カオスな4人衆!?最強のSランク武偵を目指せ‼   作:サバ缶みそ味

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 それほど展開はなく、準備回みたいな感じです…たぶん

 シディアス卿はあくまでスタウォーズのパルパティーン議長もといシディアスをモデルにしておりますので…あくまであっちのあれではないので(?)ええ、ほんとです


62話

「イヤッフー‼今日は漆黒の堕天使のワンマンライブ、イタリアバージョンを弾き語りするぜぇぇぇっ‼」

 

「「「「うおおおおお‼」」」」

 

 キャバッローネファミリーのアジトで夕食を取り、ボスであるディーノに事情を話すはずが何故かギターを担いで現れたタクトの突然のライブで大盛況になっていた。

 

「って、呑気にギター弾いてる場合か!?」

「へいへーい、静刃っちノリが悪いぜー!」

 

 静刃のゲンコツによってなんとかタクトのワンマンライブは未遂に終わった。

 

「ははは、タク坊のノリは相変わらずだな。その静刃達が更子さんが言ってたお友達か?」

「そうだぜ‼カズキ、ケイスケ、ナオトと別の…ニューエイジフレンドってやつ!」

「ちゃうわ‼」

 

 静刃はタクトのジョークとノリにツッコミを入れ続け、心なしか胃が痛くなってきていた。そんなタクトとディーノが仲良く会話をしている様子を見ていたセーラはただ驚いたまま見つめていた。

 

「まさかたっくんがあの『跳ね馬ディーノ』と知り合いだったなんて…」

「セーラさん、そのキャバッローネファミリーって他のマフィアと違うんですか?」

 

 アリスベル達は意気揚揚な雰囲気のディーノ達に不思議と感じていた。マフィアと聞けば物騒な雰囲気を感じるのだが、彼らには全くそんな気が感じられない。

 

「キャバッローネファミリーはイタリアでも3番目に大きく、5000もの組織を傘下に入れたマフィア。でも同盟しているボンゴレと同様に、地域の民衆を助け、ある時は武偵や警察、政府と協力し、ある時はテロリストと戦う、マフィアの中でも異質というか『善い』方のマフィアって思った方がいい」

「善いと悪いマフィアってあんのかよ…というかよく知ってるな」

 

「『颱風のセーラ』とは時たま雇ったりして協力する時があるからな。それにしても守銭奴のお前がタク坊の傍にいるなんてな」

 

 ディーノはニヤニヤしながらセーラの頭を撫でる。セーラはムッとしてジト目で睨み返す。

 

「べ、別に他の奴に雇われて無理矢理付き従っているだけ」

「照れ隠しちゃってさー。更子さんの所で務めたらどうだ?」

「うるさい。それよりも『跳ね馬』、タクトに事情を聞いたの?」

 

 ディーノに頭をくしゃくしゃに撫でられるセーラはムスッとした顔のまま話を無理矢理戻した。先ほどまで楽観的な様子だったのが一変してディーノは真剣な表情で話しを始める。

 

「ああ…丁度こっちでも色々と厄介な事が起きていてな。一つ目はバチカンの連中がコーサ・ノストラを雇って俺達とボンゴレファミリーに攻撃を仕掛けてきた」

「その件にボンゴレも動くの?」

「いや。生憎、当10代目は日本にいてな…今は門外顧問チェデフと暗殺部隊ヴァリアーが防衛を張って調査している」

「ヴァリアーの主力部隊が動いたら戦争になる…ボンゴレは硬直状態で動けないみたいだね」

 

 ディーノとセーラの会話に静刃達はついて行けずポカーンとしていた。要はマフィア間との抗争から大きな混戦どころかバチカン、宗教絡みの争いに勃発し兼ねないので両陣営とも慎重に動いているというのは何となくわかった。貘は気になっている事をディーノに尋ねる。

 

「しかし何故バチカンがその様な事を?武偵に嘘の情報を流しタクトを嘘の容疑で逮捕させようとしたり、マフィアを雇い抗争させるのだ?」

 

「バチカンに五共和国派っていうかつてイタリアを騒がせたテロリストの生き残りが潜んでいるんだ。確か…シディアスという男が教皇の座を狙っている。そいつがまずはイタリアを我が物にしようとあれやこれやと仕掛けているんだ」

 

 いかにもダークサイドにいそうな名前だと静刃は思わず口にしそうになった。口にしてしまえば横で全く話を聞いておらずギターを弾き語りしているタクトが悪乗りするに違いないからだ。ディーノの話を聞いていたセーラは首を傾げる。

