カオスな4人衆!?最強のSランク武偵を目指せ‼   作:サバ缶みそ味

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 MHXXにゴーストリコンに黄昏の森やスペランカー、そしてYouTubeでの放送…どんどん新しいネタが入り込んでてんやわんや(白目
 
 名言と迷言や名シーンや迷シーンが豊富ですね


81話

「たっくん…ほんとなにやってんの」

 

 濃霧がかかって辺りが見えにくい森の中で、セーラは木の上で霧の先を凝らしていた。セーラの目には深い霧を越して古めかしい大きな屋敷が見えていた。場所を把握すると矢筒に入っている弓矢の本数を確認し颯爽と木から飛び降りて華麗に着地した。

 

「で、たっくんは何処にいるかわかったのか?」

 

 木のすぐ傍で立っていたカツェがやや呆れ気味にセーラに尋ねる。彼女の後ろでは灰色の迷彩柄のボディーアーマーを身に着け何時でも戦闘が出来るとやる気満々のカズキ達もいた。彼女がタクトを追っている最中にカズキ達は大急ぎで駆けつけて来て合流できたのであった。

 

「この先に大きな屋敷みたいのが見える。たっくんはそこにいる。どうしてこうもすぐに面倒事を持ち込んでくるのか」

 

「お前、たっくんの運の良さをわかってねえな」

「幸か不幸か、たっくんが敵のアジトを見つけたということは過言ではないってことだな!」

「たっくんだから仕方ない」

 

「‥‥一発殴ってもいい?」

「セーラ、落ち着けっ!これがこいつらのマイペースってやつだ!」

 

 カツェが抑えてくれたおかげでセーラは自分のペースが崩壊するのは防ぐことができた。これが彼らの平常運転だということを思い出し一呼吸入れるとセーラはサイオンの方に視線を向けた。

 

「007もついてくるなんて珍しいね」

「タクトが攫われた場所に心当たりがあってな…あの屋敷、旧MI5の本部とされていた基地だ。かなりの年代物だが

奴等が隠れるのにはもってこいの場所だ」

「MI5?なんでたっくんを攫った野郎共がそこで隠れているんだ?」

 

 ケイスケが疑問に思っているように、国の諜報機関と今事件の犯人達が関わりがないはずなのに何故そのMI5が関わっているような感じがするのか。ましてやそのような場所に隠れているのならばすぐに見つけることができなかったのか。

 

「父が引退する前の任務でとある犯罪組織とMI5のエージェントが手を組んでいた事件があってな。それ以降MI6とは多少仲が悪かったりしつつも改正されたと思っていたのだが…ますます怪しくなってきた」

「じゃあそれも暴いて、武装集団を一網打尽にすればまた一つ事件解決ってことか。超楽勝なんですけどー!」

「その前にたっくんを助けねえとな」

「たっくんを救出しに行く班と一網打尽にする班に分かれていこうか」

 

 ナオトの提案で2つのチームに分かれることになったのだが、サイオンの周りにカズキ達が集まり、セーラがポツンと一人という状況になっていた。

 

「いやいやいや、おかしい。普通たっくんを助ける側に行くでしょ」

「お前は何を言ってんだ。たっくんだから大丈夫だろ」

「たっくんのことだからすぐにやって来そうな気がするぜ!」

「たっくんだから仕方ない」

 

「いやさっきたっくんを助けに行くとかいってたのでしょ!?どういう手のひら返しをしてるんだ!?」

 

 先程のタクトを心配していたのが嘘のようにケロッとしている3人にワトソンとセーラはツッコミを入れる。なんやかんやあって、タクトを救出しに行くのはナオト、セーラ、ワトソン、武装集団を一網打尽しに行くのはカズキ、ケイスケ、サイオン、カツェのチームに分かれることができた。

 

「ナオト、たっくんを見つける大臣に任命だ」

「たぶんたっくんのことだから何かやらかしてるかもしれねえが頼んだぞ」

 

「たっくん、何かやってなきゃいいんだけど。陽動頼んだ」

 

 ナオト達は一足先に屋敷へと向かい、霧の中へと進んで行った。彼らは迂回して裏から周りタクトを救出、自分達はその陽動として正面から、うまく合流していけばこのまま挟み撃ちにできると言う算段である。

 

「おし…あいつらは先に行ったな。あたし達も突撃するぞ」

 

