カオスな4人衆!?最強のSランク武偵を目指せ‼   作:サバ缶みそ味

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 少し短め?いや、いつも9000字ぐらいに言ったりしている時があるからもう感覚がががが(白目)

 5月は肌寒かったり、急に暑くなったり…ますます春の季節が短くなってきているような気がします(コナミ感)

 そういえばカオス4名様の武道館DVDが出るとか…早く欲しい‼


80話

 それはタクトがキッチンにハワード王子を無理矢理連れてきたことが発端であった。寝起きなのかハワード王子は物凄く機嫌が悪ようでタクトを物凄く睨み付けた。

 

「なぜ余がこんな所にいなければならんのだ。料理なぞ手が汚れる」

「甘いぜ王子!料理できる男子がもてる傾向がある。料理ができる王子ってことでキンジと差をつけアリアを惚れさせることができるぜ!」

「よし、余に料理とやらを教えよ!」

 

 王子のやる気のなさが一変、手のひらを軽々と返した。その意気やよしとタクトは張り切ってエプロンを身に着けた。

 

「してタクトよ。何を作るのだ?」

「豚汁だけど?」

 

 お前は何を言っているんだという面をしているタクトに対しハワード王子は聞いたこともないものを見るように目を点にしていた。

 

「王子は庶民の味を知る必要がある。という訳で、庶民の味で評定のある菊池タクトによる堕天使的庶民の豚汁を作るだー‼」

「なんでお前豚汁なの?」

 

 どいうわけか訝しそうにそう尋ねたカズキにケイスケとタクトは思わず吹き出した。

 

「なんでお前豚汁なのって、たっくんは豚汁じゃねえぞ」

「お前は俺をなんだと思ってんだよ!兎に角俺に続けーっ‼」

 

 タクトの指示で豚汁の調理が進められた。ナオトはひたすら黙々と玉ねぎの皮をむき、カズキが低いボイスで「目薬飲む魔神」の歌を歌いだすわ、そんなカズキをケイスケが叱るわ、王子の覚束ない手つきで人参を切っていく様をサイオンがはらはらしながら見守ったり、ジャックのナイフ捌きに感心したりとキッチンは朝から騒がしく賑やかになっていた。

 

「たっくん、御飯は炊いておいたぞ」

「ナオトさっすが‼やっぱり豚汁といえば白飯だよね!そんで…御飯にはやっぱり納豆だぜ!」

「む?『ナットウ』?なんだそれは?」

 

 王子にとっては豚汁といい、ナットウといい、初めて聞くものばかりで興味津々であった。

 

「ナットウ…それは庶民の味であり、そして男がモテル秘訣!」

「なん…だと…!タクトよ、それは誠か!?」

「たっくん、俺は沢庵がいいなー…」

 

 しょんぼーんとさりげなくカズキは言ってみたが、今日は納豆がいい!という一点張りで却下された。王子に変な知識が付くとサイオンは心配しているのだが、タクトはそんな事はお構いなしで話を進めた。

 

「日本の大和男子は誰だって食べる食材であり、遠山キンジは毎日これ食べてるからアリアや他の女にモテルのだ!」

「そうか…余もその『ナットウ』とやらを食べたくなったぞ!」

「じゃあ王子は庶民の味をより深く知るために庶民的な服に着替えなきゃね!」

 

 タクトがどういう思考をして王子にそんな事を言っているのか、サイオンは頭を抱えた。どうして服を着替えなきゃならないのか王子は困惑していた。

 

「な、何ゆえそんな事をしなきゃならんのだ!?」

「白スーツで納豆なんて似合わないぜ。じゃないと納豆も豚汁の味も一生分からねえぞ?」

「まあ納豆のにおいがつくしね」

「微妙にたっくんが正論言ってるのがなんか少しむかつく」

 

 カズキとケイスケの呟きはいいとして、ハワード王子はぐぬぬと額にしわを寄せて悩んでいたがジャックが期待の眼差しで見ていたのでやむなく頷いた。タクトは大喜びでハワード王子を連れてキッチンから出て行った。しばらくすると、武偵校の制服を着たハワード王子と白のスーツを着てドヤ顔を決めているタクトが戻って来た。

 

