カオスな4人衆!?最強のSランク武偵を目指せ‼ 作:サバ缶みそ味
AAは…志乃ちゃんがかわいかったからヨシ(コナミ感)
それからワトソンは誰からも疑われることなく、クラスの女子、男子達とより一層親しくなっていった。クラスの寵児となり、どんどんと友達を増やしていくワトソンだがカズキ達にどうしてもお礼をしたいとお昼を奢ったり、外食に誘ったりとしてくるのだった。カズキ達もそこまで気にしていないから構わないと思っていた。そんなある日、外食に誘われ食事をした時、ワトソンは真剣な表情でカズキ達の方を見た。
「明日の夜、僕は遠山と戦う」
ワトソンの決意にリサは目を丸くしていたがケイスケとナオトは「ふーん」と返し、カズキとタクトは目を輝かせていた。微妙な反応だったのでワトソンは困った顔をする。
「そ、それぞれ反応が違うね…」
「実際のところ、キンジがどうなろうとどうでもいいんだけどな」
「ワトソン、リア充を爆発させてやってくれ‼」
「頑張れワトソン‼俺達は応援しているぞー‼」
「あ、あははは…」
止めるどころか逆に応援されてワトソンは苦笑いをする。無関心だったナオトが口を開く。
「…方法は?」
「すまない、やり方は言えない。明日の戦いでリバティー・メイソンが『師団』に付くか、『眷属』に付くか、僕の婚約者と僕の将来が決まるからね…」
ワトソンはすまなそうに答えた。婚約者…アリア絡みの戦いになることと、お家だけではなく組織の今後が関わるほど深い戦いになる、とケイスケは察した。
「ワトソン、以前も言ったがキンジは女の事となると人が変わったかのように強くなる」
「…後、女の子にはすっごく優しくなるから、逆に取り込まれないように」
「ふふっ、僕を心配してくれるんだね。ありがとう、肝に銘じとくよ」
ワトソンは優しくケイスケとナオトに微笑む。男装して男と装っても、笑う仕草はやはり女の子である。ナオトのアドバイスに納得し頷いているタクトがさらに付け足す。
「母ちゃんが言ってた。『優しい男ほど、女共を手籠めにする朴念仁野郎だ』って」
「タクト君の母親ってどんな人なんだ!?」
「簡単に言うと、たっくんの母親はサラ・コナーみたいな人だ」
「いや、本当にどんな人だよ!?」
___
その翌日、ワトソンが遠山と戦う当日であるがカズキ達はジョージ神父の教会に向かっていた。その日は珍しくケイスケがカズキ達に神父に会いに行こうと言い出したのだった。カズキは珍しそうにケイスケを見る。
「めっずらしいなー、アンチ神父のケイスケが率先して教会に行こうって言うなんてな!」
「カズキ、明日は雨どころか血の雨が降るんじゃね?」
ゲラゲラと笑う二人に対し先頭を進んでいるケイスケが振り返って睨み付ける。というよりもお怒りの様子だったのでカズキとタクトはビクッと震えあがる。
「情報収集に決まってんだろうが。あのクソ神父、あれ以降何も教えてくれてねえんだぞ?」
イ・ウーや藍幇、リバティー・メイソンといった組織や結社、そして戦役について情報が少ない。日本から出てアメリカや中国、ヨーロッパ諸国など戦役に関わっている世界情勢がどうなっているのか知っておく必要がある。ある程度知っていれば今後、自分の周りにどんな敵が迫ってきているのか分かるはずだ。そこで世界各国を歩き、知ってそうな顔をしているジョージ神父に伺おうというわけである。
そうしているうちに教会に辿り着いた。さっそく教会の中に入ろうとした時、待っていたかのようにそよ風がカズキ達を通り抜けた。吹いた方向に視線を向けると、庭でガーデニングしているジョージ神父とそんな神父を見ながらテラスの椅子に座って塩ゆでしたブロッコリーを食べているセーラ・フッドがいた。
「セーラ‼」
「おおっセーラじゃん!ヤッホー」
カズキ達の声に気づいたセーラはジト目でカズキ達の方を見てため息をつき、ジョージ神父は庭いじりをやめてにこやかにカズキ達を迎えた。
