた。

 こちらの合図に返事を返すかのように船から明かりが点滅するのが見えた。カズキ達はその船へと向かう。返事を返したのは小型のRO-RO船だった。するとRO-RO船の船首に備わっているランプウェーがゆっくりと開いた。ランプウェーから背の高く紳士服を着た白髪白髭で糸目の老人だった。無言のままこちらを見ているのでカズキ達は焦った。お互い沈黙のまま対峙していたが、カズキが緊張混じりに口を開いた。

 

「え、えーと。ど、どうも~、お荷物を受け取りに来ました~」

「…お待ちしておりました。ジョージ神父から聞いております。」

 

 老人は丁寧に軽く会釈し、パチンと指を鳴らす。暗い船内から長い茶髪でロングドレスのメイドさんが台車で大きな木箱を運んできた。木箱のサイズは横幅90㎝以上の大きな直方体で何か大きなものが入っていそうだ。

 

「こちらになります。どうぞお受け取りください」

 

 メイドさんは一礼してタクトに台車ごと渡した。メイドさんに渡されたタクトは戸惑いながらもお辞儀をして受け取る。ケイスケは当然ながらも警戒して見ていた。

 

「執事にメイドって、どちら様だよ」

「私共はジョージ神父に仕えるただの執事と奉公人でございます」

 

 ケイスケの質問に老人は会釈して返し、木箱を興味津々に見ているタクトの方を見た

 

「最後に忠告ですが、ジョージ神父の下に届けるまで決して中を見ないように。それではご武運を」

 

 老人とメイドはカズキ達に向けて一礼して船内へと戻る。ランプウェーもゆっくりと閉じられ、船を停めていたロープが外れRO-RO船は去っていった。颯爽と去る船にカズキ達はポカーンとしていた。

 

「…荷物も受け取ったことだし、さっさと帰ろうぜ?」

 

 ナオトの一言に3人は頷き、行動に移る。タクトはマジマジと木箱を見つめていた。軽く叩いたり、耳を澄ませていたりと中を確かめようとしていた。

 

「おいたっくん‼中は見るなって言われてただろ!?」

「んなこと言ってもよーカズキ、気になるものは気になっちゃうんだよねー‼」

「見るなといったら見ちゃうんだよな」

「‥‥」

 

 カズキの注意にも聞かず、タクトとケイスケは木箱の中身が気になって移動しようとしなかった。ナオトは呆れて黙って見ていた。カズキの制止も聞かないタクトが木箱の蓋についてるロックを解こうとした時だった。タクトが屈んだ直後、タクトのほほすれすれに弾丸が通り過ぎた。

 

「‼敵襲‼」

 

 ナオトの大声にとっさに反応したカズキは背負っていた防弾シールドを持ってタクトと木箱の前に立つ。ナオトはケイスケを引っ張ってドラム缶の陰に隠れる。そしてコンテナの上から銃弾の雨あられが降り注ぐ。防弾シールドはガンガンと金属音を喚くように発しながら弾丸を防いだ。

 

「ちょ!?え、なになに!?」((;゚д゚))

「はぁっ!?聞いてねえぞこんなの!?」

 

 突然のことでタクトとケイスケは驚愕していた。いつものように何事もなく意味の分からない任務がすんなりと終わると思っていた。しかし、いきなりの敵襲に焦っていた。

 

「カズキ、敵は見えるか!?」

「わかんねーよ‼こちとら必死に防いでるんだから‼てゆーかナオト助けて‼」

「わかった。フラッシュを投げるぞ‼」

 

 カズキの必死の懇願にナオトは頷き、腰に付けてたフラッシュ・バンをコンテナの上でカズキをハチの巣にしようとしている見えない敵に向けて投げ込んだ。フラッシュ・バンの低い爆発音が響いたのちに弾丸の雨は止んだ。

 

「ナオト、ナイスぅー‼FOOO!」

「お前ら大丈夫か?」

「んなことはどうでもいい‼なんなんだよあれはよ!?ふざけんじゃねーぞ‼」

「わちゃわちゃすんなって‼さっさと逃げるぞ‼」

 

 混乱しているケイスケとタクトを落ち着かせて急いで逃げるように駆けだす。木箱を乗せた台車を押して走るタクトを真ん中に、前方をシールドを渡されたケイスケが駆け、後方の守りをナオトとカズキに任せてコンテナターミナルの入り口に止めてあるハイエースワゴンの所まで急いだ。コンテナの迷路に入り込んだとき、カズキはハンドガンしか持っていないケイスケとタクトを見てギョッとする。

