カオスな4人衆!?最強のSランク武偵を目指せ‼ 作:サバ缶みそ味
スピード感にテクニック、これCGじゃなにのと疑うほどのドライビングテクニックは息をのみますね
「走れ‼兎に角離れるぞ‼」
ケイスケが先頭にカズキ達はアルバカーキの街中を走る。思った以上にだだっ広い道路に建造物の少なさに自分達が走って逃げているのが目立つ。
「ケイスケ!このままだとすぐに見つかっちまうって‼」
カズキは焦りながらこの現状のまずさをつたえる。相手はアメリカの諜報機関であるCIA。タクトの先制で一時は撒くことができたが喜んだのは束の間、後ろから黒いスーツの男達が追いかけてきたのが見えてきた。
「くそっ‼どこか隠れるところはねえのかよ‼」
「気合い!」
「頑張る」
「こんな状況でも落ち着きすぎだろ!?」
鬼ごっこ気分なのか、タクトとナオトは楽しそうにしており今の現状を理解していないことに思わずカツェはツッコミを入れてしまった。
「たっくん、もっと煙幕投げつけてやろうぜ」
「いいねぇナオト‼もっと嫌がらせしてやろっと!」
「やめて!?これ以上あいつらを刺激したらまずい事になるから!あたしらも指名手配されるから‼」
下手にCIAを刺激したら本気で抹消され兼ねないし、自分達も指名手配されて追われてしまう身になってしまう。カツェはやむを得ないと判断し懐から水の入った瓶を取り出して投げた。瓶が割れて水が漏れだすと、その水は激流の如く量と勢いを増して追いかけてきた黒スーツの男達を流していった。
「すげーっ‼やるじゃんカツェ‼」
「最初からそれすればよかったんじゃねえか!」
「一時しのぎだ!CIAの連中はしつこく追いかけてくる!」
カツェの言う通り、一度流してやったと思えば遠くから追いかけてきているのが見えた。連中のしつこさを漸く実感したようでカズキとタクトは嫌そうな顔をし、逃走を再開する。
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CIA捜査官、ケビン・レフナーは渋ったような面をして考え込んでいた。理由は二つ、何故あのような連中が大統領専用の車に乗っていたのか。彼らが大統領と関連しているとは思えないのだがどうしても引っかかるところがある。そしてもう一つ、その連中の中にいた眼帯を付けていた少女には見覚えがある。
「たしか…あの少女は魔女連隊連隊長、カツェ=グラッセ…」
ドイツに潜む、ナチス残党からできた組織。その一員である彼女が何故このアメリカにいるのか。
「連中の仕業か…?いや、それはおかしい」
ロスアラモス・エリートであったマッシュ・ルーズヴェルト、そして彼のガイノイドであるLOOからヨーロッパの戦役は師団と眷属が停戦協定を結んだと聞いた。停戦を結んだのに魔女連隊が動くのは自殺行為に近い。もし大統領誘拐の黒幕が彼女達ならば完全消去に乗る。
「だが‥‥下手に動くべきではないな…」
突然起きた大統領誘拐事件、そしてその容疑者であるジーサードとその一味をアメリカ全土で指名手配は目を疑うものだ。副大統領の命令には従わなければならないが、本当にそうだろうかと言う疑問も抱いている。ジーサードがそのような事をするはずがない。
「この一件は分からんことばかりだ」
何故ジーサードが、何故魔女連隊がと考えるがその理由は思いつかない。もしかしたらこの事件は一筋縄ではいかないかもしれない。だとすれば全て結びつくとすればあの日本人の連中だ。彼らが手掛かりになるはずだ。
そうだとすれば、FBIよりも武偵達よりも軍よりも早く自分達CIAが彼らを捕まえなければ。ケビンは無線を繋いだ。
「いいか、彼らは殺さずに絶対に捕えろ!」
このだだっ広い街では彼らの逃げ場はない。くまなく探せばすぐに見つかる。それを自覚しているならば連中も余裕がなくなって袋のネズミになる。
「‥‥大統領。いや、マイケル。お前は我々CIAが必ず助けてやる」
ケビンはかつての戦友の無事を信じていた。あいつなら絶対に無事でいるはずだ。彼を早く見つけ出し、事の真相を突き止めなければならない。
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「まだ走るのー!もう疲れた!」
タクトはげっそりしながら喚いた。やっと街中らしい街中を走り続けているがこれでも見つかってしまうのは時間の問題であった。銃器やら大荷物を担いで走っているため流石のカズキ達にも少々疲れの色が見えていた。
「なあ一時身を隠せる場所へ隠れて撒いた方がいいんじゃねえのか?」
