カオスな4人衆!?最強のSランク武偵を目指せ‼   作:サバ缶みそ味

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 随分と長った気がするサード・フォース、アメリカ編がやっと終盤に…これで9000字オーバーは抑えれる…かな?


46話

 カズキ達4人は無人になった船内を駆け回る。一体どこに仕掛けたのか、一刻も早く見つけなければならない焦りと不安を抱きながらも走り続けた。その最中にカズキが最初に口を開く。

 

「それでさ、何処に仕掛けてると思う?」

 

「俺の心の中!」

 

 ドヤ顔で即答するタクトを無視して3人は走りながら考える。この大きな空母を一発で沈めるか、またはた面倒臭い状況にして沈めるか、それならばどこに仕掛けているか深く考え込んだ。そう考えているとナオトはふと思い出した。

 

「この船って原子力空母だっけ…?」

「そうなれば…原子炉がある制御室か!」

「よし、まずはそっちに行ってみるか‼」

 

「あと、俺の心の中にも爆弾が‼」

 

 3人はタクトを無視して原子炉のある制御室を探そうと走りだした。

 

__

 

 ハリソンは雄たけびをあげて壁にかかっているMK48を荒々しく掴み、キンジ達に向けて乱射をする。ヒステリアモードになっているキンジ、カナ、ジーサード、通常時が強いかなめには弾道が見え、躱すことができる。二手に分かれて避けたのを見たハリソンはこちらに早く迫ってきているカナとかなめに銃口を向けて撃ちだす。

 

「そうはさせるかよ‼」

 

 やらせはしないとジーサードがハリソンに迫り、速い拳を繰り出す。ハリソンはそれを躱すと左袖に隠していたダガーを取り出しジーサードの喉を掻き切ろうとした。キンジがデザートイーグルで狙い撃ち、ハリソンが持っていたダガ―を弾き飛ばす。その隙にジーサードはハリソンの腕を取り背負い投げで投げ飛ばした。

 

「兄貴、あの野郎に武器を使わさせるな!」

 

 投げ出されたハリソンは受け身を取り、低く不気味な笑いをする。ジーサードが突っ走ってハリソンに迫り蹴りを入れろうとした。しかし、ハリソンはそれを前方宙返りをして躱す。その間に両手を合わせて開いたハリソンの両掌には目を凝らさないと見えないワイヤーが張られていた。攻撃を躱したハリソンは長く引かれたワイヤーをジーサードの腕や首に巻き付かせる。

 

「っ!?」

「FUHAHAHAっ‼」

 

 残酷そうにあざ笑うハリソンはそのまま両手を思い切り引いて腕と首を切断しようとした。それを割って入る様にカナの大鎌の刃がワイヤーを断ち切り、その隙にかなめがハリソンを蹴り飛ばす。

 

「サード、1人で突っ走ったらダメよ」

「カナ…わりぃ」

 

 かなめに蹴り飛ばされたハリソンはすぐさま受け身を取り、かなめへと襲い掛かる。キンジがかなめを守る様に前へ出てデザートイーグルを撃つが、ハリソンはそれを弾道が見えているかのように躱していく。

 

「ちっ…だったら、これでどうだ!」

 

 デザートイーグルをホルスターに戻し、拳を構えた。ハリソンが一定の距離まで来ると体の各部位を連動させ加速させた超高速の拳を当てる技、『桜花』を放った。桜花はハリソンの腹部に直撃した。このまま後ろへ倒れて終わるかのように見えたが、ハリソンはそのまま受け身を取って起き上がり、懐に隠していた刀身を飛ばすスぺツナズ・ナイフを何本も刀身を飛ばしてきた。

 

「なっ…!?桜花に耐えた!?」

 

 飛んでくる刀身は見えるのだが、動きが遅れてしまった。桜花は体の筋肉や骨格を連動させて加速させる技だがその反動は大きい。それに加え、桜花をくらっても倒れ無かった事、不意を突かれた事で反応が鈍らせてしまった。そのキンジをかなめが押し倒し、飛んでくる刀身を躱した。

 

「お兄ちゃん、大丈夫?」

「かなめ、助かったぜ…あいつ、なんで桜花をくらってもヘッチャラなんだ…?」

 

 キンジはかなめに微笑み、低く笑い声を出しているハリソンを睨む。ジキル博士が言ってた通り、対ヒステリアモードに造られた、HSSと似たような特異体質を持つ人間兵器なのか、戦いが長引くたびに増々戦闘力を増しているように見える。

