カオスな4人衆!?最強のSランク武偵を目指せ‼   作:サバ缶みそ味

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 漫画版緋弾のアリアAAを、アニメ11話を見ても、間宮家の技って女の子を素っ裸にする技にしか見えなくなってきた…龍虎の拳みたく脱衣KOじゃないんだから…まあ眼福だからいっか!


44話

「あの野郎…もういやなんだけど」

「ケイスケ先輩、大丈夫ですか…?」

 

 ケイスケとあかりはチャージャーから逃げて一体何処まで進んでいるのか分からないくらい走り続けていた。大声で悲鳴をあげ、猛ダッシュで走ったことにケイスケは余計疲労感を感じていた。カズキとナオトは無事なのかそしてタクトは何処へ行ったのか、色々と考えを張り巡らせる。しかしその考えを振り払われるように遠くから壁を突き破る音が近づいてくる。ケイスケは舌打ちをしてM4のリロードをした。

 

「くそっ、あの機敏なデブが来る!あかり、構えろ!」

 

 ケイスケがあかりに言いかけると同時にチャージャーが壁を突き破って突進してきた。二人は右へ避けた直後にチャージャーが壁へと激突する。チャージャーの機械的な大きな右腕から蒸気が噴出され、その腕を壁から引き抜くと同時にこちらを見てにっこりとしてきた。

 

「あらぁ?もう鬼ごっこはお終い?」

 

「うっせーバーロー‼変な野郎に追い回されるのは懲り懲りだっての‼」

 

 ケイスケとあかりはM4とMP5Kをチャージャーめがけて撃ちまくる。チャージャーは大きな右腕で防ぎ、にんまりとしてきた。

 

「うふふふ、それじゃあ今度はおままごとかしら!」

 

 いちいちニヤニヤすんなとケイスケは怒鳴り、撃ちながら後ろへ下がる。これまで観察をしていたがチャージャーの突進は一直線だけ、途中で角へ曲がったりすればタックルは当たらずに済む。

 

「あかり、奴が突進してきたら角へ避けるぞ…!」

 

 あかりはケイスケの指示に頷き、後ろへ視線を向ける。しかし、通路の先を見たあかりは目を見開き、咄嗟にケイスケに焦る様に伝えた。

 

「ケイスケ先輩、だめです‼この先…曲がり角もない一直線です‼」

 

 あかりのその言葉にケイスケは撃つのをやめてすぐに後ろを振り向く。この先は曲がり角もない直線で、狭い通路となっていた。焦りだすケイスケを見てチャージャーはにんまりとにやけた。ケイスケはしてやられたと舌打ちをする。あの野郎はただ無暗に突進したり、壁を壊したわけではない、この狭い曲がり角もない通路へと追い込むようにして追いかけていたのだった。

 

「Woooooooooooooooooowッ‼」

 

 チャージャーがフルスロットルのエンジンのような叫び声をし、大きな右腕を前に出す様にして猛スピードで突進してきた。

 

「あかり、離れろっ‼」

 

 ケイスケはあかりを横へ蹴っ飛ばす。あかりが横へコケると同時にチャージャーのタックルがケイスケに直撃した。

 

「やっぱりおれかよ゛ぉ゛ぉ゛ぉ゛っ!?」

「ケイスケ先輩っ!?」

 

 高い声と打って変わって今度は野太い悲鳴を上げてチャージャーのタックルをくらって通路の先の扉を突き破り吹っ飛ばされた。あかりは起き上がり急いでケイスケが吹っ飛ばされた先へと駆けていく。

 

「いってー…めっちゃ痛ぇ」

 

 吹っ飛ばされたケイスケは痛みに耐えながら起き上がり周りを見渡す。テーブルとイスが並び立つ無人の広間で、どうやら食堂のようだ。ブラド戦のように何重ものアラミド繊維やケブラー、そしてダイラタンシーのボディーアーマーを身に着け、備えていたのだが思った以上に威力が強かった。首と頭を何とか守り、致命傷にならなかったことにはほっと一安心し、チャージャーがどこから襲ってくるか警戒した。その時背後から殺気を感じ、急いでその場を離れた。

