カオスな4人衆!?最強のSランク武偵を目指せ‼   作:サバ缶みそ味

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 ジーフォースもとい遠山かなめ編、ということなのでAAの皆さまもご登場…したのですが、なんだか余計にごっちゃに…ウゴゴゴ


殴り込みアメリカン
39話


「お前ら…俺を過労死させてえのか?」

 

 武偵病院の一室、眠気と苛立ちがつのっているケイスケは病院のベッドで座っているアリア、理子、レキ、白雪を睨み付けていた。

 

「深夜、寝てる最中ににたっくんから病院に来いって電話で起こされ武偵病院に行って白雪治療しようとしたら、急にワトソンから電話がかかって残りの3人が搬送されて合わせて4人の手当を一睡もせずにやったんだぞ?」

 

 俺の休日を返せとケイスケは愚痴をこぼす。しかしアリア達はそんなケイスケに申し訳ないとも思わずムスッとしていた。治療を手伝ってくれたワトソン曰く、ジーフォースという少女に一方的にコテンパンにやられたらしい。白雪の方はタクトが偶然その場に出くわしてなんとかなった為、軽症ですんでいる。ケイスケはカルテを見ながらため息をつく。

 

「とりあえず、お前ら4人はハイマキ含めて1週間の入院だからな」

 

 治療期間を告げるとアリア達はさらにムッとして一斉にケイスケに文句を言いだした。

 

「急に襲ってきたんだし…次は負けないんだから!さっさと退院させなさいよ‼」

「ケイくん、やられたらやり返す。だからもう少し治療おねがい‼」

「…納得いきません。もう少し日を短くしてください」

「ま、待って‼それ以上ケイスケ君に文句を言ったら…‼」

 

 白雪が止めようとしたが時すでに遅し。それを聞いたケイスケは鬼の形相でアリア達を睨み付けた。般若が怒りのオーラが漂っているように見え、アリア達はビクッと驚く。

 

「あぁ?自動販売機に圧し潰されて全身打撲に全身損傷してるのを、瓦礫に埋もれて大怪我してるのを、破片手榴弾(M67手榴弾)をくらって顔と頭以外の体に破片が刺さった奴を、入院1週間で済むよう必死こいて手術したり治療してやったのにまだ文句を言うかぁ?」

 

「ケイスケ先生、滅相もございません」

「ケイスケ先生、そのような事あろうはずがございません」

 

 怒りオーラ満載のケイスケにアリアと理子は即答して頭を下げる。俺はブラックジャックじゃねえんだぞとケイスケは愚痴をこぼしながら4人に紙きれを渡した。その用紙と書かれている物を見てアリアは目を丸くする。

 

「ちょっと‼請求書の書かれてる額がおかしいんだけど!?」

「け、ケイくん。0が一つ多いのは理子の気のせいかなー…?」

「一、十、百、千、万、十万…」

「さ、3人ともそんなに高いの!?」

 

 アリアと理子は予想を超えた額に目を白くさせる。ケイスケは当たり前だろと言うような顔をして話を進める。

 

「白雪は軽症だったからいいとして…お前ら3人は当然の額だろうが。それに、ジーフォースとかいうキンジの妹と自称する奴が自分が原因だと謝って、半分の額を払ったんだから有り難く思えや」

 

 ジーフォースと聞いてアリア達はムスッとする。戦闘も金銭面も完膚なきまでやられてしまったことに悔しさがつのる。もう少し安くしてくれと訴えようとしたがケイスケが先制をかける。

 

「キンジを含め、お前ら『バスカビール』はこれまで俺に治療費払ってねえからな?今月中に払わねえと…訴える。それが嫌なら1()()()()()にして、払え」

 

 ケイスケは一応4人に釘をさして病室を出て行った。この先ちゃんと払ってくれるかどうか心配しつつ、ワトソンから聞いたジーサード、ジーフォースの事に不安と焦りを感じていた。戦いは休む暇を与えてくれない。次から次へと厄介事に巻き込まれていくことにため息をついた。

 

 その翌日、アリア達4人は安静を破って長距離狙撃銃だの繊維弾だのM60だの武器を病室に持ち込んで、キンジと共にお見舞いに来たジーフォースと一触即発になりかけたことに様子を見に来ていたケイスケは激怒し武器を全部没収し、治療費の値上げをした。

__

 

「カズキ、ケイスケはなんで怒ってたんだ?」

「うーん、知らね」

 

