カオスな4人衆!?最強のSランク武偵を目指せ‼   作:サバ缶みそ味

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 ドイツゾンビ編ももうすぐ佳境に‥‥なるかなぁ(オイ

 もう魔法もあったりでハチャメチャだけど…ゾンビでハチャメチャだからいいよね!


56話

 ゾンビ達の呻き声が響く地下道を勢いに任せて駆けていく人影が三つ。地面に赤く光る魔法陣から這い出てきたゾンビをタクトが驚きながらもレミントン870Pを撃ちだす。

 

「うおっ!?マーシーis a pen!」

「マーシーイズアペン‼」

 

 咄嗟に出てきたタクトの言葉に続いてカズキもSR25でゾンビ達をヘッドショットしていく。

 

「マーシー is a penだ‼」

 

 カズキとタクトに続いてケイスケまでもが刃物を持って襲い掛かってきたゾンビを焦りながらMP5で撃ち倒していく。そして3人は「マーシーイズアペン‼」と連呼しながら前進していく。なぜマーシーなのか、静刃達は聞かない事にした。

 

「‥‥」

 

 その騒ぐ3人の後ろから撃ち漏らしを仕留めていくナオトは全くぶれずに黙々とついて来ていた。悪乗りしているカズキはナオトが乗っていないことにしわを寄せる。

 

「おおい‼ナオト、お前も乗れや!」

「そうだぞー‼乗らないお前はかくも神々しいぞ!」

 

 それならいいじゃないかとナオトは軽く返してカズキとケイスケにマガジンを、タクトに薬莢を投げ渡して先に進んでいく。遠方からM24型柄付手榴弾を掲げてこちらに向かって走ってくるゾンビにはセーラが弓を射って対処していく。セーラは矢筒に入っている弓矢の残りの本数を確認する。まだまだ進むのならば弓矢が先に尽きてしまう。

 

「カツェ、この先はどうなっているかわかる?」

「過去の資料によりゃ隠しの出入口の通路が小枝状に広がってる。でもどれも真っ直ぐ進めばベルリンに着くぜ」

 

「よっしゃ、全ての道はベルリンに続くっ‼」

 

 カズキはそう言ってノリでスピードをあげていく。正しくは全ての道はローマに通ずだがあながち間違ってはいない。前線を騒がしい4人組と鵺に任せ、静刃達が後方から続いて行くように突き進んでいく。

 

「はやく片付けてここから抜けないとな…」

 

 静刃は時間を気にしつつ走っていた。地上では魔女連隊がゾンビの掃討をやらされ、その3時間後、魔女連隊が撤退した後に爆撃をしてくるのだ。地上は愚か、この地下にまでも影響は及ぶだろう。この地下を突き進み、残りのレリックのパーツが見つかることを願った。

 

「アリスベル、大丈夫か?」

「ええ…でも、こんなに走るのは久しぶりです」

 

 静刃はアリスベルを気にかけていた。自分は黒套で身体強化はされているがアリスベルは荷電粒子砲といった相手の能力を無効化にする術式を持っているが、体力は比べて低い。彼女は心配いらないといっているが長時間駆け続け少し疲労気味だった。体力が下がっていると荷電粒子砲はうまく発動できない。

 

「こらー‼そこでいちゃつくなー‼」

「やっぱあいつらリア充だったのか‼爆発しろー‼」

 

 静刃とアリスベルの様子を見ていたカズキとタクトがプンスカしながら文句を垂らしていた。そんなこと言っている場合ではないと二人は少し焦りながら宥める。

 

「むぅ…二人が気にかけてるとおり、能力者はスタミナ切れを起こすと能力の調整もできないじょ」

「鵺の言う通り…それに矢も少なくなってきてる」

 

 鵺やセーラも言うように、辿り着く前にこちらがスタミナ切れを起こしてしまう。しかし時間も迫っているので急がねばならない。

 

「スタミナ…すたみな太郎は美味しいよね!」

「たっくん、今その話じゃない」

 

 ポンと手を叩いて自分で納得しているタクトにナオトは冷静にツッコミを入れる。ケイスケは何かいい方法がないか考えていたが思いつかなかった。

 

「こう一気に突き進めることができればな…」

「ん?一気にドーン…そうだいいこと思いついたぜ‼」

 

 一方でカズキが何か閃いたようで、目を輝かせながらカツェの方に視線を向ける。突然の期待の眼差しを受けてカツェは少し身構える。

 