 

「Wooowッ‼」

 

 背後からチャージャーが右腕を振り上げ思い切り叩き付けてきた。ケイスケは足がふらつきながらもM4で撃ちだす。チャージャーは右腕で防ぎながらゆっくりと近づいてくる。あの右腕に捕まっていはいけない、捕まったら最後、何度も叩き潰してくるとケイスケは察しながら下がる。しかしまだぶつかって吹っ飛ばされた衝撃が治っておらず、足がおぼつかず膝をついてしまった。そうしているうちにM4から弾丸が放たれなくなり、空撃ちをしだした。

 

「しまっ…弾切れかよっ‼」

「待ってたわよぉぉっ‼」

 

 ケイスケが急いでポーチからマガジンを取り出そうとするよりも早く、チャージャーが襲い掛かってきた。チャージャーの大きな右手が大きく開きケイスケを掴もうとしてきた。

 

「ケイスケ先輩っ‼」

 

 その直前、あかりが駆けだし、チャージャーめがけてMP5Kを撃ちながら近づいてきた。チャージャーは右腕で防ぎながら、ハエを払うように振り回す。

 

「このちっちゃい子犬ちゃんが‼邪魔っ‼」

 

 チャージャーは標的をあかりに変えて、右腕を振るって襲い掛かる。あかりは振り回す右腕を躱しながらケイスケの下へと駆けつけようとした。しかし、それよりもはやくチャージャーの右手はあかりの体を掴んだ。掴んだ右手を高らかに掲げチャージャーはにんまりとあかりを見る。

 

「可哀想な子犬ちゃんねぇ。モルモットなんかを助けにいくから痛い目をみるのよ?」

 

 哀れむような眼でにやつくチャージャーにあかりはキッと睨み付けた。握りつぶされそうな痛みに耐えながらも、そんな恐怖に耐えながらも怒りを込めてあかりは叫んだ。

 

「かなめちゃんはモルモットなんかじゃない…‼私の、私の大事な友達だもん‼」

 

 そんなあかりの怒りにそそられたのかチャージャーは満足しているような笑みを見せ、強く握りしめだした。

 

「青春ねぇ…そんな友情、嫌いじゃないわ!でも、それをぶっ潰すのももっと嫌いじゃないわ‼」

 

「ぐぅっ…‼」

 

 メキメキと体中に悲鳴と痛みが走る。チャージャーはあかりを握り絞めながら思い切り床へと叩き付けようとした。

 

「そうはさせっかよ‼こっちを見ろ、豚野郎‼」

 

 ケイスケはポーチから瓶を取り出し、チャージャーめがけて投げつけた。その瓶にはやや半透明な液体が入っており、宙を飛んだ瓶はチャージャーの顔面に当たり、割れたと同時に液体がチャージャーの顔にかかる。

 

「うおおっ!?ナニコレ!?クッッッサ!?」

 

 強烈な悪臭がかかり、チャージャーは狼狽えだす。握っているあかりを投げ飛ばし、必死に顔を吹こうとしだす。その隙にケイスケは発煙手榴弾をチャージャーめがけて投げる。発煙手榴弾はチャージャーの足下に落ち、白い煙幕を吹きだして視界を遮った。

 

「臭いし見えないし‼あんのガキ共‼なんども潰して嬲り殺しにしてやる‼」

 

 臭いをふき取ろうとしながらチャージャーは怒りの雄叫びをしだす。ケイスケはすぐさま投げ飛ばされたあかりの下へと急いだ。

 

「あかり、大丈夫か…!」

 

 キッチンの奥へと投げ飛ばされたあかりは痛みに耐えながらも起き上がり苦笑いをする。

 

「は、はい、なんとか…ケイスケ先輩、さっき投げたのは…?」

「あれはまだ試作段階だが、まだまだ改良の必要があるな」

 

 対異能者用なのか、それとも今回の為に作られたのか、ケイスケはそれ以上は言わなかったがあかりもそれ以上質問することはなかった。今は時間を稼いでいるだけであり、すぐにでもチャージャーが襲い掛かってくるだろう。

