ボクと異能と召喚獣 りめいく   作:アルス@大罪

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超久しぶりです。


Aクラス対Fクラス2連戦。 工藤 対 ムッツリーニ & 久保 対 姫路 by雄二

ー???sideー

 

「3人目の方、前へ」

 

木下さんによるおかしな空気から、ボクを助けてくれた高橋先生の声に従って次の人を出します。

えっと、次は……

 

「工藤さん、お願いします」

「はいはーい!行ってくるネー!」

 

気負った様子もなく、工藤さんは前に出ました。Fクラスからは誰が来るんでしょう?

 

「さぁ代表。ご褒美の抱っこを!」

「だからダメですっ!」

 

ー???side outー

 

 

 

ー明久sideー

 

Aクラスからの3人目は黄緑色の髪をショートカットにした女の子だ。

 

「1年の終わりに転入してきた工藤愛子です。よろしくね!」

「…………」

 

スッと静かに立ち上がって前に出たのはムッツリーニ。ここは科目を選択して確実に勝ちたいところだ。

 

「科目の選択はどうしますか?」

「…………保健体育」

 

高橋先生の問いに、ムッツリーニが静かに答える。直後、召喚フィールドが保健体育に切り替わる。

 

「土屋君って言ったっけ?キミ、保健体育が得意なんだネ?」

「…………」

「ボクも保健体育が得意なんだ〜。キミとは違って…………実技がね」

 

保健体育の実技。本来ならスポーツを意味しているのだけど、Fクラスの大半の生徒はいやらしい意味に捉えてしまい、ムッツリーニはブシャァァァアア!!と勢いよく鼻血を出し、反動で身体が仰け反りその勢いを殺すことなく床に倒れた。

それを見た僕はムッツリーニの元に駆け寄る。

 

「ムッツリーニ!大丈夫!?」

「…………問題……ない……!」

 

自分の鼻血で顔を真っ赤にして、肩で息をしていても説得力が無いけど、ムッツリーニは膝をガクガクと震わせながら立ち上がる。まだ始まってもいないのに瀕死の重傷だ。

 

「そっちの君、名前は?」

「……吉井明久、だけど」

「ヨシイクンね。よかったらボクが教えてあげようか?保健体育の実技」

 

誘うような声色にムッツリーニが反応し、再び鼻血が教室に撒き散らされる。さっきの鼻血で血が足りないのか、先程より勢いが無い。

 

「悪いけど僕にはーーー」

「アキにはそんな機会永遠に来ないから必要ないわよ!」

「そうです!明久君には必要ありません!」

 

断りを入れようとしたら、美波と姫路さんに割り込まれた。

2人には関係無いんだけどなぁ……

この話を転がす意味も無いと思い、ムッツリーニを助けようとすると、Fクラスの男子がムッツリーニに輸血を施していた。

 

「しっかりしろムッツリーニ!Aクラスに勝つんだろ!」

「勝ってAクラスの大型ディスプレイでDVDを見るんだろ!」

 

割と私欲にまみれた蘇生だった。

しかし、私欲にまみれていようと、しっかりとムッツリーニは輸血されて復活した。

……彼らはどこから輸血パックを持ってきたんだろう……?

 

「アハハハッ!Fクラスの人達って面白いネ〜」

 

心の底から楽しそうに笑う工藤さん。ここだけ見れば楽しそうなんだけど、週5以上のペースで命を狙われるからなぁ……多くの生徒はFクラスの男子のほとんどが入っているFFF団に迷惑しているんだよね。

 

「工藤さん。遊ぶのはそれくらいにして、始めてください」

 

痺れを切らしたように高橋先生が工藤さんに勝負を始めるように促す。

 

「はーい。試獣召喚っと」

「…………試獣召喚」

 

気軽に召喚する工藤さんに対し、瀕死の状態からある程度回復し、立ち上がりながら召喚するムッツリーニ。

 

保健体育

 

Aクラス 工藤愛子 428点

 

召喚された工藤さんの召喚獣は、セーラー服に巨大な斧というミスマッチ感のある姿だ。

Fクラスのほとんどは点数よりも斧に注目している。

 

「バイバイ、ムッツリーニ君」

 

召喚獣の斧が帯電する。テストの点数が400点を超えた人に与えられる腕輪を使ったんだろう。

対するムッツリーニは黒装束に口をマスクで隠した忍者のような服に小太刀二刀という装備そして点数は……

 

「…………加速」

 

ムッツリーニが小さく呟いた直後、召喚獣の姿がブレて消える。

 

「…………加速、終了」

 

再び呟いた直後、工藤さんの召喚獣の後ろにムッツリーニの召喚獣が現れ、工藤さんの召喚獣が倒れた。

 

保健体育

 

Aクラス 工藤愛子 DEAD

 

VS

 

Fクラス 土屋康太 568点

 

ムッツリーニの点数は、400点どころか500点を超える圧倒的な点数だった。

 

「勝者、Fクラス」

「そ、そんな……このボクが……!」

「…………」

 

高橋先生から勝鬨が上がり、膝から崩れ落ちる工藤さんに背を向け、悠々と歩き出すムッツリーニ。

次は姫路さんの番……かな?