 

「相手は教皇ではなく枢機卿の1人でしょ?他の穏健派の枢機卿や国際エクソシスト協会に証拠を出せば奴は下ろせるはず。なのになぜ動いていないの?」

 

「シディアスに力があるからだ。金、兵力だけじゃない、シディアス自身に強大な力が備わっている。リボーンが言うには、シディアスに【究極魔法・グランドクロス】というボンゴレリングと同じ若しくはそれ以上の力を持つ秘宝を持っているからだと聞いた」

「あの赤ん坊がそこまで言うのか‥‥【十四の銀河】はやはり恐ろしいね。というかたっくん、話を聞いてる?」

 

「勿論‼バチカンへ殴り込みに行こうぜ!」

 

 全く話を聞いておらずノリノリでドヤ顔をするタクトにセーラと静刃は頭を抱え、ディーノは盛大に笑った。

 

「ハハハ、タク坊の言う通りだな!タク坊の気持ちは分かるが、正面から行くと色々と面倒な事になるからな。まずはタク坊の親友を見つけることから始めるか。ロマーリオ、他のファミリーと連携を取ってシスター達を抑えつつタク坊の親友の行方を探らせてくれ」

 

「ボス、久々に大仕事できそうですな」

 

 ロマーリオだけでなく、キャバッローネファミリー全員がやる気に満ち溢れていた。ディーノは頷いて見上げた。

 

「この雰囲気…懐かしいな、ツナ達と共に戦った日々以来だ。さあやるぞお前等‼いつも日本に訪れるたびに世話になっている更子さんへの恩返しだ‼」

「「「「うおおおおお‼」」」」

 

 ディーノの合図とともに部下たちは威勢よく声をあげる。そんな様子を見ていたタクトは納得したかのように頷いていた。

 

「へー…ディーノさんってマグロ漁もやってたんだ」

「たっくん、そっちのツナじゃないと思う」

 

 セーラは静かにツッコミを入れる。ディーノはニッと笑ってタクトの肩を軽く叩く。

 

「タク坊、明日から忙しくなるぜ!シディアスを止めるには多くの味方を付けることが大事だからな」

「まっかせてくださいよ‼この漆黒の魔導士的破格のお安さで有名な俺のパワーで大団円ですぜ‼」

「静刃くん、タクトさんが活躍したところってありましたっけ…?」

「ねえな」

 

 ヒソヒソと静刃とアリスベルはこれまでのタクトの活躍を思い出しながら話す。あったとしてもタクトのコネの広さぐらい。

 

「それで跳ね馬。ボンゴレ以外に当てはあるの?」

「ああ、部下たちには他のマフィアと連携をとってコーサ・ノストラと師団の動きを抑え、その間に『教会』に協力を依頼する。後は…穏健派の枢機卿や国際エクソシスト協会と味方につける」

 

___

 

 理子が猛スピードで飛ばすフェラーリに乗ってどれくらい時間が経過したか、ケイスケはそんな事は気にせず窓からの夜の景色を眺め、何度目かのため息をついた。

 

「もー。ケー君、ため息つきすぎー!折角いい雰囲気なのに台無しだよー」

「どこがいい雰囲気だ。お前のくれた変装セットで、なんでお前と夫婦のフリをしなきゃなんねえんだよ」

 

 ケイスケは武偵校の制服から少し派手なハイビスカス柄のシャツを着て、金髪のカツラを被ってナウな旅行者の変装をしていた。因みにその娘役として変装しているリサは何故かムスッとしてこちらを見ており、鵺はいびきをかいて寝ていた。

 

「メディアには流れてないものの、ケー君達は師団とローマ武偵校に顔バレしてるんだから変装は当たり前じゃん。ね、ダーリン?」

「誰がダーリンだ。というか師団に付け狙われるとか心当たりが全くねえんだけど」

 

 ケイスケはため息をついてこれまでの経緯を思い出す。確かに、ドイツで眷属である魔女連隊と協力してゾンビと戦ったが、それでも無所属を通しているし師団に影響を与える事すらしていない。そうなれば師団の内部で悪巧みをしている奴がいるに違いない。

 

「師団に俺らを引きずり出そうとしている奴がいるなら…ヨーロッパの師団は足並み揃っていないんじゃないのか?」

「確かにケー君の言う通りだね。バチカンはカトリック、リバティーメイソンはプロテスタント…協力して手を組んでるけど、内心はお互いいがみ合っている感じ。内部の事情を早く知ってたら『ランペイジ・デコイ』なんてしなかったのに…」

