カオスな4人衆!?最強のSランク武偵を目指せ‼   作:サバ缶みそ味

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今回の3人の刺客であるスピッター、スモーカー、ジョッキー…L4D2のゾンビをモデルにしてるけど、ゾンビではなくて人間兵器にしちゃってます。(焼き土下座

スピッターは何か、サイコショッカーみたいにひょろくて
スモーカーは何か、オメガレッドみたいに腕に触手みたいなワイヤーを持ってて
ジョッキーは‥‥KOFのチョイ・ボンゲとかいう小っちゃいおっさんなイメージ(オイ


95話

「ちっ…あのいかれた博士の手先かよ!タイミングが悪すぎるっ‼」

 

 ケイスケは悪態をついて舌打ちする。カズキ達が戻ってきていない間に襲われるなんて最悪のタイミングである。下手に暴れれば野次馬が来るかもしれないし余計面倒な事になるだろう。

 

「ケイスケ、やるしかねえぞ…!」

 

 カツェに至っては既に臨戦態勢に入っており、何が何でもこの刺客をゴリ押しで戦おうとしていた。彼女の言う通り、非常にまずい状況であり、ここは戦いつつ突破口を作って抜けるしかない。

 

「ったく!やってやろうじゃねえか…‼」

 

 ケイスケは舌打ちしてガンケースからM4を取り出しリロードをする。車は既に損壊したが、バカ共が戻ってくるまでに彼らの銃器を死守することとこのめんどくさい刺客を倒さなければならない。

 

「‥‥さあ狩りの時間だ」

 

 最初に動いたのはスモーカーだった。腕を撓るように動かし、腕に巻きついている太く先端の鋭いワイヤーがまるで意思でもあるかのように触手の如くうねり、ケイスケに襲い掛かる。

 

「そんなにアグレッシブなのかよ!?」

 

 ケイスケは焦りながら転がるように躱した。彼がいた場所の地面にワイヤーは突き刺さりボッコリと穴が開く。先端に刺さると体に風穴があくとケイスケは戦慄する。

 

「ケケケケケッ‼」

 

 背の低いガスマスクを付けた男、ジョッキーが不気味に笑いながら壁伝いに駆け出す。ケイスケとカツェの頭上を通り過ぎるとリサに向かって飛び掛りだす。

 

「ケケッ!先ズは弱イ女からダっ‼」

 

 両手につけている鋭い刃が付いた鉤爪をリサに向けて振り下ろす。しかし、ケイスケが飛び掛ろうとしているジョッキーに向けてM4で掃射したため未然に防ぐことができた。ジョッキーは防御したまま明後日の方向へと着地をしてケイスケを血眼で睨む。

 

「っ‼テメエ、痛てぇダロウガ‼」

「うるせーチビクズが‼俺らのリサ御大を狙おうなんて100万光年はやいんだよ‼」

 

 ケイスケは怒号を飛ばしながらジョッキーに向けて中指を突き立てた。そんな怒れるケイスケにスピッターは手を向けた。彼の手から、いや袖の隙間から緑色の液体が勢いよく放たれた。

 

「させるかよ‼」

 

 カツェが懐から水の入った小瓶を取り出し蓋を開け、水の弾幕を勢いよく飛ばす。緑色の液体とぶつかり辺りに緑色の液体を散らばせた。付着した場所は炭酸水のように発泡しつつ異臭を漂わせる。スピッターの放つ強酸性の液体はアスファルトを溶かすことはなかったが錆びたフェンス、ケイスケ達が停めておいた車といった金属の物は溶かしていく。

 

「ちっ…こいつはまずいな」

 

 カツェは残りの小瓶を確認しながら低く唸る。カツェはニューメキシコでのCIAの追跡を撒くために結構な数の小瓶を使った。肝心の水の補充はカズキ達に任せていたのだが彼らが戻ってこない限り底をついてしまう。ルガーP08でも戦えるが相手はジキル博士の人間兵器、苦戦を強いられるのは間違いないだろう。

 

「単体の攻撃では埒があきませんね‥‥」

 

 スピッターがふむと頷いた。するとスピッターは両手の袖の隙間から強酸性の液体を放ち始めた。飛んでいく液体はケイスケ達を狙わず彼らのサイドへと撒き散らしていく。発泡する液体から放つ異臭が辺りに漂いだす。