「来るの遅すぎ…」
「やあ、そろそろ来る頃かなと思っていたよ。セーラがお土産に紅茶と茶菓子を持ってきてくれてね。お茶にしながら話でもしようか」
ジョージ神父はカズキ達を客間へ案内した。ジョージ神父は紅茶を人数分注ぎ、スコーンと一緒に持ってきた。
「うーん、いい香り。アップルティーですな?」
「…いや、ダージリンだけど…」
ドヤ顔するカズキをセーラが速攻で否定し、ナオトは無言のままスコーンを頬張り、リサとタクトは紅茶を飲んでまったりとしていた。
「あ、そうだ!神父、セーラちゃん‼俺達文化祭でライブするんだぜ‼是非とも見に来てよ‼」
「それは面白そうだ。これは見に行かなくてはね」
「…え?私も?」
「いや、こうまったりお茶してる場合じゃねえぇぇぇ‼」
危うく自分もまったりしそうになったケイスケは怒号を飛ばし、当初の目的であるジョージ神父に戦役のこととかを聞くことを行うのであった。
「おい、戦役とかそれに関わっているものとか教えろ‼」
「ははは、そうだね。それを話すのをすっかり忘れていたよ」
反省をしておらず、愉悦な笑顔で忘れてたと言い出す神父にケイスケは項垂れた。紅茶を一飲みしたジョージ神父はにこやかに話しだす。
「戦役は組織、結社、ある物を奪い合い、勢力を広めていく古くからおこなわれてきた戦だ。カズキくん達風に言えば…古から伝わっている争奪戦という感じかな」
「へー、てっきり鍋の具材で喧嘩してたわけじゃなかったんだ」
カズキが納得する様に頷いているのを見て紅茶を飲んでいたセーラが吹きそうになり咽ていた。
「宣戦会議で鍋をしてただなんて…お前達は本当にバカか」
セーラは呆れるようにカズキ達をジト目で睨み付ける。そんなセーラにタクトとカズキがテヘペロして返すので更に項垂れていた。
「すでにヨーロッパでは戦いが始まっている。私が話すよりかは代表選士であるセーラが教えた方が早いかな?」
ジョージ神父はいつ用意していたのかとホワイトボードを持ってきて、にこやかに黒ペンをセーラに渡した。急なキラーパスにセーラは戸惑ったが、やむなしとため息をついてカズキ達に説明をした。
「…まずはアジア方面から。中国では『眷属』である中国の秘密結社『藍幇』が『師団』の47人の傭兵、『ウルス』と睨み合っている状況。まだ大きな闘争にはなっていないけど、藍幇はすでに日本にいる遠山キンジ、神崎・H・アリアに向けていつでも攻撃を仕掛けれるよう準備をしているみたい」
セーラはホワイトボードに藍幇とウルス、キンジ達と書き、膠着状態と書いて丸で囲った。
「次にヨーロッパ。すでに戦っていて、眷属では『魔女連隊』と『イ・ウー主戦派』が手を組んで師団の『バチカン』と『イ・ウー研鑽派』と争っている。まだ初戦だけど、その内にイギリスの『リバティー・メイソン』やアフリカの『鬼達』も加わり大規模な戦いになる」
ホワイトボードに魔女連隊やイ・ウー主戦派、バチカン、イ・ウー研鑽派と書き、その後混戦と書いて丸で囲う。
「吸血鬼、ヒルダは既に日本に来て遠山とアリアと戦っているみたい。無所属はこれらの戦いを見てからどちらに付くか決める。決めてないと双方から叩かれるから」
ボードの端にヒルダと書いてキンジとアリアの方に矢印を引いて戦闘中と書き、残りの無所属である組織名を書いていった。ボードを見てケイスケはセーラに質問をする。
「アジアやヨーロッパは書かれているが、アメリカとかはどうなんだ?こういった戦役に名乗り出そうな気がするんだが」
セーラはケイスケの質問に首を横にって答える。
「アメリカは今回の戦役に関わってないみたい。恐らく、GⅢを台頭にした武装集団、『ジーサード・リーグ』を潰すことにいっぱいであるから、もしくは…既に『イロカネ』を持っているからと思われるんだけど…」