 

 理子もこればかりは不満そうにしており、愚痴をこぼしていた。内部が仲違いしているのならば、陰でどちらかが相手を陥れようと仕掛ける。そしてそれを仕掛けたのがバチカン…つまりは今回の騒動はバチカンが黒幕となる。

 

「ヨーロッパが混戦してるならバチカンが操作してるんだろ。両陣営を疲弊させ共倒れを狙う。そして奴らにとって俺達がその計画の邪魔になるから排除させようとしている、ってところか」

「ケー君の考えている通りっぽいね。でも、それだけじゃないと思うの。ま、詳しい話は着いてからってことで」

 

 気づけばローマの街道から離れ、広い草原と森林が見え、そのど真ん中にぽつんと白い壁の塀で囲まれた建物が見えてきた。どうやらあれが理子が言っていた『教会』というようで、フェラーリはその門前に停車した。

 

 理子は携帯を取り出し、イタリア語で誰かと会話していた。携帯の電話を切ったと同時に門のロックが解除されたようで自動に門が開門した。そのまま中へ入っていき、駐車場へと駐車した。

 

「はいとうちゃーく!」 

 

 『教会』と言っていたが幾つか建物があり、すぐ近くには家庭菜園のような畑も見えた。どちらかというと田舎の小学校の様だと思われる。ケイスケは背伸びをして疲れを飛ばし、鵺を叩き起こして理子の後についていった。キョロキョロと辺りを見回すが、人という人がいるような気配が見られない。

 

「理子、『教会』には誰がいるんだ?」

「うーん…超簡単に言うと元イタリアの公安みたいな組織の人達。ごく少数だけどね」

 

 公安みたいな組織とは何ぞやと首を傾げていたが、校舎のような建物の中へ入ると入り口前にスーツを着た金髪の鋭い目つきをした男性が待っていたかのように立っていた。

 

「Ms.理子…彼が神父の言っていた人物か?」

「ええ、神父が言っていた4人組の一人です」

 

 金髪の男性はじっとケイスケを睨むように見つめてきた。鋭い視線にケイスケは押されそうになったが、咳払いをして一礼する。

 

「あのクソ神父が言ってた4人組の、天露ケイスケだ。何が何だかわかんねえから何か変な期待をされても困る」

「ふ…威圧をすまなかったな。ジャン・クローチェだ」

 

 ジャンと名乗った男性は軽く笑ってケイスケと握手を交わす。

 

「今は新右翼を監視する諜報組織の局長をしていてな…バチカンにシディアスという五共和国派の生き残りがいて、そいつを捕えようと動いている。そこへジョージ神父から似たような話を聞き、君達と協力する取引をした」

「で、俺達を助けて一緒に俺達に嘘の罪を擦り付けた野郎をぶちのめすってことか」

 

 折角のイタリア研修を台無しにし、進路に余計な影響を与えられた恨みもあり、ケイスケは怒りを込めて尋ねた。

 

「君も色々と災難に巻き込まれたようだな…シディアスを止めるには多くの味方がいる。ケイスケくん、神父から『この戦いを止められる力がある』と聞いたのだが、力を貸してくれないか?」

 

 あのクソ神父、余計な事を言いやがって、とケイスケは内心神父への怒りを唸らせていたが仕方ないと項垂れて頷いた。

 

「解決できるなら力を貸します。でも、あまり期待はしないでくださいよ?」

 

 マフィアだの、宗教絡みだの、こっちはハチャメチャすることで評定のある武偵。しかも相手は三大宗教の一つでもあり自分がどこまで敵うか分からない。そんな不安を抱えているケイスケに察したかのようにジャンは軽く肩を叩く。

 

「なに、我々が全力でサポートをする。しばらく走り続きで疲れているだろう、今日は仲間と共に休むといい」

 

 兎に角今は疲れを取って、情報を整理して次に備えて動くことが大事。ケイスケは軽く笑って頷いた。

 

「それじゃお部屋まで理子が案内するよー」

 

 こちらの苦労を気にせず理子はグイグイとケイスケとリサの手を引っ張り、休む部屋へと連れて行く。何がともあれやっと休むことはできるとケイスケは安堵のため息をついた。

 

「「‥‥あっ」」

 

