短編集   作:koth3

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ヤンデレっぽい何かです。


助けてくれ、凛

(凛。いや、小僧でも良い。誰でも良いから、俺を助けてくれ!)

 

 月の聖杯、ムーンセル。マスターとサーヴァントとの戦う聖杯戦争の開催地でもあり、多くの霊子ハッカーたちは聖杯戦争の期間中そこにサーヴァントと留まる事になる。しかし、ここにムーンセルが予想していない事態が発生した。

 一つの組に深刻な問題が発生したのだ。

 

「アーチャー、アーチャーアーチャーアーチャーアーチャーアーチャーアーチャーアーチャーアーチャーアーチャーアーチャーアーチャーアーチャーアーチャーアーチャーアーチャーアーチャーアーチャーアーチャーアーチャーアーチャーアーチャーアーチャーアーチャーアーチャー」

 

 予選を通過してマイルームを貰ったマスターと、そのサーヴァントは作戦会議の為にマイルームで話し合う事が多い。殆どのマスターたちは最初の日に大まかな作戦を決めていく。しかし、この組だけは違った。

 赤い聖骸布に身を包んだサーヴァント、アーチャーにマスターが張り付き放さないのだ。

 

(これは、ヤンデレという奴なのか。俺はアレか。下手をすれば殺されてタイガー道場まっしぐらになるのか!? いや、待て何を言っている。落ち着け。体は剣で出来ている。良し、落ち着いた)

「なあ、マスター? 少し放してくれないか?」

 

 その瞬間、喜悦を含んでいたマスターの瞳から一切の光が消えて、ぶつぶつと何かを呟き始めた。

 

「そんな酷い事を言うのはアーチャーじゃない。でも、目の前にいるのはアーチャー。その体も魂もすべてすべてすべて……! じゃあ、目の前にいるのは? アーチャーだよね。アーチャーだもん。アーチャーじゃなきゃいけないんだ!」

 

 余りに豹変したその様子に、英霊は既に泣きそうになりながら、しかしその表情は鋼鉄の意志で隠し、先の発言をフォローする。

 

「い、いや、何。君もその恰好じゃ、座りづらいだろう? だから放れてくれないかといったんだ。何も、君を邪険にしている訳じゃない」

「そうだよね。そうだよ。アーチャーは優しいもんね。私の事を絶対に助けてくれるもんね!」

 

 ハイライトのない瞳のまま、マスターはうれしそうにクスクスと笑みを溢し続け、腰に回した腕を話す様子を全く見せない。

 それに、気が付いたアーチャーだが、余計な事を言ってしまえば、またさっきのような状態に逆戻りになってしまう。

 

 そんな彼は、これから心の中で号泣し、心象風景が変わりかけるほどの苦労をしながら、聖杯戦争を勝ち続ける。しかし、その心のあったのは常に、誰かに助けを乞う言葉だった。

 

 

 

 

設定

 

マスター

 

無銘と一緒にムーンセルのトーナメントを勝ち残ったマスター。最後の最後に、アーチャーとずっと一緒に居たかったという願いを受諾され、永遠に続く聖杯戦争を体験している。毎回必ずアーチャーがパートナーになり、最後には一緒に消えるという苦痛を体験し続け、心が壊れてしまった。その為、その内心は全てアーチャーで埋め尽くされている。

 

アーチャー

 

残念ながら、無銘ではなく英霊エミヤ。その為に、マスターの異常性に付き合わされて、心の中で悲鳴を上げ続けている。これこそ幸運Eの面目躍如。助けてくれ、凛。

 




アーチャー、ヤンデレに愛される。でもそれって、生前のさく……。いえ、何でもないですよ。ですから、後ろの黒い何かをしまってください。桜様。この後のイベントは大概誰かを助けようとすると、『私以外を見るのはアーチャーじゃない』と言って、令呪で自害させられます。
因みに、この話はccc前に考えたので、この設定可笑しくないかという感想は受け付けません。ええ、受け付けませんとも!
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