 学園島の公園のベンチでタクトとカズキはのんびりとリーフパイを食べていた。昨日からケイスケは不機嫌のままで、自分の医務室をリサ以外立ち入り禁止にしてカズキ達を追い出したのだった。いつもの場所でぐうたらできないので二人は仕方なしにここで時間を潰すのだった。

 

「ここんところ、ケイスケは忙しかったからな。チアノーゼマンになりかけてるんだろ」

「カズキ、それを言うならノイローゼマンじゃね?」

 

 あ、そうだったとカズキとタクトはガハハハと笑いあう。しかし、いつもの場所でないのでこれからどうしようか2人は悩みだす。

 

「カズキ、次は何して遊ぶか?」

「そうだなー。たっくん!マクロスごっこでもしようぜ‼俺バルキリーな‼」

 

 カズキはいきなり「バルキリーだぞー。ブーン」と言い出して走り回る。タクトは自分がバルキリーをやりたかったと拗ねていた。

 

「じゃあ私がガウォークやるね!」

 

 そんな時、何処からか女の子の声が聞こえた。二人がキョトンとしていると茂みから武偵校の女子制服を着た茶髪の少女が飛び出してきた。その少女はカズキに向かって駆け、懐に近づいてきたや否やカズキの腕をつかみ背負い投げをした。

 

「一機撃墜っ‼」

「あばす!?」

 

 カズキを投げ倒した少女は今度はタクトにターゲットを変えて駆け出してきた。慌てだすタクトはホルスターから銃を取り出さず、咄嗟に手に持っていた紙袋から多めに買っていたリーフパイを取って前に突き出した。

 

「はむっ!?」

 

 少女は突き出されたリーフパイを口に咥えて止まった。美味しそうに食べるのでタクトはもう一枚リーフパイをあげてみた。少女はサクサクとリーフパイを食べていく。

 

「んぐんぐ…んっ…ふぅ、さすがはタクト先輩ですね!」

 

 リーフパイを食べ終わった少女はタクトにニッコリと笑顔を見せるがタクトは首を傾げていた。

 

「…誰?」

「イヤイヤイヤ!?文化祭が終わった深夜に会ってますよ!?私ですよ!ほら、白雪とかいう人と戦ってた‼」

 

 ずっこけそうになった少女はタクトに会っていると話して会ったその日を説明する。しかしタクトはそれでも頭にハテナを浮かべて首を傾げる。

 

「あのね…たっくんは忘れっぽいんだ」

 

 カズキがこっそりと少女に伝える。それを聞いた少女はため息をついて苦笑いをする。

 

「はぁ、仕方ないですね…凄いのか凄くないのか、タクト先輩達はおかしな人達です」

「それで…えーと、誰だっけ?」

 

 少女は満面の笑みを見せて二人にぺこりとお辞儀をした。

 

「初めまして!遠山キンジの妹の遠山かなめです‼いつもお兄ちゃんがお世話になっております!」

 

「あー。キンジの妹さんね!ほんとねー、キンジの奴のリア充さにはまいっちゃってさー」

「かなめちゃんも大変だよね。お兄さんが色々と‥‥ん?キンジの妹…?」

 

 カズキとタクトはピタリと動きを止める。『妹』という言葉を聞いてかなめをじっと凝視しだした。そんな固まった二人に今度はかなめが首を傾げる。

 

「「え゛えええええっ!?」」

 

 二人は驚愕し大声で叫んだ。そんな二人のリアクションの遅さにかなめは苦笑いをする。

 

「すげええ!?あー確かに、言われてみるとそんな気がしてきたぜ‼」

「どちらかというとカナさん似っぽいし…あいつ、お兄さんだけじゃなくて妹がいたなんて、だんご大家族かよ‼」

 

 言ってる意味が分からない。タクトとかなめは喚くカズキにツッコミを入れる。それよりも妹だと聞いたカズキとタクトは驚くよりも納得しだす。そんな二人にかなめはきょとんとしていた。

 

「普通だったら皆驚くのに、タクト先輩達は斜め上の反応をするんですね」

「まああれだ。あいつ、妹いますよー的なオーラ出してたし?いてもおかしくねえと思ったぜ」

「それよりも、かなめちゃんはキンジの妹なんでしょ?当たり前の事じゃん」

 

 かなめは二人の答えを聞いて、少し驚いていたがニッコリと満面の笑みで頷いた。

 

「えへへ…ありがとうございます!あ、そうだった。実はタクト先輩にお願いがあるんです」

「ええっ?俺にお願いが?もしかして…世界の半分をくれとかか!?」

「たっくん!もしかしたら、焼きそばパン買ってこいとかでしょ‼」

 

