カオスな4人衆!?最強のSランク武偵を目指せ‼   作:サバ缶みそ味

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 区切るいい頃合いが見つからず…気が付いたら9000…(白目)
 ちゃんと区切れるよう、気を付けないと…


45話

「かなめちゃん‼カナさんだ‼カナさんが来てくれたよ‼」

 

 タクトは大喜びで手を振る。そんなタクトにカナは苦笑いして手を振り、キョトンとしているかなめに優しく微笑んだ。

 

「かなめ…もう大丈夫よ」

 

 かなめはこんな自分に助けに来てくれたタクトに、優しく微笑んでくれたカナに心からうれしくて、涙が止まらなかった。

 

「ありがとう、お兄ちゃ、いやお姉ちゃ…タクト先輩、お兄ちゃんって呼んだ方がいいんでしょうか?それともお姉ちゃんの方が…」

「かなめちゃん、それは俺にも分かんない」

 

 タクトの影響なのか、ヒステリアモードでありながらも平常運転なかなめになりつつあることにカナは苦笑いし、切り替えるようにずっとこちらを睨んでいるハンターに視線を向ける。ハンターは標的をタクトとかなめからカナに変え、不敵に笑い、赤熱した刀の刃先を向けた。

 

「遠山キンジ、ジーサード、ジーフォース、そして遠山金一。これで『Gの血族(コラテラル・ブロス)』が揃った。貴様が相手なら不足はない!」

「あら?私に挑むのかしら…?」

 

 そんなハンターにカナはくすっと笑い、すっとハンターに手を向けた途端に銃声と共に手元が閃光しだす。銃声が聞こえたことにすぐさま反応したハンターはすぐさま横へ転がるように動き、焦る様にカナを睨む。

 

不可視の銃撃(インヴィジビレ)か…!?」

 

 ハンターに喋る暇を与えないかのようにカナは見えない銃弾を撃ち続けた。ハンターは銃声を頼りに必死に避け続ける。ハンターには不可視の銃弾を撃つカナは一見穏やかに見えるのだが、目は違っており、かなり怒っていることに気づいた。コルトS.A.Aの弾は6発、次の弾を装填するまでの隙を伺い、カナが不可視の銃弾を撃つのを病めたと同時にハンターはカナめがけて一気に駆け、刀の一閃を振るった。

 

「私に標的を変えてくれるのを待ってたわ」

 

 カナはひらりと躱すと三つ編みに隠していた金属片を連結させ、襟に隠していた三節棍のような金属棒と組み合わせ、出来上がった大鎌を構えてくすりと笑う。

 

「大事な妹に手を出したこと、覚悟することね…タクト君、この部屋から出た先にある薬品庫に向かって。これを使って開く金庫に解毒剤があるわ」

 

 カナはそう言うとタクトにカードキーを投げ渡した。タクトはそれを受け取るとニッと笑ってかなめの手を取る。

 

「カナさん‼ありがとうございます!さ、かなめちゃん、行こうぜ‼」

 

 かなめの手を取り、部屋から出ようとするタクトを逃がさないというようにハンターはタクトへと襲い掛かろうとした。しかし、視界に鎌の刃が物凄いスピードで迫り、驚愕したハンターは足を止めてに防いだ。赤熱した刃に当たると焼き切られるはずの鎌の刃が赤熱した刃に当たると大きな金属音と強い衝撃が響く。

 

「余所見はダメよ。今は私だけを見なさい…」

 

 微笑むカナは大鎌をバトンのように軽く回す。最小限に指を動かしているだけなのに、それは速く刃先が見えない程だった。明らかにこれは怒っているとハンターは察する。しかし、ハンターは怯むことなく苛立つように睨み付けた。

 

「ジキル博士の人間兵器をなめるなよ…!」

 

 カナの振るう音速を突破するような速さの大鎌の刃とハンターの振るう赤熱した刃が何度も衝突し、金属音と強い衝撃を船内に響き渡らせた。

 

__

 

「あった!薬品庫ー‼」

 

 かなめを連れて走り出すタクトは薬品庫へと辿り着いた。扉を蹴り開け転がり込むように入っていく。かっこよく決まったとかっこつけるが、ただ無人の部屋なので余計シュールだとかなめは苦笑いをする。

 