「むぅ…余の為だ。仕方あるまい」

「どうだ!これが菊池タクトの古に伝わりしスーパーロイヤルえらいぞマックスフォームだぜ‼」

 

「すっげー!たっくんがそれを着ると本当に七光りに見えるぜ‼」

「というかお前、その服装で納豆を食うんだぞ?」

「…本末転倒じゃね?」

 

 3人がタクトの白スーツ姿を酷評しても皆まで言うなとタクトは照れていた。これで準備もできたという事でいざ納豆の用意とのり出したのだが、リサが申し訳なさそうにしていた。

 

「タクト様、申し訳ありません…冷蔵に納豆がないようです…」

「え゛ええーっ⤴」

「そりゃあイギリスだもんな」

 

 タクトが日曜夕方6時半のアニメのキャラの様な声を上げ、ケイスケは当然だと頷く。ここはイギリス。外国であり、日本ではないので納豆がないのは至極当然である。物凄くしょんぼりとしているタクトにリサは慌ててフォローする。

 

「こ、この近くにコンビニもありますしもしかしたら売っているかもしれませんよ?も、もしくはイギリスではマーマイトという調味料があり、納豆の代わりになるかもしれません」

「よーし…ちょっくらコンビに行ってくる!」

「ちょ、たっくん!?そのままで行くのか!?」

 

 タクトはナオトの制止も聞かず、帽子を深くかぶって白スーツのまま外へ出て行ってしまったのだった。

 

___

 

「‥‥バカなの?」

 

 ここまでの流れを聞いたメヌエットはさっきまでの緊張感が嘘のように抜け、危うく車椅子からずり落ちそうになった。誘拐した犯人たちも気の毒である。ハワード王子を狙ったつもりが全く別の人物を攫ってしまったのだから。

 

「さっすがたっくんだぜ!俺達にできねえことを平然とやってのけるー!」

「痺れもしねえし憧れもしねえけどな。どうすんだ?たっくんが何処に連れ去られたのか分かんねえぞ?」

 

「そう案ずるな。もしもの時のこともあって余のスーツにGPS、探知チップが入れられておる」

 

 それならばすぐにでもタクトの追跡ができる。カズキ達はこれならばすぐに追いつけると安堵していたが、そこへリサが物凄く申し訳なさそうに手を挙げた。

 

「じ、実は…タクト様が『納豆を食べるのに邪魔だから』と言ってこれを…」

 

 リサの手のひらにあるのはGPS、探知チップそのもの。それを見たメヌエットと王子は目を丸くした。

 

「彼…本当にバカなの!?なんで余計な事をしてくれてんの!?」

「そりゃあたっくんだもん」

「たっくんだもんな」

「たっくんだから仕方ない」

「何当たり前みたいな事を言っているんだい!?」

 

 ワトソンは当たり前だみたいな顔をしているカズキ達にツッコミを入れる。これでは追跡ができない。何か手はないかと考えているとカツェが慌てて入って来た。

 

「おい‼セーラから聞いたぞ!王子が攫われたって‼」

 

「あ、攫われたのはたっくん」

 

 ナオトは軽く訂正するとカツェはやっぱりと言うように肩を竦めてため息をついた。

 

「うん、なんかそんな気がしたぜ。取り敢えず今はセーラが必死こいて追跡してる。すぐにあのバカを助けに行くぞ!」

 

「おし、たっくんだけじゃ間違いなく心配だから俺達も行くぜ!っとその前に豚汁食べたい…」

「だな。冷めたらおいしくねえし」

「たっくんが作る豚汁は美味しいしな」

「豚汁を食べてる場合じゃないでしょ!?さっさと支度していきなさい!」

 

 メヌエットは仲間のピンチよりも豚汁を優先したバカ3人にツッコミを入れる。本当に大丈夫なのか心配である。

 

「む…これは友のピンチというやつか。友を助けばアリアの好感度が上がると言っていたな…サイオン、ジャック!すぐに行くぞ!」

「殿下、流石にここは行かない方が…」

「わーい!」

 

 やる気満々になっている王子も本当に大丈夫なのかメヌエットは物凄く心配になった。

 

__

 

 コンビニへ行こうと張り切って外へ出た途端に車が止まって、黒づくめの男達に連れ去られた。一体どういうことなのかタクトは困惑したまま黒い麻袋を被せられていた。

 