 このまま異臭を撒き散らせて苦しめさせるのかとケイスケは鼻をつまんで警戒していたが今度はスモーカーが腕を撓らせワイヤーを触手のように蠢かせ辺り構わず壊しながら近づいてきた。ケイスケはそれでも構わず迎え撃とうとM4を構えるがカツェに止められた。

 

「ケイスケ!ここに長居すんのはまずいぞ…!」

 

 カツェの言う通り、先ほどの異臭のせいでリサの表情が青ざめていた。秂狼の為、彼女の鼻は人の何倍も利くのだ。この異臭は堪える。スピッターが強酸性の液体を撒き散らし、スモーカーがこちらの逃げ場を作らせまいと辺りをロープのような太いワイヤーで壊しながら近づく。

 

「くそっ追い込むつもりかよ…!」

 

 ケイスケは悪態をつくが、チラリと横目で逃げ道がないかを見ると、先ほどスピッターの酸性液で金網フェンスが溶けて丁度いい抜け道ができていた。ケイスケはすかさずポーチからフラッシュバンを引き抜いて投げ込んだ。

 

「後ろを見ないで突っ走るぞ‼」

 

 ケイスケは投げて怒号を飛ばしてすぐにリサの手を取り。カツェと共に駆け出した。閃光と衝撃音が響いても相手が怯んでいるかどうか、確かめる暇もなくフェンスが溶けてできた抜け道へと走る。

 

「ケイスケ様…申し訳ございません‥‥」

「構わねえよ。兎に角今はあのバカ共が来るまで只管死なねえように頑張るだけだ」

 

 しょげるリサをケイスケは励ましつつ駆けていく。早く戻って来いと願っているが、今は細くなっていく路地の道を只管走るしかない。

 

「ケケケッ‼遅い!遅いゾ!」

 

 後ろから耳障りな不気味な笑い声が響いた。チラリと見るとジョッキーが壁伝いに駆け、壁を蹴りながら一気に迫って来ていた。

 

「このっ、ヒョロチビ野郎が‼」

 

 ケイスケはリサをカツェに任せ、ジョッキーに向けてM4を連射する。狙い撃っているのだがジョッキーは素早く、壁を駆けて躱していく。

 

「ちょこまかしすぎだろ!ゴキブリかてめえは!?」

 

 ケイスケはイライラしながらM4を撃ち続けた。躱していくジョッキーは壁を蹴るとケイスケの頭上めがけて飛び掛って来た。襲い掛かるジョッキーの急襲をケイスケは慌てて躱すが、着地したジョッキーがケイスケの懐めがけ飛び掛かる。

 

「危ねえっ!?」

 

 ケイスケはギョッとして後ろへと倒れそうになったが、カツェがすかさず水の弾幕を飛ばしてくれたためジョッキーの鉤爪を弾かせることができた。受け身を取って立ち上がるが奥からワイヤーがうねりながら襲い掛かり、強酸性の液体がこちらめがけて飛んできた。

 強酸性の液体はカツェの放った水の弾幕で防ぐことができたが、ワイヤーは防ぎきれない。ケイスケ達は屈んで路地裏に置かれている大きなゴミ箱の陰に隠れた。

 

「くそっ…!どんどん追い込んできやがる…」

 

 駆けている道は狭く的になりやすい。わざとこの道に行くように仕掛けたのかもしれない。カツェも悪態をつきながらルガーP08をリロードする。

 

「ケイスケ、悪いがさっきの水で小瓶は最後だ」

「弾丸がありゃなんとかなるだろ‥‥この道はまずいだろうな」

 

 猛攻をしのぐ中、ケイスケ達は辺りを見回す。どこかここから抜けることができる場所はないか必死に目で探した。ケイスケは古く朽ちかけの木製の扉の付いた大きな廃屋が見つけた。そこから入り込んで抜け出ることができるかもしれない。見つけて動こうとしたその刹那に強酸性の液体が大きなゴミ箱にかかり溶けだした。

 

「向こうへ駆け抜けるぞっ‼」

 