「この部屋のどっかに解毒剤があるはず!」

「タクト先輩、手分けして探しましょう…!」

 

 タクトとかなめは手分けをして解毒剤が入っているとされている金庫を探し出す。棚の中を、ケースの中をひたすら探り続けるが、解毒剤とされている薬品が見つからない。

 

「クソ―‼どこに隠してるんだあの博士野郎は‼」

「いや博士そのものなんですが…あいつは子供の様な性格をしてた。もしかしたら隠した場所はとっても簡単な所に…」

 

 かなめとタクトはキョロキョロしながら辺りを見回す。二人はふと無人の部屋でありながらも作動し続けている冷蔵庫に目を向けた。まさかこんな所に隠しているはずがないだろうと、タクトは冷蔵庫を開けた。すると中にカードキーで開くタイプの金庫がひんやりとした状態で置かれていたのを見つけた。

 

「うそぉ!?あったよここに!?」

「た、タクト先輩、開けましょう!」

 

 予想通りにあったことに二人は焦るが、落ち着いてカードキーを通して金庫を開けた。中には確かに解毒剤と思わしき小瓶が入っていた。しかし、タクトとかなめは中身を見て焦りだした。

 

「解毒剤ってどれ…?」

 

 タクトが口をこぼしたとおり、中には同じラベルの小瓶がいくつも入っていた。どれも同じ透明の液体が入っており、見分けがつかなかった。

 

「も、もしかしたらこれ全部が解毒剤かもしれません。タクト先輩、お願いします‼」

 

 タクトは迷った。もしかなめに飲ました薬が毒だったら、もしこれを飲んでかなめに悪い影響を与えてしまったら。しかし、かなめの真剣な眼差しにタクトは覚悟を決めて、適当に小瓶を取った。

 

「かなめちゃん、この『かいどくやく』を使って‼」

 

 それをいうなら『げどくやく』だとかなめはツッコミを入れたかったが、そんな暇はなかった。早く治って、お兄姉ちゃんであるカナの下へ、兄であるキンジとジーサードの下へ行きたい一心だった。瓶のふたを開け、苦いにおいと味がするけども一気に飲み干した。

 

__

 

 一方、激戦を繰り広げらているカナは違和感を感じた。自分の振るう大鎌にハンターは最初は追いついていなかったが未だ反撃できずに防いでいるものの、目で見えているかのような立ち回りをしていた。

 

「どうやら気づいたようだな…」

 

 カナが違和感を感じていることに気付いたハンターは距離を取って刀を構えた。

 

「俺はタンクのようなバカ力も、チャージャーのような腕力もない。だが、俺は奴ら以上に洞察に優れている。相手の出方を見抜き、相手の目を見るだけでどこでどう動くのか読めることができる」

 

「そう、それは凄いわね。…でも、予想の遥か斜め下へ突き抜けて行動をする人達を知ってるからあまり驚かないわよ」

 

 ハンターの力をまるで感心してないかのようにカナは軽く返した。ハンターは一気にカナへ迫り、赤熱した刀を振るう。大鎌の刃で何度も防いでいくが、次第に振るう速さに追いつき、一手先を振るってきた。カナの振るう大鎌よりも速く、赤熱した刃が襲い掛かる。カナはそれを躱して後ろへと大きく下がるが、頬を軽く掠めたのか、一筋の血が流れていた。

 

「どうだ、貴様の動きはもう読めた。次はその首を貰うぞ…‼」

 

 不敵に笑い、刀を構えるハンターに対し、カナは頬を拭うと大きくため息をついてハンターを睨み付けた。

 

「なめないでちょうだい。この程度で遠山の血に勝ったと思わないでもらいたいわ…!」

 

 怒りのオーラを漂わせているカナに構わずハンターは赤熱した刃を振るおうとした。しかし、その寸前に物凄い速さで自分の懐まで迫られてきたのを感じ後ろへと下がった。ハンターにジャックナイフを突き立てようとした、カナの隣にいるかなめに目を丸くする。

 

「やはり来たか…ジーフォース!」

 

 ハンターの怒りの混じった睨みを一切無視してかなめはカナにニっと笑う。

 

「カナお兄姉ちゃん!あたしも戦う!」

「かなめ…!タクト君、ありがとう」

 

