カオスな4人衆!?最強のSランク武偵を目指せ‼   作:サバ缶みそ味

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 ここからハチャメチャになってきてしまってます…原作も色々とはっちゃけてるしもういいよね!(目を逸らす)
 さて、本日は
 
 ケイスケ、発狂する
 親方、空から…
 マジカル八極拳
 
 の3本でお送り致します。じゃんけんポーン、うふふふ


43話

「ああくそどもがっ‼」

 

 ケイスケはやけくそ気味にM4を撃つ。船内で激走して逃げている間に巡回している兵士達と出くわし戦闘中の状況になってしまった。通路の角に隠れながら応戦していく。あかりもなんとか追いついてケイスケの援護を行っている。

 

「あかり、フラッシュ‼」

「は、はい!」

 

 先程の発狂がウソのように冷静になったケイスケの指示にあかりはすぐさまポーチからフラッシュ・バンを取り出し、ピンを抜いて投げた。閃光と衝撃音が響いた後、ケイスケは角から身を乗り出して撃っていく。

 

「撃て撃て撃て‼」

 

 撃ちだすケイスケを援護する様にあかりもMP5Kで撃っていく。あかりが撃った銃弾は6,7発程命中した後、標的から外れるがケイスケがフォローをするように狙っていく。何とか遭遇した敵兵達を倒したケイスケはちらりとあかりの方に視線を向ける。

 

「あかり、何か撃っている時は手癖でもあんのか?」

「い、いえ…射撃はどうしても6,7発が限界でして…」

 

 あかりが申し訳なさそうに返すと、ケイスケは少し考え込むが辺りを警戒しつつ進んでいった。

 

「無暗に当てることを考えんな。足とか狙っていけ、または6,7発撃った後リロードでもして切り替えろ」

 

 ケイスケはあかりにアドバイスをして歩みを進めていく。ぶっきらぼうながらも後輩に気をかけているケイスケにあかりは軽く微笑む。敵に遭遇しないでいち早くかなめを助けに行かなくては、あかりはそう自分に言い聞かせケイスケに続いて行こうとした。

 

「…ん?何だこの音?」

 

 ピタリとケイスケは足を止めた。気が付けばどこから遠くから壁を壊すような音が聞こえてくる。その音は次第に近づいてきた。近くなればなるほど音が大きく、そして揺れだしてくる。ケイスケとあかりのすぐ近くの壁が壊れ、大きな機械化した右腕でタックルするようにチャージャーが突っ込んできた。

 

「みぃぃぃつけたぁぁぁぁっ‼」

 

 チャージャーは世紀末に出てきそうな満面の笑みをケイスケとあかりにしてきた。ギョッとするケイスケとあかりにチャージャーは舌なめずりする。それを見たケイスケは再び…何かが壊れた。

 

「チャァァァァァジャァァァァァだァァァァッ!?」

「け、ケイスケ先輩ぃぃっ!?」

 

 絶対にケイスケが発しないような甲高い声で叫び、ケイスケは物凄い勢いで走って逃げていった。今まで聞いたことのないような叫び声にあかりはギョッとしながらも逃げ出すケイスケを追いかけていった。

 

「まちなさーい‼」

 

 チャージャーはタックルするような構えをしてケイスケ達を追いかけていった。

 

___

 

「うらーーーっ‼」

 

 カズキは雄たけびを上げてこっちに向かって走り出すタンクに向けてSR25を撃ち続ける。しかし、いくら当たってもビクともしないのか怯まずに迫って来る。

 

「ちょ、あいつ効かねえのかよ!?」

「カズキ、上半身はダメだ!顔か下を狙って撃て‼」

 

 タンクがカズキに向けて拳を振り上げる前にナオトが前に出てタンクの顔面を狙ってAK47を撃つ。タンクは腕で顔を守り、左腕でナオトを振り払うように振るう。ナオトはひらりと躱して距離を取っていく。

 