 ケイスケは二人を守りつつM4をスモーカーやスピッターのいる方へと撃ちながら駆けだした。スモーカーのワイヤーが鞭のように撓りながら襲い掛かる中を駆け抜けて朽ちた扉を蹴り開けて転がり込む。長いこと使われていない為か埃が咽る程舞っており、真昼間のおかげか内部は薄く明るい。

 

「二人は先に出口を。こっちは時間を稼ぐ!」

 

 ケイスケは残りの弾数を確認しM4をリロードする。いつもの様に『ゲロ瓶』で追い返してやりたいが、相手はその対策をしているのかガスマスクをつけている。フラッシュバンもスタングレネードもニューメキシコでCIAの追跡を逃れるために使いすぎた。グレネードのほとんどはタクトとカズキに預けてしまっている。銃一丁で3人の攻撃を凌げることができるかどうかと悩みつつM4を撃ち続けた。

 

「ケヒヒヒッ!そこダゼェッ‼」

 

 物陰から不気味な笑い声を響かせながらジョッキーが襲い掛かってきた。体格が小さく、すばしっこく動き視界の外から、死角から襲い掛かってくるためケイスケは油断していた。突然の事にすかさず銃口を向けたが既に遅くかった。

 

「っ!?しまっ…」

 

 ジョッキーが飛び乗りケイスケは後ろへと倒れた。起き上がろうと動くが小柄の癖に力が強く抜けることができない。ジョッキーは身動きができないケイスケに向けて鉤爪を振り下ろそうとした。

 

「ケイスケ様!耳をお塞ぎください!」

 

 その時、リサがケイスケに大声で叫んだ。ケイスケはリサの方を見ると、彼女の手にはルガーLCPが握られていた。アメリカに来る前にメイドのリサには銃を持たせるべきではないと考えていたが、アメリカでまたひと悶着が起きるかもしれないし、『N』の連中が狙ってくるかもしれないという訳で護身用にと念のため渡していた。

 なぜ耳を塞がなくてはならないのかと疑問に思っていたが、直ぐにその理由がわかった。ケイスケはリサが引き金を引いたと同時にすぐさま耳を塞いだ。リサがルガーLCPで撃った弾丸はジョッキーに当たることなく飛んでいくが、ジョッキーの傍を通過した瞬間に弾丸が破裂、それと同時に高い金属音が響いた。

 

「ギョアッ!?」

 

 ジョッキーは小さく悲鳴を上げて怯みだす。その隙を逃さないようにケイスケは勢いよく起き上がってジョッキーを蹴り飛ばした。

 

「ふー…武偵弾も使えるっちゃ使えるな」

 

 ケイスケはほっと一安心するように息をつく。武偵弾は武偵校で支給される、普段の使われる銃弾よりも殺傷力を低くした弾丸である。殺傷力が弱く、決定打には欠けるが、閃光弾の役目を持つ閃光弾(フラッシュ)、煙幕を出すことができる煙幕弾(スモーク)、当たった場所で炸裂する炸裂弾(グレネード)といった改造された弾丸がある。そしてリサが撃った武偵弾は音響弾(カノン)といい、高音を発し相手を怯ませる弾丸である。

 

「よし、このまま一気に抜けry」

 

 すぐに動こうとした瞬間、ケイスケの足の太いワイヤーが絡みつく。ケイスケの足を捕えると一気に引きずり込んでいった。

 

「うおおおおっ!?まじかっ!?」

 

 ケイスケはすぐにM4を撃とうとしたが今度は勢いよく引っ張られ壁へと叩きつけられた。その衝撃でM4を手放してしまい、更に引きずり込んでいった。その先にはスモーカーとこちらに強酸性の液体を放とうとするスピッターの姿が見えた。

 

「まずは1人、始末できそうですね‥‥!」

 

 ガスマスクで顔が見えないが、明らかにほくそ笑んでいるのがわかる。このままではまずいとケイスケは焦りながら手探りでポーチから手榴弾がないか探す。

 

「もう遅い…‼」

 

 スピッターがケイスケに手を向けて強酸性の液体を放とうとした。

 

「Yehaaaaaaaaaaaaaaaaaっ‼」 

 