 

「あの機械の右腕が厄介だな。あれを壊せば簡単に倒せるのだが…」

「ケイスケ先輩…それなら方法があります」

 

 マジかとケイスケは口をこぼして驚く。しかし、あかりは言うべきかどうか躊躇っていた。

 

「その…これからやること、私の戦いを、秘密にしてくれませんか…?」

 

 それはどういうことかケイスケは首を傾げる。あかりは躊躇いながらも事情を話した。元々、間宮とは公儀隠密の一族であり、人々を守るために一族秘伝の暗殺術を駆使するという。かつてはイ・ウーの襲撃で一族は離散し、あかり自身はアリアに出会うまではその技と母の教えを守るために武偵に入った。間宮の技は殺人を前提としており、武偵の法に触れるのでずっと隠してきたという。今では夾竹桃や、間宮ひかり、そしてかなめに力をうまく制御しつつ間宮の技を使ってきたと話した。

 

「そういうことか‥‥」

 

 全てを聞いたケイスケは深く頷いてあかりにデコピンをした。「あうっ」と声を出して痛そうにデコをさするあかりにケイスケは軽くため息をついてニッとする。

 

「躊躇ってる暇はねえぞ。友達を助けたいなら全力でぶつけてこい」

 

 ケイスケの言葉にあかりは一瞬驚くが、「はい!」と笑顔で大きく返事をした。ケイスケは右腰につけている大きなポーチから厳重に閉めてある小型のケースを取り出す。

 

「それで、方法は?」

「はい、時間と距離がいります…」

 

 一方のチャージャーは鼻についた悪臭が取れず、苛立ち荒々しく唸っていた。白い煙幕で周りが見えず、どこへ逃げたのかキョロキョロとしていた。

 

「どこだ…?どこへ行ったぁ‼」

 

 おかま口調がなくなるほど怒りを込めて右腕であたりを叩き付けながらうろうろして探し出す。見つけたらすぐにでもタックルをして何度もミンチになるまで叩き潰してやろうと怒りと唸りをあげながら歩きだす。ふと、遠くで影が走って行くのが見えた。どこへ逃げるのかチャージャーは追いかけると、煙幕を抜けた場所は直線の狭い通路で、その先にケイスケとあかりがいた。

 ケイスケはM4をリロードして構え、あかりは銃を持たず、ただ拳を構えていた。何処かの拳法でもやるかのような変わった構えをしていた。そんな二人を見てチャージャーはにんまりとにやつく。

 

「あらぁ?なんのつもりなのかしら?」

 

 おかま口調が戻ったチャージャーを完全に無視するかのようにケイスケはあかりに視線を向ける。これから何をするのか、検討はつかない。

 

「あかり、うまくいけるのか?」

「たぶん…いえ、必ず成功させてみせます」

 

 今までと雰囲気が変わり、真剣な眼差しと覚悟を決めたあかりにケイスケはふっと笑い、M4を構えなおしチャージャーに狙いを定める。

 

「安心しろ。もしもの時は、9条破ってでもお前を助けてやる」

「…ケイスケ先輩、ありがとうございます」

 

 お互いに不敵な笑みで返し、いま目の前にいる的に集中した。そんな二人にチャージャーはにんまりし、右腕を前にしてタックルの構えをする。

 

「二人まとめて叩き潰してあげるわよぉぉっ‼」

 

 チャージャーは二人めがけて猛スピードで突進してきた。それを待っていたかのようにケイスケは引き金を引いて撃つ。チャージャーの右腕めがけて飛んだ弾丸はぶつかり爆発を起こす。

 

「今回の弾はただの弾丸じゃねえ、爆発弾だ‼」

 

 ケイスケはチャージャーの機械の右腕に向けて爆発弾を撃つ。爆発は起こすものの、機械の右腕に傷は見えずそれでもチャージャーはスピードを緩めず突進してくる。

 

「それで腕を壊すつもり?無駄よ無駄無駄ぁーっ‼」

 