 

「大丈夫だよ、お兄ちゃん。お兄ちゃんの桜花は当たってる。でも、そのダメージをあいつはなるべく小さくしたの」

「かなめ、それは本当か?」

 

 かなめの観察眼は確かなものだ。そのダメージをどうやって抑えたのか、当てた瞬間を思い出そうとする。その答えをカナが話した。

 

「人は驚いたり、身に危険が迫ると硬直して身構える。でも彼は緊張も硬直もせず、脱力、リラックスした状態で打撃の威力や衝撃を吸収させたのよ」

 

「あの野郎、マジで殺しを楽しんでやがる…」

 

 ジーサードが舌打ちして言うように、凶暴化したハリソンは殺しを、今の戦闘を狂ったように楽しんでおり、恐れを知らない。言っていたとおり戦闘マシーンである。

 

「じゃあ、全員で桜花でもすれば倒せるかもな…」

 

 そう呟いたキンジにジーサードとカナがつい吹いてしまった。傍にいるかなめも声を出して笑いまいとプルプルしていた。

 

「ははっ‼やっぱ兄貴は天然だな…!」

「お、お兄ちゃん、笑わせないでよ…プフッ」

「キンジはやっぱり面白い子ね」

 

「あのなぁ。こっちはマジで言ってんだぞ?」

 

 キンジはムスッとして3人をジト目で睨む。一方で低く笑い続けているハリソンは近くにあったガラスのケージを叩き割り、展示されていた対戦車ミサイル『FGM-148 ジャベリン』を撃ちだした。船内で遠慮なく撃って来たことに4人はギョッとした。

 

「あの野郎マジかよ!?」

「兄貴‼一か八かで合わせるぞ‼」

 

 キンジとジーサードは初めて力を合わせた。ミサイル目がけて走り、足下を蹴りミサイルの横へ跳ぶ。振り上げた両こぶしを叩き込み、ノールック・キックを当て遥か上へと軌道を変えさせた。上へと飛んだミサイルは広い天井に当たり爆発を起こし、天井に大穴を開けた。

 

「はっ!やってみればできるもんだな‼」

「全身を使って銃弾逸らし…もう二度とミサイルでやりたくねえ」

 

 成功したことにジーサードは笑い、キンジは冷や汗とため息をつく。兄弟全員の力を合わせないと倒すことができないのかもしれない。ハリソンはジャベリンを投げ捨て再び高笑いをする。

 

「どうやら本当に皆殺しにしないと気が済まないようね…」

「戦えば戦うほど厄介になる…短期決戦じゃないと終わらないかも」

「兄貴の言う通り、すっげえの何度も打ち込まねえとな」

 

 キンジは頷いて拳を構える。兄だけじゃない、弟と妹とこう共に戦えることが正直嬉しかった。4人揃えば、怖いものはない、そう感じていた。

 

「殺戮の人間兵器だろうが…この桜吹雪…」

 

 並び立った4人は息を合わせ、構えた。今の4人なら、皆殺しをする人間兵器だろが何だろうが、立ち向かえれる。

 

「「「「散らせてみるなら、散らせてみなっ‼」」」」

 

__

 

「おお?なんか揺れたぞ?」

「おい、そんなことより爆弾なんとかしろよ」

 

 よそ見をするカズキにケイスケは注意して爆弾の方に集中させる。キンジ達がハリソンと戦っている方で、カズキ達は原子炉のある制御室へと辿り着いた。中に入ると案の定、タイマーのセットされた大きな円柱形の金属の時限爆弾が置かれていた。タクトは目を輝かせて思い切り触りまくる。

 

「うおおお!?なにこれ、大きな目覚まし時計だ‼」

「そんな目覚ましあってたまるかよ‼つかあぶねえから触んな!」

 

 ケイスケはべたべたと触るタクトにゲンコツを入れて、爆弾のタイマーを見る。時間は既に進んでおり、残り時間は5分となっていた。

 

「どでかいC4か、金属ナトリウムかなんかのヤバイ爆弾か…」

「ケイスケ‼なんとかして爆弾を止めねえと‼」

 

 爆弾を解体する気満々なのか、カズキとナオトの手にはプラスドライバーとマイナスドライバーが握られていた。マジでやるのかとケイスケは目を丸くするが、今やれるのは自分達しかいない。