 ふざけているタクトとカズキをよそにかなめは大きく頭を下げた。

 

「タクト先輩‼私と戦徒(アミカ)を組んでください!」

 

「…えっ?」

「う゛ええええええっ!?」

 

 タクトは目を点にし、カズキはかなめのお願いを聞いて凄く驚愕していた。戦徒とは先輩の生徒が後輩の生徒とコンビを組み、訓練や指導を一年間行う制度である。男子が組めば戦兄弟(アミコ)、女子が組めば戦姉妹(アミカ)と呼ばれる。勿論、異性同士で組むことも可能である。

 頼まれたタクトよりもそれを聞いていたカズキが慌てだす。タクトに至っては理解していないようで首を傾げていた。慌てているカズキがかなめに確認した。

 

「か、かなめちゃん!?そ、それってマジで言ってるの!?」

「はい!カズキ先輩、マジです」

 

 ウィンクするかなめにカズキは心配しだす。それもそのはず、タクトは後輩である1年生の間で出た『絶対に戦徒申請したくない先輩ランキング』でベスト1位に輝いている。理由としては『何を考えているのかわからない』『何をしでかすか分からない』『たっくんスーパー弱いね!』と色々ある。ちなみに2位はケイスケで3位はカズキ、4位はナオトである。

 

「ホントはお兄ちゃんに申請したかったんだけどー、既に他の女がお兄ちゃんと組みやが…組んでるので。それで白羽の矢が立ったのはタクト先輩なんです!」

「ど、どうしてタクトなの?」

 

 未だに理解していないタクトの代わりにカズキが恐る恐る聞いてみた。かなめは目を輝かせてカズキに答えた。

 

「すごいじゃないですか!一見弱そうに見えるけども…タクト先輩の潜在的なパワーや、先輩たちの活躍を聞いてお兄ちゃんの次に凄いですよ‼」

 

 貶されているのか褒められているのか、分からないが取りあえず褒められているとカズキとタクトはでへへと照れだす。

 

「それに、お兄ちゃんと親しいですし…お兄ちゃんを真人間にするのを手伝ってほしいんです‼」

 

 お願いします‼とかなめはもう一度頭を下げてお願いした。カズキはタクトがどう返すのかドキドキして見守る。

 

「た、たっくん!どう答え(ry」

「いいよ‼」

 

「「はやっ!?」」

 

 タクトの即答にカズキもかなめも咄嗟にツッコミを入れた。タクトはにししと笑って頷く。

 

「キンジは最近女たらしっ気が増してるからねー…かなめちゃん‼この漆黒の堕天使的存在、菊池タクトがキンジをパーフェクト真人間にするよう手伝ってあげよう!」

 

「ほ、本当ですか!?タクト先輩、ありがとうございます!」

 

 かなめは大喜びしてタクトの手を握り何度も振る。カズキは多分タクトは半分しか理解していないだろうなと遠い目をしていた。

 

「そうと決まれば善は急げですね!タクト先輩、早速申請しに行きましょう!」

「フハハハ‼アミカになった以上、俺は天才だー‼カズキ、行こうぜ‼」

 

 ルンルン気分で歩くかなめ、俺は天才だと叫びながら歩くタクトを見てカズキは仕方なしにその後ろについて行った。

 

「たっくん…それアミカちゃう、アミバや」

 

__

 

「マジか…」

 

 医務室にて、ケイスケはカズキから【たっくん、かなめちゃんとアミバになる】というメールが送られてきてギョッとする。ジーフォースもとい、遠山かなめの行動の速さにケイスケは驚きを隠せなかった。それよりももうすでに巻き込まれてしまっていることに項垂れる。

 

「ケイスケ、誰からメールが来たんだ?」

 

 医務室の座椅子に座っているキンジが気になって伺った。伝えるべきかやらないべきか悩んでいたケイスケは大きくため息をついてキンジの方をジト目で睨む。

 

「お前の妹が‥‥たっくんに戦徒申請した」

「なっ!?マジかよ!?」

 

 キンジはうげっと嫌そうな顔して驚く。嫌そうな顔をしたいのはこっちだとケイスケはため息をつく。

 

「お前の妹は早速俺達を巻き込むつもりだぞ」

「あいつは俺の妹じゃねえよ…ていうかこういう時は頼りになる奴に助けを求めろって言ったのはケイスケだろ」

 

 キンジはかなめが妹ではないと否定し、ケイスケにプンスカと文句を言いだす。キンジは今、ジーフォースもとい妹と名乗るかなめに付き纏われている。この現状をどうにかしようとケイスケに助けを求めたのだった。ケイスケはリサに注いでもらったコーヒーを飲んでキンジを睨む。