 その時、どこからともなくやかましい声が響いた。どこから響いたのかケイスケは状況にも構わず辺りを見まわす。その声は段々と近づいてきており、こちらに近づいたと同時にケイスケのすぐ傍にあった壁が大きな穴を変えてぶち抜かれたと同時に金髪のグラマラスな女性が飛び出して来た。

 

「Fooっ!やっぱり近道はこうでなくちゃね!おっ、いつもプンスカしてそうな顔‥‥やっと見つけた!貴方がケイスケね?」

 

「えっ、ちょ、誰ぇ!?」

 

 いきなり現れて、いきなり名前を尋ねられて状況にも構わずケイスケはギョッとした。

 

「イヤッフーッ‼さすがヤン姐さんだぜぇ!」

「近道をするなら壁をぶち抜けばいいぜ!」

「やっと追いついた‥‥」

 

 その金髪の女性の後ろで喧しく聞き覚えのある声が聞こえた。彼女の後ろにはタクト、カズキ、ナオトの姿があった。そして3人の後ろには大統領と何故かカメラを持っているおっさんの姿が。

 

「お前ら…っ!」

 

 目を丸くしているケイスケにタクトはドヤ顔でガッツポーズをした。

 

「ケイスケ!助っ人を連れてきたぜ‼」

 

___

 

「え、助っ人って…誰この人!?あとそこのおっさんは何者だよ!?」

 

 ケイスケはどうして助っ人がいるのか、その助っ人は一体何者なのかと戸惑っていた。そんな慌てふためくケイスケにヤンはクスリと笑った。

 

「やっぱりたっくんは言ってた通り、面白いわね!それじゃあ‥‥」

 

 ヤンは一息入れてスピッターとスモーカーの方へと不敵な笑みを見せ、拳を構えた。ヤンの両手には黄色い籠手がついている。

 

「そこのお邪魔虫をさっさと片付けておこうかしらね!」

「ヤン、あまり派手に壊すんじゃないぞ。いい画が撮れないだろ?」

 

 好戦的なヤンに対し、フランクは渋そうな面をしてカメラを持つ。そんなフランクにヤンはニシシと笑った。一方、新手が増えたことにスピッターとじっとしたままこちらを見ていた。ケイスケの拘束を解いたスモーカーが横目で伺う。

 

「‥‥どうする?獲物が増えたぞ?」

「数が増えてもやる事は変わりありません…ごちゃごちゃしている間に始末してやりましょう」

 

 スピッターはすかさず強酸性の液体をヤン達に向けて放った。それを見たケイスケは怒号を飛ばす。

 

「ぼさっとしてたらヤバいぞお前等‼あれは強酸性の液体で当たったら溶けるぞ‼」

 

 カズキ達は慌てて下がるが、ヤンは好戦的な笑みのまま飛んでくる液体をひらりと躱した。そのまま躱したヤンに向けてスモーカーがワイヤーを鞭のように撓らせて放つがそれも軽々と避けていく。

 

「すげえーっ‼まるでSASUKEだぜ‼」

「たっくん、そのたとえよく分かんない」

 

 華麗に相手の攻撃を避けるヤンの様をタクトは目を輝かせ、ケイスケは冷静にツッコミを入れた。

 

「ケヒヒヒッ‼隙だらけだゾォッ‼」

 

 軽々と避けていくヤンの背後からジョッキーが飛び掛ってきた。鉤爪の刃を向けて切り裂こうと振り下ろすが、ヤンはひらりと身を躱すと、力を込めた拳をジョッキーの顔面に思い切りぶつけた。

 

「ギョピッ‥‥!?」

 

 小さな悲鳴を上げたジョッキーはヤンに殴り飛ばされ、壁にギャグ漫画によくある人型の穴を開けてぶっ飛ばされていった。

 

「Too easy‥‥!」

 

 ヤンはフンスと鼻で笑う。そうしているとヤンの腕に太いワイヤーが絡みつく。スモーカーがそのままヤンを引きずり込んでやろうとしたが、動かない。ヤンが力を込めて引っ張っているのだ。

 

「そんな遠くで突っ立ってないで…こっちに来たらどう‼」

 

