アーマードコアEX 女レイヴンの日常は、血と硝煙と愛に満ち   作:外清内ダク

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06 ワームウッドの流星

 

 

 

『ヨシュア……

 確か、伝説のレイヴン『ワームウッド』の息子だったな』

 

 ワームウッドのコックピットに声が届いた。

 二足ACのアブソルート・アインズからである。

 

 ヨシュアは眉をひそめた。

 

 どうやら相当こちらの背後関係を調べているようだ。

 いや、他の連中が妙に計画性がない攻めをしていたところを見ると……

 おそらく、このアインズに乗っている男がエアハルトのリーダーなのだろう。

 そして、情報はほとんどこの男一人が握っているのだ。

 

『だがな、俺達二人を同時に相手するってのは、ちょっと自信過剰なんじゃねぇのか?』

 

「うるさい……蝿だ」

 

 ヨシュアは手元のスイッチを押した。

 モニターに映る敵機の姿が拡大される。

 

 アインズは中量二足AC。

 武装は右手のアサルトライフルと両肩に背負ったレーザーキャノン。

 新型の、カッター状のレーザー光を発射するタイプだ。

 結構資金は豊富らしい。

 

 対してフィールは戦車型の超重量AC。

 頭の、真っ直ぐ天空へ向けて立った角が特徴的だ。

 腕の武装はレーザータイプのスナイパーライフル。

 肩には強力なグレネードランチャーと、変わり種の機雷投下機である。

 内蔵ブースターで空中を浮遊し、周囲に物体が近付くと爆発する。

 凶悪な兵器である。

 

 ヨシュアは口の端を吊り上げると、操縦桿をねじ倒した。

 

 ワームウッドがそれに呼応して四本の足を曲げ、地を蹴った。

 巨体がフィールの頭上に舞い上がる。

 それと同時に武器腕のガトリングガンが銃弾をばらまいた。

 

 フィールは……避けない!

 左腕を盾代わりにして弾丸を受け止め、かろうじてコアへの致命傷を防いだ。

 

 ヨシュアは小さく舌打ちをした。

 確かに機動性のない機体で弾速の速い兵器から身を守るには最適な方法なのだが、だからといって迷うことなく片腕を棄てるというのも並大抵な根性ではできないことである。

 

 おまけに、アインズがレーザーキャノンの狙いを定めている。

 空中のワームウッドへ向かって、光の刃が飛来する!

 

 ヨシュアは操縦桿から手を放した。

 すぐさまブースターから炎が消える。

 推力を失ったワームウッドは、高速で落下を始めた。

 その頭上を光の刃が通り過ぎた。

 

 再びヨシュアは操縦桿を握り、手前に倒した。

 ワームウッドがブースターを噴かし、アブソルート達と距離を取る。

 

 そのとき、モニターの端に映ったフィールの姿が目についた。

 肩のグレネードランチャーを構えている!

 

 ヨシュアは慌ててワームウッドを地上に降ろし、レーザーキャノンの標準を合わせた。

 

 ドシュッ!

 

 低い音がして、グレネード弾が発射された!

 あんなものの直撃を受けたらひとたまりもない!

 

 ヨシュアの額に汗が浮かぶ。

 正確に狙いをさだめ、トリガーを引いた。

 

 ヴァシュッ!

 

 レーザーキャノンの光の弾丸が、真っ直ぐにグレネード弾に向かって放たれた。

 狙い違わず弾丸が衝突し、誘爆して炎を撒き散らす!

 

 ヨシュアは内心胸をなで下ろした。

 グレネードの弾丸はそれほど大きくない。

 本当に撃ち落とせるかどうか不安だったのだ。

 

 こいつは、早くかたをつけないと危ないようである。

 ワームウッドはアインズのライフル乱射をかわしながら、フィールへと近付いていく。

 

 フィールの機雷投下機が稼働した。

 ワームウッドの進行方向に、数個の機雷がばらまかれた。

 器用な操縦でそのすきまをすり抜け、フィールに正面から突っ込んでいく。

 

 後ろから追ってきているアインズの攻撃が止まった。

 この位置で攻撃して、もし機雷が誘爆でもしようものなら自分まで巻き込まれかねない。

 

 ここまではヨシュアの計画通り。

 ここからが勝負である。

 

 目の前のフィールが、今度は腕のスナイパーライフルを構えた。

 これも新型の、凶悪な破壊力を持った兵器である。

 食らうわけにはいかない。

 

 ヨシュアは真上に標準を合わせると、レーザーキャノンを発射した。

 

 天井が音を立てて崩れ、瓦礫がワームウッドとフィールの間に降り注ぐ。

 

 フィールのライフル弾は瓦礫に飲み込まれ、ワームウッドは全くの無傷である。

 おまけに視界も塞がれ、相手はこっちの姿が見えていないはず。

 

 ヨシュアは操縦桿を捻った。

 ワームウッドは180度方向転換し、さっき来た方向へ砂煙を切り裂いて戻っていく。

 

「飛んで火に入る……」

 

 視界に動くものを認め、ヨシュアは叫んだ。

 計画通り、機雷の隙間をようやくくぐり抜けたアブソルート・アインズの姿がそこにはあった。

 

 一瞬アインズの動きが止まる。

 まさか、追いかけていた相手が自分の方に戻ってくるなどとは思いもよらなかったのだろう。

 

「夏の虫ってやつだッ!」

 

 ヨシュアは戸惑うアインズに銃弾を浴びせる……こともなく、その脇を高速で通り抜けた。

 そのままもう一度機雷の網をすりぬけ、最初の位置に舞い戻る。

 

 そして、その背後に迫る一発のグレネード弾……フィールがレーダーだけを頼りに発射したものである。

 弾丸はアインズの横を通り抜け、大爆発を起こした!

