NARUTO~行商人珍道中~   作:fall

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プロット並びに構成を練る前に書いた最後の文です。以降、改訂が入る恐れもあります。
なお、今話以降は不定期の更新と成ります。より良い作品にするためご協力とご了承ください。


9 忍術に必要なモノ

NARUTO~行商人珍道中~

 

9 忍術に必要なモノ

 

 

 

 

 待ちに待った今日という日を遠足前の子どものようにワクワクと胸を膨らませながら、長い夜を悶々と過ごした。

 

 おかげで目は一段と増して、薄く、細くなりキツネ目と呼べるくらいの眠気まなこと化していた。……眠い、ただひたすらに眠い。こんな事では、撫子の授業中に居眠りをしてしまう。それに、眠るとまた、悪夢を見てしまいそうで怖いんだ。どんなに手を伸ばしても届かないハクが再不斬に首切り包丁で斬殺される悪夢を。

 

 朝っぱらから暗い気持ちになるが、それではいかんと目を覚ます為に冷水で顔をごしごしと洗い、両の手で顔を一本締めの要領で叩いて気合を入れる。さて、行くとしよう。

 

 

 

 

 

 

 やってきたのはタンバの街から出て、北に少し歩いたところに有る雑木林だ。ここならば、人目に付くことは少ないだろうとあらかじめ撫子が下見と木を引っこ抜いて簡易的な広場を作成して置いてくれたのだ。

 

 簡単に木をひっこぬくって本当にどんな怪力をしてるんだろうか。見た目は筋肉とは無縁そうな綺麗な肢体をしているのに、何処からそんな力が……ああ、そうかチャクラを応用しているのか。

 

 便利だよな、チャクラ。忍術を初めとした、強力な現象発生に加えて、手や腕に集めて使えば木なんて紙同前に貫ける位の力を手に入れられるんだし。足に込めれば、手を使わずに歩いて木を上ることも出来て尚且つ、水面も歩くことも出来るんだから。

 

 やばい、本気で便利すぎんだろチャクラ。そりゃあ、一般人が如何こうできる訳ない筈だ。そんな益体もないことをだらだらと頭の中で垂れ流していると目的地である広場に着いた。既に撫子はスタンバイしており、俺を今か今かと待ち構えていた。

 

 少し、イタズラしてやろうとストレージから≪かくれみの≫を取り出して、頭から外套のように被る。これを簡単に説明すると某丸メガネの少年魔法使いが幾度か使用したことがある≪透明マント≫に似た代物である。とは言え、このかくれみのは時間制限付きなのであるが。

 

 かくれみのを被り、こっそりと撫子の後ろ側へと移動していく、ジリジリと近づき、肩に手が触れそうになった瞬間、俺の体は宙を舞っていた。

 

 

 

 何のことはない。ただ、背負い投げの様に腕を掴まれそのまま投げられたのだ。ドスンと体が地へと叩きつけられる音と衝撃を受けその拍子に剥がれたかくれみのは消滅する。布が消えたことにより下手人の姿が露になる。当然、布で己が体を隠していた人物つまり俺は此方をゴミでも見るような目を向けてくる撫子に冷や汗をダラダラと流した。

 

「何をしている?アマミヤ」

 

「ええと、何してるんでしょうね?」

 

「質問に質問で返すなと親や師から習わなかったのか?」

 

「すみません、少し、イタズラしようかと」

 

 イタズラと言う単語が撫子の耳に届くや否や撫子の顔は凄く良い笑顔を此方に向けた。拙いこれは、ブチギレ一歩手前の笑顔だ。間違いない。

 

「ほう、この私にイタズラをしようとしていたと?制裁を加える前に一応、聞いておいてやろう。何故、その様な低俗な行為を行おうとしていたのかを」

 

 下手なことを言えば殴られるだろうそれも全力(本気)で。もし、そんなモノを喰らってしまえば今度は三日では済まない期間、ベッドの上に居なければならなくなるだろう。それは困る。何とか、上手い言い訳を考えなければ。

 

「な、撫子が余りにも綺麗だったから。後ろから抱き付いてみようかなぁって」

 

「……」

 

 しまった。これは失敗か?というか、何故この様な恥ずかしい台詞を言ってしまったんだ。おかげで俺の顔は真っ赤だ。それと同じくして怒りに顔を赤らめふるふると肩を怒らせながら拳を握って耐えている撫子の姿はまさに爆発寸前と表現できる。無言で此方へとゆっくり、大地を踏みしめるように歩いてくる姿は恐怖を増長させる。

 

 

「いや、すまんっ。ほんの出来心だったんだ。グーだけは止めてくれッ」

 

 必死に暴力は良くない。人間は対話で事を納めるべきだと説得するも終ぞ撫子は俺の言葉に応じず、俺の顔を覗くようにしてしゃがみこんでくる。ふわりと女性特有の甘い香りが俺の鼻腔をくすぐり、少し顔を動かせばキスしてしまいそうな距離に有る整った顔がとても綺麗で思わず見惚れてしまう。