 ヤンがワイヤーを握り思い切り引っ張った。引っ張られる力が強く、その勢いでスモーカーは引っ張られ一気にヤンの下へと引き込まれた。懐まで来るとヤンは力を込めてスモーカーに向けてボディーブローをお見舞いした。もろにくらったスモーカーが怯むと攻撃の隙を与えないかのように拳のラッシュを放ち、フィニッシュに顔面を殴り思い切りぶっ飛ばした。

 

「す、すげえ‥‥」

 

 ヤンの無双っぷりにケイスケは口をあんぐりと開けていた。

 

「ッ!小癪なっ…!」

 

 スピッターはすぐさま次填の強酸性の液体を飛ばそうと構えていたが、こちらに向かってフランクが突っ走て来ていたのが見えた。

 

「ちょ、あのおっさんあぶねえぞ!?」

「ケイスケ、大丈夫さ。フランクさんは最強のジャーナリストなんだぜ?」

 

 タクトがうざったい程のドヤ顔でケイスケを落ち着かせる。どこがどう最強のジャーナリストなのか意味が分からないとケイスケは心の中でツッコミを入れた。雄叫びを上げながらこちらに向かって走ってきているフランクにスピッターはふんと鼻で笑う。

 

「ふん…闇雲に来ても無駄ですよ…!」

 

 狙いを定めてフランクに向けて強酸性の液体を放った。しかし、フランクは前転をして攻撃を躱す。スピッターがその様に驚いている間にフランクはスピッターに迫り、ボディーブローを入れた。怯んだスピッターに背負い投げをして倒すと、こんどはその両足を掴んでジャイアントスイングをした。

 

「うおおおおおっ‼ジャーナリストなめんなぁぁぁっ‼」

 

 

「…カズキ、あのおっさん本当にジャーナリスト?」

「そうだぜ!世界最強の戦うジャーナリストなんだぜ!」

 

 カズキもタクト同様にうざったいくらいのドヤ顔をする。倒れるスピッターにジャーマンスープレックスを決めたフランクを見てケイスケはジャーナリストとは一体何だったのだろうかと考え込んでしまった。

 

「この‥‥なめry」

「うおおお!レッドマウンテンボディブラストーッ‼」

 

 倒れてぷるぷると震わせながら起き上がろうとしたスピッターに向けてタクトは思い切りボディプレスをした。スピッターは「ぎゃふっ」と情けない悲鳴を上げて気絶する。タクトとフランクはテンション高くハイタッチを交わした。

 

「皆様…‼よかった、ご無事でしたのですね!」

「ったく…お前等来るの遅いぞ!」

 

 漸く戦闘が終わり、リサとカツェはカズキ達が戻ってきたことに安堵をした。そんな二人にフランクはすかさずカメラを構えてシャッターを押す。

 

「んー…ファンタスティーック!いい表情だ」

 

「おい、誰だこのおっさん」

 

 カズキは戦うジャーナリストとテキサスの武偵であるヤン・シャオロンの紹介をし、彼らも大統領の護衛を協力してくれる事を話した。リサはペコリとお辞儀をし、カツェは思い出したかのようにフランクに指をさす。

 

「思い出した!あんた、魔女連隊のアジトに忍び込んで内部を滅茶苦茶にしたあのゴリラカメラマンか‼」

「まあ昔の事は水に流してくれ。この一件はいいネタになる。いい画が撮れるまでついて行くぜ」

 

「いやーこれで合流できたね!それじゃあ行こうぜ‼」

 

 刺客を無事に倒し、ケイスケと合流できたとタクトは張り切る。頼もしい味方も増え、このままテキサス州を抜けて目的地のオクラホマ州へと行ける。

 

「おいたっくん。ちょっと待てや」

 

 そんな張り切っているタクトにケイスケが声を掛けた。タクトは振り向くと、そこにはカズキとナオトにアイアンクローを入れながらにこやかにしているケイスケの姿が。

 

「け、ケイスケ…な、何かなー?」

「お前ら‥‥集合時間の事、すっかり忘れてただろ?」

 

 30分までに買い物を済ませ集合すること、事前にケイスケはタクト達に話していたが彼らはすっかり忘れてしまっていた。そんな怒りのオーラが漂っているケイスケにタクトは視線を逸らしながら口笛を吹く。

 

「お、終わり良ければ総て良しだぜ‼」

「よくねえよ‼」

 