「カツェの能力は水を操るんだよな?」

「あ、ああ…確かに『厄水行』っていう魔術で水を操るけども…」

 

 なぜこうも興味津々に迫って来るのか、ずいずいと迫るカズキにカツェは焦りだす。そしてカズキはポンとカツェの肩を叩く。

 

「じゃあ、波乗りもできるよな!」

「‥‥は?」

 

__

 

 地下道の広間、レリックのパーツを持っているブラックウッド卿は自分を中心にゆっくりと進んでいくゾンビを興味もなく見据えていた。このまま進めばゾンビの群れはベルリンへと辿り着き、ベルリンの町は霧に包まれていきドイツ全体、ヨーロッパ全域に広がりゾンビに埋め尽くされるだろう。

 レリックの一件は計画のほんの一かけらのようなものだがこう広がっていくのなら構わない。ブラックウッドは軽く鼻で笑った。

 

 その時、遠くから喧しい叫び声が響いてきた。後ろの通路から響いてきており、その声は次第に大きくなってきた。

 

「イヤッフゥゥゥゥゥッ‼」

「イエエエエエエエイ‼」

 

 大きな水の塊の上にカズキ達は板を乗せてウォータースライダーの如く勢いよく流れ込んできた。カズキ達はノリと勢いで、静刃達は冷静に乗り込んできた。水流を操っていたカツェはやや疲れ気味にカズキ達に文句を言いだす。

 

「あたしを足に使うとか…高くつくからな!」

 

「いやー楽しかったな、ウォータースライダー!」

「よし、もう一回やろうぜ!」

「やめて差し上げろ」

「…主犯がいるぞ」

 

 カツェの文句に4人は全く反省していないようで、残りのレリックのパーツを持っているブラックウッドの存在に気付く。

 

「いたぞ‼あいつがブラックビスケッツだ‼」

「たっくん、違うぞ。トップハムハット卿だぜ」

「…ヘンリーウッド?」

「お前等ちゃんと覚えろや。カツェ、あいつがこのゾンビを操ってる主犯のブラックウッド卿だ」

 

 ケイスケが3人の間違いをズバリと指摘する。無関心に見つめてくるブラックウッドにカツェは敵意を込めて睨み付けた。

 

「お前か…先人達の眠りを無理やり妨げて操っているファッキンでこすけ野郎は‼」

 

「ふ…魔女連隊か。まさかここまで押しかけてくるとは、なかなか面白いではないか」

 

 ブラックウッドはカツェの殺気をまるで気にしていないかのように軽く拍手をする。

 

「とりあえず私の下まで来た勇気は褒めてあげよう。だが、これ以上私の邪魔をしないで欲しい」

 

「そうは豚屋が大根おろしだぜ‼」

「『問屋が卸さない』な。そのレリックのパーツを返せ。俺はさっさと神父を殴りに行きたいんだ」

 

 カズキの言葉を訂正してケイスケはブラックウッドを睨み付ける。ブラックウッドはピクリと眉を動かし、眉をひそめてカズキ達を見る。

 

「ホームズが来るかと少しは期待していたのだが…よもや訳の分からん連中に足止めされるのは少し癪だ」

 

「へへーんだ‼ホームズに何回も捕まってるから相手にされてないんじゃないのー?」

 

 少しイラついていたブラックウッドにタクトは変顔をしながら挑発した。するとブラックウッドの額に青筋が浮かぶ。ブラックウッドは声を低めてレリックのパーツを掲げる。

 

「‥‥いいだろう。そこまで言うなら、遊んでやる」

 

 その合図とともにベルリンへと進んでいたゾンビの群れが急に回れ右をして一斉にカズキ達に向かって進んできた。カズキ達は銃を構えて一斉に撃ちだす。近づいてくるゾンビを掃討している間にケイスケは後ろにいる静刃達に大声でかける。

 

「あのM字頭を逃がすな‼」

 

「一発目、撃つじょ‼」

 

 ケイスケの合図に答えるように鵺が右目から緋箍來を放つ。緋色のレーザービームがゾンビを貫きブラックウッドめがけて飛んでいく。しかし途中で見えない壁にぶつかったかのようにブラックウッドの目の前で爆発を起こした。爆風で巻き上がる土煙から静刃が飛び出す様に駆け、ブラックウッドの顔めがけて蹴りを入れた。それもブラックウッドの前で止められてしまった。

 