「俺もケイスケの意見に賛成するぜ!かくれんぼは得意だからな!」
何処からそんな自信があるのかとどや顔するカズキにカツェは苦笑いをするが、ケイスケ達の言う通り、このまま走り続けてしまってもいつかへばってしまう。
「まあへばっている時に捕まるよりかはマシだな…」
一時身をひそめてどうやってこの街から、ニューメキシコから抜け出す為にもその方法を考える必要もある。
「だがどこか隠れることができそうな場所はあるか?」
マイケルは少々困ったようにあたりを見まわした。この人数で身を隠せそうな場所を見つけるのはなかなか難しい。むしろ逆に目立ってしまう可能性もある。
「よーし、さっそくレッツスニ―キングゥ‼」
「丁度良さそうな場所が‥‥!」
まだ何処に隠れるか決めていないのにタクトとナオトがノリノリで走り出した。
「ちょ、お前等勝手に行こうとするなよ!?」
「たっくんは有言実行だからなー」
「納得してる場合か!?」
彼らに止まるという言葉がないのは既に分かっていたがまた突然に起こるのは困ったものだとカツェは肩を竦める。仕方がなくタクトとナオトが向かった場所へと後へ続いて走る。
タクトとナオトが見つけた場所は何台も車が屋外で展示されているカーショップのようだ。レンタカーかと思いきや、どの車も年代物ばかりで暫く使われてないのか土埃にまみれて汚かった。
「フェラーリ・308にシボレー・コルベット、ランボルギーニ・カウンタック。どれも年代物のモーターカーなのにこんな所に置かれて勿体ねえな…」
「ねえたっくん、ここに隠れようと思ったのはなんで?」
「ここに隠れて、撒いたところでみんなこれらの車に乗って大脱走。ね?プリズンブレイクみたいでかっこいいだろ!」
「うん、勝手に盗ったら泥棒な。つかなんで一人一人別の車に乗んなきゃなんねえんだよ。カーレースするんじゃねえぞ」
やはりタクトはそこまで考えていなかったようで詫びる様子もなくてへぺろをする。ましてやこれで撒けるかと言えば少し難しい。ここは撒いた所で別の車を探すべきかとカツェは考えた。
「コラ‼勝手に人の車に触るんじゃない!」
小さな店からずかずかと口髭を生やした少し太めの巨漢の男が怒りながら出てきた。相手が怒っているにも拘らずタクトはニッコリとスマイルをする。
「あ、丁度よかった!一台レンタルしたいんだ。7人くらい乗れるやつちょーだい!」
「お生憎様、ここはレンタカーではなくて車をメンテナンス、改造する所だ。お門違いだからさっさと帰るんだな」
しかめっ面で塩対応する男にタクトとカズキは口をとがらせて文句を言いだした。
「こんなに車を飾ってるじゃん!一台レンタルしてもいいじゃないか!」
「そうだぞー‼ずっと飾られっぱなしじゃ勿体ないぜ!」
「これは俺達の誇りであって展示物じゃない。それにお前達みたいなお子様に貸せる物じゃないんだ。分ったらさっさと帰れ」
巨漢の男に続いて同じく口髭を生やした男前な男性が虫を掃うようにしかめっ面でタクト達を追い出そうとした。
「‥‥J.J…まさか、J.J.レイノルズなのか…?」
ふと、マイケルがJ.Jと呼ばれた男を見るや否や嬉しそうに、懐かしそうに声を上げた。当の本人はフンと鼻で笑っていた。
「残念だが俺にはカップヌードルみたいな頭をした友達は知らないな」
「ああそうだった…!ほら、私だ。マイケル・セガールだ!」
マイケルは嬉しそうにしながらカツラと薄汚れた緑色のコートを取った。突然の事でケイスケとカツェはギョッとしていたが、相手の方も驚いていた。
「‥‥ま、マイケル!?な、なんでお前がこんな所に!?」
「これは驚いた…大統領が、マイケルが俺達の所に突然現れたぞ…」
J.Jと巨漢の男は目が点になって呆然としていた。マイケルは喜びながら二人の手を取る。
「久しぶりだなJ.J、ビクター。すまないが詳しいことは中で話したい」
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「そういう事があったのか…お前が誘拐されたってニュースを聞いて最初ギョッとしたぞ」
マイケルから事情を聴いたJ.Jはリサが注いでくれたコーヒーを飲みながら納得したように頷いた。
「これは…美味しいコーヒーじゃないか。お嬢さん、いい女房になれるぞ?」
「い、いえリサはこれぐらいしか…あ、あははは…」
ビクターと呼ばれた男に褒められたリサは照れながらへにゃりと嬉しそうにしていた。J.Jは苦笑いをしながらビクターを叱る。
「こら、ビクター。何時もの悪い癖が出ているぞ」
「ねえ、この人達ってマイケルの友達?」