 チャージャーは雄たけびを上げながら近づいてくる。それでもケイスケは撃つのをやめず、何度も引き金を引く。そしてチャージャーが一定の距離まで近づいてきた時にあかりが駆けだしていった。ケイスケは駆けていくあかりに大きく叫んだ。

 

「決めろ、あかりっ‼」

 

 爆発の煙を掻い潜り、あかりはジャンプをし、横に回転しながら相手に突っ込んでいった。チャージャーは身構えるが、あかりが回転しながら突き出した貫手に当たると機械の右腕を通してチャージャーの体全体に強い振動と衝撃が走る。そして機械の右腕は当たった場所から全体にひびが入り一気に破壊されていく。

 頑丈と強靭さを誇る右腕が破壊されたことにチャージャーは叫びたかったが、体全体に振動と衝撃が走り、叫ぶこともできず意識が薄れ、倒れていった。倒れて意識を失って動かなくなったチャージャーを見てあかりはほっと一息ついてケイスケの方を見る。

 

「やった…『鷹捲り』、うまくいきました…‼」

 

 あかりはケイスケに向けてニッと笑った。『鷹捲り』とは、間宮の長子に伝われる技の一つで、人体にある微細な電流による振動『パルス』を、特殊な構えで整え、横回転によるジャイロ効果で増幅、集約し、あらゆるものを破壊をする振動技である。一部始終を見たケイスケは納得したように頷く。

 

「成程、絶天狼抜刀牙かサイコクラッシャーだな」

「どっちも違いますよ!?」

 

 どっちも作品が違うとメタなツッコミを入れる。そうしているうちにどこからかブザーが鳴り響いた。恐らく、ジキル博士がモニターで一部始終を見て、兵士達をこちらに仕向けるよう手を加えたのだろう。

 

「ったく、休む暇も与えねえか。あかり、いけるか?」

 

 ケイスケは爆発弾の入ったマガジンを引き抜き、通常弾、武偵弾の入ったマガジンを装填しリロードをして、あかりにMP5Kを渡す。あかりは笑ってMP5Kを受け取る。

 

「はい!はやくタクト先輩達と合流してかなめちゃんを助けに行きましょう!」

 

 あかりは自信満々に微笑むが、ケイスケは違ってた。

 

「もし、たっくんが無傷でへらへらしてたら全力で殴る」

「ええっ!?」

 

 ケイスケのタクトに対する怒りにあかりはぎょっとしていた。願わくば、タクトはどこかで頑張って戦っている最中であってほしいとあかりは少しお願いした。

 

__

 

 上のフロアで激闘が行われている最中、巡回中だった兵士二人は男子トイレにいた。

 

「なあジョン、俺達呑気にトイレに行ってていいのかよ?」

「気にするなマックス。どーせ博士の人間兵器には勝てねえって」

 

 ジョンとマックスは小便器に用を足しながらのんびりと会話をしていた。ジョンは船内を気にしながらマックスに尋ねる。

 

「ところでマックス、ジーサードが来るってのになんで兵士の数は少ないんだ?」

「ジキル博士曰く、あまり銃器でドンパチしてほしくないんだってさ。もし激しくドンパチすると、博士の『お気に入り』が敵味方問わず皆殺しにするからだ」

 

 その理由を聞いたジョンは身震いをする。博士の人間兵器である『タンク』や『チャージャー』、『ハンター』の他にもっと物騒なのがいることに不安と焦りを感じた。

 

「そう怖がるなって。そうなった時は、博士たちと脱出する予定だ」

「じ、ジーフォースを連れてか?というかジーフォースは何処にいるんだ?」

 

 マックスは鼻歌を歌いながら社会の窓を閉じ、洗面所で手を洗い出す。

 

「トイレから出て左の先にある博士の生体管理室にジーフォースはいる。非常事態になったらそいつも連れていってアメリカへ逃げるさ」

「あ、暴れないのか?あのジーサードの凶暴な部下だぞ?」

 

 いちいち心配しだすジョンにマックスはため息をついて肩を軽く叩く。

 