セーラはボードに『アメリカ?』と書いてGⅢに矢印を引いて『敵意?』と書き、少し困った顔をしてジョージ神父の方を見る。どうやらアメリカに関しては情報が乏しいらしくジョージ神父はどうなのかと見ていた。ジョージ神父はにこやかに頷いて口を開く。
「セーラの考えてる通り、アメリカは『ジーサード・リーグ』と敵対している。すでにデルタフォースや特殊部隊を向けているようだ」
すでに世界では眷属と師団の抗争が始まっており、世界にはイ・ウーだけじゃなく多くの結社、組織がいることにケイスケは驚きを隠せなかった。情報をまとめることができて何も知らないでいるよりかはマシだと頷く。
「たっくん、南米大陸とオーストラリアが空いてるみたいだぜ‼」
「よし、俺達はオーストラリアからスタートしようか。目指せ天下統一!」
「…南米にしてアメリカと同盟結んだら?」
「世界版信長の野望じゃねえよ」
「こいつら疲れる…」
セーラは深くため息をついた。こうしてセーラ先生のパーフェクト世界情勢教室を受けてどんな組織や結社がいるのかある程度知ることができた。ケイスケはリサとセーラの説明を聞いてある程度理解できたがカズキ、タクト、ナオトの3人は全く理解できていなかった。取りあえず『ドラゴンボールを巡って戦ってる』と例えたら目を輝かせて納得してくれたようで、ケイスケとセーラは呆れていた。
気が付けば夜の22時を回っていた。ワトソンは決着はついたのだろうかと気になっている所、眠たそうにしていたナオトがふと思い出しかの様にセーラに尋ねた。
「‥セーラ、リバティー・メイソンとかは知ってる?」
「知ってる。リバティー・メイソンは『貴族の社会的責任』を掲げている組織だけど…実際は内部で対立が起きている」
セーラはボードにリバティー・メイソンと書き、ハト派とタカ派の二つを書いた。
「今でも『師団』につくハト派と『眷属』につくタカ派に対立してて…ハト派は
ワトソンはリバティー・メイソンの一員だと言っていたが、彼女もかなりの渦中にいるのだなとケイスケ達は頷いた。
「私もリバティー・メイソンの連中に出くわす事はあったけど…『コマンダー』っていう奴は見たことがない」
「セーラ、その『コマンダー』ってのはどんな奴なんだ?」
ケイスケは『コマンダー』について質問するとセーラは眉をひそめた。
「リバティー・メイソンで一番の過激派で、勝つためならどんな手段でも使って勝つ男って聞く。それにあいつは兵を仕向けて何回かイ・ウーに攻撃してきた。」
『コマンダー』という男は厄介な奴なのだとセーラは付け足して話した。今後は更に面倒事に巻き込まれないよう気をつけなくてはとケイスケは心に決めた。
「神父とお前達は無所属だと宣言していたが今後はどうするの?」
セーラはカズキ達の方を見て尋ねるが、どうしようか?とカズキ達は首を傾げるのだった。
「…取りあえずジョージ神父の指示に動く」
「今後も私達は無所属のままだ。どちらに付くかそのうち決めるさ」
「ジョージ神父‼この際だから第三勢力を作りましょうよ‼」
「『師団』と『眷属』に対抗して‥‥『ポン酢派』を作ろうぜ‼」
未だに鍋の話をしているタクトとカズキにセーラは呆れてため息をついた。この連中だと『色金』は全くの無縁なのだろう。タクトは目を輝かせてセーラを見る。
「セーラはどうするんだ?『ポン酢派』に入る?」
「ポン酢派はやだ…私はイ・ウー主戦派だけどもジョージ神父に雇われた身。誰かが神父以上の報酬を用意するまでタクト達の味方になる」
取りあえず自分たちの味方になると言ってくれたセーラにケイスケはほっと一安心し、タクトは大はしゃぎしてセーラに抱きつく。
「イエーイ‼ポン酢派にようこそー‼」
「やめろ離れろ‼それにポン酢派じゃない‼」
「Oh、セーラ♪嫌がらなーいで♪かーんじるままーに♪」
「うるさい歌うな!」