 これは王子のドッキリなのか、またはた王子のパパママによる強制退去か、もしくは自分のファンの仕業なのかと理由を考えているうちに次第に眠たくなってきた。睡魔に負けたタクトはいびきをかいて眠ってしまった。

 

「…随分と余裕でおられますなぁ王子。中々公には出ない世間知らずの箱庭王子かと思っていたが変わった男だ」

 

 どれくらい眠っていたのだろうか、すっかり眠っていたら何処からか低い男の声が聞こえて眠りから薄っすらと覚めてきた。そして後ろから「起きろ!」と別の男の声と共に頭を叩かれ、その痛みで完全に目が覚めた。

 

「ここはどこ?私は誰?あ、俺は無敵だ!」

「‥‥ふざけているのか?それとも頭の打ちどころが悪かったか?」

 

「い、いえ…そんなに強く叩いたつもりでは…」

 

 低い男の声に、焦る男の声。そして鼻からにおってくる葉巻の煙と高貴な香水の香り。ここは明らかに違う所だとタクトは確信した。

 

「お前…一体誰だ!」

 

「ははは、そう焦ることはない。我々は君に会いたかったのだ」

「ははーん、つまるところ俺のファンってやつだな!サインの練習はしっかりしてあるぜ!」

「…確かに王子に会いたいと言っていたがそこまでコアなファンではない。正直な所王子よりも、007、今のボンドに会いたいのだがね」

 

 タクトの反応に困っているのか、低い声の男は少し苦笑いをしたかのような声で答えた。緊張感が全くないタクトの様子に無言で見つめているのか暫く静かになった。

 

「‥‥おい、麻袋を取れ。こいつ、本当にハワード王子か?」

 

 男の合図と共に顔に被さっている黒い麻袋は外され、やっと周りの様子が見えるようになった。タクトの考えていたとおり、周りは少し埃っぽいアンティーク調の一室で窓からは山々が見える。そして自分は黒いソファーに座っており、正面には灰色のスーツを着た青色の瞳の禿頭の男性が座っており、その男性は真っ白のペルシャ猫を膝の上に抱きかかえていた。

 

「‥‥お前は一体誰だ?」

 

 禿頭の男は渋い顔をして低い声で尋ねた。その眼はまるで目で殺さんと言うほどにジロリと睨みをきかせていたのだがタクトには全くの無意味であった。

 

「俺はアボカド王国の王子でレバガチャの王様、菊池タクトだぜ‼」

 

 ドヤ顔をしているタクトに対し、禿頭の男は無言のままじっとタクト見つめながらペルシャ猫を撫でてジロリとタクトの後ろにいる男の方に視線を向ける。黒づくめの男はビクリとして姿勢を正す。

 

「どうやら偽物をつかまされたようだな…アンドリューめ、功に焦ったか」

「あれ?おじさん、そのMI5の人と知り合いなのか?」

 

「まあな。かつてMI5のC…マックスがやっていたようにお互い利益のために手を組んでいる」

 

 禿頭の男は葉巻の煙をふかすと後ろにいる男に顎で指示を出す。黒づくめの男は懐からグロッグ19を取り出し銃口をタクトの後頭部へと押し付けた。

 

「これ以上、お前が知る必要はない事だ。王子の影武者を演じた君には用は無い」

「まあまあ、もう少し落ち着いて話をしようぜ?もしかしたらこれがきっかけで何かわかるかもよ?」

 

 状況を分かっていないのかタクトは落ち着いたまま禿頭の男に説得し始めた。そんな事はどうでもいいという視線で禿頭の男は目で指示を出す。カチリとリロードがされ、ゆっくりと引き金を引いていく。

 

 

「…彼の言う通り、もう少し待った方がいいでしょう」

 

 ふと後ろから落ち着いた女性の声がした。禿頭の男は眼だけを声がした方に向け、手で止めるように指示を出す。タクトはちらりと振り向くと、黒い軍服のようなロングコートを着たストレートロングの女性がつかつかと部屋の中へと入って来たのだった。

 

「…それはどういうことことかね、伊藤マキリ」

 

 伊藤マキリ。それを聞いたタクトは何処かで聞いたことがあるようなないようなと悩みだす。そんなタクトをほっといてマキリは静かに禿頭の男を見据えた。

 