「ちくしょー、4人で一点集中して一斉に撃てば勝てるかもしれねえのに…っ」

 

 カズキは悔しそうに唸る。2手に分断されたことがかなり痛かった。残りの弾数とカートリッジを確認しつつ、タンクを睨み付ける。するとナオトはAK47に銃剣を取り付けタンクに接近戦を吹っ掛けて行った。

 

「カズキ、こいつにグレネードをありったけ投げろ!ここで全部使う!」

「おK‼じゃんじゃん投げつけてやる‼」

 

 ナオトを援護する様にカズキはタンクに向けてMK3手榴弾やRGD-5手榴弾を投げていく。爆発の衝撃を腕で防ぐタンクにナオトは駆けていき、足の脛を狙うように銃剣で斬りつけようとした。

 

「Woooooooooo!」

 

 しかし、銃剣より早くタンクの拳がナオトを襲った。ナオトは咄嗟にAK47を盾にして防ぐが壁にぶち当たるまで吹っ飛ばされた。カズキは大慌てでナオトの方へ駆けつけていく。

 

「ナオト!?大丈夫か!?」

「いてぇ…AKがひしゃげた」

 

 ナオトはなんとか無事であったが、AK47がUの字にひしゃげてしまった。予想を上回るタンクの力に二人は焦りだす。

 

「ナオト、火炎瓶持ってくれば良かったな…」

「いや、あれでも一応人だから…爆風には怯んでたからうまくいけば、いける。カズキ、援護をお願い…」

 

 ナオトはカーボンナイフを取り出し、タンクに向かってもう一度走り出していった。そのナオトを援護する様にグレネードを投げつつ、SR25で足を狙い撃っていく。ふとカズキは上を見上げるとはるか上空に何かが飛んでいるのが見えた。それが一体何なのか気になるのだが、今はナオトの援護をしつつタンクを倒すことに集中した。

 

__

 

『博士‼船上空に所属不明の航空機を探知‼』

 

 ラボのモニターで甲板で戦っているカズキとナオト、そしてタンクを鑑賞していたジキル博士に通信が入った。ジキル博士はポップコーンを頬張るのをやめて、がばりと席を立ち、子供の様に無邪気にはしゃぎ出した。

 

「どんな航空機がわかるかい!」

『は、はい…全長20m、全幅50m…形からして恐らく、垂直離着陸機(VTOL)かと!』

 

 機体の正体を聞いたジキル博士は応援しているメジャーリーガーがホームランを打ち上げたことに大喜びするかのように声をあげた。傍にいる軍人姿のハリソンは喧しそうに耳を塞ぐ。

 

「それでそれで‼何か、いや誰かこっちに向かって落ちてきていないかい!」

『いえ‥‥あっ!たった今こちらに向かって何か落ちてきているようです!』

 

 ジキル博士はさらに大喜びしてデスクを叩く。子供の様に興奮して鼻息を荒くする。

 

「さあ来るぞ来るぞ‼ジーサードのご登場だ‼」

 

 無邪気にはしゃいでいるジキル博士にハリソンは軽くため息をつく。勝手に2手に分断したことには「少年漫画みたいな展開で面白いじゃないか」と言うし、ジーサードが来たことにはヒーローショーを見ている子供の様に喜んでいる、ハリソンはあまりいい事態ではないことに心配しだした。このままタンクとチャージャーがまとめて片付けてくれることを願う。

 

___

 

 突然、甲板に何かが落ちてきたことにカズキとナオトもタンクも戦うのを止めて視線を向けた。それは黒と金のプロテクターを身に着けた黒髪の青年だった。まるでアイアンマンの様な着地をしててかっこいいとカズキとナオトは感じていたのだが、何処か見たことがあるような雰囲気で違和感も感じていた。

 

「来たぞ来たぞ来たぞ来たぞぉぉぉっ‼」

 

 一方のタンクは青年を見て喜びながらゴリラのように胸を叩き雄たけびを上げる。タンクはカズキとナオトを無視しだし、青年に標的を変えた。

 