 解毒剤でヒステリアモードが解けて、いつものかなめに戻ったことにカナは追いついたタクトに優しく微笑み、タクトはドヤ顔でピースをする。そんなかなめとカナにハンターは赤熱した刃の切っ先を向けて睨み付ける。

 

「ジーフォース…貴様の戦いは博士が集めた過去のデータを見た。貴様の動きなぞ、すでに見えているぞ‼」

 

 そんなハンターにタクトはギョッとしたように目を丸くして、大声でかなめに呼びかけた。

 

「かなめちゃん!あいつ変態だぞ‼」

 

「うわー…そんな趣味なの?超非合理的ぃー」

「まさか妹をそんな目で見ていたなんてね…ますます許せないわ」

 

「いや、見て来たってそう言う意味じゃねーよ‼」

 

 ドン引きするかなめに、より怒りを見せるカナに思わずツッコミをいれていしまった。すべてはあのわけのわからない男のせいだ。ハンターはひとまず、タクトへと襲い掛かろうとした。そうはさせないとかなめが素早くハンターへジャックナイフで斬ろうとした。ハンターはその攻撃を躱し、袈裟切りで斬りかかろうとするが、カナの大鎌の刃が横から来たため斬るのをやめて後ろへと下がった。

 

「やはり誰か1人、遠山の人間を殺さなければ勝てんか…」

 

 さすがのハンターも遠山の人間を二人相手するのに長時間かけてしまうと負けてしまう。ハンターはより殺気立てて、まだ解毒剤で解けたばかりであるかなめに標的を定める。その時、カナとかなめの二人の間から割って出るようにタクトがハンターめがけて走り出してきた。

 

「うおおお‼俺が突破口になってやるぜー‼」

 

 タクトは「ジェットストリームアタックだぜ!」とドヤ顔をしながら駆けていく。ただの凡人が人間兵器に勝てるかとハンターは不敵に笑い刀を構えた。自分の目で相手がどこからどういう風に攻撃してくるか読んで、見切った後に胴体を真っ二つにしてやろうとほくそ笑む。右からか、左からか、上からか、どこからくるかタクトの目を見る。

 

「‥‥?」

 

 しかし、ハンターは分からなかった。タクトの目を見ても、どこから攻めてくるか、どう攻撃してくるのか、何を考えているのか、全く読めなかった。焦り、思考を張り巡らせてしまったせいでいつの間にかもうすぐ近くにまで来ていることに反応が遅れてしまった。

 

「ブルーマウンテンスプラッシュアッタチメントォォォッ‼」

 

 タクトはそう技名を叫ぶや否や、ハンターめがけてスライティングをした。ハンターも、カナもかなめもタクトの行動は全く読めなかった。無論、タクトの突然のスライディングをハンターは見切ることができず、足を取られて体勢を崩してしまう。

 

「かなめちゃん、今だぁぁっ!」

 

 タクトの叫びにかなめはすぐに動いた。体勢を崩し隙ができたハンターの顔面に飛び膝蹴りを当て、ふらつくハンターにカナとかなめの怒りの鉄拳が炸裂した。もろに直撃し、吹っ飛ばされたハンターは気を失い、動かなくなった。

 

「ひゅーっ‼どうだ俺達のコンビネーション!」

「いや、タクト君のスライディングは全く読めなかったんだけど…」

「どんな動きを読める相手も、タクト先輩の行動は読めなかったね…」

 

 かなめとカナはドヤ顔でカッコイイポーズをするタクトに苦笑いする。こうして無事に解毒剤で解除することができ、戦うことができる。そう安堵しているかなめに自分の名を呼ぶ声が聞こえた。ふと振り向けばあかりが手を振ってこちらに走ってきていた。

 

「かなめちゃん‼」

「あかりちゃん…!?」

 

 あかりの後ろについて来ているケイスケが来ているのは分かった。しかしあかりまでも来ていることにかなめは驚いていた。どうしてきたのか言おうとしたが、あかりはにっこりと笑うとかなめを優しく抱きしめた。

 

「『仲間を信じ、仲間を助けよ』…友達を助けるのは当たり前だよ!」

 

 そんなあかりの言葉にかなめは目を丸くして驚くが、ポロリと涙をこぼして抱きしめた。

 

「あかりちゃん…ありがとう…!」

 

 そんな二人を見てカナとタクトはほっと一安心して笑う。しかし、約一名はそれどころではなかったようだ。

 

