僕とさくらが分かれてから五年たった。
あの時七歳だった僕は十二歳になり新しい生活にも慣れてきた。
前は妹がいたけど今は姉がいる。
黒羽沙雪。
僕の二つ上で今は中学三年生。
銀髪で赤い目が特長の美少女。
無表情だけどその実かなり感情が分かりやすい。
あと甘い物と猫が大好きで朝がとても弱い。
「雪姉は学校決めたの?」
「うん。近くの高校にする」
「そうなんだ」
「零次は高校どうするの?」
「決めてない」
「そうなんだ」
僕は別に高校とかはあまり心配してない。
理由の一つとしてはやりたい事がないから。
僕は将来の夢というものが無い。
目標もとりあえずといったものが多い。
「そういえば今何時?」
「午後二時」
「そう」
雪姉との会話をしていると電話が鳴る。
誰だろうと思って電話を取る。
「はい黒羽です」
『黒羽零次くんかい?』
「はい。そうですけど」
そう言うと電話口の人は少し悩んだ後雪姉に変わってくれと言った。
僕は雪姉に電話って言う。
雪姉は若干怠そうにしてから電話を取る。
僕は雪姉が見ていたテレビの方を見る。
猫猫にゃんにゃんという文字が大きく書かれている。
そう言えば猫好きだったよねと思いながら煎餅を食べる。
そうして寛いでいると雪姉が慌てて外へ出て行く音が聞こえた。
……そう言えば義母さん遅いなと思いながら冷蔵庫を見て料理を始める。
雪姉が帰ってきたのは午後七時ぐらいだった。
雪姉の目が赤く腫れているのを見て僕は何があったのかを聞いた。
ー義母さんが倒れた。
去年に義父さんが亡くなったばかりなのに今度は義母さん。
雪姉は泣きながらもそれを必死に僕に伝えてくれた。
不思議と涙とかは出なかった。
いや、さくらの時と同じだ。
雪姉が泣いてるからせめて僕だけは雪姉を支えてあげないととつい思ってしまう。
「雪姉、ご飯食べる?」
「……今は良い」
「そう。鍋の中に入ってるから温めて食べてね」
僕はそう言ってそのまま自分の部屋に向かう。
……一人でいた方が雪姉も落ち着けると思ったから。
次の日朝起きるとやっぱり雪姉は泣き疲れたのかソファで眠っていた。
「雪姉、雪姉起きて」
「……すぅ……すぅ……」
「今日は約束があったんじゃないの?」
「……すぅ……すぅ」
起こそうと頑張ったけど起きない。
どうやって起こそうかと思った時インターフォンが鳴った。
すぐに確認するとそこには雪姉の友達の雪白なぎさがいた。
「あっ、沙雪起きてる?」
「……いえ、全く」
「しょうがないなぁー」
そう言うとなぎささんは家の中に入っていく。
そう言えば今日は僕も早く行かないとダメだったような。
結局雪姉は起きなかったから僕だけ家を出た。
……今度なぎささんには甘いものを奢ってあげよう。
そんなことを考えながら登校する。
教室に着くと何人かもう来ていたらしくあいさつをしてくる。
僕もそれにおはようと返して自分の席に着く。
「零次!宿題を見せてくれ!!」
「また?」
「悪いとは本気で思ってる!!けど……頼む!」
「二問ほど間違えて写してね」
「助かる!!」
今僕に話しかけてきたのは同じクラスの林道拓也。
その容姿は世間一般で言ういけめん?というもので黙っていればモテる。
そう、黙っていれば……ね。
拓也は一言で言えば馬鹿なのだ。
突拍子のないことも平然としたりする。
……キングオブバカの称号を雪姉から与えられていたりする。
今日も騒がしくなりそうだなと思いながら僕は窓の外を見る。
この時の僕らは知らなかった。
僕らの日常をの壊すものがすぐそこまで来ていることを。