「待っていたぜ、ジーサード‼ジーフォースを助けに来たのか?だが俺はてめえをぶっ潰したくてうずうずしてたんだぜ‼」

 

 ジーサードと呼ばれた青年は何も言わずスタスタと近づいていく。その眼はタンクなんてアウトオブ眼中なのか、それとも怒りを隠しているのか、カズキとナオトは考えだす。タンクはそれでも構わず雄たけびを上げてジーサードめがけて駆け出していき、雄叫びととも拳を振りおろした。しかし、ジーサードはひらりと躱し、タンクの顎に強烈なストレートをお見舞いし、もう一発、顔面を思い切り殴りつけた。よろよろとして前のめりに倒れるタンクにジーサードは舌打ちして睨み付けた。

 

「ごちゃごちゃうるせえんだよ、この筋肉ダルマが」

 

 自分たちがかなり苦戦を強いられたタンクをこうもあっさり倒したことにカズキとナオトは驚いた。カズキは恐る恐るジーサードに近づいて行った。

 

「あ、あんたすっげえ強いんだな!ジーフォース…かなめちゃんを助けに来たんだって?俺達も手伝うぞ!」

 

 そうニコニコするカズキにジーサードは視線を向けた。その瞬間、カズキは強い殺気を感じなんかヤバイと咄嗟に後ろへ下がる。ジーサードはカズキに向かって襲い掛かってきた。カズキを守る様にナオトが前に出てジーサードの拳を防ぐ。自分の攻撃を防いだナオトにジーサードは不敵に笑う。

 

「ほぉ…?見た目以上にいい線いってるじゃねえか」

「‥‥っ」

「ちょ、何しやがる!?危ねえじゃねえか!?」

 

 慌てだすカズキにジーサードはキッと睨み付けた。

 

「おめえら、勘違いしてんじゃねえぞ?俺は確かにフォースを助けに来た。だが、てめえらも遠山キンジもフォースを攫った野郎共も皆殺しにしてやる」

 

 完全に敵意剥き出しのジーサードにカズキは焦りだす。ここはどにかして説得しなくてはならないとカズキは説得を試みる。

 

「ま、待って!?落ち着いて話しましょ、お兄さん‼」

「誰がお兄さんだ‼ぶち殺すぞ‼」

 

 説得は虚しく失敗し、ジーサードはナオトに向けて肘鉄をしだす。ナオトはそれをいなし、一歩前に出て拳を向ける。ジーサードの右の拳とぶつかり衝撃が走る。ナオトは右手を痛そうに手を振りカズキの元まで後ろへ下がる。ジーサードは自分の右のガントレットを見た後ナオトに向けてにやりとした。

 

「八極拳か?面白れぇじゃねえか…気に入った。てめえは半殺しにして俺の傘下にしてやるよ」

 

「ねえねえ、俺は?狙撃も得意だし、歌も歌うぜ‼ジーさ~ど♪おれすごいぜー♪」

「お前は殺す」

 

 即答されたことにカズキはショックする。これは怒られて当然だろうとナオトは同感するがジーサードの蹴りが襲い掛かる。ナオトはそれを防ぎカウンターしようとするが、それよりも早くジーサードの飛び蹴りがナオトに炸裂する。

 

「ナオト、大丈夫か!?」

「めっちゃ強い…やるかこの野郎」

 

 ナオトは防いだ右腕を痛そうに摩りながらジーサードに睨み付ける。早さも、威力も1発1発がかなり重い。銃撃よりも格闘がとてつもなく強いのだ。敵味方問わず牙を向けるジーサードは不敵に笑みを見せる。

 

「てめえらゴミは邪魔なんだよ。フォースの『双極兄妹』を邪魔し、俺が遠山と決闘をする計画も台無しにしてくれた…」

「?俺達なんかしたっけ…?」

「さあ…?」

 