 前言撤回である。理子に案内された部屋には、机で黙々と読書をしている眼鏡をかけた黒髪の少女の他にもう一人、これまでの疲れを取っているかのように寛いでいる、遠山キンジがいた。キンジとケイスケはしばらく目があったまま気まずそうに苦笑いしていた。

 

「…ど、どーも、ケイスケさん」

「…またお前絡みかよ」

 

「あ、言うの忘れてたけど、ケー君を助ける前に師団から追われる身になったキーくんを助けてたんだー♪」

「それならそうと早く言えやぁぁぁっ‼」

 

 ニヤニヤとしている理子にケイスケは容赦なくアイアンクローをお見舞いした。キンジが言うには、フランスの修学旅行Ⅱと称してヨーロッパの師団の援護をしてに来ていたのだが、そこで共に訪れていたジャンヌがいなくなるわ、フランスの拠点を襲撃されるわで大打撃を撃たれ、更には眷属に情報を流したとジャンヌとキンジに裏切り者の容疑が掛かれ逃亡していた。そんなところに理子とヒルダに助けられイタリアへ、『教会』へと逃げ込んでいたという事であった。

 

「眷属は一向に動いてねえから、内部の仕業と思ったんだが…やっぱり内部に裏切り者がいたわけだな」

「ああ、バチカンのなんかダークサイドにいそうな名前をした野郎の仕業だ。おかげで俺達も追われてる身だ」

 

「と…いう訳でバスカビールとイクシオンで手を組んで、難敵を倒そう!」

 

 ノリノリの理子にキンジとケイスケはため息を漏らす。今のところ、バチカンの五共和国派の生き残りであるシディアスが黒幕であること、彼の手によってメーヤを含む師団のシスター達は意のままになっていること、ジャンヌは眷属ではなくバチカンに攫われたということ。

 

 カズキ達は今バラバラに逃れて行っていると願うが、一日でも早く残りのメンバーを見つけ、早く解決の道へとのり出したいところだ。

 

「…あまり敵を甘く見ない方がいいわ」

 

 ずっと読書をしていてこっちは関係ないかのような様子だった少女がケイスケ達の方に視線を向けた。

 

「五共和国派は躊躇いなく人を殺すテロリスト集団…貴方達の様な生半可な武偵じゃ無理よ。それにバチカンとなればもっと無理」

 

「君は…その五共和国派とかいう連中を知っているのか?」

 

 キンジはその少女に尋ねた。と言うよりも少女の言われたことが気になっていた。

 

「キーくん、五共和国派っていうのはイタリアに根付いていた過激派もといテロリストのことだよ。3年前、イタリア全土を騒がせた同時多発テロ、新トリノ原発テロ事件を引き起こした後、根こそぎ摘発されて壊滅したと聞かれたけど…まさかバチカンに生き残りがいたなんてね…」

 

「社会福祉公社や五共和国派…たった3年過ぎただけで人は出来事を忘れられる…」

 

 少女は悲しくもそれでも仕方ないように呟いた。

 

「私はクラエス…五共和国派との戦いをずっと覚えているわ。多くの人の命を奪った相手に貴方達は勝て(ry」

 

「いやー‼やっと着いたぜー‼助かりんべー‼」

「もうへとへと…‼寝たい‼」

「ただいまークラエス!この人達の話ほんっと面白いんだけど!」

 

 クラエスの話を遮るように部屋にカズキとナオト、そしてトリエラが勢いよく入って来た。それに続いてカツェとワトソンもひょっこりと顔を覗かせる。

 

「おお‼ケイスケ、リサー‼無事だったんだな!ハッピーウレピー!」

「うるせえよバカ‼折角重要な話になる所だったのに台無しじゃねえか!?」

 

「なんで理子や鵺がいるの…?」

「カズくん達ってやっぱり空気読めないよねー…」

「お前等にシリアスは似合わない気がするじょ…」

 

「げえっ!?遠山キンジ!?」

「お、お前は魔女連隊のカツェ・グラッセ!?てかなんでワトソンもいるんだよ!?」

「あ、あははは…かくかくしかじか?」

 

「ね?クラエス、話を聞いたんだけどもあの4人組は中々やるわよ?」

「…勢いだけは認めてあげるわ。後は知らない」

 

 クラエスはため息をついて本を手に取り、再び読書に集中した。




 やっとこさパーティーが次第に集まって来ました…全員集結するまで長くなりそう(遠い眼差し)

ボンゴレもガンスリもそれぞれ原作のその後の状態ですね。色々と原作ブレイクしちゃってますが…

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