短編集   作:koth3

1 / 4
fate/zeroと東方projectのクロスです。


fate/judgment

 聖杯。神のこの地を受け止めた器にして、万物ありとあらゆる願いを叶えると言う万能の杯。しかし、それは万能であるがゆえに、時にその存在理由全てが崩壊してしまう事もある。

 そして、冬木と呼ばれる地には、その壊れてしまった聖杯が存在する。どんな願いも叶えるがゆえに、かつて、『悪であれ』と願われた願いを叶えて、聖杯は悪となってしまった。

 だが、聖杯は真に悪となる事を願ったか? 答えは否。聖杯の礎となった冬の聖女。彼女は願った。悪となってしまった聖杯を破壊する存在を。

 だから、聖杯は奇跡を起こした。本来、破壊という形でしか願いは叶えられない。しかし、その願いは確実な破壊を巻き起こす。故に、聖杯はその願いを叶えた。自身を破壊する存在を英雄として、英霊として召喚することを。

 

 

 

 

 

 暗く、濁り、湿った地下室で、二人の人影が儀式を行っている。二人は魔術師と呼ばれる存在であり、その内の一人は、此度の聖杯戦争でマスターと呼ばれる存在だ。

 聖杯戦争とは、冬木の聖杯を手に入れるために行われる、七騎の騎士と七人のマスターによる殺し合いだ。その戦争は参加条件に、聖杯によって令呪を手に入れ、サーヴァントと呼ばれる存在を降ろす必要がある。サーヴァントは、人の願いが凝縮した存在。形となった信仰と言っても良い。その願いによって、英雄と呼ばれた存在は、英霊になり座と呼ばれる空間に存在し続ける。

 その座から、英霊を降ろして、サーヴァントとする。それが聖杯戦争の参加するための条件であり、元も大事なプロセスだ。

 そのプロセスを行っているのは、白髪に顔の片方がマヒして、悲惨な姿をさらしている青年だ。この聖杯戦争のマスターの一人だ。

 その傍らにいるのは、着物を着た老人。青年の親族であり、そして、唾棄すべき存在へと変わってしまった老害でもある。かつての願いは崇高で、何物にも犯せない善良な願いだったのだ。しかし、長い時が老人を歪めて、変え切ってしまった。

 願いを忘れ、不老不死という願いを求め続ける哀れな老人。それこそが、青年の近くにいる老人の正体。

 

 「――天杯の守りてよ!!」

 

 叫びと共に、莫大な魔力が地下室荒々しく駆け巡る。本来、召喚には聖遺物と呼ばれるものが必要なのだが、今回の戦争では、青年と老人、つまりは間桐と呼ばれる一族は用意しきる事が出来なかった。その為、苦肉の策として、青年は聖遺物を使わず召喚しているのだ。

 

 「ここは?」

 

 そんな時、まるで鈴を転がしたかのような、清涼で厳格な威厳を持った声が地下室に響いた。

 

 「ふん、失敗か。惜しかったな、雁夜よ」

 

 老人は目の前に現れた存在を侮り、侮蔑した。目の前の存在は、おおよそ英雄らしくはなかった。

 緑色のアシンメトリーの髪の毛をした少女で、複雑な装飾が施された服を着ている。

 だが、これだけでは老人が失敗といった理由にはならない。老人が失敗と判断したのは、この召喚で召喚されたサーヴァントは例外なく理性を失っていなければならないからだ。

 理性を奪い去り、狂戦士とする事で、戦闘能力を格段に上昇させる。それが表向きの理由。真の理由としては、雁夜と呼ばれた青年を只々苦しめるため。理性がないがゆえに、主の魔力を奪い続けるバーサーカーは、今の雁夜と相性は悪すぎる。

 急造な魔術師である雁夜は、足りない魔力を補うために肉体を蟲に食わせている。食わせた分だけ魔力として得て、それを利用している。だからこそ、燃費の悪いバーサーカーは、雁夜と相性が悪すぎるのだ。暴れたら、暴れた分だけマスターにフィードバックが起きる。当り前の事だが、バーサーカーの場合はその量が異常だ。

