アーマードコアEX 女レイヴンの日常は、血と硝煙と愛に満ち 作:外清内ダク
「引き分けぇ!?」
勝負を終えたリンファの第一声がそれだった。
あまりの剣幕に、知らせを持ってきたコバヤシがのけぞる。
リンファの大声はACの格納庫に響き渡り、エリィは止めどなく耳を襲う反響音に頭がくらくらした。
今にも噛みつこうとするリンファをなんとかなだめて、コバヤシは言葉を続けた。
「確かに貴女は対戦相手を行動不能にしましたが、同時にあなたのACも行動不能になりました。
よって引き分けです。
言っときますけど、判定は覆りませんよ」
「ぬぁんでよっ!?
あいつが弾を撃ったのは胴を斬られた衝撃があったからよ!?
あたしの方が早かったにきまってるじゃない!」
「いや、それはわかります。
でも結果的にですねぇ……」
「…………あ」
横でコバヤシに食ってかかるリンファを眺めていたエリィが、小さく声をあげた。
格納庫に入ってきた者がいる。
「ふっ、やはり駄々をこねているようだな」
「あーっ!? ヨシュアっ!
何しに来たのっ!?」
「聞きたいことがあったから来ただけだ」
ヨシュアの顔を見ると、リンファはコバヤシから手を放した。
自分よりずっと背の高いヨシュアの顔を見上げ、にらみ合う。
「どう……」
「断る」
いきなりの返答に、ヨシュアは戸惑いの表情を浮かべた。
まだほとんど何も言っていないのだが。
「せめて質問くらいは聞いてもいいんじゃないか?」
「聞かなくてもわかるから聞かなかったのよ。
どうせ、どうして父親を殺したとわかった、とかなんとか聞くつもりでしょ」
「ああ……」
ヨシュアはリンファの言葉をあっさり認めた。
それに満足したように、リンファは人差し指を立てて、ヨシュアの唇に押し当てた。
「自分で考えなさい」
*
「ほぉ~、そいつは大変だったねぇ」
パーツショップのオヤジは全然大変そうに思っていないような口調で言った。
もう少し、演技なりなんなりをしてもバチは当たらないと思うのだが。
今日は、リンファはエリィと一緒にパーツショップへやってきた。
そのエリィは、さっきから店のジャンク品を見てにやにやしている。
そして、リンファの服装はいつもとは違う。
エリィと一緒に買った、デザイン重視の服である。
今日ここに来たのは、それの『モニターテスト』も兼ねているのだ。
……が、オヤジはリンファの服には全く興味を示していないようだった。
「別に大変でもなかったけどね。
ACの修理代は管理委員が出してくれたし、なんか特例とかで賞金ももらえたし」
ややムッとしながたリンファは言った。
今回のアリーナ戦は、コバヤシ曰く『歴史に残る名勝負』だったらしく、幾つもの企業がリンファとヨシュアをお抱えレイヴンにしたがったらしい。
リンファが言っている賞金とは、こういう企業が出した金である。
そこには勧誘の意味が強く込められていたが、リンファもエリィも、全く気付いてはいなかった。
「えへへ~、みてみておじさ~ん、しょ~きんであたらしいふくかったの~」
「へぇ、よく似合ってるじゃないの。
ん? そういえばリンファちゃんもいつもと格好が違うな」
やかまひい。なにがそういえば、だ。
こうなると余計に腹が立つ。
腹癒せにリンファは足下のジャンクを蹴り飛ばした。
その下から何か青いものが転がってきた。
リンファはそれを拾い上げると、まじまじと見つめた。
見慣れない、四角くて細長い青い金属に、四角い穴が沢山空いていた。
「これ……なに?」
「ん……? はて、なんだろうな。
その辺のはスクラップを適当に集めてきたものだからなぁ」
「あー!」
エリィがリンファの指の中にある青いものを指さして声をあげた。
どうやらこれが何なのか知っているらしかった。
「それ、はーもにかだよ。むかしのぉ、楽器!」
「ハーモニカ……」
リンファはもう一度それを見つめ、ハーモニカ、という言葉を何度も頭のなかで繰り返しながら指で弄んだ。
やがて飽きたのか、リンファはオヤジの方に向き直って、そして言った。
「これ、もらうね」
THE END.
■次回予告
R「みんな、おひさしぶりっ!
このあたし、タオ・リンファが帰ってきたわよっ!」
J「誰か覚えてるやついるのか?」
E「はにゃ~」
R「今を去ること16年前! アーマードコア2発売直前の西暦2000年!
アーマードコア二次創作業界に颯爽と現れたこの名作を……」
J「名作?」
E「迷作・謎作・冥作~!」
J「だいたいアーマードコア二次創作業界って、どこだそこは?」
R「うるっさいわねぇ。
とにかく面白いんだから、昔読んでくれた人も初めての人も、みんな読んでってよねっ!
『純白ホンキィトンク・ラブ』!
それでは、また!」
J「なんか懐かしいな、このノリ」
E「きゅーじゅー年代きゅーじゅー年代~!」
※次回以降は、毎日夕方頃に1回分ずつ更新の予定です。