 

「爆死したらお前らあの世でぶん殴るからな!」

「おーし任せろ‼手品師と呼ばれたかった俺の腕を見せてやるぜ‼」

 

 手品師関係ないし、しかも呼ばれたかったのかよとケイスケはカズキにツッコミを入れる。ナオトが慎重にドライバーで開けていく。タイマーの近くを開けると何色ものコードが多くつながっていた。それを見た4人は一瞬固まる。

 

「…おい、自称手品師。どのコードから切るんだ?」

「うーん…勘?」

 

 首を傾げるカズキにケイスケは遠慮なくゲンコツを入れる。勘でコードを切って死んだら本当に死にきれない。

 

「お前はバカか!?」

「焦るなケイスケ、慌てたら負けだぞ?」

 

 それどころじゃないとケイスケは怒るが、その一方でタクトがノリノリで黒いコードを切ろうとしていたのを見てケイスケとカズキは急いで止めた。

 

「ちょっとたっくん!?何勝手に切ろうとしてんの!?」

「こいつが言ってた…『YOU、切っちゃいなよ』って」

「おい、つべこべ言わねえでどうすんだよ!」

 

 ギャーギャーと騒ぐ3人を他所にナオトがニッパーでコードを一本切った。カズキとケイスケはギョッとするが、時限爆弾のタイマーが5分から20分になった。

 

「おお‼ナオトやるー‼」

「お前、勘で切ったろ」

「落ち着いて、配線盤とコードがどこに繋がってるか見ればわかるかも…」

 

「よーし、このままナオトに続くぜ‼」

 

 タクトは3人の制止を聞かず、思い切り黒いコードを切った。切ったと同時に制御室にアリアとあかりが追い付いてきた。

 

「やっと見つけた…‼あんた達、無暗に爆弾を触ったらダメよ‼」

「あ、あのアリア先輩?カズキ先輩達の様子がおかしいですよ…?」

 

 どうしたのかアリアとあかりは首をかしげるが、ケイスケとカズキは恐る恐る振り向いた。二人の顔は青ざめている。

 

「あ、あのーアリアさん…」

「爆弾…すごいやばい事になってんだけど…」

 

 タクトが黒いコードを切ったことにより、20分もあった時間がストップウォッチよりも物凄い速さで時間が減っていたのだった。タクトはテヘペロしてこつんと額を軽く叩いた。

 

「やっちゃったぜ☆」

「ちょっと、何してんのよ!?」

 

 ぎょっとしたアリアは思わず怒声をだして慌てだした。アリアは急いでケイスケからニッパーを取り、配線盤をじっと見た後にコードを切った。すると物凄い速さで時間が経過していたタイマーのスピードは元に戻り、残り時間5分となった。

 

「おー、さっすが」

「さすがー…じゃなくて‼あんた達爆弾は解体したことあんの!?」

 

 感心するタクトを他所にアリアは怒りながら尋ねる。そんなアリアに4人はドヤ顔で、当たり前のように答えた。

 

「ないぜ‼」

「あるわけないだろ」

「…なんとなく」

「ボンバーマンなら得意だぜ‼」

 

「よかった‼いち早く追いついてよかった‼だから思い切り殴らせて‼」

「あ、アリア先輩、落ち着いてください!?」

 

 今にでも殴ろうとするアリアをあかりは必死に止める。今は殴るよりもいち早く爆弾を止めなければならない。アリアはふぅと自分を落ち着かせて爆弾の解体を優先させた。

 

「理子に教えてもらった方法をやるしかないわね…一先ず時間内に止めるわよ」

「よーしサポートは任せろ‼」

 

 アリアが取り掛かる前にカズキが思い切り水色のコードを切った。すると時間が2秒ごと減りだす。

 

「いやなにやってんのよ!?」

「馬鹿か‼時間を減らしてどうする‼」

 

 ケイスケがカズキを叱った後急いで白いコードを切った。今度は時間が5秒ごと減ってきた。やっちまったとケイスケはテヘペロをしだす。

 

「あんたも!?ちょっと、爆弾から離れなさい!」

「…これだ‼」

 

 焦るアリアを他所にナオトが咄嗟に銀色のコードを切る。時間は元の1秒ごとに減る様に戻った。何とかなったとアリアはほっと一安心する。

 

