カオスな4人衆!?最強のSランク武偵を目指せ‼   作:サバ缶みそ味

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 緋弾のアリア、24巻がいつの間にか発売してましたね
新キャラ、ベレッタさんに続いてキンジの周りにはどんどん女の子が‥‥

‥‥(#^ω^)ピキピキ



54話

ドイツの真夜中の草原に薄気味悪い霧が漂い、不気味に光る眼が燦々と蠢き、呻き声が響き渡る。骨を剥き出し、臓器が飛び出ていたりドイツ軍の死人の群れがベルリンを目指して進行していた。

 

 そんなゾンビ達の進行を止めるかのように4つの人影がゾンビの軍勢へと飛び込んでいく。ピンクのゴスロリ姿の少女を先頭に、迷彩柄のボディーアーマーを身に着け突撃していた。

 

「って、また鵺が先頭かよ!?お前等そんなにビームが見たいんかいな!?」

 

 ナイフやバール、鋭い爪を突き立てて襲い掛かってくるゾンビの攻撃を躱し、爪で切り裂いていく鵺は思わずノリツッコミをした。カズキはバールでゾンビの頭部を叩き、ケイスケは日本刀で斬り、ナオトはAK47で冷静に撃ちながら倒していっていた。

 

「うらー‼ゾンビ狩りじゃー‼」

「今宵の般若ソードは血に飢えてるぜ‼これまでの鬱憤、ここでぶつけてやる‼」

「お前ら、ちゃんと撃てよ」

 

 カズキとケイスケはノリノリで近接武器を担いだままゾンビの群れへと突撃する。目の前のゾンビを倒せるのだが、彼らの視界の外からゾンビが襲いかかるのでナオトがヘッドショットをしてカバーしていく。鵺は群れの中に飛び込んで近接で倒していくカズキとケイスケに加わり、ゾンビを切り裂く。

 

「そんなに突っ込んで大丈夫かじょ?」

「「ナオトがカバーしてくれるから問題ない」」

 

 カズキとケイスケが完全にナオト任せで突き進んでいくので鵺はナオトを哀れと横目で見る。ナオトは黙々とヘッドショット、装填、ヘッドショットと繰り返して狙い撃っていた。そんな時鵺はふとこの騒がしい連中が1人足りていない事に気付いた。

 

「おい、一番騒がしい奴は何処行ったんだじょ?」

「そういえば…カズキ、たっくんは何処だ?」

「ゾンビ退治の武器選びしていた時、何か閃いたとか言ってたけど…」

 

 カズキが思い出そうとしていると、遠くから喧しいエンジン音が聞こえてきた。その音はどんどん近づいてきており、更にはタクトの楽しそうな叫び声も聞こえてきた。

 

「ちょっと!?たっくん、それ危ないって‼」

 

 ナオトが焦りながらタクトを注意して大声を出しているのが聞こえ、カズキ達は振り向くとタクトが振り回している物を見てギョッとした。

 

「イヤッフゥゥゥゥゥッ‼」

 

 タクトはフル稼働しているチェーンソーを持ってグルグル回りながらこちらに近づいてきていた。ゾンビを横に切断し、ゾンビの血肉を飛び散らせながらこちらに楽しそうに向かってきている様は一種のホラーに見えた。

 

「回転ノコギリアターック‼」

 

「あぶねえっ!?たっくん、それを振り回しながら近づいてくなよ!?」

「ていうかよりにもよってなんでチェーンソーなんだよ!?サイコパスか!?」

 

「いや、お前等の持っている物も十分サイコパスっぽいじょ」

 

 バールと日本刀を持っているカズキとケイスケに鵺はツッコミを入れる。そうしてタクトはテンションをあげてチェーンソーを振り回していく。

 

「たっくん‼味方を巻き込まないようにしろって‼」

「俺は何も退かないし、媚びないし、省みないっ‼」

「省みろ、馬鹿‼」

 

 チェーンソーを振り回すタクトを先頭にするとタクトは調子に乗って突き進みだした。

 

「ひゃっはー‼ここは通さねーぜぇー⤴!」

「たっくん‼前と周りを見て進めよ‼」

 

 タクトが仕留め損ねたゾンビをカズキとケイスケが片付け、取り囲んでいこうとするゾンビをナオトと鵺が倒していく。

 

「後方から来てくれる連中の事も考えてほしい…」

 