 しかし、声が聞こえた。この時点でバーサーカーでは無い事が分かった。だから老人は失敗といったのだ。

 

 「……ふむ」

 

 召喚された少女が、目の前の老人を見て、何か納得したかのように頷きながら、言葉を漏らす。

 しかし、それは誰にも気が付かれずに、事態は進んでいく。

 

 「黙っていろ、糞爺!」

 

 だが、雁夜にとって狂戦士かどうかは如何でも良い。唯戦えて、聖杯さえ持ちかえれば良い。そうすれば、目の前の化け物から、一人の少女が救われる。そう信じているからだ。

 

 「かっかっか! 良く吠えるわ! 狂戦士化もできない貴様が、この先生き残れるはずが無かろうて!」

 「っく!」

 

 老人の言葉に悔しがる雁夜をよそに、少女はしっかりとした足取りで老人に近づいていく。

 

 「儂に何か用かの、サーヴァント?」

 「ええ。貴方に相応しき判決を」

 

 少女がもらした言葉は、この場にいるすべての人間の意識を凍らせるに十分だった。確かに、サーヴァントの力なら目の前の老人を殺すことは可能だ。いや、むしろあくびが出るくらいだろう。だが、それはこの場にいる老人が死ぬだけ。老人の核は存在し続け、生きながらえる。

 だからこそ、少女がもたらした言葉は老人にとっては余りのも馬鹿馬鹿しく、青年にとっては頼りになるサーヴァントが、頼りなく感じ、凍り付いてしまったのだ。

 

 「かっかっか! 儂に判決を? 一体何の罪に対して?」

 「貴方が裏切った正義に」 

 「かっかっか! 正義? 馬鹿馬鹿しい! そのようなもので何ができる? 下らん。雁夜、お前のが召喚したサーヴァントは、如何やら失敗中の失敗のようだ」

 「何処に行くのですか?」

 

 少女の言葉に、老人は要ら突きを隠さず、強い口調で叫ぶ。

 

 「ふん! 決まっておろう。儂の部屋じゃ。くだらない事に時間をかけた。こんな事なら桜の教育に時間をかけたほうが良かったわ」

 「そんな事が出来るとでも? 唯の死者となった貴方に?」

 「何?」

 

 少女の言葉を皮切りに、老人の体に変化が起き始めた。崩れていく。その輪郭が崩れて、崩壊していく。ボトボト、と音を鳴らして蟲が死んでいく。

 

 「な、何じゃ!!? 何が起きておる!?」

 「貴方はすでに死んでいる。例え、蟲にその魂を匿わせても、死から逃れることは人には決してできない。私は貴方に一つの判決を下しました。その内容は、『間桐臓硯は死者である』。それが私が下した判決。私が下した判決は決して覆りません」

 「き、貴様は! 貴様は何者じゃ!!?」

 「私は四季映姫・ヤマザナドゥ。幻想郷の閻魔です」

 

 その言葉を最期に、間桐臓硯はこの世から消え去った。

 

 

 

 class  ヤマザナドゥ

 マスター 間桐雁夜

 真名   四季映姫

 性別   女性

 身長   156cm

 体重   43㎏

 属性   秩序・中庸

 

 筋力 D 魔力(神力) A+

 耐久 A 幸運 C

 敏捷 C 宝具 EX

 

 クラス別能力

 

 断罪:A

 決して覆らない判決を下す。その判決は、相手の罪が重ければ重いほど、強制力が強まる。

 

 保有スキル

 

 隔離した精神:A

 彼女自身、他の生物と違う世界にその身を置いており、故に一方的で確実な判決を下すことを可能としている。

 

 宝具

 

 白黒はっきりつける程度の能力:EX

 どのような事象でも、その存在の根底を決める事が出来る、また、一度決定した事柄は彼女自身にも覆すことはできない。

 




映姫様の登場です。
この先、最後は原作とは違い、聖杯を悪と判断した映姫様によって、審判 「ラストジャッジメント」で破壊されました。
  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。