 

「つか、お前らなんでハンドガンしか持ってきてねーんだよ‼あれほど準備しとけって言っただろ!?」

「タクティカルハンドガン‼」(`ω´*)

「仕方ねーだろが‼こんなことになるとは思ってなかったんだし。Sランクのアリアはハンドガンしか持ってないんだぞ‼」

「うるせー‼あれは特別だっての‼」

「特別なハンドガン‼」(゚∀゚ )ノシ

 

 ギャーギャーと喚く三人をよそにナオトは黙々と追いかけてきている敵に向けてAKを撃つ。たまにフラッシュ・バンやスタングレネードを投げ込み牽制する。

 

「カズキ、右上」

「わーってるよ!ナオト、敵は見えたか?」

「…黒のボディースーツみたいな格好に…カボチャみたいなヘルメット。左右に4人ほどだから合わせて8。武器はバラバラ。スナはいなさそう」

 

 ガスマスクで顔を隠していたナオトはすごく落ち着いて敵を分析していた。カズキは安堵して謎の敵に向けてP90を撃つ。

 

「さすがナオトのれいせきな分析は助かるぜ」

「れいせき?…まあいっか」

 

 なんやかんやドタバタしているうちにコンテナの迷路を抜け、入り口に止めてあったハイエースワゴンの所にたどり着いた。ケイスケは一目散にワゴンのカギを開けて運転席に乗り込みドアのロックを開けてエンジンをかける。バックドアを開け、タクトとカズキが急いで木箱を車の中へ入れる。ナオトは追いかけてきている敵に向けて牽制をかける。

 

「はやく乗れクズ共‼」

 

 ケイスケの怒声に反応する様に3人は乗り込んだ。ケイスケはアクセルを強く踏み発進させた。バックドアは開けたままカズキとナオトは銃を撃ちまくる。もう襲ってこないと判断した二人はバックドアを閉め、4人はなんとかコンテナターミナルから脱出した。

 

「……」

 

 逃げて行ったハイエースワゴンを無言のまま、ハロウィンの置物のカボチャのようなヘルメットをした8人は立ったまま見ていた。緑色のカボチャのメットをした男が静かに無線をかけた

 

「…こちらグリーン。『標的』を逃がした。ボス、追いますか?」

『いや、いい。どうせ行く先はわかっている』

 

 無線から低い声が静かに響く。

 

「油断しました。ただのガキだと思っていましたが…」

『なに、気にはするな。どうせあのガキどもも中身は知らんだろう。中身を知ればすぐに捨てるだろう』

「了解です。すぐに例の神父を始末し、『裏切り者』も消します」

『私も合流しよう…我ら『イ・ウー』から逃げ出す『裏切り者』は粛清だ』

 

__

 

「ったく‥なんだったんだよあれは…」

 

 くたびれるようにケイスケは苛立ちながら愚痴をこぼす。突然の出来事で4人はくたびれていた。怪我は無かったものの、一気に疲労が押しあがった。

 

「あれじゃねーの?この箱を欲しがってたりして、なーんつって‼」

「だとすればマジでこの箱の中身が気になるんですけどー‼」

 

 否が応でも箱の中身が気になり箱を開けようとするタクトをナオトが無言で抑える。ジョージ神父に仕える老人から『箱の中は絶対に開けるな』と言われているので約束を守らなくてはならない。

 

「ひどい目にあったんだし開けてもいんじゃねーのか?あのクソ神父に文句言ってやる」

「そうだそうだー‼レッツオープン‼」

「だー‼俺達のジョージ神父に届けるまで開けるなって言ってるだろうが‼」

 

 車内はいっそう喧しくなった。箱を開けちまえと喚くタクトとケイスケを落ち着かせながら車で数時間、なんとかジョージ神父の教会までたどり着いた。ジョージ神父は教会の入り口でワイングラスを片手ににこやかにして待っていた。

 

「やあ、すこし遅かったけど。無事に持ってきたようだね」

 

 こちらが死にかけるかもしれなかったというのに何も知らずに赤ワインを飲んで微笑んでいるジョージ神父に対しケイスケの堪忍袋の緒が切れた。カズキは毒舌が飛び出す前にケイスケの口を手で押さえ苦笑いして答えた。

 

「で、でもなんとか無事に持ってきましたよ‼」

「…途中変なのに襲われそうになったけど」

 