 渋々と狙い撃っていくナオトは軽く愚痴をこぼした。そんな時、ゾンビの群れの中から雄叫びの様な声が聞こえてきた。まるで走りながら叫んでいるようなのでナオトはポケットから単眼鏡で覗く。見ると体にダイナマイトを巻きつき、ピンを抜いたのであろうM24型柄付手榴弾(ポテトマッシャー)を掲げながらこちらに走って向かってきているゾンビが3,4体見えた。

 

「たっくん‼自滅覚悟のゾンビが来てる‼」

 

 タクトに向けて叫んだナオトはすかさずAK47を撃ちだす特攻してきているゾンビを2,3体狙い撃ち、ゾンビの群れの中で爆発をさせることができたが残りの数体はそのままタクトへと向かって駆けぬける。

 

「ちょ、特攻!?神風、神風ゾンビが来てるぅ!?」

 

 タクトがやっと気づいた頃には数メートルまで来ていた。タクトは慌てて回れ右してカズキ達の方へ逃げだしていく。

 

「お、お助けーっ!」

「たっくん‼チェーンソーを動かしたままこっち来るなよ‼」

「おおいっ!?あぶねえだろうが‼」

 

 タクトは神風ゾンビから、カズキとケイスケはチェーンソーを持ってこちらに走ってきているタクトから逃げ出す。ゾンビがタクトへと特攻しようとした時、遠くから飛んできた弓矢が脳天に刺さりその場で倒れて爆発を起こした。カズキとタクトはほっと胸をなでおろす。

 

「あ、あぶねー。ゾンビが走るとか反則だろ…」

「助かったー!セーラちゃん、ありがとー‼」

 

 タクトは喜びながら後方へ手を振った後、再びチェーンソーを動かして突撃しだした。最後尾で進んでいるナオトの後方からセーラ、静刃、アリスベル、そしてカツェが続いていた。静刃とアリスベルは躊躇いなく突き進んでいくカズキ達の様子を見ながら呆れていた。

 

「あいつらの武器の選定おかしいだろ…」

「正直、ゾンビよりあの4人が別の意味で怖いです…」

 

 ゾンビに全く恐れず、しかも武偵法外なら遠慮なく倒していく様は本当に武偵なのだろうかと疑ってしまう。一方、セーラは何時でも援護射撃できるよう弓矢を用意しながらゾンビの群れを見て分析していた。

 

「特攻してくるゾンビも出てきた。他のタイプのゾンビもいるかもしれない」

 

 そんなセーラの横でじっとカズキ達を見ていたカツェは内心複雑な心情だった。過去の兵士達をゾンビにしたブラックウッドという輩の事は許さない。しかし、自分の手でやっていいのだろうかという葛藤をも気にせず遠慮なくばっさばっさと倒していくカズキ達には少し自重してほしいというところもある。

 

「ていうか、この先に進めばいいのか?」

 

 カツェはジョージ神父の出した指示に少し不安があった。レリックという道具がゾンビと関連するキーであり、3つに分解されたレリックを揃えることにより浄化させることができる。その分解されたレリックは設置することでゾンビが湧き続け、守る様にどんどん進行していく。なのでこの先を突き進めば残りのレリックがある、ということである。そんなカツェの疑問にセーラは落ちつた表情で返す。

 

「今はたっくん達を信じて進むしかない」

「って言われてもなぁ…大丈夫なのかよ?」

 

 陣形は前進していくカズキ達を援護する様に後方で支援しつつ、カズキ達が疲弊しだしたら静刃とアリスベルを先頭に交代で前進する。肝心のジョージ神父は後の支援の準備をすると言って貘とリサを連れてベルリンへと向かって行った。騒がしい4人と自分達を置いて何をするつもりなのか分からない。

 

 ただ、ジョージ神父から伝えられた『今夜中にレリックを取り戻せないと少々まずい事になる』という事が気になっていた。静刃達はその理由が薄々と気づいていく。

 

「段々と霧が濃くなってきているな…」

 

 ゾンビが数が多ければ多いほど白い霧が広がっているのだった。濃いければ濃い程、光が遮られていく。朝になってもこの濃霧が晴れていなければ日中でもゾンビは増えて進攻し続け、ドイツ中は愚かヨーロッパ全域に広がっていくかもしれない。だからいち早く残り二つのレリックを取り戻し、再生しなければならない。

 

「…あれ?静刃くん、カズキくん達がこっちに戻って来てませんか?」

「確かに…もう疲弊したのか?いや、様子がおかしい‥‥」

 

