「わぁ、神威大門だぁ・・・すっごい」
「ミク、特待生だって?」
お兄ちゃんと手紙を読んで、最初のリアクション。
もう、嬉しいとか、どうとか、考えられなかった。―――私が、特待生!?
「ミク・・・行くの?」
お兄ちゃんに聞かれて、思わず考え込んでしまう。
―――地元の中学校だって、LBXには協力的。友達だって、たくさんいる。
―――でも、神威大門統合学園は、“憧れ”・・・。
「よしっ、決めた!私、神威大門に行く。そこで、大好きなLBX、たくさん学びたいの」
立ち上がって、お兄ちゃんに宣言。
お兄ちゃんは、クスクス笑ってる。
「ん?何ー?」
「ううん、ミクももう、13歳なんだよなぁ・・・って思って」
「それがなに―――あっ」
―――13歳。
お兄ちゃんにとっては、私の10歳と同じくらい・・・いや、もっと大きくて、大切な年だった。
只今お兄ちゃんは、15歳。今年で16歳。
お兄ちゃんも、高校進学の年です。
「お兄ちゃん、やっぱり決めた。私は、神威大門で学ぶ。大切な中学校だからこそ・・・学びたいって、心からそう思うんだ」
「ミク・・・」
「・・・さ、さーて、準備しないとっ!お兄ちゃん、お母さんに伝えてきて!」
決めたら決めたで、意外と悲しくなっちゃうものなんだよね。
でも、前へ進まなきゃ―――・・・。
自分の決めた―――“道”を―――・・・。
中学校に行くため、イメチャン。
前髪を左右に分けて、後ろに流した。(イナイレの夏未ちゃんみたいな)
後ろ髪は、低めの位置でサイドテールにする。ウェーブが揺れる。
もちろん、控えめなピンク色のリボンは、健在だったり。
トランクに荷物を詰め、相棒を手に取る。
「向こうでも、使えるのかなぁ?」
―――私の相棒、アキレスS7は、お兄ちゃんのアキレスD9の改良版。そして、ちょっと女の子テイスト。
しかも、オーディーンの要素も入ってる。
作成者はもちろん、バンさんのお父さん、山野博士。
ちなみにS7とは、“シャイニング7”の略。
輝く7つの光―――虹を、表しているとか。
「うーん・・・ま、よろしくね」
心強い相棒。この子と、何度の優勝を経験したことか。
港には、たくさんの人が見送りに来てくれた。お兄ちゃんやお母さんはもちろん、バンさんやランちゃんも。
「ミク、頑張ってね!」
「ランちゃん・・・ありがと!うん、頑張ってくる♪」
元気よく船に乗り込み、目指すは神威島―――・・・。
・・・―――で、到着したはいいけど・・・
「此処、昔見たいっていうか・・・」
目の前に広がるのは、昭和の日本。純喫茶とか、見たことないようなものばっかり。
同じくきょろきょろしてた、ジャケットを着た子に尋ねてみる。
「えっと・・・神威大門統合学園に入学する・・・?」
「あ、はい」
緊張している彼―――出雲ハルキとの出会いだった。
「あの、私も新入生で・・・あ、出雲君とは違うかもだけど・・・でも、同じかなぁ。それでさぁ・・・一緒に行こうよ?」
すると彼は、微笑した。緊張が残ってたけど、それはこっちも同じだし。
「はい」
「あ、タメ口でいいよ。私は、大空ミク。えっと・・・」
「出雲ハルキ」
「そうそう、ハルキ。よろしくね」
「よ、よろしく・・・」
―――彼は、今思えば、このころが一番、幸せだったのだろう。
入学式。
ハルキも私も、1-5組だった。
此処は、やっぱり世界関係の学校だった。
―――やっぱり、っていうのも、私を“特待生”扱いするのは、やっぱり“例の事件”が、関連していると思ったから。
そして案の定、関係していた。―――ウォータイムっていう。
この学校を、いくつかの仮想国(私たちはジェノック)にわけ、LBXで戦争の勝敗予測、みたいなのをするらしい。
まぁ、私は、先生とともに、指令を出すだけだけど。
時たま、一緒に戦ったりするらしいけど・・・今のところはなし。
「・・・ま、面白そうね」
黄色いリボンをいじりつつ、ヒールの高いローファーを鳴らす。ちなみに靴下は、ニーハイだ。
「ミク、何か見えたかしら?」
「先生・・・はい、今日は面白そうなミッションですよね。遂行は、難しそうですけど」
ウォータイムの行われている“セカンドワールド”を眺めながら、私は先生に告げた。
―――これが、私の日常。