「たっくぅぅぅんッ‼」

 

 タクトはケイスケが怒声を飛ばしながらこちらに向かって走ってきているのが見えた。自分の無事を安堵してくれるのだろうと思ったタクトはドヤ顔をして駆け出す。

 

「はっはー‼見たかケイスケ‼俺のかっこいい伝説がまた一つ(ry」

「死ねこのクズがぁぁぁっ‼」

 

ケイスケは怒声とともにタクトにドロップキックをお見舞いした。もろに当たったタクトは奇声をあげて飛ばされる。

 

「あ゛え゛えぇぇぇっ!?」

 

「「ええええええっ!?」」

 

 ケイスケの突然の行動にかなめとあかりは声をあげて驚いた。ケイスケは有無も言わずタクトの胸倉をつかみ怒りのオーラを漂わせて睨む。

 

「たっくん…おまえ、今までどこに行ってた?」

「え、えーと…か、かなめちゃんを探しに(ry」

「いや、その前だ‥‥正直に答えろ」

 

 怒れるケイスケにタクトはガクブルしながらかなめとあかりに目で助けを求める。しかし、二人はケイスケの突然の怒りに驚愕していた。今度はカナに助けを求めて視線を向けた。カナはごめん、無理とでもいうかのように無言で首を横に振る。観念したタクトは震えながら正直に答えた。

 

「と、トイレに行ってました…」

「よし‥‥殴る…!」

 

 ぷっつんと堪忍袋の緒が切れたケイスケはタクトを殴ろうとした。それどころじゃないとかなめとあかりは焦りながらケイスケを止めようとする。カナはやれやれとため息をついて苦笑いをした。

 

「さ、皆急ぎましょ。早くキンジ達と合流しなくちゃ」

 

__

 

「いやー…思った以上にやるね、あいつら」

 

 モニターで観戦していたジキル博士は感心しながらポップコーンを頬張っていた。タンク、チャージャー、ハンターがやられ、今度は全員でこちらにやってくるとジキル博士の傍に立っているハリソンは焦りだした。そんなハリソンを見てジキル博士はいたずらっ子のようにケラケラと笑う。

 

「そう焦ることはないよ、ハリソン君。あとは『キミ』がいるじゃないか」

「ですが博士…‼」

 

 ハリソンは焦りながら必死にジキル博士を説得しようとした。ハリソンを他所にジキル博士はケラケラと笑いながら放送のスイッチを押してマイクに口を合てた。

 

『あー…船内にいる意識のある諸君に伝言だよ!これより『あれ』を使うから、皆は武器を捨てて全員脱出‼軍用ヘリを使って撤収したまえ!』

 

 ジキル博士はそう船内に放送をしスイッチを切り、すぐ近くにある甲板へと続くエレベーターのスイッチを押した。

 

「さてと、僕もお暇する支度をしなくちゃ。ハリソン君、君は彼らを迎い入れるようにコーヒーを淹れ給え」

 

 ジキル博士の指示にハリソンはうんざりしながらコーヒーを入れる準備をした。これからやる事、これから起こる事にハリソンは憂鬱になっていた。

 

__

 

「あれ?さっきの放送ってどういうこと?」

 

 船内の通路を駆けながらカズキは首をかしげる。なぜジキル博士は兵士達に武器を捨てて逃げるよう指示を出したのか、なぜジーフォースを置いて逃げていくのか疑問に思った。

 

「そんなこと考えている場合じゃないでしょ‼あいつら逃げるつもりなんだからさっさと捕まえに行くわよ‼」

 

 アリアはそんなことを考えている暇はないとカズキを注意していく。キンジもジーサードもいち早くジキル博士のいる場所へ向かおうとしていた。

 

「ナオト、そのジキル博士とか言う奴の居場所はわかるのか?」

 

 キンジは駆けながら後ろについて来ているナオトに尋ねる。ナオトは無言のまま頷いて探知機のセンサーを見せる。

 

「この先…まっすぐにいる」

「そうか‼あの野郎…首を洗って待っていろよ‼」

 

 ジーサードはいち早く駆けていく。通路の先、大きな扉が見えた。キンジ達は扉を蹴り開けて中へと入った。その中はとても広く、モニターとテーブル、部屋の壁には刀剣やいくつもの銃が飾られていた。その先に、のんびりとコーヒーを飲んでいるジキル博士と、迷彩柄の軍服を着た糸目の男がいた。