 カズキ達がこちらに向かって走ってきていた。しかし、なにやら慌てているようで必死な様子だった。神風ゾンビが沢山襲い掛かってきたのだろうかと見ていたが、カズキ達を追いかけているであろうゾンビの姿が見えてきた。ヘルメットを被り、ハーネルMP28を構えて撃ってきてるゾンビが3体、ゆっくりと追いかけてきていたのだった。

 

「ちょっと‼ゾンビが銃を使うとかダメだろ!?」

「いやお前らも銃持ってんだから撃って出ろよ」

 

 慌てだすカズキに静刃が交代する様に通り過ぎてツッコミを入れる。静刃は『バーミリオンの瞳』を発動させ右目が赤く光りだす。

 右目に相手が撃ってくるハーネルMP28の弾道がガイドされる。ガイドの通り飛んでくる弾丸を躱して、ゾンビの首に身体強化させた強烈な回し蹴りを入れる。直撃したゾンビの首は吹っ飛び首を失った体は倒れる。残りの2体は装填したトーラス・レイジングブルでヘッドショットを決める。

 

「お前等もこれぐらいや(ry」

 

 静刃は呆れながら振り向こうとしたが、タクトはチェーンソーを持ったまますぐ近くまで突っ走て来ていたので慌てて避ける。

 

「あぶねえなおい!?」

 

 警告信号が出ていなかったら間違いなく掠りかけた。焦りながら怒る静刃にタクトはテヘペロしながら謝る。

 

「いやー、メンゴメンゴ。所謂対抗心ってやつ?」

「いらねえ対抗心だ‼つか誰かこのバカからその物騒な物を没収しろよ!?」

「たっくんが飽きるまでの我慢だ」

 

 ずっと前線を張ってAK47で撃ち続けていたナオトが静刃を宥める。カズキとケイスケはこれで突撃するのが懲りたようでバールと日本刀を片付け、SR25とMP5に持ち替えて狙い撃ちながら進みだす。

 

「いやー、弾の補充役をナオトに任せて正解だったな」

「たっくんだったら間違いなく突撃して補充どころじゃないしな」

「おい、そのバカ張り切り過ぎてかなり突撃してんだけど!?」

 

 カズキとケイスケがほっとしている間にカツェがタクトが調子に乗って1人で突き進みすぎていることに気付いた。気が付けばタクトは孤立していしまいゾンビに囲まれていた。

 

「うひー!?これが四面楚歌っ!」

「たっくん!?なにやってんの!?」

 

 カズキは援護しようとスコープを覗いて狙撃しようとしたが、タクトがチェーンソーを持ってぐるぐる回転しながら動き回るのでフレンドリーファイアしそうになる。カズキは狙い撃つのをやめて怒り出す。

 

「あーもう‼たっくん、弾道の中に入ってくんなよ!?」

「あれじゃ近づけないですね…」

 

 援護しようにも急にタクトが来るのでうまくできない。というかチェーンソーを持っていることで近づくことすらできない。そんなタクトにセーラは肩を竦めながら鋭い鏃が付いた矢を何本も放った。空を切る弓矢はタクトを囲むゾンビの頭を次々に射止めていく。それを合図に静刃とアリスベルが一気に駆けて残りのゾンビを切り倒していく。

 

「お前等ほんとチームワークの欠片もねえな…」

「もう!それモーレツに危ないので没収です‼」

 

 静刃は呆れ、アリスベルはプンスカと怒りながらタクトのチェーンソーを没収した。タクトはお気に入りの玩具を没収された子供の様にションボリとする。

 

「俺のアイデンティティーがー…」

「たっくんに個性を取ったらなんも残らないな」

 

「いやそんなアイデンティティーも個性もいらねえよ」

 

 励ますケイスケにも静刃はツッコミを入れる。これ以上この4人組を前衛を任せたらこっちが余計に疲弊する気がしてきた。タクトが突撃しすぎたおかげなのが皮肉だが、かなり進んだ方だと思える。

 

「そろそろ頃合いだ。俺達が前へ出る、お前達は後ろから援護しろ」

 

「よーし背後は任せておきな!」

 

 カズキが自信満々に言うが、不安でいっぱいであった。静刃とアリスベルを先頭に、セーラとカツェが援護する形で進んでいく。後方にいる鵺と騒がしい馬鹿4人が大人しくついて来てくれるはずがないと静刃は気でいっぱいだった。そんな静刃をアリスベルは気に掛ける。

 

「静刃君、彼らが心配ですか?」

「いや‥‥別の意味で心配だ」

 

 静刃はレイジングブルで飛び掛ってきたゾンビにヘッドショットを撃ち込み少し後ろの方から走っていついて来ている連中をチラ見する。アリスベルは環剱でゾンビを両断してから静刃を宥める。