「ついに余の出番というのだな!さあ行くぞ‼」

「おかあさん、がんばって!」

「…おい、ちょっと待て!?なんでハワード王子がいるんだよ!?」

 

 さりげなく紛れ込んでいたハワード王子とジャックにカツェはギョッとした。ここへ向かう際に王子には危険だから待機するようにとメヌエットは何度もお願いしていたはず。驚愕しているカツェに対し、ハワード王子は自信満々に胸を張る。

 

「なに、ここで余が活躍すれば遠山を出し抜くことができる、とケイスケ達が言っておったのだ」

「またお前等かよ!?」

 

 カツェに怒られる前にケイスケとカズキは颯爽と霧の中へと駆けだしていた。

 

__

 

 霧の中でなかなか見えることはできなかったのだが次第に近づいて行けば屋敷の全容がはっきりとしてきた。黒い鉄の門の前に黒スーツの男が2名ほどMP5を持って門番をしているのが見えた。カズキ達は茂みの中で様子を伺っている。

 

「いつでも忍んでくださいっていうほどザルそうだな‥‥」

「でもその門からくぐるのに一苦労するんじゃねえの?」

 

 苦労しないように手始めに狙撃をしておこうとカズキはSR-25のリロードをしスコープから狙いを定めようとした。そんなカズキをハワード王子は余裕綽々の表情で片手で止めた。

 

「そのような事をする必要はない。ここは余の伝家の宝刀に任せよ。サイオン、ジャック、行くがよい」

「御意」

「はーい!」

 

 サイオンの軽い承諾とジャックの元気な返事がしたと同時に二人は標的へと目にもとまらぬ速さで駆けて行った。最初にジャックが門番二人の目の前へと迫る。忽然と現れたと驚く一人のふくらはぎへと刃渡りの長いナイフで斬りつける。倒れる一人に声を掛ける前にジャックへと銃口を向けるが、サイオンがその男の側頭部へ一撃を入れ気絶させる。倒れる一人が悲鳴を上げる寸前にサイオンがその男の顎へ一撃を入れ叫ばせることなくノックアウト。カズキ達には二人の行動が一瞬で行われたように見えた。

 

「すげええっ!めちゃんこ強すぎでしょ‼」

「やっぱ007は半端ねえな。チートじゃねえか」

「ふははは!どうだ、これぞ余の実力だ!」

 

 お前はただ自慢しているだけじゃねえかとカツェは呟くようにツッコミを入れる。ただこれで相手に見つかることなく簡単に侵入できるというわけである。サイオンが門には何も細工されていない事を確認すると静かに開けて周りに何もないか見渡してからカズキ達に入るよう先導していく。

 

「カメラもねえし、ここまで見張りもいない…ケイスケ、これってかいしげっぱ!」

「はあ?快進撃ってはっきり言えや」

「いやよく翻訳できたな!?」

 

 玄関口まで難なく忍び込めたことで快進撃だとうまく言えなかったカズキの難読な言葉を一瞬で理解したケイスケにカツェがツッコミを入れる。カズキの言う通り簡単すぎるのは確かに分かる。まるで自分達が来てもいとも容易くあしらえることができると言わんばかりな程だ。罠かもしれないとケイスケは考え込むが、こちらには007や切り裂きジャック(?)もいるし、何事も起きなければいけるだろうと吹っ切れた。

 

 そう考えた矢先、ジリリと警報のベルが鳴りだした。警鐘の音は屋敷中に響き渡たり、ドタドタと部屋と言う部屋から黒スーツの男達が飛び出す様に出て、大広間へと待ち構えた途端にG36やらG3やらを構えて一斉に撃ちだしてきた。一声に飛んできた弾丸の雨にカズキ達は慌てて入り口の壁の陰へと隠れた。

 

「おいいい!?何が快進撃だ!玄関開けたら手荒いお出迎えじゃねえか!」

「ほんとにさ!誰だよ、警報を鳴らしたバカは‼」

 

 カズキがプンスカと怒って愚痴るが、ケイスケ達は一斉にカズキの方に視線を向ける。

 

「ちょ、待って‼俺じゃねぇ、俺じゃないって‼」

「絶対にお前しかいねえよ」

 

「やっぱこうなるわな…ま、あたしは悪くねえけど!」

「立場上、余に流れ弾を当てる出ないぞ!サイオン、ジャック、頼んだ!」

 