 

「あのな、俺はカウンセラーじゃねえぞ。それにできたとしてもアドバイスしかやらね」

「じゃ、じゃあどうすればいいんだよ。ジャンヌやワトソンに助けを求めたらいいのか?」

 

 ケイスケはため息をついてコーヒーを飲んだ後、キンジを呆れるように見る。

 

「今回は逆だ。外堀を埋めるんじゃなくて、外堀を増やして守りを固めている」

「そ、それってどういうことだ…?」

 

「俺達を利用しようとしたり、周りに味方を付けてお前にアリア達が寄ってこないようにしている。下手したら…アリア達は殺されるぞ」

 

 ケイスケの話を聞いてキンジは驚愕し危うくコーヒーをこぼしそうになった。キンジはガタリと席を立ち焦りだす。

 

「どすればいいんだよ!?アリア達を死なすわけにはいかねえんだ‼」

「そうかっかすんな。方法はある‥‥かなめを妹と認めろ」

 

 キンジは「はぁ!?」と声を出す。アリア達を襲い、傷つけ、勝手に妹と名乗っている少女を妹だと認めろと聞いて納得はいかなかった。ワトソンやメーヤ、他の師団からもそれを利用してジーフォースを味方に入れろと似たようなことを言ってきていたのだった。納得いかないキンジを見てケイスケは一言付け足した。

 

「…お前。ジーフォースに名前を付けて妹と扱っちまったんだからな?」

「あっ…」

 

 キンジは自分がやってしまったことを思い出す。女子生徒達に名前を聞かれ、ジーフォースだとおかしいのでキンジは咄嗟にかなめと名付け、妹として扱ってしまった。既に先手を打たれてしまったことを思い出して目をそらした。

 

「お前にぞっこんなら、『アリア達に手を出すな』とか言っておけばすぐ簡単に手を出さねえだろう。後はお前次第だけど」

「結局、俺次第かぁ…」

 

 そんな自分の力量と話術によって自分や仲間達が左右されると項垂れているキンジにケイスケは一つ注意をした。

 

「しかし…お前も気を付けろ。特に()()()()()()()()()()()()()()()()()()()?」

「フラグ…?お前、理子みたいなこと言われても分かんねえよ」

 

 呆れているキンジを見てケイスケはベッドの下からタクトが勝手に持ってきていた道具箱を取り出して中を漁り始めた。何をしているのかキンジとリサも不思議に思っているとケイスケは一枚の音楽CDをキンジに渡した。

 

「え…『ヤンデレの妹』?何だよこれ?」

「いいか?それを嫌になるほど聞いて学習しろ。お前の場合は絶対に聞かないと死ぬ」

 

 「俺死ぬのか!?」とキンジはギョッとするがケイスケは話を進める。

 

「キンジ、かなめがお前に狂っている程ぞっこんな場合…お前の行動一つ一つ見られていると思え。変なフラグ立てんな、ラッキースケベすんな。あと俺達を巻き込むな」

「いやいやいや!?そんな急に言われても困る‼」

 

 焦るキンジにケイスケは窓の方をチラッと見た後、問答無用で外へ追い出そうとしだした。

 

「うるせえ。アドバイスはこれで終わりだ。俺の休みをこれ以上削んな!帰れ‼」

 

 何かと言おうとしているキンジをケイスケはケツに蹴りを入れて追い出した。やっと医務室が静かになったとケイスケはふぅと一息つく。そんな疲れているケイスケにリサはコーヒーを注いで落ち着かせる。

 

「遠山様はこの先大丈夫でしょうか…?」

「さあな。あいつ次第だ…ま、俺はどうでもいいんだけど」

 

 ケイスケはコーヒーを飲みながら窓の方を見る。先ほどキンジにアドバイスしている最中に誰かに見られている気配を感じたのですぐにキンジを追い出した。気配はもう消えたが、この先の事を考えるとケイスケは深くため息をつく。

 

「…あ、そういえばナオトは何処行った?」

 

 ケイスケは今度はナオトの心配をする。カズキとタクトはかなめと、自分とリサはキンジと行動してしまっている中、ナオトはどうするのか、これ以上チームが本当にバラバラになってしまいたくないので不安になっていた。

 

__

 

 ナオトは道に迷っていた。ケイスケに医務室から追い出されたその後、暇だから好きなイチゴ大福を買いに行こうと最中に理子からメールが来て、『力を貸してほしい。武偵病院まで来てくれ』という内容が書かれていたので武偵病院へと向かおうとしていたのだが、どう道を間違えてしまったのか全く別の所を歩き続けていた。