「そう心配すんなって。その管理室の隣にある薬品庫に保管してる博士の作った解毒剤を飲まさない限り、ジーフォースは手も足も出ないんだってさ」

「そうか、それを聞いて安心した‼さ、巡回して侵入者をぶっ殺してやろうぜ‼」

 

 安心したジョンは手を洗ってさっさと出て行った。社会の窓を閉め忘れている事を忘れているジョンにマックスは苦笑いして男子トイレから出て行った。男子トイレにしばらく静寂の間が流れるが、大きい方のトイレで水が流れる音が響いた。カラカラとトイレットペーパーを取る音が響き、しばらくしてもう一度水が流れる音が響く。ゆっくりと扉が開き、タクトはすっきりしたような顔をして出てきた。

 

「はー…すっきりした。いやー、一時はどうなるかと思ったぜー」

 

 タクトはケイスケとあかりがチャージャーに出くわす前、タクトに突然の腹痛が襲い掛かってきた。そしてトイレというオアシスを求め、たった一人でかなめとトイレを探していたのだった。

 カズキとナオト、ジーサードがタンクと戦っている間、ケイスケとあかりがチャージャーと戦っている間、タクトは腹痛と戦っていたのだった。無事に勝利をおさめ、ドヤ顔でタクトは鼻歌を歌いながら手を洗い、トイレから出た。

 

「確か、この先にかなめちゃんと解毒剤があるんだよな。いくぜっ‼」

 

 タクトはかなめがいるとされる生体管理室へと向かった。巡回している兵士にも出会わず、がらんとしている通路になんの違和感も感じずタクトはかなめの下へ駆けつけた時のかっこいい台詞を考えながら歩いていた。兵士に出くわさないのはそのはず、タクトが腹痛に勝利した頃にはタンクもチャージャーも敗れ、博士の下に行かせまいと船内にいる兵士たちはカズキ達を止めに行っているのであった。

 

「えーと…生体管理室は何処だっけな?」

 

 目的の場所は何処か辺りをキョロキョロしながら歩いていく。

 

「‥‥まさかこんな所にまで来るとはな」

 

 ふと、後ろから声がしたのでタクトは振り向いた。振り向いた先には死んだ魚の様な目をした黒髪のオールバックをしたサリーマン姿の男性がいた。

 

「ただの弱小武偵かと思っていたが、油断した。だが、俺は油断もしないし、手加減をしな(ry」

「あ、すみませーん。生体管理室ってどこですか?」

 

 タクトに話を遮られ、男はピシリと額に血管を浮かべタクトを睨み付けた。

 

「貴様は人の話を最後まで聞くつもりは無いのか?いいか?人の話は最後までき(ry」

「えーと、右ですか?左ですか?あ、もしかしてこの先ですか!」

 

 再びタクトに話を遮られ、男はもう一本、額に血管を浮かべタクトを睨み付け、殺気を放つ。

 

「どうやら貴様は死にたいらしいな…俺はコードネーム『ハン(ry』」

「そうだ!お前はサリーマンHIROSHIだ!なんかヒロシっぽいしな」

 

 完全にタクトに話を遮られ、しまいにはHIROSHIとか意味の分からない名前を付けられ、コードネーム『ハンター』はもう一本、額に血管を浮かべ、鬼のような形相でタクトを睨み付けた。腰に提げている日本刀を模した刀を引き抜き、刃先をタクトに向けて構えた。

 

「いちいち癪に障る野郎だ…‼」

「で、HIROSHIさん。生体管理室ってどこ?」

 

 恐れも知らず、名前も勝手につけ、人の話を全く聞かないタクトにハンターの堪忍袋の緒が切れた。ハンターは一気にタクトに迫り、怒りを込めて刀を横へ薙いだ。ぎょっとしたタクトは咄嗟に身を屈めた。頭上に熱気と大きく空を切る音が響いた。タクトは後ろを見ると、壁が横に斬られた跡がついており、赤く焼き切られていた。ハンターが構えている刀は赤く、赤熱していた。

 