大統領と呼ばずに普通に呼んでいるタクトにJ.Jとビクターはギョッとしたがすぐに笑いだした。
「マイケル、いつの間にか肝が据わった友達を作ってるじゃないか!大統領してる時よりも楽しそうだな」
「ふふふ…紹介しよう。J.J.レイノルズとビクター・デルイーズだ。彼らは私の旧友で、『キャノンボール』でよく一緒に出場した仲だ」
「「「「キャノンボール…?」」」」
首を傾げる4人にJ.Jとビクターはやっぱりそうなるわなと言わんばかりに頷く。
「かつてアメリカで行われた東海岸のコネチカット州から西海岸のカリフォルニア州まで市販車でどれだけ速く横断できるかっていうカーレースのことだ」
「昔は警察の取り締まりをいかにうまく躱して走るか、よくマイケルと一緒に考えて飛ばしたもんだ。今じゃ武偵も取り締まりに加わってこんなレースはできなくなってしまったがな。懐かしいねぇ」
「じゃあ外に展示されてるあの車って…」
「ああ、かつての参加者達の車さ。時代が流れようとも、このレースがあったことを忘れないようにしているのさ」
「懐かしいな…よく3人でバカをしたものだ」
マイケルとJ.Jは昔を懐かしむように外に展示されている何台もの車を眺めていた。それを聞いたタクトは羨ましそうに目を輝かせる。
「いいなー‼俺もそんなレースをしてみたい!」
「俺も俺も‼派手にかっ飛ばしてみたいぜ‼」
「カズキ、お前は二度とハンドルを握るな」
「その前に車を見つけないと」
騒がしくする4人組にJ.Jは何か考え付いたようでポンと手を叩いた。
「ただの子供達かと思っていたが、なかなかどうして面白そうな連中じゃないか。よし…決めた。車が欲しいんだろ?一台貸してやろう」
「いいの!?やったー!じゃあどの車がいいか選ぼうかなー!」
「そっちの車よりもいいのがある。その車ならCIAの追跡も、この街も、ニューメキシコ州も一気に抜け出すことができるぞ」
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「どうだ?見つかったか?」
車内でケビンは部下に状況を確認したが部下は首を横に振る。このだだっ広い街でカズキ達を探しているのだが何故か探しても見つからない。もうこの街に出たのならば既に包囲して捕えているのだが、どういう訳か未だに目撃情報すら出ていない。
「もしやこの街に身を潜めたのか?ならばなぜ見つからん‥‥」
このまま時間が過ぎてしまうと逃げられてしまう。CIA捜査官のケビンにも少し焦りが出始めてきた。そんな時、無線が鳴りだした。その無線からの情報を聞いたケビンはにやりとほくそ笑む。
「ようやく見つけたか。どうやら袋のネズミのようだな」
部下からの報告によると彼らはとある車のカスタムショップに逃げ込んだようだ。居場所さえ突き止めれば後は包囲して捕えるだけ。彼らにはもう逃げ場はない。
「いいな?多少手荒でも構わんが、生かして捕らえるのだぞ」
『了解!すぐに突入を‥‥うわっ!?』
突然の部下の驚きの声にケビンは眉をひそめた。無線からはやかましく響かせるエンジン音が大きく聞こえてきた。
「どうした!」
『が、ガレージから急に車が飛び出して…連中、車で逃走するつもりです!今其方に向かっています‼』
一体どういうつもりかと考えると、遠くからやかましいエンジン音が響かせながら近づいてくるのが聞こえてきた。まさかと振り向くと、一台の白いクライスラー・プロウラーリムジンが猛スピードで通り過ぎた。
「まさかあいつら…あれで逃げるつもりか!?」
ケビンは驚きの声を上げたが、ここで突っ立っているつもりは無い。すぐさまアクセルを踏んでベンツのスピードを上げて追いかけだす。そして絶対に逃がさんと言わんばかりに大声で部下全員に知らせる。
「連中は白いクライスラー・プロウラーリムジンに乗っている!すぐに包囲しろ‼」
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「すげえ…こいつは爽快だ!頼むぜ『キャノンボール』‼」
ケイスケは嬉しそうに声を上げてアクセルを踏みスピードを更に速めていく。これはJ.Jとビクターがいつかまた行われるレースの為にと購入して改造したプロウラーリムジン、『キャノンボール』と名付けられた車であった。助手席に座っているマイケルは喜んでいるケイスケにニッと笑う。
「随分と楽しそうだな!」
「久々にこれまでの鬱憤を晴らせるくらいに突っ走れるんだ。多少荒くなるけど文句は言うなよー!」
運転席側は楽しそうにしていたが、後部座席の方はそうでもなかった。
「せ、せまいー‼」