 ナオトはガスマスクを外して、眠たそうな表情でありながらも若干不満そうに答えた。ジョージ神父はナオトの話を聞いて軽く頷きワゴンのバックに置かれている木箱を撫でた

 

「ふむ…」

「ねー‼もう開けてもいいよね?もう待ちきれないぜー‼」

 

 すぐにも中身が気になるタクトは木箱の蓋を開けようとした。すると今度はジョージ神父がタクトの手を止めた。

 

「任務の特別報酬だ。これは君たちに託しておこう」

「「「はあああああっ!?」」」

「‥‥」

 

 神父の答えに3人は驚愕の声をあげた。ケイスケは不満を爆発するかのように声を荒げる

 

「おま、ふざけんなよ!?こっちは死にかけたんだぞ!しかもこんなのもらったら追われるじゃねえか‼」

「ははは、安心したまえ。追手は私がなんとかしよう。君たちはそれをもらっても普通に過ごせば大丈夫だ」

 

 怒声をあげるケイスケをジョージ神父は笑顔で落ち着かせる。カズキもタクトもこのまま預って、わけのわからない連中に追いかけられると思っていたが神父が何とかするというので少し安心した。

 

「ケイスケ、ジョージ神父がああ言ってんだしここは乗ろうぜ?」

「ちょ、おま、正気か!?」

「大丈夫だぜ。安心と信頼のCVジョージのジョージ神父だぜ‼」

 

 どこが安心と信頼があるのかさっぱりだが反対しているのは自分だけだと察したケイスケは渋々了承した。ナオトは眠たそうな表情ながらもジョージ神父を心配そうに見る

 

「…大丈夫なのか?」

「心配ご無用だ。そうだ、ナオト。家に戻って箱を開けたのならこれを読んでくれ」

 

 ジョージ神父はナオトに封筒を渡した。無言のままナオトは受け取り、ワゴンに乗り込むカズキ達に続いて乗っていった。

 

__

 

 4人はマイホームとである一軒家へと戻った。普段、武偵校の生徒は男子寮や女子寮と寮で生活しているが中には彼らのように寮から離れた場所で生活していることもある。地下駐車場のある大きな家に4人で生活をしており、勿論費用などの諸々はジョージ神父がサポートしてくれていた。

 リビングのど真ん中にずしりと大きな木箱が置かれており、ナオトはソファーで静かに読書をし、カズキは木箱のそばで立ち尽し、タクトはすぐに開けたいとうずうずし、ケイスケに至ってはボディースーツのまま防弾シールドを持ち警戒をしていた。ケイスケの様にカズキは呆れていた。

 

「ケイスケ、そんなにびびんなって…」

「うるせえ。もし危険なものだったらどうすんだよ‼」

 

 ケイスケがそこまで警戒するのは皆一応理解していた。ここの最近、武偵殺しの模倣犯が武偵を襲うという事件が起きていた。自動車やバイクに爆弾が仕掛けられて被害にあっていたり、この前には自転車に爆弾が仕掛けられていたという。

 

「もしこれで爆死したらお前ら地獄に道連れだからな‼」

「ここでごちゃごちゃするのもあれだし、さっさと開けようぜ」

「いえーい‼オープンだぜー‼」

 

 喚くケイスケをよそにナオトに急かされたタクトは木箱のロックを外し、勢いよく箱を開けた。爆発することもなくただただ静寂が続いていた。いつものタクトなら箱の中身を見て奇声をあげるのだが、当の本人は目をぱちくりして開いた口から何も声が発せずにいた。何も言わないタクトにカズキは心配そうに声を掛けた。

 

「た、たっくん、どうしたの?」

「なあカズキ…これ、どうコメントすればいい?」

 

 タクトはどう言えばいいのかコメントに困っていたようだった。気になったカズキ、ナオト、ケイスケは近寄って箱の中身を覗いた。

 

「「「……」」」

 

 箱の中身は爆弾…ではなく、天然の金髪に白い肌、白いブラウスに紺色のロングスカートを身に着けた女の子が木箱の中に敷かれた藁の上でスヤスヤと眠っていた。意外な中身にナオトもケイスケも口をあんぐりと開けていた。これにはカズキも困惑した。

 

「こ、これは確かにコメントしずらいなぁ…」

 




 ヒロインはたぶんいない路線です。彼女は騒がしい4人と絡ませるが恋愛描写なんて一切ありません。むしろマスコットキャラみたいなものになるかも

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