 好戦的に笑ってワルサーP99を引き抜くカツェと正反対にハワード王子は我先にと安全なもの陰へと隠れ、サイオンとジャックに任せた。このままいつものようにゴリ押していけばいいとケイスケは考えるが、一体誰が自分達の侵入に察し警報を鳴らしたのか、まさかタクトがやらかしたのかと悩んだがすぐに戦闘に集中することにした。

 

__

 

「…ナオト、何を押したんだい?」

 

 ワトソンは恐る恐るナオトに尋ねた。裏口へとうまく忍び込めたナオト達は見回りの者を気絶させた後、屋敷内に入り、薄暗い廊下を通っていた。タクトは何処にいるのかとセーラとワトソンが見回していたが、その刹那に一斉に警報が鳴り響きした。すぐにナオトに伝えようとワトソンが振り向くと明らかに何かのスイッチを押しているナオトの姿が見えた。

 

「‥‥あれ?明りのスイッチじゃないの?」

「思いっきり違うよ!?」

 

 ナオトが押したのは正真正銘、警報のスイッチ。ナオトが押してしまったせいで敵に侵入したことを知らせてしまったのだ。ワトソンは焦るが、ナオトは全く反省しておらずそれよりもやる気満々な様子だった。

 

「なに、バレなきゃ大丈夫だって」

「そ、そうだね…敵に見つからなきゃだry」

 

「いたぞぉぉぉっ‼」

 

 なんというフラグ回収の速さか。警報で駆けつけて来たようで黒スーツの男達が数人、ナオト達を見つけたや否や一斉に撃ってきた。ナオトはすかさず近くの空き部屋を蹴り開けて隠れ、ポーチからフラッシュバンを取り出しピンを引き抜き投げつけた。閃光と衝撃が響いたあと、AK47で相手の足や手を狙って撃っていった。静かになった後にワトソンを自信ありげに見た。

 

「ね?」

「いや、『ね?』って…うん、ナオトはマイペースだもんね」

 

 彼らしいとワトソンは苦笑いをする。敵に見つからないように、見つかればすぐに敵を蹴散らせるように気を配りながらタクトを探していこうとセーラは先頭になって進んで行く。床の隙間から風の流れを感知したので地下があるのは確かだ。もしかしたらタクトはその地下にいるかもしれない、とセーラが考え込んだ刹那に再び警報の鐘の音が鳴り響いた。まさかとセーラが振り向くとまたしてもスイッチを押しているナオトの姿が。

 

「‥‥なんかこう、隠し扉があるかなーって」

「…ナオト、二度とスイッチに触らないで」

 

 セーラはジト目でナオトを睨んだ。目を離したすきにやらかすのでセーラはナオトに先頭を進んでもらおうとずいっと歩み寄ろうとした。その時、がくりと落とし穴に落ちる感覚が体中によぎった。突然下へと落ちたことにセーラは驚愕して動けずそのままお尻から落ちてしまった。

 

「セーラ!?」

「?なんでこんな所で穴が開いた?」

 

 ワトソンが驚き、ナオトが不思議がるように人一人分落ちることができる程の穴がぽっかりと開いていた。敵の罠かと警戒するが、何やらお尻らへんが変な感触がした。何かと下を見ると、タクトが下敷きになっていた。

 

「た、たっくん!?」

「お、おうふ…顔面にヒップドロップとは中々やるじゃんか…」

 

 顔を赤くしたセーラは慌ててその場をどいた。顔面に直撃していたタクトは鼻血を垂らしているがそんな事は気にもならずにニシシと笑う。

 

「いやー、脱出作戦は成功だなっ!」

「というよりもここでなにしてたの?」

「ふっふっふ、俺はここから脱出するために時の部屋でスーパーベジータなサイヤ人的存在になるために長い修行をして最初の難関であるレインボーロードの番人サタンネイル木下とry」

「ふざけないでさっさと言って」

 

 ジト目で睨んで真面目に話せと急かすセーラにタクトは「これから盛り上がるところなのに…」とションボリするがすぐに自信に満ちた眼差しをして腕についている黄色いトンボ玉がついたブレスレットを見せた。

 

「俺の大魔法『UNKO VURASUTO』にかかれば牢屋なんてあっという間に脱出だぜ!そんでここから出口へと探す風来のシレン的なry」

「ナオト、ワトソン。たっくんを見つけた」

 

 長々と語りだすタクトを無視してセーラはワトソンとナオトに知らせる。

 