「彼には仲間がいる。彼らは必ず助けにここにくるでしょう。勿論、貴方のお望みの007と一緒にやってくるわ」

「それはそれは‥‥嬉しいが、分からないな。このよく分からん奴の為に来るのかね」

 

 苦笑いをする禿頭の男に対しマキリは静かに首を横に振った。

 

「私も彼とは初対面なので彼らの思考はよく分からないのだけど…彼らは単純だから来るのは確か、と言うべきかしら」

 

 よく分からない根拠だと、禿頭の男は軽い溜息をついて葉巻の煙をふかしてソファーに深く腰掛ける。

 

「まあ君の言う通り、ここに来ると言うのならば飛んで火にいる夏の虫とでもいうべきか。もし来たのならば盛大にお出迎えをしなくてはね」

「…私と同じ、『N』の新参者ですが、貴方もブラックウッド卿と同じように奢らないようにしてもらいたい。ジキル博士が言ってた様に足下を掬われますよ?」

 

 マキリは軽くため息をついて禿頭の男を見つめる。タクトは話についてこれていないようでキョトンとしていた。

 

「‥‥やはり私にも分からない。何故、何を考えているのか分からない彼が遠山キンジと同じように脅威となるのか」

「そりゃあ、同じクラスメイトだし」

 

 即答して答えたタクトにマキリは一切目を合わせることなくスルーをした。それよりも今日の朝ご飯を食べ損ねたとタクトは残念そうにしていた。

 

「こいつを人質に出す、と考えていたが利用価値はあるようでないな。ここにいても意味はない。牢にでもいれておけ」

 

 禿頭の男はもう飽きたかのように黒づくめの男に指示を出す。男に無理やり立たされ連れ出される前に、タクトはムッとして禿頭の男を睨んだ。

 

「おいー‼こっちは自己紹介したっていうのにそっちの自己紹介はねえのかよ‼下敷き仲間に礼儀ありっていうだろ!」

 

 それを言うならば親しき中にも礼儀ありというのではとマキリが呟き、禿頭の男は笑い声をあげて頷いた。

 

「ははは‼面白い男だ…確かにその通りだな。私は再結成された『SPECTRE』のボス、エルンスト・スタヴロ・ブロフェルドだ。今はNに所属しており‥‥この霧に乗じて襲撃してる武装集団の黒幕だ」

 

 ブロフェルドと名乗った男に対し、タクトは納得したように頷いた。

 

「成程ね!デープ・スペクターの方なら知ってるぜ!」

「牢に連れていけ」

 

 ブロフェルドは真顔で部下に指示を出し、タクトを追い出していった。

 

「あの男がブラックウッドが警戒している男なのかね?あれには一切そのような気配が感じられないのだが?」

「‥‥」

 

 マキリは一言も答えることなく無言のまま頷いた。一方、牢に押し込まれたタクトはあの部屋にいたマキリの事を思い出そうとしていた。

 

「うーん‥‥あの女性の人、どっかで見たことがあるような‥‥伊藤マキリ、マキリ…マキワリ…マキワリマンバーワン…あっ」

 

 ふとカズキが噛んだ言葉で思い出した。確か当初の目的であった、国際武装警察になるための試練で武装検事の黒木からロンドンに逃げた伊藤マキリを捕えるように言われていたのだった。

 

「ああああっ!?あの人が伊藤マキリだったのか‼」

 

 これは千載一遇のチャンスだとタクトは思いついた。カズキ達が助けに来る前に自分が中二病に大活躍して伊藤マキリを逮捕する。そうすればさらにスーパーにあがめられると考えたタクトはフンと張り切りってきた。

 

「これであいつらを『たっくんスゴイネ』って鰯絞めてやるぜ‼」

 

 やる気に満ちたタクトはポケットから隠し持っていた黄色のトンボ玉のついたブレスレットを腕につけた。




 007シリーズより、犯罪組織スペクターのボスでありジェームズボンドの宿敵であるエルンスト・スタヴロ・ブロフェルドさん。

 シャーロックホームズvsモリアーティー教授のように、宿命の敵です。

 モデルとしては『007は二度死ぬ』でブロフェルドを演じた、ドナルド・プレザ〇スさん


 猫を愛でる悪役のパロの原点だとか

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