抱き着くタクトに、歌いだすカズキにセーラがギャーギャーと喚く。多分話を聞いていないだろうなとケイスケは肩を竦める。思った以上に話が長時間に至った。既にうたた寝をしているナオトを見てケイスケも欠伸をする。
その時、客間の隅の机に置いてある黒電話が鳴りだした。急になったのでカズキ達はその電話を凝視し、ジョージ神父が受話器を取った。
「もしもし…ああ、お前か。用事とは?…ふむふむ…」
ジョージ神父はその電話でなんども頷き、時には親しそうに笑う。するとジョージ神父はカズキの方に受話器を向けた。
「カズキ君、どうやら君に言伝があるそうだ」
電話の主が誰なのか気になっていたカズキは恐る恐る受け取り、耳を傾けた。
「も、もてぃもてぃ…?」
つい緊張して噛んでしまったが、電話の主はそれを聞いてクスクス笑っていた。
『やぁカズキ君、久しぶりだね。元気にしてるかい?』
紳士のような雰囲気のある、楽しそうな声色を聞いてカズキはこの電話の主が誰なのかすぐにわかり、驚きのあまり大きな声で答えた。
「しゃ、シャーロックさん!?」
突然、夏の無人島で出会い助けた元イ・ウーのリーダであり世界的有名な名探偵であるシャーロック・ホームズが電話してきたことに驚いた。シャーロックがかけてきたということでケイスケ達もセーラもカズキを凝視する。
「シャーロックさん、体の調子はどうですか?」
『あの後長い休養しておかげさまで元気になったよ。これも君たちのおかげだ』
シャーロックに褒められてカズキはてへーへーと照れ笑いをする。その後何事もない会話をしているが、シャーロックがなぜ電話してきてたのかケイスケとセーラは理由を知りたいとイライラしていた。二人の苛立ちを察したのかカズキは慌てて本題を出した。
「そ、それで俺達に言伝って…?」
『ああそうだったね。実は君たちに頼みたいことがあるんだ』
「た、頼みたい事…?」
頼み事と聞いてケイスケは嫌そうな顔をした。この兄にしてこの弟あり、この兄弟は本当に無茶苦茶な頼み事をしてくる。
『僕の推理が正しければワトソン君は日本に来ているだろう。僕の相棒であるJ・H・ワトソンの曾孫、エル・ワトソンを助けてくれないかい?』
「わ、ワトソンをですか?」
ワトソンを助けてほしい。それはキンジからかそれとも他の勢力からかカズキは戸惑っていたがシャーロックは話を続けた。
『もしワトソン君に会えるのなら『敵は身内にいる』と伝えてほしい』
「それって…『コマンダー』の事ですか?」
敵は身内にいる。それを聞いてカズキはすぐに思い浮かべたのはリバティー・メイソンにいる過激派である『コマンダー』という人物だった。するとシャーロックから感心したかのように「Oh」と口をこぼした。
『その通りだよ。『コマンダー』という人物…やっぱり少しでもリバティー・メイソンに関わればと僕は少し後悔しているんだ。あの男は今でもホームズ家とワトソン家を憎んでいるようでね。『空き家の冒険』…カムデン・ハウスの件で彼は懲りたかと思っていたがかなりの執念の持ち主だ』
「空き巣の探検…?ってシャーロックさん、『コマンダー』の正体を知ってるんですか!?」
その話を聞いてケイスケ達もセーラも身を乗り出す。その人物の正体を知っているならば今後の対策がとれる。セーラは緊張してごくりと生唾を飲む。
『ああ、知っているとも。夏の無人島で僕を殺そうと兵を仕向けていたのも彼の仕業だ。あの執念深さは僕がライヘンバッハの滝から生還した時を狙ってきた時と同じだ。そう、『コマンダー』の正体はry』
その時ブツっと電話の通話が切れたと同時に電気が切れて真っ暗になった。電気を使いすぎてるわけでもなく、外の明かりも街灯も消えている。
「ちょ、こんな時に停電かよぉぉぉっ!?」
「おおい‼誰だよ、停電をさせた空気を読めないクズはよ‼」