 キョトンとしているカズキとナオトにジーサードはピキリと苛立つ。完膚なきまで叩きのめしてやろうと進みだそうとした時、ナオトが何かに気づいて叫んだ。

 

「ジーサード、後ろ‼」

 

 ナオトの叫びに答えるかのように後ろを見るとさっき倒したはずのタンクが襲い掛かってきた。タンクの強烈な一撃を左腕で防ぐが、その衝撃が体全体に行き渡る。

 

「Woooooっ‼」

「ちぃっ‼さっさと退場しやがれ、この脳筋ゴリラが‼」

 

 ジーサードはタンクの拳を躱して再び目にも見えないほどの拳を放とうとした。しかし、その拳は防がれタンクの強烈な一撃がジーサードの体に直撃する。プロテクターにひびが入り、体にメキメキと痛みが走る。タンクは力いっぱい振るい、相手を吹っ飛ばした。

 

「うおっ!?だ、大丈夫か!?」

 

 カズキは焦りながら叫ぶ。ジーサードはフラフラと起き上がり、血の混じった唾を吐いてタンクを睨み付ける。

 

『あー…あー…おーい、ジーサード。聞こえるかーい?』

 

 そんな時、ジキル博士の声が音響機器から響いてきた。この声を聞いたジーサードはピクリと反応する。

 

「てめえか、フォースを攫ったクソ野郎は…‼」

種馬(ジーフォース)のことなんてどうでもいい。早く君のサンプルが欲しいんだよー』

 

 つまらなそうに返すジキル博士の言葉にジーサードは怒りだした。

 

「てめえ…いま、フォースのことを種馬って言いやがったな…‼ぶち殺してやる‼」

『おお、怖い怖い。でも…それは無理だろうね』

 

 ジキル博士が子供の様に挑発してきた。その間にジーサードに向けてタンクが襲い掛かる。

 

『タンクは君のデータを集めて、作り上げた対ジーサード用の人工兵器さ。』

 

タンクがジーサードの向けて拳を振り下ろしてきたその時、ナオトがジーサードを引っ張り、カズキがSR25でタンクの右足を狙い撃った。

 

「こっちを見やがれこの筋肉野郎‼」

 

 カズキは咄嗟にフラッシュ・バンを投げた。閃光と衝撃が放たれ、タンクは少し眩暈をして怯んだ。ジーサードはカズキとナオトを睨み付ける。

 

「てめえら…なぜ俺を助ける!?お前らの力なんて借りなくても…!」

 

 怒るジーサードにカズキとナオトは当たり前のように答える。

 

「妹を助けに来た弟を助けることに理由はいらないでしょ」

「キンジの弟なんだ…手を貸すのは当たり前だろ」

 

 二人の答えにジーサードは目を丸くして驚くがすぐさま睨み返す。

 

「うるせえ!俺は完璧な人間兵器だ…‼フォースの兄でも、遠山キンジの弟でもねえ‼」

「この、わからず屋パンチ‼」

 

 カズキの痛くもないパンチにジーサードはキョトンと戸惑ってしまうが、カズキはプンスカしながらジーサードを叱る。

 

「完璧な人間なんていないし、死んだら意味ねぇだろうが‼お前自身、一番分かってるだろうが‼」

 

 ジーサードはその言葉を聞いて目を丸くして驚いていた。そしてそれ以上何も言わず俯いた。

 

「お前は人で、かなめの兄で、キンジの弟なんだ。お前の…認められる…世界が、褒められて…すごいぜ!」

「最後めちゃくちゃじゃねえか!?台無しだろ!?」

 

 かずきが最後をうまくまとめられなかったことにジーサードは顔を上げてツッコミを入れた。ツッコミの早さはやはりキンジと同じだなとナオトは納得する様に頷く。

 

「いや、なんか納得するなよ!?」

 

 咄嗟にナオトにツッコミを入れるが、そうしているうちにタンクが雄たけびを上げて迫ってきた。カズキとナオトはジーサードを守るように前へ立つ。

 