「よかった、たっくん無事だったんだね」

「穴を開けたのはいいけどどうやって上がるんだ?」

 

 ナオトは気になって穴から覗き込む。土台が何個かあればよじ登れるほどの高さだがそのあたりには見当たらない。タクトは首を傾げながら考え込んだ。

 

「うーん…セーラちゃんを肩車?」

「馬鹿じゃないの!?」

「部屋かどこかでロープか土台になるようなのを見つけてくる」

 

「ナオト!気を付けて、敵が来るよ!」

 

 それを邪魔するかのようにナオト達の所へ黒スーツの男たちが廊下の向こう側から姿を現し掃射してきた。ナオトは舌打ちしてAK47を撃つ。

 

「このっ…すぐに片付けるから待ってて!」

 

「ナオト、ワトソン!俺が援護してやるぜ!」

「え?それってまさか…ちょっと待って‼」

「UNKO VURASUTOぉぉぉっ‼」

 

 ワトソンの制止も聞かずにタクトは穴あき魔法を唱えた。黄色いトンボ玉が光り出した途端に二人がいるの足場にぽっかりと穴が開き、ナオトとワトソンはタクト達のいる場所へと落ちてしまった。

 

「いたた…たっくん無茶しすぎだよ…」

「たっくん、馬鹿か!?」

 

 ワトソンは尻もちをつき、ナオトはプンスカとタクトに怒りだす。そんなタクトは笑顔でナオトを宥める。

 

「まあまあ、落ち着け?ここから俺達の大脱出だぜ!」

「このままカズキ達と合流するんだよ!早く上へ行くぞ‼」

 

 ギャーギャーと騒ぎ出す二人にワトソンは苦笑いをし、セーラはやれやれと肩を竦める。

 

「…本当に緊張感が無さすぎ」

 

___

 

 もはやワンサイドゲームと言うべきか。カズキとケイスケは口をあんぐり開けて見ていた。カズキはSR-25で、ケイスケはM4で援護しつつもサイオンが前線へ駆けだし飛んでくる弾丸の雨を縫うかのように躱していき、拳と拳銃だけで相手を次々に倒していく。敵の近接攻撃も、背後からの強襲も狙撃もサイオンには無意味の様で、しかも傷つくことなく躱して反撃をしていった。彼の無双ぶりはその場で007シリーズの映画の戦闘シーンを見ているようだ。

 

「なあケイスケ、これって俺達の出番なくね?」

「殆どの見せ場がサイオンに獲られていってるもんな」

 

 流石は007、ハワード王子が慢心状態になるわけだとケイスケとカツェは頷く。このまま行けばあっという間に片付くようだが、何かしらサイオンの様子が気になっていた。黒スーツの男達が付けているエンブレムが書かれているバッチを見た途端に眉をひそめていた。この武装集団が何者なのか、サイオンは知っているかもしれない。

 

「来てくれると思っていたよ‥‥007。いや、ボンドよ」

 

 そんな声が聞こえた途端にサイオンの動きがピタリと止まった。彼が睨み付けたその先には灰色のスーツを着た禿頭の男が白いペルシャ猫を抱えてサイオンを見て不敵な笑みを見せて立っていた。そんな男を見たサイオンは更に殺気を高めて睨み付ける。

 

「お前が父の宿敵だった男…『SPECTRE』のボス、エルンスト・スタヴロ・ブロフェルドか」

 

「え?スペクター?デープの方の?」

 

 キョトンとしているカズキを見てブロフェルドはピクリと反応するや否や低く笑いだす。

 

「ふふふ…少し間の抜けた少年と同じことを言うな。君達が何を考えているのか興味を持ったよ」

 

「カズキ、あの男はちゃちなやつじゃねえ。かなりやべえぞ…!」

 

 ふんわりとしているカズキとは違って、カツェは冷や汗をかいているかのようにブロフェルドを睨み付けていた。

 

「『SPECTRE』ってのは世界に幾つもの支部を持っていたイ・ウーと同規模の犯罪組織だ。敵対国へ情報の密売、テロ、復讐や強要の為に動く組織だが、そのやり手はあたしら魔女連隊よりもえげつねえぜ」

「ブロフェルド…お前は父に敗れ、逮捕され処刑されたはずだ…」

 

 絶え間なく睨み付けるサイオンにブロフェルドはため息をついて冷めた視線で見つめた。

 