 

「…無視して屋上で寝過ごせばよかった」

 

 ナオトは自分の方向音痴性と行動に後悔していた。気が付けば人目の付かない路地裏を歩き、どんどん知らない道を歩き進めている。これ以上歩いて行ったら帰れなくなるかもしれない。ナオトは来た道を戻ろうとした。

 

「…?」

 

 しかし、ナオトは歩みを止めた。何故か来た道にかすかにワイヤーが張られているのに気づいた。まるで蜘蛛の巣のようにきめ細かく張られているワイヤーに違和感を感じた。

 

「…歩みを止めて正解よ。喧しい蟋蟀さん」

 

 女性の声を聞いてナオトは後ろへ振り向く。そこには武偵校の女子制服を着た長い黒髪の背の低い少女が物静かにこちらを見て立っていた。ナオトは何処かに蟋蟀がいるのかとキョロキョロしだす。

 

「…初めまして。私は夾竹桃。『元』イ・ウーで今は武偵校の生徒よ」

「…蟋蟀どこ?」

 

 イ・ウーと聞いて反応するかと思いきや、只管コオロギを探していて話を聞いていないナオトに夾竹桃は肩を竦める。

 

「いや、うん…ごめん、貴方のことだから」

「俺?俺は江尾ナオトだけど…?」

 

 どこまで天然で自覚がないのか、夾竹桃は呆れだす。このままだと話が全く進まない。そう考えた夾竹桃は行動に移った。

 

「ごめんなさいね。少し、貴方を試すわ」

 

 何を試すのかナオトは首を傾げていると、夾竹桃はすっと袖からナイフを出しナオトに向けて投げた。こっちにナイフが飛んできている事に気づいたナオトはそのナイフを躱す。ナオトは夾竹桃が近くのワイヤーをピンと指で弾くを見た。鼻がひくりと動いたナオトはすかさず背負っている鞄からガスマスクを取り出し吸気缶の蓋を外し身に着ける。

 

「危険察知は早いのね‥‥大丈夫、ただの催眠ガスよ」

 

 夾竹桃は左手の手袋外し、何色もの色が付いたネイルをした左手を見せるや否や素早くナオトへめがけて駆けていき左手で貫手をする。ナオトはそれも躱し、両手で夾竹桃の左腕を絡めるように掴み投げ倒す。左手を使わせないように腕を掴んで拘束をする。

 

「…多数しか戦っていないからサシなら勝てそうと思ったんだけど…」

 

 夾竹桃は目をぱちくりさせて頷く。どういうことなのかナオトは首を傾げる。

 

「まぁ私の左手の毒に気づいたのかどうかは分からないけど、その対応や動きも考えて…大体合格ね」

「???」

 

 独り言のように話を進めていく夾竹桃にナオトは一体どういうことなのか分からなくなってきた。困惑しているナオトを見てため息をつく。

 

「理子が言ってた通り、貴方達なら頼りになりそうだわ。あかり、出てきていいわよ」

 

 夾竹桃は後ろの方に視線を向けて声を掛けた。するとひょっこりとアリアの後輩である間宮あかりが申し訳なさそうに出て来た。

 

「あ、あの…アリア先輩も言ってたのですが…お願いがあります」

「江尾ナオト…遠山かなめは武偵校を支配しようとしているの」

 

 ナオトは更に困惑する。いきなり襲われるわ、急にお願いされるわ、遠山かなめはいったい誰なのか知らないし、一体何の話をしているのかさっぱり分からなかった。拘束から外された夾竹桃は一息入れて話を進めた。

 

「貴方の実力はどうか知らないけど…力を貸してほしいの。遠山かなめは危険な存在。下手したら武偵校で死人が出るわ」

「ナオト先輩‼お願いします、志乃ちゃん達を…アリア先輩達を助ける為に力を貸してください!」

 

 

「えー…」

 

 面倒くさそうに、眠たそうに返すナオトにあかりと夾竹桃はずっこけそうになった。

 

 

「ね、ねえ…ナオト先輩で大丈夫なの…?ケイスケ先輩に頼んだ方が…」

「うん、ごめんなさい…私も幸先が不安になってきたわ…」




 アニメAAの夾竹桃さんはすっごいいい声してたのでメッチャ盛り上がった
 漫画の方もスタイル良し、下着、プリケツの三拍子で…
 水蜜桃?…知らない子ですね(目を逸らす)

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