 

「頬と首が赤い、目は泳いではいるがどうやら嘘では無い様だ。……ふんっ、まぁいい。早速講義を始めるぞ」

 

 どうやら、機嫌を多少は治してくれたのか暴力は振るわずに忍術の講義をしてくれるようだ。首の皮一枚繋がった、恥ずかしい思いをして良かった。

 

「何をしている。早く起き上がらないか。それとも、その体制で私の講義を受けるつもりか?」

 

 ぐったりと、仰向けになって倒れていた状態から飛び上がり、横倒しにされた木の上に腰を降ろしている撫子へと駆け寄った。

 

「さて、それでは講義を始めよう。まず、忍術とは」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 忍術。それはチャクラと呼ばれる、精神から織り成されるエネルギーと細胞の一つ一つから生み出される身体エネルギーとを均一に混ぜ合わせたモノを練り上げ、形とする事によって起こす現象のことを指す。

 

 術の種類は多種多様。≪火遁≫を始めとする五属性(「火遁」「風遁」「雷遁」「土遁」「水遁」)≪医療≫≪幻術≫≪転生≫≪時空間≫≪分身≫≪結界≫に加えて新しく自身で考案したモノ等々、有名・マイナー含めるとそれはもう数えきれないほどの数が存在している。これらを扱うためには弛まない努力と才能とが必要となる。一朝一夕で身に着けられるモノではない。等々、基本的な忍術についての講義が進められた。

 

 

 

 

 

「さて、話ばかりでは退屈する事だろう。どれ、一度忍術を見せてやるから、真似をしてやってみると良い≪分身の術≫」

 

 印を結ぶと白煙が発生して撫子が五人に増えた。どうやら成功したようだ。

 

「おおっ、流石は撫子先生。俺にも出来るのかな」

 

「これくらい、アカデミーを卒業したものならば誰でもできるさ。さぁ、お前もやってみろ」

 

 印の組み方は分かった。早速やってみようじゃあないか。ぬんっ…………。チャクラってどうやって練ればいいんだ?身体エネルギーと精神エネルギーを混ぜてって既にそこから訳が分からない。臍がどうとか言ってた気がするが、何のことやら。これは一度恥を忍んで聞いてみるしかない。

 

「撫子、チャクラってどうやって練ればいいんだ?」

 

 俺がそう問いかけると撫子は何を言っているんだと怪訝な表情を浮かべた。

 

「アマミヤ、お前私の話は聞いていたか?もう一度説明してやる。精神エネルギーと身体エネルギーを……」

 

「いや、そうじゃなくて。そもそも、精神やら身体エネルギーってのはどっから出て来た言葉なんだ?」

 

 

「むっ、そう言われれば確かにそうだな。しかし、私は知識として既に知っていたからな。どうすればチャクラを練ることが出来るか?と聞かれても……そうだ、アレが良い。少し、待て」

 

 腰に付いたポーチに手を入れ、何を掴み出したのかと注視するとそれは≪クナイ≫だった。

 

「まて、それで何をするつもりだ。」

 

「何をって、チャクラの練り方を教えようかと」

 

「可笑しいだろう。チャクラを練るために何故クナイが必要なんだ。そこは普通、教本とかじゃあ無いのか?ほら、サルでも分かる忍術編とか」

 

「?普通のサルは忍術なんぞ使えないが。それに、習うより慣れよという言葉が有る。実際にやってみて身体に叩き込めば、嫌でも身に付くさ」

 

 可愛らしく小首を傾げる様は見ていて気持ちが良いが、やろうとしていることが野蛮過ぎて、可愛さ半減どころかマイナスだ。

 

「ええい、往生しろ、男だろう。チクっとするだけだ。」

 

 クナイを手に近づいてくる撫子、後退りする俺。部外者が見れば、浮気した男が嫉妬に狂った彼女に凶器片手に追いつめられている様に見える事だろう。

 

「ハクとやらの為に頑張るのではなかったのか?お前の覚悟とやらはその程度のモノなのか?」

 

 真剣な声色と表情を浮かべ、此方を見定める様にじっと見つめる撫子。……嗚呼、そうだ。俺はこんな所で油を売っている暇はない。チャクラがなんだ、精神?身体エネルギー?力を手にしなければ、俺はこれからもずっと無力なままだ。だったら、やることは一つしかねぇだろ。

 

「よしっ、どっからでも来いッ!」

 

「ふんっ多少はましな面構えになったな。いつまでも腑抜けていれば殴ってでも矯正してやったものを、残念だ。……しかし、何を勘違いしているのかは知らんが、指先を少し斬るだけだぞ?」

 

「ぇ?それだけ?俺の意気込みとか」

 