 

「今は力を合わせて目の前の敵に集中しましょう。あまり思い詰めると体に悪いですよ」

「…そうだな。この一連を片付けて、さっさとおさらばしてあいつらの事を忘れ(ry」

 

「タクティカル火炎瓶っ‼」

 

 静刃とアリスベルは思わず「「え?」」と声を揃えて後ろを振り向く。火のついたモロトフカクテルをタクトとカズキがゾンビの群れへと遠投していた。弧を描いて飛んだモロトフカクテルはゾンビに当たり、一気に他のゾンビ達へと燃え広がる。燃えているゾンビ達が悶えながらこちらに近づくので慌てて歩みを止める。

 

「もう無茶苦茶じゃねえか!?」

 

「うらー‼」

「撃って撃ちまくれ!」

 

 あっという間に前衛と合流したカズキ達は手榴弾を投げ込んだり、撃ちしだしたりとやることが滅茶苦茶であった。しまいには鵺までもが悪乗りしだして火炎瓶を投げ込んでいた。アリスベルは慌ててカズキ達に注意をする。

 

「か、火炎瓶を投げるなら早く言ってくださいよ!?」

「どうだ明るくなったろう」

「やかまわしいわ‼」

 

 ドヤ顔するナオトにツッコミを入れた静刃は深く項垂れる。こんな連中に振り回されてしまえば忘れもしないだろう。勿論、初めて彼らの戦い方を目の当たりするカツェも静刃とアリスベルと同様に焦っていた。

 

「おい、セーラ‼あいつら本当に武偵か!?武偵のくせにやる事どっかの部隊か強盗じゃねえか!?」

「カツェ、彼らに常識は通用しない…」

 

 これまで彼らの戦い方を見て来ていたセーラはどうせ彼らが勢いで突っ走り、連携どころじゃない状況にいずれなるとある程度察していた。これ以上混乱してしまえば歩みが揃わなくなってしまう。

 

「たっくん、次はどうするの?」

「全速前進DA‼」

 

 やっぱり後方でうずうずしていたのだろう、レミントンM870Pを構えてまた先頭へと走りだした。そんな気がしたとセーラは苦笑いしてまた勝手に取り囲まれないように後に続いた。ぽかんとしているカツェ達にカズキとケイスケが苦笑いする。

 

「狙撃が下手なたっくんは突撃することで真価を得るぜ‼」

「すぐ取り囲まれるがな」

 

 カズキとケイスケは突き進みすぎているタクトを追いかけて走り出していく。

 

「ぎゃっはっは‼こっちの方が楽しいじょ‼」

「この先は確かゾンビが最初に沸いた聖堂…」

 

 鵺は久々の戦闘を楽しみながら爪や術式でゾンビを切り裂き、ナオトはタクト達に向かって迫ってきている神風ゾンビをヘッドショットで仕留めながら進んでいく。

 

「ああもう‼やってやるよ‼魔女連隊の連隊長なめんな!」

 

 遂にカツェは躍起になって金メッキに装飾されたルガーP08を構えて突き進むカズキ達の跡に続いて走って行った。置いてけぼり感の静刃とアリスベルはぽかんとしていた。

 

「遠山キンジもそうだがこいつらもやばい…」

「この先も…できればあまり関わりたくないですね…」

 

 後ろを見ずに前進していたが彼らにばっさばっさとなぎ倒されていったゾンビ達はどうなっているのか気になり振り向く。ゾンビの死骸の山となっているかと思いきや、ただ白い霧が広がっているだけであり、すぐ近くに倒れているゾンビは黒い煙となって消えていっていた。死人は式術で動かされ、また一度倒されることで術は解けて消えていくようだ。それでも霧は晴れずどんどんと広がっていく。

 

「こんな悪夢みてえな戦い、さっさと終わらせるぞ」

「そうですね、私達も続きましょう」

 

 二人は互いに頷き、ノリノリで叫びながら突き進むタクト、そのタクトに怒声を飛ばしながら追いかけるカズキとケイスケとセーラ、冷静に撃ち損じたゾンビやタクトに襲い掛かるゾンビを仕留めていくナオトと鵺、そしてやけくそになっているカツェの後に続きゾンビが沸き続けている聖堂へと向かった。




 
         《《 ごり押しキングダム‼ 》 》

 手榴弾や火炎瓶を投げて突き進み…ごり押しですみません…

 ゾンビにチェーンソーといえばロリポップチェーンソーやデッドライジングとか…色々ありますね。(コナミ感

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