 

ー明久side outー

 

 

 

ー???sideー

 

工藤さん負けちゃいましたか……保健体育の実技が得意と聞いて鼻血アーチ作る人に……たぶんえっちぃ方向に考えてたんでしょう。お名前がむっつりでしたし。

結論を出して次に備えていると工藤さんが戻ってきました。

 

「ごめんネ〜、負けちゃったよ……」

 

しょんぼりとさせて戻ってきた工藤さんに『気にしないでください』とだけ言って次の人を呼びます。

 

「久保さん、お願いします。もう負けられないので、勝ってください」

「最善を尽くすよ」

 

眼鏡をクイッと掛け直してくーるに歩いていく久保さんかっこいいです。ボクがやると子供の背伸びだと思われるので、ちょっとだけ憧れます。ボクはいつになったら大きくなれるのでしょう?

 

「代表は代表のままよ」

「それはボクがちっちゃいままだって意味ですか!?」

 

ボクの表情で察知したのか、木下さんから意味深なこと言われました。

……今日から牛乳の量を増やしましょうか……

 

ー???side outー

 

 

 

ー明久sideー

 

「4人目の方、前へ」

 

ムッツリーニが瀕死の状態で圧勝して2勝1敗。

僕達Fクラスからは姫路さんが出る。対するAクラスからは知的眼鏡を装備した久保君だ。雄二の読みでは、両者の点差はほとんど無いらしい。というのも、姫路さんと久保君は去年の定期試験で次席と三席で僅差だったことからこの結論になったらしい。

 

「科目の選択はどうしますか?」

「総合科目でお願いします」

 

当然のように言う久保君。科目選択はこっちが2で向こうが1だから最後はこっちが選ぶことになる。姫路さんが勝ったら選ぶこともないけどね。

 

『試獣召喚!』

 

2人同時に召喚する。

姫路さんの装備は西洋風の鎧に身の丈ほどもある大剣。

対する久保君の召喚獣は肩と胴体を隠す鎧に袴、鎌を2つという装備。

 

総合科目

 

Aクラス 久保利光 4239点

 

VS

 

Fクラス 姫路瑞希 4471点

 

表示された点数に両クラスがどよめいた。

去年のテストでは、毎回50点も差がなかったから、今回も接戦になると思っていたからだろう。僕も雄二も驚いている。

 

「姫路さん、それだけの力をどうやって……」

「私、このクラスが好きなんです。

誰かのために一生懸命なFクラスの皆が」

 

姫路さんは自信持って言ってるけど、Fクラスの9割以上は自分のためにしか行動しないよ。他人のために何かしても十中八九下心あるし。

 

「誰かのために一生懸命……か。残念だよ」

「えっ?」

 

突如、久保君の召喚獣が動き出し、姫路さんの召喚獣の左腕を切り飛ばした。

 

Fクラス 姫路瑞希 4471点→4280点

 

「い、いきなり!?」

「誰かのために一生懸命。姫路さん、それはどうだろう?君のいるFクラスの男子生徒のほとんどが『異端審問会』なる組織に属して、一方的な感情で、交際している男女の仲を割いている。そんな彼らが誰かのために一生懸命になるだろうか?」

 

片腕だけで大剣を振り回さなければならない姫路さんの召喚獣を、久保君は手脚を中心に、少しずつ攻撃し、異端審問会のメンバーについて話しだす。

 

「そ、それは……!」

「彼らは交際している男女どころか、普通に女子生徒と会話しているだけで、男子生徒に暴力行為をしていると聞く。警察沙汰になってもおかしくないほどにね。もちろんFクラス全員がそうだとは言わない。だが、そんな連中のいるクラスに、努力した僕らAクラスの教室は渡さない。絶対に!」

 

大剣の方が大きく重いはずなのに、久保君の召喚獣が鎌で大剣を宙に弾き飛ばし、丸腰の姫路さんの召喚獣の首を跳ね飛ばした。……今後久保君と戦うことがあったら全力で逃げよう。痛いもん。

 

「勝者、Aクラス!」

 

これで2勝2敗。最終戦での決着となった。

最終戦はきっとアイツが出てくる。Aクラスが試召戦争をしたのは1度だけ。五分五分……だと嬉しいなぁ……。

希望的観測を込めながら一歩前へ踏み出した。

 

ー明久side outー

 

 

 

ー???sideー

 

これで2勝2敗になりました!

ボク、いざ初陣です!前回召喚してないので初陣です!ちょっとワクワクドキドキしてきました!

 

「代表、大丈夫?」

 

ドキドキしながら椅子から降りると木下さんが心配そうにボクを見てました。いえ、心配されました。心外です。

 

「大丈夫れす!」

 

噛んでないです!緊張なんてしてないですよーう!脚が震えてる?武者震いってやつれす!

 

「ハンカチ持った?ティッシュ持った?」

「木下さんはボクのお母さんですか!?」

 

なんか制服のポケット以外のところも触られました。変なところは触られてないです。肩とか腕とか、腰に抱きつかれたくらいです。

 

「と、とにかく行ってきます!」

 

木下さんから逃げるように前に行きますが、前は女の人に塞がれてます。

 

「あ、あのっ!ボクの出番なんで、ちょっと退いてくれませんか!?」

『…………』

 

耳を塞がれました。聞こえないフリされてます。

 

「…………」

 

振り返ると木下さんがニヤニヤしてます。確信犯です!きっと前を塞ぐ人達は木下さんに言われてボクにイジワルしてるんです。

こうなったら強行突破しかありません!

突撃です!

 

ー???side outー




次回は明久と今作主人公の対決です。前後編の予定です。
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