「恥ずかしい奴だ。指先一つ斬るだけにも拘らず、発破を掛けてやらねばならぬとは」

 

 ぐぉおおおっ恥ずかしい、ものすごく恥ずかしい。羞恥心で顔が熱い。というかそれだけなら始めに説明位してくれよ。

 

「さぁ、気を取り直して、やるぞ。まずは手本を見せる。手を出せ」

 

 言われるがままに右手を掌が見えるようにして差し出す。差し出されると同時にクナイを持つ手が人差し指に宛がわれ、ゆっくりと切開するように横に動く。ぷくりと赤い玉が斬られた隙間から出てくる。次第にそれは雫となって指を伝い、地へと落ちていく。

 

「よく見ていろ。そして、感じろ。私のチャクラを」

 

 有無を言わせぬ物言いで俺に覚えさせるように印をゆっくりと組む、以前治療して貰った時に似た緑光が両手に宿り始める。それを人差し指へと持っていき、患部へと当てる。暖かな緑光が煌めき傷に纏わり付き傷を修復していく。それは数秒も掛らぬうちに傷跡無く治してしまった。

 

「これが≪掌仙術≫だ。医療忍術の一つで最も治療に使われるものだ。……術が発動するように考えながら臍に力を込め、チャクラという水を汲み上げ必要な個所に流すという一連のイメージを持て。これだけでも多少変わるはずだ。」

 

「嗚呼、ありがとう撫子。やってみるよ」

 

 チャクラ、要するに生命力とか霊力とか魔力とか気とかそんな感じのイメージをすればいいんだろう?ファンタジー系統なら相応の数は読んできた自信はある。だからどうしたと言われても困るが、イメージさえ出来れば何とかなるはずだ。想いを形にする、印を組むのはイメージをより強固な形にするためのプロセス。印なんて組まなくてもハクは氷の矢を放っていた。つまり、術を発動させるためには想像力とそれを発動させるための源となる何か(この場合はチャクラ)が有れば良い。

 

 クナイを右手に握り、左人差し指へ宛がう。自傷癖は無いんだがなぁと苦笑しながらゆっくりと斬る。先ほどと同じように血が流れ出す。胸から腹へ臍へと意識を移し、初めて、撫子に治療を施してもらった時の事とつい先ほど受けた治療を思い浮かべる。

 

 暖かく、触れた者を安心させるソレを今度は自身の中から探し出す。…………これが、チャクラ。俺のチャクラか、弱弱しいな。

 

 小さく炎の様に時折揺らぐそれは確かに、撫子のソレと似ていた。これを、汲み上げて掌仙術という形に変える。両の手に燃え盛る炎を移動させる。それは印を組んでいないにも関わらず撫子と同様、掌仙術特有の淡い緑光を放つ。

 

「なッ、アマミヤお前、今印を結んだか?」

 

「いいや、チャクラと思わしきものを両手に集めたら勝手にこうなっていた」

 

 クナイによってできた切り傷は既に綺麗さっぱり消えていた。それでもなお緑光は止まらない。否、止められない。

 

「な、撫子。チャクラを放出する事は出来たんだが、止め方が分からないんだ。どうすればいい?」

 

「ば、莫迦者ッ!何を悠長に言っているっさっさと止めないとチャクラの枯渇で大変なことになるぞッッッ」

 

「た、大変な事って?気絶するとか?忍術が使えなくなるとかか?」

 

「それも有るが、チャクラの過剰使用は命の危険に繋がる。初めて使用するのなら尚更だ。チャクラは元来、自身の精神と身体を酷使する。分かり易く言えば、命を削っているに等しい行為だ。使い過ぎれば廃人と化す恐れもある。だから、早く止めろと言っている」

 

「そ、そんな事言われてもなぁ……っとそう言えばアレがあったな」

 

 命に関わると聞かされれば黙っていられない。手早く、ストレージを開き中から≪ふういん玉≫を取り出し、俺自身に向けてそれを投げる様に撫子に言う。

 

 始めに言っておくが、自棄になった訳でも、急にマゾヒストに目覚めた訳でもない。当然この様な奇行を行う理由は有る。ふういん玉の効力は当たったモノを九分間の間≪術封じ状態≫にするという効果を秘めている。これの意味する所つまりはチャクラを使った、体術以外の術を使用できない様にするのだ。一度チャクラと言う水を垂れ流す蛇口を無理やりに閉めてしまえばこれ以上チャクラが漏れだすことはないという訳である。

 

 

 俺の突発的な奇行について撫子に説明するとやっと得心がいったのかコクコクと頷いたり小声で小さく何やら呟き、そして俺に向かってふういん玉を全力で投げた。

 

 

 思わずストライクッ!と叫びたくなる位の剛速球(ストレート)が腹にクリーンヒットしその痛みに悶絶しながら意識を手放す。……最近、意識を飛ばす頻度が高くなってきた気がする。

 

 

 

 

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