「よ、よかったー…さすがはナオトね。さ、この調子で(ry」

「よーし、今度はこれを切っちゃお」

 

 ナオトに続いてタクトがノリノリで金色のコードを切ってしまう。すると制限時間が10秒ごとに減っていく。その光景を見たアリアは白目になりかけた。

 

「」

「あ、アリア先輩!?しっかりしてください!」

 

 この4人に任せてしまうといつ爆発してしまうか、心臓に悪いし何としてでも止めなければならない。しかし、自分の力量でこのバカ4人を止めれるだろうか、アリアは早くキンジが駆けつけてほしいと願った。

 

__

 

「FUHAHAHAHA‼」

 

 不気味に高笑いをするハリソンは2丁のミニUSIを持ち、撃ちだす。キンジ達は二手にわけれ弾丸を躱していく。避けていく中でジーサードはキンジに尋ねる。

 

「それで、どうするんだ?」

「あいつの不意をつく。じゃないと何度も桜花をやってもすぐに起き上がって襲い掛かるぞ」

 

 受け身やいなし、打撃を受け流しているハリソンは戦いの中でどんどん攻撃に慣れていく。恐怖や驚きを知らない状態の奴に少しでも不意をつかせれば、僅かな隙ができる。その隙に強力な一撃を加えることができれば倒すことができる。

 

「だったら『流星(メテオ)』をぶつけてやるか」

 

 ジーサードはニッと笑い、右肘を相手に向け、体を横向きに、腰と頭を落とし、左足を後ろに引き、左拳を大きく振りかぶった構えをした。超加速狙いの構えから放つ、桜花と似たような一撃を放つのだとキンジは見抜く。しかし、それだけでは奴を倒せない。

 

「…兄貴なら、その後どうするかすぐにわかるだろ?」

 

 ジーサードは真剣な眼差しでキンジを見る。ジーサードが流星をハリソンに当てた後、どう動くべきかヒステリアモードのキンジにはすぐに分かった。しかしそれは相手の不意をつくことができるかどうか一か八かの賭け、それでもやるしかないとキンジは頷く。

 

「カナ、かなめ!」

 

 キンジはカナとかなめに目で合図をする。頷いたかなめは背中に背負っていたハンターから奪った電孤環刃を構えてハリソンめがけて走り出した。ハリソンは雄たけびを上げてミニUSIを乱射していく。

 

「-剣は銃より強し(Sword beats guns)

 

 かなめは銃弾を掻い潜る様に躱していき、ハリソンの持っている2丁のミニUSIを切断する。切断されたミニUSI捨て、背中に隠していたククリナイフを取り出し斬りつけようとした。ククリナイフの刃よりも速く、カナが振るう大鎌の刃がハリソンの持っていたククリナイフを弾き飛ばす。カナの攻撃を身構えていたが、カナはクスリと笑った。

 

「頃合いね…」

 

 カナとかなめが横へ避け、その間からジーサードがミサイルよりも速く、低姿勢でハリソンめがけて突っ込んできていた。超音速に至った左拳とプロテクターから流星が尾を引くような勢いでハリソンの腹部を狙って放たれた。

 衝突する衝撃音が大きく響いた。ジーサードは手応えがあったかどうか見据えていたが、腹部に直撃していたハリソンがピクリと動き出した。

 

「FU…HA‥HAHAHAHA…‼」

 

 鈍く低い笑い声をあげながら睨み付ける。腹部に直撃する寸前、右手を犠牲にして防いだのだ。ジーサードは舌打ちして引こうとするが、ハリソンは大刃のサバイバルナイフを取り出しジーサードの左腕を突き刺し、切り落とそうとした。すると、何かが外れる音がするや否やジーサードの左腕が肩から先が外れていった。

 

「…バーカ、こっちは義手なんだよ」

 

 ハリソンに向けて右手で中指を立て後ろへ倒れていく。ジーサードが後ろに倒れ、今度はキンジがジーサードよりも速いスピードで突っ込んできていた。左腕が義手だったことに不意をつかれたハリソンに一瞬の隙ができた。

 

「これで…どうだぁっ‼」

 

 全身の筋肉と骨格を連動させ、いつもの桜花よりも数倍の速さで放った数倍桜花。何倍もの速さと威力を織り成す一撃は衝撃したと同時に衝撃音を轟かせた。直撃したハリソンは獣の様な叫びをあげながら倒れていき気を失っていった。