「お前の父に言っていたように、詰めが甘いのだよ。私を捕えても、私の頭脳と名声、そして力があれば容易く抜け出すことができるし組織を再興できる。お前の父は愚かだな。私を殺していればこのようなことにならなかったのだ」

「やはり…霧に乗じてのテロはお前の仕業だったのか。何が目的だ。私か?それとも殿下か?女王陛下か?」 

 

 普段のサイオンには見せない怒りの表情にハワード王子はビビりだすがブロフェルドは怯みもせずに低く笑う。

 

「目的か‥‥単純だよ。復讐(リベンジ)だ」

「復讐だと?」

「その通り。イギリスへの、007への、ジェームズボンドへの、君への復讐だ。私の野望と全てを悉く崩していった男の誇りをぶち壊す。まあ、()()()()()()()と似たようなものだから意気投合して手を組んだ、というわけだ」

 

 怒りが最高潮に達したのか、サイオンはグロッグ18Cを取り出し銃口をブロフェルドへと向けた。ブロフェルドは乾いた笑い声でサイオンを嘲笑う。

 

「さて、ボンドの息子よ。今の君に私を殺せることができるのかね?」

「父は詰めが甘いといっていたが…私は甘くはないぞ…‼」

「そうかそうか‥‥ならばやってみろ。重荷を守りながら私を止めることはできんがね」

 

 それはどういうことか、サイオンは気になったが、ずっとサイオンを見ていたブロフェルドが一瞬、チラリとハワード王子の方へと目を動かした。それがどういうことがサイオンは全てを察した。

 

「殿下、危ないっ‼」

 

 サイオンがすぐさまハワード王子を守る様に王子の前へと動いた。その瞬間、サイオンの体に大きな破裂音が響き、ハワード王子の方へと後ろから倒れ込んだ。

 

「サイオン!?」

 

 ハワード王子はまるで絶対に負けることは無いと確信していたはずなのに一瞬で負けた絶望感を抱いたような顔をしてサイオンの背の下敷きになった。ジタバタとするハワード王子をケイスケが起こし、サイオンの容態をすぐに確認した。

 

 サイオンは完全に気を失っており、胸には撃たれたような傷がついていた。幸い、防弾着を着ていたためか貫通は防げているがかなりの衝撃を受けているようだ。それよりもケイスケは警戒すべきことがあると焦りだす。

 

「一体何処から撃ってきた…!?」

 

 サイオンは銃声はおろか、銃弾さえも見えない物に撃たれたのだ。サイレンサーを装着した狙撃か、壁越しからか見回すがそのような痕跡すらもない。カズキもカツェも一体何が起こったのか焦っていた。一方のブロフェルドはつまらなさそうに後ろの方に視線を向けた。

 

「だから言っているではないか。私の事は大丈夫だから余計な事はするなと」

「…そっくりそのままの言葉で返します。貴方も驕らないでください」

 

 コツコツと靴音を鳴らして近づいてきたのは黒い軍服のようなロングコートを着た、色の薄い茶髪の長い女性だった。彼女の手には銃は持っていないし、服にも銃を身に着けていなかった。

 

「あれ?ケイスケ…あの人、どっかで見た事ない?」

「ああ、なんかそんな気がしてきた…」

 

 カズキとケイスケは警戒しつつも、あの女性がどこかで見た事があるような気がしてたまらなかった。しかし何処で見たか思い出せないでいた。そんなしわを寄せて考え込んでいる二人にその女性は静かに見つめた。

 

「貴方達が…不思議なものね。貴方達では私の下へと来ないと思っていたのですが、予想と反するのには驚きました」

 

「…あっ!思い出したぞ‼俺達が追っている『伊藤マキリ』じゃねえか!」

「お前が佐藤かコノヤロー‼」

 

 国際武装警察になるための試練として、武装検事の黒木がカズキ達に伊藤マキリを捕えるようにと言っていたのを思い出した。その対象が目の前に現れたことに驚きを隠せなかった。

 

「か、覚悟しやがれ!サイオンのたたっ、たたっ、たたきはおれがやめるぅ!」

「噛み噛みじゃねえか!」

 

 うまく言えなかったカズキにケイスケはツッコミを入れた。伊藤マキリはカズキが何を言っていたのか分かっていないようで、首を傾げていた。




 二度とスイッチに触るな‼…この名台詞には爆笑しました。
 ニンテンドースイッチのプレイ動画も中々面白い…

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