「ちっ…防壁の術式か!」

「人間の癖に小賢しいことをしてくれるじょ」

 

 静刃が舌打ちをし鵺は嫌そうに睨み付ける。ブラックウッドは不敵に笑い、左手の指をパチンと鳴らす。彼の周りに幾つもの光の弾が出現し静刃達に向かって飛び出す。

 

荷電粒子散弾銃(カナビス)を撃ちます‼下がって‼」

 

 アリスベルの声に答えるように静刃と鵺は下がり、アリスベルは荷電粒子散弾銃を放った。アリスベルが放った幾つもの光弾は飛んできた光の弾と相殺していく。残りの光弾はゾンビに当たり、黒い霧へと消えていくがブラックウッドには当たらなかった。アリスベルはブラックウッドが放った光の弾を見て目を丸くする。

 

「同じ系統の術式…!?まだこの時代にはできていないはず…‼」

 

 自分達のいた2013年と比べて今現在の2009年の魔術ではアリスベルと同系統の術式はできていない。それをブラックウッドはいとも簡単に発動させた。ブラックウッドは右手にもっているレリックを掲げゾンビを盾にし、再び左手の指を鳴らす。今度は炎の弾と土の塊が幾つもの現れカズキ達目がけて飛ン行く。

 

「これやべえぞ!?」

「お前、言うなれば古に伝わりしワル落ちしたガンダルフM字ハゲエディションポッター祭でしょ!?」

「指輪物語なのかハリーポッターなのかはっきりしろや!」

「黒魔法ヤバイ」

 

 こちらに飛んできた炎の弾をカズキ達は焦りながら当たらないように駆けていく。炎の弾がカズキに向かって飛んできたがカツェが水の壁を張り、防ぐことができた。

 

「あのM字ハゲ…シャーロックみたいに複数の能力を使えるのかよ…‼」

 

 カツェは苦虫を噛み潰したような顔をしてブラックウッドを睨み付ける。ブラックウッドは光や炎や土の他に、静刃達に向けて水や風の魔術を使っており、複数の魔術を駆使していた。近づこうにもゾンビに阻まれ近づくことができない。

 

「こうなったら…みんな‼フォーメーション、地を這う芋虫作戦を行うぞ!」

「いや初耳なんだけど?」

「芋虫って常に地を這ってるよ」

「カワバンガ‼」

 

 カズキの合図に3人はバラバラに答えた。一応事前に話しておけとカツェとセーラは肩を竦める。カズキの言う作戦について時折噛んだり、途中意味が分からなかったりしたが言いたいことはなんとなく理解できた。空気を読んで時間を稼いでくれた静刃が横目でカズキに伺う。

 

「おい‼作戦会議は終わったんだろうな?」

「まっちりだぜ‼」

 

 そこで噛むなと心の中でツッコミを入れる。噛んだことに気付いておらずドヤ顔をしているカズキを見てうまくいくのかどうか少し不安になってきた。その間にもゾンビの群れが襲い掛からんと近づいてきている。

 

「よっしゃ。セーラ、一掃したって‼」

「…作戦通り、動いてよ?」

 

 セーラは少し心配な様子ながらも手をかざし、暴風を巻き起こす。次々にゾンビを吹き飛ばしていくがブラックウッドまでには届かず目の前で防がれてしまった。ブラックウッドは無表情なまま鼻で笑う。

 

「一体何の子供騙しか(ry」

 

 あざ笑おうとしたが視線の先にはパンツァーファウストを構えていたケイスケが見えた。盾にしていたゾンビ達が薙ぎ払われ、こちらが丸見えになっていることに気付く。

 

「持ってきてよかったパンツァーフォー‼」

 

 それファウスト、とセーラが言い切る前にケイスケはパンツァーファウストを撃った。弾頭は勢いよく放たれ、ブラックウッドめがけて飛んでいく。虚を突かれたブラックウッドは咄嗟に黒いマントで防ぎ、爆発と黒煙を巻き上がらせる。それでもダメージが無かったようで、ブラックウッドは大きく後ろへ下がる。

 

「この…舐めたマネを…‼」

 

「うおおおおおっ‼」

「…」

 

 悪態をついている間にタクトが叫びながら、ナオトは無言で真正面から突っ走ってきた。ゾンビを召喚させる隙を与えないためなのか、それでも隙だらけのタクトに向けてブラックウッドは炎の槍を発現させて投げつけた。

 

「ナオトー‼おねがーい‼」

「一か八かだぞ‼」

 