 キンジは倒れたハリソンを見た後、放った数倍桜花の反動で足と手に痛みが走る。倒れそうになるキンジをカナとかなめが支え、仰向けに倒れているジーサードはキンジを見てニッと笑った。

 

「…やったな、兄貴」

「ああ…後は、あいつらに任せるか」

 

 ハリソンに手錠をかけた後、キンジ達は甲板へと向かった。

 

_

 

「よし、アリア。俺歌うぞ!アリアが―いまーかがやーくー」

「いや歌わなくていい‼気が散る‼」

 

 カズキの歌を止めさせてアリアは再び爆弾の解除に専念する。タクトのへまをフォローした後、理子から教えてもらった爆弾解体の仕方を思い出しつつ解除していった。しかし、残り時間が1分を切り、焦りが生じてきた。

 

「まずいわね。後一本を切れば止まると思うのだけど、どっちを切ればいいかしら…」

 

 アリアは困惑した。よくある爆弾の解除するときのシチュエーションのように残りあと赤い配線と青い配線の2本となっていた。どちらかを切れば解除できるのだが、間違えれば爆発を起こしかねない。

 

「そんなときは2本とも切れや」

「あ、これは赤は切らない方がいいぜ?運命の赤い糸ってかー!」

「…残りあと30秒」

 

 外野が喧しく、アリアの集中力が削られていく。アリアは覚悟を決めて青いコードを切ろうとした。その時、タクトがさり気なくアリアに尋ねた。

 

「アリア―、今日のラッキーカラーは何色だった?」

「…え?ピンクだけど?」

 

 タクトは「あっそう」と言ったのち、爆弾の後ろ側でごそごそとしていたのが見えた。一体何をしているのかアリアは首を傾げていたが、すぐに思い立った。

 

「ちょ、まさかアンタ‥!?」

「ほいっ♪」

 

 アリアがタクトを止めようとしたが既に遅く、バチンと切断する音が制御室内に響いた。一瞬固まってしまったが、爆弾の方を恐る恐る見る。時間が10秒で止まっており、それ以上動くことはなかった。カズキとケイスケはタクトの方に歩み寄ると、爆弾の裏側に黒いコードを中にピンク色の配線が一本、切られていた。

 

「すげえ‼たっくん、爆弾を解除できた‼」

「たっくん、ある意味すげえぞ‼」

 

「はっはっはー‼俺を崇め奉るがいいー‼」

 

 ドヤ顔して胸を張るタクトを他所にアリアはへにゃりと座り込んでしまった。あかりは慌てて支え、起こしてあげる。アリアはやや疲れたようにため息をつく。

 

「…もうこのバカ4人と組みたくないわね…」

「アリア先輩、甲板へ行きましょう…たぶん遠山先輩達が待ってますよ」

 

__

 

 カズキ達は甲板へ出て、キンジ達と合流できた。外は一夜を過ぎて、日の出が出始めようとしていた。キンジ達はなんとか終えてほっと一安心していたが、甲板には一台の大型ヘリCH-47が止まっており、その近くにスーツを着た小柄の男性が経っているのが見えた。キンジ達が身構えるが、それを見たタクトが手を振って大喜びで駆けだしていった。

 

「父ちゃーん‼」

「タクト‼またやってくれたな―」

 

 CH-47の前に立っていた男はタクトの父である菊池雅人だった。駆け寄るタクトに雅人はにっこりしながらアイアンクローをする。

 

「「父ちゃん!?」」

 

 キンジとアリアはギョッとしていた。なぜ、タクトの父親がこんな所に来ているのか、カズキ達は色々察したようで苦笑いをしていた。

 

「タクト…お前、僕を過労死させる気かい!?母さんがタクトがアメリカに吹っ掛けたって聞いたから、急いで大統領とテレビ電話をしたんだぞ‼人生初めて大統領に話してマジで死ぬかと思ったんだからな!」

 

「まぁまぁ。終わり良ければ総て良しだぜ、父ちゃん‼」

 

 それは爺ちゃんの口癖だと雅人はタクトにプンスカと怒りながら思い切り撫でまくった。撫でた雅人はジーサードとかなめの方に視線を向けて歩み寄った。

 

「やあ初めまして、ジーサード。僕はタクトの父、菊池財閥の副社長の菊池雅人だ」

 