「り、リムジンなのにぎゅうぎゅうなんだけど…!?」
いくらリムジンとはいえ、元はクライスラー・プロウラー。リムジンであっても後部座席は少し狭いようだ。
「きゃっ!?だ、誰だ!?あたしの尻を触ったのは!?磔獄門にされてえか‼」
「あ、ごめん俺」
「か、か、かかか、カズキ!?」
カツェは顔を赤くして無言のままゲシゲシとカズキを蹴る。案の定、狭い思いをしているカズキ達には耐えられないようで次第に後部座席はやかましくなってきた。
「こ、これは狭いです…!」
「もっと広くしてほしかった…!」
「だーっ‼カズキ‼またあたしの尻を触るんじゃない‼」
「だってこの姿勢じゃそうなるもーん‼」
「ケイスケー、おなら出そう」
「うるせええええええっ‼」
嗅忍袋の緒が切れたケイスケは怒号を飛ばしながら車をとばす。今はこの街から出る事に集中しなければならないというのにこれでは集中できない。そうイライラしていると後方から何台もの黒いベンツが追いかけてきているのが見えてきた。
「もう追いかけてきやがったか…!」
ケイスケは舌打ちしてアクセルを強く踏む。相手の方もスピードを上げているようで距離を縮めて近づいてくる。連中は窓を開けてハンドガンで撃ってきた。ケビンは狙い撃ちながら部下達に無線で伝える。
「タイヤを狙え!パンクさせて車を止めさせろ!」
カンカンと弾く金属音が車内に響く。頑丈に改装されているようだがタイヤを撃たれてパンクしてしまったらこれまでの逃走が水の泡。どうにかして撒きたいが後部座席のカズキ達はギャーギャーと喧しく騒ぐのでそれどころじゃない。何か手はないかとケイスケは焦りながら考えた。
その時、赤いランボルギーニ・カウンタックが黒のベンツの間を縫うように通り抜けてきた。ケイスケ達の車に並行して走ってくると、運転席の窓がゆっくりと開いた。運転しているJ.Jと助手席にいるビクターがケイスケにブイサインを見せた。
「いい走りをしてるじゃないか!こいつをお前達に貸して正解だったな」
「マイケル、ここらは我々に任せておけ!」
ビクターは何度も小さな木箱を後方へと投げ捨てた。木箱は勢いよく割れるとそこから西洋の撒菱ことカルトロップが大量に地面にばらけだす。カズキ達を追いかけていた何台ものベンツはカルトロップによってタイヤをパンクさせられ次第に車の走行スピードが落ちてきた。
「くそっ…‼何としてでも捕える…‼」
ケビンは舌打ちしてアクセルを踏んで無理矢理スピードを出して何が何でも捕まえると言わんばかりにケイスケの車に突っ込んできた。しかし、そうはさせんと言わんばかりにJ.Jのランボルギーニが横からぶつけられ互いの車は止まってしまった。
「お前達、大統領を、マイケルを頼んだぞ!」
「いい旅をしてきたまえ!」
「おっさん、任せてときな‼」
「J.J、ビクター…すまない…‼」
ケイスケはクライスラー・プロウラーリムジンのスピードを上げてCIAの包囲網を突き抜けてアルバカーキの街を出て行った。
「‥‥完全に逃げられてしまったな」
ケビンは大きくため息をついた。まさか自分達の追跡を振り切る連中がいるなんてと思いもしなかったが、何故か悔しい気持ちは無かった。
「まさかお前が邪魔をしてくるとは思わなかったぞ…J.J」
ケビンは窓を開けて、かつて共にレースで競い合った旧友の方へしかめっ面で見つめる。J.Jはしてやったりと言わんばかりにニッと笑っていた。
「昔よく妨害してきただろ。そのお返しだ」
「お前らしい…ではあの車に乗っていたのは…彼で間違いないのだな?」
ケビンは懐かしみがらため息をついた。どうして彼はこうも喧しい連中に絡まれるのかと。
「やはりこの一件、何か裏がありそうだ」
CIAとしてこのまま彼らを追跡を続けるか、またはた追いかけずに事の真相を知るために別行動するか。CIAの手が引いたとしてもまだまだ彼らを追いかける連中はいるだろう。
「‥‥まあ、あの全く恐れを知らない連中といれば問題は無いかもしれん」
彼らはニューメキシコ州を抜けるとすれば次はテキサス州に向かうはずだ。切り抜けたとしてもまた厄介な事に巻き込まれるだろう。けれども彼らにとってはなにやら珍道中になるやもしれない気がしてきた。ケビンはふっと笑った。
激しいカーアクションとは打って変わってアメリカ版大スターカーレースとでもいわんばかりの映画、『キャノンボール』も好きです。
ジャッキーチェンもロジャームーアもバート・レイノルズも出演しているという贅沢(?)
内容はスッカスカかもしれませんが、ギャグとノリが好きで内容にこだわらずに見たら面白いです(たぶん…)