 

「やあ、遠山キンジ君にアリアくん。初めまして、僕が君の妹を連れ去ったジキル博士だよ」

 

 キンジ達に気付いたジキル博士はにこやかに手を振った。それを見たキンジとアリアはむっとして銃を構える。軍服の男がピクリと動こうとしたが、ジキル博士はにこやかに止める。

 

「まだだめだよハリソン君。おや、ジーサードじゃないか。まだいたんだね。あと…おまけの人たちも来てたんだ」

 

 銃を向けられても尚、呑気にコーヒーを飲んでいるジキル博士にキンジとジーサードは苛立ちを隠せなかった。

 

「おい‼かなめはどこにやった!」

「次に種馬なぞ言ったら…その顔をぶん殴ってやるからな!」

 

 怒鳴り声をあげる二人にジキル博士は五月蠅そうに耳を塞ぎ、大きくため息をつく。

 

「いやーあれにはびっくりさ。君たちのお兄さん?も来て、そこのおまけの人達のせいで無事に助けられちゃったよ」

 

「マジでか!?カナさんも来てたのか‼」

 

 カズキだけでなくキンジ達もカナが来ていたこと、そしてかなめが助けられたことに驚き、安堵した。ほっとしたアリアはジキル博士を睨み付ける。

 

「じゃあ残るはアンタをとっちめて事件解決というわけね」

 

 ジキル博士はコーヒーを飲み干すと大きくため息をついた。

 

「僕はね…ジーサードやジーフォースのような人間兵器を欲しかったんだよ。あれさえあればアメリカはどの国にも負けない、最強の国になるはずだったんだ。でも…サラ博士が僕の邪魔をしたんだ。彼らを使って平和にする?バカげている、実にバカげている!僕の、アメリカの理想をぶち壊したサラ博士には腹が立ったよ。横取りしたけども今度は君たちは逃げ出したり…君たちには本当にがっかりしたよ」

 

 それを聞いたジーサードはピクリと反応し、強く殺気を放ってジキル博士を睨み付けた。

 

「そうか…そうだったのか。お前が、お前があの人を、サラ博士を殺したのか…‼」

「ああ、あれ?事故に装ったけども…我ながら傑作だったよ」

 

 ゲスな笑みを見せるジキル博士にジーサードの怒りは爆発した。一気に駆けてジキル博士を殴ろうとした。

 

「ダメだジーサード‼」

 

 キンジが止めようとしたがすでに遅く、ジーサードの拳はジキル博士の顔面にふりかかる。しかし、ジキル博士の傍にいたハリソンに止められる。身体を挺してジキル博士を守ったハリソンは前のめりになって倒れた。

 

「次はてめえだ、クソ野郎…!」

 

 殺気を放って睨むジーサードにジキル博士は全く気にしていないかのようににっこりとしていた。

 

「君達が逃げ出した後…僕は遠山の人間の様な特異体質を持つ人間を欲しかった。欲しかったらどうするか、じゃあ作ればいい。君達と同じような人間を造ればいいと、何度も試行錯誤して造ったんだ。その完成形がこれだよ」

 

 ジキル博士はケラケラと笑いながらポケットから拳銃を取り出した。ジーサードは何をするのか身構えたが、ジキル博士は倒れているハリソンの近くに向けて発砲した。何度も何度も別の場所を撃ち、銃声を響かせた。

 

「なんのつもりだ…‼」

「遠山キンジやジーサードのように特異体質になるにはトリガーがある。彼の場合はこれさ」

 

 ジキル博士はそうニヤニヤして答える。すると突然、倒れていたハリソンが起き上がった。しかし、ようすがおかしく、糸目だった目は見開き、興奮しているかのように呼吸も荒く、人が変わったかのように凶暴な様子だった。

 

「URAWAAAAAAAッ‼」

 

 ハリソンは大きな雄叫びをあげてジーサードに襲い掛かった。背中に隠していたククリナイフを取り出し、物凄い速さで振るいだした。

 

「紹介しよう。彼はコードネーム『フリッピー』。実験体を何度も死地や死ぬ目に合わせ戦争神経症を引き起こさせ、銃声や戦争に関するものにより、興奮して凶暴化し豹変する戦闘人間だ。君達と対抗する為に、殺す為に造られた人間兵器さ」