あともう少しで手がかりが掴めたのに、突然の停電にカズキとケイスケは怒りだし叫んだ。セーラはムスッとして窓から外を眺めた。
「…ヒルダ、空気読んで…」
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ケイスケはくたびれてため息をついた。リサも疲れてたのかスヤスヤと椅子に座って眠っていた。ケイスケとリサは武偵病院にいた。あの後深夜にワトソンから緊急の電話がかかり、至急手を貸してほしいと頼まれ駆けつけてみれば理子と全身大火傷したゴスロリの少女が瀕死の状態で運ばれており、治療するのを手伝ってくれとワトソンに頼まれ、救護科の矢常呂イリン先生と共に治療したのであった。
「ケイスケ、リサ、本当にありがとう…」
やっと一通り終わったのかICUから白衣を着たワトソンが出てきた。ワトソンは申し訳なさそうに何度も頭を下げて来た。そんなワトソンの様子にケイスケはやれやれとため息をつく。
「救護科、衛生科の仕事だから気にすんな。それにしても…初めて吸血鬼を治療して焦ったぜ」
あの後ゴスロリの少女はヒルダと呼ばれ、吸血鬼でありあのブラドの娘と聞いて驚きが隠せなかった。どうやって治療すればいいか焦ったが体に入った弾丸の摘出手術、魔臓の縫合をした。しかし、血液不足で同じ血液型の血が必要になっていた。
「ワトソン、血液の方はどうなった?」
「それなら理子が同じ血液型でね。彼女が献血してくれることで一命をとりとめたよ」
取りあえず何とかなったとケイスケはほっと一安心した。ワトソンはケイスケの隣に座り、すまなそうに笑った。
「ケイスケの言う通り、遠山は強かったよ…遠山は誰よりもアリアを想い、仲間を守る、優しい男だった」
少し頬を赤らめるワトソンを見て察した。どうやら遠山の戦いに負け、更には女の子とバレてしまったのだろう。
「だから、僕はアリアや仲間を守る遠山の味方になる…リバティー・メイソンは『師団』になるよう伝える」
ワトソンもアリアとキンジの味方になる事を決めたようだ。その事でケイスケは思い出した。
「なあワトソン、実は
ケイスケの忠告にワトソンはピクリと反応した。キョロキョロと辺りを見回し、少し焦りながらケイスケに尋ねた。
「ど、どうして『コマンダー』のことを知っているんだい?遠山やアリア達には話していないのに…!?」
「クソ神父の弟がそこら辺について詳しいんだよ。かなりの過激派って聞くぞ?」
ワトソンは『コマンダー』という男については不安そうに頷いた。
「うん…でもリバティー・メイソンが『師団』に付くことが決まればあいつも手を出さないはずだ。身内の事は身内で片づける。だから心配しないでくれ…」
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男は物凄くつまらなそうにため息をついた。長年使ってきたスプリングフィールド1903小銃を下げ、咥えていた煙草をふかす。男は持っていた双眼鏡で覗く。自分のいるビルの屋上から遠く離れたところ、武偵校の寮の前でアリアがキンジに思い切り体当たりして怒って騒いでいた。
「‥‥あれがホームズの曾孫娘とか…張り合いがねぇ」
男は再びつまらなさそうにため息をつく。隙だらけのアリアに、こちらに全く気付いていないホームズの曾孫娘に呆れていた。警戒されることなく、いつでもドタマを狙って狙撃できてしまうことに退屈を感じていた。
「まあ…いつでも殺せることには変わりねえか」
ヒルダの一件からずっとホームズとワトソンに狙いを済まし隙を伺っていた。たった一人の『眷属』を倒せたことにすっかり気を抜いている奴等を狙う好機だ。男は無線機を取り出した。
「ああ、私だ…『コマンダー』だ。邪魔者は消えた。これより復讐を始めるぞ」
やっとこさ敵さんの登場…少し長かった気がする…
warfaceにするか、Codにするか…