NARUTO~行商人珍道中~
2 そろそろ移動しよう
修行をあの後三週間程度続けた結果、俺の体は下忍位ならやっていけるのではないか?と自負できる程度には鍛えることができたと思う。それから、ストレージを探っていたら≪ロック・リー≫が愛用していたと思われる。≪こんじょうおもり≫なるものを発見し、≪リストバンド≫におもりをつけた物を手足にそれぞれ巻いている。
これが、なかなかに重く最初の五日間はかなり堪えた。それでも、生き残るためとして、我慢して使用し続けている。
そろそろ、この場所ともおさらばしようと思う。長い間、とはいっても一か月程度だが雨風を凌いでくれた≪四代目のマント≫と≪門ばんのぼう≫を始めとして作り上げた簡易テントを軽くなでる。
ありがとう四代目、お陰様で風邪をひくことなく生活できました。こんな使い方をするのは多分俺だけだと思いますが感謝しています。
閑話休題(そんなことは置いといて)
さて、テントも片づけ近くに街か村があればいいなぁと思いアイテムストレージを覗く。修行中、素振りに使った≪木刀≫をストレージに戻し新たに≪あまのはばおり≫と≪九尾のかたびら≫を取り出し身に着ける。
それぞれ、動物に大ダメージを与える能力と忍術に耐性がつく効力を備えている。少し前に、目尺で五十センチ位のヒルと毒蛇に襲われかけてから野生動物に対して警戒をしている。
ヒルは動きが鈍かったので木刀を使い叩きのめして退けることができたが、毒蛇は完全にこちらを餌だと思って攻撃してきたため、あまのはばおりを使用して一刀両断したのである。
初めての殺傷、動物であったことが唯一の救いだが、あの骨肉を斬る嫌な感触は此処が漫画やゲームの世界ではないことを改めて痛感させられた。
そんなこともあり、俺の野生動物並びに忍者含める原住民には深い警戒心が芽生えたのである。とはいえ、いきなり襲い掛かって来たりしない限りはこちらからは手を出さないつもりではあるのだが。
準備完了、忘れ物なし、さあ出発だ。あれから一か月、居ないとは思うが忍び達には注意しながら移動しよう。こうして俺は初めてのキャンプ生活?を終えた。
トリップ当初、俺が居たのは森である。それも湿地帯と呼ばれるタイプのじめじめとした一年中雨が降っているのではないかと錯覚させるような薄い霧に包まれた森である。
いきなり悟りを開いた様な語りに、一体何が言いたいのかと思ったことだろう。ひとこと言わせてもらおう。迷った。
そう、俺は齢(よわい)二十八にして迷子になってしまったのである。まぁ元より迷子みたいなものだろう等という野暮なことは言うまい。
考えてみればすぐにわかることだった。俺はこの世界のことなぞ、生まれたての赤子並みに知らないのだから。
大まかな国の位置や原作で言う≪サスケ≫の里抜け位までの物語しか知りえていない俺が、近隣の村や街、隠れ里がどこにあるのかなど知る由もないのだ。
くそぅ、こんなことならばやはり≪助っ人≫にするべきだったか……?いや、しかし裏切りは怖い。などと、今更意味のない問答を一人繰り広げる。
歩き続けて既に三日ほど経過している。そろそろ、屋根のちゃんとしたところで休みたいものだと思うのも仕方のないことだと思う。
俯きがちだった俺は足元から目を上げると、辺りを包む森が途切れている事に気が付いた。これは、街道に近いんじゃあなかろうか?と小躍りしたい気分を抑え込み、足早にその場を駆け出す。
森を抜けると踏み鳴らされ剥げた地面に轍が所々に残っていることから街道だと思われる道を発見することができた。街か村が近いことを予見させる。
道は東西に別れており北の森から来た俺は当然又しても迷うことになる。西か、それとも東かどちらが正解なのかと数瞬悩んだが、とりあえず西へと行けば港町位にはたどり着けて船を使えれば火の国か、波の国位にはたどり着けるんじゃあなかろうか。
というか、ゲームの地図なんて有ってないようなものだし多分西であっている筈だ、恐らくきっとめいびー。
そうと決まればさっそく行動。ストレージから≪しっぷう丸≫を取り出し飲み込む、しっぷう丸は使用者の素早さを一時的に二倍するというとんでも能力を持つアイテムだ。
最初からなぜこれを使わなかったのか?というとだ、俺の身体スペックが先の修行のおかげで上がりに上がってしまったせいで一度試してみたところ、駆け足程度で移動した筈が気が付いたら木に激突していた。なんて事が起こってしまったため、森でなんぞ恐ろしくて使えるかっ!となった次第である。
加えて、あの女(俺に能力を付けた神)がアイテムの効力を三倍増しにしたおかげで食べ物以外のほとんどがかなり危険なものになってしまったのだ。そんな愚痴は横に置き、ロケットダッシュの要領で手を地に着け腰を上げる。
位置について、よーい、ドンっ
瞬間、轟っという音を置き去りにし俺は風になった。早い速い疾い、びゅんびゅんと周りの光景が後ろへと流れていく。水たまりを飛び越えながらも走り続けた。
どれほどの間走ったのだろうか、数分か、あるいは数十秒か、みるみるうちに遥か遠くのほうにあった建物群らしきものが近づいてくる。もとい、俺が近づいていく。
このままの速度で行けばまず間違いなく、かまいたちに似た強烈な風が街を襲うことになるだろうと予測し減速をし始める。段々と緩やかになっていく歩幅に一安心しつつ街までの残り道をゆっくりと歩いていく。
つ、着いた……やったよ、俺。本当によくやった、俺。ようやっとまともな屋根がある部屋で休めるぞ、俺っ!
意気揚々と街を眺めているとふと、頭に黄色い何かがよぎる。即ちそれはお金。英語で言えばマネー。そう言えば俺、金持ってないよねっと。
ぁああああああああっ!どうすんだよ金無かったら宿屋に泊まれないのは勿論の事ながら飯すら食えない事になる。それは非常にまずい。この一か月間、今まで食べてきたモノは全て仮想の倉庫であるストレージから取り出せる握り飯やらカップ麺やらの手の全く込んでいない代物ばかりだったのだ。
いい加減に味噌汁とか肉とか食べたくて仕方なく街までやってきたというのに肝心の金が無いなんて一体どうすれば良いんだ。どうすんだよ、やべぇよ。死活問題だよ。
……なんてことにはならない。俺に考えがある。とは言っても、アイテムストレージから食べ物とかを売るだけなんだけれども。
市場の平均的な価格をメモしてそれの二割減した価格で提供すれば、元手がかからない分俺の売る物でも売れるはずだ。
役職としては流れの行商人といったところか?しかし、信用や信頼がないからそれでも売れるかは微妙と言わざるを得ないが。それに加えて荷車がないと怪しまれるかもしれん。…………まぁ、いざとなれば忍者崩れの商人だと言い張れば何とかなるはずだと気合を入れ活気のある中心部へと移動する。