 

 ――機雷の網の中心で!

 

 爆風は次々と機雷を誘爆させ、その炎がアインズを巻き込む!

 高温の渦がアインズの装甲を融かしていく。

 かろうじて機体は人の形を留めているが、おそらく中に乗っている人間は……

 

 おまけにワームウッドはそのスピードを生かして逃げていたせいで、全く被害を受けていない。

 

「まずは一人!」

 

 ヨシュアは叫びながら、爆風で舞い上がる埃の中へワームウッドを突っ込ませた。

 レーダーを頼りにガトリングガンを掃射する。

 

 手応えはない。

 巧く回避されたか、あるいは狙いが甘かったのか。

 ともかく相手を視界に捕らえなければ当たるものも当たらない。

 

 埃を突っ切って、ワームウッドの青いボディが光の元へ飛び出した。

 すぐ側には、グレネードを構えたフィールの姿。

 

 視界にワームウッドが現れるのをじっと待っていたのだろうが、甘い!

 

 グレネードは再装填に時間がかかる。

 その隙にワームウッドのキャノンが火を噴いた。狙いはフィールの足下の地面!

 

 ゴウァアァァアアッッ!

 

 閃光を伴って爆風が巻き起こる。

 圧倒的圧力の風はフィールの足下をすくった。

 キャタピラが少しだけ、床を離れて浮き上がる。

 

 そこへ再びレーザーキャノンが炸裂した!

 キャタピラの腹を突き抜けて、光の弾丸はコアの内部を焼き尽くした。

 

 フィールが轟音を立てて床に崩れ落ちた。

 もはやパイロットは生きてはいまい。

 

「大口を叩いたのはそっちだったな」

 

 ヨシュアはそう言うと、満足げに唇の端を吊り上げた。

 

 

  *

 

 

 彼は、必死に走っていた。

 

 誰も知らない地下道の奥深く。

 隠しておいたものがそこにある。

 

 依頼主に借りたものである。

 他の兄弟達は、そのことは全く知らない。

 なぜ依頼主が彼を選んだのか――理由はわからなかったが、それこそどうでもいいことだった。

 

 アレは素晴らしい。

 アレを見ていると……そしてアレを使うことを想像すると、背筋を言いようのない快感が突き抜けていった。

 今までこんな感覚はなかった。

 初めて女と身を重ねた時も、初めて人を殺したときも、これほどまでに恍惚とはしなかった。

 

 やがて地下道は終点に達した。

 そこに一枚のドアが付いている。

 彼は横のパネルを操作して、ドアを開けた。

 

 彼はその部屋へ足を踏み入れた。

 そこでは二体の巨人が仁王立ちして彼を見下ろしていた。

 

 どちらも黄燈色で全身を塗り固められている。

 全体が太く、流線型で覆われているために、どことなく肥った男のようにも見えた。

 

 そして片方の巨人には『H―1』、もう一方には『H―2』の記号が、それぞれ肩に彫り込まれている。

 

 彼は、満足げに笑みを浮かべた。

 

 ついにこれに乗れる。

 きっと……いや絶対に、今まで以上の快感を与えてくれるだろう。

 欲望。

 彼の心は、ただそれだけが支配していた。

 

 

 

 

つづく。




今回登場したAC

■アブソルート・アインス
機体名 アブソルート・1
パイロット キール=エアハルト
HEAD HD-4004
CORE XXL-DO
ARMS AN-K1
LEGS LN-D-8000R
BOOSTER B-T001
FCS QX-AF
GENERATOR GBG-XR
BACK UNIT R WX-ED2
BACK UNIT L (DUAL)
ARM UNIT R WS-RFM118
ARM UNIT L LS-99-MOONIGHT
OPTION SP-S/SCR, SP-E/SCR, SP-ABS/Re
●COLOR
DESERT PATTERN/RED SCOPION
●備考
よく見るとかなりわけわからんものを装備してます。




■アブソルート・フィール
機体名 アブソルート・4
パイロット ガイル=エアハルト
HEAD HD-12-RADAR
CORE XCH-01
ARMS AN-863-B
LEGS LC-MOS4545
BOOSTER -
FCS RATOR
GENERATOR GBX-TL
BACK UNIT R WRR-10
BACK UNIT L WC-GN230
ARM UNIT R WG-RF/E
ARM UNIT L LS-99-MOONLIGHT
OPTION SP-MAW, SP-SAP, SP-CND-K, SP-S/SCR, SP-E/SCR, SP-E+, SP-ABS/Re
●COLOR
DESERT PATTERN/DARK SHADOW
●備考
ひょっとしたら私はEスナが大好きなのかもしれない。
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