 焦るタクトにナオトは仕方なしに答え、タクトの前に立つと背負っていたフライパンを持ち、飛んでくる炎の槍に向けてフルスイングをした。フライパンは炎の槍を受け止め、打ち消していき赤熱する。フライパンでふさがれたことにブラックウッドは目を丸くする。

 

「ダークゴッドレッドマウンテンブラストォォォッ‼」

 

 タクトは叫びながら火炎瓶を投げ込んだ。弧を描いた火炎瓶はブラックウッドまで届かず手前に落ちて燃え上がる。どうやら失敗したようだ、とブラックウッドは鼻で笑おうとした。すると炎を掻い潜ってカズキが飛び出して来た。

 

「うらあああっ‼」

 

 意表をつかせようとしたのか、それとも勢いだけで突っ込んできたのかカズキは叫びながらSR25を構えて引き金を引こうとした。しかし、それよりも早くブラックウッドの指から放たれた一本の光の槍がカズキの体を貫く。

 

「「…‼」」

 

 それを見たタクトとナオトが目を見開くが、ブラックウッドはどんどん光の槍を発現させカズキの体を貫かせていく。

 

「…君達のヒーローごっこには付き合っていられないのだよ。私をイラつかせないでくれたまえ」

 

 ブラックウッドは冷たい視線のまま、光の槍を発現させカズキの脳天を貫いた。その時、カズキの体がぐにゃりと歪みだし、ドロドロのゲル状の塊と変貌した。

 

「バーカ。そいつは水人形(ダミー)だ」

 

 後方から声が聞こえ、振り向くとゾンビの群れの中に紛れていたカツェが中指を立ててニッと笑っていた。

 

「しかもそいつは爆泡(バオパオ)入りだぜ‼」

「なっ…」

 

 しまったと言うよりも早く、水人形は爆発を起こす。閃光と衝撃に怯み隙ができた。そしてゾンビの群れを搔き分ける様に本物のカズキと静刃が勢いよく飛び出して来た。

 

「うおおおおっ‼ダイナミックアターック‼」

「しまりがねえなおい!?」

 

 適当に名付けたカズキのタックルとツッコミを入れつつ静刃の蹴りがブラックウッドの体に直撃した。倒れたブラックウッドの手からレリックが離れ宙を舞う。静刃はそれをキャッチした。

 

「よし…‼」

「てめえは動くんじゃねえぞ?」

 

 カツェは倒れているブラックウッドの頭にルガーP08の銃口をごりごりと当てる。カズキはブイサインを出してドヤ顔をした。

 

「どうだ!俺達の力をあなばるな!」

 

「だからそこで噛むなっての」

「おいー‼カズキがやられちまったって焦ったぞ‼」

「それをやるなら先に言って」

 

 折角決まったのに3人はカズキに起こりながら文句を言いだす。これでレリックをすべて取り戻すことができた。後は修復しゾンビを鎮静化させ、爆撃を行われる前にここから急いで脱出するだけ。すると、銃口を当てられているブラックウッドは低く笑った。

 

「このっ…何がおかしい‼」

 

 カツェは睨み付けて怒りを込めて強く銃口を当てる。それでもブラックウッドは不敵に笑っていた。

 

「少し見縊っていたよ…いやはや油断をした。シャーロックや『ヒヒイロカネ』を持つ者が脅威かと思っていたが、君達の方が脅威だったようだ」

 

 負け惜しみを言うのかとカツェは殺意を込めて睨みつけた。ブラックウッドは低く笑いながら地面に手を置くと、黄色い魔法陣が発現し地震が起きたかのように揺れ出した。

 

「こいつ…まだこれだけの式力を隠していやがったか‼」

「早くそいつを仕留めるじょ‼」

 

 鵺は咄嗟にカツェに指示を出したがすでに遅く、ブラックウッドの体は霧状になって消えていこうとしていた。

 

「君達にこれだけは言っておこう…『色金』を集めようが、眷属と師団が結束して戦おうが、『十四の銀河』がある限り我々が敗れることはない…いずれまた会おう」

 

 ブラックウッドはそう言い終えると黒い霧となって消えていった。仕留め損ねたとカツェは舌打ちをするが、ここにいる以上危険である。崩落する前にここから抜けなければならない。

 

「レリックは奪い返せた!ここから出るぞ‼」

 