「おい、あの脳筋ゴリラを仕留めれる方法はお前らにあんのか?」

 

 やや心配気味に二人に尋ねると、カズキはドヤ顔をし、ナオトは頷いて答えた。

 

「ないぜ」

「…ある」

「どっちだよ!?」

 

 バラバラに答える二人に思わずツッコミを入れてしまった。ジーサードは戦うことよりもこの二人にツッコミを入れることに疲労感を感じてきた。

 

「えぇ!?ナオト、あるのか?」

「一か八かだけど…腕が痛くなるけど、やるしかない。カズキ、ちょっと気合い入れるから時間を稼いで」

 

 ナオトはそう言うと大きく息を吐いて気合いを入れ出した。何をするのかカズキはわからなかったが、ナオトの指示通り時間稼ぎをしようとタンクに向かって駆け出した。

 

「おらー‼ゴリラ野郎、俺が相手だー‼」

 

 カズキはSR25を何度も撃ち続ける。タンクは雄叫びをあげて標的をカズキに定めて追いかけていった。タンクの追いかけるスピードよりもカズキが逃げる足の速さは遅く追いついてしまった。

 

「ひ、ひえー!?ナオト、まだー!?」

「Yeaaaaaaaaaaaaahっ‼」

 

 カズキに向けてタンクの拳が振り下ろされる。その寸前、ジーサードがその拳を防ぎ、タンクの左胸に向けて右拳で音速のような速さの一撃を当てた。

 

「もう少し、時間を稼げよ‼」

 

 ジーサードはこけてるカズキを起こしてタンクの方を睨む。左胸に一撃をくらったタンクは少しよろめくが体勢を立て直し二人を追いかけだした。ジーサードがタンクの攻撃を防ぎ、カズキが援護する様に撃っていく。それでも怯まないタンクのタフさにカズキは焦りだす。

 

「カズキ‼こっちに誘き寄せろ‼」

 

 準備が出来たのかナオトがカズキに大声で呼びかける。ナオトは拳を構えていたが、その気迫は今までに感じたことのないほど強いものだった。これで仕留めれるのか、心配になりながらもカズキとジーサードはナオトの方へタンクを誘き寄せていく。タンクは標的をナオトに変え、襲い掛かった。しかし、タンクの拳よりも早くナオトは一歩前に出た。その一歩は強い衝撃を放ち、甲板が凹むほど強いものだった。

 

「…ジョージ神父直伝…‼」

 

 ジーサードは見た。ナオトがタンクの左胸に放った拳の一撃はかなり強烈で、炸裂音やタンクに当たった衝撃が響き渡るほどだった。自分が持っている技よりも強く、速い技に息を呑む。

 

「八極拳…无二打(にのうちいらず)か…!」

「え?八宝菜、ニラレバ炒め?」

 

 何処をどう聞いたらそう間違えるのか、カズキの言葉は無視した。八極拳の使い手、李書文が編み出した、フェイントをかける初撃や一撃で相手を倒す武術。どうしてそんな技を持っているのか、気になりだした。

 その一撃をくらったタンクは拳の跡が凹むように付いた左胸を抑えて、弱々しく低い唸り声をあげて倒れた。ナオトは動かなくなったタンクの脈を調べ、脈があることにほっと一息つく。

 

「とりあえず手加減は少しした…」

「すっげえよ、ナオト‼それさえあればどんな敵もワンパンだぜ‼」

 

 そんな技を持っていたナオトにカズキは目を輝かせて肩を叩くが、ナオトは嫌そうにして首を横に振る。

 

「腕、めっちゃ痛い…一日一回しかできないし、めんどいからあんましたくない」

 

 痛そうに腕をぶん回し、テンションがダダ下がりのナオトにカズキはちぇっと悔しそうにした。まずは面倒なのを片付いたことにジーサードは一安心する。

 