 にっこりする雅人にジーサードは恐る恐る頷く。そんな彼に雅人は話を続ける。

 

「今回の件は…大統領を説得させて、君達や日本の武偵、そして日本にはお咎めなし、そしてジーサードの事は見逃す事になったよ。アメリカのロスアラモスはやり過ぎたという事でチャラだ」

「‥‥あんた、すげえな…」

 

 大統領を説得させたことにジーサードもキンジ達も度肝をぬく。カズキ達は雅人に「ありがとうございます。」と言ってぺこりとお辞儀をした。そんな時、甲板にジーサードの垂直離着陸機が着陸してきた。扉が開き、ジーサードの部下と思える少女がひょっこりと顔を覗かせる。

 

「もう間もなく、FBIやCIA、アメリカの武偵、日本の武偵達も来る…大統領が許しても、他の所は黙っていないかもしれないだろうね」

 

 雅人の話を聞いてジーサードは頷いて、垂直離着陸機へと向かいだす。キンジが止めようとしたが、カナがキンジを止めて首を横に振る。ジーサードはキンジ達の方を振り向いてふっと笑った。

 

「兄貴!また今度、ちゃんとした喧嘩でもしようぜ‼」

「…ああ、いつでもかかって来い」

 

 キンジは苦笑いして返した。ジーサードは自分はどうしたいいか戸惑っているかなめに視線を向けた後、カナとキンジの方を見る。

 

「カナ、兄貴‥‥かなめをよろしく頼んだぜ」

「…っ‼サード…‼」

 

 かなめは目を潤わせてサードを呼ぶ。サードはすでに背を向けて手を振り、垂直離着陸機に乗り込んだ。垂直離着陸機は飛び立ち、薄明るい空へ高く飛んでいった。ジーサードを見送った後、カナは大きく一息入れる。

 

「さぁキンジ、かなめ、アリア…私達も帰りましょう」

 

 キンジとかなめは笑って頷く。アリアはジキル博士を捕まえることができなかった悔しさもあるが、今は無事に戦いが終えたことに安堵して頷いた。

 

「いやー、今度は俺達アメリカに名が轟き渡るかもな‼」

「そうしたら、俺達アメリカンデビューしようぜ!」

 

 一方でカズキとタクトはウキウキしながらあるわけがない今後の話をしていた。二人に対してケイスケとあかりは物凄く嫌そうに首を横に振る。

 

「もう、アメリカは嫌だ」

「もう懲り懲りです…」

「…なにかトラウマなことでも?」

 

 ナオトは気になって尋ねるが、ケイスケはチャージャーとの戦いを思い出して身震いする。あかりはそれを察したのかケイスケを励ましていく。

 

「あー…タクト?君達の事なんだけど…」

 

 そんな時、雅人が申し訳なさそうに話を割って入った。一体何のことかカズキ達は首を傾げていると、雅人は口を開く。

 

「公安と武偵庁と武偵校を説得したよ…その代り、君達4人は1か月の謹慎と武偵活動の禁止だけど」

 

「「「「え゛えええええっ!?」」」」

 

 朝の海上に4人の驚愕した声が響いた。

 

___

 

 ジキル博士は鼻歌を歌いながら軍用ヘリの中でポップコーンを頬張っていた。まさか大統領が誰かに説得されて動いていたのは予想外だったが、遠山の連中を見ていいデータと成果が取れたと半ば満足していた。

 

「さて、アイツらがアメリカに来るとすればだいぶ先かー」

 

 もう間もなく、自分の基地へと辿り着く。そうのんびりしていると、自分の横に置いてある古いテレビの様な機械が作動し、青い光を発しながら映りだす。写る映像を見てジキル博士はため息をつく。

 

「はいはい、分かってます。大きな失態ですが、いい成果も得られた。今後の計画にも良い影響を与えてくれますよ」

 

 テレビの様な機械には髭の男が映っていた。何やら文句を言っているがジキル博士は苦笑いして頷く。

 

「ええ、勿論『アレ』のことは話してません。ですから今は計画の為にも潜んでいましょう…」

 

 そう言うとテレビの映像は消えて暗くなった。ジキル博士は大きくため息をついて深く座席に座る。

 

「…ああー早く来ないかなー」




 遠山兄弟姉妹が相手だと一人じゃきついね(白目)
 爆弾のことは…本当に無知ですごめんなさい(焼き土下座)
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