 ケイスケの合図に皆一斉に来た道を走りだす。地下道は揺れ続けている。後ろを振り向けば落盤を起こし瓦礫が落ちながら崩れていく。更には道中にゾンビが襲い掛かってくる。

 

「ちょ、レリックが揃えばゾンビは消えるんじゃなかったのかよ!?」

「クソが邪魔だ!」

 

 やはりここでも先頭を駆けていくカズキ達は未だに襲い掛かってくるゾンビの猛攻を避けながら道中見つけた別の出口へと突き進んでいた。焦っているタクトとケイスケにナオトは冷静に伝える。

 

「というか完全に直してないでしょ」

「おっ?ナオトのれいせきな分析(ry」

 

「つべこべ言わず走れ!」

 

 静刃が一喝してカズキ達を急がせる。出口の通路まであと僅か。もうすぐで見えてきた矢先、カツェは躓いていしまった。足元を見れば地面を這うゾンビが足を掴んでいた。崩れかける最中にゾンビの群れが襲い掛かろうとしていた。

 

「ウラー‼今助けっぞー‼」

 

 カズキがSR25でカツェの足を掴んでいたゾンビにヘッドショットを決め、駆けつけて来た。今にも崩れて落ちてきそうなところに来たカズキにカツェは睨む。

 

「馬鹿‼先に行け‼あたしに構うな!」

 

 このままだとカズキまでも巻き込まれてしまい兼ねない。それにカツェはいつでも死を覚悟して戦ってきた。魔女連隊に入っている以上、いつ自分が死ぬかわからない。こうして魔女連隊の為ならば構わなかった。しかしそんなカツェにカズキは手を差し伸べる。

 

「ダメだぞ‼皆で…脱出するんだ‼」

「‼」

 

 カズキに言葉にカツェは目を見張った。カズキはカツェの手を取りおんぶをして駆け出す。後ろから襲ってくるゾンビの群れをケイスケ達が狙い撃つ。

 

「早くしろバカ!」

「カズキー‼走れー‼」

 

「ふぬおおおおおおっ‼」

 

 カズキは全力疾走で走りなんとか追いついた。後ろから瓦礫が崩れ落ちて道が塞がっていく。あと数秒遅れていたら瓦礫の山に埋もれていただろう。階段を駆け抜け、一斉に外へと飛び出した。

 

「「「「出れたああああっ‼」」」」

 

 カズキ達は嬉しそうに叫ぶ。喜ぶ4人を他所にアリスベル達は肩で息をするぐらいに疲れだす。静刃はタクトにレリックのパーツを投げ渡す。

 

「さっさと終わらせろ」

 

「よーし‼復活!」

 

 タクトは鞄からレリックを取り出しレリックのパーツを繋ぎ合わせ高く掲げた。修復したレリックは白く輝きだした。すると遠くからポツポツと白く光る玉が上がっているのが見えた。白い玉は空へと昇るかと思いきや勢いよくタクトが掲げたレリックへと一斉に戻ってきた。

 

「すげえ…まるで蛍みてえだ」

「遠くでゾンビが浄化して消えていくのが見える…」

 

 ケイスケが目の前の光景に息を飲んでいる間にセーラとナオトが単眼鏡で遠くの様子を見ていた。所謂成仏のようなものだろうと静刃と鵺は判断した。すべてのゾンビが浄化し、白い玉となった魂が全てレリックの中へと戻っていくと、役目が終わったかのように輝きは次第に消えていき元のオブジェへとなった。

 

「完全☆成仏‼」

「もうゾンビゲーしなくても満足するほどゾンビと戦ったな‼」

 

 タクトがドヤ顔でポーズを決め、カズキはこれで終わったとにこやかに笑う。カズキの言葉にアリスベルと静刃は納得して頷く。

 

「もうゾンビは懲り懲りです」

「二度とゾンビを相手するのは御免だ」

 

 カツェは時間を確認した。爆撃をされる30分前に片付くことができた。遠方では魔女連隊が引き上げていくのが見える。やっと終わったとほっと一息いれ安心するや否や、自分はカズキにおぶされているのに気づく。

 

「お、おい‼もう歩ける!さっさと下ろせ‼」

 

 セーラは心なしかカツェが顔を赤くして焦っているようにみえた。




 
 本編のゾンビアーミートリロジーはまだまだ続いているようですが、こちらはここで〆ておきます。まさかあっちでヒ〇ラーのゾンビが出てるなんて…

ドイツ編、もうちょっとだけつづくんじゃ

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