「この刃は先端科学兵器の一つ、『電孤環刃(アーク・エッジ)』。お前の様な意味の分からない奴には勿体無いくら(ry」

「かっけぇぇっ‼HIROSHIさんはあれか‼古に伝わりし元気ハツラツジェダイのサラリーマンでしょ‼」

 

 完全に貶しているように言っているタクトにハンターは鬼の形相で刀を振り下ろす。タクトは慌てて後ろへ下がり、刃を躱した。

 

「この…ゴキブリのように小賢しいガキが‼」

 

「あのなぁ、俺は無敵だっ」

 

 高い声を出してドヤ顔するタクトにハンターはさらに苛立ちを見せ襲い掛かる。

 

__

 

 かなめは消沈していた。ケージのような場所に閉じ込められ、ここから脱出する力も意気も出てこない自分に悲しんでいた。このまま誰かに助けを求めるのか、キンジやジーサードが助けてくれるのを待つのか、そんなことを考えていることすら悲しく感じた。

 ヒステリアモードになると非力になる自分をジーサードは助けてくれるのか、強大な力を持つ奴等からキンジは荷物となる自分を助けてくれるのか、それすらもわからなくなってきた。

 

「私は…どうすればいいの…」

 

 死ぬことも許されない、何もできないことにただ泣くことしかできなかった。そんな時、何処からか騒がしい音が聞こえてくる。誰かの奇声と怒声が段々と近づいてきた。何事か、キョトンとしていると近くの壁が十字に斬られ崩れていく。そこからタクトが転がり込んできた。

 

「あっぶねー…あ、かなめちゃん‼スポーーン‼」

「た、タクト先輩!?どうして…どうして先輩が助けに来たんですか…!?」

 

 突然現れたタクトにかなめは驚いていた。そんなかなめにタクトはニッと笑って答えた。

 

「後輩を、友達の妹を助けるのは当たり前だろ?俺達ソウルメイトなんだぜ!」

 

 そう笑って答えるタクトにかなめは目を丸くし、ポロポロと涙をこぼした。こんな自分を、後輩とキンジの妹だと見てくれるタクトに心から嬉しかった。

 

「さ、かなめちゃん。皆待ってるし、さっさと脱出しようぜ!」

 

 タクトはドヤ顔をしてかなめの手を取ろうした。そうはさせないとハンターがタクトに襲い掛かるがタクトはかなめの手を取って急いで避けた。

 

「ちっ…舐めたマネをしてくれるな!」

「はっはっはー‼これぞバケツで掘るってな!」

「タクト先輩、それを言うなら墓穴を掘るです…」

 

 ドヤ顔をするタクトにかなめはこっそりと修正しなおす。ハンターはキッと睨み付けるがふんと鼻で笑った。

 

「たとえジーフォースを助けたとしても、解毒剤を飲ませない限り、ただの荷物だぞ?」

 

 かなめは焦りだす。今はジキル博士の薬品のせいで強制的にヒステリアモードされ、解毒剤を飲まないと解除することはできないのだ。戦うこともできず、タクトの邪魔になってしまう。

 

「さて、それはどうかしらね?」

 

 ハンターの後から声が聞こえた。ハンターは振り向いた瞬間に頬に弾丸が掠めた。どこから、いつ撃ってきたのか見えない弾丸だった。

 

「なんだと…!?何故お前がここにいる!?」

 

 ハンターは目を疑った。見えない弾丸を撃ち、コルトS.A.A(シングル・アクション・アーミー)をこちらに構えている人物に驚いていた。

 

「本当は無所属の立場で戦わず、キンジ達の戦いを見届けるつもりだったけど…タクト君達の頑張り免じて、大事な妹を泣かした貴方達に灸を据えてあげるわ」

 

 その人物を見てかなめは目を丸くして驚き、タクトは嬉しそうに叫んだ。

 

「か、カナさぁぁぁぁん‼」




 妹を泣かしたということで、キンジ、ジーサードに続いてお兄姉ちゃんも参戦し、遠山家でジキル博士を殴りに行くつもりです…あれ?この遠山家、なんか怖いぞ…(白目)

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