「今なら奴らは疲弊しているぞ‼撃て撃て‼」

 

 休息は与えられないようで、タンクが倒されたことで兵士達が甲板に駆けつけて撃ちだしてきた。カズキ達は慌ててタクトが神風アタックしたC-2グレイハウンドの陰に隠れる。

 

「くそ、しつこい雑魚共だ…‼」

「ナオト、腕は大丈夫か?」

「ハンドガンなら撃てる…」

 

 ナオトが腰のホルスターからFN5-7を引き抜き、リロードをする。SR25の残こりの弾もカートリッジも少なくなってきた。タンクとの戦いでかなりの弾を消費してしまった。カズキはこのまま突破できるか心配しだす、ジーサードは行けるのかどうか気になって声を掛けようとした。しかし、ジーサードは何も言わず上を見上げていた。

 

 上に何か見えるのか、ナオトとカズキは見上げると空にヘリが飛んでいるのが見えた。そこから白いものが2つこちらに向かって降下してきてるのが見える。

 

「あれって…パラシュート?」

「おいおい…来るのが遅せぇだろ…!」

 

 ナオトが目を凝らし、ジーサードが少し嬉しそうににやりとする。一体何のことかカズキは首を傾げている。そんなカズキをよそにナオトがグレネードとフラッシュ・バンを敵兵に向けて投げまくり、降りてくるパラシュートに標的を変えないように援護をしだした。パラシュートが甲板に無事降り立ち、誰が来たのかカズキはやっと理解した。

 

「カズキ、ナオト‼すまない、遅れた!」

「このバカキンジ‼もう少し丁寧に下ろしなさいよ‼」

 

 キンジとアリアがやっと駆けつけて来た。アリアに至っては顔を赤くしてキンジにプンスカと怒っている。キンジも少し雰囲気が違う。道中、何かあったのか気になったがカズキはそれよりもプンスカと文句を言いだす。

 

「遅いっての‼こっちは死に掛けたんだから早く来いよ‼」

「…弟の危機にはもう少し駆けつけてこい」

「弟…?」

 

 弟とは一体何のことかキンジは首を傾げるが、ジーサードの姿と顔を見て驚く。そんなキンジにジーサードはやや呆れてため息をついて睨み付けた。

 

「…本当は、てめえを今ここでぶちのめしてやりてえ」

 

 しかし、そんな表情を一変してジーサードは苦笑いをしてキンジに向けて拳を前に出した。

 

「だが、事態が変わった。俺達の喧嘩に漁夫の利をしようとした、フォースを…妹のかなめを攫った野郎をぶん殴りに行くぞ‥‥兄貴」

「!‥‥ああ、お前も素直じゃねえな」

 

 キンジもそんなジーサードに苦笑いしながら拳を合わせ、互いにふっと笑いあった。そんな二人の空気を読まないかのようにカズキが割り込んできた。

 

「ジーサード…呼びにくいから三ちゃんでいい?」

「いや呼ぶな‼つか、空気読めよ‼」

「ジーサード、お前も苦労してんな…」

 

「ちょっと!?私を無視するとかどういうつもりよ‼まずあんた達から風穴開けるわよ‼」

 

 男の友情からぽつんと取り残されたアリアがプンスカと怒りながらキンジに足蹴する。ナオトは面倒くさいし喧しいしということで我先に敵陣に突っ込んでいっていた。

 

「ああっ!?ナオトの奴先に進んでるし!?」

「なんであんた達のチームはバラバラなのよ!?」

「おい‼俺の分も残しとけよ‼」

 

「‥‥胃が痛い」

 




 (強制的?)男の友情…ジーサードはツンデレなのでいいよね?(目を逸らす)
 李書文の八極拳、无二打は割と好き(コナミ感)
 ヒーローは遅れてやってくるノリで来たキンちゃん様は道中、アリアのおかげ(?)でヒステリアモードになっております。どんなシチュでなったかは…ご想像のままに…

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