 

 ジーサードはハリソンの振るうククリナイフを避け、裏拳を顔面にお見舞いするが、怯むことなく雄たけびを上げて斬りかかってきた。首を斬られそうになった寸前、キンジがハリソンに狙いを定めてデザートイーグルを撃つ。ハリソンは弾丸を躱し、今度はキンジに狙いを定めて走り出した。

 

「うおっ!?こっちに来るぞ!?」

「キンジ、あいつ…やばいわよ‼」

 

 カズキもアリアも咄嗟に撃ちだした。ハリソンは笑い、腰につけていたマークⅡ手榴弾のピンを引き抜き投げつけて来た。それを見たナオトはギョッとして叫ぶ。

 

「下がれ!破片手榴弾だ‼」

 

 ナオトはすぐに飛んできている手榴弾を狙ってFN5-7を撃つ。弾丸が当たった手榴弾はコンと音を立てて宙を飛び爆発を起こした。キンジ達は伏せて、ハリソンは直立したまま低く笑い声を飛ばす。近くで見ていたジキル博士は開いたエレベーターに乗り込んでキンジ達に手を振る。

 

「それじゃあ僕は一足先にアメリカへ帰るよ。フリッピー、好きなだけ遊んで帰っておいで」

「このっ…待ちやがれ!」

 

 キンジがジキル博士に向けて銃を構えようとしたが、ハリソンがククリナイフを構えて襲い掛かってきた。その時、キンジを守る様に大鎌の刃がハリソンの目の前に迫った。ハリソンは仰け反って躱し後ろへと下がる。

 

「よかった…間に合ったわね、キンジ」

「カナ…‼」

「お兄ちゃん、サード‼助けに来たよ‼」

「フォー…かなめ…っ‼」

 

 キンジとジーサードの後ろにはカナとかなめが駆けつけていた。カズキ達の下にはケイスケとタクト、あかりも合流できた。

 

「やっほー、皆お待たせ‼」

「アリア先輩…‼」

 

 ぞろぞろと大勢そろったのを見てジキル博士は呑気に拍手をしていた。

 

「いやーすごいね。『Gの血族』に、大団円かい?感動的だね、だが無意味だ」

 

 ジキル博士はそう言うと、ポケットからスイッチを取り出して押した。すると船内にブザーが響く。

 

「爆弾を作動させてもらったよ。彼に皆殺しにされるか、爆発して皆殺しにされるか、どの道君達は助からないさ!それじゃあバイバーイ」

 

 ジキル博士はにこやかに手を振って、エレベーターの扉が閉まり逃げていった。どこで爆弾が作動しているのか、凶暴化したハリソンを止めながら見つけることができるか、あかりは焦っていたが、カズキ達はすぐに判断して動いた。

 

「キンジ‼俺達で爆弾を見っけてなんとかするから、そっちは頼んだぞ!」

「ああ、任せろ!アリア、カズキ達の援護を頼む…!」

 

 キンジはアリアに視線を向けて頼んだ。アリアは躊躇っていたが意を決して頷く。

 

「そうね…あの4人だけじゃ心配だから行くわ。だからキンジ…絶対に勝ちなさいよ」

 

 アリアはあかりを連れてカズキ達の後を追った。ハリソンと対峙するジーサードとかなめは張り切っていた。

 

「兄貴…こうやって兄弟4人そろって戦うのって最初で最後じゃね?」

「サード、これからもこの先もずっとだよ!」

「キンジ、サード、貴方達はすぐに張り合うからちゃんと息を合わせなさいよ?」

 

 キンジはやれやれとため息をつく。しかし、今はやるべき事ある。キンジは頷いて構えた。

 

「カナ、サード、かなめ…あいつに『遠山家なめんな』って思い知らせてやるぞ」




 遠山4兄弟VS人間絶対殺すマン…あれ?キンちゃん達が主役になってる?あれ?原作主人公だし、いいよね!(目を逸らす)
 カズキ達騒がしい4人組は陰で支えるのさ…(震え声)

 ちなみにフリッピーはまんまあれです。ハートフルボッコフラッシュアニメ、『ハッピー〇リーフ〇ンズ』から…グロ耐性が無い人は絶対見ないように‼

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