 ケイスケはタクトに思い切り頭突きをかました。タクトはのたうち回り、カズキとナオトは地面に突っ伏す。そんな4人のやり取りにヤンは腹を抱えて笑った。

 

「ははは‼やっぱり、あなた達って面白いわね!」

「はあ…この先本当に大丈夫なのか…?」

 

 カツェは少し心配しながら肩を竦めてため息をつく。セーラがどれだけ苦労しているのか何となく分かってきた。ずっと気になっていたことを大統領のマイケルがケイスケに尋ねた。

 

「そういえば…車はどうなったんだい?」

「それが連中に壊されてしまったんだ」

 

 刺客を倒すことができたが、肝心の車が壊されてしまいテキサス州を抜ける手段がなくなってしまった。どこかレンタカーを借りれる場所を探すか、別の手段を見つけるしかない。そう考え込むケイスケにヤンは気さくに笑いかける。

 

「そう心配しなくていいわよ。こんな時はフランクさんに任せとけば万事オッケーよ!」

「ああ、車がいるなら丁度いいキャンピングカーがある。それに乗って行けば簡単にオクラホマ州へ行けるぞ」

 

 キャンピングカーと聞いてカズキとタクトは目を輝かせてはしゃいだ。

 

「マジでか!?キャンピングカーだやったー!」

「うおおおっ‼キャンプができるよ!」

 

 一応これで移動の手段ができ、オクラホマ州へと向かうことができる。カズキとタクトは大喜びし、ナオトとケイスケはほっと安堵の息をついた。しかし、大統領のマイケルはどこか憂いがあるのか少し不安そうにしていた。そんなマイケルの様子にリサは不思議そうに首を傾げる。

 

「大統領、どうかなさいましたか?」

「いや、何でもない…ただ、オクラホマ州にいる旧友が元気でいるかどうか気になっただけだよ…」

 

 大統領は微笑んでいたが、やはりどこか心配気味な様子でリサは気になっていた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

___

 

 

「おやおや‥‥スピッター、ジョッキー、スモーカーがやられてしまったようだね」

 

 航空機で移動している中、ジキル博士はポップコーンを頬張りながらパソコンの映像を見ていた。ジキル博士は部下達がやられたことには全く気にしていないようだ。

 

「まあ、3人のおかげで大統領がどこで油を売っていらっしゃるかわかったよー!」

 

 ジキル博士は喧しそうに奥の豪勢な座席で寛いでいるネモに呼びかけた。ネモは眠っていた最中だったのか不機嫌そうにジキル博士を睨み付けた。

 

「そうか…」

 

 ネモはそう呟いただけでそっぽを向いた。そんなネモにジキル博士は無邪気な子供のようにニヤニヤしながら話を進めた。

 

「あの連中、今テキサス州のアマリロにいるみたいだよ。たぶんーこのまま行くと‥‥次はオクラホマ州へ行くみたいだね!」

 

「そうか‥‥ふん」

 

「おやおや?ネモ、少し楽しそうだね?」

 

 ジキル博士はネモがどこか機嫌良さそうに笑っるように見えた。そんなジキル博士の視線に気づいたのかネモはジロリと視線を向ける。

 

「連中がどうしてそこへ行くのかがわかった‥‥それと、お前が高評価している例の4人組に会ってみたくなっただけだ」

「あれま、ネモ自身があの4人組に会いに行くんだねー…これはあいつ等詰んだかな?」

 

 ジキル博士は喧しく喚くが、ネモは無視して瞼を閉じて眠ることにした。

 

 正直のところ、少し興味が湧いてきた。【十四の銀河】の4つの秘宝のうち2つを奪還し、伊藤マキリを一度退けた。遠山キンジと違い、別の意味で不可能を可能にする力を持つ4人組が一体どんな連中なのか。

 

 

 




 スピッターは強酸性の液体で相手を溶かし、スモーカーが触手みたいなワイヤーで攻撃し、ジョッキーは隙や相手の死角から急襲する…という連携にする予定だったんだよ
(´・ω・`)
 どうも戦闘描写が上手くできなくてワンパンになっちゃったよ…スマヌ

ようやくネモさんが重い腰を上げたようです…

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